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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221128BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20221128BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H01L21/68 P
B65G49/06 A
H01L21/30 564Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020144321
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039342
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝典
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-27974(JP,A)
【文献】特開2019-191074(JP,A)
【文献】特開平9-63984(JP,A)
【文献】特開平3-270048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65G 49/06
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して所定の処理を行う基板処理装置であって、
平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第1ステージと、
平坦な上面と、弾性材料からなる複数の吸着パッドとを有し、前記複数の吸着パッドにより、基板の下面を吸着して保持する第2ステージと、
基板の反りの状態を計測する反り計測部と、
前記反り計測部の計測結果に応じて、基板を前記第1ステージまたは前記第2ステージへ搬送する搬送機構と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項2】
基板に対して所定の処理を行う基板処理装置であって、
平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第1ステージと、
平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第2ステージと、
前記第2ステージの前記上面に載置された基板を覆うとともに、基板との間に形成される空間に高圧の気体を供給するチャンバと、
基板の反りの状態を計測する反り計測部と、
前記反り計測部の計測結果に応じて、基板を前記第1ステージまたは前記第2ステージへ搬送する搬送機構と、
を備えた、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記反り計測部は、
基板の表面との距離を計測しつつ基板の表面に沿って移動するレーザ変位計
を有する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記反り計測部は、基板の表面に沿って互いに平行に移動する複数の前記レーザ変位計を有する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記反り計測部は、
計測ステージ上において基板を位置決めする位置決め機構
を有する、基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記反り計測部の計測結果により、基板が凹状の反りを有する場合、前記搬送機構は、基板を前記第1ステージへ搬送し、
前記反り計測部の計測結果により、基板が凸状の反りを有する場合、前記搬送機構は、基板を前記第2ステージへ搬送する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記第1ステージは、
基板の周縁部を前記第1ステージの上面に押さえ付けるクランパ
を有する、基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記第1ステージまたは前記第2ステージに保持された基板の上面に沿って移動しつつ、スリット状の吐出口から基板の上面に向けて処理液を吐出するスリットノズル
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記第1ステージまたは前記第2ステージにおいて、基板の下面に対する吸着が正常に行われているか否かを検出する吸着検出部
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記反り計測部の計測結果に応じて、前記搬送機構による基板の搬送先に、前記第1ステージまたは前記第2ステージを移動させるステージ移動機構
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項11】
基板に対して所定の処理を行う基板処理方法であって、
a)基板の反りの状態を計測する工程と、
b)前記工程a)の計測結果に応じて、基板を第1ステージまたは第2ステージへ搬送する工程と、
を有し、
前記第1ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、
前記第2ステージは、平坦な上面と、弾性材料からなる複数の吸着パッドとを有し、前記複数の吸着パッドにより、基板の下面を吸着して保持するステージである、基板処理方法。
【請求項12】
基板に対して所定の処理を行う基板処理方法であって、
a)基板の反りの状態を計測する工程と、
b)前記工程a)の計測結果に応じて、基板を第1ステージまたは第2ステージへ搬送する工程と、
を実行し、
前記第1ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、
前記第2ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、
基板が前記第2ステージへ搬送された場合、
c)前記第2ステージの前記上面に載置された基板をチャンバで覆うとともに、基板との間に形成される空間に高圧の気体を供給する工程
をさらに実行する、基板処理方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)では、レーザ変位計により基板の表面との距離を計測しつつ、前記レーザ変位計を基板の表面に沿って移動させる、基板処理方法。
【請求項14】
請求項13に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)では、複数の前記レーザ変位計を、基板の表面に沿って互いに平行に移動させる、基板処理方法。
【請求項15】
請求項11から請求項14までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)では、計測ステージ上において基板を位置決めする、基板処理方法。
【請求項16】
請求項11から請求項15までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)の計測結果により、基板が凹状の反りを有する場合、前記工程b)において、基板を前記第1ステージへ搬送し、
前記工程a)の計測結果により、基板が凸状の反りを有する場合、前記工程b)において、基板を前記第2ステージへ搬送する、基板処理方法。
【請求項17】
請求項11から請求項16までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
基板が前記第1ステージへ搬送された場合、
d)基板の周縁部をクランパにより前記第1ステージの上面に押さえ付ける工程
をさらに実行する、基板処理方法。
【請求項18】
請求項11から請求項17までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
e)前記第1ステージまたは前記第2ステージに基板が保持された後、基板の上面に沿ってスリットノズルを移動させつつ、前記スリットノズルが有するスリット状の吐出口から基板の上面に向けて処理液を吐出する工程
をさらに実行する、基板処理方法。
【請求項19】
請求項11から請求項18までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
f)前記第1ステージまたは前記第2ステージにおいて、基板の下面に対する吸着が正常に行われているか否かを検出する工程
をさらに実行する、基板処理方法。
【請求項20】
請求項11から請求項19までのいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記工程b)では、前記工程a)の計測結果に応じて、基板の搬送先に、前記第1ステージまたは前記第2ステージを移動させる、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体パッケージ等の基板の製造工程では、フォトリソグラフィ処理のために、基板の上面にレジスト液を塗布する。当該工程では、まず、ステージの上面に基板を載置する。ステージの上面には、複数の吸着溝が設けられている。基板の下面は、この吸着溝に吸着されることにより、ステージの上面に保持される。そして、ステージの上面に保持された基板の上面に、レジスト液が塗布される。この種の処理を行う従来の装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-112197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、処理対象となる基板は、完全に平坦ではなく、僅かな反り(湾曲)を有する。このため、ステージの上面に基板を正常に吸着させるためには、基板の反りを矯正する必要がある。ただし、処理対象となる複数の基板の中には、周縁部よりも中央部が低い凹状の反りを有するものと、周縁部よりも中央部が高い凸状の反りを有するものとが、混在する場合がある。このため、単一の矯正機構を備えた1つのステージで、これらの2種類の反りを適切に矯正することは、困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、基板の2種類の反りを適切に矯正しつつ、基板を保持して、基板に処理を行うことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置であって、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第1ステージと、平坦な上面と、弾性材料からなる複数の吸着パッドとを有し、前記複数の吸着パッドにより、基板の下面を吸着して保持する第2ステージと、基板の反りの状態を計測する反り計測部と、前記反り計測部の計測結果に応じて、基板を前記第1ステージまたは前記第2ステージへ搬送する搬送機構と、を備える。
【0007】
本願の第2発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理装置であって、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第1ステージと、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持する第2ステージと、前記第2ステージの前記上面に載置された基板を覆うとともに、基板との間に形成される空間に高圧の気体を供給するチャンバと、基板の反りの状態を計測する反り計測部と、前記反り計測部の計測結果に応じて、基板を前記第1ステージまたは前記第2ステージへ搬送する搬送機構と、を備えた。
【0008】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の基板処理装置であって、前記反り計測部は、基板の表面との距離を計測しつつ基板の表面に沿って移動するレーザ変位計を有する。
【0009】
本願の第4発明は、第3発明の基板処理装置であって、前記反り計測部は、基板の表面に沿って互いに平行に移動する複数の前記レーザ変位計を有する。
【0010】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記反り計測部は、計測ステージ上において基板を位置決めする位置決め機構を有する。
【0011】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記反り計測部の計測結果により、基板が凹状の反りを有する場合、前記搬送機構は、基板を前記第1ステージへ搬送し、前記反り計測部の計測結果により、基板が凸状の反りを有する場合、前記搬送機構は、基板を前記第2ステージへ搬送する。
【0012】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記第1ステージは、基板の周縁部を前記第1ステージの上面に押さえ付けるクランパを有する。
【0013】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記第1ステージまたは前記第2ステージに保持された基板の上面に沿って移動しつつ、スリット状の吐出口から基板の上面に向けて処理液を吐出するスリットノズルをさらに備える。
【0014】
本願の第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記第1ステージまたは前記第2ステージにおいて、基板の下面に対する吸着が正常に行われているか否かを検出する吸着検出部をさらに備える。
【0015】
本願の第10発明は、第1発明から第9発明までのいずれか1発明の基板処理装置であって、前記反り計測部の計測結果に応じて、前記搬送機構による基板の搬送先に、前記第1ステージまたは前記第2ステージを移動させるステージ移動機構をさらに備える。
【0016】
本願の第11発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理方法であって、a)基板の反りの状態を計測する工程と、b)前記工程a)の計測結果に応じて、基板を第1ステージまたは第2ステージへ搬送する工程と、を有し、前記第1ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、前記第2ステージは、平坦な上面と、弾性材料からなる複数の吸着パッドとを有し、前記複数の吸着パッドにより、基板の下面を吸着して保持するステージである。
【0017】
本願の第12発明は、基板に対して所定の処理を行う基板処理方法であって、a)基板の反りの状態を計測する工程と、b)前記工程a)の計測結果に応じて、基板を第1ステージまたは第2ステージへ搬送する工程と、を実行し、前記第1ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、前記第2ステージは、平坦な上面と、前記上面に設けられた複数の吸着溝とを有し、前記複数の吸着溝により、基板の下面を吸着して保持するステージであり、基板が前記第2ステージへ搬送された場合、c)前記第2ステージの前記上面に載置された基板をチャンバで覆うとともに、基板との間に形成される空間に高圧の気体を供給する工程をさらに実行する。
【0018】
本願の第13発明は、第11発明または第12発明の基板処理方法であって、前記工程a)では、レーザ変位計により基板の表面との距離を計測しつつ、前記レーザ変位計を基板の表面に沿って移動させる。
【0019】
本願の第14発明は、第13発明の基板処理方法であって、前記工程a)では、複数の前記レーザ変位計を、基板の表面に沿って互いに平行に移動させる。
【0020】
本願の第15発明は、第11発明から第14発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、前記工程a)では、計測ステージ上において基板を位置決めする。
【0021】
本願の第16発明は、第11発明から第15発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、前記工程a)の計測結果により、基板が凹状の反りを有する場合、前記工程b)において、基板を前記第1ステージへ搬送し、前記工程a)の計測結果により、基板が凸状の反りを有する場合、前記工程b)において、基板を前記第2ステージへ搬送する。
【0022】
本願の第17発明は、第11発明から第16発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、基板が前記第1ステージへ搬送された場合、d)基板の周縁部をクランパにより前記第1ステージの上面に押さえ付ける工程をさらに実行する。
【0023】
本願の第18発明は、第11発明から第17発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、e)前記第1ステージまたは前記第2ステージに基板が保持された後、基板の上面に沿ってスリットノズルを移動させつつ、前記スリットノズルが有するスリット状の吐出口から基板の上面に向けて処理液を吐出する工程をさらに実行する。
【0024】
本願の第19発明は、第11発明から第18発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、f)前記第1ステージまたは前記第2ステージにおいて、基板の下面に対する吸着が正常に行われているか否かを検出する工程をさらに実行する。
【0025】
本願の第20発明は、第11発明から第19発明までのいずれか1発明の基板処理方法であって、前記工程b)では、前記工程a)の計測結果に応じて、基板の搬送先に、前記第1ステージまたは前記第2ステージを移動させる。
【発明の効果】
【0026】
本願の第1発明~第20発明によれば、第1ステージおよび第2ステージのうち、基板の反りの状態に適したステージを選択して使用できる。したがって、基板の反りを適切に矯正しつつ、基板に対する処理を行うことができる。
【0027】
特に、本願の第3発明および第13発明によれば、レーザ変位計で走査することにより、基板の反りの状態を非接触で計測できる。
【0028】
特に、本願の第4発明および第14発明によれば、基板の2方向の反りの状態を計測できる。
【0029】
特に、本願の第5発明および第15発明によれば、基板を位置決めした状態で、基板の反りの状態を精度よく計測できる。
【0030】
特に、本願の第6発明および第16発明によれば、吸着溝により矯正することが難しい凸状の反りを有する基板を、第2ステージに搬送して、反りを矯正しつつ保持できる。
【0031】
特に、本願の第8発明および第18発明によれば、第1ステージまたは第2ステージに保持されることにより、反りが矯正された基板の上面に、処理液を塗布することができる。
【0032】
特に、本願の第9発明および第19発明によれば、基板の下面を正常に吸着して保持できているか否かを検知できる。
【0033】
特に、本願の第10発明および第20発明によれば、基板の搬送先の位置を変更することなく、基板を第1ステージまたは第2ステージへ、選択的に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】基板処理装置の概略平面図である。
図2】制御部と基板処理装置内の各部との電気的接続を示したブロック図である。
図3】反り計測部の上面図である。
図4】反り計測部20の側面図である。
図5】第1ステージおよび第2ステージの上面図である。
図6】第1ステージの縦断面図である。
図7】第1ステージの縦断面図である。
図8】第2ステージの縦断面図である。
図9】第2ステージの縦断面図である。
図10】基板処理装置における処理の流れを示したフローチャートである。
図11】第2実施形態の第2ステージの縦断面図である。
図12】第2実施形態の第2ステージの縦断面図である。
図13】第2実施形態の第2ステージの縦断面図である。
図14】第3実施形態に係る基板処理装置の一部分を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
<1.第1実施形態>
<1-1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略平面図である。この基板処理装置1は、半導体パッケージの製造工程に使用される装置である。基板処理装置1は、半導体パッケージ用の矩形の基板9に対して、レジスト液の塗布、減圧乾燥、およびベーク処理を行う。図1に示すように、基板処理装置1は、基板収納部10、反り計測部20、搬送機構30、塗布部40、減圧乾燥部50、ベーク部60、および制御部70を備える。
【0037】
基板収納部10は、処理前および処理後の基板9を収納するユニットである。基板収納部10には、複数の基板9を収容するキャリアが、複数配置される。また、基板収納部10は、図示を省略した搬出入ロボットを有する。搬出入ロボットは、基板収納部10内のキャリアから処理前の基板9を搬出して、反り計測部20へ移送する。また、搬出入ロボットは、後述する搬送ロボット31から処理後の基板を受け取って、基板収納部10内のキャリアへ搬入する。
【0038】
反り計測部20は、基板9の反りの状態を計測するためのユニットである。図1に示すように、反り計測部20は、計測ステージ21と、3つのレーザ変位計22とを有する。基板9は、上述した搬出入ロボットにより、基板収納部10から搬出されて、計測ステージ21上に載置される。反り計測部20は、3つのレーザ変位計22により、計測ステージ21上に載置された基板9の反りの状態を計測する。レーザ変位計22の計測結果は、反り計測部20から制御部70へ送信される。
【0039】
反り計測部20のより詳細な構成については、後述する。
【0040】
搬送機構30は、反り計測部20、塗布部40、減圧乾燥部50、およびベーク部60の間で、基板9を搬送する機構である。搬送機構30は、搬送ロボット31を有する。搬送ロボット31は、反り計測部20、塗布部40、減圧乾燥部50、およびベーク部60に囲まれた搬送空間に配置されている。搬送ロボット31は、例えば、基板9を保持するハンドと、ハンドを上下方向および水平方向に移動させるアームとを有する。
【0041】
搬送ロボット31は、反り計測部20において計測が完了した基板9を、反り計測部20から塗布部40へ搬送する。また、搬送ロボット31は、塗布部40における処理が完了した基板9を、塗布部40から減圧乾燥部50へ搬送する。また、搬送ロボット31は、減圧乾燥部50における処理が完了した基板9を、減圧乾燥部50からベーク部60へ搬送する。また、搬送ロボット31は、ベーク部60における処理が完了した基板9を、ベーク部60から再び反り計測部20へ搬送し、基板収納部10の搬出入ロボットへ受け渡す。
【0042】
塗布部40は、基板9の上面に、処理液であるレジスト液を塗布するユニットである。図1に示すように、塗布部40は、第1ステージ41、第2ステージ42、およびスリットノズル43を有する。第1ステージ41および第2ステージ42は、平坦な上面を有する一体の石材により構成される。搬送ロボット31は、反り計測部20において計測された反りの状態に応じて、第1ステージ41および第2ステージ42のいずれかへ、基板9を搬送する。基板9は、第1ステージ41または第2ステージ42の上面に載置され、第1ステージ41または第2ステージ42の上面に吸着されることにより保持される。
【0043】
第1ステージ41および第2ステージ42のより詳細な構成については、後述する。
【0044】
スリットノズル43は、第1ステージ41または第2ステージ42に保持された基板9の上面に、レジスト液を吐出するノズルである。スリットノズル43は、第1ステージ41および第2ステージ42を挟むように設けられた一対の待機部44の間で、第1ステージ41および第2ステージ42の上面に沿って移動する。また、スリットノズル43の下端部には、スリットノズル43の移動方向に対して直交する方向に延びる、スリット状の吐出口が設けられている。スリットノズル43は、第1ステージ41または第2ステージ42に保持された基板9の上面に沿って移動しつつ、吐出口から基板9の上面に向けてレジスト液を吐出する。これにより、基板9の上面にレジスト液が塗布される。
【0045】
減圧乾燥部50は、基板9の上面に塗布されたレジスト液を乾燥させるためのユニットである。減圧乾燥部50は、密閉可能な減圧室51と、減圧室51に接続された減圧機構(図示省略)とを有する。減圧室51内に基板9を搬入し、減圧機構を動作させると、減圧室51の内部から気体が吸い出され、減圧室51内の気圧が低下する。これにより、基板9の上面に塗布されたレジスト液中の溶媒が気化する。その結果、レジスト液が乾燥して、基板9の上面にレジスト膜が形成される。
【0046】
ベーク部60は、基板9の上面に形成されたレジスト膜を、加熱により固化させるユニットである。ベーク部60は、ベーク室61と、ベーク室61内に配置された加熱プレート62とを有する。加熱プレート62は、環境温度よりも高い所定の温度に保たれる。ベーク室61内に搬入された基板9は、加熱プレート62の上面に載置される。これにより、基板9が加熱され、レジスト膜中に残存する溶媒成分が除去される。また、基板9に対するレジスト膜の密着性が向上する。
【0047】
制御部70は、基板処理装置1内の各部を動作制御するためのユニットである。図2は、制御部70と、基板処理装置1内の各部との電気的接続を示したブロック図である。図2中に概念的に示したように、制御部70は、CPU等のプロセッサ71、RAM等のメモリ72、およびハードディスクドライブ等の記憶部73を有するコンピュータにより構成される。
【0048】
また、制御部70は、上述した基板収納部10(搬出入ロボットを含む)、反り計測部20(レーザ変位計22、後述する走査機構24、および後述するエアシリンダ231~234を含む)、搬送機構30(搬送ロボット31を含む)、塗布部40(スリットノズル43、後述するリフトピン411,421、後述する開閉弁414,426、および後述するクランパ416,427を含む)、減圧乾燥部50(減圧機構を含む)、およびベーク部60(加熱プレート62を含む)と、それぞれ電気的に接続されている。制御部70は、コンピュータプログラムおよび各種データに従ってCPUを動作させることにより、これらの各部を動作制御する。これにより、基板処理装置1における基板9の処理が進行する。
【0049】
<1-2.反り計測部の構成>
続いて、反り計測部20のより詳細な構成について、説明する。図3は、反り計測部20の上面図である。図4は、反り計測部20の側面図である。図3および図4に示すように、反り計測部20は、計測ステージ21、3つのレーザ変位計22、および位置決め機構23を有する。なお、図3には、x方向およびy方向が矢印で示されている。x方向およびy方向は、いずれも水平方向である。また、x方向とy方向とは、互いに直交する。
【0050】
計測ステージ21は、平坦な上面211を有する矩形状の台である。計測ステージ21は、上面211から上方へ向けて突出する複数の支持ピン212を有する。複数の支持ピン212は、x方向およびy方向に等間隔に配列されている。基板9は、これらの支持ピン212の上に載置される。
【0051】
位置決め機構23は、複数の支持ピン212に支持された基板9を、一定の位置および姿勢に位置決めする機構である。位置決め機構23は、4つのエアシリンダ231~234を有する。4つのエアシリンダ231~234のうち、2つのエアシリンダ231,232は、矩形状の基板9の1つの頂点の付近において、基板9を+x方向および+y方向にそれぞれ押圧する。また、他の2つのエアシリンダ233,234は、基板9の上記頂点とは対角位置にある他の頂点の付近において、基板9を-x方向および-y方向にそれぞれ押圧する。これにより、基板9が、x方向およびy方向に位置決めされる。
【0052】
レーザ変位計22は、基板9の上面の高さを非接触で計測するセンサである。レーザ変位計22は、基板9の上面に向けてレーザ光を出射し、基板9の上面から反射する光の変位量を検出する。これにより、三角測量の原理で、レーザ変位計22と基板9の上面との間の上下方向の距離を計測する。
【0053】
また、反り計測部20は、レーザ変位計22を移動させる走査機構24を有する。走査機構24は、レーザ変位計22を、基板9の表面に沿ってy方向に移動させる。基板9の反りの状態を計測するときには、レーザ変位計22による計測を実行しつつ、走査機構24により、レーザ変位計22をy方向に移動させる。これにより、基板9の上面の高さのy方向における変化が計測される。したがって、y方向における基板9の反りの状態を計測できる。
【0054】
また、本実施形態の反り計測部20は、3つのレーザ変位計22を有する。3つのレーザ変位計22は、x方向に等間隔に配置されている。3つのレーザ変位計22は、基板9の上面との距離を計測しつつ、y方向に沿って互いに平行に移動する。このため、3つのレーザ変位計22の計測値を比較することにより、基板9の上面の高さのx方向における変化を知ることができる。すなわち、x方向における基板9の反りの状態を計測できる。このように、本実施形態の反り計測部20は、x方向およびy方向の2方向において、基板9の反りの状態を計測できる。
【0055】
<1-3.第1ステージおよび第2ステージの構成>
続いて、第1ステージ41および第2ステージ42のより詳細な構成について説明する。図5は、第1ステージ41および第2ステージ42の上面図である。図6および図7は、第1ステージ41の縦断面図である。図8および図9は、第2ステージ42の縦断面図である。なお、図5図9には、図3図4と同様に、x方向およびy方向が矢印で示されている。
【0056】
まず、第1ステージ41の構成について説明する。図6および図7に示すように、第1ステージ41は、平坦な上面410を有する。また、第1ステージ41は、複数のリフトピン411(図5では図示省略)を有する。複数のリフトピン411は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。また、複数のリフトピン411は、図6に示す上昇位置と、図7に示す下降位置との間で、昇降移動する。上昇位置では、リフトピン411の上端部が、第1ステージ41の上面410よりも上方に突出する。下降位置では、リフトピン411の上端部が、第1ステージ41の上面410よりも下方に退避する。
【0057】
第1ステージ41上に基板9を配置するときには、まず、搬送ロボット31が、図6のように、上昇位置の複数のリフトピン411の上に基板9を載置する。その後、図7のように、複数のリフトピン411が、上昇位置から下降位置へ移動する。これにより、第1ステージ41の上面410に基板9が載置される。
【0058】
また、第1ステージ41は、複数の吸着孔412を有する。複数の吸着孔412は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。各吸着孔412は、第1ステージ41を上下方向に貫通する。図6および図7に示すように、複数の吸着孔412は、吸引配管413を介して図外の真空源に接続されている。また、吸引配管413の経路上には、開閉弁414が設けられている。このため、開閉弁414を開放すると、複数の吸着孔412から吸引配管413を介して真空源へ、気体が吸引される。これにより、各吸着孔412に、大気圧よりも低い負圧が生じる。
【0059】
また、第1ステージ41は、上面に複数の吸着溝415を有する。複数の吸着溝415は、x方向およびy方向に沿って、グリッド状に設けられている。すなわち、複数の吸着溝415は、x方向に延びる複数の吸着溝415と、y方向に延びる複数の吸着溝415とを含む。上述した吸着孔412の上端部は、x方向に延びる吸着溝415と、y方向に延びる吸着溝415とが交差する位置に開口する。このため、開閉弁414が開放されると、複数の吸着孔412だけではなく、複数の吸着溝415にも、負圧が生じる。
【0060】
第1ステージ41の上面410に載置された基板9は、この負圧によって、吸着溝415に吸着される。そして、基板9の下面が、第1ステージ41の上面410に密着する。これにより、第1ステージ41の上面410に基板9が保持される。
【0061】
また、第1ステージ41は、4つのクランパ416を有する。4つのクランパ416は、第1ステージ41の上面410に基板9が載置された後、基板9の周縁部に接近する。具体的には、4つのクランパ416が、矩形状の基板9の4つの辺に、それぞれ接近する。そして、各クランパ416が、基板9の周縁部を、第1ステージ41の上面410に押さえ付ける。これにより、基板9の周縁部が、第1ステージ41から浮くことを抑制できる。
【0062】
続いて、第2ステージ42の構成について説明する。図8および図9に示すように、第2ステージ42は、平坦な上面420を有する。また、第2ステージ42は、複数のリフトピン421(図5では図示省略)を有する。複数のリフトピン421は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。また、複数のリフトピン421は、図8に示す上昇位置と、図9に示す下降位置との間で、昇降移動する。上昇位置では、リフトピン421の上端部が、第2ステージ42の上面420よりも上方に突出する。下降位置では、リフトピン421の上端部が、第2ステージ42の上面420よりも下方に退避する。
【0063】
第2ステージ42上に基板9を配置するときには、まず、搬送ロボット31が、図8のように、上昇位置の複数のリフトピン421の上に基板9を載置する。その後、図9のように、複数のリフトピン421が、上昇位置から下降位置へ移動する。これにより、第2ステージ42の上面420に基板9が載置される。
【0064】
また、第2ステージ42は、複数の縦孔422、複数の吸引パイプ423、および複数の吸着パッド424を有する。複数の縦孔422は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。各縦孔422は、第2ステージ42を上下方向に貫通する。吸引パイプ423は、上下方向に延びる円筒状のパイプである。吸引パイプ423は、複数の縦孔422に、それぞれ挿入されている。
【0065】
複数の吸着パッド424は、ゴム等の弾性材料からなる円環状の部材である。吸着パッド424は、複数の吸引パイプ423の上端部に、それぞれ取り付けられている。吸着パッド424は、蛇腹状の側面を有する。このため、吸着パッド424は、上下方向に伸縮可能となっている。基板9を保持していない状態では、図7のように、吸着パッド424の上端は、第2ステージ42の上面420よりもやや上方に突出している。
【0066】
図8および図9に示すように、複数の吸引パイプ423の下端部は、吸引配管425を介して図外の真空源に接続されている。また、吸引配管425の経路上には、開閉弁426が設けられている。このため、開閉弁426を開放すると、吸引パイプ423から吸引配管425を介して真空源へ、気体が吸引される。これにより、各吸引パイプ423および吸着パッド424の内部に、大気圧よりも低い負圧が生じる。
【0067】
第2ステージ42の上面420に載置された基板9は、この負圧によって、吸着パッド424に吸着される。また、吸着パッド424は、基板9に吸着することにより、上下方向に収縮する。その結果、図9のように、基板9の下面が、第2ステージ42の上面420に接触する。これにより、第2ステージ42の上面420に基板9が保持される。
【0068】
また、第2ステージ42は、4つのクランパ427を有する。4つのクランパ427は、第2ステージ42の上面420に基板9が載置された後、基板9の周縁部に接近する。具体的には、4つのクランパ427が、矩形状の基板9の4つの辺に、それぞれ接近する。そして、各クランパ427が、基板9の周縁部を、第2ステージ42の上面420に押さえ付ける。これにより、基板9の周縁部が、第2ステージ42から浮くことを抑制できる。
【0069】
<1-4.基板処理装置における処理の流れ>
続いて、上述した基板処理装置1における処理の流れについて説明する。図10は、当該処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下では、1枚の基板9に対する処理の流れを説明する。基板処理装置1は、このような処理を、複数の基板9に対して順次に実行する。
【0070】
基板処理装置1は、まず、基板収納部10に収納された基板9を、搬出入ロボットにより取り出す(ステップS1)。取り出した基板9は、反り計測部20へ配置される。具体的には、搬出入ロボットが、計測ステージ21上の複数の支持ピン212の上に、基板9を載置する。また、位置決め機構23が、複数の支持ピン212に支持された基板9を、一定の位置および姿勢に位置決めする。
【0071】
続いて、反り計測部20は、3つのレーザ変位計22により、基板9の反りの状態を計測する(ステップS2)。具体的には、3つのレーザ変位計22を、基板9の上面に沿って移動させつつ、レーザ変位計22から基板9の上面までの距離を計測する。レーザ変位計22の計測結果は、制御部70へ送信される。制御部70は、3つのレーザ変位計22の計測結果に基づいて、処理対象の基板9が、周縁部よりも中央部が低い凹状の反りを有する基板(以下「凹状基板」と称する)であるか、それとも、周縁部よりも中央部が高い凸状の反りを有する基板(以下「凸状基板」と称する)であるかを、判別する。
【0072】
反り計測部20における計測が完了すると、搬送ロボット31が、反り計測部20から基板9を取り出す。そして、搬送ロボット31は、塗布部40の第1ステージ41または第2ステージ42へ、基板9を搬送する(ステップS3)。このとき、制御部70は、ステップS2の計測結果に応じて、第1ステージ41および第2ステージ42のいずれかへ、基板9を搬送するように、搬送ロボット31を制御する。具体的には、基板9が凹状基板であると判別された場合には、当該基板9を、搬送ロボット31により、第1ステージ41へ搬送する。また、基板9が凸状基板であると判別された場合には、当該基板9を、搬送ロボット31により、第2ステージ42へ搬送する。
【0073】
第1ステージ41に搬送された基板9は、まず、上昇位置にある複数のリフトピン411の上に載置される。そして、複数のリフトピン411が上昇位置から下降位置へ移動することにより、第1ステージ41の上面410に基板9が載置される。そして、基板9の下面が、複数の吸着溝415に吸着して保持される。また、4つのクランパ416により、基板9の周縁部が、第1ステージ41の上面410に押さえ付けられる。
【0074】
このように、第1ステージ41では、基板9の周縁部が、クランパ416により固定される。このため、基板9が凹状基板である場合に、その基板9の周縁部が、基板9の中央部と同じ高さまで下降する。したがって、基板9の凹状の反りを矯正しつつ、基板9を保持できる。また、複数の吸着溝415全体の面積は、複数の吸着パッド424の開口面積よりも、大きい。このため、基板9の周縁部以外の部分は、複数の吸着溝415に生じる緩やかな負圧によって、保持される。このため、基板9の剛性が低い場合でも、基板9の割れを抑制しながら、基板9を保持できる。
【0075】
第2ステージ42に搬送された基板9は、まず、上昇位置にある複数のリフトピン421の上に載置される。そして、複数のリフトピン421が上昇位置から下降位置へ移動することにより、基板9の下面が、複数の吸着パッド424に吸着される。そして、吸着パッド424が上下方向に収縮することにより、基板9の下面が、第2ステージ42の上面420に接触する。また、4つのクランパ427により、基板9の周縁部が、第2ステージ42の上面420に固定される。
【0076】
このように、第2ステージ42では、基板9の周縁部以外の部分が、吸着パッド424に吸着されて、下方へ引き込まれる。このため、基板9が凸状基板である場合に、その基板9の中央部が、基板9の周縁部と同じ高さまで下降する。したがって、基板9の凸状の反りを矯正しつつ、基板9を保持できる。特に、第2ステージ42における吸着パッド424の数は、第1ステージ41における吸着孔412の数よりも少ない。また、複数の吸着パッド424の開口面積は、複数の吸着溝415の面積よりも小さい。このため、各吸着パッド424に強い吸引力が生じる。したがって、基板9の剛性が高い場合でも、基板9の反りを矯正できる。
【0077】
第1ステージ41または第2ステージ42に基板9が保持された後、スリットノズル43が基板9の上面に沿って移動しつつ、スリット状の吐出口から基板9の上面に向けて、レジスト液を吐出する。これにより、基板9の上面にレジスト液が塗布される(ステップS4)。
【0078】
レジスト液の塗布が終了すると、搬送ロボット31は、塗布部40から基板9を取り出し、減圧乾燥部50へ基板9を搬送する(ステップS5)。そして、減圧乾燥部50が、基板9の上面に塗布されたレジスト液を減圧により乾燥させる、減圧乾燥処理を行う(ステップS6)。これにより、基板9の上面にレジスト膜が形成される。
【0079】
減圧乾燥処理が終了すると、搬送ロボット31は、減圧乾燥部50から基板9を取り出して、ベーク部60へ基板9を搬送する(ステップS7)。そして、ベーク部60が、加熱プレート62により基板9を加熱する、ベーク処理を行う(ステップS8)。これにより、レジスト膜中に残存する溶媒成分が除去される。また、基板9に対するレジスト膜の密着性が向上する。
【0080】
ベーク処理が終了すると、搬送ロボット31は、ベーク部60から基板9を取り出して、再び反り計測部20へ基板9を搬送する。そして、基板収納部10の搬出入ロボットが、搬送ロボット31から基板9を受け取って、基板収納部10へ基板9を収納する(ステップS9)。
【0081】
以上のように、この基板処理装置1では、反り計測部20の計測結果に応じて、塗布部40の第1ステージ41および第2ステージ42のうち、反りの状態に適したステージを選択して使用する。このため、各ステージにおいて、基板9の反りを適切に矯正し、反りが矯正された基板9の上面に、レジスト液を塗布することができる。特に、第1ステージ41の吸着溝415により矯正することが難しい凸状の反りを、複数の吸着パッド424を有する第2ステージ42において、矯正することができる。
【0082】
また、本実施形態の基板処理装置1では、反り計測部20において、位置決め機構23により基板9を位置決めした上で、反りの状態を計測する。このため、基板9の反りの状態を、精度よく計測できる。また、レーザ変位計22で走査することにより、基板9の反りの状態を、非接触で計測できる。また、3つのレーザ変位計22を使用することにより、x方向およびy方向の2方向において、基板9の反りの状態を計測できる。したがって、第1ステージ41および第2ステージ42のうち、基板9に適したステージを、精度よく選択できる。
【0083】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、塗布部における第2ステージの構成と、塗布部がチャンバを有する点とが、上述した第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同等の構成および処理については、重複説明を省略する。
【0084】
図11図13は、第2実施形態の第2ステージ45の縦断面図である。図11図13に示すように、第2実施形態の第2ステージ45は、平坦な上面450を有する。また、第2ステージ45は、複数のリフトピン451を有する。複数のリフトピン451は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。また、複数のリフトピン451は、図11に示す上昇位置と、図12および図13に示す下降位置との間で、昇降移動する。上昇位置では、リフトピン451の上端部が、第2ステージ45の上面450よりも上方に突出する。下降位置では、リフトピン451の上端部が、第2ステージ45の上面450よりも下方に退避する。
【0085】
第2ステージ45上に基板9を配置するときには、まず、搬送ロボット31が、図11のように、上昇位置の複数のリフトピン451の上に基板9を載置する。その後、図12のように、複数のリフトピン451が、上昇位置から下降位置へ移動する。これにより、第2ステージ45の上面450に基板9が載置される。
【0086】
また、第2ステージ45は、複数の吸着孔452を有する。複数の吸着孔452は、x方向およびy方向に等間隔に配置されている。各吸着孔452は、第2ステージ45を上下方向に貫通する。図11図13に示すように、複数の吸着孔452は、吸引配管453を介して図外の真空源に接続されている。また、吸引配管453の経路上には、開閉弁454が設けられている。このため、開閉弁454を開放すると、複数の吸着孔452から吸引配管453を介して真空源へ、気体が吸引される。これにより、各吸着孔452に、大気圧よりも低い負圧が生じる。
【0087】
また、第2ステージ45は、上面に複数の吸着溝455を有する。複数の吸着溝455は、x方向およびy方向に沿って、グリッド状に設けられている。すなわち、複数の吸着溝455は、x方向に延びる複数の吸着溝455と、y方向に延びる複数の吸着溝455とを含む。上述した吸着孔452の上端部は、x方向に延びる吸着溝455と、y方向に延びる吸着溝455とが交差する位置に開口する。このため、開閉弁454が開放されると、複数の吸着孔452だけではなく、複数の吸着溝455にも、負圧が生じる。第2ステージ45の上面450に載置された基板9は、この負圧によって、吸着溝455に吸着される。
【0088】
このように、第2実施形態の第2ステージ45は、4つのクランパ416を有していない点を除いて、第1実施形態の第1ステージ41と同等の構成を有する。
【0089】
また、第2実施形態の塗布部40は、第2ステージ45の上方に位置するチャンバ46と、チャンバ46を昇降移動させる昇降機構47とを有する。チャンバ46は、下方へ向けて開いたカップ状の耐圧容器である。チャンバ46は、その下端部に、矩形状の開口を有する。また、チャンバ46は、当該開口の周囲に、矩形状のOリング461を有する。Oリング461は、ゴム等の弾性を有する材料からなる。
【0090】
昇降機構47は、例えば、エアシリンダにより構成される。昇降機構47は、制御部70により動作制御される。昇降機構47を動作させると、チャンバ46は、図11図12に示す上位置と、図13に示す下位置との間で、昇降移動する。上位置では、チャンバ46は、上昇位置の複数のリフトピン451に支持される基板9よりも上方に位置する。搬送ロボット31が、基板9を第2ステージ45へ搬送するときには、チャンバ46は、上位置において待機する。
【0091】
リフトピン451が下降して、第2ステージ42の上面450に基板9が載置された後、昇降機構47により、チャンバ46が上位置から下位置へ移動する。そうすると、図13のように、基板9の上面が、チャンバ46に覆われる。そして、基板9の周縁部の上面に、チャンバ46のOリング461が接触する。これにより、基板9とチャンバ46との間に、密閉空間460が形成される。
【0092】
また、図11図13に示すように、チャンバ46は、給気配管462を介して高圧気体供給源463に接続されている。また、給気配管462の経路上には、開閉弁464が設けられている。このため、図13のように密閉空間460を形成した状態で、開閉弁464を開放すると、高圧気体供給源463から給気配管462を介して密閉空間460へ、大気圧よりも高圧の気体が供給される。したがって、基板9が凸状基板である場合に、基板9の上面が高圧の気体に押されることによって、基板9の凸状の反りが矯正される。なお、高圧の気体は、クリーンドライエアであってもよく、あるいは、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
【0093】
この第2実施形態では、基板9の周縁部は、クランパではなく、チャンバ46のOリング461により、第2ステージ45の上面に押さえ付けられる。したがって、基板9の周縁部の下面は、吸着溝455に良好に吸着する。また、基板9の中央部は、高圧の気体により、基板9の上面に向けて押さえ付けられる。したがって、基板9の中央部の下面も、吸着溝455に良好に吸着する。その結果、基板9の下面の全体を、第2ステージ45の上面に密着させることができる。
【0094】
図11図13に示すように、吸引配管453の経路上には、圧力計456が設けられている。圧力計456の計測値は、制御部70へ送信される。基板9の下面が吸着溝455に正常に吸着されると、圧力計456の計測値が、予め設定された閾値よりも低くなる。これにより、制御部70は、基板9の下面が吸着溝455に正常に吸着されたことを検出する。すなわち、圧力計456は、第2ステージ45において、基板9の下面に対する吸着溝455の吸着が、正常に行われているか否かを検出する「吸着検出部」として機能する。
【0095】
制御部70は、基板9の下面が吸着溝455に正常に吸着されたことを検出すると、再び開閉弁464を閉鎖する。そして、昇降機構47により、チャンバ46を下降位置から上昇位置へ上昇させる。吸着溝455に一旦正常に吸着した基板9は、チャンバ46が上昇位置へ移動しても、正常な吸着状態に維持される。その後、第1実施形態と同様に、スリットノズル43によるレジスト液の塗布処理を行う。
【0096】
この第2実施形態では、反り計測部20の計測結果により、凸状基板と判別された基板9が、上述した第2ステージ45へ搬送される。そして、第2ステージ45において、高圧の気体により、基板9の凸状の反りが矯正される。したがって、反りが矯正された基板9の上面に、レジスト液を塗布することができる。
【0097】
<3.第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図14は、第3実施形態に係る基板処理装置1の一部分を示した平面図である。
【0098】
上述した第1実施形態では、塗布部40における第1ステージ41および第2ステージ42の位置が固定されていた。そして、搬送ロボット31が、第1ステージ41の位置と、第2ステージ42の位置とに、基板9を搬送可能であった。
【0099】
これに対し、第3実施形態では、第1ステージ41と第2ステージ42とが、別体の石材により形成されている。そして、図14に示すように、塗布部40が、第1ステージ41および第2ステージ42を個別に移動させるステージ移動機構48を有する。ステージ移動機構48は、制御部70により動作制御される。ステージ移動機構48は、基板9が搬送される処理位置P0と、第1待機位置P1との間で、第1ステージ41を移動させることができる。また、ステージ移動機構48は、上記の処理位置P0と、第2待機位置P2との間で、第2ステージ42を移動させることができる。
【0100】
この第3実施形態では、反り計測部20の計測結果に応じて、ステージ移動機構48が、第1ステージ41と第2ステージ42とのうちのいずれか一方を、選択的に処理位置P0に配置する。そして、搬送ロボット31は、処理位置P0に配置されたステージへ、基板9を搬送する。このようにすれば、搬送ロボット31による基板9の搬送先の位置を変更することなく、基板9を第1ステージ41または第2ステージ42へ、選択的に搬送することができる。
【0101】
<4.変形例>
以上、第1実施形態~第3実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0102】
上記の実施形態では、反り計測部20が、3つのレーザ変位計22を有していた。しかしながら、反り計測部20が有するレーザ変位計22の数は、3つ以外であってもよい。また、反り計測部20は、レーザ変位計22以外の手段で、基板9の反りの状態を計測してもよい。また、上記の実施形態では、基板9の上面の高さを計測することにより、基板9の反りの状態を計測していた。しかしながら、基板9の下面の高さを計測することにより、基板9の反りの状態を計測してもよい。
【0103】
また、上記の例では、第2実施形態の第2ステージ45に、吸着検出部としての圧力計456が接続されていた。しかしながら、第1実施形態の第1ステージ41および第2ステージ42にも、同様の圧力計456が接続されていてもよい。そして、当該圧力計456の計測値に基づいて、制御部70が、基板9の下面に対する吸着が正常に行われているか否かを検出するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施形態では、第1ステージ41および第2ステージ42,45は、基板9に対してレジスト液を塗布する工程に、使用されるものであった。しかしながら、第1ステージ41および第2ステージ42,45は、基板9に対してレジスト液以外の処理液を塗布する工程や、塗布以外の処理を行う工程に、使用されるものであってもよい。
【0105】
また、上記の実施形態では、半導体パッケージ用の基板9に対して処理を行う装置について説明した。しかしながら、本発明の基板処理装置および基板処理方法は、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、フォトマスク等の他の基板に対して処理を行うものであってもよい。
【0106】
また、基板処理装置の細部については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 基板処理装置
9 基板
10 基板収納部
20 計測部
21 計測ステージ
22 レーザ変位計
23 位置決め機構
24 走査機構
30 搬送機構
31 搬送ロボット
40 塗布部
41 第1ステージ
42 第2ステージ
43 スリットノズル
44 待機部
45 第2ステージ
46 チャンバ
47 昇降機構
48 ステージ移動機構
50 減圧乾燥部
60 ベーク部
70 制御部
212 支持ピン
231 エアシリンダ
232 エアシリンダ
233 エアシリンダ
234 エアシリンダ
411 リフトピン
412 吸着孔
415 吸着溝
416 クランパ
421 リフトピン
422 縦孔
423 吸引パイプ
424 吸着パッド
427 クランパ
451 リフトピン
452 吸着孔
455 吸着溝
456 圧力計
461 Oリング
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