(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ポリエーテルを用いた使用済み高粘度潤滑剤の復活
(51)【国際特許分類】
C10M 175/02 20060101AFI20221128BHJP
C10M 169/04 20060101ALI20221128BHJP
C10M 101/02 20060101ALN20221128BHJP
C10M 145/30 20060101ALN20221128BHJP
C10N 20/02 20060101ALN20221128BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20221128BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20221128BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
C10M175/02
C10M169/04
C10M101/02
C10M145/30
C10N20:02
C10N40:04
C10N40:08
C10N50:10
(21)【出願番号】P 2020502416
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(86)【国際出願番号】 US2018042651
(87)【国際公開番号】W WO2019018504
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-09
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ラツンスキー,マーク・ディー
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0261035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループIIまたはグループIII油を含む使用済み炭化水素潤滑剤に、前記使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、
2重量パーセント~
20重量パーセントの、
12mg KOH/g~
58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含む、方法であって、
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、(a)スラッジもしくはワニスを含み、及び/または
(b)最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量と比較して、少なくとも
0.3重量パーセントの原子状酸素の変化を有し、及び/または(c)最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤と比較して、膜パッチ比色試験において少なくとも
25のΔEの増加を有し、
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、少なくとも46のISO粘度グレードを有し、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まない、方法。
【請求項2】
前記炭化水素潤滑剤が、高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価(Varnish Potential Rating)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、少なくとも
0.5重量パーセントの原子状酸素の変化を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、線状である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、分岐状である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、2より多いヒドロキシル基を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素潤滑剤が、46~220のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、
25mg KOH/g~
58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素潤滑剤が、100~220のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、
25mg KOH/g~
32mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素潤滑剤が、220~1500のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、
12mg KOH/g~
20mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
3重量パーセント~
17重量パーセントの前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが添加される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
5重量パーセント~
14重量パーセントの前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが添加される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記炭化水素潤滑剤が、洗剤および分散剤添加剤を含まない、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記炭化水素潤滑剤に、抗酸化剤、消泡剤添加剤、腐食抑制剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部材を添加することをさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用ギア油などのISO粘度グレード100以上を有する、より高い粘度の潤滑剤の耐用年数を延長するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本発明を理解するのに役立つ情報を提供するが、それは必ずしも先行技術とは限らない。
【0003】
グループIIおよびグループIII炭化水素油を使用して、中粘度ギア潤滑剤(例えば、40℃で約42センチストーク~約170センチストークの動粘度を有する、ISO 3448によるISO VG 46~ISO VG 150潤滑剤)、高粘度ギア潤滑剤(例えば、40℃で200センチストークより上の動粘度を有する、ISO 3448によるISO VG 220、ISO VG 320、およびISO VG 460潤滑剤)、ならびにグリース(例えば、ISO VG 1500)を含む、潤滑剤を配合することができる。グループII油は、水素化分解された分留石油から入手し、それをさらに精練および精製する。グループIII油は、グループII油と同様の特徴を有し、グループIIおよびIIIの油の両方は、それらの物理特性を向上させるために様々なステップを受けた高度にハイドロ処理された油である。グループIII油は、グループII油よりも高い粘度を有し、グループII油をさらに水素化分解するか、または一般に多くの油に使用される脱蝋プロセスの副産物である、ハイドロ異性化された粗蝋を水素化分解するかのいずれかによって調製される。
【0004】
グループIIおよびグループIII炭化水素油およびグリースを含む、炭化水素油およびグリースは、多くの潤滑剤の一般的な使用温度で酸化を受け易い。経時的に、凝集した酸化炭化水素(「ワニス」)が形成され、特に高温使用中に粘度の増加を引き起こす。油中のワニスはまた、潤滑剤の有効性を低減し、作業面上のワニスの堆積は、機械の操作を干渉し得る。凝集したワニスは、凝集したワニスが潤滑剤からスラッジとして落下するサイズまたは極性に到達し、それがフィルターをブロックし、容器内または潤滑剤を含有する機会もしくは他の装置の領域内のどこかに蓄積する。硫化物、硫酸塩、およびリン酸塩などの潤滑剤添加剤は、ワニス凝集体に取り込まれ、それによってそれらの効果を失う。
【0005】
長年にわたって、潤滑剤自体および潤滑装置の表面上の炭化水素油酸化生成物の蓄積に起因する潤滑剤寿命の短縮の問題を回避するために、潤滑剤を配合する際にいくつかのアプローチが取られている。抗酸化剤は、ワニスおよびスラッジの形成を遅延または減速するために用いられる一般的であるが高価な潤滑剤添加剤である。分散剤は、炭化水素潤滑剤に懸濁された軟質ワニス粒子を保持するために添加されるが、分散剤-ワニスミセルが最終的に潤滑剤粘度を増加させ、潤滑剤の性能に影響を及ぼすため、分散剤は、満足のいく解決策でない場合が多い。他の潤滑剤添加剤は、亜鉛、硫黄、リン、またはこれらの組み合わせを含有する分散化合物であり、ワニス凝集体に取り込まれる傾向がある。これらの添加剤の例としては、リン酸アミン、リン酸エステル、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZDDP)、亜鉛ジアミルジチオカルバメート、およびジアミルアンモニウムジアミルジチオカルバメートを挙げることができる。追加として、そのような潤滑剤添加剤は高価であり、例えば、使い捨てのための規制対象となる場合がある。
【0006】
石油工業は、長年にわたって、潤滑剤油の耐用年数を延長するために、水素化分解を介して粗油から不純物の一部を排除するか、または合成炭化水素を生成している。さらに、潤滑剤性能を低下させるワニス凝集体およびスラッジを濾過して取り除くために使用される、ワニス予測試験方法およびワニス除去フィルターを用いて、潤滑剤の寿命を延長することができる。フィルターは、潤滑剤が比較的低い粘度を有するときに最良に機能する(例えば、ISO粘度グレード68以下である潤滑剤)。そのような努力にもかかわらず、使用中に一定期間が経過した後、スラッジおよびワニスで満たされた使用済み炭化水素潤滑剤を除去し、システムに新たな潤滑剤を再充填することが依然として必要になる。
【0007】
ポリアルキレングリコールの良好な低い酸化可能性および加水分解安定性に起因して、それらを潤滑剤添加剤として使用することに関心が持たれているが、未修飾ポリアルキレングリコールは、炭化水素油にほとんどまたはまったく可溶性を有しないことが知られているため、炭化水素油潤滑剤を配合する際に使用されていない。例えば、Greavesの米国特許出願公開第2012/0108482号は、ポリアルキレングリコールをC8~C20アルコールでエーテル化して、炭化水素油中の可溶性を得ることを教示している。ポリアルキレングリコールはまた、炭化水素油の完全代替油として使用されているが、配合および経済的配慮のために、これは多くの場合に実用的ではない。
【0008】
Kovandaらの米国特許第8,685,905号は、3~約10個の炭素原子を有するモノマー単位を有するポリアルキレンオキシドおよび2~約8個の炭素原子を有するエーテル基を有するポリビニルエーテルから選択される脂肪族ポリエーテルが、使用済み炭化水素潤滑剤を含有する酸化生成物(すなわち、スラッジおよびワニス)に導入され、その酸化生成物が、ポリエーテルまたはポリビニルエーテルの添加によって溶解される方法を開示している。次いで、処理された炭化水素潤滑剤を機械内で使用し続けることができる。ポリアルキレンオキシドは、1つのヒドロキシルおよび1つのヒドロカルビル末端基を有する。しかしながら、Kovanda方法は、ギア潤滑剤などのワニスおよびスラッジを含有する中および高粘度の炭化水素潤滑剤を処理する際に、より低い粘度を有する潤滑剤を処理する際よりも効果的でないことが見出された。ワニスは、中および高粘度の炭化水素潤滑剤中でより速く発達することに留意されたい。したがって、ギア潤滑剤およびISO粘度グレード46以上の他の炭化水素潤滑剤の耐用年数を延長するために、より効果的な方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0009】
このセクションは、本発明の全範囲およびそのすべての特徴の包括的開示ではなく、以下の詳細な説明および特許請求の範囲に開示されるものの一般概要を提供する。
【0010】
ここで、潤滑剤性能に悪影響を及ぼす凝集または堆積したワニスを含む、ISO粘度グレード46以上の使用済み炭化水素潤滑剤(ISO 3448に従って分類される)を処理する方法が開示される。使用済み炭化水素潤滑剤は、グループII油またはグループIII油を基油として有し、任意に1種以上の潤滑剤添加剤を含み、(1)最初に配合されたときの炭化水素潤滑剤(すなわち、新たなもしくは未使用の炭化水素潤滑剤)の粘度と比較して、炭化水素潤滑剤粘度の増加を引き起こすスラッジまたは凝集ワニスとして出現するか、または(2)少なくとも0.3重量%の原子状酸素の量の変化、もしくは高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価(Varnish Potential Rating)の増加、もしくは膜パッチ比色試験における少なくとも約25のΔEの増加のうちの少なくとも1つによって判定され、これら3つの変化の各々が、最初に配合されたときの炭化水素潤滑剤(潤滑剤の配合の未使用の炭化水素潤滑剤の特性)との比較によって判定される、ワニスを含有する。炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まず、好ましくは、界面活性剤および分散剤で分散された添加剤を含まない。炭化水素潤滑剤は、内燃機関において使用される潤滑剤以外のものである。この方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリプロピレンオキシドを添加することを含む。ポリプロピレンオキシドは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。ポリプロピレンオキシドは、ホモポリマーであり、分岐状(2つ以上のヒドロキシル基を有する分岐状ポリプロピレンオキシドホモポリマー)であり得るか、または線状(ジヒドロキシ、線状ポリプロピレンオキシドホモポリマー)であり得る。
【0011】
理論に束縛されることを望むものではないが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリプロピレンオキシドホモポリマー(「ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマー」)を添加することにより、酸化した炭化水素油ワニスが、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーとともに、使用済み炭化水素潤滑剤に溶解されると考えられる。ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することによって処理された使用済み炭化水素潤滑剤は、低減した量の凝集ワニスおよび/またはスラッジを有し、これが使用済み炭化水素潤滑剤の継続使用を可能にする。さらに、使用済み炭化水素潤滑剤中に形成する酸化した炭化水素油スラッジは、最初は炭化水素潤滑剤の一部であったが、使用済み炭化水素潤滑剤からスラッジとして沈殿した凝集ワニスに取り込まれることによって潤滑剤から引き抜かれた潤滑剤添加剤を含有する。したがって、炭化水素潤滑剤を処理する開示された方法はまた、そのような添加剤を使用済み炭化水素潤滑剤を再度組み込むことによって、ワニススラッジを有する炭化水素潤滑剤から沈殿した1種以上の潤滑剤添加剤の濃度を増加させることができる。追加として、1種以上の潤滑剤添加剤は、使用済み炭化水素に添加される、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーも含む、組成物の一部として添加されてもよく、この添加剤は、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーに分散または溶解される。このようにして、炭化水素潤滑剤の使用中に少なくとも部分的に消費された、沈殿した、濾過によって取り除かれた、もしくは他の方法で失われた添加剤は、炭化水素潤滑剤中のその元の濃度に戻すことができるか、または炭化水素潤滑剤の潤滑剤添加剤パッケージは、炭化水素潤滑剤中に以前は存在しなかった添加剤を含めることによって、もしくは炭化水素潤滑剤中のその以前の濃度を超えて添加剤の濃度を増加させることによって修飾することができる。この方法はまた、場合によっては、炭化水素潤滑剤に接触する表面上に堆積したワニス被膜を再溶解することができる。
【0012】
方法の実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、少なくとも46~最大ISO粘度グレード1500(ISO 3448に従って分類される)のISO粘度グレードを有し、グループII油またはグループIII油を含み、ワニスまたはスラッジを含有し、1種以上の潤滑剤添加剤を含有してもよい。炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まず、好ましくは、界面活性剤および/または分散剤で分散された添加剤を含まない。炭化水素潤滑剤は、内燃機関において使用されている潤滑剤以外のものである。この方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含み、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。ある特定の実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約12mg KOH/g~約32mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、使用済み炭化水素潤滑剤に、1種以上の潤滑剤添加剤、例えばフェノール抗酸化剤などの抗酸化剤、消泡剤添加剤、腐食抑制剤、またはこれらの添加剤の組み合わせをさらに含む組成物の一部として添加されてもよい。
【0013】
また、使用済み炭化水素潤滑剤を処理する方法も記載され、ここで原子状酸素の含有量は、配合されたときの炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、少なくとも約0.3重量パーセントまたは少なくとも約0.4重量パーセントまたは少なくとも約0.5重量パーセントだけ変化する。原子状酸素の重量パーセントは、完全に配合された炭化水素潤滑剤に基づいて、すなわち炭化水素潤滑剤中の炭化水素油および任意の添加剤の全重量に基づいて判定される。この方法を使用して、使用済み炭化水素潤滑剤を処理することができ、ここで原子状酸素の含有量は、配合されたときの炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、0.3重量パーセントまたは約0.4重量パーセントまたは約0.5重量パーセント~約0.7重量パーセントまたは~約0.8重量パーセントまたは~約0.9重量パーセントまたは~約1重量パーセント変化する。炭化水素潤滑剤は、ISO粘度グレード46以上、特にISO粘度グレード46~最大ISO粘度グレード1500(ISO 3448に従って分類される)であり、グループII油またはグループIII油、および任意に1種以上の潤滑剤添加剤を含む。炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まず、好ましくは、界面活性剤および/または分散剤で分散された添加剤を含まず、内燃機関において使用されていない。この方法は、原子状酸素の重量パーセントの変化を伴う使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリプロピレンオキシドを添加することを含む。添加されるポリプロピレンオキシドは、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーである。
【0014】
炭化水素潤滑剤中の原子状酸素の重量パーセントは、原子吸光分析を使用する元素分析によって判定される。炭化水素潤滑剤中の原子状酸素の重量パーセントは、Mikiniori Kuwata et al.,″Using elemental ratios to predict the density of organic material composed of carbon,hydrogen,and oxygen,″Environ.Sci.Technol.46(2)pp.787-94(Jan.29,2012)に記載される方法を使用し、配合されたときの(すなわち、使用前の)その密度と比較して、炭化水素潤滑剤の密度の変化を判定することによって、かなり精密に推定することができる。密度は、ASTM D4052に従って測定される。配合されたときの炭化水素潤滑剤中の原子状酸素の重量パーセントは、代替としてその配合物から計算することができる。
【0015】
本明細書に開示される技術を説明する際に使用される場合、「ワニス」とは、凝集した酸化した炭化水素油を指す。ワニスは、ASTM D7843によって検出され、測定され得る。ワニスは、炭化水素潤滑剤に曝露された機械の表面に付着するか、または堆積してワニス被膜を形成し得る。本明細書に開示される技術を説明する際に使用される場合、「スラッジ」とは、炭化水素潤滑剤から沈殿し、硫化物、硫酸塩、およびリン酸塩などの炭化水素潤滑剤添加剤を取り込み得るワニスを指す。本方法は、使用済み炭化水素潤滑剤中のワニスを処理する。使用済み炭化水素潤滑剤が、ここに開示される方法、ワニスを炭化水素潤滑剤に再度組み込むことによって処理された後、再度組み込まれずに沈殿した潤滑剤添加剤は、炭化水素潤滑剤からより容易に濾過され得る。ある量の1種または複数の添加剤を、炭化水素潤滑剤に添加して、例えば、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを含む組成物中の濾過によって除去された1種または複数の添加剤を置き換えることができる。
【0016】
炭化水素潤滑剤中のワニスの量および潤滑剤のワニスポテンシャル評価は、膜パッチ比色、ASTM D7843によって測定される。潤滑剤製造業者は、高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価を有する潤滑剤を除去し、置き換えることを推奨している。ワニスポテンシャル評価は、ASTM D4378によって判定される。以下の公開された試験方法を使用して、使用済み炭化水素潤滑剤を特徴付けることができる。
VPペンタン不溶分-ASTM D893
超遠心分離沈殿物評価-Mobil Method 1169
膜パッチ比色-ASTM D7843
ルーラー%-ASTM D6971
全酸価-ASTM D664
含水量-ASTM E203
粒子数-ISO 4406
粘度-ASTM D4052
【0017】
本文書全体で述べられるすべての試験方法は、本出願の優先日に実施されている現行の試験方法バージョンを指す。
【0018】
様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、40℃で約40センチストーク~約352センチストークの動粘度を有するか、またはISO 3448に従って測定して46~320のISO粘度グレードを有し、方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含み、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM D4274に従って測定して、約25mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価、例えば約25mg KOH/g~約32mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。他の実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、40℃で約288センチストーク~約1650センチストークの動粘度を有するか、またはISO 3448に従って測定して320~1500のISO粘度グレードを有し、方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含み、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約20mg KOH/gのヒドロキシル価、例えば約12mg KOH/g~約16mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0019】
「A」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上の」は、項目のうちの少なくとも1つが存在することを示すために、交換可能に使用され、文脈上明らかに別途示されない限り、複数のそのような項目が存在し得る。添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメータ(例えば、量または状態)のすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語が実際に数値の前に現れるか否かにかかわらず、「約」によって修飾されていると理解されるものである。「約」は、示された数値が、いくらかのわずかな不正確性を許容することを示す(値の正確性に対する何らかのアプローチを用いて、値に対して近似的または適度に近い)。「約」によってもたらされる不正確性が、そうでなければこの通常の意味で当該技術分野において理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、少なくともそのようなパラメータを測定し、使用する通常の方法から生じ得る変形を示す。さらに、範囲の開示は、全体範囲内のすべての値およびさらに分割された範囲の開示を含む。
【0020】
さらなる変形は、以下の説明から明らかとなるであろう。説明および特定の実施例は、単なる例証の目的のために意図されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な非限定実施形態の詳細な説明を以下に記載する。
【0022】
開示された方法で処理された使用済み炭化水素潤滑剤は、API 1509、Appendix Eに従うグループII炭化水素油またはグループIII炭化水素油のいずれかを含む。グループII炭化水素油は、90パーセント超の飽和を含有し、0.03パーセント未満の硫黄を含有し、80~120の粘度指数を有するものとして定義される。グループIII炭化水素油は、90パーセント超の飽和を含有し、0.03パーセント未満の硫黄を含有し、120より上の粘度指数を有する。グループIIおよびグループIII炭化水素油の両方は、水素化分解によって製造され得るが、グループIII油は、一般により高い圧力および熱で重度に水素化分解されて、より高い純度を得る。グループIIおよびグループIII炭化水素油は、広く市販されている。使用済み炭化水素潤滑剤は、任意に、1種以上の潤滑剤添加剤を含有し得る。
【0023】
使用済み炭化水素潤滑剤は、46以上のISO粘度グレード、またはASTM D445に従って測定して40以上の粘度を有する。使用済み炭化水素潤滑剤のISO粘度グレードは、例えば、46~1500であり得る。様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤のISO粘度グレードは、ISO粘度グレード46、68、100、150、220、320、460、680、1000、および1500のうちの1つであり得る。そのような炭化水素潤滑剤は、例えば、油圧ポンプ油、工業用ギア潤滑剤、およびグリースとしての使用を見出す。工業用ギア潤滑剤は、特に、工業用ギア潤滑剤とは異なる操作上の課題にさらされるため、別様に配合される、自動車用ギア油と区別される。本方法で処理される使用済み炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まず、好ましくは、界面活性剤および/または分散剤で分散された添加剤を含まなくてもよい。特に、本方法で処理される使用済み炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まない。
【0024】
炭化水素潤滑剤は、使用中、酸化条件に曝露され、経時的に炭化水素潤滑剤中のワニスの量は、炭化水素潤滑剤を含有する装置の性能に負の影響を及ぼす点まで増加する。次いで、使用済み炭化水素潤滑剤は、ここで開示される方法に従って有利に処理される。様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、ASTM D7843によって検出可能なワニスを含有する場合、ここで開示される方法に供される。様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、(1)最初に配合されたときの炭化水素潤滑剤(すなわち、新たなもしくは未使用の炭化水素潤滑剤)の粘度と比較して、炭化水素潤滑剤粘度の増加を引き起こすスラッジもしくは凝集ワニスとして出現するか、または(2)少なくとも0.3重量%の原子状酸素の量の変化、もしくは高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価の増加、もしくは膜パッチ比色試験における少なくとも約25のΔEの増加のうちの少なくとも1つによって判定され、これらの各々が、最初に配合されたときの炭化水素潤滑剤(潤滑剤の配合の未使用の炭化水素潤滑剤の特性)との比較によって判定されるワニスを含有する場合、ここで開示される方法に供される。ASTM D7843によって判定される高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価は、膜パッチ比色試験における少なくとも約25のΔEの増加である。使用済み炭化水素潤滑剤が処理されるべき場合を判定するさらに別の方法は、膜パッチ比色(ASTM D7843)によって判定される色の増加を監視することによるものである。少なくとも約25、例えば約25~約60のΔEの増加は、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーで処理されるべきである。
【0025】
使用済み炭化水素潤滑剤が、原子状酸素の重量あたりの重量パーセントの増加または減少を有する場合、例えば、原子状酸素が、最初に配合されたときの潤滑剤の原子状酸素の重量パーセント(すなわち、潤滑剤を配合する際に使用される添加剤によって占められ得る原子状酸素の重量パーセント)と比較して、少なくとも約0.3重量パーセントまたは少なくとも約0.4重量パーセントまたは少なくとも約0.5重量パーセントの増加または減少を有する場合、典型的に、潤滑剤特性または潤滑された機械の操作に悪影響を及ぼすワニスのレベルを含み、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーで処理されるべきである。この方法を使用して、使用済み炭化水素潤滑剤を処理することができ、ここで原子状酸素は、配合されたときの潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、例えば、0.3重量パーセントまたは約0.4重量パーセントまたは約0.5重量パーセント~約0.7重量パーセントまたは~約0.8重量パーセントまたは~約0.9重量パーセントまたは~約1重量パーセント変化する。特定の例示的範囲では、この方法を使用して、使用済み炭化水素潤滑剤を処理することができ、ここで原子状酸素は、配合されたときの潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、例えば、0.3重量パーセント~約0.7重量パーセントまたは0.3重量パーセント~約0.8重量パーセントまたは0.3重量パーセント~約0.9重量パーセントまたは0.3重量パーセント~約1重量パーセントまたは0.4重量パーセント~約0.7重量パーセントまたは0.4重量パーセント~約0.8重量パーセントまたは0.4重量パーセント~約0.9重量パーセントまたは0.4重量パーセント~約1重量パーセントまたは0.5重量パーセント~約0.7重量パーセントまたは0.5重量パーセント~約0.8重量パーセントまたは0.5重量パーセント~約0.9重量パーセントまたは0.5重量パーセント~約1重量パーセント変化する。
【0026】
使用済み炭化水素潤滑剤を処理する方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する約2重量パーセント~約20重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含む。すなわち、100重量部ごとの使用済み炭化水素潤滑剤に、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する2~20重量部のポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加する。一般に、使用済み炭化水素潤滑剤のISO粘度グレードが増加するにつれて、より少量のポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが使用され得る。一般に、約80%~約300%、好ましくは約80%~120%の使用済み炭化水素潤滑剤粘度内の粘度を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを使用することが有利であり得るが、より高粘度のポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーの添加は、使用済み炭化水素潤滑剤にワニスを再溶解する際のその作用に起因して、理論的に予期されるよりも粘度に対する効果がはるかに少ない傾向がある。様々な実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/gまたは約13mg KOH/gまたは約14mg KOH/gまたは約15mg KOH/gまたは約16mg KOH/gまたは約17mg KOH/gまたは約18mg KOH/gまたは約19mg KOH/gまたは約20mg KOH/gまたは約21mg KOH/gまたは約22mg KOH/g~約58mg KOH/gまたは~約56mg KOH/gまたは~約53mg KOH/gまたは~約50mg KOH/gまたは~約47mg KOH/gまたは~約44mg KOH/gまたは~約42mg KOH/gまたは~約40mg KOH/gまたは~約38mg KOH/gまたは~約36mg KOH/gまたは~約34mg KOH/gまたは~約32mg KOH/gまたは~約31mg KOH/gまたは~約30mg KOH/gまたは~約29mg KOH/gまたは~約28mg KOH/gまたは~約27mg KOH/gまたは~約26mg KOH/gまたは~約25mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。
【0027】
ポリプロピレンオキシドは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。ポリプロピレンオキシドは、ホモポリマーであり、2つ以上のヒドロキシル基、好ましくは2もしくは3もしくは4ヒドロキシル基を有する分岐状であり得るか、または線状であり得る(ジヒドロキシ、線状ポリプロピレンオキシドホモポリマー)。好適なポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、水、ジオール(エチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなど)、またはポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、もしくはペンタエリスリトールなど)を開始剤化合物として使用して、ポリプロピレンオキシドから調製され得る。約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、例えば、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)からVORANOL商標の下で市販されている。
【0028】
使用済み炭化水素潤滑剤に添加されるポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーの最適量は、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを使用済み炭化水素潤滑剤に増分量で添加し、膜パッチ比色(ΔE)に対する効果を観察することによって簡単に判定され得る。典型的に、膜パッチ比色(ΔE)の改善は、使用済み油の曇りの喪失を伴う。潤滑剤を乳化剤と配合した場合、比較的多くのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを使用済み炭化水素潤滑剤に添加する必要があり得る。
【0029】
様々な実施形態では、少なくとも約2重量パーセントまたは少なくとも約3重量パーセントまたは少なくとも約4重量パーセントまたは少なくとも約5重量パーセントまたは少なくとも約6重量パーセントまたは少なくとも約7重量パーセントまたは少なくとも約8重量パーセントまたは少なくとも約9重量パーセントまたは少なくとも約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加し、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、最大約20重量パーセントまたは最大約19重量パーセントまたは最大約18重量パーセントまたは最大約17重量パーセントまたは最大約16重量パーセントまたは最大約15重量パーセントまたは最大約14重量パーセントまたは最大約13重量パーセントまたは最大約12重量パーセントまたは最大約11重量パーセントまたは最大約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。例えば、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約19重量パーセントまたは約2重量パーセント~約18重量パーセントまたは約2重量パーセント~約17重量パーセントまたは約2重量パーセント~約16重量パーセントまたは約2重量パーセント~約15重量パーセントまたは約2重量パーセント~約14重量パーセントまたは約2重量パーセント~約13重量パーセントまたは約2重量パーセント~約12重量パーセントまたは約2重量パーセント~約11重量パーセントまたは約2重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0030】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約3重量パーセント~約20重量パーセントまたは約3重量パーセント~約19重量パーセントまたは約3重量パーセント~約18重量パーセントまたは約3重量パーセント~約17重量パーセントまたは約3重量パーセント~約16重量パーセントまたは約3重量パーセント~約15重量パーセントまたは約3重量パーセント~約14重量パーセントまたは約3重量パーセント~約13重量パーセントまたは約3重量パーセント~約12重量パーセントまたは約3重量パーセント~約11重量パーセントまたは約3重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0031】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約4重量パーセント~約20重量パーセントまたは約4重量パーセント~約19重量パーセントまたは約4重量パーセント~約18重量パーセントまたは約4重量パーセント~約17重量パーセントまたは約4重量パーセント~約16重量パーセントまたは約4重量パーセント~約15重量パーセントまたは約4重量パーセント~約14重量パーセントまたは約4重量パーセント~約13重量パーセントまたは約4重量パーセント~約12重量パーセントまたは約4重量パーセント~約11重量パーセントまたは約4重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0032】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約5重量パーセント~約20重量パーセントまたは約5重量パーセント~約19重量パーセントまたは約5重量パーセント~約18重量パーセントまたは約5重量パーセント~約17重量パーセントまたは約5重量パーセント~約16重量パーセントまたは約5重量パーセント~約15重量パーセントまたは約5重量パーセント~約14重量パーセントまたは約5重量パーセント~約13重量パーセントまたは約5重量パーセント~約12重量パーセントまたは約5重量パーセント~約11重量パーセントまたは約5重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0033】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約6重量パーセント~約20重量パーセントまたは約6重量パーセント~約19重量パーセントまたは約6重量パーセント~約18重量パーセントまたは約6重量パーセント~約17重量パーセントまたは約6重量パーセント~約16重量パーセントまたは約6重量パーセント~約15重量パーセントまたは約6重量パーセント~約14重量パーセントまたは約6重量パーセント~約13重量パーセントまたは約6重量パーセント~約12重量パーセントまたは約6重量パーセント~約11重量パーセントまたは約6重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0034】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約7重量パーセント~約20重量パーセントまたは約7重量パーセント~約19重量パーセントまたは約7重量パーセント~約18重量パーセントまたは約7重量パーセント~約17重量パーセントまたは約7重量パーセント~約16重量パーセントまたは約7重量パーセント~約15重量パーセントまたは約7重量パーセント~約14重量パーセントまたは約7重量パーセント~約13重量パーセントまたは約7重量パーセント~約12重量パーセントまたは約7重量パーセント~約11重量パーセントまたは約7重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0035】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約8重量パーセント~約20重量パーセントまたは約8重量パーセント~約19重量パーセントまたは約8重量パーセント~約18重量パーセントまたは約8重量パーセント~約17重量パーセントまたは約8重量パーセント~約16重量パーセントまたは約8重量パーセント~約15重量パーセントまたは約8重量パーセント~約14重量パーセントまたは約8重量パーセント~約13重量パーセントまたは約8重量パーセント~約12重量パーセントまたは約8重量パーセント~約11重量パーセントまたは約8重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0036】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約9重量パーセント~約20重量パーセントまたは約9重量パーセント~約19重量パーセントまたは約9重量パーセント~約18重量パーセントまたは約9重量パーセント~約17重量パーセントまたは約9重量パーセント~約16重量パーセントまたは約9重量パーセント~約15重量パーセントまたは約9重量パーセント~約14重量パーセントまたは約9重量パーセント~約13重量パーセントまたは約9重量パーセント~約12重量パーセントまたは約9重量パーセント~約11重量パーセントまたは約9重量パーセント~約10重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0037】
さらなる例として、各場合において、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約10重量パーセント~約20重量パーセントまたは約10重量パーセント~約19重量パーセントまたは約10重量パーセント~約18重量パーセントまたは約10重量パーセント~約17重量パーセントまたは約10重量パーセント~約16重量パーセントまたは約10重量パーセント~約15重量パーセントまたは約10重量パーセント~約14重量パーセントまたは約10重量パーセント~約13重量パーセントまたは約10重量パーセント~約12重量パーセントまたは約10重量パーセント~約11重量パーセントのポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを、使用済み炭化水素潤滑剤に添加してもよい。
【0038】
様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、グループII炭化水素油もしくはグループIII炭化水素油、および1種以上の潤滑剤添加剤を含み、40℃で約40センチストーク~約352センチストークの動粘度を有するか、またはISO粘度グレード46、68、100、150、220、または320のうちの1つであり、方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、少なくとも約2重量パーセントまたは少なくとも約3重量パーセントまたは少なくとも約4重量パーセントまたは少なくとも約5重量パーセントまたは少なくとも約6重量パーセントまたは少なくとも約7重量パーセントまたは少なくとも約8重量パーセントまたは少なくとも約9重量パーセントまたは少なくとも約10重量パーセント~最大約20重量パーセントまたは最大約19重量パーセントまたは最大約18重量パーセントまたは最大約17重量パーセントまたは最大約16重量パーセントまたは最大約15重量パーセントまたは最大約14重量パーセントまたは最大約13重量パーセントまたは最大約12重量パーセントまたは最大約11重量パーセントまたは最大約10重量パーセントの、ASTM D4274に従って測定して約25mg KOH/g~約58g KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含む。使用済み炭化水素潤滑剤は、ワニスもしくはスラッジを有するか、または高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価を有するか、または配合されたときの潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントより少なくとも約0.3重量パーセント多い原子状酸素の重量パーセントの変化を有するか、または膜パッチ比色(ASTM D7843)により判定して、少なくとも約25のΔEの増加を有する。様々な実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM 4274に従って測定して、約25mg KOH/gまたは約26mg KOH/gまたは約27mg KOH/gまたは約28mg KOH/g~約58mg KOH/gまたは~約56mg KOH/gまたは~約54mg KOH/gまたは~約52mg KOH/gまたは~約50mg KOH/gまたは~約48mg KOH/gまたは~約46mg KOH/gまたは~約44mg KOH/gまたは~約42mg KOH/gまたは~約40mg KOH/gまたは~約38mg KOH/gまたは~約36mg KOH/gまたは~約34mg KOH/gまたは32mg KOH/gまたは~約31mg KOH/gまたは~約30mg KOH/gまたは~約29mg KOH/gまたは~約28mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。例えば、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約25mg KOH/g~約56mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約50mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約46mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約40mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約36mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約32mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約30mg KOH/g、または約25mg KOH/g~約28mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。他の実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約26mg KOH/g~約58mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約54mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約50mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約46mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約40mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約36mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約32mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約30mg KOH/g、または約26mg KOH/g~約28mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。さらに他の実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約27mg KOH/g~約58mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約54mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約50mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約46mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約40mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約36mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約32mg KOH/g、または約27mg KOH/g~約30mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。他の実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約28mg KOH/g~約58mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約54mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約50mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約46mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約40mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約36mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約32mg KOH/g、または約28mg KOH/g~約30mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。
【0039】
様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、グループII炭化水素油もしくはグループIII炭化水素油、および1種以上の潤滑剤添加剤を含み、40℃で約288センチストーク~約1650センチストーク、好ましくは約414センチストーク~約1650センチストークの動粘度を有するか、またはISO 3448に従って測定して320~1500、好ましくは460~1500のISO粘度グレードを有し、方法は、使用済み炭化水素潤滑剤に、使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて少なくとも約2重量パーセントまたは少なくとも約3重量パーセントまたは少なくとも約4重量パーセントまたは少なくとも約5重量パーセントまたは少なくとも約6重量パーセントまたは少なくとも約7重量パーセントまたは少なくとも約8重量パーセントまたは少なくとも約9重量パーセントまたは少なくとも約10重量パーセント~最大約20重量パーセントまたは最大約19重量パーセントまたは最大約18重量パーセントまたは最大約17重量パーセントまたは最大約16重量パーセントまたは最大約15重量パーセントまたは最大約14重量パーセントまたは最大約13重量パーセントまたは最大約12重量パーセントまたは最大約11重量パーセントまたは最大約10重量パーセントの、ASTM D4274に従って測定して約12mg KOH/g~約20mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含む。使用済み炭化水素潤滑剤は、ワニスもしくはスラッジを有するか、または高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価を有するか、または配合されたときの潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントより少なくとも約0.3重量パーセント多い原子状酸素の重量パーセントの変化を有するか、または膜パッチ比色(ASTM D7843)により判定して、少なくとも約25のΔEの増加を有する。様々な実施形態では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、ASTM D4274に従って測定して、約12mg KOH/gまたは約13mg KOH/gまたは約14mg KOH/gまたは約15mg KOH/g~約20mg KOH/gまたは~約19mg KOH/gまたは~約18mg KOH/gまたは~約17mg KOH/gまたは~約16mg KOH/gまたは~約15mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。例えば、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約12mg KOH/g~約19mg KOH/g、または約12mg KOH/g~約18mg KOH/g、または約12mg KOH/g~約17mg KOH/g、または約12mg KOH/g~約16mg KOH/g、または約12mg KOH/g~約15mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。他の実施例では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約13mg KOH/g~約20mg KOH/g、または約13mg KOH/g~約19mg KOH/g、または約13mg KOH/g~約18mg KOH/g、または約13mg KOH/g~約17mg KOH/g、または約13mg KOH/g~約16mg KOH/g、または約13mg KOH/g~約15mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。さらに他の実施例では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約14mg KOH/g~約20mg KOH/g、または約14mg KOH/g~約19mg KOH/g、または約14mg KOH/g~約18mg KOH/g、または約14mg KOH/g~約17mg KOH/g、または約14mg KOH/g~約16mg KOH/g、または約14mg KOH/g~約15mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。なおもさらなる実施例では、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、約15mg KOH/g~約20mg KOH/g、または約15mg KOH/g~約19mg KOH/g、または約15mg KOH/g~約18mg KOH/g、または約15mg KOH/g~約17mg KOH/g、または約15mg KOH/g~約16mg KOH/gのヒドロキシル価を有し得る。
【0040】
ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、両親媒性ではなく、界面活性剤のようにミセルを形成しない。むしろ、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、潤滑剤の特徴を変化させ、ワニスが潤滑剤に溶解できるようにすることが理解される。ワニスポテンシャル評価のための試験は、使用済み潤滑剤が、使用済み炭化水素潤滑剤をポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーで処理する、開示される方法によって良好な作業状態に戻ったことを示す。
【0041】
使用済み炭化水素潤滑剤は、潤滑剤が置かれる特定の用途に適した1種以上の添加剤を含む。使用済み炭化水素潤滑剤は、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まず、好ましくは、界面活性剤および/または分散剤で分散された添加剤を含まない。潤滑剤が配合され得る添加剤の非限定例としては、極圧および耐摩耗添加剤抗酸化剤、摩擦低減剤、金属不活性化剤(ベンゾトリアゾールなど)、粘度調整剤、流動点降下剤、安定剤、腐食抑制剤、および燃焼性抑制剤が挙げられる。そのような添加剤は、単一でまたは2種以上の任意の組み合わせで存在し得る。使用済み炭化水素潤滑剤中のそのような添加剤の包含に対する特定の制限はない。一般に、これらのような添加剤は、潤滑剤組成物の約10重量%以下で存在し得る。使用済み炭化水素潤滑剤の様々な実施形態は、約0.1~約5重量%の添加剤もしくは添加剤の組み合わせ、または約0.2~約2重量%の添加剤もしくは添加剤の組み合わせを含み得る。
【0042】
使用され得る抗酸化剤の非限定例としては、フェノール抗酸化剤、例えば2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールおよび4,4′-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、ならびにビスフェノールA;アミンおよびチアジン抗酸化剤、例えばp,p-ジオクチルフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、N,N-ジ(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、フェニル-1-ナフチルアミン、フェニル-2-ナフチルアミン、アルキルフェニル-1-ナフチルアミン、およびアルキルフェニル-2-ナフチルアミン;ならびに硫黄含有抗酸化剤、例えばアルキルジスルフィド、チオジプロピオン酸エステル、およびベンゾチアゾールが挙げられる。潤滑剤組成物は、最大約5.0重量%の抗酸化剤、約0.1~約5重量%、約0.1~約2.0重量%、または約0.2~約0.8重量%の抗酸化剤を含み得る。潤滑剤組成物は、1つまたは2つ以上の抗酸化剤化合物の組み合わせを含み得る。
【0043】
ある特定の実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、1種以上の極圧または耐摩耗添加剤を含み得る。好適な極圧/耐摩耗添加剤の非限定例としては、硫黄含有タイプおよびリン含有タイプ、例えばリン酸エステル、酸性リン酸エステル、5~20個の炭素原子を含有する分岐状アルキルアミンリン酸塩、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステルアミン塩、ならびにアルカノールまたはポリエーテルアルコールを有するリン酸または亜リン酸のエステルである塩素化リン酸エステルおよび亜リン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルの特定の非限定例としては、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリヘキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリウンデシル、リン酸トリドデシル、リン酸トリトリデシル、リン酸トリテトラデシル、リン酸トリペンタデシル、リン酸トリヘキサデシル、リン酸トリヘプタデシル、リン酸トリオクタデシル、リン酸トリオレイル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレシルジフェニル、およびリン酸キシレニルジフェニルが挙げられる。酸性リン酸エステルの特定の非限定例としては、酸性リン酸モノブチル、酸性リン酸モノペンチル、酸性リン酸モノヘキシル、酸性リン酸モノヘプチル、酸性リン酸モノオクチル、酸性リン酸モノノニル、酸性リン酸モノデシル、酸性リン酸モノウンデシル、酸性リン酸モノドデシル、酸性リン酸モノトリデシル、酸性リン酸モノテトラデシル、酸性リン酸モノペンタデシル、酸性リン酸モノヘキサデシル、酸性リン酸モノヘプタデシル、酸性リン酸モノオクタデシル、酸性リン酸モノオレイル、酸性リン酸ジブチル、酸性リン酸ジペンチル、酸性リン酸ジヘキシル、酸性リン酸ジヘプチル、酸性リン酸ジオクチル、酸性リン酸ジノニル、酸性リン酸ジデシル、酸性リン酸ジウンデシル、酸性リン酸ジドデシル、酸性リン酸ジトリデシル、酸性リン酸ジテトラデシル、酸性リン酸ジペンタデシル、酸性リン酸ジヘキサデシル、酸性リン酸ジヘプタデシル、酸性リン酸ジオクタデシル、および酸性リン酸ジオレイルを挙げることができる。チオリン酸エステルの特定の非限定例としては、トリブチルホスホロチオネート、トリペンチルホスホロチオネート、トリヘキシルホスホロチオネート、トリヘプチルホスホロチオネート、トリオクチルホスホロチオネート、トリノニルホスホロチオネート、トリデシルホスホロチオネート、トリウンデシルホスホロチオネート、トリドデシルホスホロチオネート、トリトリデシルホスホロチオネート、トリテトラデシルホスホロチオネート、トリペンタデシルホスホロチオネート、トリヘキサデシルホスホロチオネート、トリヘプタデシルホスホロチオネート、トリオクタデシルホスホロチオネート、トリオレイルホスホロチオネート、トリフェニルホスホロチオネート、トリクレシルホスホロチオネート、トリキシレニルホスホロチオネート、クレシルジフェニルホスホロチオネート、およびキシレニルジフェニルホスホロチオネートが挙げられる。酸性リン酸エステルのアミン塩の特定の非限定例としては、アミンを有する酸性リン酸エステルの塩、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、およびトリオクチルアミンが挙げられる。塩素化リン酸エステルの特定の非限定例としては、トリス(ジクロロプロピル)リン酸塩、トリス(クロロエチル)リン酸塩、トリス(クロロフェニル)リン酸塩、およびポリオキシアルキレンビス[ジ(クロロアルキル)]リン酸塩が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジペンチル、亜リン酸ジヘキシル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸ジノニル、亜リン酸ジデシル、亜リン酸ジウンデシル、亜リン酸ジドデシル、亜リン酸ジオレイル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジクレシル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリペンチル、亜リン酸トリヘキシル、亜リン酸トリヘプチル、亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリノニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリウンデシル、亜リン酸トリドデシル、亜リン酸トリオレイル、亜リン酸トリフェニル、および亜リン酸トリクレシルを挙げることができる。極圧/耐摩耗添加剤は、個別にまたは任意の組み合わせで、任意の所望の量で存在し得る。様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、各々約0.01重量%~約5.0重量%、約0.01重量%~約4.0重量%、約0.02重量%~約3.0重量%、または0.1重量%~約5.0重量%の極圧添加剤および耐摩耗添加剤を含み得る。
【0044】
様々な実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤は、1種以上の腐食抑制剤、例えばN,N-ビス(2-エチルヘキシル)-4-メチル-IH-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミンおよびN,N-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチル-IH-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミンの異性体混合物から選択されるものを含み得る。使用済み炭化水素潤滑剤は、約0.01~約1.0重量%の1種以上の腐食抑制剤、約0.01~約0.5重量%の1種以上の腐食抑制剤、または約0.05~約0.15重量%の1種以上の腐食抑制剤を含み得る。
【0045】
粘度調整剤(または粘度指数向上剤)は、ポリマー材料であり、これらの典型的な例は、ポリオレフィン、例えばエチレン-プロピレンコポリマー、水素化スチレン-イソプレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエンの水素化コポリマー、アクリレートおよびメタクリレートエステルの重合によって生成されたアクリル性ポリマー、水素化イソプレンポリマー、ポリアルキルスチレン、水素化アルケニルアレン共役ジエンコポリマー、ポリオレフィン、マレイン酸無水物-スチレンコポリマーのエステル、およびポリイソブチレンである。
【0046】
流動点降下剤の非限定例としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、塩素化パラフィンおよびナフタレンの縮合物、ならびに塩素化パラフィンおよびフェノールの縮合物が挙げられる。
【0047】
燃焼性抑制剤の非限定例としては、トリフルオロクロロメタン、トリフルオロヨードメタン、リン酸エステルおよび他のリン化合物、ならびにヨウ素または臭素含有炭化水素、ヒドロフロロアルボン、またはフルオロカーボンが挙げられる。
【0048】
ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーおよび亜鉛ジアルキルチオホスフェート以外の少なくとも1種の添加剤、ならびに他の亜鉛配位化合物および分散した(固体)添加剤を含む組成物を、開示された方法で使用済み炭化水素潤滑剤に添加することができる。様々な実施形態では、添加剤は、抗酸化剤、耐摩耗剤、極圧剤、摩擦低減剤、金属不活性化剤、例えばベンゾトリアゾール、粘度調整剤、流動点降下剤、安定剤、腐食抑制剤、燃焼性抑制剤、およびこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、使用済み炭化水素潤滑剤を処理するために使用される組成物は、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーおよび抗酸化剤を含み得る。使用済み炭化水素潤滑剤を処理するために使用される組成物は、最大約1.5重量パーセントの1種以上の抗酸化剤添加剤、最大0.75重量パーセントの1種以上の潤滑性添加剤、最大0.5重量パーセントの1種以上の腐食抑制剤添加剤、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0049】
炭化水素潤滑剤は、分散(固体)添加剤と配合することができ、分散添加剤は、使用中であるが、ここに開示される方法による処理前に、炭化水素潤滑剤に添加されていてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、そのような分散添加剤は、使用済み炭化水素潤滑剤のワニスおよびスラッジに取り込まれると考えられる。多くの場合、分散添加剤が炭化水素潤滑剤に添加されていなかった場合に必要とされるよりも多くの量のポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することが必要である。
【0050】
ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーは、炭化水素潤滑剤よりも高い粘度を有し得る一方、炭化水素潤滑剤について40℃で10%の動粘度のISO粘度グレードで処理された炭化水素潤滑剤を保持することが観察され、これはスラッジおよびワニスからの材料を再度組み込むことに起因すると考えられる。
【実施例】
【0051】
異なる単位で具体的に示されない限り、量は重量部で示される。
【0052】
ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマー組成物は、以下の表に示される材料を使用して調製した。成分を組み合わせた後、混合しながら加熱して均質化した。次いで、各例示的組成物を、以下の表に示される特性について評価した。
【0053】
【0054】
【0055】
実施例4~7
使用済み炭化水素潤滑剤の試料を入手し、4分量に分割して実施例4~7を作製した。実施例4は、第1の分量の、処理していない使用済み炭化水素潤滑剤である。
実施例5は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例1を添加することによって調製した。実施例6は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例2を添加することによって調製した。実施例7は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例3を添加することによって調製した。これらの実施例の特性を測定し、下の表に提供する。
【0056】
【0057】
試験は、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマー組成物のヒドロキシル含有量が減少するにつれて、膜パッチ比色値(ΔE)が上昇することを示す。実施例5は、実施例1のポリヒドロキシポリプロピレンオキシド組成物が、この使用済み炭化水素潤滑剤を処理するために最も効果的であったことを示す。実質的な粘度の変化のない4.7への膜パッチ比色値の低減は、凝集したワニスが、液相の潤滑剤に溶解されたことを示す。実施例1はまた、試験した3つのポリヒドロキシポリプロピレンオキシド組成物の使用済み潤滑剤粘度に最も近い粘度を有する。
【0058】
実施例8~10
使用済み炭化水素潤滑剤の試料を入手し、3分量に分割して実施例8~10を作製した。実施例8は、第1の分量の、処理していない使用済み炭化水素潤滑剤である。実施例9は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、5重量%の実施例3を添加することによって調製し、実施例10は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例3を添加することによって調製した。これらの実施例の特性を測定し、下の表に提供する。同じ特性は、実施例3自体に与えられる。実施例3の線状ジヒドロキシ末端ポリプロピレンオキシド組成物が、使用済み炭化水素油に含有されるワニスに対して影響を及ぼさない場合、5重量%および10重量%の実施例3の線状ジヒドロキシ末端ポリプロピレンオキシド組成物を添加することによって理論的に予期される特性もまた、表に示される。
【0059】
【0060】
実施例8~10の試験は、使用済み潤滑剤中のワニスに対するポリヒドロキシポリプロピレンオキシド組成物の効果に起因して、ポリヒドロキシポリプロピレンオキシド組成物の添加が、理論的に予想されるよりも潤滑剤粘度に対する効果が少ないことを証明する。実施例3の添加は、その粘度が使用済みの潤滑剤よりもはるかに高いため、使用済み潤滑剤の粘度を著しく増加させると予期されるが、そうではない。全酸価の低減は、実施例3の組成物がワニス凝集を溶解し、取り込まれた抗酸化剤を使用済み潤滑剤に再溶解したことを証明する。
【0061】
実施例11
Kovandaらの米国特許第8,685,905号による少なくとも1つのヒドロカルビル末端基を有するポリアルキレンオキシドの組成物は、下の表に列挙される成分を組み合わせることによって調製した。実施例11の特性を測定し、以下の表に提供する。
【0062】
【0063】
実施例12~14
グループIII炭化水素油の使用済み炭化水素潤滑剤の試料を入手し、3分量に分割して実施例12~14を作製した。実施例12は、第1の分量の、処理していない使用済み炭化水素潤滑剤である。実施例13は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例11を添加することによって調製した。実施例14は、第2の分量の使用済み炭化水素潤滑剤に、10重量%の実施例1のポリプロピレンオキシド組成物を添加することによって調製した。これらの実施例の特性を測定し、下の表に提供する。
【0064】
【0065】
実施例13は、ISO 3448に従うISO VG 68潤滑剤の粘度範囲を下回る、低減した粘度を有する。実施例13はまた、かすんだままであり、全酸価は減少するが、膜パッチ比色(ΔE)測定値は低減せず、ワニス凝集が潤滑剤中に残留していることを示す。これに対して、実施例14の全酸価は低減し、潤滑剤は透明であり、膜パッチ比色(ΔE)測定値は、未処理の潤滑剤の値の半分未満まで急激に低減した。
【0066】
実施形態に関する前述の説明は、例証および説明の目的のために提供された。それは網羅的であること、または本発明を限定することを意図しない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されないが、該当する場合、具体的に図示または説明されていないとしても交換可能であり、選択された実施形態において使用することができる。それらはまた、様々に変化し得る。そのような変形は、本発明からの逸脱として見なされるものではなく、すべてのそのような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
グループIIまたはグループIII油を含む使用済み炭化水素潤滑剤に、前記使用済み炭化水素潤滑剤の重量に基づいて、約2重量パーセント~約20重量パーセントの、約12mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーを添加することを含む、方法であって、
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、(a)スラッジもしくはワニスを含み、及び/または(b)最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量と比較して、少なくとも約0.3重量パーセントの原子状酸素の変化を有し、及び/または(c)最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤と比較して、膜パッチ比色試験において少なくとも約25のΔEの増加を有し、
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、少なくとも46のISO粘度グレードを有し、亜鉛ジアルキルチオホスフェートおよび他の亜鉛配位化合物を含まない、方法。
[2]
前記炭化水素潤滑剤が、高(Elevated)以上のワニスポテンシャル評価(Varnish Potential Rating)を有する、[1]に記載の方法。
[3]
前記使用済み炭化水素潤滑剤が、最初に配合されたときの前記炭化水素潤滑剤の原子状酸素の重量パーセントと比較して、少なくとも約0.5重量パーセントの原子状酸素の変化を有する、[1]に記載の方法。
[4]
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、線状である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、分岐状である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[6]
前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、2より多いヒドロキシル基を有する、[5]に記載の方法。
[7]
前記炭化水素潤滑剤が、46~220のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、約25mg KOH/g~約58mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
前記炭化水素潤滑剤が、100~220のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、約25mg KOH/g~約32mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、[7]に記載の方法。
[9]
前記炭化水素潤滑剤が、220~1500のISO粘度グレードを有し、前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが、約12mg KOH/g~約20mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[10]
約3重量パーセント~約17重量パーセントの前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが添加される、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
約5重量パーセント~約14重量パーセントの前記ポリヒドロキシポリプロピレンオキシドホモポリマーが添加される、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
前記炭化水素潤滑剤が、洗剤および分散剤添加剤を含まない、[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]
前記炭化水素潤滑剤に、抗酸化剤、消泡剤添加剤、腐食抑制剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部材を添加することをさらに含む、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。