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7183233バーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグ操作により、時間依存ネットワーキング(TSN)ネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする装置、および、方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】バーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグ操作により、時間依存ネットワーキング(TSN)ネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする装置、および、方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
H04L12/46 V
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020167208
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2021197725
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】16/901,224
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506080739
【氏名又は名称】四零四科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Moxa Inc.
【住所又は居所原語表記】4F., No. 135, Ln. 235, Baoqiao Rd., Xindian Dist., New Taipei City, Taiwan(R.O.C.)
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲啓▼全
(72)【発明者】
【氏名】林 俊余
(72)【発明者】
【氏名】頼 建宇
(72)【発明者】
【氏名】廖 文禄
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/098917(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152903(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110943899(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111600754(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
一つ以上の第一ストリーム識別子(ID)の第一マッピングを、一つ以上の第一バーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグへ、および、前記一つ以上の第一ストリームIDの第二マッピングを、一つ以上のVLANタグ表示へ保存するストレージ媒体、および、
前記ストレージ媒体に結合されるとともに、前記第一マッピング、および、前記第二マッピングにしたがって、時間依存ネットワーキング(TSN)ネットワークと非TSNネットワーク間の少なくとも一つのパケットをルーティングするコントローラー、を有し、
前記パケットの前記ルーティングは、
前記パケットの第二ストリームIDを識別する工程と、
前記第二ストリームIDが、前記第一マッピング、あるいは、前記第二マッピング中で、前記第一ストリームIDの一つに適合するか否か判断する工程と、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、前記パケットが、前記非TSNネットワークから前記TSNネットワークにルーティングされることに対応して、前記第一マッピング中の前記適合する第一ストリームIDに対応する前記第一VLANタグに基づいて、VLANタグを前記パケット中に挿入する工程、および、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、前記パケットが、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングされることに対応して、前記第二マッピング中で、前記適合する第一ストリームIDに対応する前記VLANタグ表示に基づいて、VLANタグを前記パケットから除去する工程、
を有し、
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、
送信先アドレス(DA)、
発信元アドレス(SA)、
イーサタイプ、および、
サブタイプ、
の少なくとも一つとして表され、
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、前記イーサタイプと前記サブタイプの組み合わせとして表され、
前記第一VLANタグはそれぞれ、VLAN ID(VID)、および、優先順位コードポイント(PCP)を有し、
前記装置は、前記TSNネットワークにおけるネットワークノードである、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記パケットの前記ルーティングはさらに、前記パケットが、任意のVLANタグを有するか否か判断する工程を有し、且つ、前記パケット中への前記VLANタグの前記挿入は、どのVLANタグも有さない前記パケットに対応して実行されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イーサタイプは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのヘッダーフィールドであり、前記サブタイプは、前記イーサネットパケットのペイロードフィールドの一部であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、前記DAと前記SAの組み合わせとして表され、且つ、前記DA、および、前記SAは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのヘッダーフィールドであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記VID、および、前記PCPは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケット中のフィールドであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記VLANタグ表示は、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングされる前記パケット中の前記VLANタグを除去するか、あるいは、保存するかを示すことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第二マッピングはさらに、前記一つ以上の第一ストリームIDと一つ以上の第一送信先アドレス(DA)間の一つ以上の対応を指定し、且つ、前記パケットの前記ルーティングはさらに、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、前記パケットが、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングされることに対応して、前記パケット中の第二DAを、前記適合する第一ストリームIDに対応する前記第一DAに交換することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記TSNネットワークと前記非TSNネットワークを接続するネットワークゲートウェイであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
時間依存ネットワーキング(TSN)ネットワークと非TSNネットワークを接続する装置により実行される方法であって、前記方法は、
一つ以上の第一ストリーム識別子(ID)の一つ以上の第一バーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグへの第一マッピング、および、前記一つ以上の第一ストリームIDの一つ以上のVLANタグ表示への第二マッピングにしたがって、前記TSNネットワークと前記非TSNネットワーク間の少なくとも一つのパケットをルーティングし、前記第一マッピング及び前記第二マッピングは、CNCサーバから前記第一ストリームIDの前記第一VLANタグへのマッピングを受信して前記装置のストレージ媒体に保存される工程を有し、
前記パケットの前記ルーティングは、
前記パケットの第二ストリームIDを識別する工程と、
前記第二ストリームIDが、前記第一マッピング、あるいは、前記第二マッピング中で、前記第一ストリームIDの一つに適合するか否か判断する工程と、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、前記パケットが、前記非TSNネットワークから前記TSNネットワークにルーティングされることに対応して、前記第一マッピング中の前記適合する第一ストリームIDに対応する前記第一VLANタグに基づいて、VLANタグを前記パケットに挿入する工程、および、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、前記パケットが、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングすることに対応し、前記第二マッピング中の前記適合する第一ストリームIDに対応する前記VLANタグ表示に基づいて、前記パケットから、VLANタグを除去する工程、
を有し、
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、
送信先アドレス(DA)、
発信元アドレス(SA)、
イーサタイプ、および、
サブタイプ、
の少なくとも一つとして表され、
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、前記イーサタイプと前記サブタイプの組み合わせとして表され、
前記第一VLANタグはそれぞれ、VLAN ID(VID)、および、優先順位コードポイント(PCP)を有し、
前記装置は、前記TSNネットワークにおけるネットワークノードである、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記パケットの前記ルーティングはさらに、前記パケットが、任意のVLANタグを有するか否か判断する工程を有し、且つ、前記パケット中への前記VLANタグの前記挿入は、どのVLANタグも有さない前記パケットに対応して実行されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記イーサタイプは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのヘッダーフィールドであり、前記サブタイプは、前記イーサネットパケットのペイロードフィールドの一部であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第一ストリームID、および、前記第二ストリームIDはそれぞれ、前記DAと前記SAの組み合わせとして表され、且つ、前記DA、および、前記SAは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのヘッダーフィールドであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記VID、および、前記PCPは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケット中のフィールドであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記VLANタグ表示は、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングされる前記パケット中の前記VLANタグを除去するか、あるいは、保存するかを示すことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第二マッピングはさらに、前記一つ以上の第一ストリームIDと一つ以上の第一送信先アドレス(DA)間の一つ以上の対応を指定し、且つ、前記パケットの前記ルーティングはさらに、
前記第二ストリームIDが、前記第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、前記パケットが、前記TSNネットワークから前記非TSNネットワークにルーティングされることに対応して、前記パケット中の第二DAを、前記適合する第一ストリームIDに対応する前記第一DAに交換することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間依存ネットワーキング(TSN)に関するものであって、特に、バーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグ操作(manipulation)により、TSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする装置、および、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インダストリー4.0として知られる新しいデジタル産業技術の進歩は、機器によりデータを収集、および、分析し、高速かつフレキシブルに、より効率的に、高品質製品を低コストで製造することを可能にする。インダストリー4.0の中心におけるコアエンティティの一つは、サイバー物理システムである。定義により、これらのシステムは、サイバースペースでの表現を必要とする。生産設備と情報技術(IT)ネットワークを接続するオペレーショナルテクノロジー(OT)ネットワークについては、上位の工場層から集結させる必要がある。
【0003】
残念なことに、現代の多くの工業用イーサネット標準は、専用のハードウェアを必要とする。これは、ネットワークの集中をほぼ不可能にする。結果として、その他のヒエラルキーに接続されるゲートウェイを必要とするネットワークが孤立する。これらの傾向に対応するため、時間依存ネットワーキング(TSN)技術が、一組のIEEE標準を組み合わせたIEEE802.1ワーキンググループにより既に提案されて、垂直、および、水平両方に拡張可能なリアルタイム決定的動作を達成している。
【0004】
しかし、IEEE802.1ワーキンググループの間で、TSN規格はまだ議論中であるため、TSNネットワークにおいて、データストリームを配信するリアルタイム決定的動作を維持する間、どのように、TSNネットワークと非TSNネットワーク間のデータストリームを処理するか等の多くの詳細がまだ定義されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の問題を解決するため、本発明は、ストリーム識別子(ID)のバーチャルローカルエリアネットワーク(VLAN)タグ、および、VLANタグ表示へのマッピングにしたがって、TSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングして、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の相互運用を有効にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態において、ストレージ媒体、および、コントローラーを有する装置が提供される。ストレージ媒体は、一つ以上の第一ストリームIDの第一マッピングを、一つ以上の第一VLANタグに、および、一つ以上の第一ストリームIDの第二マッピングを、一つ以上のVLANタグ表示に保存する。コントローラーは、ストレージ媒体に結合されるとともに、第一マッピング、および、第二マッピングにしたがって、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の少なくとも一つのパケットをルーティングする。特に、パケットのルーティングは、パケットの第二ストリームIDを識別する工程と、第二ストリームIDが、第一マッピング、あるいは、第二マッピングで、第一ストリームIDの一つに適合するか否か判断する工程と、第二ストリームIDが第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、パケットが、非TSNネットワークからTSNネットワークにルーティングされることに対応して、第一マッピング中の適合する第一ストリームIDに対応する第一VLANタグに基づいて、VLANタグをパケットに挿入する工程、および、第二ストリームIDが、第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、パケットが、TSNネットワークから非TSNネットワークにルーティングされることに対応して、第二マッピング中の適合する第一ストリームIDに対応するVLANタグ表示に基づいて、VLANタグをパケットから除去する工程、を有する。
【0007】
本発明の別の実施形態において、TSNネットワークと非TSNネットワークを接続する装置により実行される方法が提供される。本方法は、一つ以上の第一ストリームIDの一つ以上の第一VLANタグへの第一マッピング、および、一つ以上の第一ストリームIDの一つ以上のVLANタグ表示への第二マッピングにしたがって、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の少なくとも一つのパケットをルーティングする工程を有する。特に、パケットのルーティングは、パケットの第二ストリームIDを識別する工程と、第二ストリームIDが、第一マッピング、あるいは、第二マッピング中の、第一ストリームIDの一つに適合するか否か判断する工程と、第二ストリームIDが、第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、パケットが、非TSNネットワークからTSNネットワークにルーティングされることに対応して、第一マッピング中の適合する第一ストリームIDに対応する第一VLANタグに基づいて、VLANタグをパケット中に挿入する工程、および、第二ストリームIDが、第一ストリームIDの一つに適合し、且つ、パケットが、TSNネットワークから非TSNネットワークにルーティングされることに対応して、第二マッピング中の適合する第一ストリームIDに対応するVLANタグ表示に基づいて、パケットから、VLANタグを除去する工程、を有する。
【0008】
VLANタグ操作によりTSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする装置、および、方法の特定の実施形態の以下の説明に基づいて、本発明のその他の態様、および、特徴を理解することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、TSNネットワークと非TSNネットワーク間でルーティングされるパケット中にVLANタグを挿入する、あるいは、パケットからVLANタグを除去することにより、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の相互運用を実現することができる。
【0010】
添付図面を参照しながら、後続の詳細な記述と例を読めば、本発明をさらに十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による異機種ネットワーク環境のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるネットワークデバイス111Aのブロック図である。
図3A】TSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする方法を説明するフローチャートである。
図3B】TSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする方法を説明するフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態によるVLANタグ挿入を説明する図である。
図5】本発明の別の実施形態によるVLANタグ除去を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記述は、本発明の一般原則を説明する目的のためのものであり、これらは決して本発明に限定するものではない。実施形態は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、あるいは、それらの組み合わせで実現されることを理解されたい。ここで用いられる“含む” “有する”等の用語は、明言された特徴、整数、工程、操作、素子、および/または、コンポーネンツの存在を明確にするが、一つ以上のその他の特徴、整数、工程、操作、素子、コンポーネンツ、および/または、それらの群の存在、あるいは、追加を除外するものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による異機種ネットワーク環境のブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、異機種ネットワーク環境100は、TSNネットワーク110、および、非TSNネットワーク120を有し、TSNネットワーク110、および、非TSNネットワーク120は、TSNゲートウェイ111Aにより接続されて、TSNネットワーク110と非TSNネットワーク120間の相互運用を有効にする。
【0015】
TSNネットワーク110は、複数のネットワークデバイス111A~111Dを有し、ネットワークデバイス111Aは、TSNゲートウェイであり、ネットワークデバイス111B~111Dは、TSNスイッチである。このほか、TSNネットワーク110は、複数の端末装置112A~112D、および、セントラルネットワークコンフィグレーション(CNC)サーバを有し、CNCサーバ113は、ネットワークデバイス111A~111Dと接続されて、ネットワークデバイス111A~111Dの設定を管理する。各ネットワークデバイス111A~111Dは、一つ以上の端末装置と接続される。たとえば、ネットワークデバイス111Aは、機械112Aと接続され、ネットワークデバイス111Bは、セキュリティカメラ112Bと接続され、ネットワークデバイス111Cは、ロボットアーム112Cと接続され、ネットワークデバイス111Dは、コンベア112Dと接続される。
【0016】
各ネットワークデバイス111A~111Dは、端末装置112A~112DとTSNネットワーク110の接続に対する責任を負い、TSNネットワーク110でのリアルタイム決定性通信を有効にする。特に、ネットワークデバイスの一つ、たとえば、ネットワークデバイス111Aが設定されて、非TSNネットワーク120とTSNネットワーク110を接続するTSNゲートウェイとして作用し、非TSNネットワーク120とTSNネットワーク110間のデータストリームのパケットをルーティングする。
【0017】
CNCサーバ113は、ネットワークデバイス111A、および、111Dの設定の管理に対して責任を負い、TSNネットワーク110におけるリアルタイム決定性通信を実現する。特に、CNCサーバ113は、トポロジー発見工程を実行して、TSNネットワーク110のトポロジーを決定し、トポロジー、および、その他の要因に基づいて、TSNネットワーク110でルーティングされるデータストリームのパケットに対し、通信経路を決定する。その他の要因は、TSNネットワーク110中で通信するデータストリームのレイテンシ情報、および、データストリームのパケットをルーティングするネットワークデバイス111A~111Dのローディング情報を有する。
【0018】
一実施形態において、CNCサーバ113は、VLANタグ、および、VLANタグ表示(すなわち、パケット中のVLANタグを除去するか、あるいは、保存するかの表示)へのストリーム識別子(ID)のマッピングを、ネットワークデバイス111Aに提供して、TSNネットワーク110と非TSNネットワーク120間で通信するパケットに、通信経路を設定する。同様に、CNCサーバ113は、VLANタグ、および、VLANタグ表示へのストリームIDの各自マッピングを、各ネットワークデバイス111B~111Dに提供して、TSNネットワーク110中で通信するパケットに、通信経路を設定する。
【0019】
特に、ネットワークデバイス111A~111Dに提供されるマッピングは、TSNネットワーク110のトポロジー、および、ストリームID、および、データストリームのレイテンシ情報、および/または、ネットワークデバイス111A~111Dのローディング情報に基づいて決定される。
【0020】
マッピング中の各ストリームIDは、送信先アドレス(DA)、発信元アドレス(SA)、イーサタイプ、および、サブタイプの少なくとも一つとして表され、DA、SA、および、イーサタイプは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのヘッダーフィールドであり、サブタイプは、IEEE 802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケットのペイロードフィールドの一部である。
【0021】
一実施形態において、マッピング中の各ストリームIDは、イーサタイプとサブタイプの組み合わせ (たとえば、ペイロードフィールドの第一バイト)として示され、マッピング中のVLANタグはそれぞれ、VLAN ID(VID)、および、優先度コードポイント(PCP)を有し、VID、および、PCPは、IEEE802.1ワーキンググループにより規定されるTSN規格に従うイーサネットパケット中のヘッダーフィールドである。
【0022】
別の実施形態において、マッピング中の各ストリームIDは、DAとSAの組み合わせとして表され、マッピング中の各VLANタグは、VID、および、PCPを有する。
【0023】
受信されたマッピングに基づいて、ネットワークデバイス111A~111Dはそれぞれ、マッピングを調べて、パケットのストリームIDが、マッピング中のストリームIDの一つに適合するか否か確認する。たとえば、適合がある場合、ネットワークデバイス111Aは、パケットに、VLANタグ操作 (すなわち、VLANタグ挿入、および、除去)を実行する。VLANタグ操作により、TSNネットワーク110と非TSNネットワーク120間の相互運用が達成される。
【0024】
あるいは、適合がある場合、ネットワークデバイス111B/111C/111Dは、パケットにVLANタグ交換を実行する。VLANタグ交換により、パケットは、確定的に抑制されたレイテンシで、通信経路を用いて、TSNネットワーク110中でルーティングされる。
【0025】
理解すべきことは、図1の実施形態で記述されるコンポーネンツ は、説明の目的のためのものであり、本発明は、これに限定されない。たとえば、TSNネットワーク110は、より少ない、あるいは、さらに多くのネットワークデバイス、および、端末装置を有する。あるいは、TSNネットワーク110は、二個の非TSNネットワーク間で接続されて、TSNネットワーク110により、データストリームが、非TSNネットワーク間で通信できるようにする。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態によるネットワークデバイス111Aのブロック図である。
【0027】
図2に示されるように、ネットワークデバイス111Aは、ネットワークインターフェース装置10、コントローラー20、および、ストレージ媒体30を有する。
【0028】
ネットワークインターフェース装置10は、TSNネットワーク110と非TSNネットワーク120間のデータストリーム通信(たとえば、イーサネットによる)の機能を提供する。
【0029】
コントローラー20は、汎用プロセッサ、マイクロコントローラーユニット(MCU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等であり、データ処理と計算の機能を提供する各種回路を有し、ネットワークインターフェース装置10を制御して、TSNネットワーク110と非TSNネットワーク120間で、データストリームと通信するとともに、データ(たとえば、ストリームIDのVLANタグへのマッピング、および、VLANタグ表示へのストリームIDのマッピング)をストレージ媒体30に保存したり、ストレージ媒体30から読み出したりする。
【0030】
特に、コントローラー20は、ネットワークインターフェース装置10、および、ストレージ媒体30の上述の操作を連動させて、本発明の方法を実行する。
【0031】
当業者なら理解できるように、コントローラー20の回路は、ここで記述される機能と操作に関連する回路の操作を制御するような方法で設置されるトランジスタを有する。さらに評価すべきことは、トランジスタの特定構造、あるいは、相互接続は、コンパイラ、たとえば、レジスタトランスファーランゲージ(RTL)コンパイラにより決定される点である。RTLコンパイラは、アセンブリ言語コードに密接に類似するスクリプト上のプロセッサにより操作されて、スクリプトを、基本的な回路のレイアウトや製造に用いられる形式にコンパイルする。実際には、RTLは、その任務として知られており、且つ、電子、および、デジタルシステムの設計プロセスの円滑化に用いられる。
【0032】
ストレージ媒体30は、非一時的な機械可読ストレージ媒体であり、メモリ、たとえば、フラッシュメモリ、あるいは、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、あるいは、磁気記憶装置、たとえば、ハードディスク、或いは、磁気テープ、あるいは、光学ディスク、あるいは、それらの任意の組み合わせを有して、アプリケーションのデータ(たとえば、ストリームIDのVLANタグ表示へのマッピング)、命令、および/または、プログラムコード、通信プロトコル、および/または、本発明の方法を保存する。
【0033】
理解すべきことは、図2の実施形態で記述される素子は単なる説明の目的であり、本発明はこれに限定されない。たとえば、ネットワークデバイス11Aは、さらに多くの装置、たとえば、入出力(I/O)デバイス(たとえば、一つ以上のボタン、一つ以上の発光体、スピーカー、キーボード、マウス、タッチパッド、および/または、ディスプレイ装置)を有する。
【0034】
図3A図3Bは、本発明の一実施形態によるTSNネットワークと非TSNネットワーク間のパケットをルーティングする方法を説明するフローチャートである。
【0035】
この実施形態において、本方法は、TSNネットワーク(たとえば、TSNネットワーク110)と非TSNネットワーク (たとえば、非TSNネットワーク120)を接続するネットワークデバイス(たとえば、ネットワークデバイス111A)により適用、および、実行される。
【0036】
最初に、ネットワークデバイスは、TSNネットワーク、あるいは、非TSNネットワークからパケットを受信する (工程301)。
【0037】
次に、ネットワークデバイスは、パケットが、非TSNネットワークからTSNネットワークへのものなのか、あるいは、TSNネットワークから非TSNネットワークへのものなのか判断する(工程302)。
【0038】
工程302において、パケットが、非TSNネットワークからTSNネットワークへのものである場合、ネットワークデバイスは、パケットがVLANタグを有するか否か判断する (工程303)。
【0039】
一実施形態において、VLANタグは、VID、および、PCPを有する。
【0040】
工程303において、パケットがVLANタグを有さないと判断する場合、ネットワークデバイスは、パケットのストリームIDを決定する (工程304)。
【0041】
一実施形態において、ストリームIDは、パケットのイーサタイプとサブタイプの少なくとも一つを参照する。
【0042】
別の実施形態において、ストリームIDは、パケットのDAとSAの組み合わせを参照する。
【0043】
工程304に続いて、ネットワークデバイスは、パケットのストリームIDが、ストリームIDのVLANタグへの第一マッピングで、ストリームIDの一つに適合するか否か判断する (工程305)。
【0044】
工程305において、パケットのストリームIDが、第一マッピング中のストリームIDの一つに適合する場合、ネットワークデバイスは、適合するストリームIDに対応するVLANタグをパケットに挿入する (工程306)とともに、パケットを、非TSNネットワークからTSNネットワークにルーティングして (工程307)、本方法が終了する。
【0045】
工程303において、パケットがVLANタグを有する場合、方法は工程307に進む。
【0046】
工程305において、パケットのストリームIDが、所定のマッピングで、どのストリームIDに適合しない場合、本方法は、工程307に進む。
【0047】
工程302において、パケットが、TSNネットワークから非TSNネットワークへのものである場合、ネットワークデバイスは、パケットのストリームIDを決定し (工程308)、その後、パケットのストリームIDが、ストリームIDのVLANタグ表示への第二マッピングで、ストリームIDの一つに適合するか否か判断する (工程309)。
【0048】
工程309において、パケットのストリームIDが、第二マッピング中のストリームIDの一つに適合する場合、ネットワークデバイスは、第二マッピング中で適合するストリームIDに対応するVLANタグ表示が、パケット中のVLANタグを除去するのか、あるいは、保存するのかを判断する (工程310)。
【0049】
工程310において、VLANタグ表示が、パケット中のVLANタグを除去することを示す場合、ネットワークデバイスは、パケットから、VLANタグを除去する(工程311)とともに、パケットを、TSNネットワークから、非TSNネットワークにルーティングし (工程312)、本方法が終了する。
【0050】
工程310において、VLANタグ表示が、VLANタグをパケット中に残すことを示す場合、本方法は、工程312に進む。
【0051】
工程309に戻り、パケットのストリームIDが、第二マッピング中のどのストリームIDとも適合しない場合、本方法は、工程312に進む。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態によるVLANタグ挿入を説明する図である。
【0053】
この実施形態において、非TSNネットワークからのパケットP1は、ネットワークデバイスで受信され、VLANタグは、CNCサーバから受信されるマッピングにしたがって、パケットP1中に挿入され、これにより、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の相互運用を有効にする。
【0054】
図4に示されるように、マッピングは、複数のストリームIDと複数のVLANタグ間の対応を指定し、各ストリームIDは、DAとSAの組み合わせ、あるいは、イーサタイプとサブタイプの組み合わせ(たとえば、ペイロードフィールドの第一バイト)として表され、各VLANタグは、VIDとPCPの組み合わせとして表される。
【0055】
たとえば、DA1として示される値を有するDAとSA1として示される値を有するSAの組み合わせは、パケットに封入されたプロトコルがEtherCATであることを示す。0×890Fの16進値を有するイーサタイプと0×00~0×BFの16進値を有するサブタイプの組み合わせは、パケットに封入されたプロトコルが、工業用イーサネット (CC-Link IE)コントローラー、あるいは、フィールドであることを示す。
【0056】
パケットP1は、8バイト前文フィールド、6バイト送信先アドレス(DA)フィールド、6バイト発信元アドレス(SA)フィールド、2バイトイーサタイプフィールド、1バイトサブタイプフィールド、ペイロードフィールド、および、4バイトフレームチェックシーケンス(FCS)フィールドを有する。
【0057】
特に、パケットP1のイーサタイプフィールドの16進値は0×890Fであり、パケットP1のサブタイプフィールドの16進値は0×03である。
【0058】
ネットワークデバイスは、マッピングを調べるとともに、パケットP1のイーサタイプとサブタイプの組み合わせの適合があるかどうかを探す。特に、マッピングにおいて、イーサタイプ=0×890Fとサブタイプ=0×03の組み合わせは、VID=100とPCP=3を含むVLANタグに対応する。
【0059】
適合に対応して、ネットワークデバイスは、パケットP1中に、VID=100とPCP=3を有するVLANタグを挿入し、これにより、パケットP1をパケットP1’に変換する。
【0060】
図5は、本発明の別の実施形態によるVLANタグ除去を説明する図である。
【0061】
この実施形態において、TSNネットワークからのパケットP2 は、ネットワークデバイスで受信され、且つ、パケットP2中のVLANタグは、CNCサーバから受信されるマッピングに従って除去され、これにより、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の相互運用を有効にする。
【0062】
図5に示されるように、マッピングは、複数のストリームIDと複数のVLANタグ表示、および、DA間の対応を指定し、各ストリームIDは、DAとSAの組み合わせ、あるいは、イーサタイプとサブタイプの組み合わせとして表され、各VLANタグ表示は、VLANタグが保存されるべきか、除去されるべきかを示す。
【0063】
パケットP2は、8バイト前文フィールド、6バイトDAフィールド、6バイトSAフィールド、4バイトVLANタグ、2バイトイーサタイプフィールド、1バイトサブタイプフィールド、ペイロードフィールド、および、4バイトFCSフィールドを有する。
【0064】
特に、パケットP2のDAフィールドは、DA1として示され、パケットP2のイーサタイプフィールドの16進値は0×890Fであり、パケットP2のサブタイプフィールドの16進値は0×03である。VLANタグは、2バイトTPIDフィールド、3ビットPCPフィールド、1ビットCFIフィールド、および、12ビットVIDフィールドを有し、VIDフィールドのデシマル値は100で、PCPフィールドのデシマル値は3である。
【0065】
ネットワークデバイスは、マッピングを調べるとともに、パケットP2のイーサタイプとサブタイプの組み合わせに適合があるかを探す。特に、イーサタイプ=0×890Fとサブタイプ=0×03の組み合わせは、VLANタグ表示“除去”とDA=DA2に対応する。
【0066】
適合に対応して、ネットワークデバイスは、パケットP2から、VLANタグを除去するとともに、パケットP2中のDA=DA1を、マッピング中で適合するDA=DA2と交換し、これにより、パケットP2をパケットP2’に変換する。
【0067】
前述の実施形態を考慮して、高く評価すべき点は、本発明は、TSNネットワークと非TSNネットワーク間でルーティングされるパケット中にVLANタグを挿入する、あるいは、パケットからVLANタグを除去することにより、TSNネットワークと非TSNネットワーク間の相互運用を実現することである。有利な点として、VLANタグ操作は、TSNネットワーク中のデータストリーム通信のリアルタイム決定的動作を維持する。
【0068】
本発明は、例として、および、好ましい実施形態の観点から記述されているが、本発明はこれに限定されないことを理解されたい。当業者なら、本発明の範囲と精神を逸脱しない状況下で、各種変更、および、修正を行うことができる。よって、本発明の範囲は、以下の請求項とそれらの等価物により定義、並びに、保護される。
【0069】
順序を示す用語、たとえば、特許請求の素子を修正する請求項中の“第一”“第二”等の使用は、それ自身で、任意の優先度、優先権、あるいは、素子ともう一つの素子の順序、あるいは、一方法の動作が実行される時間的順序を暗示しておらず、ある名称の素子と同じ名称を有する別の素子を区別するのに用いられている。
【符号の説明】
【0070】
100 異機種ネットワーク環境
110 TSNネットワーク
120 非TSNネットワーク
111A~111D ネットワークデバイス
112A 機械
112B セキュリティカメラ
112C ロボットアーム
112D コンベア
113 CNCサーバ
10 ネットワークインターフェース装置
20 コントローラー
30 ストレージ媒体
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5