(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】医薬廃棄物の受入と廃棄のための廃棄物処理システム及び廃棄物レシーバ
(51)【国際特許分類】
A61B 50/36 20160101AFI20221128BHJP
B65F 1/16 20060101ALI20221128BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61B50/36
B65F1/16
B65F1/00 A
(21)【出願番号】P 2019572028
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 US2018040359
(87)【国際公開番号】W WO2019006346
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-15
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダーワウデ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】メイネス,デイヴィッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウルマー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】カスティリョ,ローガン
(72)【発明者】
【氏名】ベノイト,ヘザー
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04903832(US,A)
【文献】実開平02-129301(JP,U)
【文献】特表2012-521263(JP,A)
【文献】米国特許第5294012(US,A)
【文献】英国特許出願公開第2448554(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/36
B65F 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬廃棄物を受け入れるための廃棄物レシーバであって、
固定面に
ロッキングアセンブリで離脱可能に固定されるように適合され、
前記医薬廃棄物を受け入れるための開口を画定するレシーバ本体であって、前記開口と流体連通する容器空間を画定する内面と、前記内面と反対側の外面とを備え、前記外面は、前記開口から離れて前記レシーバ本体を
貫通するロック通路と前記ロック通路の一部を構成するキー溝とを画定し、前記ロック通路は、
前記ロッキングアセンブリを受け入れるように適合され、前記キー溝は、前記廃棄物レシーバを単一方向において前記ロッキングアセンブリに離脱可能に固定するために前記ロッキングアセンブリの係合特徴部を受け入れるように適合されている、レシーバ本体と、
前記レシーバ本体内に配置された流体吸収体と、
前記レシーバ本体内に配置された化学組成物と、
前記廃棄物レシーバを廃棄するために前記容器空間内の前記医薬廃棄物を密封すべく前記開口の上方において前記レシーバ本体に連結されるように適合されたカバーと、
を備える、廃棄物レシーバ。
【請求項2】
前記レシーバ本体は、前記ロック通路を包囲している、請求項1に記載の廃棄物レシーバ。
【請求項3】
前記内外面は、前壁、前記前壁と反対側の後壁、および、前記前後壁間に延在する互いに向き合った側壁を形成しており、前記前壁は開口部を画定し、前記後壁は他の開口部を画定し、前記各開口部は、前記ロック通路の一部を画定している、請求項1または2に記載の廃棄物レシーバ。
【請求項4】
前記各開口部は、前記ロッキングアセンブリへの前記廃棄物レシーバの単一方向の固定をさらに容易にするために、長穴形状である、請求項3に記載の廃棄物レシーバ。
【請求項5】
前記廃棄物レシーバは、前記レシーバ本体の前記前壁に連結されたカバー保持特徴部をさらに備え、前記カバー保持特徴部は、前記カバーを取外し可能に受け入れるように寸法決めされている、請求項3または4に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
前記レシーバ本体に連結されたインジケータであって、前記容器空間内における前記医薬廃棄物のレベルの視覚的表示をもたらすために、前記医薬廃棄物のレベルが所定レベルを超えた時に前記医薬廃棄物と接触するように位置決めされている、インジケータ、
および/または、
前記レシーバ本体を通る観察ポートであって、前記容器空間内の前記医薬廃棄物のレベルの視覚的表示をもたらすように位置決めされている、観察ポート、
をさらに備える、請求項1~5の何れか一項に記載の廃棄物レシーバ。
【請求項7】
前記レシーバ本体に連結され、前記開口内に配置された分流器であって、前記医薬廃棄物の固相を固体廃棄物空間に導くように適合された固体受入ガイドと、前記医薬廃棄物の液相を前記固体廃棄物空間から離れた液体廃棄物容器に導くように適合された液体受入ガイドと、を備える、分流器、
前記固体受入ガイドに連結された切断要素であって、前記固体受入ガイドを通って導かれた前記固相医薬廃棄物を切断するように位置決めされている、切断要素、
および/または、
前記固体受入ガイド内に移動可能に配置された押圧部材であって、前記受入ガイドを通る前記固相医薬廃棄物の挿入および前記切断要素に対する前記固相医薬廃棄物の係合を促進させるように適合されている、押圧部材、
をさらに備える、請求項1~6の何れか一項に記載の廃棄物レシーバ。
【請求項8】
固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物の少なくとも一方を含む医薬廃棄物を受け入れるための廃棄物処理システムであって、
開口を画定するレシーバ本体を備え、前記レシーバ本体は、前記開口と流体連通する容器空間を画定する内面と、前記内面と反対側の外面とを備えており、前記外面は、前記開口から離れてロック通路を画定する、廃棄物レシーバと、
固定面に固定されるように適合されたブラケットと、
前記ブラケットに連結され、前記廃棄物レシーバを前記固定面に離脱可能に固定するように適合されており、前記ロック通路内に取外し可能に少なくとも部分的に配置されるように寸法決めされたロックハウジングを備える、ロッキングアセンブリと、
を備える、廃棄物処理システム。
【請求項9】
前記ロッキングアセンブリは、前記ロックハウジングに対して移動可能な係合特徴部をさらに備え、前記係合特徴部は、前記ロックハウジングが前記ロック通路内に配置された時に前記廃棄物レシーバ上の相補的な係合特徴部に係合するように適合されており、前記ロッキングアセンブリは、前記廃棄物レシーバが前記ロッキングアセンブリから離脱することを可能にするように前記係合特徴部が移動するロック解除形態と、前記廃棄物レシーバが前記ロッキングアセンブリから離脱することを阻止するように前記係合特徴部が移動するロック形態と、の間で選択的に作動されるように、適合されている、請求項8に記載の廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記廃棄物レシーバは、
前記廃棄物レシーバを廃棄するために前記容器空間内の前記医薬廃棄物を密封すべく、前記開口の上方において前記レシーバ本体に連結されるように適合されているカバー、
および/または、
カバー保持特徴部であって、前記カバーを取外し可能に受け入れるように寸法決めされており、前記ロッキングアセンブリと協働して、前記ロッキングアセンブリが前記廃棄物レシーバを前記固定面に固定している時に、前記カバーの取外しを阻止するようになっている、カバー保持特徴部、
をさらに備える、請求項8または9に記載の廃棄物処理システム。
【請求項11】
前記廃棄物レシーバは、カバー保持特徴部をさらに備え、前記カバー保持特徴部は、前記レシーバ本体の前部に連結されたリップであり、前記ロッキングアセンブリは、前記ロックハウジングの前部から延在するロックシリンダをさらに備え、前記ロックシリンダは、前記ロックハウジングが前記ロック通路内に位置して前記レシーバ本体が前記ロッキングアセンブリに固定されている時、前記リップと前記ロックシリンダとの間に前記カバーをとどめるのに十分な距離だけ、前記リップから離間されている、請求項8~10に記載の廃棄物処理システム。
【請求項12】
前記ロッキングアセンブリは、
前記係合特徴部に動作可能に連結されたロックスピンドルであって、前記スピンドルが前記係合特徴部から離脱している前記ロック形態と、前記スピンドルが前記係合特徴部に係合する前記ロック解除形態と、の間で前記ロッキングアセンブリを選択的に作動させるように適合されている、ロックスピンドル、
および/または、
前記ロックハウジングに対して移動可能な離脱部材であって、前記ロックハウジング内に配置され、前記ブラケットの垂直マウントから離れる方に付勢する付勢部材を備え、前記ロッキングアセンブリが前記ロック形態にある時、前記廃棄物レシーバの後部は、前記ブラケットの前記垂直マウントから第1の距離にあり、前記ロッキングアセンブリが前記ロック形態から前記ロック解除形態に移動した時、前記廃棄物レシーバの前記後部を前記ブラケットの前記垂直マウントから前記第1の距離よりも大きい第2の距離に移動させるようになっている、離脱部材、
をさらに備える、請求項9~11の何れか一項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項13】
前記外面は、前記レシーバ本体の前後間に延在する通路と前記ロック通路の一部を備える前記相補的係合特徴部をさらに画定し、前記相補的係合特徴部と前記ロッキングアセンブリの前記係合特
徴部とは、協働して、前記廃棄物レシーバを前記ロッキングアセンブリに対して単一方向に配向させるようになっている、請求項9~12の何れか一項に記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,544号の優先権および利得の全てを主張するものであり、その開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
医薬廃棄物の廃棄は、長年にわたって医療業界において関心がもたれている。医薬廃棄物の例として、例えば、期限切れまたは製造中止になった医薬品、部分的または完全に充填されたバイアルまたはIVバッグのような製品の未使用分、不良の医療用アプリケーター、および、他の潜在的に危険性または有害性のある廃棄物が挙げられる。医薬廃棄物は、注射器、バッグ、または瓶内に含まれる液相医薬廃棄物であることもあり、または丸薬、カプセル、粉末、パッチ、等の固相医薬廃棄物であることもある。医薬廃棄物が不適切に転用または廃棄されていないことを保証することは、医療業界および薬業界におけるのみならず、環境保全の分野においても重要である。例えば、下水排水(すなわち、下水管への医薬廃棄物の単純な投棄)は、環境に及ぼす悪影響に関連付けられることになる。
【0003】
従来の処理方法では、医薬廃棄物を処分する手段は、特定の種類の廃棄物に限定されることが多いが、これは、不都合である。また、医療設備の外への医薬廃棄物の輸送を必要とすることが多い焼却のような大きな労働力および資本を必要とする方法は、好ましくないと見なされるようになってきている。医薬廃棄物の輸送は、移送中に該廃棄物の横流しのリスクが付随する。また、危険な廃棄物を含む液相医薬廃棄物の移送は、法規制上および実際上の課題をもたらすことがある。
【発明の概要】
【0004】
廃棄物処理システムを用いる試みは、完全に満足のいくものではなかった。従来の廃棄物処理システムは、例えば、病院内のかなりの大きさの貴重な床スペースを占め、病院のいくつかの使用箇所を使用不能にする場合もある。さらに、従来の廃棄物処理システムは、廃棄物を回収且つ復元させる機会を排除するのに十分な安全対策、具体的には、丸薬およびパッチの形態に含まれる麻薬性鎮痛薬に関する特に顕著な課題に対する十分な安全対策をもたらすものではない。それ故、当業界において前述の欠点の1つまたは複数を解消する廃棄物処理システムが必要とされている。
【0005】
本開示の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と関連付けて参照することによってよく理解されたなら、容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】廃棄物レシーバおよびロッキングアセンブリを備える本開示の例示的な実施形態による廃棄物処理システムの斜視図である。
【
図2】
図1の廃棄物処理システムの前方分解斜視図である。
【
図3】
図1の廃棄物処理システムの後方分解斜視図である。
【
図5A】切断線5A-5Aに沿った
図1の廃棄物レシーバの断面図である。
【
図5B】切断線5B-5Bに沿った
図1の廃棄物レシーバのレシーバ本体の断面図である。
【
図6】分流器を備える
図5Aの断面図の一部の立面図である。
【
図7】押圧部材が窓を画定する第1の位置にある
図4の分流器の斜視図である。
【
図8】線8-8に沿った
図7の分流器の断面図である。
【
図13】切断線13-13に沿った
図2のロッキングアセンブリの断面図である。
【
図14】ロック通路の特徴部を示すために前壁が取り除かれた
図1の廃棄物レシーバの斜視図である。
【
図15】
図1の廃棄物レシーバおよびロッキングアセンブリを備える本開示の他の例示的な実施形態による薬物廃棄物処理システムの斜視図である。
【
図16】切断線16-16に沿った
図15の廃棄物レシーバの断面図である。
【
図17】
図15の廃棄物レシーバのための分流器の斜視図である。
【
図18】本開示のさらに他の例示的な実施形態による廃棄物レシーバの斜視図である。
【
図19】切断線19-19に沿った
図18の廃棄物レシーバの断面図である。
【
図20】
図18の廃棄物レシーバのための分流器の上斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~3は、本開示の例示的実施形態による廃棄物処理システム50を示している。廃棄物処理システム50は、廃棄物レシーバ52およびロッキングアセンブリ54を備えているとよい。最も一般的には、廃棄物レシーバ52は、好ましくは省スペース的に廃棄物を回収不能および/または復元不能とするように医薬廃棄物を受け入れおよび/または廃棄するための容器またはコンテナである。前述したように、医薬廃棄物として、固相医薬廃棄物および/または液相医薬廃棄物が挙げられる。特に関心のある固相医薬廃棄物の例として、パッチおよび丸薬が挙げられる。液相医薬廃棄物の例として、液体系薬剤が挙げられる。後で詳細に説明するように、廃棄物レシーバ52は、ロッキングアセンブリ54によって、固定面に離脱可能に固定されるように適合されている。ロッキングアセンブリ54は、関係者以外が廃棄物レシーバ52をその使用位置から取り外すのを最小限に抑えるかまたは阻止する。ロッキングアセンブリ54および以下に述べる廃棄物処理システム50の追加的な有利な特徴部は、廃棄物レシーバ52内に受け入れた医薬廃棄物が不適切に回収、復元、および/または転用される可能性を減少させる。
【0008】
廃棄物レシーバ52は、レシーバ本体56を備えている。レシーバ本体56は、レシーバ空間58(
図5A,5B,6参照)を画定する内面59と、内面59の反対側の外面60とを有している。内面59および外面60は、協働してレシーバ本体56を形成する少なくとも1つの壁を画定している(
図6参照)。これらの壁は、後壁64およびその反対側の前壁62、底壁68およびその反対側の上壁66、および上壁66と底壁68との間に延在する1つまたは複数の側壁70である。レシーバ本体56は、壁64~70が一体に形成されるような一体構造であるとよい。
図1~3は、互いに隣接して一体に形成されたいくつかの壁間に延在する隅肉を示している。これらの隅肉によって、互いに隣接する壁間の個別的な境界は、明瞭に描かれていない。しかし、前壁62は、レシーバ本体56の前面に関連付けられ、後壁64は、レシーバ本体56の後面に関連付けられ、上壁66は、レシーバ本体56の上面に関連付けられ、底壁68は、レシーバ本体56の底面に関連付けられ、側壁70は、レシーバ本体56の側面に関連付けられていることを理解されたい。図示の実施形態では、壁64~70は、略矩形プリズムとして形作られたレシーバ本体56を形成している。レシーバ本体56は、どのような適切な三次元的形状、例えば、円筒形状、立方形状、球形状、円錐形状(その円錐台形状を含む)、ピラミッド形状、および/または高次の多角形状であってもよい。図示の実施形態の矩形状プリズムは、後述するように、固定面に固定される時に輪郭を低く抑えながら容器空間58を最大化するので、特に有利である。図示の実施形態のレシーバ本体56を形成する壁64~70の比率は、単なる例示にすぎず、使用場所の空間的制約および/または他の特定用途の要求に応じて設計されてもよい。
【0009】
図5B,6,7を同時に参照すると、レシーバ本体56は、開口72を画定しているとよい。図示の実施形態は、上壁66から上方に延在するネック74を備えるレシーバ本体56を示している。
図5B,6に最もよく示されるように、ネック74は、レシーバ本体56の開口72を画定するリップ76で終端している。ネック74は、廃棄物レシーバ52の安全な廃棄を促進するために、任意選択的に、以下に述べる更なる特徴部を備えているとよい。レシーバ本体56がネック74を備えず、上壁66(または他の壁62,64,68,70のいずれか)が開口72を画定してもよいことを理解されたい。開口72は、容器空間58と流体連通しており、容器空間58内に廃棄される医薬廃棄物を受け入れるようになっている。換言すれば、容器空間58内に廃棄される医薬廃棄物は、開口72内に配置される(後述の)分流器80のような中間構成要素に関わららず、開口72を通過する。開口72がネック74のリップ76によって画定される図示の実施形態では、開口72を通過する医薬廃棄物は、重力の影響によって容器空間58内に導かれる。
【0010】
図1を再び参照すると、廃棄物処理システム50の廃棄物レシーバ52は、カバー82を備えているとよい。カバー82は、特に廃棄物レシーバ52の廃棄の前に、容器空間58内の医薬廃棄物を密封するために、開口72を覆ってレシーバ本体56に連結される。
図2、3を同時に参照すると、廃棄物レシーバ52は、廃棄物を回収不能にするようにカバー82の相補的な連結特徴部(図示せず)を受け入れるための1つまたは複数の連結特徴部84を備えているとよい。連結特徴部84は、歯を備えているとよい。これらの歯は、ネック74またはその近くに適切に配置され、カバー82の下側に配置された相補的な歯(図示せず)と係合するように構成されている。連結特徴部84は、カバー82の下側に配置された相補的なネジ山(図示せず)を受け入れるように構成されたネジ山をさらに備えているとよい。
図2に最もよく示されるように、これらの歯は、レシーバ本体56に対するカバー82の単一方向における回転が可能になるように形作られている。さらに具体的には、カバー82およびレシーバ本体56のそれぞれの相補的な歯および相補的なネジ山は、協働して、カバー82がレシーバ本体56に対して第1の方向(R1)に回転することを可能にし、カバー82がレシーバ本体56に対して第1の方向と反対の区分方向(R2)に回転することを阻止するようにようになっている。その結果、一旦廃棄の前に医薬廃棄物を容器空間58内に密封することが望まれたなら、カバー82は、連結特徴部84によって、レシーバ本体56に不可逆的に連結される。認証されているユーザーによって廃棄物レシーバ52がそのように密封されると、医薬廃棄物は、その後の廃棄物レシーバ52に対する流通過程の管理者によっても回収不能となる。
【0011】
いくつかの実施形態では、廃棄物レシーバ52は、他のカバーまたはキャップ83を備えている。
図1は、ネック74に連結されたキャップ83を示している。カバー83は、廃棄物レシーバ52の組立時にレシーバ本体56に連結されるとよい。少なくともいくつかの態様では、キャップ83は、キャップ83が一旦廃棄物レシーバ52がその使用場所に設置される準備がなされたなら離脱されるように構成されていることを除けば、前述のカバー82と同じである。例えば、キャップ83は、前述の相補的なネジ山を備えているが、ネック74に配置された歯に係合する相補的な歯を備えていない。後で詳細に説明するように、廃棄物レシーバ52は、組立時並びに発送および使用場所における廃棄物レシーバ52の設置前に容器空間58内に化学組成物(例えば、流体吸収体および/または反応剤)を含むことがある。キャップ83は、発送中および設置前の廃棄物レシーバの取扱中に容器空間58からのこのような内容物の不注意による流出を防ぐことになる。
図1に示されるような廃棄物レシーバ52、カバー82、およびキャップ83を含む使い捨てキットが提供されるとよいことを理解されたい。一旦廃棄物レシーバ52が使用場所に設置されたなら、キャップ83は、レシーバ本体56から取り外され、処分される。開口72は、廃棄物レシーバ52の運用寿命中医薬廃棄物を受け入れるために周囲環境に連通している。一旦廃棄部レシーバ52の廃棄の準備がなされたなら、カバー82が、前述したようにレシーバ本体56の容器空間58内の医薬廃棄物を密封する。
【0012】
本実施形態の廃棄物レシーバ52は、有利には、実質的に一体構造の単一レシーバ本体56内において固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物の両方の処理に適応するようになっている。医薬廃棄物を適切に回収不能および復元不能にするために、固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物の各々は、その相に特効のある処理を受けるべきである。液相医薬廃棄物は、流体吸収体193および/または化学組成物190、例えば、超吸収性ポリマー(SAP)および反応剤194によって処理される(
図6参照)。固相医薬廃棄物は、固相医薬廃棄物を溶解するための液体によって処理される。例えば、固相廃棄物空間86を使用前に準備するために、水が固体受入ガイド100に加えれるとよい。周知のシステムは、不都合なことに前述の処理方法の各々を行うために、2つ以上の容器を必要とする。これらの容器の各々における高性能といえないシステムは、液相および固相医薬廃棄物を単純に混合するが、この場合、最適に処理されないので、回収、復元、および転用の可能性が増大する。
【0013】
図5A,6を参照すると、容器空間58は、固体廃棄物空間86および固体廃棄物空間86から実質的に分離された液体廃棄物空間88によってさらに画定されているとよい。固体および液体廃棄物空間86,88の各々は、レシーバ本体56の開口72と連通している。その結果、ユーザーは、固相および液相医薬廃棄物の一方または両方を単一開口72を通してレシーバ本体56内に廃棄することができる。医薬廃棄物の各相は、それぞれの廃棄物空間86,88に迂回され、適切な処理を受けることになる。単一開口72が図示の実施形態に示されているが、2つ以上の開口が設けられてもよい。例えば、レシーバ本体56のネック74が1つまたは複数のバリアによって2つ、3つ、または4つ以上の開口に分割され、開口の各々が固相および液相廃棄物空間86,88の一方または両方と連通するようになっていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、固相および液相廃棄物の一方または両方の開口72を通るそれらの廃棄物空間86,88への分流または移動は、前述の廃棄物レシーバ52の分流器90によって促進される。
図5A,6をさらに参照すると、分流器90は、レシーバ本体56に連結されている。具体的には、図示される分流器90は、レシーバ本体56の開口72に隣接して位置するリム94を有する本体部分92を備えている。リム94の近くにおいて、分流器90は、本体部分92から周方向に離間したリップ96を有し、これによって、それらの間に間隙98が画定されている。間隙98は、分流器90をレシーバ本体56に効果的に連結させるために、レシーバ本体56のリップ76を受け入れるように寸法決めされている。代替的に、分流器90のリップ96は、間隙98を設けることなくレシーバ本体56のリップ76の上に配置されてもよく、または代替的に、分流器90は、リップ96を備えていなくてもよい。接合手段、例えば、スピン溶接部、接着剤、固定具、等が分流器90をレシーバ本体56に永久的に固定してもよい。一変更例では、分流器90のいくつかの部分が、適切な製造プロセス、例えば、射出成形、ブロー成形、等によって受け入器本体56と一体的に形成されてもよい。レシーバ本体56および/または分流器90は、単位重量および単位コストのような更なる製造上の課題を考慮しながら、破断、亀裂、化学劣化等を阻止するように構成された材料から形成されていることに留意されたい。レシーバ本体56および/または分流器90を形成するための適切な材料として、耐久性ポリマー、複合物、ファイバーガラス、ガラス、セラミック、金属、複合物、またはこれらの組合せが挙げられる。さらに、前述の廃棄物レシーバ52の連結特徴部84は、分流器90上に配置されてもよい。特に、
図6は、リム94とリップ96との間の本体部分92と関連付けられたネジ山を示している。その結果、容器空間58内の医薬廃棄物を密封するために、カバー82(またはキャップ83)が、分流器90に連結されるとよい。
【0015】
図5A,6に示されるように分流器90がレシーバ本体56に固定されると、分流器90の本体部分92は、レシーバ本体56の開口72内に少なくとも部分的に配置される。
図8をさらに参照すると、分流器90は、固体受入ガイド100を備えているとよい。固体受入ガイド100は、本体部分92に連結され、レシーバ本体56内に少なくとも部分的に配置されている。固体受入ガイド100は、固相医薬廃棄物を固体廃棄物空間86に導くように適合されている。前述したように、固体廃棄物空間86は、レシーバ本体56の容器空間58の一部を構成している。分流器90は、液体受入ガイド102をさらに備えているとよい。液体受入ガイド102も、本体部分92に連結され、レシーバ本体56内に少なくとも部分的に配置されている。液体受入ガイド102は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に導くように適合されている。液体廃棄物空間88は、レシーバ本体56の容器空間58の他の部分を構成し、固体廃棄物空間86から実質的に分離されている。分流器90の固体および液体受入ガイド100,102は、各々、開口72に連通しており、固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物は、それぞれ、固体受入ガイド100および液体受入ガイド102内に廃棄されるとよい。同様に、カバー82またはキャップ83が前述したように分流器90に連結されると、これらのカバー82またはキャップ83は、固体および液体受入ガイド100,102の両方を覆い、これによって、固体および液体廃棄物の漏出を防ぐことになる。
【0016】
固体廃棄物空間86および液体廃棄物空間88は、どのような多くのの手段によって分離されてもよい。
図6は、容器空間58内に配置された隔壁104を示している。隔壁104の片側は、固体廃棄物空間86を少なくとも部分的に画定し、隔壁の他の側は、液体廃棄物空間88を少なくとも部分的に画定している。図示の実施形態の隔壁104は、いくつかの壁、例えば、固体廃棄物空間86と見なされる開端空洞を協働して画定する少なくとも1つの側壁106および下壁108をさらに備えている。側壁106の1つは、
図8に示されるように、レシーバ本体56の内面59に対して輪郭付けられ、その結果、円弧形状をもたらしている。側壁106の他の1つは、円弧状の側壁106の端間に延在する弦をなし、その結果、平面視でD形状の固体廃棄物空間86をもたらすことになる。隔壁104は、固体廃棄物空間86と液体廃棄物空間88との間の容器空間58を最大にするために、例示的実施形態に示される形状以外の多数の形状を取ることも想定されている。さらに、分流器90がレシーバ本体56と一体に形成される前述の変更例では、隔壁104は、適切な製造プロセスによってレシーバ本体56と共成形された構造物の1つであってもよい。
【0017】
図5A,6をさらに参照すると、固体廃棄物空間86は、液体廃棄物空間88よりも比較的小さくてよい。いくつかの使用場所において、医薬廃棄物の90%以上が液相であることを理解されたい。この理由から、液体廃棄物空間88は、レシーバ本体56の容器空間58の60%,70%,80%,または90%以上を占めているとよい。例えば、液体廃棄物空間88は、略0.5L,1.0L,または1.5L以上の収容能力を有しているとよく、固体廃棄物空間86は、略0.2L,0.4L,または0.6L以上の収容能力を有しているとよい。例示的な実施形態の固体廃棄物空間86と液体廃棄物空間88との間の相対的な部分は、単なる例示にすぎず、固体廃棄物空間86と液体廃棄物空間88の相対的な容積は、用途に基づき異なっていてもよいことを理解されたい。さらに、廃棄物レシーバ52の大きさおよび/または収容能力は、廃棄物処理システム50の目的および/または使用場所と釣り合っているとよいことを認識されたい。
【0018】
液体受入ガイド102は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に導くためのどのような適切な構造であってもよい。
図5A,8を参照すると、液体受入ガイド102は、液体受入ガイド102の最上部の形状を画定する入口110を備えている。漏斗状装置112が入口110を画定するように設けられていてもよいし、または漏斗状装置112が入口110を画定する中間構造体に連結されていてもよい。漏斗状装置112は、液相医薬廃棄物が液体廃棄物空間88内に通るための少なくとも1つのオリフィス114を備えている。図示の実施形態のオリフィス114は、漏斗状装置112の周りに円弧状に互いに離間された複数の長孔から構成されている。液体受入ガイド102のオリフィス114は、工具が液体廃棄物空間88に入るのを阻止することによって液相廃棄物空間88内からの液相薬物廃棄物空間88の回収を抑制または阻止するのみならず、液体廃棄物空間88への固相医薬廃棄物の進入を妨げるように、寸法決めされている。しかし、他のオリフィス設計も考えられる。
【0019】
固体受入ガイド100は、前述したように、さらに具体的には、固相医薬廃棄物を容易に回収不能および/または復元不能とするように、固相医薬廃棄物を固体廃棄物空間86に導くようになっている。固体受入ガイド100は、入口118、押圧部材120、掴み部材122、漏斗部材124、および切断要素126の1つまたは複数を備えているとよい。これらの構成要素の各々について、以下、さらに詳細に説明する。
【0020】
図4、6を参照すると、分流器90の本体部分92は、リム94に連結された上壁128を備えているとよい。上壁128は、D字状に形作られ、液体受入ガイド102の入口110を少なくとも部分的に画定する対応するD字状空洞と相補的である。固体受入ガイド100の上壁128および液体受入ガイド102の入口110の相補的形状によって、固体および液体医薬廃棄物の各々は、単純な形状のカバー82を受け入れるために円状に好都合に形作られた開口72を通して廃棄されることになる。上壁128の内側側面は、隔壁104を構成する側壁106の1つと略真っすぐに並ぶように配置されている。その結果、側壁106、底壁108、および上壁128は、後述の入口118およびオリフィス202を除いて固体廃棄物空間86を包囲することになる。換言すれば、液体廃棄物空間は、オリフィス202を除いて固体廃棄物空間から分離されている。
【0021】
例示された実施形態における固体受入ガイド100の入口118は、矩形状であるとよく、固相医薬品、とりわけ、パッチおよび丸薬を受け入れるよぅに寸法決めされているとよい。
図6,8に最もよく示されるように、上壁128は、任意選択的に、入口118を部分的に画定する少なくとも1つの傾斜面130を備えているとよい。傾斜面130は、固相医薬品を(さらに後述する)漏斗部材124に向かって案内するように機能する。さらに、傾斜面130によって入口118から漏斗部材124に向かって付されたテーパは、工具が固体受入ガイド100に入るのを妨げることによって、固体廃棄物空間86内からの固相医薬廃棄物の回収を阻止することになる。
【0022】
図9,10を同時に参照すると、押圧部材120は、前記固体受入ガイド100に対して移動可能に配置されている。押圧部材120は、固相医薬廃棄物を固体受入ガイド100を通して移動させるためのユーザーからの入力を受けるように適合されている。押圧部材120は、グリップまたはハンドル134を画定する本体132を備えている。ハンドル134は、押圧部材120を固体受入ガイド100に対して移動させるためのユーザーからの入力を受けるように適合された制御面130を備えている。ハンドル134は、押圧部材120が後述の第2の位置にある時(
図5A,6参照)、分流器90の本体部分92の上壁128の上方に延出するとよい。制御面136は、押圧部材120に入力を与えるために、ユーザーによって扱われるように、例えば、挟まれるように配置されているとよい。本体132は、上壁128の傾斜面130と相補的な少なくとも1つの傾斜面140を備えているとよい。相補的な傾斜面130,140は、押圧部材120が第2の位置にある時、互いに当接するように配置されている。換言すれば、上壁128の傾斜面130が本体132の傾斜面140に直接接触し、これによって、押圧部材120が固体受入ガイド100内に向かってさらに下方に前進するのを防ぐことになる。相補的な傾斜面130,140が互いに接触し、押圧部材120が第2の位置にある時、ハンドル134の一部は、美学上観点から上壁128と同一平面をなし、固体受入ガイド100へのアクセスを選択的に阻止する。
【0023】
本体132は、概して、
図6,8に最もよく示されるように、固体受入ガイ100の上壁128および互いに向き合うバリア138によって画定される入口118および通路137と略近似するように寸法決めされているとよい。図示の実施形態では、本体132は、平面視で実質的に矩形状である。具体的には、本体132は、第1の対の互いに向き合う側面142、第2の対の互いに向き合う側面143、本体132とハンドル134との間の境界を略画定する上面144、および上面144と対向する下面146を備えているとよい。勿論、本体132は、他の適切な形状を有していてもよい。後でさらに詳細に説明するが、下面146またはその上の構成部品は、固相医薬廃棄物を固体受入ガイド100を通して移動させるために固相医薬廃棄物に直接接触する構造物である。
【0024】
図7~10に最もよく示されるように、押圧部材120は、本体132から延在する脚150を備えているとよく、2つの脚が図示の実施形態に示されている。脚150は、概してハンドル134と反対の方向に本体132の下面146から延在しているとよい。脚150の各々は、本体132の側面142の1つの一部と側面142の該一部と向き合う脚内面152とによって、少なくとも部分的に画定されているとよい。押圧部材120は、本体132に沿って延在して側面143を少なくとも部分的に画定する追従特徴部154をさらに備えているとよい。追従特徴部154の各々は、本体部分92の上壁128の通路137内において相補的なレール特徴部156に係合する。
図4、7は、レール特徴部156を最もよく示している。レール特徴部156は、入口118と向き合って配置され、入口118内に開いている。追従特徴部154は、本体132から延在し、レール特徴部156内に密に摺動可能に受け入れられ、これによって、押圧部材120の滑らかな移動を容易にする。押圧部材120は、脚142から延在する脚158をさらに備えていてもよく、2つの脚が図示の実施形態に示されている。足158は、固体受入ガイド100からの押圧部材120の完全な離脱を阻止するものである。押圧部材120が第2の位置に最大限移動した時、足158は、固体受入ガイド100の相補的な構造と干渉し、更なる後退を防ぐことになる。押圧部材120の前述の構造は、耐久性のあるプラスチックまたは他の適切な材料から形成された一体的な構成であってもよい。
【0025】
前述したように、押圧部材120は、
図5A,6に示される第2の位置に移動可能であり、
図7~9に示される第1の位置にさらに移動可能である。第1の位置において、本体132は、本体132と、脚142と、固体受入ガイド100との間に少なくとも部分的に画定された窓160をもたらすために、固体受入ガイド100から離間している。特に、
図7~9を特に参照すると、第1の位置への押圧部材120の移動によって、固体受入ガイド100の入口118が露出し、固相医薬廃棄物を受け入れるための窓160がもたらされる。押圧部材120を第1の位置に移動させるために、ハンドル134の制御面136に入力が加えられる。この入力は、分流器90に対して略上向きの第1の方向(D1)における直線力である。押圧部材120の本体132は、通路137内において固体受入ガイド100の入口118を通って摺動可能に移動する。この移動は、少なくとも本体132の下面146が固体受入ガイド100を出て、分流器90の本体部分92の上壁128の上方に位置するまで、継続される。下面146と入口118との間の空洞は、窓160の上下側を画定すると考えられる。押圧部材10の脚142が、窓160を横方向に画定することになる。脚142の少なくとも一部は、押圧部材120が第1の位置にある時、固体廃棄物空間86内に残っているとよい。窓160が固体受入ガイド110の入口118に露出しているので、ユーザーは、固体廃棄物を入口118またはその近傍に廃棄することができる。他の構成では、脚は、任意選択的であり、押圧部材が容器から取外し可能であってもよい。
【0026】
押圧部材120は、固体受入ガイド100を通る固相医薬廃棄物の移動を促進するために、第1の位置から第2の位置に移動される。押圧部材120を第1の位置から第2の位置に移動させるために、ハンドル134の制御面136に他の入力が加えらえる。この入力は、第1の方向と反対の第2の方向(D2)における直線力である。第2の方向は、略下方の方向、すなわち、分流器90に向かう方向である。相補的な追従特徴部154がレール特徴部156に対して密に摺動可能に移動し、押圧部材120の滑らかな移動を容易にする。他の追従特徴部、例えば、回動部材または軸受も考えられる。
【0027】
押圧部材120の本体132は、固体医薬廃棄物がすでに廃棄されている入口118に向かって摺動可能に移動される。固体医薬廃棄物は、固体受入ガイド100の入口119を通る本体132の下面146と干渉する。下面146は、固体医薬廃棄物を入口118を通して通路137内に押し込む。上壁128の傾斜面130が下面146と協働し、これによって、固相医薬廃棄物が第2の方向に移動する押圧部材120の下面146と接触する時に入口118の境界から不注意によって漏れないことが確実になる。この運動は、少なくとも押圧部材120の傾斜面140が分流器90の傾斜面130と直接接触してこの時点において窓160がもはや存在しなくなるまで継続され、次いで、押圧部材120が第1の位置に戻ることになる。押圧部材120が第2の位置から第1の位置に移動すると、押圧部材120の下面146は、固体廃棄物空間86内のバリア138の下方に位置する通路137を通って移動する。その結果、固相医薬廃棄物も同様に、(後述の)流体を含む固体廃棄物空間86内に導かれる。この流体は、固相医薬廃棄物に関連付けられた活性薬剤を少なくとも部分的に溶解しており、残留液体は、押圧部材120の端に位置することになる。
【0028】
前述したように、特に関心のある固相医薬廃棄物は、パッチおよび丸薬であり、本実施形態の廃棄物レシーバ52は、有利には、パッチおよび丸薬を回収不能および復元不能とする処理を促進する特徴部を備えている。特に、使用済みパッチは、未使用の薬剤を含み、未使用の丸薬は、明らかに未使用の薬剤、例えば、麻薬を含むことが知られている。薬剤の横流しを行う者は、パッチおよび丸薬を回収し、該パッチおよび丸薬から麻薬を復元しようと試みる可能性がある。パッチに付着した未使用の薬剤および/または未使用の丸薬を溶解する流体を含む周知のシステムは、いくつかの観点において不完全である。これらの観点の少なくとも1つは、このような流体がパッチおよび丸薬内に適切に浸透し、未使用の薬剤を溶解させるのに必要な時間である。
【0029】
図5A,6,8を参照すると、廃棄物レシーバ52は、固体受入ガイド100に連結された切断要素126、例えば、ブレードを備えているとよい。切断要素126は、固体廃棄物空間86内に配置され、固相医薬廃棄物を切断するように位置決めされている。特に、切断要素126は、固体受入ガイド100内へのパッチまたは丸薬の挿入時にパッチまたは丸薬に少なくとも切込みを入れるように適合されている。本発明に用いられる「切込みを入れる(scoring)」という用語は、パッチまたは丸薬を切断要素126の切刃127と係合させることを意味している。パッチまたは丸薬の切込みによって、パッチまたは丸薬のより大きい表面が露出し、これによって、後述するように固相医薬廃棄物のより完全な処理が達成されることになる。場合によっては、パッチまたは丸薬の切込みは、薬物廃棄物の急速な非活性化を防ぐバリアを損壊させる。丸薬の場合、このバリアは、皮膜またはカプセルである。パッチの場合、このバリアは、パッチの層である。切断要素126は、どのような適切な形態のもの、例えば、ブレード、回転切断装置、切断ホイール、等であってもよい。ブレード、例えば、カミソリ刃の使用によって、処理アセンブリに適切な費用効果のある選択肢が得られる。切断要素126は、廃棄物レシーバ52に対して静止してまたは線状に移動可能となるように取り付けられてもよく、および/または簡単化およびコスト節減を意図し、どのような電動構成部品を有していなくてもよい。切断要素126は、単一の切刃から成っていてもよい。
【0030】
固体受入ガイド100の入口118は、パッチおよび丸薬が回収され得る程度を制限するために、好ましくは、過大な隙間を設けることなくパッチおよび丸薬の挿入を可能にするように寸法決めされている。切断要素126は、適切な距離だけ固体受入ガイド100の入口118から下方に離間されている。従って、万一押圧部材120を用いることなくパッチを固体受入ガイド100に沿って下方に押し込むような試みがあったとしても、人が切断要素126によって傷つくことがない。切断要素126は、リベット打ち、締りばめ、接着、または他の接合手段によって、固体受入ガイド100に連結されているとよい。
図6,8に最もよく示されるように、切断要素126は、固体廃棄物空間86内に配置されて通路137を画定するバリア138に連結されている。具体的には、これらのバリア138は、互いに向き合う部分から構成され、これらの対向部分は、ピンによって、これらの対向部分間に挟まれた切断要素126に連結されている。一構成では、切断要素126は、切断要素126の切刃127が固体受入ガイド100の入口118の方を向くように配向され、これによって、固体受入ガイド100を通って移動する固相医薬廃棄物は、切断要素126を通過する前にまず切刃127に接触することになる。
【0031】
前述したように、押圧部材120が固相医薬廃棄物を固体受入ガイド100を通して移動させ、切断要素126が固体受入ガイド100を通って移動する固相医薬廃棄物を少なくとも切り込むようになっている。本実施形態の廃棄物レシーバ52は、固体受入ガイド100を通って移動する固相医薬廃棄物が切断要素126の切刃127に適切に接触する可能性を高める特徴をさらに備えている。
図9,11を参照すると、押圧部材120の本体132は、第1の部分162および第2の部分164を備えている。第1および第2の部分162,164は、それらの間に長孔166を画定するように、互いに離間している。長孔166は、本体132の下面146から上方に延在している。従って、押圧部材120が第1の位置にある時、長孔166は、窓160に通じている。長孔166は、押圧部材120が第1の位置から第2の位置に移動する時に切断要素126を受け入れるように寸法決めされている。換言すれば、切断要素126が長孔166内に受け入れられると、切断要素126は、下面146の上方において本体132の第1および第2の部分162,164間に位置することになる。種々の利点の内、とりわけ、切断要素126が長孔166内に嵌入されているので、(すなわち、切断要素126によって妨げられることなく)、押圧部材120を固体受入ガイド100内のより深い位置まで挿入されることが可能になる。
【0032】
固体レシーバ100の入口118は、細長であるとよく(例えば、殆どのパッチの断面の寸法に対応する矩形であるとよく)、切断要素126は、入口118と実質的に直交して配向されているとよい。例えば、平面視で切断要素126の本体は、垂直方向に配向された固体受入ガイド100の入口118と水平に配向されているとよい。切断要素126は、入口118の互いに向き合う端間の略中央に配置され、長孔166は、互いに向き合う側壁143から等距離に離間され、切断要素126の切刃127と真っすぐに並んでいるとよい。パッチを固体受入ガイド100を通して移動させるために押圧部材120が第1の位置から第2の位置に移動した時、切断要素126の切刃127は、パッチに接触し、このパッチは、切断要素126の切刃127と長孔166の最下部との間に挟まれ(「pinched」)、これによって、パッチが適切に切り込まれる可能性が高められる。さらに、切断要素126は、図示されるように単一であってもよいし、または2つ、3つ、または4つのブレードが互いに平行に、傾斜して、または直交して設けられてもよい。
【0033】
パッチに固有の柔軟性によって、第1の位置にある押圧部材120によって窓160内に配置されたパッチは、歪められるかまたは押圧部材120が第1の位置から第2の位置に移動する時に窓160から少なくとも部分的に押し出される可能性がある。第1の位置にある押圧部材120によって窓160内に位置するパッチが変形され、少なくとも部分的に窓160内に放出される可能性がある。例えば、もし正方形のパッチが分流器90の上壁128上に置かれ、本体132の下面146によって2つ折りにされたなら、押圧部材20が第2の位置に向かって移動する時、このパッチは、本体132の片側に片寄って、適切に固体受入ガイド100を通って移動しない可能性がある。前述の望ましくない結果を避けるために、押圧部材120は、パッチに係合するように適合された掴み部材122を備えているとよい。
図6,9に最もよく示されるように、掴み部材122は、本体132、さらに具体的には、本体132の下面146に連結されている。図示の実施形態では、掴み部材122は、典型的には織布または透過性層から構成されたパッチに突き刺すように係合するように構成された尖がったスパイクである。2つ以上の掴み部材122、例えば、
図9に示される4つのスパイクが設けられているとよい。2つのスパイクが本体132の第1の部分162に連結され、他の2つのスパイクが本体132の第2の部分に連結されている。その結果、押圧部材120が第1の位置から第2の位置に移動する時、パッチが下面146に係合する前に、これらの掴み部材122がパッチと係合する。押圧部材120に対するパッチの横方向移動が排除されるかまたは制限されることによって、押圧部材120が固体受入ガイド100の入口118を通って移動し続け、長孔166内に切断要素126を受け入れる間、パッチは、本体132に対して最初に配置された状態で維持されることになる。換言すれば、掴み部材122、切断要素127、および長孔166は、協働して、パッチが固体受入ガイド100を通して固体廃棄物空間86内に移動する時に該パッチが少なくとも部分的に切り込まれることを確実なものとする。
【0034】
パッチは、典型的には、固体受入ガイド100を通って移動する時に切断要素126によって比較的容易に切り込まれる寸法および形状を有しているが、その一方、丸薬の切込みにはそれらの寸法および形状に基づく付加的な課題が付随することは、容易に理解されるだろう。この課題は、切断要素126が図示の実施形態におけるように単一の切刃を有するブレードの場合、特に著しい。廃棄物レシーバ52は、前述の漏斗部材124によって、少なくとも前述の課題を解消する。
図6,8を参照すると、漏斗部材124は、固体廃棄物空間86内において、入口118と切断要素126との間に配置されるとよい。具体的には、図示の実施形態は、分流器90の上壁128の内面に連結された漏斗部材124を示している。
【0035】
図11,12は、それぞれ、漏斗部材124の斜視図および平面図である。漏斗部材124は、少なくとも1つのフレーム部分168およびフレーム部材168に連結された複数の区域171,172,173,174(第1の区域171,第2の区域172,第3の区域173,第4の区域174とも呼ぶ)を備えているとよい。図示の実施形態のフレーム要素168は、フレーム要素168の1つの面上に配置されたポスト178を有する2つの細長プレートと、フレーム要素168の互いに向き合う面上に配置された区域171~174とを備えている。ポスト178は、漏斗部材124を上壁128に連結するために、壁128の内面の相補的な空洞内に受け入れられている。
図11,12は、フレーム要素168の各々に連結された区域171~174の2つをさらに示している。フレーム要素168の他の構成も考えられる。代替的に、複数の区域は、固体廃棄物ガイドに直接連結されてもよい。
【0036】
区域171~174は、第1の間隙181および第2の間隙182を画定するように配置されている。具体的には、第1および第2の区域171,172は、第1の間隙181または少なくともその一部を画定するために互いに離間され、第3および第4の区域173,174は、第1の間隙181または少なくともその一部をさらに画定するために互いに離間され、第1および第3の区域171,173は、第2の間隙182または少なくともその一部を画定するために互いに離間され、第2および第4の区画172,174は、第2の間隙182または少なくともその一部を画定するために互いに離間されている。
図14は、第1および第2の間隙181,182の各々を中心として対称的な漏斗部材124、および互いに直交する第1および第2の間隙181,182を示している。第1および第2の間隙181,182は、少なくともいくつかの丸薬よりも少なくともいくらか小さくなるように寸法決めされているとよく、これによって、固体受入ガイド100の入口118を通して廃棄された丸薬は、区域171~174の少なくとも2つの上に支持される。丸薬は、前述したように押圧部材120によって第1および第2の間隙181,182内に押し込まれるまで、漏斗部材124上に位置することになる。
【0037】
図8に最もよく示されるように、第1の間隙181は、切断要素126、さらに具体的には、切断要素126の切刃の上方に位置している。換言すれば、もし切断要素126が図示の実施形態のブレードであるなら、第1の間隙181および切断要素126は、互いに真っすぐに並び、切断要素126は、上壁128に対して漏斗部材124の下方に位置すると考えられる。換言すれば、切断要素126の切刃127は、第1の間隙181内に中心を置いている。さらに、第1の間隙181は、垂直方向において押圧部材120の長孔166と真っすぐに並んでいる。区域171~174の各々は、漏斗部材124の空洞または漏斗形状部を画定するために互いに向かって配向された傾斜面184を備えているとよい。
図13の斜視図に最もよく示されるように、傾斜面184は、第1の間隙181に向かって配向され、好ましくは、第2の間隙182に向かってさらに配向されている。その結果、押圧部材120が第1の位置にある時に丸薬が固体受入ガイド100の入口118を通って廃棄されると、この丸薬は、重力の影響によって漏斗部材124と接触して下降することになる。
図12に最もよく示されるように、傾斜面184は、丸薬を第1の間隙181の上方、好ましくは、第2の間隙182の上方に支持されるように案内する。換言すれば、丸薬が第1および第2の間隙181,182の上方に支持される時、区域171~174の各々が丸薬の一部を支持することになる。押圧部材120が第1の位置から第2の位置に移動すると、本体132の下面146が丸薬を漏斗部材124内に押し込み、切断要素126の切刃127と係合させる。切断要素126が第1の間隙181の下方において第1の間隙181の十分近くに位置するので、丸薬が切断要素126の切刃127と係合しない可能性は、最小限に抑えられる。切断要素126の切刃126は、少なくとも部分的に丸薬を切込み、切込まれた丸薬は、重力の影響によって(または押圧部材120の更なる移動によって)固体廃棄物空間86内にさらに下降する。丸薬が適切に切込まれ、おそらく、薄切りされると、固体廃棄物空間86内の流体が、丸薬の活性薬剤(すなわち、皮膜下の活性薬剤、カプセル内の活性薬剤、等)にさらに一層接触することになる。
【0038】
前述したように、第1および第2の間隙181,182は、少なくともいくつかの丸薬よりも少なくともいくらか小さくなるように寸法決めされ、押圧部材120が丸薬を漏斗部材124を通して移動させ、切断要素126と係合させるようになっているとよい。このユニークな機能を促進するために、区域171~174の各々は、最小力以上が加えられた時に変形するのに適する柔軟且つ弾性材料から形成されているとよい。その結果、押圧部材120が丸薬を第1および第2の間隙181,182を通して移動させる時、区域171~174が変形し、丸薬が第1および第2の間隙181,182を通過するのに適する隙間を生じることになる。図示の実施形態では、第2の間隙182も、押圧部材120の本体132よりも少なくともいくらか小さくなるように寸法決めされている。その結果、押圧部材120が漏斗部材124の第2の間隙182を通って移動する時、区域171~174は、本体132が第1および第2の間隙181,182を通過するのに適する隙間をもたらすように、本体132から離れる方に変形する。一例では、第1および第3の区域171,173は、互いに離れる方に変形し、第2および第4の区域172,174も、互いに離れる方に変形する。このような例では、第1の間隙181の大きさ(例えば、第1および第2の区域間および第3および第4の区域間の間隙)は、変化せずにとどまっているとよい。変形の正確な動きは、区域171~174がいかにフレーム要素168に連結されているかに少なくとも部分的に基づいている。4つの区域を備える漏斗部材124は、単なる例示にすぎず、変形例では、漏斗部材124は、2つ、3つ、5つ、6つ、または7つ以上の区域を備えてもよいことを理解されたい。例えば、一変更例では、漏斗部材124は、周方向に配置された(各々が三角形状を有する)6つの区域を備え、これらの区域の各々が円状の開口をもたらすように変形するように構成されていてもよい。
【0039】
図示の実施形態の更なる変更例では、漏斗部材124は、2つ、3つ、または4つ以上の区域を備え、これらの区域は、柔軟且つ弾性材料から形成されていなくてもよい。むしろ、これらの区域は、剛性であり、固相医薬廃棄物および/または押圧部材120を第1および第2の間隙181,182を通して移動させる力を受けた時にそれに対応して移動するように、レシーバ本体56および/または漏斗部材124、例えば、フレーム要素168の適切な構造に移動可能に連結されていてもよい。一例では、剛性材料から形成された第1および第2の区域171,172は、フレーム要素168の1つに枢動可能に連結され、剛性材料から形成された第3および第4の区域173,174は、フレーム要素168の他の1つに枢動可能に連結されていてもよい。区域171~174の各々は、固相医薬廃棄物および/または押圧部材120が第2の間隙182を通して移動することを可能にする適切な方法によって枢動するようになっていてもよい。付勢要素(例えば、捻じれバネ)が、ある固相医薬廃棄物、例えば、丸薬を支持するのに適する力によって、区域171~174を付勢するようになっていてもよい。
【0040】
押圧部材120が第2の位置にある時、区域171~174が変形された状態にあることは、容易に理解されるだろう。本体132の下面146が第2の間隙182を通過する時および押圧部材120が第1の位置に向かって移動する時、区域171~174は、元の状態に弾性的に戻る。さらに、
図6に最もよく示されるように、第2の位置において、本体132の一部は、固体廃棄物空間86内に比較的深く(deep)」位置し、固体廃棄物空間86内に含まれた薬剤注入流体(すなわち、この後、廃棄物レシーバ52の運用寿命中に活性薬剤を溶解する流体)に接触する可能性がある。その結果、押圧部材120を第2の位置から第1の位置に移動すると、薬剤注入流体に接触した本体132の部分が外側環境に露出する可能性がある。前述の課題は、区域171~174の各々に付随して設けられたワイパー面186を備える漏斗部材124によって改善される。
図11,12をさらに参照すると、ワイパー面186は、本体132が区域171~174を変形させた時に押圧部材120の互いに向き合う側面142と直接接触する面である。区域171~174が押圧部材120の互いに向き合う側壁142に対して弾性的に付勢されるので、ワイパー面186は、押圧部材120の互いに向き合う側面142上に存在する任意の薬剤注入流体を取り除く「ワイパー機能(wiper function)」をもたらし、これによって、固体レシーバ空間86内に廃棄された固相医薬廃棄物をさらに回収不能なものとする。
【0041】
本開示を通してこれまで説明したように、液相医薬廃棄物は、更なる処理のために液体受入ガイド102を通って液体廃棄物空間88内に導かれ、固相医薬廃棄物は、更なる処理のために固体受入ガイド100を通って固体廃棄物空間86内に導かれる。以下、液相および固相医薬廃棄物の各々に対する種々の処理態様について説明する。
【0042】
いくつかの実施形態では、廃棄物処理システム50は、医薬廃棄物の復元可能性を制限するために廃棄物レシーバ52内に配置された化学組成物190を備えている。化学組成物190は、大量の流体を吸収且つ保持するのに適する流体吸収体193および反応剤194の少なくとも1つを備えているとよい。流体吸収体193は、廃棄物レシーバ52に廃棄された液相医薬廃棄物を吸収する前述の超吸収性ポリマー(SAP)であるとよく、これによって、液相医薬廃棄物は、液体廃棄物空間88から容易に復元されずおよび/または回収されないことになる。
【0043】
非制限的例では、SAPは、ポリアクリル酸塩基ポリマー;ビニルコールーアクリル酸塩基ポリマー;PVA基ポリマー;イソブチレン-無水マレイン酸ポリマー;カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類基ポリマー;ポリビニルアルコールおよびポリビニルエーテルのような非イオン系ポリマー;ポリビニルピリジン、ポリビニルモルホリン、およびN,N-ジメチルアミノエチルまたはN,N-ジエチルアミノプロピルアクリレートおよびメタクリレートのようなカチオン系ポリマー;加水分解されたデンプン-アクリロニトリルグラフトコポリマー;(部分的に中和された)加水分解されたデンプン-アクリロニトリルグラフトコポリマー;加水分解されたアクリロニトリルまたはアクリルアミドコポリマー;ポリアクリル酸のようなカルボキシ基ポリマー;およびこれらの組合せであるとよい。
【0044】
反応剤194は、医薬廃棄物の復元性を制限するのに適するどのような薬剤であってもよい。反応剤194の例として、苦味剤、嘔吐剤、変性剤、イオン化剤、酸化剤、触媒剤、抗真菌剤、粘性調整剤、活性炭、およびそられの組合せが挙げられる。反応剤194は、廃棄物レシーバ52内に廃棄された医薬廃棄物を化学的および/または物理的に改質させ、崩壊し、非活性化し、変性させ、またはそれ以外の形態で変化させ、これによって、医薬廃棄物が液体廃棄物空間88から容易に回収されずおよび/または復元されないものにする。本開示に関して、「変性させる(denature)」という用語は、廃薬の使用または再生を阻止すること、または薬品を用いての使用を抑止すること、および/または復元手順に干渉し、復元手順を費用および時間が掛かる複雑なものとし、これによって、人が消費または使用し得る復元を禁じ、実行困難なものとし、または著しく非効率なものとすること、および/または廃棄薬を生物学的に不活性にすることを意味している。復元不能(「unrecoverable」)という用語は、医薬廃棄物が化学的または物理的に改質および/または不活性化され、これによって、医薬廃棄物がもはやその元の機能をもたらし元の目的を果たすように用いることができず、および/または医薬廃棄物を人の消費に適さないものとすることを意味している。
【0045】
苦味剤は、医薬廃棄物の味をまずいものとするのに適切などのような種類の苦味剤、例えば、デナトニウムベンゾエートであってもよい。嘔吐剤は、摂取時に嘔吐を引き起こすのに適するどのような種類の嘔吐剤、例えば、トコン、からし粉末、およびこれらの組合せであってもよい。変性剤の例として、例えば、キニーネ硫酸塩二水和物;ルシネ(またはブルシン硫酸塩);ニコチン;シンコニジン(またはシンコニジン硫酸塩);2-ヒドロキシメチルエーテル;2-(ヒドロキシメチル)アミノエタノール;水酸化アンモニウム;水酸化ナトリウム;安息香酸デナトリウム;クアシン;ナリンギシ;塩化ナトリウム;炭酸ナトリウム;硫酸鉄;エディファスB;ナトリウムカルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルエーテル;二酸化塩素;塩素;臭素;炭酸水素ナトリウム;(脱イオン化)ホルムアミド;チオシアン酸グアニジン;イソチオシアン酸グアニジン;硫酸ドデシルナトリウム(SDS);ホルムアミド;塩酸グアニジン;イソチオシアン酸グアニジン溶液;尿素;チオ尿素;塩化グアニジウム;ジヒドロ葉酸レダクターゼ;硫酸カルシウ二水和物;Cole-Parmer社製キニーネ;Cole-Parmer社製2-ケトグルタル酸;Cole-Parmer社製テトラメチルスズ;2-ケトグルタル酸;硫酸セリウム;ケルセチン二水和物;シュウ酸二水和物;硫酸リチウム;(+)-(R)-トランスー4-(1-アミノエチル)ーN-(4-ピリジン)シクロヘキサンカルボキシアミドジヒドリクロリド;(+/-)-1-(5-イソキノリンスルホニル)-2-メチルピペラジンジヒドロクロリド;(+/-)-3-アミノピロリジンジヒドロクロリド:(+/-)-トランスー4-(2-ピリジニル)-ピロリジンー3-カルボン酸ジヒドロクロリド;(+/-)-トランスー4-(4-ピリニジル)ピロリジンー3―カルボン酸ジヒドロクロリド;(-)-N-(1(R)-フェニルエチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンー3(S)-アミンジヒドロクロリド;(1,4-ジメチルピペラジンー2-イル)酢酸ジヒドロクロリド;(1-(5―イソキノリンスホニル)-ホモピペラジンジヒドロクロリド;(1-アザービシクロ[2.2.2]オクトー3-イル)-(4-フルオローベンジル)-アミンジヒドロクロリド;(1-アザービシクロ[2.2.2](オクトー3-イル)-(4-メトキシーベンジル)―アミンジヒドロクロリド;(1-メチルー1H-ベンゾイミダゾール―2-イル)メチルアミンジヒドクロリド;(1-メチルーピぺリジンー4-イル)-ピリジンー3-イルメシルアミンージヒドロクロリド;(1-[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イルピロリジンー3-イル)メチルアミンジヒドロクロリド;(1H-イミダゾールー2-イル)メタンアミンジヒドロクロリド;(1R,2R)-トランスー1,2-シクロペンタンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-1,2-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)エチレンジアミンジヒドロクロリドハイドレート;(1S,2S)-1,2-ビス(2-クロロフェニル)エチレンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-1,2-ビス(4-フルオロフェニル)エチレンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-1,2-ビス(4-メトキシフェニル)エチレンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-1,2-ビス(4-ニトロフェニル)エチレンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-1,2-ジー1-ナフチルエチレンジアミンジヒドロクロリド;(1S,2S)-トランスー1,2-シクロペンタンジアミンジヒドロクロリド;(1S,4S)-5-メチルー2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロクロリド;(2、4-ジメチルー1,3-チアゾール-5-イル)メチルアミンジヒドロクロリド;(2-アミノーベンゾチアゾールー8-イル)酢酸ジヒドロクロリド;(2-クロロー6-フルオロベンジル)ヒドラジンジヒドロクロリド;(2-ジメチルアミノエチル)-レセルピリン酸ジヒドロクロリド;(2-エチルー1,4-ジアゼパンー1-イル)メタノールジヒドロクロリド;(2-イミダゾールー1-イルエチル)メチルアミンジヒドロクロリド;(2-イミノーチアゾールー3-イル)酢酸ジヒドロクロリド;およびこれらの組合せが挙げられる。酸化剤の例として、例えば、塩素基酸化剤、非塩素基酸化剤、およびこれらの組合せが挙げられる。さらに、塩素基酸化剤の非制限例として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、または任意の他の固体塩素化合物およびその塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、塩素基酸化剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。塩素基酸化剤は、固体形態であるとよく、且つ常温保存可能であるとよい。非塩素基酸化剤の更なる例として、臭素基酸化剤、安定化過酸化化合物、例えば、過硫酸塩、過モノ硫酸塩、過マンガン酸塩、および他の安定化過酸化化合物およびその塩、および金属酸化物が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、化学組成物190は、SAPおよび塩素基酸化剤から成っており、SAPおよび塩素基酸化剤を含み、またはSAPおよび塩素基酸化剤から本質的に成っている。この組成物がSAPおよび塩素基酸化剤を含む時、組成物の全重量に対して少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%のSAPが含まれているとよい。さらに具体的には、組成物の全重量に対して96重量%、97重量%、または98重量%のSAPが含まれているとよい。また、組成物の全重量に対して15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、2.5重量未満、または1重量%未満の塩素基酸化剤が含まれているとよい。いくつかの実施形態では、反応剤194は、その全重量に対して、40~100重量%の硫酸キニーネ二水和物と、0~60重量%のトコンと、0~15重量%のデナトニウムベンゾエートとを含んでいる。
【0047】
図6を再び参照すると、化学組成物190は、パケット192内に配置されているとよい。パケット192は、水に溶解することが可能なフィルムを備えているとよい。これによって、液相医薬廃棄物および/または水が液体廃棄物空間88に添加されると、フィルムが溶解し、これによって、化学組成物190を放出する。いくつかの実施形態では、フィルムは、水溶性ポリマー、例えば、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、トラガカントゴム、グアーゴム、アカシアガム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリル酸コポリマー、カルボキシビニルポリマー、アミロース、デンプン、高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆蛋白質分離物、乳青蛋白質分離物、カゼイン、およびこれらの組合せから構成されているとよい。他の例示的実施形態では、フィルムは、ポリビニルアルコールから構成されている。いくつかの実施形態では、パケット192は、流体透過性であるとよく、スクリーン材料、メッシュ材料、等を備えているとよい。パケット102が経過時間、特定の材料との接触、等のきっかけによって化学組成物190を放出することができる構成を取ることもさらに考えられる。
【0048】
パケット192は、液体廃棄物空間88のどのような適切な場所に配置されていてもよい。一例では、パケット192は、概して、
図6に仮想線で示される領域、例えば、液体空間または固体空間内の棚上に配置されているとよい。パケット192が液体受入ガイド102の下方の液体廃棄物空間88の上部分に位置していると、初期の液相医薬廃棄物がパケット102に接触し、このパケット102を溶解し、その後、フィルムが少なくとも部分的に溶解し、化学組成物190が放出され、重力の影響によって液体廃棄物空間88内に下降する。化学組成物190を液体廃棄物空間88内に配置するための多くの代替例、例えば、本開示において後で説明する代替例、および共有される米国特許第8,348,056号,第8,534,459号,第8,573,426号,第8,616,397号,第9,044,377号,第9,456,954号および共有される米国特許出願公開第2016/0325322号に記載される代替例が考えらえる。。これらの文献は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。パケット192内に配置される化学組成物190の量は、廃棄物レシーバ52内の医薬廃棄物を液体廃棄物空間ン88から回収不能および/または復元不能とするのに適するどのような量であってもよい。パケット192内に配置される化学組成物190の量は、廃棄物レシーバ52の大きさに基づくものであってもよい。
【0049】
前述したように、使用前に、固体廃棄物空間86を事前準備するために、液体、例えば、水が固体受入ガイド100に添加されるとよい。固相薬物廃棄部材料内の活性薬剤を溶解するために固体廃棄物空間86内に水を添加するのに加えてまたはそれに代わって、固体受入空間86内の固相医薬廃棄物を化学的および/または物理的に分解させるために、および/または固体廃棄物を望ましくないものおよび/または消化しにくいものにするために、水または他の流体と反応する他の反応剤(図示せず)が供給されてもよい。いくつかの実施形態では、反応剤は、固体廃棄物空間86内において1つまたは複数の溶解可能なまたは流体透過性パケット(図示せず)内に配置および/または含有されているとよい。例えば、多数のパケットが用いられるとよく、この場合、各パケットは、同一または異なる反応剤を含んでいるとよい。流体は、固相医薬廃棄物と反応剤との間の反応を引き起こし、固体廃棄物を破壊するかまたは固体廃棄物を化学的または物理的に使用できない形態および/または復元不能な形態に変化させる。代替的に、液体は、反応剤を凝固させ、固体廃棄物空間86内の固相医薬廃棄物をカプセル化するかまたはそれ等を包囲するようになっていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、レシーバ本体56の少なくともかなりの部分が、そこに廃棄される医薬廃棄物のいずれかの存在を隠すために、不透明材料から形成されている。さらに、容器空間58内の医薬廃棄物、さらに具体的には、液体廃棄物空間88内の液相医薬廃棄物のレベルまたは量の表示をユーザーにもたらすことが望ましい。表示、例えば、視覚的表示は、取換え可能な廃棄物レシーバ52の収容能力が限界に近いことおよび廃棄物処理システム50を新しい廃棄物レシーバ52に取り換える時期が近付いていることをユーザーに警告する。
図1,2,6,14を参照すると、廃棄物処理システム50は、レシーバ本体56に付随して設けられたインジケータまたは観察ポート196を備えているとよい。インジケータ196は、液相医薬廃棄物のレベルが所定レベルを超えた時、例えば、容器空間58の収容能力に近づいている時、液相医薬廃棄物に接触するようにレシーバ本体56上に適切に配置されている。図示の実施形態では、インジケータ196は、概して、前壁62上または前壁62内において廃棄物レシーバ52の頂部の近くに配置されている。さらに具体的には、インジケータ196は、概して、上壁66と底壁68との間に画定されるレシーバ本体56の高さの3/4だけ底壁68から離間して配置されている。一旦液相医薬廃棄物がインジケータ196の位置に達したなら、インジケータ196は、視覚的表示をユーザーにもたらすことになる。一例では、インジケータ196は、透明材料から形成された窓198を備える観察ポートであり、この窓198は、レシーバ本体56の前壁62に画定された開口200と真っすぐに並んでいる。流体ラインが開口200の背後の窓198の内面に接触すると、ユーザーは、容器空間58と一直線に並ぶ流体を観察することができる。容器に対する充填の種々の割合を示す複数のインジケータが、高さに沿って設けられてもよい。
【0051】
他の例では、インジケータ196は、液体廃棄物空間88内の液相廃棄物と直接接触した時に化学反応を生じて変色するように構成された材料から形成された(湿度検出インジケータまたは液体浸漬インジケータとも呼ばれる)液体接触インジケータである。液体接触インジケータは、使用場所における組立および設置時に第1の色(例えば、白)を呈し、一旦液相医薬廃棄物のレベルがインジケータ106の位置に基づく所定レベルを超えたなら、第2の色(例えば、赤)に変色する。図示の実施形態は、前述の位置における単一のインジケータ196を示しているが、廃棄物レシーバ52が容器空間58内の医薬廃棄物のレベルの複数の視覚的表示をもたらすように適切に配置された2つ、3つ、または4つ以上のインジケータを備えていてもよい。
【0052】
一変更例では、液相医薬廃棄物および/または流体吸収体193を着色するために、着色剤、例えば、染料が液体廃棄物空間88内に分散されていてもよい。着色された液相医薬廃棄物および/または流体吸収体193は、インジケータ196を備える観察ポートを通してより容易に観察可能である。一例では、着色剤は、流体吸収体193と一緒にパケット192内に設けられている。液相医薬廃棄物がパケット192のフィルムを溶解し、これによって、着色剤および化学組成物190を液体廃棄物空間88内に放出する。更なる量の液相医薬廃棄物が液体廃棄物空間88に加えられると、この材料および流体吸収体193が着色剤の色を呈することになる。一旦流体ラインが開口200の背後の窓198の内面に接触すると、着色された材料がインジケータ196を観察するユーザーによって容易に観察可能になる。
【0053】
例えば、廃棄物レシーバ52が十分に充填されたことを示すインジケータ196によって、ユーザーにもたらされる視覚的表示に基づき、廃棄物受器52を取り換えることが望まれた場合に備え、廃棄物処理システム50は、廃棄物レシーバ52の安全廃棄を促進するためのさらに有利な特徴部を備えているとよい。具体的には、使用前に固相医薬廃棄物を溶解するために固体廃棄物空間86に加えられた残余水を含む液相内容物を含む廃棄物レシーバ52を移送することは、望ましくない。周知のシステムは、液体内容物を実質的に凝固させる物質を加える必要がある。さらに、これらのシステムは、廃棄物レシーバ52の運用寿命中に凝固剤を別に貯蔵する必要があり、次いで、このような物質を取扱いおよび/または添加する必要があるので、これに付随して、有害な化学薬品に晒される危険性がある。本開示の廃棄物処理システム50は、有利には、自己完結式に医薬廃棄物のほぼ完全なまたは完全な凝固をもたらすようになっている。
【0054】
本実施形態の廃棄物レシーバ52は、固体廃棄物空間86と液体廃棄物空間88との間に流体連通をもたらす少なくとも1つのオリフィス202を備えているとよい。
図7~9を参照すると、分流器90の隔壁104は、オリフィス202を画定し、さらに具体的には、2つのオリフィス202が、少なくとも部分的に隔壁104を画定する側壁106を貫通している。オリフィス202は、概して、レシーバ本体56の頂部の近くに位置し、これによって、固体廃棄物空間86からの流体(例えば、薬剤注入流体)は、自己完結式凝固法が行われるまで、オリフィス202を通って液体廃棄物空間88に時期尚早に流れることがない。代替的な変更例では、オリフィス202は、分流器90のどのような適切な部分内に配置されてもよい。分流器90は、オリフィス202と流体連通する少なくとも1つの通路204をさらに備えているとよい。
図7,9は、側壁106内に窪んでオリフィス202と隔壁104の下壁108との間に延在する2つの通路204を示している。通路204によって、万一液体廃棄物空間88が流体吸収体193によって実質的に絞められた時、固体および液体廃棄物空間86,88間にオリフィス202を介する流体連通が確実に維持されることになる。換言すれば、流体吸収体193は、液体廃棄物空間88内の液相医薬廃棄物を吸収すると、著しく膨張し、オリフィス202の近くにおいて隔壁104の側壁106に直接接触する可能性がある。固体廃棄物空間86からの流体は、オリフィス202および通路204によって与えられる隙間を通って液体廃棄物空間88に効果的に移行することになる。
【0055】
以下、自己完結式凝固方法について説明する。液体廃棄物空間88は、流体吸収体193(例えば、SAP)によって吸収された後、実質的に固形化している液相医薬廃棄物を含んでいる。固体廃棄物空間86は、反応剤194(例えば、薬剤注入流体)によって溶解された後、実質的に液状化している固相医薬廃棄物を含んでいる。流体吸収体193は、十分に飽和されておらず、追加的な液体を吸収する能力を有している。ユーザーは、開口72を覆うためにレシーバ本体56上にリテーナカバー82を配置し、前述したように、レシーバ本体56内の固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物を密封する。
図6を特に参照すると、廃棄物レシーバ52は、手動によって再位置決めされまたは操作(例えば、反転)され、これによって、固体廃棄物空間86内の液体内容物が重量の影響によって(廃棄物レシーバ52が実質的に反転した時の矢印208の方向に沿って)下降する。廃棄物レシーバ52は、液体内容物を攪拌するように操作されてもよい。液体内容物は、固体受入ガイド100の入口118を密封する押圧部材120によって、固体廃棄物ガイド100から出ないように阻止される。さらに、カバー82が固体および液体受入ガイド100,102を密封し、レシーバ空間58の内容物の流出を阻止し、これによって、この方法を自己完結式とする。液体内容物は、固体廃棄物空間86から(矢印208の方向に沿って)オリフィス202を通って、(矢印210の方向に沿って)流体吸収体193に向かって液体廃棄物空間88内に入る。追加的な液体を吸収する能力が残っている流体吸収体193は、元々は固相医薬廃棄物からなる液体内容物を吸収する。その結果、廃棄物レシーバ52内の液体内容物の量は、移送、処理、および/または廃棄の前に、最小限に抑えられ、好ましくは、排除される。前述の自己完結式凝固プロセス中のどの時点においても、ユーザーは、固体廃棄物空間86内の液体内容物を凝固するために必要な外部物質に晒されることがない。何故なら、ユーザーが廃棄物レシーバ52の操作を行う前に、カバー82がレシーバ本体56に連結されるからである。いくつかの関連する実施形態では、固体廃棄物空間は、吸収体を有していなくてもよい。
【0056】
付加的または代替的に、液体内容物の少なくとも一部は、(押圧部材120が入口118を密封しないことによって)固体廃棄物空間86から固体受入ガイド100の入口118および液体受入ガイド102を通して液体廃棄物空間88に導かれるようになっていてもよい。カバー82の底は、分流器90の上壁128から離間しているとよい。その結果、廃棄物レシーバ52が手動によって再位置決めされまたは操作(例えば、反転)され、これによって、固体廃棄物空間86内の液体内容物が重力の影響によって(矢印208に沿って)下降する。液体内容物が入口118を通過し、カバー82の底に接触する。次いで、液体内容物は、カバー82の底に沿って液体受入ガイド102の入口110を通って移動する。更なる操作(例えば、廃棄物レシーバ52の上向き反転)によって、液体内容物は、重力の影響によって、(矢印210に沿って)液体廃棄物空間88内に下降することになる。
【0057】
液体内容物をオリフィス202または入口118を通して導くために、概して、どの方向に廃棄物レシーバ52を傾斜または攪拌するべきかに関する情報をユーザーにもたらすために、1つまたは複数の指標212が、廃棄物レシーバ52またはカバー82の適切な位置に設けられてもよい。
図1は、カバー82に配置された矢印を含む指標212を示している。この指標212は、一旦カバー82がレシーバ本体56に固定されたなら、固体廃棄物空間86に対するオリフィス202の方向、従って、自己完結式凝固方法の実施中に概して廃棄物レシーバ52を傾斜または攪拌する方向に対応する方向を指している。付加的または代替的に、指標212(または追加的な指標)が、固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物をカバー82によって密封する前にユーザーによって観察することができるように、分流器90の本体部分92に設けられてもよい。指標212の他の形状または位置も本開示の範囲内に含まれる。
【0058】
図1,3を参照し、
図13をさらに参照すると、前述のロッキングアセンブリ54は、廃棄物レシーバ52を固定面(図示せず)、例えば、壁、ドア、卓上、カート、直立ポスト、等に離脱可能に固定するようになっている。廃棄物処理システム50は、固定面に固定されるように適合されたブラケット216を備えている。ブラケット216の図示の実施形態は、垂直マウント218および水平マウント220を備えている。いくつかの変形例では、前述のマウント218,220の一方のみが設けられていてもよい。垂直マウントおよび水平マウント218,220は、図示されるようにL字状部材として形成されているとよい。ブラケット216は、1つまたは複数のアンカー222およびアンカー222に固定される1つまたは複数のプレート224をさらに備えているとよい。図示の実施形態のアンカー222は、固定面の固定構造体を包囲するように構成されたU字状のリングを備え、これによって、垂直マウント220の反対側においてアンカープレート224をアンカー222に固定すると、ブラケット212は、並外れた困難さを伴うことなく固定面から離脱されないことになる。水平マウント220は、ブラケット212を水平固定面に固定するために固定具(例えば、ネジ、ボルト、リベット、等)を受け入れるように構成された孔を備えているとよい。
【0059】
図2,3,14は、ロック通路230を画定する廃棄物レシーバ52のレシーバ本体56を示している。ロック通路230は、レシーバ本体56の開口72とは別と見なされるとよい。換言すれば、開口72は、容器空間58と連通しているが、図示の実施形態においてロック通路230は、容器空間58に連通していない。むしろ、ロック通路230を画定しているのは、外面60である。さらに具体的には、レシーバ本体56の前壁62が開口部232を画定し、レシーバ本体56の後壁64が他の開口部234を画定し、これらの開口部232,234は、ロック通路230の一部に開いておりまたはロック通路230の一部を少なくとも部分的に画定し、これによって、レシーバ本体56は、ロック通路230を包囲していることになる。図示の実施形態は、レシーバ本体56の略中心を前後方向に通るロック開口230を示している。しかし、ロック通路230は、どのような適切な形態(すなわち、位置および方向)で設けられてもよい。一変更例では、例えば、ロック通路は、2つの側壁70間に延在し、廃棄物レシーバ52は、ロッキングアセンブリ54に連結された時に「側方取付け(side-loaded)」されることになる。
【0060】
ロッキングアセンブリ54は、ロック通路230内に少なくとも部分的に取外し可能に配置されるように寸法決めされたロックハウジング236を備えている。
図2,3を参照すると、ロックハウジング236は、底壁240と、反対側の上壁240と、上壁238と底壁240との間に延在する互いに向き合う側壁242とを備えている。前壁244が、上壁238、底壁240、および両側壁242間に延在し、直方体形状のロックハウジング236を画定している。垂直マウント218がロックハウジング236の後壁を形成してもよいし、代替的に、ロックハウジング236が垂直マウント218に連結された別の後壁を備えていてもよい。図示の実施形態では、前壁244は、縦長の開口部232,234に対応して縦長である。ロックハウジング236とロック通路230とが相補的な長形状(oblong shape)を有することによって、ロッキングアセンブリ54、従って、固定面への廃棄物レシーバ52の単一方向に沿った配向および固定が容易になる。さらに、図示の実施形態に示されるように廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ54に連結されると、ロックハウジング236の上壁238、底壁240、および両側壁242がロック通路230内に包囲され、前壁244が開口部232の近くに位置し、ユーザーが前述したようにロッキングアセンブリ54を作動させるためにアクセスすることが可能になる。
【0061】
ロッキングアセンブリ54は、ロックハウジング236に取外し可能に連結された係合特徴部246を備えているとよい。廃棄物レシーバ52の受入本体56は、ロッキングアセンブリ54の係合特徴部246を受け入れるように構成された相補的な係合特徴部248を備えているとよく、これによって、廃棄物レシーバ52をロッキングアセンブリ54、従って、固定面に単一方向に沿って離脱可能に固定することができる。
図3,13,14を同時に参照すると、廃棄物レシーバ52の相補的な係合特徴部248は、ロック通路230の少なくとも一部を画定しているとよい。廃棄物レシーバ52の相補的な係合特徴部248は、キー溝250、通路252、および傾斜表面254の1つまたは複数を備えているとよい。これらの各々の機能については、後述する。ロッキングアセンブリ54の係合特徴部246は、ロックハウジング236から延在する突起256を備えているとよい。
図4に最もよく示されるように、係合特徴部246は、ロックハウジング236内から下壁240の開口を通って延在して突起256を画定する柱状構造を有している。突起256は、傾斜面258および干渉面260をさらに備えているとよい。
【0062】
以下、相補的な係合特徴部246、248の連結について説明する。レシーバ本体56は、ロック通路230およびロックハウジング236が真っすぐに並ぶように配置される。レシーバ本体56がロックハウジング236に向かって移動され、ロック通路230がロックハウジング236の前壁244を受け入れる。
図13,14を参照すると、係合特徴部246の突起256は、レシーバ本体56の後部の付勢部材(図示せず)によって第1の方向または下向き方向(D)に付勢されている。さらに具体的には、突起256の傾斜面258が、係合特徴部248の傾斜面254に直接接触する。傾斜面254、258の干渉は、協働して付勢部材の付勢力を上回り、固定面に向かう後方向(R)における廃棄物受入52に加えられた連続力によって、係合部材244を第1の方向と反対側の上方向または第2の方向(U)に移動させる。このような構成において、相補的な係合特徴部246,248は、協働して廃棄物レシーバ52をロッキングアセンブリ54に対して単一方向に配向させる。係合特徴部246の突起256は、係合特徴部248の通路252に沿って移動し、ついに通路252内のキー溝250に達する(
図3参照)。付勢部材は、係合特徴部246をその元の位置に弾性的に戻し(すなわち、第1の方向に移動し)、これによって、突起256が少なくとも部分的にキー溝250内に延出する。干渉面260は、キー溝250を部分的に画定する後方リップと係合する。この時点で、廃棄物処理システム50は、ロッキングアセンブリ54からの廃棄物レシーバ52の離脱を防ぐために係合特徴部246が移動されるロック形態にあると見なされる。他の傾斜面254’(
図14参照)が傾斜面254の反対側に設けられてもよく、この場合、廃棄物レシーバ52は、2つの形態の1つ、すなわち、前壁52が固定面の方に配向される形態または後壁64が固定面の方に配向される形態にある。
【0063】
図13をさらに参照すると、ロッキングアセンブリ54は、ロックシリンダ262および係合特徴部246に動作可能に連結されたロックスピンドル264を備えている。ロックスピンドル262は、ロッキングアセンブリ54を後述のロック形態とロック解除形態との間で作動させるために、ロックシリンダ262への入力によって選択的に作動されるようになっているとよい。ロックスピンドル264は、
図13に示されるように、ロックシリンダ262の回転軸に対して偏心して配置されたポスト、または代替的にカム状構造を備えているとよい。係合特徴部246は、ロックスピンドル264を受け入れるように寸法決めされた凹部268を画定するロック突起266を備えている。ロックシリンダ262は、ロックスピンドル264を回転させるために、ユーザーからの入 力、例えば、キーの挿入および回転を受けるようになっている。ロックスピンドル264が回転し、ロック突起266と干渉し、ロックスピンドル264の更なる回転によって、係合特徴部246が付勢部材の付勢力に対して第2の方向、すなわち、上向き方向に移動する。突起256は、相補的係合特徴部248のキー溝250から離脱する方に移動する。この時点で、ロッキングアセンブリ54は、廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ54から離脱されるように係合特徴部240が移動したロック解除形態にあると見なされる。すなわち、付勢部材が係合特徴部246をロック形態に付勢しているので、ロックスピンドル264が、ロック形態にある係合特徴部246を離脱させ、係合特後部246をロック解除形態に移行させるように、選択的に作動されることになる。
【0064】
廃棄物レシーバ52のロッキングアセンブリ54からの効率的な離脱を促進させるために、ロッキングアセンブリ54は、ロックハウジング236に連結されて該ロッキングアセンブリ236に対して移動可能な離脱部材268を備えているとよい。離脱部材268は、ロッキングアセンブリ54がロック解除形態に移行した時、前記廃棄物レシーバ52を固定面から離れる方に移動させるように構成されている。さらに具体的には、離脱部材268は、固定面に固定されたブラケット216から離れる方に付勢されており、廃棄物レシーバ52をブラケット216からの第1の距離からブラケット216から第1の距離よりも大きい第2の距離に自動的に移動させる。ブラケット216から離れる方への廃棄物レシーバ52の移動は、廃棄物レシーバ52の容易な把持および取扱いを促進すると共に、廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ52に固定されているかどうかを迅速に視覚的に確認する安全機能の役割も果たすことになる(ユーザーは、廃棄物レシーバがいつブラケットから離間したかを知ることができる)。
図2,13をさらに参照すると、離脱部材268は、中心部分270と中心部分270から延在する少なくとも1つの翼部272とを備えている。中心部分270は、ロックハウジング236内に配置されているとよく、翼部272は、ロックハウジング236の互いに向き合う側壁242から外に延在しているとよい。互いに向き合う側壁242は、翼部272がロックハウジング236に対して摺動することを可能にするように寸法決めされた長孔を画定しているとよい。ロッキングアセンブリ54は、少なくとも1つの付勢部材274をさらに備えているとよい。付勢部材274は、ロックハウジング236内に配置され、離脱部材268の中心部分270に係合するように配置されている。付勢部材274は、離脱部材268を前方向(F)に沿って垂直マウント218から離れる方に、従って、固定面から離れる方に付勢する。廃棄物レシーバ52がロック形態にあるロッキングアセンブリ54に連結されると、廃棄物レシーバ52は、垂直マウント218から第1の距離で保持される。ロック形態では、付勢部材274は、弾性的に変形され、相補的な係合特徴部246,248の係合によって弾性的な戻りが生じないように防がれる。具体的には、突起256とキー溝250を少なくとも部分的に画定する前方リップとの係合によって、付勢部材274が離脱部材268、従って、廃棄物レシーバ52を前方向に移動させないように防がれる。
【0065】
ロッキングアセンブリ54が前述したようにロック形態からロック解除形態に移行されると、突起256とキー溝250との離脱によって、付勢部材274は、もはや離脱部材268の移動を防ぐことができない。付勢部材274は、離脱部材268を弾性的に移動させるが、(離脱部材268の)翼部272は、廃棄物レシーバ52のレシーバ本体56の後壁に直接接触している。翼部272は、廃棄物レシーバ52を垂直マウント218から第1の距離よりも大きい第2の距離に移動させる。この移動の大きさは、ロックハウジング236の互いに向き合う側壁242内に画定された長孔の寸法に基づいており、通常、約1インチであるとよい。廃棄物レシーバ52の前方向の移動によって、廃棄物レシーバ52とロッキングアセンブリ54との間の隙間が生じ、廃棄物レシーバ52の把持およびロッキングアセンブリ54からの廃棄物レシーバ52の離脱が容易になる。ブラケット216から離れる方への廃棄物レシーバ52の位置決めは、前述したように、廃棄物レシーバ52がロック解除形態にあることを視覚的に確認することによって、安全機能としての役割を果たすことになる。換言すれば、通行する第3者が、過度の検査を行うことなく、廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ54にロックされないことを迅速に認識し、必要に応じて、廃棄物レシーバ52の望ましくない横流しを阻止する是正措置を取ることができる。
【0066】
本実施形態の廃棄物処理システム50は、さらに他の有利な特徴部として、キャップ保持特徴部276を備えているとよい。前述したように、廃棄物処理システム50は、廃棄物レシーバ52、カバー82、およびキャップ83を備えるキットと組み合わされまたは包装されるとよい。キャップ83は、その使用場所における廃棄物レシーバ52の設置時に取り除かれ且つ廃棄される。さらに、カバー82は、廃棄物レシーバ52の運用寿命の最後までレシーバ本体56の開口からの離脱された状態でとどめられる。もし廃棄物レシーバ52を取り換えるかまたは廃棄する必要が生じたなら、カバー82を準備することが望ましい。カバーを繋ぎ紐によって連結する周知の解決策は、カバーがレシーバ本体56からぶら下がるので、見苦しく、また廃棄物レシーバ内への医薬廃棄物の廃棄を邪魔する可能性がある。
【0067】
図1,2を参照すると、キャップ保持特徴部276は、カバー82を取外し可能に受け入れるように寸法決めされている。キャップ保持特徴部276は、レシーバ本体56の前壁62から延在するリップ278を備えているとよい。リップは、カバー82の半径と略近似する半径を有する円弧状であるとよい。円弧状リップ278は、図示されるように180°以下の円弧を有しているとよいが、一般的には、ロッキングアセンブリ54に連結された廃棄物レシーバ52からのカバー82の離脱を防ぐの十分な角度の円弧を有していればよい。リップ278は、リップ278と前壁70との間に間隙を画定するフランジ280も備えているとよく、この間隙は、カバー82の外側リム282を受け入れるように寸法決めされている(
図1参照)。
図2の分解図から容易に理解されるように、廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ54から離脱された状態では、カバー82をキャップ保持特徴部276から離脱させることができる、すなわち、カバー82を上方に摺動可能に移動させ、外側リム282をリップ278から離脱させることができる。また、
図1の斜視図からさらに明らかなように、廃棄物レシーバ52がロッキングアセンブリ54に連結されている状態では、カバー82は、ロッキングアセンブリ54のロックシリンダ242によって離脱されないように阻止される。換言すれば、カバー保持特徴部276およびロッキングアセンブリ34は、協働して廃棄物レシーバ52を固定面に固定するロッキングアセンブリ34によってカバー82の取外しを阻止するようになっている。ロックシリンダ242は、ロックハウジング236の前壁244から延在し、(ロックハウジング246がロック通路230内に位置し、廃棄物レシーバ52が固定面に固定された時にリップ278とロックシリンダ242との間にカバー82を保持するのに十分な距離だけ)、カバー保持特徴部276のリップ278から離間している。この距離は、カバー82の直径よりもいくらか大きいとよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、カバー保持特後部276は、前述の離間部材268および相補的係合特徴部246,248に少なくとも機能的に関連しているとよい。前述したように、離脱特徴部268は、一旦ロッキングアセンブリ54がロック解除形態に移動し、相補的な係合特徴部246,248が互いに離脱されたなら、廃棄物レシーバ52を固定面から離れる方に移動させる。この移動の大きさは、ロックシリンダ242がロックハウジング236の前壁244から延出する大きさよりも少なくとも大きくなっているとよい。その結果、一旦ロッキングアセンブリ54をロック形態からロック解除形態に移行させ、離脱特徴部268が廃棄物レシーバ54を移動させたなら、カバー82は、カバー保持特徴部276に取外し可能に連結されることになる。
【0069】
以下、
図15~17を参照すると、他の例示的な実施形態による廃棄物レシーバ290が示されている。廃棄物レシーバ290は、少なくとも多くの点において前述の廃棄物レシーバ52の実施形態に類似しており、同様の番号は、同様の構成部品を示すものとする。2つの実施形態に共通するいくつかの構造は、簡略にするために、簡潔にしか説明しないことにする。
【0070】
いくつかの点において、本実施形態の廃棄物レシーバ290は、廃棄物処理システム50の「液体のみ」の変更例と見なされてもよい。廃棄物レシーバ290のレシーバ本体56は、容器空間58を画定する内面59と、内面59と反対側の外面60とを備え、内面59および外面60は、レシーバ本体56の壁64~70を画定している。レシーバ本体56は、開口72を画定し、具体的には、ネック74が、レシーバ本体56の開口72を画定するリップ76で終端している。開口72は、容器空間58と流体連通しており、容器空間58内に廃棄される医薬廃棄物を受け入れるようになっている。廃棄物処理システム50の廃棄物レシーバ290は、(本実施形態に示されない)カバーまたはキャップを備えているとよい。廃棄物レシーバ290は、廃棄物を回収不能とするようにカバーの相補的連結特徴部を受け入れるための連結特徴部84を備えているとよい。
【0071】
容器空間58は、レシーバ本体56の開口72に連通する液体廃棄物空間88によってさらに画定されているとよい。固体廃棄物空間は、設けられていなくてもよい。分流器91は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に分流または導くものである。分流器92は、レシーバ本体56に連結され、本体部分93およびリップ96を備えているとよい。本体部分93は、レシーバ本体56の開口72に隣接して配置されている。リップ96は、本体部分93から周方向に離間され、分流器90をレシーバ本体56に効果的に連結するためにレシーバ本体56のリップ76を受け入れるように寸法決めされた間隙98を画定している。分流器91は、液体受入ガイド102を備えている。液体受入ガイド102は、本体部分93に連結され、レシーバ本体56内に少なくとも部分的に配置されている。液体受入ガイド102は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に導くように適合されている。分流器91の液体受入ガイド102は、開口72に連通している。カバーまたはキャップが分流器91に連結された時、カバーまたはキャップは、液体受入ガイド102を覆うことになる。
【0072】
図16に最もよく示されるように、分流器91は、前述の実施形態における隔壁を備えている。しかし、本実施形態では、この構成部品は、任意選択的であることが容易に理解されるだろう。何故なら、分流器91は、固体受入ガイドおよび固体廃棄物空間のいずれも備えていないからである。むしろ、本実施形態に示されているように、隔壁は、残っていてもよく、廃棄物レシーバ52,290の実施形態を含む製造効率のためにのみ設けられている。換言すれば、本体部分92,93は、同一の技術によって製造され、その後、著しい修正を施すことなく、前述の実施形態の分流器90または本実施形態の分流器91のいずれかが設けられることになる。もし前述の実施形態の分流器90が望まれたなら、入口118を有する上壁128が設けられ、その後、いくつかの他の構成部品(例えば、押圧部材120、切断要素126、等)が組み込まれるとよい。もし本実施形態の分流器91が望まれたなら、入口のない上壁129が設けられるとよい。本実施形態の「固体廃棄物空間」は、
図16に示されるように、有意義な機能をもたらすことのない単なる完全に閉鎖されたチャンバであればよい。液体受入ガイド102は、その頂部の形態を画定する入口110を備えているとよい。この入口110を画定するために、漏斗状装置112が設けられているとよい。漏斗状装置112は、液体廃棄物空間88に向かう液相医薬廃棄物が通過するオリフィス114を備えている。図示の実施形態のオリフィス114は、漏斗状装置112の周りに円弧状に互いに離間された複数の長孔を備えている。廃棄物処理システム50は、医薬廃棄物の復元可能性を制限するために廃棄物レシーバ290内に配置された化学組成物190を備えているとよい。化学組成物190は、大量の流体を吸収し且つ保持するのに適する流体吸収体193(例えば、SAP)と、反応剤194とを備えているとよい。廃棄物レシーバ290は、容器空間58内の医薬廃棄物、さらに具体的には、液体廃棄物空間88内の液相医薬廃棄物のレベルまたは量をユーザーに示すためのインジケータまたは観察ポート196を備えているとよい。
【0073】
本実施形態の廃棄物レシーバ290は、前述のロッキングアセンブリ54に離脱可能に固定されるように適合されている。換言すれば、ロッキングアセンブリ54は、前述の実施形態の廃棄物レシーバ52および本実施形態の廃棄物レシーバ290の両方に同じように連結されるように構成されている。廃棄物処理システム50の廃棄物レシーバ52,290の互換性は、有利には、その使用場所に最も適する廃棄物レシーバの設置を可能にする。例えば、医療施設の典型的な患者介護室における患者の治療は、手術室におけるよりもさらに頻繁にパッチおよび/または丸薬を必要とすることがある。他の例では、一年の数か月において、パッチが頻繁に処方され、患者に施されることが分かっている。従って、ロッキングアセンブリ54の構成を変更することなく、固体廃棄物空間86を備える廃棄物レシーバ52が固定面に離脱可能に固定され、その後になって、(使用場所に殆ど困難を伴うことなく設置可能な)固体廃棄物空間のない廃棄物レシーバ290がより適切であると判断されることがある。ロッキングアセンブリ54に関する前述の説明、すなわち、係合特徴部246,248、離脱部材268、等に関する前述の説明は、その全体が参照することによってここに含まれるものとする。廃棄物レシーバ290は、キャップ保持特徴部276を備えていてもよい。キャップ保持特徴部276は、カバーを取外し可能に受け入れ、協働して、ロッキングアセンブリ34が廃棄物レシーバ290を固定面に固定している時カバーの取外しを阻止するように寸法決めされている。
【0074】
以下、
図18~21を参照すると、他の例示的実施形態による廃棄物レシーバ300が示されている。廃棄物レシーバ300は、少なくともいくつかの点において、前述の廃棄物レシーバ52,290の実施形態と同様であり、同様の番号は、同様の構成部品を示すものとする。2つの実施形態間に共通するいくつかの構造は、簡略化するために、簡潔に説明することにする。
【0075】
廃棄物レシーバ300は、レシーバ本体56を備えている。レシーバ本体56は、容器空間58を画定する内面59と、内面59と反対側の外面60とを備え、内面59および外面60は、レシーバ本体56の壁64~70を画定している。レシーバ本体56は、開口72を画定し、具体的には、ネック74がレシーバ本体56の開口72を画定するリップ76で終端している。開口72は、容器空間58と流体連通し、容器空間58内に廃棄される医薬廃棄物を受け入れるようになっている。廃棄物レシーバ300は、(本実施形態に示されない)カバーまたはキャップを備えているとよい。廃棄物レシーバ52は、廃棄物を回収不能にするようにカバーの相補的な連結特徴部を受け入れるための連結特徴部84を備えているとよい。
【0076】
レシーバ本体56が固相および液相医薬廃棄物の両方を回収不能および/または復元不能に受け入れるのを容易にするために、分流器95がレシーバ本体56に連結されている。分流器90は、レシーバ本体56に隣接して配置されたリム64を有する本体部分92を備えている。分流器95のリム64は、
図19に示されるように、ネック部分56のリム68上に当接して配置されている。いくつかの実施形態では、分流器95のリム64は、例えば、溶接、接着、または他の半永久的または永久的接合手段によって、レシーバ本体56に固定して連結されていてもよい。
【0077】
固体受入ガイド100が、分流器95の本体部分92に連結され、レシーバ本体56内に配置されている。固体受入ガイド100は、固相医薬廃棄物を固体廃棄物空間86に導くように適合されている。
図19に示されるように、固体廃棄物空間86は、レシーバ本体56の容器空間58の一部を構成している。液体受入ガイド102も、本体部分92に連結され、レシーバ本体56内に配置されている。液体受入ガイド102は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に導くように適合されている。液体廃棄物空間88は、レシーバ本体56の容器空間58の(固体廃棄物空間86から実質的に分離された)他の部分を構成している。
【0078】
廃棄物レシーバ300の分流器95は、レシーバ本体56内に配置された嚢302を備えている。嚢302は、後述の嚢アダプタ304によって固体受入ガイド100に連結されているとよい。嚢302は、固体廃棄物空間86を画定するように適合されている。嚢302が固体廃棄物空間86を画定しているので、嚢302の外の容器空間58は、液体廃棄物空間88を画定することになる。嚢302は、組立中にレシーバ本体56内に配置された後、自然な元の形状を実質的に保持するように適合された弾性材料から形成されているとよい。嚢302は、廃棄物レシーバ300の開口72よりも大きい断面直径を有しているとよく、組立中に折り畳まれ、開口72を通して挿入される。弾性材料からなる嚢302は、レシーバ本体56内において、実質的にその自然の元の形状に戻ることになる。どのような適切な弾性材料、例えば、ポリマー、箔、等がこの機能のために利用されてもよい。他の実施形態では、嚢302は、嚢302内に含まれる医薬廃棄物または他の内容物に基づき拡張可能であるとよい。例えば、嚢302は、弾性的であり、固定空間を画定するレシーバ本体56の容器空間58と共に配置される可変空間を画定するとよい。その結果、容器空間58内の液体廃棄物空間88も、嚢302の可変空間に基づき可変空間となる。液体廃棄物空間88は、レシーバ本体56の固定空間と嚢302の可変空間との間の差として画定される。一例では、嚢302の外の液体廃棄物空間88内の液相医薬品が嚢302を圧縮した場合に嚢302の開存性の程度を維持するために、(図示されない)ステントが嚢302内に設けられてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、(図示されない)隔壁、例えば、垂直バリアがレシーバ本体56内に設けられてもよい。嚢302は、この隔壁の片側に隣接して配置され、液体廃棄物空間88は、隔壁の他の側において容器空間58によって画定される。隔壁は、液体廃棄物容器88内に配置された(前述の)拡張する流体吸収体193による嚢302への侵害を阻止することになる。隔壁は、液体廃棄物空間88に対して拡張する流体吸収体193を実質的に拘束するために、レシーバ本体56内において適切に寸法決めされているとよい。
図20をさらに参照すると、廃棄物レシーバ300は、固体廃棄物空間86内において下壁68の内面に隣接して配置された嚢保持部材306を備えているとよい。例えば、嚢保持部材306は、レシーバ本体40内において嚢302の下部分を適切に支持し且つ位置決めするように適合されたトレイであるとよい。
【0080】
固体受入ガイド100および液体受入ガイド102は、廃棄物レシーバ300の開口72に連通し、分流器95は、単一容器内に受け入れられる固相および液相医薬廃棄物の両方を収容するように適合されている。
図20,21を参照すると、
図20の分流器95の斜視図が示されている。分流器95は、レシーバ本体56に連結されるように適合されている。分流器95は、廃棄物レシーバ300を形成するためのレシーバ本体56への効率的な連結をもたらすために、図示されるように予め組み立てられている。後述のガイド連結器308が本体部分92に連結され、嚢アダプタ304が本体部分92に連結されるとよい。嚢アダプタ304(および該当する場合ガイド連結器308)は、固相医薬廃棄物を嚢302に導くように適合された固体受入ガイド100の一部を画定しているとよい。嚢302は、嚢アダプタ304に連結されている。液体受入ガイド102のために、流体分配器310が本体部分92に連結され、開口72に連通しているとよい。漏斗状装置112が、本体部分92と流体分配器310との間に配置されているとよい。本体部分92、漏斗状装置112、および/または流体分配器310は、液体受入ガイド102の部分を画定しているとよい。流体分配器310は、開口312を備えるシリンダから構成されているとよい。このシリンダは、液体受入ガイド102から受け取った液体医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に分配するように適合されている。
【0081】
前述したように、分流器95は、固体受入ガイド100および液体受入ガイド102を備えている。固体および液体受入ガイド100,102は、固相医薬廃棄物が液体受入ガイド102内に不注意によって入るのを最小限に抑え、および/または液相医薬廃棄物を固体受入ガイド100内に不注意によって入るのを最小限に抑えるために、本体部分92内において互いに離間されているとよい。固体および液体受入ガイド100,102は、隆起314によって分離されているとよく、この場合、固体受入ガイド100が隆起314の片側に配置され、液体受入ガイド102が隆起314の他の側に配置される。隆起314は、本実施形態におけるリム94によって形成された円の弦として分流器95のリム94の概して互いに向き合う両側間に延在しているとよい。
【0082】
液体受入ガイド102は、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間88に導くためのどのような適切な構造であってもよい。液体受入ガイド102は、液体受入ガイド102の少なくとも一部を画定する入口110を備えている。漏斗状装置112が、本体部分92に連結されていてもよいしまたは本体部分92と一体的に形成されていてもよい。漏斗状装置112は、入口118を画定していてもよいし、好ましくは、液体受入ガイド102の少なくとも一部を画定していてもよい。流体分配器310は、本体部分92に連結され、液体受入ガイド102の入口110(および廃棄物レシーバの開口72)に連通しているとよい。流体分配器310は、漏斗状装置112に連結されていてもよいし、または他の実施形態では、漏斗状装置112が流体分配器310の構成部品と一体に形成されていてもよく、流体分配器310の構成部品を備えていてもよい。
【0083】
傾斜面316が、隆起314に隣接して配置されているとよい。傾斜面316は、液体レシーバ本体102の一部を画定している。傾斜面316は、液相医薬廃棄物を流体分配器310に案内し、医薬廃棄物を回収するために用いられる装置の侵入および/または液体受入ガイド102からの液相医薬廃棄物の放出を防ぐために、液体受入ガイド102の大きさを狭めるようになっている。スクリーン318が、液体廃棄物空間88内への固相医薬廃棄物の進入を妨げるために、液体受入ガイド102内に設けられているとよい。図示の実施形態のスクリーン318は、D字状であり、液体受入ガイド102内の奥まった箇所に配置されている。開口114が、
図20,21に示されるようにスクリーン318内に形成されているとよい。
【0084】
固体受入ガイド100の入口118が上壁128内に配置されているとよい。固体受入ガイド100の入口118は、好ましくは、パッチが回収される程度を制限するために、過大な隙間をもたらすことなくパッチの挿入を可能にするように寸法決めされている。
図18~21の図示の実施形態では、入口118は、矩形状である。分流器95は、本体部分92に連結された切断要素126、例えば、ブレードを備えているとよい。切断要素126は、固体受入ガイド100の入口118の近くに配置され、少なくとも部分的に固体受入ガイド100内に位置している。切断要素126は、固体受入ガイド100内へのパッチの挿入時にパッチを切込むように適合されている。切断要素126は、リベット、締りばめ、接着、および他の接合手段によって本体部分106に連結されているとよい。
【0085】
パッチを固体受入ガイド100内に挿入し、切断要素126による適切な切込みを確実にするために用いられる(本実施形態に示されない)パッチプランジャーが設けられていてもよい。パッチプランジャーは、耐久性のあるプラスチックまたは他の適切な材料から形成された一体構造を備えているとよい。パッチプランジャーは、切断要素126を受け入れるように寸法決めされた長孔によって分離された脚を備えている。種々の利点の内、とりわけ、切断要素126を長孔内に受け入れることによって、パッチプランジャーを固体受入ガイド100内により大きい距離にわたって挿入させ、これによって、パッチを固体廃棄物空間86、例えば、嚢302内に下降させる可能性を増大させることが可能になる。
【0086】
図20,21を再び参照すると、分流器95は、本体部分92に移動可能に連結されたバリア320を備えているとよい。バリア320は、固体受入ガイド100内への固相医薬廃棄物の挿入を可能にする開形態と固体受入ガイド100内への固相医薬廃棄物の挿入を阻止する閉形態との間で移動可能である。バリア320は、剛性フラップを備えているとよい。剛性フラップは、本体部分92に枢動可能に連結され、固体受入ガイド100の一部を画定する入口118の上、内、および/または下に配置されているとよい。(図示されない)弾性部材、例えば、捻じれバネが本体部分92およびバリア320に連結され、これによって、バリア320は、
図20,21に示される閉形態に付勢されている。弾性部材は、バネ定数を有するように設計されており、これによって、典型的には固相医薬廃棄物(例えば、パッチ)を挿入するユーザーによる力が、弾性部材118の付勢力を上回るのに十分なようになっている。いくつかの実施形態では、バリア320は、丸薬開口322を画定するために固体受入ガイド100よりも小さくなっている。丸薬開口322は、バリアが
図20,21に示される閉形態にある時、バリア320に隣接している。丸薬開口322は、より大きい固相医薬廃棄物の通路を許容せずに、極めて小さい固相医薬廃棄物、特に、丸薬およびカプセルの通過を可能にするように寸法決めされている。固体受入ガイド100が閉形態にあるバリア320に隣接する丸薬開口322を画定しているので、丸薬およびカプセルは、バリア320を強制的に開形態に移動させることなく、丸薬開口322内に迅速に挿入される。同時に、バリア320は、ユーザーが選択しない限り、より大きい固相医薬廃棄物の進入を阻止する閉形態にとどまっている。
【0087】
分流器95は、(図示されない)オリフィス202を備えているとよい。オリフィス202は、前述の手段(例えば、隔壁104、嚢302、等)によって互いに分離された固体廃棄物空間86と液体廃棄物空間88との間を流体連通させるものである。例えば、オリフィスは、嚢アダプタ304を貫通している。詳細に前述したように、廃棄物レシーバ300は、手動によって再位置決めされてもよく、例えば、反転されてもよく、これによって、固体廃棄物空間86内の液体内容物が重力の影響によって下降し、オリフィスを通って液体廃棄物空間88内に入り、自己完結式の凝固方法を行うことになる。
【0088】
廃棄物レシーバ52,290,300の実施形態の各々に関連して述べたように、化学組成物190は、どのような配置構成によって液体廃棄物空間88内に位置決めされてもよい。一例では、流体吸収体193は、液体廃棄物空間88内において垂直方向の1つまたは複数のレベルに配置され、液相医薬品がそのレベルに導かれるようになっているとよい。これによって、液相医薬品は、流体吸収体193によってより迅速に吸収され、液体廃棄物空間88内における液相医薬品のどろっとした粘液状態(pudding or ponding)が阻止される。同様に、反応剤194の位置決めも変更可能である。例えば、反応剤194は、(i)液体受入ガイド102にいくらか隣接する反応剤層として位置決めされてもよい。この場合、液相医薬廃棄物は、液体受入ガイド102を通った後反応剤層を通過し、その後、流体吸収体193に接触することになる。また、反応剤194は、(i)の反応剤層の位置決めに加えてまたは代わって、(ii)レシーバ本体56の底壁68の近くまたは他の適切な場所に配置された反応剤層として位置決めされてもよい。この場合、液相医薬廃棄物は、流体吸収体193と接触する前に、反応剤194と反応することになる。さらに、反応剤194は、(i)および/または(ii)の反応剤層の位置決めに加えてまたは代わって、(iii)流体吸収体193内および/または流体吸収体193にいくらか隣接して配置される1つまたは複数種の反応剤層として位置決めされてもよい。この場合、液相医薬廃棄物は、ゼラチンまたは固体材料に変換されて流体吸収体193内に滞留される前に、反応剤194と反応することになる。
【0089】
廃棄物レシーバ52,290,300のレシーバ本体56の他の設計、構成、配置、等も考えられる。例えば、固体および液体廃棄物空間86,88は、レシーバ本体56内に略並置構成をなすように配置されてもよい。他の例では、固体および液体廃棄物空間86,88は、レシーバ本体56内に略垂直構成をなすように配置されてもよい。この場合、レシーバ本体内の第1の区画が底壁68に隣接して配置され、第2の区画が上壁66に隣接して配置される。第1および第2の区画は、開口を有する移行区域によって互いに少なくとも部分的に分離され、第2の区画は、廃棄物レシーバ52,290,300の開口72と連通されることになる。第1の区画が固体廃棄物空間86を画定し、第2の区画が液体廃棄物空間88を画定してもよく、またはその逆であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、廃棄物レシーバ52,292,300は、廃棄物処理システム50の最新の操作を促進するために1つまたは複数の電子制御装置を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、廃棄物処理システムは、制御装置および該制御装置と電子的に通信する入力装置および/または出力装置の1つまたは複数を備えていてもよい。入力装置は、更なる処理のために制御装置と通信するいくつかの関連情報(例えば、薬剤分類)を入力するために、ユーザーによって利用されるキーパッドまたはタッチスクリーンを備えていてもよい。入力装置は、廃棄物レシーバ52,292,300内に廃棄される廃棄物の種類に関する情報を受信、記憶、および/または送信するようになっていてもよい。付加的または代替的に、入力装置は、廃棄物処理システム50にアクセスするユーザーを識別しおよび/または認証するために用いられてもよい。ユーザーは、パスコードまたは他の認証情報を入力装置にタイプするようになっていてもよい。認証プロトコルの他の種類として、例えば、バッジスキャナーまたはバーコードリーダー等が挙げられる。入力装置は、認証情報、例えば、パスコード、指紋、音声認識、等を受信することによって、安全対策をもたらすようになっていてもよい。入力装置の設計は、廃棄物処理システム50の設計要件に適するように変更されてもよい。出力装置は、いくつかの関連情報をユーザーに表示するようになっていてもよい。出力装置は、制御装置と電子的に通信し、廃棄物レシーバの現在の充填レベル、廃棄物レシーバの満了日、満了前の保持時間、廃棄物レシーバ内にすでに廃棄された廃棄物の種類、ユーザー入力情報、薬剤分類、保持バッテリー寿命、警報情報、および廃棄処理システム50のユーザーによって利用可能な任意の他の関連情報のような情報を表示するように適合されている。出力装置は、廃棄物レシーバ52,292,300の状態に関する特別の情報、例えば、制限されるものではないが、廃棄物レシーバ52,292,300のための運用寿命の時間の長さ、廃棄物レシーバ52,292,300の満了日、および/または廃棄物処理システム50の設計要件に依存する任意の他の有用な情報の情報をもたらすように
なっていてもよい。
【0091】
また、廃棄物処理システム50は、監視装置(図示せず)、例えば、ビデオおよび/またはオーディオレコーダを備えていてもよい。監視装置は、廃棄物処理システム50の使用の映像および/または音声を監視および/または記録するために利用されてもよい。実時間の映像および/または音声および/またはすでに記録された映像および/または音声は、制御装置のメモリ内に記憶されてもよいし、廃棄物処理システム50から遠隔的に記憶されてもよい。一例では、監視装置は、ロッキングアセンブリ54上、例えば、ロックハウジング236の前壁244上に配置される。
【0092】
廃棄物処理システム50は、制御装置と通信する識別リーダー(図示せず)を備えていてもよい。識別リーダーは、廃棄物レシーバ52,292,300に関連付けられた識別タグを読み取るように構成されている。一例では、識別リーダーは、ロッキングアセンブリ54上、例えば、ロックハウジング236の前壁244上に配置されている。例示的な識別タグの例として、とりわけ、無線識別(「RFID」)タグ、バーコードラベル、迅速応答(QR)コード、印刷されたシリアル番号、集積回路、等が挙げられる。RFIDタグの例として、バッテリを内蔵し,自主的に信号を伝送するアクティブRFIDタグ、バッテリを有せず,信号伝送をもたらすための外部源を必要とするパッシブRFIDタグ、または起動するのに外部源を必要とするが、より大きな範囲にわたる著しく高度の返信リンク能力を有するバッテリー補助パッシブ(BAP)RFIDタグが挙げられる。識別タグを読み取る識別リーダーに基づく機能性として、一旦廃棄物レシーバ52,290,300がロッキングアセンブリ54に適切に連結されたなら、制御装置に信号を伝達することが挙げられる。他の例では、廃棄物レシーバ52,290,300の識別タグからおよび/または識別タグに対する読み取り情報、書き込み情報、および/または再書き込み情報が挙げられ、これによって、例えば、廃棄物レシーバ52,290,300は、2回以上用いられないこことになる。識別リーダーは、廃棄物レシーバ52,290,300の特定の1つに特有の情報を読み取り、もし同じ識別タグが後で検出されたなら、制御装置は、ユーザーに警告をもたらすためにインジケータの1つを起動させるとよい。さらに他の例として、永久処分箇所、病院内の位置、または他の適切な場所への廃棄物レシーバ52,290,300の配置、搬送、および/または送達を追跡するために、制御装置が識別リーダーからの情報を受信することが挙げられる。
【0093】
[例示的な条項]
条項1:固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物を受け入れるためにレシーバ本体に連結されるように適合された分流器であって、固相医薬品がパッチ材料を含む、分流器において、本体部分と、本体部分に連結された固体受入ガイドであって、固相医薬廃棄物を固体廃棄物空間に導くように適合されている、固体受入ガイドと、レシーバ本体を廃棄するために固相医薬廃棄物をレシーバ本体内に密封するように適合されたリテーナキャップと、本体部分に連結され、固体受入ガイド内に少なくとも部分的に配置された切断要素であって、固体受入ガイド内への挿入時にパッチを切断するように配置されている、切断要素と、を備える、分流器。
【0094】
条項2:固体受入ガイドは、細長であり、切断要素は、細長の固体受入ガイドと実質的に直交するように配向されている、条項1に記載の分流器。
【0095】
条項3:本体部分に連結され、液体受入ガイドに連通する流体分配器をさらに備え、流体分配器は、液体医薬廃棄物を液体受入ガイドから液体廃棄物空間に分配するように適合された複数の開口を備える、条項1に記載の分流器。
【0096】
条項4:固体受入ガイドに連結され、固相医薬廃棄物を受け入れるように適合された嚢をさらに備える、条項1に記載の分流器。
【0097】
条項5:本体部分に連結されたバリアをさらに備え、バリアは、固体受入ガイド内への固相医薬廃棄物の挿入を可能にする開形態と固体受入ガイド内への固相医薬廃棄物の挿入を阻止する閉形態との間で移動可能であり、バリアは、閉形態に付勢されている、条項1に記載の分流器。
【0098】
条項6:バリアは、固体受入ガイドよりも小さく、固体受入ガイドは、閉形態にあるバリアに隣接する丸薬開口を画定している、条項5に記載の分流器。
【0099】
条項7:本体部分に連結され、液相医薬廃棄物を液体廃棄物空間に導くように適合された液体受入ガイドをさらに備え、リテーナキャップは、レシーバ本体を廃棄するためにレシーバ本体内の固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物を密封するように適合されている、条項1に記載の分流器。
【0100】
条項8:固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物を受け入れるための廃棄物レシーバであって、固定空間を画定するレシーバ本体と、レシーバ本体内に配置され、固相医薬廃棄物を受け入れるように適合された嚢とを備え、レシーバ本体は、嚢から離れた液体廃棄物空間をレシーバ本体内に含むように適合され、液体廃棄物空間は、レシーバ本体の固定空間と嚢との間の差によって画定されている、廃棄物レシーバ。
【0101】
条件9:リテーナキャップをさらに備え、リテーナキャップは、廃棄物レシーバを廃棄するために、固相医薬廃棄物および液相医薬廃棄物をレシーバ本体内に密封するように適合されている、条項8に記載の廃棄物レシーバ。
【0102】
条項10:レシーバ本体内に配置された固体受入ガイドをさらに備え、嚢は、固体受入ガイドに連結されている、条項8に記載の廃棄物レシーバ。
【0103】
条項11:レシーバ本体内において嚢の外に配置された液体受入ガイドをさらに備える、条項10に記載の廃棄物レシーバ。
【0104】
条項12:嚢内に配置された反応剤をさらに備え、反応剤は、嚢内に受け入れられた固相医薬廃棄物を改質させるように適合されている、条項8に記載の廃棄物レシーバ。
【0105】
条項13:レシーバ本体内において嚢外に配置された流体吸収体をさらに備え、流体吸収体は、液体廃棄物空間内に受け入れられた液相医薬廃棄物を吸収し、拡張するように適合されている、条項8に記載の廃棄物レシーバ。
【0106】
含む(「include」,「includes」,および「including」)という用語は、備える(「comprise」,「comprises」,および「comprising」)という用語と同じ意味を有することを理解されたい。
【0107】
以上、いくつかの実施形態について検討してきた。しかし、ここで検討したこれらの実施形態は、排他的であることを意図せず、すなわち、本発明をいくつかの特定の形態に制限することを意図していない。用いられた技術用語は、制限のための用語というよりもむしろ説明のための用語であることが意図されている。上記の示唆に照らして多くの修正および変更が可能であり、本発明は、具体的に記載される以外の方法によって実施されてもよい。