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特許7183201発泡TPUとコーティングとを含んでなる物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】発泡TPUとコーティングとを含んでなる物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20221128BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20221128BHJP
   C09D 175/00 20060101ALI20221128BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221128BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221128BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20221128BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20221128BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20221128BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B32B27/40
B32B5/18
C09D175/00
C08G18/00 F
C08G18/48
C08G18/73
B05D1/36
B05D7/02
B05D7/24 301F
B05D7/24 302T
B05D7/24 302S
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019572580
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067207
(87)【国際公開番号】W WO2019007767
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】17179592.5
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ、イーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ミヒャエリス
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038910(WO,A1)
【文献】特表2011-523962(JP,A)
【文献】特表2014-511923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09D 175/00
C08G 18/00
B05D 1/00-7/26
C08J 7/04
B29C 44/00-44/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材としての、発泡熱可塑性ポリウレタン粒子が融合してなる発泡熱可塑性ポリウレタンと、前記基材の少なくとも一部にコーティングとを含んでなる物品であって、前記コーティングが少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液の硬化物からなり、前記ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなる、物品。
【請求項2】
前記発泡熱可塑性ポリウレタンが少なくとも一種のポリエーテルを含んでなる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記発泡熱可塑性ポリウレタンが少なくとも一種の潤滑剤をさらに含んでなる、請求項1または2のいずれか一項に記載の物品。
【請求項4】
前記少なくとも一種の潤滑剤が、タルク、金属化合物、シリカ、C10-C22カルボン酸の塩、C10-C22カルボン酸のエステル、シリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそれらの少なくとも二種の組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記ポリウレタン尿素が少なくとも下記の遊離体の反応によって得られる、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品:
a)ポリカーボネートジオール、
b)鎖延長剤としての脂肪族または脂環式ジアミンまたはヒドラジン、および
c)脂肪族、脂環式、または芳香族ジイソシアネート。
【請求項6】
前記ポリウレタン尿素がアルコキシシラン構造単位を含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記少なくとも一種の有機溶媒が、トルエン、イソプロパノール、1-メトキシプロパン-2-オール、1-メトキシプロピルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、およびそれらの少なくとも二種の組み合わせからなる群より選択される請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記ポリウレタン尿素溶液が少なくとも一種の着色剤をさらに含んでなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記ポリウレタン尿素溶液が少なくとも一種のポリイソシアネートをさらに含んでなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
靴底、シート、例えば自動車のシートもしくはチャイルドシート、チューブ、例えば自転車のチューブ、ロール、例えばキャビンロール、バンパー、例えば自動車のバンパー、クッション、およびマットレス、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の前記物品を含んでなる、履物。
【請求項12】
下記の工程:
1)発泡熱可塑性ポリウレタン粒子が融合してなる発泡熱可塑性ポリウレタンを含んでなる基材を準備すること、
2)少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を、工程1)の前記基材の少なくとも一部に適用すること、ここで、ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなる、3)コーティングを得るために工程2)の前記ポリウレタン尿素溶液を硬化させること、ならびに4)所望により、工程2)および3)を少なくとも1回繰り返し、工程2)を繰り返す場合に、工程3)または繰り返された工程3)で得られた硬化コーティングに、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を適用することを含んでなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の前記物品の製造方法。
【請求項13】
工程2)において、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなる前記水性ポリウレタン尿素溶液が、ブラッシング、スプレー、ローリング、ロールコーティング、スロットコーティング、浸漬、および/または印刷により基材に適用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程2)においてかつ/または工程2)を繰り返す場合に使用される前記ポリウレタン尿素溶液が、DIN EN ISO3219/A.3に準拠して50~40000mPasの粘度を有する、請求項12または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
発泡熱可塑性ポリウレタン粒子が融合してなる発泡熱可塑性ポリウレタンを含んでなる基材の装飾コーティングのための、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液の使用であって、前記ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなる使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材として発泡熱可塑性ポリウレタンを含んでなり、かつ該基材上に特定のコーティングを含んでなる物品、履物、該物品を製造する方法、ならびにポリウレタン尿素溶液の使用に関する。
【0002】
発泡熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、柔軟性、弾性、および振動減衰特性で知られている(国際公開第94/20568A1号)。一般に、発泡TPUは、得られた熱可塑性ポリウレタンの成分の押出過程と、それに続く造粒過程を用いて製造される。粒子の発泡は、推進剤(propellant)/発泡剤で粒子を含浸させ、続いて熱処理することによって(国際公開第2007/082838A1号)、または例えば、推進剤(propellant)/発泡剤を含有するミクロスフェアのマスターバッチを使用することによって(国際公開第2005/023920A1号)、蒸気または高温の空気のいずれかで誘発することができる。さまざまな推進剤(propellants)/発泡剤が粒子の発泡に有用である(概要が国際公開第2010/136398A1号に示されている)。
【0003】
それぞれの製品を製造および成形するには、発泡TPUは通常、型に入れられ、蒸気や熱に曝されて、結果として発泡粒子の外面が融合する。しかし、発泡TPU粒子を輸送する場合、例えばそれらを型に流し込むだけでなく、袋、樽、パイプなどで輸送する場合、それらの粒子は互いに付着する傾向があり、それぞれの表面に凝塊および好ましくない沈着を生じさせる。これは、一方では発泡TPU粒子の加工性に影響し、他方では物品の製造プロセス全体の制御性と再現性に悪い影響を及ぼす。
【0004】
したがって、通常、潤滑剤などの添加剤が、上記の付着の問題を軽減するために、製造中または製造後に発泡TPU粒子に添加される(例えば国際公開第2013/182555A1号)。これらの添加剤は、輸送中の粒子の付着を減少または防止するが、生成される製品の内部および表面に残る。したがって、発泡TPUを含んでなる得られた物品上にコーティングを生成することを目的とするあらゆるアプローチは、物品上の潤滑剤が成形発泡TPUの表面とコーティング自体の間の付着に負の影響も示すという問題に直面する。
【0005】
したがって、発泡TPU基材をうまくコーティングしようとした多くの実験が失敗した。これは、発泡TPU基材が可撓性であり、したがって、この基材が使用時に曲げられても(歩行時の靴底など)、それぞれのコーティングが基材に付着する必要があるということに起因する。したがって、例えばアクリルコーティングなどの、剛性表面の抵抗性(耐薬品性、耐水性、引っかき抵抗性、耐紫外線性、および/または耐久性など)を向上することが知られている多くのコーティングも、ひびが入り、曲げられた可撓性基材から剥離する。
【0006】
それでもなお、改良または装飾された外観を提供する、パターンを適用する、または耐水性、耐薬品性、引っかき抵抗性、耐紫外線性、および/もしくは耐久性を高めるために、それらの基材をコーティングすることが望ましい場合がある。
【0007】
発泡TPU基材の外観を改良するために、発泡TPU粒子自体の染色が記載されている方法がある。国際公開第2014/052243A1号および国際公開第2005/023920A1号は、得られる物品の色を変えるための染料の添加について記載している。しかし、染色の方法には、原則として、実際に必要な染料の量が、所望の効果を得るために必要な染料の量を超えるという欠点がある。得られる成形品の外面のみが見えるので、物品の内側にある染料は不要である。これは、発泡TPUを含んでなる染色物品を製造する際のコストの増加につながる。さらに、染料自体は、発泡TPU物品の得られる特性に影響を与える可能性があり、したがって具体的に適合させる必要がある。
【0008】
国際公開第2012/065926A1号は、2成分ポリウレタンを含むハイブリッド材料の製造前に、最初に洗浄によって発泡粒子を、助剤の付着残留物のない状態にすることを記載している。洗浄は硝酸と水を使用して行われる。この方法では、洗浄の追加工程が生じ、そのうえ、刺激の強い物質が洗浄に使用される。
【0009】
国際公開第2009/120560A1号は、水性2成分コーティング組成物でコーティングされた発泡TPU(foamed TPU)含んでなる物品を記載している。しかし、この文献では、発泡TPU(foamed TPU)基材の使用についてのみを記載しているにすぎない。TPU発泡体(TPU foams)は、発泡TPUとはまったく異なる方法を使用して製造されるので、それぞれの基材の外面に潤滑剤が存在するという問題に直面しない。したがって、この先行技術文献は、本質的に潤滑剤を必要とせず、したがって潤滑剤を含まない発泡体の表面上のコーティングについて記載している。そうした理由で、該文献の発明者らは、記載のコーティングがTPU発泡体(TPU foam)に付着することを発見した。
【0010】
この先行技術に鑑みて、本発明の目的は、先行技術から公知の少なくとも1つ、好ましくはすべての欠点を克服することであった。特に、本発明の目的は、発泡TPUに十分に付着するコーティングを提供することであった。さらに、本発明の特定の目的は、発泡TPUを折り曲げた(bending)ときまたは曲げた(flexing)ときでも付着する発泡TPU上のコーティングを提供することであった。発泡TPUは、その表面上に存在する潤滑剤を洗浄または除去する必要がないことが好ましい。
【0011】
これらの目的は、以下に詳細に記載する本発明による物品、本発明による履物、本発明による物品を製造する方法、および本発明による使用によって達成された。
【0012】
本発明によれば、基材としての発泡熱可塑性ポリウレタンと、前記基材の少なくとも一部にコーティングとを含んでなる物品が提供され、そのコーティングは、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を硬化することによって得られ、そのポリウレタン尿素はポリカーボネート構造単位を含んでなることを特徴とする。
【0013】
驚くべきことに、ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなり、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液が発泡TPU基材に付着することが見出された。さらに、驚くべきことに、発泡TPU上の潤滑剤の存在下でさえ、発泡TPU上のコーティングの付着が十分であることが見出された。したがって、製造方法に起因して発泡TPUの表面に存在する添加剤を洗浄するステップまたは添加剤の除去する必要がない。
【0014】
理論に縛られることを望むものではないが、ポリウレタン尿素コーティングのポリカーボネート構造単位は、発泡TPU表面への付着を促進すると考えられる。さらに、以下に述べるように特に選ばれた溶媒を使用することによって、ポリウレタン尿素コーティングと発泡TPU表面の付着性が付加的に向上し、好ましくは相乗的に向上すると考えられる。特定の有機溶媒を含有するポリウレタン尿素溶液を使用すると、発泡TPUの表面は部分的に溶解し、すなわち部分的に膨潤すると考えられている。したがって、溶液に存在するポリウレタン尿素ポリマー鎖は、発泡TPU表面の緩んだ網状組織に部分的に浸透でき、溶媒の蒸発時にポリウレタン尿素の物理的な閉じ込め(相互浸透ネットワークの形成)をもたらす。しかし、発泡TPU表面はわずかに膨潤するだけなので、発泡TPUのバルク特性はその過程によって著しく影響を受けず、完全に維持されるようである。
【0015】
さらに、驚くべきことに、ポリカーボネート構造単位を含んでなるポリウレタン尿素コーティングの付着性は、物品が折り曲げられた(bent)または曲げられた(flexed)場合でも十分であることがわかった。したがって、発泡TPU上に安定したコーティングが得られ、その付着性は、物品が折り曲げられた(bent)または曲げられた(flexed)場合でも維持される。同時に、発泡TPU基材の特性、すなわち機械的特性および/または機能的特性は、好ましくは-20~+40℃の範囲の温度で維持される。
【0016】
くわえて、発泡TPU基材をコーティングすることによって、基材の耐水性、耐薬品性、引っかき抵抗性、耐紫外線性、および/または耐久性がうまく向上した。特に、コーティングによって発泡TPUの表面の耐汚れ性(soil resistance)を比較して上げることができる(can be increased by the coating compared to)。さらに、発泡TPUの表面の粗さを比較して小さくすることができる(can be decreased compared to)。
【0017】
本発明によれば、「発泡TPU」という表現は、熱可塑性ポリウレタンでできた粒子発泡体を指す。好ましくは、この用語は、発泡TPU粒子を形成し、それらを型で成形することによって得られる製品を指す。発泡TPU粒子の表面に潜在的に存在する添加剤、好ましくは潤滑剤を除去できる、かつ/または除去することを意図する、この得られた成形品の洗浄(washing)または洗浄(cleaning)が行われないことが好ましい。しかし、これは、発泡TPUが基材のコーティングの前、例えばダストの除去などの前に、それによって発泡TPU基材の表面の添加剤が意図せず除去される、通常使用される従来の方法で洗浄されないことを意味するものではない。必要であれば、好ましくは5重量%未満のイオン性またはアニオン性界面活性剤を含んでなることができるアセトンまたはアルコールをベースとするPUクリーナーを使用することができる。PUクリーナーの例には、ウルト社(Adolf Wuerth GmbH&Co.KG、キュンツェルザウ-ガイスバッハ、ドイツ)のPUSR500、ドクター・シュルツ社(CC-Dr-Schutz GmbH、ボン、ドイツ)のCC-PU-Reinigerなどがある。したがって、好ましくは、発泡TPU基材は、その製品の加工に起因して存在する添加剤の大部分を本質的に含んでなる。好ましくは、発泡TPU基材は、コーティングに供したときの発泡TPU100部に対して、0.1~10重量部、より好ましくは0.25~7.55重量部、最も好ましくは0.5~6重量部の少なくとも一種の潤滑剤を含んでなる。潤滑剤は、発泡TPU基材に均一に分散して存在しうる。しかし、発泡TPU粒子の表面に蓄積されることが好ましい。本発明によれば、「潤滑剤」という用語は、好ましくは、発泡することになるポリマー粒子の流動性を維持または増強することができる薬剤を指す。
【0018】
発泡TPUはクローズドセル構造を有することが好ましい。
【0019】
好適なTPUおよび発泡TPU基材の調製方法は、当業者に公知である。好ましくは、発泡TPU基材は、国際公開第94/20568A1号、国際公開第2007/082838A1号、国際公開第2005/023920A1号、国際公開第2007/045586A1号、国際公開第2010/136398A1号、国際公開第2014/126799A1号、および国際公開第2013/153153A1号に記載の方法のいずれか1つに従って製造され、それらは、発泡TPUの製品および/または発泡TPU基材に関する参照として本明細書に組み込まれる。
【0020】
好ましくは、TPUは、イソシアネート(a)と、好ましくは0.5kg/mol~10kg/molのモル質量のイソシアネートに対して反応性のある化合物(b)と、適切な場合、好ましくは0.06kg/mol~0.5kg/molのモル質量の鎖延長剤(chain extenders)(c)との混合物の反応によって生成される。他の好ましい実施態様では、TPUの製造のために、少なくとも一種の鎖調節剤(chain regulator)(c1)、および少なくとも一種の触媒(d)、および適切な場合、少なくとも一種の充填剤、補助剤、および/または少なくとも一種の添加剤(e)も混合物に加えられる。
【0021】
TPUの製造中に通常使用される成分(a)、(b)、(c)、(c1)、(d)、および(e)は、以下の例で説明され、次の物質の群を含んでなる:イソシアネート(a)、イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)、鎖延長剤(c)、鎖調節剤(c1)、触媒(d)、および/または少なくとも一種の従来の充填剤、補助剤、および/または添加剤(e)。
【0022】
TPUの製造には、イソシアネート(a)とイソシアネートに対して反応性のある化合物(b)の混合物が常に必要である。成分(c)、(c1)、(d)、および(e)の更なる添加は任意選択であり、個々に、または可能な変形のいずれかを使用することによって行うことができる。ここでの成分とは、個々の物質または前記成分内の物質の混合物を意味する。
【0023】
イソシアネート(a)成分、イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)、鎖延長剤(c)、およびもし使用する場合、鎖調節剤(c1)は、構造成分と呼ばれる。好ましい実施態様では、使用される有機イソシアネート(a)は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族(araliphatic)、および/または芳香族イソシアネート、およびさらに好ましいジイソシアネートを含んでなる。好ましいジイソシアネートの例は、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、および/またはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-および/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート、および/またはジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-および/または2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、ならびにフェニレンジイソシアネートである。
【0024】
好ましい実施態様では、イソシアネートに対して反応性のある使用化合物(b)は、ポリエステロール、ポリエーテロール、および/またはポリカーボネートジオールを含んでなり、これらの別の慣習的な一般用語は「ポリオール」である。
【0025】
TPUは、少なくとも一種のポリエーテルアルコールから製造されることが好ましく、少なくとも一種のポリエーテルジオールを使用することが特に好ましい。したがって、得られる発泡熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも一種のポリエーテルを含んでなることが好ましい。非常に特に好ましいポリエーテルジオールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。ポリエーテルアルコールは、好ましくはモル質量0.6kg/mol~4.5kg/mol、特に好ましくはモル質量0.8~2.5kg/molで使用される。ポリエーテルアルコールは、個々に、あるいはさまざまなポリエーテルアルコールの混合物の形で使用される。
【0026】
代替的な実施態様では、TPUはポリエステルアルコールから製造される。好ましい一実施態様では、この目的のためにポリエステルジオールが使用される。1つの好ましいポリエステルジオールは、アジピン酸と1,4-ブタンジオールから製造される。ポリエステルアルコールの好ましい実施態様は、0.6kg/mol~4.0kg/molのモル質量、特に好ましくは0.8~2.5kg/molのモル質量を有する。
【0027】
さらに好ましい実施態様では、前記ポリオールの平均官能価は1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特に2である。
【0028】
好ましい実施態様で使用される鎖延長剤(c)は、脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族、および/または脂環式化合物を含んでなり、さらに好ましい実施態様では、0.06kg/mol~0.5kg/molのモル質量を有する。いくつかの好ましい実施態様では、鎖延長剤(c)は、2つの官能基を有する化合物、例えば、ジアミン、ならびに/またはアルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特に1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ならびに/または、4~20個の炭素原子を有する、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-、および/またはデカアルキレングリコール、ならびに対応するオリゴグリコールおよび/またはポリプロピレングリコールである。更なる実施態様では、上記の鎖延長剤の混合物がTPUの製造に使用される。
【0029】
いくつかの実施態様では、鎖調節剤(c1)が通常0.03kg/mol~0.5kg/molのモル質量で使用される。鎖調節剤は、イソシアネートに関連する官能基を1つだけ有する化合物である。鎖調節剤の例は、一価アルコール、単官能性(monofunctional)アミン、好ましくは1-ブチルアミン、1-ヘキシルアミン、および/または一価ポリオール、好ましくは1-ブタノール、1-ヘキサノール、および1-オクタノールである。鎖調節剤を使用して、個々の成分から構成される混合物の流動特性を所望のように調整することができる。
【0030】
好ましい実施態様で使用される鎖調節剤の量は、イソシアネートに対して反応性のある化合物b)に対して、0重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~1重量%である。鎖調節剤は、鎖延長剤にくわえて、または鎖延長剤の代わりに使用される。
【0031】
更なる実施態様では、少なくとも一種の触媒(d)がTPU製造に使用され、特にジイソシアネート(a)のNCO基と、イソシアネート、好ましくは構造成分(b)、(c)、および(c1)のヒドロキシ基に対して反応性のある化合物との反応を促進する。好ましい実施態様では、触媒は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N、N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、および類似する物質の群から選択されている。さらに好ましい実施態様において、少なくとも一種の触媒は、有機金属化合物の群から選択されており、言及されうる例は、チタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、例えば二酢酸スズ、二オクタン酸スズ、ジラウリン酸スズ、または脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどである。
【0032】
ある実施態様では、触媒が個々に使用され、他の実施態様では、上記の少なくとも二種の触媒の混合物が使用される。好ましい実施態様において、触媒または触媒混合物の使用量は、イソシアネート、好ましくはポリヒドロキシ化合物に対して反応性のある化合物(b)に対して0.0001重量%~0.1重量%である。ポリマー(polymeric)および低分子量カルボジイミドなどの加水分解安定剤も、触媒(d)とともに、または触媒の使用なしに、構造成分(a)~(c)および必要に応じて(c1)に添加することができる。
【0033】
更なる実施態様では、TPUはリン化合物を含んでなることができる。好ましい一実施態様で使用されるリン化合物は、三価リンの有機リン化合物、例えば亜リン酸塩およびホスホナイトを含んでなる。適切なリン化合物の例は、亜リン酸トリフェニル、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、亜リン酸トリラウリル、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ジフェニレンジホスホナイト、トリイソデシルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、およびジフェニルイソデシルホスファイト、またはそれらの混合物である。
【0034】
特に好ましい実施態様は、リン化合物の対応する酸への加水分解がポリウレタン、特にポリエステルウレタンへの損傷をもたらしうるので、加水分解しにくいリン化合物を含んでなる。したがって、特にポリエステルウレタンの場合、好適なリン化合物は、特に耐加水分解性の化合物である。耐加水分解性リン化合物の好ましい実施態様は、ジポリプロピレングリコールフェニルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルモノデシルホスファイト、トリイソノニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ジフェニレンジホスホナイト、およびジ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、またはそれらの混合物である。
【0035】
更なる実施態様では、TPUは、酸化防止剤、光安定剤、UV安定剤、蛍光増白剤、および離型剤のような更なる添加剤を含んでなることができる。
【0036】
構造成分(b)と(c)のモル比は比較的広い範囲内で変わりうる。好ましい実施態様では、使用される鎖延長剤(c)の総量に対する成分(b)のモル比は10:1~1:10、好ましくは5:1~1:8、より好ましくは3:1~1:4で変動し、鎖延長剤(c)の含有量が増加するにつれて、ここでのTPUの硬度が高くなる。
【0037】
上で説明してきたように、得られる発泡TPU粒子には、発泡過程の前および/または後に、少なくとも一種の潤滑剤が供給される。好適な潤滑剤の例は、タルク、リン酸三カルシウムなどの金属化合物、炭酸カルシウム、シリカ、特にデグッサ(Degussa)のアエロジル(Aerosil)(商標)などのヒュームドシリカ、長鎖(例えばC10-22)カルボン酸の塩、例えば、ステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸塩、長鎖カルボン酸のエステル、例えば、ステアリン酸グリセロールなどのグリセロールエステル、シリコーンオイル、およびポリテトラフルオロエチレンである。潤滑剤は一般に、混合、スプレー適用(spray application)、ドラム適用、または他の従来の方法を介して、発泡されていてもよいTPU粒子(the optionally expanded TPU particles)に適用される(applied)。通常、発泡されていてもよいTPU(the optionally expanded TPU)100重量部に対して、0.01~20重量部、好ましくは0.1~10重量部、特に好ましくは0.5~6重量部の量で使用される。
【0038】
したがって、本発明の実施態様によれば、発泡熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも一種の潤滑剤をさらに含んでなることが好ましい。より好ましくは、少なくとも一種の潤滑剤は、タルク、金属化合物、シリカ、C10-C22カルボン酸の塩、C10-C22カルボン酸のエステル、シリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそれらの少なくとも二種の組合せからなる群から選択される。さらに好ましくは、少なくとも一種の潤滑剤は、ステアリン酸塩、タルク、シリコーンオイル、グリセロールのエステル、ポリテトラフルオロエチレン、またはそれらの少なくとも二種の組み合わせからなる群から選択される。
【0039】
本発明によれば、発泡TPU基材は、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を硬化させることによって得られるコーティングで少なくとも部分的にコーティングされ、そこにおいて、ポリウレタン尿素はポリカーボネート構造単位を含んでなる。好ましくは、基材は、基材の全表面に対して10から100%の範囲、または好ましくは20から100%の範囲、または好ましくは30から100%の範囲、または好ましくは30から70%の範囲、または好ましくは40から60%の範囲のコーティングによってコーティングされる。靴、バッグ、シート等のような内面と外面を有する、閉じたまたは本質的に閉じた構造体がコーティングされる場合、基材の外面の少なくとも一部のみがコーティングによってコーティングされることが好ましい。
【0040】
本発明によれば、「コーティング」という用語は、画定された接触面を介して基材に接触している層を指す。画定された接触面の例は、表面へのコーティングの直接接触または領域的に制限されうる更なる層を介した間接接触である。コーティングは基材に直接接触していることが好ましい。コーティングは基材自体よりも薄いことが好ましい。好ましくは、コーティングは1~100μmの範囲、または好ましくは1.5~50μmの範囲、または好ましくは3~25μmの範囲の厚さを有する。
【0041】
発泡TPU基材をコーティングするために使用されるそれぞれのポリウレタン尿素溶液は、当業者に公知である。
【0042】
好ましくは、本発明のポリウレタン尿素は、少なくとも次の遊離体(educts)の反応によって得られる。
a)ポリカーボネートジオール、
b)鎖延長剤としての脂肪族または脂環式ジアミンまたはヒドラジン、および
c)脂肪族、脂環式、または芳香族ジイソシアネート。
【0043】
より好ましくは、本発明のポリウレタン尿素は、少なくとも次の遊離体(educts)の反応によって得られる。
a)600~4000g/mol、特に好ましくは1000~3000g/molの分子量を有する少なくとも一種のマクロジオール(ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、もしくはポリカーボネートジオール)、または少なくとも二種の前記マクロジオール成分の混合物、または前記マクロジオールの一種と、50~500g/molの分子量を有する短鎖脂肪族ジオールの混合物であって、マクロジオール1モルあたり0.2~0.5molの短鎖脂肪族ジオールが加えられ、但し少なくとも一種のポリカーボネートジオールが使用される混合物、
b)いわゆる鎖延長剤としての、マクロジオール1モルあたり0.5~2.0molの脂肪族または脂環式ジアミンまたはヒドラジン、および
c)マクロジオール1モルあたり、1.5~3.0molの脂肪族、脂環式、または芳香族ジイソシアネート、好ましくは脂肪族または脂環式ジイソシアネート。
【0044】
マクロジオールa)、すなわち、平均ヒドロキシル官能価が好ましくは約1.8から2.2、または好ましくは1.95から2.05のポリヒドロキシル化合物が基本的に好適であり、但し少なくとも一種のポリカーボネートジオールが使用される。高度の架橋は、得られるポリウレタン尿素溶液を非常に高い粘度があるものにし、コーティング溶液として加工するのに不利であるので、マクロジオールのより多い分岐は避けるべきである。
【0045】
好適なポリカーボネートジオールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、またはジ、トリ、もしくはテトラエチレングリコールなどのジオールを、ジアリールまたはジアルキルカーボネートまたはホスゲンと反応させることによって調製できるものである。好ましいポリカーボネートジオールは、1,6-ヘキサンジオールと、変性作用を有するコジオール、例えば1,4-ブタンジオール、またはε-カプロラクトンをベースとするものである。
【0046】
ヒドロキシル基を含有する好適なポリエーテルは、エチレンオキシドや、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンなどの環状エーテルを、例えばBFの存在下で、それ自体と重合させることによって、またはこれらの環化合物を、任意選択で混合物中で、または連続して、アルコールまたはアミンなどの反応性水素原子を有するスターター成分、例えば水、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、もしくは1,3-プロピレングリコールに付加することによって調製されるものである。
【0047】
ヒドロキシル基を含有する好適なポリエステルは、例えば、多価アルコール、好ましくは二価アルコールと、多塩基性カルボン酸、好ましくは二塩基性カルボン酸との反応生成物である。ポリエステルは、遊離カルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステル、またはそれらの少なくとも二種の混合物を使用して調製することもできる。
【0048】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、および/または複素環式の性質をもつことができ、ハロゲン原子で置換されていてもよく(can optionally be substituted)、かつ/または不飽和でありうる。例として以下を挙げることができる:
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、またはテレフタル酸ジメチル。
【0049】
好適な多価アルコールの例は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、または2-メチル-1,3-プロパンジオールである。ラクトンからのポリエステル、例えばε-カプロラクトンも使用することができる。
【0050】
好適な短鎖脂肪族ジオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエタノールアミン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N-メチルジイソプロパノールアミン、1,3-プロパンジオール、1,4-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、または1,6-ヘキサンジオールである。マクロジオール1モルあたり0.2~0.5molの短鎖脂肪族ジオールが加えられる。
【0051】
いわゆる鎖延長剤b)も、本発明に従って使用されるポリウレタン尿素溶液の製造に使用されることが好ましい。そのような鎖延長剤は、ヒドラジンまたは脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、もしくは他の脂肪族ジアミンである。1,4-ビス(アミノ-メチル)シクロヘキサン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、ならびに他の(C-C)-ジアルキル-および(C-C)-テトラアルキル-ジシクロヘキシルメタン、例えば4,4’-ジアミノ-3,5-ジエチル-3’,5’-ジイソプロピルジ-シクロ-ヘキシル-メタンなどの脂環式ジアミンも好適である。1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチル-シクロヘキサン(イソホロンジアミン)および4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。
【0052】
マクロジオール混合物a)1モルあたり、約0.5~2.0mol、好ましくは0.6~1.7molの鎖延長剤b)が使用される。
【0053】
マクロジオール混合物と反応したイソシアネートの部分を差し引いた後に残るイソシアネートに対して、ほぼ等量の鎖延長剤を使用するのが慣習的である。しかし、NCO基の約30~80%にまで下げて、等量より少ない量を使用することが好ましい。残留NCO基は、ブチルアミン、ステアリルアミン、トリアルコキシシリルプロパンアミン、ブタノンオキシム、またはモルホリンなどの単官能性ターミネーターと反応することができる。これにより、分子量の過度の成長または架橋および分岐反応が防止される。溶媒混合物に含まれるアルコールも、この形で鎖延長剤として作用しうる。
【0054】
使用できるジイソシアネートc)は、個々にまたは任意の所望の相互混合物で、平均≧1、好ましくは≧2のNCO官能価を有する、当業者に公知のすべての脂肪族、脂環式、および/または芳香族イソシアネートである。それらがホスゲン法によって調製されたか、ホスゲンフリー法によって調製されたかは重要ではない。
【0055】
脂肪族または脂環式系列のイソシアネートを使用することが好ましく、その炭素骨格(存在するNCO基は除く)は3~30個の炭素原子、好ましくは4~20個の炭素原子を有する。
【0056】
成分c)の特に好ましい化合物は、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル、ビス-およびトリス(イソシアナト-アルキル)ベンゼン、-トルエン、および-キシレン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、トリメチル-HDI(TMDI)、通常2,4,4および2,2,4異性体の混合物として)、ノナントリイソシアネート(例えば4-イソシアナト-メチル-1,8-オクタンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)またはビス(イソシアナトメチル)-ノルボルナン(NBDI)などの脂肪族および/または脂環式結合NCO基をもつ前述のタイプに対応する。
【0057】
成分(c)の非常に特に好ましい化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチル-HDI(TMDI)、2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)-イソシアナト-メチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート(IMCI)、および/または4,4’-ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、またはこれらのイソシアネートの少なくとも二種の混合物である。
【0058】
マクロジオール混合物a)の1モルあたり、約1.5~3.0mol、好ましくは1.7~2.8molのジイソシアネート成分c)が使用される。
【0059】
本発明によるポリウレタン尿素を製造するには、ポリカーボネートジオール、任意選択で低分子脂肪族ジオールおよびジイソシアネートを含んでなる少なくとも一種のマクロジオールを、ヒドロキシル基がすべて消費されるまで、溶融物中または溶液中で一緒に反応させる。これに続いて、更なる溶媒およびジアミン鎖延長剤を、任意選択で溶液中で添加する。目標粘度に達したとき、残留NCO基を単官能性(monofunctional)脂肪族アミンまたはブタノンオキシムでブロックする。
【0060】
得られるポリウレタン尿素は、アルコキシシラン構造単位を含んでなることが好ましい。これらの構造単位は、アルコキシシラン基含有停止剤の使用によってポリウレタン尿素に導入されるのが好ましい。好ましくは、構造単位は、少なくとも1つのアルコキシシラン基およびイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1つの化合物を使用することによって導入される。好ましくは、アルコキシシラン化合物は、アミノアルキルシロキサン、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリブトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリブトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、上記アルコキシシランと、例えばマレイン酸ジエチルエステルや、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸ジブチルエステルなどのマレイン酸ジアルキルエステルの反応生成物、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス-(3-トリメトキシ-シリル-プロピル)アミン、1つまたは2つのアルコキシ基がアルキル基で置き換えられている上記のタイプの化合物、ならびに少なくとも2つの上記のアルコキシシランおよび他のアルコキシシランの混合物である。
【0061】
アルコキシシラン構造単位は、得られるポリウレタン尿素コーティングの加水分解に対する安定性を向上することがわかっている。さらに、発泡TPU基材への付着性をさらに向上させる。
【0062】
本発明によるポリウレタン尿素溶液の少なくとも一種の有機溶媒は、トルエン、イソプロパノール、1-メトキシプロパン-2-オール、1-メトキシプロピルアセテート(methoxypropylacetat)、γ-ブチロラクトン(butyrolacton)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、またはそれらの少なくとも二種の組み合わせからなる群より選択されることが好ましい。これらの有機溶媒は驚くべきことにポリウレタンウレアの発泡TPU基材への付着性の向上をもたらす。これらの溶媒は、発泡TPU基材の外面層とポリウレタン尿素コーティングの間に相互浸透ネットワークの形成をもたらす上記特性を示すと考えられる。この点で最も好ましくは、少なくとも一種の有機溶媒はγ-ブチロラクトンを含んでなる。さらに最も好ましくは、少なくとも一種の有機溶媒は2-ブタノンである。この溶媒は、上記特性を兼ね備え、さらに毒性学的に許容されるので好ましい。
【0063】
少なくとも一種の有機溶媒は、上記溶媒の少なくとも二種の混合物であることが好ましい。より好ましくは、混合物は、2-ブタノンと、γ-ブチロラクトン、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、および1-メトキシ-2-プロパノールからなる群より選択される少なくとも一種の他の有機溶媒を含んでなる。さらに、エステルおよびケトン、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトンも同時に使用することができる。最も好ましくは、混合物は2-ブタノンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルを含んでなる。
【0064】
最も好ましくは、γ-ブチロラクトンの割合は、ポリウレタン尿素溶液の総重量に対して1重量%~80重量%、好ましくは3重量~20重量%、最も好ましくは4~10重量%である。
【0065】
さらに好ましくは、2-ブタノンの割合は、ポリウレタン尿素溶液の総重量に対して1重量%~80重量%、好ましくは25重量%~75重量%、最も好ましくは50~70重量%である。
【0066】
好ましくは、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液は、5~60重量%の固体、好ましくは6~40重量%の固体を含有する。
【0067】
本発明の一面では、ポリウレタン尿素溶液は、少なくとも一種の着色剤をさらに含んでなる。したがって、発泡TPU基材をコーティングすることによって、色および/またはパターンをもたらすという点でその外観を改善することができる。本発明による物品は、少なくとも1つの色を正確に配置すること、すなわち具体的に所望のところに与えることができるため、既知の染色されている物品よりも好都合に製造することができる。
【0068】
手触り改善剤(agents for improving handle)、染料、つや消し剤、紫外線安定剤、フェノール系酸化防止剤、光安定剤、疎水化剤(hydrophobizing agents)、および/または流動制御剤などの従来の添加剤と補助物質を併用することができる。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、ポリウレタン尿素溶液は、少なくとも一種のポリイソシアネートをさらに含んでなる。この追加のポリイソシアネートは、基材とコーティングの間の結合強度を向上する。追加のポリイソシアネートはオリゴマーポリイソシアネートであることが好ましい。使用できるポリイソシアネートは、好ましくは、個々にまたは任意の所望の混合物で、≧1、好ましくは≧2の平均NCO官能価を有する、当業者に公知のすべての脂肪族、脂環式、および/または芳香族イソシアネートである。それらがホスゲン法によって調製されたか、またはホスゲンフリー法によって調製されたかは重要ではない。より好ましくは、ポリイソシアネートは、ウレトジオン、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、および/もしくはオキサジアジントリオン構造、ならびにビウレット化(biuretized)ジイソシアネート、またはそれらの少なくとも二種の混合物からなる群より選択されるオリゴマーポリイソシアネートである。好ましくは、ポリイソシアネートは、重合、例えば三量化またはビウレット化(biuretized)された脂肪族、芳香脂肪族、または芳香族ジイソシアネートである。イソシアネートの好適なそのような変性反応は、例えば、ウレトジオン、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、アロファネートおよび/もしくはオキサジアジントリオン構造を形成するためのイソシアネートの触媒オリゴマー化のための従来の方法、または例えば、Laas et al., J. Prakt. Chem. 336, 1994, 185-200、独国特許出願公開第1670666A号、および欧州特許出願公開第0798299A号に記載されるようなジイソシアネートのビウレット化のための従来の方法である。芳香脂肪族ジイソシアネートをベースとするそのようなポリイソシアネートの具体的な説明は、例えば欧州特許出願公開第0081713A号、欧州特許出願公開第0197543A号、英国特許第1034152A号、および特開平05-286978号にも見られる。
【0070】
特に好ましいポリイソシアネートは、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル、ビス-およびトリス(イソシアナト-アルキル)ベンゼン、-トルエン、および-キシレン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、トリメチル-HDI(TMDI)、通常2,4,4および2,2,4異性体の混合物として)、ノナントリイソシアネート(例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、3-イソ-シアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、またはビス(イソシアナトメチル)-ノルボルナン(NBDI)などの脂肪族および/または脂環式結合NCO基をもつものである。
【0071】
追加のポリイソシアネートがポリウレタン尿素溶液に存在する場合、いずれの場合も好ましくはポリウレタン尿素溶液の100重量部に対して、0.1~10.0重量部、または好ましくは0.2~8重量部、または好ましくは0.3~5.0重量部、または好ましくは0.5~4.0重量部の量で存在することが好ましい。追加のポリイソシアネートのこの量は、得られるポリウレタン尿素コーティングの基材に対する接着強度を向上するのに有効であると同時に、コーティング自体が発泡TPU基材の特性に影響を及ぼしたり、インパクトを与えたりしないように十分に柔軟であることを確実にする。
【0072】
好ましくは、本発明による物品は、靴底、クッション、シート、例えば自動車のシートまたはチャイルドシート、チューブ、例えば自転車のチューブ、ロール、例えばキャビンロール、バンパー、例えば自動車のバンパー、およびマットレス、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群より選択される。最も好ましくは、本発明による物品は靴底である。
【0073】
本発明の別の面では、本発明による物品を含んでなる履物が提供される。
【0074】
本発明によれば、「含んでなる(comprising)」および/または「含有する(containing)」という用語は、好ましくは「本質的に含んでなる(essentially comprising)」を意味し、より好ましくは「からなる(consisting of)」を意味する。
【0075】
本明細書に記載されているいずれの分子量も、数平均分子量である。本明細書において数平均分子量は常に、23℃のテトラヒドロフラン中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。この手順は、DIN55672 1:「ゲル透過クロマトグラフィー、パート1-溶離液としてのテトラヒドロフラン(Gel permeation chromatography, Part 1 - Tetrahydrofuran as eluent)」(PSS Polymer Service社のSECurity GPCシステム、流量1.0ml/分、カラム:2×PSS SDV linear M、8×300mm、5μm、RID検出器)に従う。キャリブレーションは既知のモル質量のポリスチレン試料を使用して行われる。数平均分子量はソフトウェアの支援により計算される。ベースラインポイントと評価限界は、DIN55672パート1に従って特定される。
【0076】
そのうえ、本発明は、上記の各実施態様に記載の本発明による物品の製造方法に関する。
【0077】
本発明による方法は少なくとも次の工程を含んでなる。
1)発泡熱可塑性ポリウレタンを含んでなる基材を準備すること、
2)ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなり、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を、工程1)の前記基材の少なくとも一部に適用すること(applying)、
3)コーティングを得るために工程2)の前記ポリウレタン尿素溶液を硬化させること、ならびに
4)所望により(optionally)、工程2)および3)を少なくとも1回繰り返し、工程2)を繰り返す場合に、工程3)または繰り返された工程3)で得られた硬化コーティングに、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液を適用すること。
【0078】
基材およびポリウレタン尿素溶液は、本発明による物品に関して詳細に記載されている。すべての好ましい実施態様および実施態様の組み合わせは、本発明による方法において使用することができる。
【0079】
好ましくは、本発明による方法の工程2)において、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液は、ブラッシング、スプレー、ローリング、ロールコーティング、スロットコーティング、浸漬、および/または印刷により基材に適用される。当業者は、それぞれの適用技術に必要な特性(粘度など)を示すそれぞれの溶液を調製することができる。しかし、工程2)で使用されるポリウレタン尿素溶液および/または工程2)を繰り返す場合のポリウレタン尿素溶液は、DIN EN ISO3219/A.3に準拠する粘度が、50~40 000mPasの範囲、または好ましくは500~10 000mPasの範囲、または好ましくは1000~8000MPasの範囲、または好ましくは1500~5000mPasの範囲であることが好ましい。
【0080】
さらに好ましくは、工程3)でのポリウレタン尿素溶液の硬化は、熱を使用して行われる。温度は、基材の特性に適合させる必要がある。好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90℃、最も好ましくは60~80℃の温度が使用される。
【0081】
好ましい実施態様では、工程4)において工程2)および3)が1回繰り返される。これは、最初に硬化コーティングを含んでなる基材が提供され、この硬化コーティングの上にポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなり、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液が硬化コーティングに適用されることを意味する。それにより、(少なくとも)2層のコーティングが基材上に構築される。この実施態様では、工程2)で使用されたのと同じポリウレタン尿素溶液を工程4)で使用することもでき、またはポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなり、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなる異なるポリウレタン尿素溶液を使用することもできる。繰り返される工程2)で使用される異なるポリウレタン尿素溶液は、最初の工程2)のポリウレタン尿素溶液と比較して、少なくとも異なる量の、ポリウレタン尿素溶液の有機溶媒を含んでなることが好ましい。これは、工程4)の好ましい実施態様では、工程2)を繰り返す場合に使用されるポリウレタン尿素溶液が、工程2)で(すなわち工程2)を初めて行う場合に)使用されるポリウレタン尿素溶液と異なることを意味する。但し、ポリウレタン尿素がポリカーボネート構造単位を含んでなり、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなる水性ポリウレタン尿素溶液が使用される。このポリウレタン尿素溶液は、上記のポリウレタン尿素溶液のいずれか一種であることが好ましい。
【0082】
さらに別の面では、本発明は、発泡熱可塑性ポリウレタンを含んでなる基材の装飾コーティング(decorative coating)のための、少なくとも一種の有機溶媒を含んでなるポリウレタン尿素溶液の使用に関し、該ポリウレタン尿素はポリカーボネート構造単位を含んでなる。
【実施例
【0083】
溶液Aを用いた実施例1
【表1】
【0084】
ポリウレタン尿素溶液Aを得るために、最初にインプラニール2610をプロピレングリコールモノメチルエーテルと均一に混合した。次に、攪拌しながら2-ブタノンをゆっくりと加えた。次いで顔料を加えた。
【0085】
最後に、デスモジュールN 75 MPA/x-cnを加え、溶液に分散させた。
【0086】
国際公開第2007/045586A1号の実施例1に従って得られた発泡TPU靴底は、ウルト社(アドルフウルトGmbH&Co.KG、キュンツェルザウ-ガイスバッハ、ドイツ)のPUSR500の2ml/cmで洗浄した。
【0087】
従来のスプレーガンを使用して、洗浄した発泡TPU基材に溶液Aを適用した。その白い基材を、基材の白色がもはや見えなくなるまでコーティングした。コーティングされた基材を70℃で10分間硬化させた。
【0088】
基材へのコーティングの付着性は、手動ラバー/EVAラミネート法を使用して試験した。この試験では、ヒトが手を全力で使って基材からコーティングを手動で分離しようと試みた。コーティングの積層は決定することができなかった。
【0089】
溶液Bを用いた実施例2
【表2】
【0090】
ポリウレタン尿素溶液を得るために、最初にインプラニール2610をプロピレングリコールモノメチルエーテルと均一に混合した。次に、攪拌しながら2-ブタノンをゆっくりと加えた。
【0091】
最後に、追加のポリイソシアネートを加え、溶液に分散させた。
【0092】
溶液Bを、スプレーガンを使用して溶液Aを硬化させることによって得られたコーティングでコーティングされた発泡TPU基材に適用した。コーティングされた基材を70℃で10分間硬化させた。
【0093】
基材へのコーティングの付着性は、手動ラバー/EVAラミネート法を使用して試験した。この試験では、ヒトが手を全力で使って基材からコーティングを手動で分離しようと試みた。コーティングの積層は決定することができなかった。
【0094】
実施例1と2の両方で、コーティングした基材を乾燥した後、柔軟性があり、使用時に剥がれないドライタッチの表面が得られる。利用として、靴または日常生活の他の物品の通常の使用が可能である。異なる顔料を加えることで、表面の色を変えることができる。