(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】銅合金を加工した材料
(51)【国際特許分類】
C22C 9/06 20060101AFI20221128BHJP
C22C 9/04 20060101ALI20221128BHJP
C22F 1/08 20060101ALN20221128BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
C22C9/06
C22C9/04
C22F1/08 L
C22F1/00 630A
C22F1/00 630C
C22F1/00 630D
C22F1/00 630E
C22F1/00 630F
C22F1/00 630K
C22F1/00 631B
C22F1/00 631Z
C22F1/00 640A
C22F1/00 640Z
C22F1/00 661Z
C22F1/00 673
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
(21)【出願番号】P 2020545783
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2019000074
(87)【国際公開番号】W WO2019201469
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】102018003216.8
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】アルティンベルガー イゴール
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-274828(JP,A)
【文献】特開昭55-141540(JP,A)
【文献】特開平10-287940(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106337142(CN,A)
【文献】韓国公開特許第2001-0011676(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1052904(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 9/06
C22C 9/04
C22F 1/08
C22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
Mnの含量に対するNiの含量の比は多くとも2.3であることを特徴とする、請求項
1または2に記載の銅合金を加工した材料。
【請求項4】
Mnの含量に対するNiの含量の比は少なくとも1.8であることを特徴とする、請求
項1から3までのいずれか1項に記載の銅合金を加工した材料。
【請求項5】
Zn含量は多くとも19.5重量%であることを特徴とする、請求項1から4までのい
ずれか1項に記載の銅合金を加工した材料。
【請求項6】
前記材料は、混在するβ相の含量が多くとも2体積%であるα相マトリックスを有する
構造を有し、かつ前記MnNiおよびMnNi
2
型析出物が前記α相マトリックス中に混
在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の銅合金を加工した材料。
【請求項7】
前記構造のα相マトリックスはβ相を含まないことを特徴とする、請求項6に記載の銅合金を加工した材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度の高い銅-亜鉛-ニッケル-マンガン合金に関する。
【背景技術】
【0002】
8から20重量%のニッケルを含む銅-亜鉛合金は「洋銀」の名称で公知である。これらはニッケル含量が高いことにより、非常に耐腐食性であり、高い強度を有する。多くの洋銀合金は少量のマンガンを含有している。特に強度の高い洋銀合金はCuNi18Zn20およびCuNi18Zn19Pb1である。これらは1000MPaまでの引張強度を有する。両合金は1重量%未満のマンガンを含有している。約5重量%という明らかに多いマンガン含量を含むのは合金CuNi12Zn38Mn5Pb2である。この合金からなる材料は650MPaの引張強度を有することができる。
【0003】
特許文献1から、洋銀合金中のニッケルをマンガンと置換できることは公知である。ここで提案されているマンガン含有洋銀合金は、少なくともニッケルと同量のマンガンを含有している。これらの合金によって630MPaまでの引張強度を、1.5重量%の鉄を加えると710MPaまでの引張強度を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、強度、硬度、延性、耐摩耗性、耐腐食性が高く、かつ抗菌性ならびに防汚性が良好な銅合金を加工した材料を提供するという課題に基づく。この合金から半製品が通常の工程により工業的規模で製造可能でなくてはならない。特に、製造コストを低く保つために、中間焼鈍がなくても高い冷間加工度が達成可能でなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1の特徴により記載されている。その他の従属請求項は、本発明の好適な形態および発展形態に関するものである。
【0007】
本発明は、(重量%で)以下の組成:
Zn: 17から20.5%まで、
Ni: 17から23%まで、
Mn: 8から11.5%まで、
選択的にさらに、Crを4%まで、
選択的にさらに、Feを5.5%まで、
選択的にさらに、Tiを0.5%まで、
選択的にさらに、Bを0.15%まで、
選択的にさらに、Caを0.1%まで、
選択的にさらに、Pbを1.0%まで、
残部銅および不可避な不純物
を有する銅合金を加工した材料であって、前記銅合金は、銅の含量は少なくとも45重量%であり、
Mnの含量に対するNiの含量の比は少なくとも1.7であり、前記銅合金を加工した材料は、MnNiおよびMnNi2型析出物が混在している構造を有し、少なくとも850MPaの引張強度を有することを特徴とする銅合金を加工した材料を包含する。
【0008】
本発明は、このとき、特定の量の亜鉛、ニッケルおよびマンガンを銅に添加して合金化することにより優れた特性プロファイルを有する合金を形成するという考察から始まっている。
【0009】
合金中の亜鉛の含量は、少なくとも17重量%かつ多くとも20.5重量%である。安価な元素としての亜鉛は合金中にできるだけ大きな含量で存在すべきである。ただし、20.5重量%を超える亜鉛含量は、延性を著しく悪化させ、ならびに耐腐食性を低下させる。
【0010】
合金中のニッケルの含量は、少なくとも17重量%かつ多くとも23重量%である。ニッケルは合金に高い強度と良好な耐腐食性をもたらす。したがって、合金は少なくとも17重量%、好ましくは少なくとも18重量%のニッケルを含有しなくてはならない。費用の理由から、合金はニッケルを23重量%以下で、好ましくは21重量%以下で含有するべきである。
【0011】
合金中のマンガンの含量は、少なくとも8重量%かつ多くとも11.5重量%である。マンガンは、ニッケルが存在する場合、マンガンおよびニッケル含有MnNi2およびMnNi型析出物を形成することができる。この効果が明らかに現れるのは、マンガン含量が約8重量%のときからである。マンガンの含量が8重量%のときからは合金中の前記析出物の濃度が高いので、冷間加工に続いて実施される310から450℃の温度範囲での焼鈍処理により合金の強度は著しく上昇する。マンガン含量が11.5重量%を超えると、熱間加工時の亀裂発生の増加が認められる。したがって、マンガン含量は11.5重量%を超えてはならない。好ましくは、マンガン含量は少なくとも9重量%である。好ましくは、マンガン含量は多くとも11重量%である。
【0012】
マンガンの含量に対するニッケルの含量の比は少なくとも1.7なので、MnNi2およびMnNi型析出物を形成することができる。これらの析出物は合金の構造中に混在している。
【0013】
合金中の銅含量は、少なくとも45重量%である必要がある。銅含量は合金の抗菌性の決定に重要な役割を果たす。したがって、銅含量は少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも48重量%である必要がある。
【0014】
選択的に、合金にはさらに2重量%までのクロムを添加してよい。クロムは、MnNiおよびMnNi2析出物の他に追加の析出物種を形成する。それによりクロムはさらなる強度上昇に寄与する。好ましくは、著しい効果を得るためには少なくとも0.2重量%のクロムを合金に添加する必要がある。
【0015】
選択的に、合金にはさらに5.5重量%までの鉄を添加してよい。鉄は、MnNiおよびMnNi2析出物の他に追加の析出物種を形成する。それにより鉄はさらなる強度上昇に寄与する。好ましくは、著しい効果を得るためには少なくとも0.2重量%の鉄を合金に添加する必要がある。
【0016】
選択的元素Ti、BおよびCaは構造を細粒化させる。任意の元素Pbは材料の機械加工性を改善する。考慮すべきなのは、Pbは熱間加工性を悪化させるので、著しくPbが合金に添加される場合には熱間加工を行なわない、ということである。
【0017】
前記合金はベリリウムおよび希土類元素を含まない。
【0018】
本発明の特別な利点は、亜鉛、ニッケルおよびマンガンという元素の含量を特別に選択することにより、混錬材料として抜群の特性プロファイルを有する合金が形成されるということにある。この合金は、強度、延性、深絞り加工性、耐腐食性およびばね特性の組み合わせが優れていることにより際立っている。この合金は、優れた抗菌性および防汚性を有する。析出硬化により、少なくとも1100MPaの引張強度および/または少なくとも1000MPaの降伏点を有する材料を製造することができる。
【0019】
合金は、鋳型の鋳造後、固溶化熱処理をしないで熱間加工してもよく、または鋳型を熱間加工しないで直接冷間加工してもよい。第一の方法では、合金の鋳造および冷却後に650℃から850℃の間の温度で熱間加工を実施する。その後、合金を冷間加工するが、このとき99%までの加工度を達成することができる。この場合、少なくとも90%の加工度が好ましい。加工度とは、ここでは、被加工物の断面の相対的な減少のことである。冷間加工の後、合金は、310℃から500℃の間の温度で10分から30時間の期間で熱処理される。これにより、材料の構造中にMnNi2およびMnNi型析出物が形成される。これらの析出物が材料の強度を著しく上昇させる。先行する冷間加工の加工度が大きいほど、熱処理後の材料の強度は高くなる。合金を少なくとも95%の加工度で冷間加工すると、熱処理後の材料は1350MPaまでの引張強度Rmおよび1300MPaまでの降伏点Rp0.2を有する。このような材料の場合、硬度は460HV10までである。加工度が90%の場合、熱処理後の材料は、2.1%の破断伸びで1260MPaまでの引張強度Rmおよび1200MPaまでの降伏点Rp0.2を有する。このような強度の高い材料を製造するためには、熱処理の温度は好ましくは330から370℃の間である。熱処理の期間は、2から30時間の間である。
【0020】
450℃を超える熱処理温度および1時間未満の熱処理期間を選択することにより、30%の破断伸びで約700MPaの引張強度を有するより柔らかい状態をも調整することができる。
【0021】
研究によって、合金が12重量%を超えるマンガンを含んでいる場合、熱間加工の際に亀裂が生じる、ということが示されている。熱間圧延では、圧延帯材の側面縁部から亀裂が生じる。帯材の有効幅はそれによって明らかに減少している。さらに、肉眼では亀裂が認められない帯材範囲でも微小な亀裂が生じることが考えられる。このような亀裂の発生を回避するために、合金のマンガン含量は11.5重量%を超えてはならない。
【0022】
すなわちマンガン含量を狭く限定した範囲で調整しなくてはならないので、一方では析出物形成の利点を利用することができ、他方ではしかし熱間加工時の亀裂発生が回避される。本発明による合金は、したがって、特に好適な選択肢の1つである。特に、合金中の亜鉛とマンガンの含量は、合金が一方ではなお問題なく熱間加工可能であり、他方では高い冷間加工度を可能にするように調整される。
【0023】
代わりの第二の方法では、合金は熱間加工をしないで加工される。このため、合金の鋳造状態は冷間加工される。合わせて90%までの加工度を達成することができる。合わせて少なくとも80%の加工度で冷間加工した後、材料は850MPaまでの引張強度Rmおよび835MPaまでの降伏点Rp0.2を有する。破断伸びは3%であり、かつ硬度は276HV10である。900MPaを超える引張強度は、加工度90%の冷間加工により達成できる。
【0024】
本発明による合金からなる材料は、非常に疲労強度があり、耐油腐食性かつ低摩耗性である。したがって、これらは、滑り軸受、工具、リレーおよび時計部品での使用に適している。さらに、このような材料は良好なばね特性を示す。これらは、その高い弾力性に基づき多くのエネルギーを弾性的に蓄積することができる。したがって、本発明による合金はばねおよびばね部材に良く適している。冷間加工性、耐腐食性およびばね特性の組み合わせにより、本発明による合金は眼鏡の枠および蝶番用の好ましい材料になる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、Mnの含量に対するNiの含量の比は多くとも2.3であってよい。Ni/Mn比をこのように選択すると、化学量論がMnNiの析出物の形成に特に有利な条件が存在する。Ni/Mn比が2.3を超えると、過剰なNiが多くなって、化学量論がMnNi2の析出物の形成が増大する。MnNi型析出物はMnNi2型析出物としての強度をさらに大きく上昇させる。したがって、Ni/Mn比は多くとも2.3であることが好適である。
【0026】
好適には、Mnの含量に対するNiの含量の比は、少なくとも1.8、特に好ましくは少なくとも1.9であってよい。マンガン含量は、合金の破断伸びおよび熱間加工時の亀裂発生に影響を及ぼす。析出物中でニッケルにより結合されているマンガンが多いほど、破断伸びは大きく、かつ熱間加工時の亀裂発生の危険は小さい。したがって、マンガンの少なくとも1.8倍、好ましくは少なくとも1.9倍のニッケルが合金中に存在することが有利である。
【0027】
さらに、マンガン含量が増加すると、表面腐食に対する耐性が低下する。したがって、Mn含量が10重量%を超えない場合は腐食に強く関連する用途に好適である。
【0028】
本発明の好適な実施態様の1つでは、Zn含量は多くとも19.5重量%であってよい。Zn含量を限定することにより、合金の脆化の危険をさらに抑えることができる。Zn含量が多くとも19.5重量%であるならば、合金は非常に延性があり、冷間でも熱間でも大変良好に加工することができる。
【0029】
好適には、本発明による合金はα相マトリックスを有する構造を有する。このα相マトリックス中には、2体積%までのβ相が混在していてよい。さらに、MnNiおよびMnNi2型析出物がこのα相マトリックス中に混在している。合金のほぼ純粋なα相マトリックスにより、大きな冷間加工性が可能になる。β相の含量は少ないので、冷間加工性を損なうことはほとんどない。本発明の特に好ましい実施態様の1つでは、前記構造のα相マトリックスはβ相を含まない。前記構造はすなわちMnNiおよびMnNi2型析出物が混在しているα相だけからなっている。このことは、合金元素、特に亜鉛含量を特別に選択することにより達成できる。
【0030】
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】合金の硬度をマンガン含量に対してプロットしたグラフを示す。
【
図2】析出硬化熱処理前の合金の引張強度、降伏点および破断伸びをマンガン含量に対してプロットしたグラフを示す。
【
図3】析出硬化熱処理後の合金の引張強度および降伏点をマンガン含量に対してプロットしたグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
表1に記載の組成を有する試料を製造した。
【0033】
【0034】
これらの試料では、亜鉛およびニッケルの含量はそれぞれ20重量%で一定に保たれた。マンガン含量は5重量%から15重量%まで変化させた。それにしたがって、銅含量は55重量%から45重量%に減少させた。不可避の不純物は0.1重量%未満であった。
【0035】
前記試料を溶錬し鋳造した。固化させた後、鋳造ブロックを775℃で熱間圧延した。前記表の最終行には熱間圧延時の亀裂発生を記載している。熱間圧延後、これらの試料を90%の加工度で冷間圧延した。この状態で、これらの試料において硬度、引張強度、降伏点および破断伸びを測定した。
【0036】
冷間圧延後、前記試料を12時間320℃で焼鈍した。焼鈍後、同様に硬度、引張強度、降伏点および破断伸びを測定した。
【0037】
図1は、合金の硬度をマンガン含量に対してプロットしたグラフを示している。下側の測定点列は、冷間圧延直後の、すなわち焼鈍を行なっていない状態についての測定値を表している一方、グラフの上側の点は焼鈍後の測定値を表している。合金は、焼鈍を行なわない場合、マンガン含量の増加に伴って270から290HV10まで連続した硬度上昇を示している。焼鈍により合金の硬度は明らかに増加している。5および7.5重量%では上昇は約50HV10である一方、少なくとも10重量%のマンガン含量では硬度上昇は80HV10を超えている。析出硬化熱処理による硬度の上昇は、マンガン含量が7.5重量%を上回ると、それより少ないマンガン含量の場合よりも明らかに顕著である。材料の硬度を少なくとも350HV10まで上げるためには約9重量%のマンガンが必要である。350HV10以上の硬度は、例えば滑り軸受に好適である。この合金は、したがって、滑り軸受材料としてのCu-Be合金の代わりに使用することができる。
【0038】
図2は、熱処理前の合金のマンガン含量に対して引張強度、降伏点および破断伸びをプロットしたグラフを示している。引張強度の値は黒くつぶした丸で表しており、降伏点の値は白い四角で表している。引張強度および降伏点は、グラフの左側の軸と関係している。破断伸びの値は白い三角で表しており、グラフの右側の軸と関係している。5から10重量%までのマンガンでは、引張強度および降伏点の適度な上昇が認められる。10から12.5重量%のマンガンでは、引張強度および降伏点はやや減少している。マンガンが15重量%のときに引張強度および降伏点の値を測定すると、10重量%のときの値の水準をやや超えている。破断伸びは、5から10重量%のマンガンでやや減少しているが、しかし、それより多いマンガン含量では3%から約1%にまで明らかに落ち込んでいる。
【0039】
図3は、熱処理後の合金のマンガン含量に対して引張強度および降伏点をプロットしたグラフを示している。引張強度の値は黒くつぶした丸で表しており、降伏点の値は白い四角で表している。5から10重量%までのマンガンでは、引張強度および降伏点の明らかな上昇が認められる。特に降伏点はこの範囲で900MPa未満から1200MPaに上昇している。10から12.5重量%のマンガンでは、引張強度および降伏点はやや減少している。マンガンが15重量%のときに引張強度および降伏点の値を測定すると、10重量%のときの値の水準にある。
【0040】
図2と
図3の値を比較すると、7.5重量%を超えるマンガン含量について、焼鈍による強化の効果が特に大きいことがわかる。マンガン含量が10重量%では、焼鈍により引張強度および降伏点はそれぞれ約300MPa上昇した一方、5重量%のマンガンでは、焼鈍により引張強度は約130MPaしか上昇せず、降伏点はほとんど変わらなかった。
【0041】
前記研究結果は、マンガン含量が約10重量%の場合に非常に有利な状態が合金中に存在していることを示している。一方で引張強度および降伏点は最大値を有し、他方で合金はこのときまだ亀裂を発生する傾向にない。