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特許7183286ディジタル病理スキャニング・インターフェースおよびワークフロー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ディジタル病理スキャニング・インターフェースおよびワークフロー
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20221128BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20221128BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20221128BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B21/26
G16H30/00
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020547002
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055238
(87)【国際公開番号】W WO2019170564
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/639,375
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ディ コスタ,マヤ
(72)【発明者】
【氏名】プレトリウス,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】デ スーザ コート エ サントス,ペドロ
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-177805(JP,A)
【文献】特開2007-233094(JP,A)
【文献】特表2014-504849(JP,A)
【文献】特開2014-006321(JP,A)
【文献】特開2013-200639(JP,A)
【文献】特開2014-228755(JP,A)
【文献】特表2016-511846(JP,A)
【文献】特表2007-501959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
G01N 21/62 - 21/74
G01N 33/48 - 33/98
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G06T 1/00
G06T 3/00 - 5/50
G06T 7/00 - 7/90
G06T 9/00 - 9/40
G06T 11/60 - 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - 19/20
G06Q 50/22
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料の高解像度画像を、スライド・スキャニング・デバイスによって取得する方法であって、
複数の重複しないプレースホルダを表示するステップであって、各プレースホルダが、スライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、ステップ(221)と、
前記スライド・スキャニング・デバイスから、スキャニング動作ステータスにアクセスするステップであって、前記スキャニング動作ステータスは、前記スライド・トレーの第1スライド位置について、前記スライド・スキャニング・デバイスによって行われるスキャニング動作のステータスを示す、ステップと、
複数の前記プレースホルダのうちの1つのプレースホルダの前記第2部分に、前記スキャニング動作ステータスを入力するステップ(222)と、
前記スライド・スキャニング・デバイスから、前記生体試料のプレビュー・スキャン画像にアクセスするステップであって、前記プレビュー・スキャン画像は、前記スライド・トレーの前記第1スライド位置にしたがって配置されたスライドを表す、ステップと、
前記プレースホルダの前記第1部分に、前記プレビュー・スキャン画像を入力するステップ(222)と、
前記プレースホルダの前記プレビュー・スキャン画像に対して、前記スライド・スキャニング・デバイスによって前記プレビュー・スキャン画像を生成するのに用いられた合焦方法の調節に対応する入力信号を受け取るステップと、
前記受け取られた入力信号によって示される前記調節に基づいて、前記第1スライド位置において少なくとも1つの高解像度スキャン画像を生成するために前記スライドを再スキャンするステップ(225)と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記プレビュー・スキャン画像がサムネイル画像である、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記入力信号は予め計算された対象エリアの調節にさらに対応し、前記予め計算された対象エリアに対する前記調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、または対象エリアの削除の内少なくとも1つを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記調節は、さらに、合焦レイヤの数、または合焦レイヤの間隔の内少なくとも1つを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの高解像度スキャン画像に関連する患者データを匿名化するステップをさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の方法において、前記複数のプレースホルダの各々の前記第2部分は初期スキャニング・パラメータを表示する、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の方法において、前記プレースホルダの第2部分に入力される前記スキャニング動作ステータスが、前記スライド・トレーの前記第1スライド位置にスライドが存在しないとき、空ステータス・フィールドとなる、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の方法において、前記複数のプレースホルダの前記第1部分に入力される前記プレビュー・スキャン画像が、予めプログラミングされたスキャニング設定値を使用して自動的に取得される、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記予めプログラミングされたスキャニング設定値が、前記合焦方法を示す、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の方法において、前記スキャニング動作ステータスが、英数字指示、動画、および着色指標の内少なくとも1つを含む、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記スライド・スキャニング・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、前記複数のプレースホルダの内1つに対応し、前記複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項記載の方法であって、更に、スライド・ラベル情報を自動的に認識し、前記認識したスライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である、方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項記載の方法であって、更に、前記プレースホルダの前記第1部分に入力された前記プレビュー・スキャン画像の拡大部分のレンダリングを含む、重ね合わせウィンドウを表示するステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記プレビュー・スキャン画像の拡大部分のレンダリングが、入力デバイスによって選択された画像エリアに対応する、方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の方法であって、更に、前記プレースホルダの前記第1部分に入力された前記プレビュー・スキャン画像上に対象エリアを重ね合わせるステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項記載の方法において、前記複数のプレースホルダの各々に、前記スライド・トレーの対応するスライド位置における生体試料のプレビュー・スキャン画像を順次入力し、前記スキャン動作ステータスをリアル・タイムで更新する、方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項記載の方法であって、更に、スライド・トレー挿入信号を受け取るステップを含み、前記スライド・トレー挿入信号が、前記スライド・トレー内におけるスライド位置の数の指示を含み、表示される前記複数の重複しないプレースホルダの数が、前記示されたスライド位置の数に基づいて決定される、方法。
【請求項19】
高解像度画像スキャンを生成するシステム(100)であって、
(i)1つ以上のプロセッサ(102)と、(ii)前記1つ以上のプロセッサ(102)に結合された1つ以上のメモリ(104)とを備え、前記1つ以上のメモリ(104)がコンピュータ実行可能命令を格納し、前記1つ以上のプロセッサによってコンピュータ実行可能命令が実行されると、前記システム(100)に、
複数のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図をディスプレイ・デバイス(108)上に表示する動作であって、前記説明図が複数のプレースホルダを含み、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、動作と、
スライド・スキャニング・デバイスから、スキャニング動作ステータスにアクセスする動作であって、前記スキャニング動作ステータスは、前記スライド・トレーの第1スライド位置について、前記スライド・スキャニング・デバイスによって行われるスキャニング動作のステータスを示す、動作と、
前記複数のプレースホルダのうちの1つのプレースホルダの前記第2部分に、前記スキャニング動作ステータスを入力する動作と、
前記スライド・スキャニング・デバイスから、生体試料のプレビュー・スキャン画像にアクセスする動作であって、前記プレビュー・スキャン画像は、前記スライド・トレーの前記第1スライド位置にしたがって配置されたスライドを表す、動作と、
前記プレースホルダの前記第1部分に、前記プレビュー・スキャン画像を入力する動作と、
前記プレースホルダの前記プレビュー・スキャン画像に対して、前記スライド・スキャニング・デバイスによって前記プレビュー・スキャン画像を生成するのに用いられた合焦方法の調節に対応する入力信号を受け取る動作と、
前記受け取られた入力信号によって示される前記調節に基づいて、前記第1スライド位置において少なくとも1つの高解像度スキャン画像を生成するために前記スライドを再スキャンするための出力信号を、前記スライド・スキャニング・デバイス(110)に送信する動作と、
を含む動作を実行させる、システム(100)。
【請求項20】
請求項19記載のシステムであって、更に、前記プレビュー・スキャン画像の拡大部分を表示する動作を含む、システム。
【請求項21】
請求項20記載のシステムにおいて、前記拡大部分が、重ね合わされたビューア・ウィンドウ内に表示される、システム。
【請求項22】
請求項19記載のシステムにおいて、前記入力信号は予め計算された対象エリアの調節にさらに対応し、前記予め計算された対象エリアに対する前記調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、および対象エリアの削除の内少なくとも1つを含む、システム。
【請求項23】
請求項19記載のシステムにおいて、前記調節は、さらに、合焦レイヤの数、または合焦レイヤの間隔を含む、システム。
【請求項24】
請求項19から23までのいずれか1項記載のシステムにおいて、前記スキャニング動作ステータスが、英数字指示、動画、および着色指標の内少なくとも1つを含む、システム。
【請求項25】
請求項24記載のシステムにおいて、前記スライド・スキャニング・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、前記複数のプレースホルダの内1つに対応し、前記複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する、システム。
【請求項26】
請求項19から25までのいずれか1項記載のシステムであって、更に、前記プレビュー・スキャン画像内においてスライド・ラベル情報を自動的に認識し、前記スライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力する動作を含む、システム。
【請求項27】
請求項26記載のシステムにおいて、前記1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である、システム。
【請求項28】
スライド・スキャニング・デバイスによって高解像度画像スキャンを生成するための命令を格納する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、
複数の重複しないプレースホルダを表示する命令であって、各プレースホルダがスライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、命令と、
前記スライド・スキャニング・デバイスから、スキャニング動作ステータスにアクセスする命令であって、前記スキャニング動作ステータスは、前記スライド・トレーの第1スライド位置について、前記スライド・スキャニング・デバイスによって行われるスキャニング動作のステータスを示す、命令と、
前記複数のプレースホルダのうちの1つのプレースホルダの前記第2部分に、前記スキャニング動作ステータスを入力する命令と、
前記スライド・スキャニング・デバイスから、生体試料のプレビュー・スキャン画像にアクセスする命令であって、前記プレビュー・スキャン画像は、前記スライド・トレーの前記第1スライド位置にしたがって配置されたスライドを表す、命令と、
前記プレースホルダの前記第1部分に、前記プレビュー・スキャン画像を入力する命令と、
前記プレースホルダの前記プレビュー・スキャン画像に対して、前記スライド・スキャニング・デバイスによって前記プレビュー・スキャン画像を生成するのに用いられた合焦方法の調節に対応する入力信号を受け取る命令と、
前記受け取られた入力信号によって示される前記調節に基づいて、前記第1スライド位置において少なくとも1つの高解像度スキャン画像を生成するために前記スライドを再スキャンする命令と、
を含む、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
請求項28記載の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体において、前記スライド・トレーの前記スライド・スキャニング・デバイスへの挿入時に、スキャニング動作を自動的に開始するための命令を供給する、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
請求項29記載の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体において、前記自動的に開始されるスキャニング動作が、プリセット・スキャニング設定値を利用する、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
請求項30記載の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体において、前記プリセット・スキャニング設定値が、前記合焦方法を示す、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 本願は、2018年3月6日に出願された米国仮特許出願第62/639,375号の出願日の権利を主張する。この特許出願をここで引用したことにより、その開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
[0002] 組織病理学とは、種々の形態の生体試料の顕微鏡検査を指す。具体的には、臨床医学では、組織病理学は、試料が処理され、組織学的切片がガラス標本スライド上に載せられた後における、病理学者による生検または手術試料の検査を指す。細胞病理学とは、疾病を細胞レベルで研究および診断する病理学の分科である。これは、通常、癌の診断において補助するために使用されるだけでなく、特定の感染症およびその他の炎症症状の診断、ならびに甲状腺病変、無菌体腔(腹膜、胸膜、および脳脊髄)を伴う疾病、および広範囲のその他の身体部位の診断において役立つ。細胞病理学は、一般に、自由細胞または組織断片(組織全体を研究する組織病理学とは対照的に)の試料上で使用される。
【0003】
[0003] 過去において、実験室の技師または病理学者は、通例、生体試料の検査を手作業で行っていた。手作業の方法では、生体試料が準備されたスライドを、顕微鏡の下で低倍率で見て、対象の候補細胞を視覚的に突き止める。次いで、対象の細胞が位置するスライドのエリアをもっと高い倍率で見て、これらの物体を、腫瘍または癌細胞のような、対象細胞として確認する。このようなプロセスは、厄介なだけでなく時間もかかる。この手作業のプロセスは、ディジタル画像の使用により、即ち、ディジタル化された染色生体試料を含むスライドを撮影またはスキャンした画像の使用により改善された。生体試料の高解像度ディジタル画像は、通例、顕微鏡および特殊撮像ハードウェアを使用して得られる。
【0004】
[0004] ディジタル標本画像の利用は、病理学の分野に大きな影響を及ぼしたと考えられる。ディジタル画像データを使用することにより、ガラス標本スライドの物的取り扱い、および光学機器の手動操作に関連する特定の作業から、技術者または病理学者を解放する。加えて、ディジタル画像の使用により、画像を取り扱い操作する自動化プロセスも可能になる。多くの組織は、生産性および効率を高め、究極的に治療判断および患者看護の改善に至る方法として、ディジタル病理学システムに魅力を感じている。
【0005】
[0005] ディジタル病理学は、組織病理学または細胞病理学のガラス・スライド全体をスキャンして、コンピュータ画面上で解釈可能なディジタル画像を得ることを伴う。これらの画像は、後に撮像アルゴリズムによって処理されるか、または病理学者によって解釈される。生体試料を検査するために、細胞成分に選択的に結合する着色組織化学染料を使用して、組織切片を準備する。色を強調した細胞構造物または染色した細胞構造物は、病理学者またはコンピュータ補助診断アルゴリズムによって、疾病の形態学的マーカを識別するため、そしてそれに応じて治療を進めるために使用される。アッセイを観察することによって、疾病の診断、治療に対する反応の評価、および疾病と闘うための新たな薬剤の開発を含む、種々プロセスが可能になる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の1つの態様は、生体試料の高解像度画像(病理学者による検討および分析に適した解像度を有するもの等)を、スライド・スキャニング・デバイスによって取得する方法であって、この方法は、(i)複数の重複しないプレースホルダを表示するステップであって、各プレースホルダが、スライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、ステップと、(ii)複数のプレースホルダの各々の第2部分に、少なくともスキャニング動作ステータス情報を入力するステップと、(iii)複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に、スライド・トレーの対応するスライド位置に配置された生体試料のプレビュー・スキャン画像を入力するステップと、(iv)1つ以上の選択されたインターフェース・エレメントに対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、少なくとも1つの高解像度スキャン画像を生成するステップとを含む。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像がサムネイル画像である。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像が高解像度スキャン画像である。
【0007】
[0007] ある実施形態では、少なくとも1つの高解像度スキャン画像が、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値(user configurable scanning setting)に対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて生成される。ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ・インターフェース・エレメントが、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する。ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節と、(ii)構成可能スキャニング・パラメータとを含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点位置の再位置付け、新たな対象エリアの作成、および対象エリアの削除の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、構成可能スキャニング・パラメータが、 合焦方法、対象エリア検出方法(「AOI検出方法」)、倍率、合焦レイヤの数、および合焦レイヤの間隔の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、構成可能スキャニング・パラメータが、更に、ラベルの匿名化を含む。
【0008】
[0008] ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報および初期スキャニング・パラメータの双方が、複数のプレースホルダの第2部分内に表示される(即ち、プレビュー・スキャン画像を取得するために使用されたスキャニング・パラメータ)。ある実施形態では、プレースホルダの第2部分に入力されるスキャニング動作ステータス情報が、スライド・トレーの対応する位置にスライドが存在しないとき、空ステータス・フィールドとなる。ある実施形態では、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に入力されるプレビュー・スキャン画像が自動的に生成され、自動的に生成されたプレビュー・スキャン画像が、予めプログラミングされたスキャニング設定値を使用して取得される。ある実施形態では、予めプログラミングされたスキャニング設定値が、合焦方法および対象エリア検出方法の内少なくとも1つを含む。
【0009】
[0009] ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報が、英数字指示、動画、および/または着色指標の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する。ある実施形態では、スライド・スキャナ・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、複数のプレースホルダの内1つに対応する。ある実施形態では、この方法は、更に、スライド・ラベル情報を自動的に認識し、認識したスライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力するステップを含む。ある実施形態では、1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である。
【0010】
[0010] ある実施形態では、この方法は、更に、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの中にあるプレビュー・スキャン画像が、所定の基準を満たすか否か評価するステップを含む。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像の評価が、焦点品質および/または画像コントラストについて、プレビュー・スキャン画像の少なくとも1つの拡大部分を検討することを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に入力されたプレビュー・スキャン画像の拡大部分のレンダリングを含む、重ね合わせウィンドウを表示するステップを含む。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像の拡大部分のレンダリングが、入力デバイスによって選択された画像エリアに対応する。
【0011】
[0011] ある実施形態では、この方法は、更に、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に入力されたプレビュー・スキャン画像上に対象エリアを重ね合わせるステップを含む。ある実施形態では、複数のプレースホルダの各々に、スライド・トレーの対応するスライド位置における生体試料のプレビュー・スキャン画像を順次入力し、スキャン動作ステータス情報をリアル・タイムでまたは実質的にリアル・タイムで更新する。ある実施形態では、この方法は、更に、スライド・トレー挿入信号を受け取るステップを含み、スライド・トレー挿入信号が、スライド・トレー内におけるスライド位置の数の指示を含み、表示される複数の重複しないプレースホルダの数が、示されたスライド位置の数に基づいて決定される。
【0012】
[0012] 本開示の他の態様は、高解像度画像スキャンを生成するシステムである。このシステムは、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリとを備え、1つ以上のメモリがコンピュータ実行可能命令を格納し、1つ以上のプロセッサによってコンピュータ実行可能命令が実行されると、複数のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を表示する動作であって、説明図が複数のプレースホルダを含み、各プレースホルダが複数のスライド位置の内の1つに対応する、動作と、複数のプレースホルダの各々に、スキャニング・デバイスから受け取ったスキャニング動作ステータス情報を入力する動作と、プレースホルダの各々に、スキャニング・デバイスから受け取った生体試料のスキャン画像を順次入力する動作と、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に基づいて、スライド・トレーの1つ以上のスライド位置に配置された1つ以上の顕微鏡スライドの再スキャニングを実行するための信号を、スキャニング・デバイスに送信する動作とを含む動作を、このシステムに実行させる。ある実施形態では、生体試料のスキャン画像がサムネイル画像である。ある実施形態では、生体試料のスキャン画像が高解像度画像である。
【0013】
[0013] ある実施形態では、このシステムは、更に、スキャン画像の少なくとも1つの拡大部分を表示するための命令を含む。ある実施形態では、拡大部分が、重ね合わされたビューア・ウィンドウ内に表示される。ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節と、(ii)構成可能スキャニング設定値とを含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、および/または対象エリアの削除の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、構成可能スキャニング・パラメータが、合焦方法、AOI検出方法、倍率、合焦レイヤの数、および/または合焦レイヤの間隔を少なくとも含む。ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報が、英数字指示、動画、および/または着色指標の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、スキャニング・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、複数のプレースホルダの内1つに対応する。ある実施形態では、複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する。ある実施形態では、このシステムは、更に、スキャンされた画像内においてスライド・ラベル情報を自動的に認識し、このスライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力する命令を含む。ある実施形態では、1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である。
【0014】
[0014] 本開示の他の態様は、スライド・スキャニング・デバイスによって高解像度画像スキャンを生成するための命令を格納する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、複数の重複しないプレースホルダを表示する命令であって、各プレースホルダがスライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、命令と、複数のプレースホルダの各々の第2部分に、少なくともスキャニング動作ステータス情報を入力する命令と、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に、スライド・トレーの対応するスライド位置に配置された生体試料のプレビュー・スキャン画像を入力する命令とを含む。
【0015】
[0015] ある実施形態では、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が、更に、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、少なくとも1つの高解像度スキャン画像を生成する命令を含む。ある実施形態では、スライド・トレーのスライド・スキャニング・デバイスへの挿入時に、スキャニング動作を自動的に開始するための命令を供給する。ある実施形態では、自動的に開始されたスキャニング動作が、プリセット・スキャニング設定値を利用する。ある実施形態では、プリセット・スキャニング設定値が、合焦方法および対象エリア検出方法の内少なくとも1つを含む。
【0016】
[0016] 本開示の他の態様は、スキャニング・デバイスによって、基板上に載せられた生体試料の高解像度スキャンを取得する方法であって、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上で、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する第1ユーザ入力を受け取るステップと、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上で、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する、受け取った一連のユーザ入力に基づいてスキャニングを開始するための第2ユーザ入力を受け取るステップと、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に、(i)スキャニング動作ステータス情報、(ii)画像データ、および/または(iii)ユーザ構成可能スキャニング設定値の少なくとも一部の内1つ以上が入力された1つ以上のプレースホルダの少なくとも可視化(visualization)を表示するステップとを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、画像データを格納するための第3ユーザ入力を受け取るステップを含む。ある実施形態では、画像データの格納が、更に、格納の前に、画像データの高解像度スキャンを生成するステップを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する一連のユーザ入力を見直し、見直した一連のユーザ入力に基づいて画像データを再スキャンするための第4ユーザ入力を受け取るステップを含む。
【0017】
[0017] 本出願人は、標本を支持するスライドの効率的で高精度のスキャニングを容易に行うシステムを開発した。このシステムは、1つ以上のプレビュー・スキャン画像(即ち、サムネイル画像、低解像度画像、または高解像度画像を含むがこれらに限定されない任意の解像度でもよい初期スキャン画像)、スキャニング動作ステータス情報、および/または既に適用されたスキャニング設定値を見た後に、ユーザが構成可能スキャニング設定値を選択または修正することを可能にする新規なユーザ・インターフェースを含む。したがって、このシステムおよび付随する方法は、一定の基準または目的(例えば、病理学者の好み、アッセイまたはプロトコルの要件等)を満たす最終スキャンを取得できるように、リアル・タイム画像データ、スキャニング動作ステータス・データ、およびスキャニング設定値情報を供給しつつ、ユーザがユーザ構成可能スキャニング設定値を動的に変化させることを可能にする。本出願人は、本明細書において開示するシステムおよび方法が、画像データの取得において、スキャニング速度の向上および効率向上を促進することを具申する。更に、本出願人は、本明細書において開示するシステムおよび方法が、顕微鏡スライドのスキャニングにおける精度向上を可能にすることを具申する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[0018] 本開示の特徴の総合的な理解のために、図面を参照する。図面において、同一の要素を識別するために、同様の参照番号が図面全体にわたって使用されている。
図1A図1Aは、ある実施形態にしたがって、1つ以上のプロセッサとスキャニング・デバイスとを有するコンピュータを含み、コンピュータおよびスキャニング・デバイスが、ネットワークを通じてというようにして、通信可能に結合されたスキャニング・システムを示す。
図1B図1Bは、ある実施形態にしたがって、処理サブシステム、スキャニング・デバイス、記憶サブシステム、出力デバイス、および入力デバイスを含み、各コンポーネントが、バス、ネットワーク、あるいは他の有線またはワイヤレス相互接続を通じて通信可能に結合されたスキャニング・システムを示す。
図2A図2Aは、ある実施形態にしたがって、スキャニング・デバイスを使用して、基板(例えば、顕微鏡スライド)上に載せられた生体試料の高解像度スキャンを生成するステップを示すフローチャートについて説明する。
図2B図2Bは、ある実施形態にしたがって、スキャニング・デバイスと処理サブシステムとの間におけるデータ交換を示すフローチャートについて説明する。処理サブシステムは、フィードバックをユーザに提供し、更に、ユーザが構成可能な属性を有する高解像度スキャンが生成されるように、スキャニング設定値を変更することをシステム・ユーザに可能にする。
図2C図2Cは、ある実施形態にしたがって、画像データまたはスキャニング動作ステータス・データのようなデータを受け取り、画像データの検討(review)およびスキャニング設定値の随意の調節を容易にするように、このような受け取ったデータをユーザ・インターフェースに供給するステップを示すフローチャートについて説明する。
図2D図2Dは、ある実施形態にしたがって、ユーザ・インターフェースを通じてというようにして、画像データが所定の基準を満たすか否か判定するステップ、およびユーザ・インターフェースを通じてスキャニング設定値を調節し、生成したあらゆる高解像度スキャンを格納するステップを示すフローチャートについて説明する。
図2E図2Eは、ある実施形態にしたがって、ユーザが構成可能スキャニング・パラメータおよび/または予め計算された対象エリアを変更し、続いて、選択されたユーザ構成可能スキャニング・パラメータおよび/または変更した対象エリアを使用して、試料をスキャニングし直すステップを示すフローチャートについて説明する。
図3A図3Aは、ある実施形態による、3箇所のスライド位置を有するスライド・トレーを示す。
図3B図3Bは、ある実施形態による、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーを示す。
図4A図4Aは、ある実施形態にしたがって、各プレースホルダが合計3つのスライド位置を有するスライド・トレーにおけるスライド位置を表し、ユーザ・インターフェース内に表示された各プレースホルダが、スライド・トレー内における対応スライド位置に対応する3つの別々のプレースホルダを有する説明図(representation)を含むユーザ・インターフェースを示す。
図4B図4Bは、ある実施形態にしたがって、各プレースホルダが合計6つのスライド位置を有するスライド・トレーにおけるスライド位置を表し、ユーザ・インターフェース内に表示された各プレースホルダが、スライド・トレー内における対応スライド位置に対応する、6つの別々のプレースホルダを有する説明図を含むユーザ・インターフェースを示す。
図5A図5Aは、3箇所のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を明示するユーザ・インターフェースを示し、この説明図が3つのプレースホルダを含み、第1プレースホルダは、サムネイル画像スキャンと、このサムネイル画像スキャンが完了したことの指示とを、サムネイル・スキャンを生成するときに使用したスキャニング設定値と共に含むことが示され、一方第2および第3プレースホルダは、それぞれのサムネイル画像スキャンおよび/または高解像度画像スキャンを生成するときに利用される、スキャニング動作ステータス情報およびスキャニング設定値を表示する。
図5B図5Bは、ある実施形態による3箇所のスライド位置を揺するスライド・トレーの説明図を明示するユーザ・インターフェースを示し、この説明図は3つのプレースホルダを含む。第1プレースホルダは、サムネイル画像と、(i)サムネイル画像スキャンが完了したことの指示、および(ii)サムネイル画像スキャンを生成するときに使用したスキャニング設定値を含む追加情報とを含むことが示され、第2位置は、他のサムネイル画像スキャンを、スキャニング動作において利用されているスキャニング設定値と共に、高解像度画像が能動的に(actively)スキャンされていることの指示も一緒に示し、第3プレースホルダは、サムネイル・スキャンが完了したことを、そのスキャンを生成するときに利用したサムネイル画像データおよびスキャニング設定値と共に示す。
図5C図5Cは、ある実施形態による、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を明示するユーザ・インターフェースを示し、この説明図は6つのプレースホルダを含み、第1プレースホルダは、サムネイル画像および高解像度画像スキャンが完了したことの指示を、高解像度画像スキャンを生成するときに使用したスキャニング設定値と共に含むことが示され、第2プレースホルダは、サムネイル・スキャンが完了したことを、このサムネイル画像スキャンを生成するときに利用したサムネイル画像データおよびスキャニング設定値と共に示し、第3、第4、第5、および第6プレースホルダは、サムネイル画像スキャンおよび/または高解像度画像スキャンを生成するときに利用されるスキャニング動作ステータス情報およびスキャニング設定値を表示する。
図5D図5Dは、ある実施形態による、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を明示するユーザ・インターフェースを示し、この説明図は6つのプレースホルダを含み、6つのプレースホルダ全てが、画像スキャン(例えば、高解像度画像スキャンまたはサムネイル画像スキャン)が完了したことを、取得した画像データおよび利用したスキャニング設定値の可視化と共に示す。また、スキャンされた各スライドのラベル部分も示し、このラベル部分は、バーコードおよび/または英数字情報というようなスライド・ラベル情報を含む。
図5E図5Eは、ある実施形態による、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を明示するユーザ・インターフェースを示し、この説明図は6つのプレースホルダを含み、6つのプレースホルダ全てが、サムネイル画像スキャンおよびスキャニング動作ステータスを含む。注記すべきこととして、第2プレースホルダは、選択されたスキャニング設定値(例えば、40倍拡大、および0.2ミクロンずつ離間された複数の合焦レイヤ(focus layer)の選択)に基づいて、スキャニングが開始している(即ち、高解像度画像スキャンが生成されている)ことを示す。
図6図6は、ある実施形態にしたがって、基板(例えば、顕微鏡スライド)上に載せられた生体試料の高解像度スキャンを生成する種々のステップを示すワークフローを明示し、これらのステップは、基板がスキャニング・デバイスによって受け取られたことの信号を受け取るステップと、スキャンを開始するための信号を送るステップと、スキャン・データ(画像およびステータス・データを含む)を受け取るステップと、画像データを表示するステップと、選択されたスキャニング設定値に基づいて再スキャンを開始するための信号を送るステップと、および/または生成した高解像度画像スキャンを格納するための信号を送るステップとを含む。
図7図7は、ある実施形態にしたがって、スキャニング・デバイスおよび/またはユーザ入力デバイスに信号を送るとき、およびスキャニング・デバイスおよび/またはユーザ入力デバイスから信号を受け取るときのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0037] ここで特許請求する方法において、明らかに逆のことが示されていない限り、1つよりも多いステップまたはアクトを含むものはいずれも、その方法のステップまたはアクトの順序が、請求項に記載されたその方法のステップまたはアクトの順序には必ずしも限定されないことも理解されてしかるべきである。
【0020】
[0038] 本明細書において使用する場合、「1つの」(a)、「1つの」(an)および「その1つ」(the)という単数形には、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象(referent)が含まれる。同様に、「または」(or)という語には、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、「および」(and)を含むことを意図している。「含む」(include)という用語は、「AまたはBを含む」が、A、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包含的に定義される。
【0021】
[0039] 本明細書および請求項において使用する場合、「または」(or)は、先に定めたように、「および/または」(and/or)と同じ意味を有すると理解されてしかるべきである。例えば、リストにおける項目を分けるとき、「または」または「および/または」は包含的に解釈され、即ち、少なくとも1つを含むだけでなく、複数の要素または要素のリストの中の1つよりも多くを含み、更に任意に、リストに入っていない追加の項目も含むものとする。「~の内1つだけ」(only one of)または「~の内正確に1つ」(exactly one of)、あるいは請求項において使用されるときの「から成る」(consisting of)というような、明らかに逆を示す用語だけが、複数の要素または要素のリストからの正確に1つの要素を含むことを意味する。一般に、「または」(or)という用語は、本明細書において使用する場合、「いずれか」(either)、「~の内の1つ」(one of)、「~の内の1つだけ」(only one of)、または「~の内の正確に1つ」(exactly one of)というような除外の用語が先立つときにのみ、排他的代替(exclusive alternatives)(即ち、「一方または他方であるが、双方ではない」)を示すように解釈されるものとする。「本質的に~から成る」(consisting essentialy of)が請求項において使用される場合、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0022】
[0040] 「備えている」(comprising)および「含んでいる」(including)、「有している」(having)等の用語は、相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。同様に、「備える」(comprises)、「含む」(includes)、「有する」(has)等も相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。具体的には、これらの用語の各々は、「備えている」(comprising)の一般的な米国特許法の定義と一貫して定められ、したがって「少なくとも以下のこと」を意味する開いた用語であると解釈され、更に追加の特徴、制限、態様等を除外しないように解釈されるものとする。したがって、例えば、「コンポーネントa、b、およびcを有するデバイス」(a device having components a, b, and c)とは、そのデバイスが少なくともコンポーネントa、b、およびcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、およびcを伴う方法」(a method involving steps a, b, and c)という語句は、この方法が少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。更に、本明細書においてステップおよびプロセスが特定の順序で概説されることもあるが、ステップおよびプロセスの順序付けは異なっても良いことは当業者には認められよう。
【0023】
[0041] 本明細書および請求項において使用する場合、1つ以上の要素のリストに言及するときにおける「少なくとも1つの」(at least one)という語句は、複数の要素からなるリストにおける要素の中の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に挙げられた全ての要素の中の少なく1つを必ずしも含むとは限らず、要素のリストの中の要素の任意の組み合わせを排除するものではないことを意味すると理解されるものとする。この定義は、具体的に特定されたそれらの要素に関連していても関連していなくても、「少なくとも1つの」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外に、要素が随意に存在してもよいことも可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの内の少なくとも1つ」(または、同じ意味合いで「AまたはBの内の少なくとも1つ」、または、同じ意味合いで「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bは存在せず1つよりも多いAを随意に含む(そしてB以外の要素を随意に含む)少なくとも1つのAを指すことができ、他の実施形態では、Aは存在せず1つよりも多いBを随意に含む(そしてA以外の要素を随意に含む)少なくとも1つのBを指すことができ、更に他の実施形態では、1つよりも多いAを随意に含む少なくとも1つのA、および1つよりも多いBを随意に含む(そして他の要素を随意に含む)少なくとも1つのB等を指すことができる。
【0024】
[0042] 本明細書において使用する場合、「対象エリア」(area of interest)という語句は、スキャニングのために自動的にまたは手作業で選択することができるスライドの領域、またはスキャンされたスライドの領域を意味する。
【0025】
[0043] 本明細書において使用する場合、「生体試料」(biological sample)または「組織試料」(tissue sample)という用語は、ウィルスを含む任意の有機体から得られる生体分子(たんぱく質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはそれらの組み合わせ等)を含む任意の試料を指す。有機体の他の例には、哺乳類(人間、猫、犬、馬、牛、および豚のような家畜動物、ならびにマウス、ラット、および霊長類のような実験動物等)、昆虫、環形動物、クモ形類動物、有袋類、爬虫類、両生類、バクテリア、真菌があげられる。生体試料には、組織試料(組織切片および組織の針生検等)、細胞試料(パップ・スメアまたは血液塗抹標本、または顕微解剖によって得られた細胞の試料等の細胞学的塗抹標本等)、または細胞分画、断片、もしくは細胞小器官(細胞を溶解させ、遠心分離機または別の方法によってそれらの成分を分離することによって得られるようなもの)があげられる。生体試料の他の例には、血液、血清、尿、精液、排泄物、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科生検または針生検によって得られる)、乳頭吸引液、耳垢、乳汁、膣液、唾液、スワブ(口腔スワブ等)、または第1の生体試料から得られる生体分子を含む任意の物質があげられる。特定の実施形態では、「生体試料」という用語は、本明細書において使用する場合、被験者から得られる腫瘍またはその一部から調製される試料(均質化または液化された試料等)を指す。
【0026】
[0044] 本明細書において使用する場合、「画像データ」(image data)、「スキャン画像データ」(scanned image data)等の用語は、光学センサまたはセンサ・アレイによってというようにして、生体組織試料から取得された生の画像データ、または前処理された画像データを包含する。具体的には、画像データが画素行列を構成してもよい。
【0027】
[0045] 本明細書において使用する場合、「画像」(image)、「画像スキャン」(image scan)、または「スキャン画像」(scanned image)という用語は、光学センサまたはセンサ・アレイによってというようにして生体組織試料から取得された生の画像データ、または前処理された画像データを包含する。
【0028】
[0046] 本明細書において使用する場合、「スライド」(slide)という用語は、生体試料が分析のために載せられる、任意の適した寸法の任意の基板(例えば、全体または部分がガラス、石英、プラスチック、シリコン等で作られた基板)を指し、更に特定すれば、標準的な7.62cm(3インチ)×2.54cm(1インチ)顕微鏡スライドまたは標準的な75mm×25mm顕微鏡スライド等の「顕微鏡スライド」を指す。スライドの上に載せることができる生体試料の例には、限定ではなく、細胞学的塗抹標本、薄組織切片(生検からのもの等)、および生体試料のアレイ、例えば、組織アレイ、細胞アレイ、DNAアレイ、RNAアレイ、タンパク質アレイ、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。したがって、一実施形態において、組織切片、DNA試料、RNA試料、および/またはタンパク質は、スライド上において特定の位置に置かれる。ある実施形態では、スライドという用語は、SELDIおよびMALDIチップ、ならびにシリコンウエハを指すとしてもよい。
【0029】
[0047] 本明細書において使用する場合、「染色剤」(stain)、「染色」(staining)等の用語は、一般に、特定の分子(脂質、タンパク質、または核酸等)または生体試料内の特定の構造物(正常または悪性の細胞、サイトゾル、核、ゴルジ装置、または細胞骨格等)の存在、場所、および/または量(濃度等)を検出および/または差別化する、生体試料の任意の処理を指す。例えば、染色は、特定の分子または特定の細胞構造物と生体試料(の周囲部分との間にコントラストを付与することができ、染色の強度は、試料内の特定の分子の量の尺度を提示することができる。染色は、明視野顕微鏡だけでなく、位相コントラスト顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡等の他の観察器具も用いて、分子、細胞構造物、および有機体の観察を補助するために使用することができる。システムによって実施される染色の中には、細胞の輪郭を可視化するために使用することができるものもある。システムによって実施される他の染色は、特定の細胞成分(分子または構造物等)が染色され、他の細胞成分が染色されないまたは比較的少なく染色されることを、拠り所にすることもできる。システムによって実施される染色方法の種類の例には、限定ではなく、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および核酸分子間のハイブリッド形成反応等の分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法が含まれる。具体的な染色方法には、一次染色方法(例えば、H&E染色、Pap染色等)、酵素結合免疫組織化学的方法、ならびに蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)のような、インサイチューRNAおよびDNAハイブリダイゼーション方法が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0030】
[0048] 本明細書において使用する場合、「ユーザ・インターフェース」(user interface)という用語は、ユーザ、例えば、組織学者、細胞学者、病理学者等が、コマンドおよびデータを入力し、結果を受け取ることを可能にするプログラムを指す。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースはグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)である。「ユーザ・インターフェース」および「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」という用語は、本明細書では、相互交換可能に使用されるものとする。
【0031】
[0049] 本明細書において更に詳しく説明するが、本開示は、ユーザ(例えば、技師、組織学者、細胞学者、病理学者等)の要望または好みに応じて、あるいは特定のアッセイまたは採点方法に合わせて確立された要件に応じて、基板上に載せられた生体試料のスキャンからというような、画像データの取得および/または処理を容易にする。開示するユーザ・インターフェースおよびユーザ・インターフェースと対話処理する方法は、システムのユーザによる効率的なワークフローを可能にすることを確信する。
【0032】
[0050] 図1Aは、処理サブシステム102と通信可能に結合されたスキャニング・デバイス110を含むスキャニング・システム100(例えば、ディジタル病理学用スキャニング・システム)について説明する。スキャニング・デバイス110は、直接(例えば、1本以上の通信ケーブルによって)あるいは1つ以上の有線および/またはワイヤレス・ネットワークを通じて、処理サブシステム102に結合することができる。ある実施形態では、処理サブシステム102がスキャニング・デバイス110に含まれても、または統合されてもよい。処理サブシステム102は、ディスプレイ108と、ユーザからコマンドを受け取るための1つ以上の入力デバイス(図示せず)とを含んでもよい。ある実施形態では、処理サブシステム102またはスキャニング・デバイス110のいずれかがネットワークに結合されてもよく、このネットワークは、記憶システムを含んでもまたは記憶システムに結合されてもよく、画像データおよび/または患者情報を今後の目視および/または分析のために格納することができる。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが処理サブシステム102によってレンダリングされ、スキャニング・デバイス110からの画像データの取得、およびその後の画像データの評価を容易にするためにディスプレイ108上に表示される(provide)。ユーザ・インターフェースのエレメントは、スキャニング・デバイス110によって実行される任意のスキャニング動作のステータスに関してユーザにフィードバックを提供することができる。また、ユーザ・インターフェースは、スキャニング動作をユーザ入力にしたがって命令できるように、ユーザが構成可能スキャニング設定値の選択にも対応することができる。
【0033】
[0051] 図1Bは、本開示の実施形態によるスキャニング・システム100のブロック図である。スキャニング・システム100は、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ハンドヘルド・デバイス(例えば、スマート・フォン、メディア・プレーヤ)等を含む、任意の種類のユーザ動作可能なコンピューティング・デバイスを使用して実施することができる。以下で更に詳しく論ずるが、システム100は、バス114を通じて通信する処理サブシステム102、記憶サブシステム104、ユーザ入力デバイス106、ディスプレイ108、スキャニング・デバイス110、およびネットワーク・インターフェース112というような、複数の相互接続されたコンポーネントを含むことができる。
【0034】
[0052] 処理サブシステム102は、1つ以上のコアを有することができる1つのプロセッサ、または各々1つ以上のコアを有する複数のプロセッサを含むことができる。ある実施形態では、処理サブシステム102が、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、CPU)、グラフィクス・プロセッサ(GPU)のような特殊目的プロセッサ、ディジタル信号プロセッサ、またはこれらおよび他の種類のプロセッサの任意の組み合わせを含むことができる。ある実施形態では、処理サブシステムにおける一部または全部のプロセッサを、特定用途集積回路(ASIC)またはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のような、カスタム化回路を使用して実装することもできる。ある実施形態では、このような集積回路は、回路自体に格納されている命令を実行する。他の実施形態では、処理サブシステム102は、記憶サブシステム104に格納されている命令を引き出して実行することができる。例えば、処理サブシステムは、画像データをスキャニング・デバイス110から受け取りそれを処理する命令、選択可能なスキャニング設定値を有するユーザ・インターフェースを表示する命令等を実行することができる。
【0035】
[0053] 記憶サブシステム104は、システム・メモリ、リード・オンリ・メモリ(ROM)、および永続的記憶デバイスのような、種々のメモリ・ユニットを含むことができる。ROMは、処理サブシステム102およびスキャニング・システム100の他のモジュールによって必要とされる静止データおよび命令を格納することができる。永続的記憶デバイスは、読み取りおよび書き込みメモリ・デバイスとすることができる。この永続的記憶デバイスは、スキャニング・システム100の電源が落ちたときでも、命令およびデータを格納する不揮発性メモリとすることができる。ある実施形態では、大容量記憶デバイス(磁気または光ディスクあるいはフラッシュ・メモリ等)を、永続的記憶デバイスとして使用することができる。他の実施形態では、リムーバブル記憶デバイス(例えば、フラッシュ・デバイス)を永続的記憶デバイスとして使用することができる。システム・メモリは、読み取りおよび書き込みメモリ・デバイス、またはダイナミック・ランダム・アクセス・メモリのような、揮発性読み取りおよび書き込みメモリとすることができる。システム・メモリは、プロセッサがランタイムにおいて必要とする命令およびデータの一部または全部を格納することができる。
【0036】
[0054] 記憶サブシステム104は、種々の型式の半導体メモリ・チップ(DRAM、SRAM、SDRAM、フラッシュ・メモリ、プログラマブル・リード・オンリ・メモリ)等を含む非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体の任意の組み合わせを含むことができる。磁気および/または光ディスクも使用することができる。ある実施形態では、記憶サブシステム104は、読み取り可能および/または書き込み可能とすることができるリムーバブル記憶媒体を含むことができる。このような媒体の例には、コンパクト・ディスク(CD)、読み取り専用ディジタル・バーサタイル・ディスク(例えば、DVD-ROM、二重層DVD-ROM)、読み取り専用および記録可能Blue-ray(登録商標)ディスク、超高密度光ディスク、フラッシュ・メモリ・カード(例えば、SDカード、ミニSDカード、マイクロSDカード等)等を含むことができる。ある実施形態では、データおよび他の情報を1箇所以上の遠隔地、例えば、クラウド・ストレージに格納し、システム100の他のコンポーネントと同期させることができる。
【0037】
[0055] ある実施形態では、記憶サブシステム104は、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120または画像ビューア・アプリケーションのような、処理サブシステム102によって実行される1つ以上のソフトウェア・プログラムを格納することができる。「ソフトウェア」(software)とは、一般に、命令のシーケンスを指し、処理サブシステム102によって実行されると、スキャニング・システム100に種々の動作を実行させ、こうしてソフトウェア・プログラムの動作を実行する(execute and perform)1つ以上の特定の機械実施態様を定める。つまり、「ソフトウェア」はファームウェアまたは埋め込みアプリケーション、あるいは処理サブシステム102によって読み取りおよび実行可能な任意の他の型の命令も含むことができる。ソフトウェアは、1つのプログラム、または別個のプログラムの集合体、あるいは所望通りに相互作用するプログラム・モジュールとして実装することができる。ある実施形態では、プログラムおよび/またはデータを不揮発性ストレージに格納し、プログラム実行中、全体的または部分的に揮発性の作業メモリにコピーすることができる。記憶サブシステム104から、処理サブシステム102は、以下で説明する動作を含む種々の動作を実行するために、実行するプログラム命令および処理するデータを引き出すことができる。ソフトウェアの例には、スキャニング・インターフェース・ソフトウェア(例えば、スキャニングの設定値を選択するため、そしてスキャンした画像データの取得を可能にするため)および画像ビューア・ソフトウェア(例えば、スキャンした画像データを目視および/または分析するため)が含まれるが、これらに限定されるのではない。
【0038】
[0056] ディスプレイ・デバイス108および/または1つ以上の他のユーザ出力デバイス(図示せず)に、ユーザ・インターフェースを提示する(provide)ことができる。入力デバイス106は、ユーザがスキャニング・システム100に信号を供給することができる任意のデバイスを含むことができる。スキャニング・システム100は、信号を、特定のユーザの要求または情報を示すものとして解釈することができる。例えば、そして本明細書において更に開示するように、ユーザはユーザ・インターフェース内に表示された特定のユーザ構成可能スキャニング設定値を選択することができ、この選択によって生成された信号が、選択された構成設定値に基づいて、スキャニング・デバイス110に画像データをキャプチャさせることができる。種々の実施形態では、入力デバイス106は、キーボード・タッチ・パッド、タッチ・スクリーン(例えば、ディスプレイ108の表示面上におけるタッチ感応オーバーレイ)、マウスまたは他のポインティング・デバイス、スクロール・ホイール、クリック・ホイール、ダイアル、ボタン、スイッチ、キーパッド、マイクロフォン等の内任意のものまたは全てを含むことができる。
【0039】
[0057] ディスプレイ108は、スキャニング・システム100によって生成された画像を表示することができ、種々の画像生成技術、例えば、陰極線管(CTR)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)を含む発光ダイオード(LED)、投射システム等を、支援電子回路(例えば、ディジタル/アナログまたはアナログ/ディジタル変換器、信号プロセッサ等)と共に含むことができる。ある実施形態では、入力および出力デバイス双方として機能する、タッチ・スクリーンのようなデバイスを含むことができる。ある実施形態では、他のユーザ出力デバイスも、ディスプレイ108に加えてまたはその代わりに、設けることができる。その例には、スキャニング・デバイス110上にある指示灯(indicator light)、スピーカ、接触「ディスプレイ」デバイス、プリンタ等が含まれる。
【0040】
[0058] ある実施形態では、スキャニング・デバイス110は複数の指示灯またはステータス灯を含んでもよく、指示灯またはステータス灯は、第1の色、第2の色、第3の色、第4の色のような複数の色を表示すること、または色を表示しないことができる(即ち、ステータス・インディケータが透明または無灯火のままであってもよい)。ある実施形態では、スキャニング動作のステータスをスキャニング・デバイス110自体上および/または本明細書において設けられるようなユーザ・インターフェース内の指標(indicia)によって同時に(contemporaneously)可視化できるように、スキャニング・デバイス110は、指示灯またはステータス灯および処理サブシステム102に同時に信号を供給する。このように、複数のフィードバック源をシステム100のユーザに提供することができる。ある実施形態では、複数のフィードバック源が実質的に互いに同期され、没入型ユーザ体験を可能にする。
【0041】
[0059] ある実施形態では、ユーザ・インターフェースはグラフィカル・ユーザ・インターフェースを設けることができ、この場合、ディスプレイ108の一定エリアにおける可視画像エレメントが、アクティブ・エレメントまたは制御エレメントとして定められ、これらをユーザがユーザ入力デバイス106を使用して選択する。例えば、ユーザはユーザ入力デバイス106を操作して、画面上のカーソルまたはポインタを制御エレメント上に位置付け、次いでボタンを「クリックして」選択を示す(この選択は、指定されたアクションまたはルーチンを実行するための信号を送る)。例えば、ユーザは、ユーザ入力デバイス106を操作して、ユーザ・インターフェース内でアイコンを選択する。これによって、スキャニング動作の開始を実行し、スキャニング動作を停止し、スライド・トレーを排出し、ビューア・モジュール134または他のビューア・ソフトウェアを起動し、対象エリアの調節を開始する等を行う。ある実施形態では、このようなエレメントは「メニュー・バー」に沿って配置され、ある実施形態では、同様のアクションまたはルーチンは一緒に纏められる(例えば、スキャニング動作アクションが一緒に纏められ、ビューア・アクションが一緒に纏められる等)。
【0042】
[0060] 同様に、ユーザは、一連のユーザ構成可能な選択肢(アイコン、ボタン、コンテキスト・メニュー、ドロップダウン・メニュー、トグル・スイッチ等)と対話処理して1組のユーザ構成可能スキャニング設定値を定めるために、ユーザ入力デバイス106を操作することができ、これらが選択されると、1つ以上のスキャニング動作が、選択されたスキャニング設定値を使用して、開始することを可能にする。ある実施形態では、そして本明細書において更に説明するように、ユーザ入力デバイス106を利用すると、スキャニング動作中にスキャニング・デバイス110によって取得された画像が、ユーザの好みに一致するように、あるいは特定の生体試料を実行する(perform)または分析するために要求される規格に一致するように、入力デバイス106によってユーザ構成可能スキャニング設定値を選択することができる。
【0043】
[0061] あるいは、ユーザはタッチスクリーン・デバイス上で制御エレメントに接触する(例えば、指またはスタイラスで)ことができる。ある実施形態では、ユーザは、制御エレメントに関連する1つ以上の単語を発声することができる(この単語は、例えば、エレメント上の識別子またはそのエレメントと関連付けられた機能とすることができる)。ある実施形態では、タッチ感応デバイス上におけるユーザ・ジェスチャを認識し、入力コマンドとして解釈することができる。これらのジェスチャは、ディスプレイ108の任意の特定エリアと関連付けることができるが、必ずしもそうしなくてもよい。他のユーザ・インターフェースを実装することもできる。
【0044】
[0062] スキャニング・デバイス110は、基板上に装着された試料、例えば、顕微鏡スライド上に載せられた生体試料から画像データを収集することができる。スキャニング・デバイス110は、限定ではなく、1つ以上の画像キャプチャ・デバイスを含むことができる。画像キャプチャ・デバイスは、限定ではなく、カメラ(例えば、アナログ・カメラ、ディジタル・カメラ等)、光学素子(例えば、1つ以上のレンズ、センサ合焦レンズ群、顕微鏡対物レンズ等)、撮像センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)撮像センサ等)、写真フィルム等を含むことができる。ディジタルの実施形態では、画像キャプチャ・デバイスは、協働して実行中の合焦を行う複数のレンズを含むことができる。画像センサ、例えば、CCDセンサは試料のディジタル画像をキャプチャすることができる。ある実施形態では、スキャニング110デバイスは、画像データ、スキャニング動作ステータス・データ、および/またはスライド・トレー挿入信号を含む信号というような、信号を他のシステム・コンポーネントに送る能力も含む。スキャニング・デバイス110は、ユーザ構成可能スキャニング設定値にしたがってスキャニングを開始または停止できるように、そしてユーザ・インターフェース内におけるエレメントの選択を通じてスライド・トレーの排出を行うことができるように、処理サブシステム102から信号を受け取ることができる。
【0045】
[0063] ある実施形態では、スキャニング・デバイス110はライン・スキャン検出器を含む。ある実施形態では、スキャニング・デバイス110は撮像レンズを含み、スライド上に位置する試料から発する光をライン・スキャン検出器上に合焦する。検出器がライン・スキャン検出器であるので、撮像エリアは、スワス幅方向5(x軸)に延びる細長領域となる。ある実施形態では、スワスは、スキャン方向に対して垂直にセンサによって撮像することができる組織の幅を定める。20xの倍率では、標準的なスキャン・モードにおけるスワス幅は約1.2mmである。40xの倍率では、スワス幅は約(approximately about)1mmである。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースによって提示されるユーザ構成可能スキャニング設定値によって、ライン・スキャニング動作のパラメータを設定することができる。
【0046】
[0064] 撮像レンズおよびライン・スキャン検出器は、共にスキャニング・デバイス110の撮像システムを構成する。ある実施形態では、スライド上に位置する試料の大きなエリア上に拡大画像(extended image)を生成するために、撮像レンズおよびライン・スキャン検出器に対してスキャン長さ方向(y軸)にスライドを移動させる(スライド実装デバイスを移動させることによって)。この意味では、スライド上の試料は、ライン・スキャン検出器によって「スキャンされる」。PCT公開第WO/2017/097950号は、他のライン・スキャン検出器およびその使用方法を開示する。この公開公報をここで引用したことにより、その開示内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0047】
[0065] ネットワーク・インターフェース112は、スキャニング・システム100のためにデータ通信能力を備えることができる。ある実施形態では、ネットワーク・インターフェース112は、ワイヤレス音声および/またはデータ・ネットワークにアクセスするために(例えば、セルラ電話技術、3G、4G、またはEDGEのような高度データ・ネットワーク技術、WiFi(IEEE802.11ファミリー規格)、または他の移動体通信技術、またはこれらの任意の組み合わせを使用して)、無線周波数(RF)送受信コンポーネント、GPG受信コンポーネント、および/または他のコンポーネントを含むことができる。ある実施形態では、ネットワーク・インターフェース112は、ワイヤレス・インターフェースに加えてまたはその代わりに、有線ネットワーク接続(例えば、イーサネット)を提供することができる。ネットワーク・インターフェース112は、ハードウェア(例えば、アンテナ、変調器/復調器、エンコーダ/デコーダ、ならびに他のアナログおよび/またはディジタル信号処理回路)およびソフトウェア・コンポーネントの組み合わせを使用して、実装することができる。
【0048】
[0066] バス114は、スキャニング・システム100の多数のコンポーネントを通信可能に接続する種々のシステム・バス、周辺バス、およびチップセット・バスを含むことができる。例えば、バス114は、処理サブシステム102を記憶サブシステム104と通信可能に結合することができる。同様に、バス114は、スキャニング・デバイス(およびその内部に配置された任意のサブシステム)を処理システム・サブシステム102に通信可能に結合することができる。また、バス114は入力デバイス106およびディスプレイ108に接続することもできる。また、バス114は、ネットワーク・インターフェース112を介して、処理サブシステム102をネットワークに結合することもできる。このように、スキャニング・システム100を複数のコンピュータ・システムのネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN))、イントラネット、またはインターネットのようなネットワークのネットワークに接続することができる。スキャニング・システム100のコンポーネントの内任意のものまたは全てを、本開示と共に使用することができる。
【0049】
[0067] ある実施形態は、マイクロプロセッサ、コンピュータ・プログラム命令をコンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納するストレージおよびメモリのような、電子コンポーネントを含む。本明細書において説明する特徴の多くは、コンピュータ読み取り可能記憶媒体上にエンコードされた1組のプログラム命令として指定されるプロセスとして実装することができる。これらのプログラム命令が1つ以上の処理ユニットによって実行されると、これらは、プログラム命令において示される種々の動作を、処理ユニット(1つまたは複数)に実行させる。プログラム命令またはコンピュータ・コードの例には、コンパイラによって生成されるような機械コード、およびコンピュータ、電子コンポーネント、またはマイクロプロセッサによってインタプリタを使用して実行される高度(higher-level)コードを含むファイルが含まれる。
【0050】
[0068] 適したプログラミングによって、処理サブシステム102は種々の機能をスキャニング・システム100のために備えることができる。例えば、処理サブシステム102は、ユーザ・インターフェースを有するスキャニング・インターフェース・アプリケーション120を実行することができ、あるいは表示された画像もしくは格納されている画像および/またはメタデータの検討、分析、および/または注釈付けを可能にするビューア・アプリケーションを実行することができる。スキャニング・インターフェース・アプリケーション120は、コンテンツ(例えば、画像データ、スキャナ動作ステータス情報)をスキャニング・デバイス110から引き出して表示する能力というような種々の機能を備えることができ、またはユーザ構成可能スキャニング設定値を使用してスキャニング動作を実行し、スキャニング動作の間に取得された最終的な画像データ(例えば、プレビュー・スキャン、高解像度スキャン等)を、例えば、処理サブシステム102、記憶サブシステム104、および/またはネットワーク・インターフェース112に送るように、スキャニング・デバイスに命令することができる。加えて、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120は、コンテンツ(例えば、格納されている画像データおよび/または患者データ)を記憶サブシステム104から引き出して表示し、コンテンツ項目に関するユーザ入力を受け取って解釈する能力を備えることもできる(例えば、目視のための、画像または一連の画像あるいはその任意の部分の選択。目視は、ビューア・
モジュール134を使用する、スキャンイング・インターフェース・アプリケーションにおける目視、あるいは別個の画像目視、注釈付け、および分析ソフトウェア・アプリケーションにおける目視を含む)。
【0051】
[0069] ある実施形態では、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120は、種々の相互動作モジュール(例えば、コードのブロック)を内蔵し、処理サブシステム102内において1つ以上のプロセッサによって実行されると、スキャニング・インターフェース動作の態様(aspects)を実施する。例えば、スキャニング・インターフェース120は、コンテンツ・フェッチャ(content fetcher)122、コンテンツ・レンダラ(content renderer)124、インターフェース・モジュール126、GUIレンダラ128、UIインタプリタ130、OCR/デコーダ・モジュール132、およびビューア・モジュール134を含むことができる。
【0052】
[0070] ある実施形態では、コンテンツ・フェッチャ122は、スキャニング・デバイス110またはネットワーク・インターフェース112と相互作用してコンテンツ項目(例えば、スキャンした画像データ、ステータス・データ等)をフェッチする、言い換えると、引き出すための命令を含むことができる。ある実施形態では、コンテンツ・レンダラ124は、フェッチされたコンテンツ項目を解釈し、生体試料のスキャン画像のような、表示可能な画像をレンダリングするための命令を含むことができる。ある実施形態では、コンテンツ・レンダラ124は、例えば、取得されたスキャン画像に任意の前処理を適用することによって、収集されたデータを処理することができる。ある実施形態では、インターフェース・モジュール126は、ユーザ構成可能スキャニング設定値(例えば、焦点、スキャン分量、対象エリア、倍率等)にしたがって1つ以上の生体試料のスキャン画像を得ることができるように、スキャニング・デバイス110の動作を制御するための命令を含む。
【0053】
[0071] ある実施形態では、GUIレンダラ128は、コンテンツ・レンダラ124または他のシステム・モジュールによってレンダリングされたコンテンツ項目と共にユーザに提示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)のエレメントを作成する。GUIレンダラ128は、メニュー・バー、ビューア・ウィンドウ・オーバーレイ、スキャニング・パラメータ構成パネル、ポップアップ・メニュー等のような、GUIエレメントの位置および外観を定めるコードを含むことができる。ある実施形態では、GUIレンダラ128は、インターフェース・モジュール126から供給されるスキャン画像データを、GUIエレメントの一部または全部に組み込むことができる(例えば、スキャンされた生体試料の実際の画像を、ユーザ・インターフェース内にあるプレースホルダ内に表示すること等もできる)。同様に、GUIレンダラ128は、任意のスキャニング動作のステータスをユーザに視覚的に供給するように、インターフェース・モジュール126からのステータス情報を組み込むことができる(即ち、スキャニング動作ステータス情報を、該当するプレースホルダの部分に、スキャニング動作ステータス情報がスキャニング・デバイス110から受け取られるに連れてリアル・タイムでというように、入力することもできる)。また、GUIレンダラ128は、ユーザがシステム100および/またはスキャニング・デバイス110の制御動作と対話処理できるように、作業空間を提供することもできる。ある実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すように、作業空間は、(i)スライド・トレー内におけるスライド位置400の表示であって、各々、第1プレースホルダ部分401内において画像データを伝える、および/または第2プレースホルダ部分402内において1つ以上のデータ・フィールド(例えば、スキャニング・ステータス・データ・フィールド)を伝えるように構成されたスライド位置400、(ii)ユーザ構成可能スキャニング・パラメータ403の選択を可能にするパネル、および(iii)メニュー・バー404を含む。
【0054】
[0072] UIインタプリタ130は、ユーザ入力を、例えば、ユーザ入力デバイス106を通じて受け取ることができ、この入力を解釈して、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120によって実行されるアクションを決定することができる。例えば、UIインタプリタ130は、どのGUIエレメント(例えば、アイコン、メニューにおける選択可能な項目、コンテキスト・メニュー、ドロップダウン・リスト、ボタン等)をユーザが選択したか判定し、対応するアクションを開始することができる(例えば、ユーザ構成可能スキャニング設定値または格納されているスキャニング・パラメータ・プリセット値(preset)の選択に基づいてスキャニングまたは再スキャニングを開始する、ビュー・ウィンドウを開く(launch)、ビューア・プログラムを起動する、高解像度スキャンを開始する、スライド・トレーを排出する等)。
【0055】
[0073] ある実施形態では、OCR/デコーダ・モジュール132が、基板、例えば、顕微鏡スライドのラベル部分上に提供されたスライド・ラベル情報(例えば、英数字情報またはバーコード内に含まれる情報)の光学文字認識を可能にする命令を含む。同様に、OCR/デコーダ・モジュール132は、バーコードまたは埋め込み情報を含む他の指標(indicia)から情報を抽出することを可能にする命令を含む。ある実施形態では、OCR/デコーダ・モジュール132が、認識された情報および/またはデコードされた情報を該当するデータ・フィールドに入力することを可能にする命令を含む。ある実施形態では、自動的に認識されるスライド・ラベル情報に基づいて、少なくとも1つのユーザ構成可能スキャニング設定値を自動的に変化させることができる。実際、バーコード情報は、任意の構成可能なスキャナ設定値を確定するために使用することができ、本明細書において説明したものであればいずれでも含む。例えば、バーコード情報は、特定の種類のスライド(例えば、癌の種類および染料の種類)を示すことができ、スキャニング・デバイスは、その種類のスライドと、その特定の種類のスライドと関連付けて設定されたスキャニング設定値とを認識することができる。スキャニング設定値は、Z-スタックにおけるレイヤ数、AOI形状、AOIサイズ、倍率等を含むことができる。
【0056】
[0074] ある実施形態では、OCR/デコーダ・モジュール132がDICOM属性の入力を可能にする。例えば、OCR/デコーダ・モジュール132は、(i)バーコード情報の読み取り、および/または(ii)デコードした情報の患者属性フィールド(例えば、患者名、患者ID、患者の誕生日、患者の性別、研究属性、研究ID、受け入れ番号)への割り当てに対応する(allow for)。他の実施形態では、OCR/デコーダ・モジュール132は、バーコード情報またはスライドのラベル部分上にある他の指標に基づいて、ファイル名の生成を可能にする。
【0057】
[0075] ある実施形態では、ビューア・モジュール134が、ユーザ・インターフェース内部における取得画像の一部または一領域の目視を可能にする。即ち、別個のアプリケーションに切り替える必要がない。ある実施形態では、ビューア・モジュール134が、ユーザ入力デバイス106から受け取った入力を使用して、取得画像の一領域または一部の目視を容易にする。このため、ユーザは、画像のあるエリア上において、例えば、クロスヘア(またはマウス・ポインタのようなもの)を位置付ければよく、するとビューア・モジュール134は、その特定の選択されたエリアの画像の一部を拡大して表示する。ある実施形態では、ビューア・モジュール134が任意のプレースホルダまたは他のユーザ・インターフェース・エレメント上を「浮遊する」ように、ユーザ・インターフェース全体にわたってビューア・モジュール134を動的に位置付けし直すこともできる。ビューア・モジュール134は、ユーザの好みに応じて、および/または表示される拡大部分のサイズに合わせて、サイズを変更することもできる。
【0058】
[0076] 尚、スキャニング・システム100は実例であること、そして変形および変更が可能であることは認められよう。更に、特定のブロックを参照しながらスキャニング・システム100について説明するが、これらのブロックは、説明の便宜上定められるのであり、コンポーネント部の特定の物理的配置を暗示することを意図するのではないことは理解されてしかるべきである。更に、これらのブロックが物理的に別個のコンポーネントに対応する必要はない。ブロックは、例えば、プロセッサをプログラミングすることによってまたはしかるべき制御回路を設けることによって、種々の動作を実行するように構成することができ、種々のブロックは、どのように初期構成が得られるかに応じて、再構成可能であってもなくてもよい。本開示の実施形態は、回路およびソフトウェアの任意の組み合わせを使用して実装される電子デバイスを含む種々の装置において実現することができる。また、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120も実例であり、特定の実施態様では、ここで説明するものより多いモジュールを含んでも、少ないモジュールを含んでもよい。更に、個々のモジュールについて、特定の機能を実行するように説明することもあるが、このような説明は、モジュールによって実行される特定の機能を暗示することも、このようなモジュール内に含まれる特定の1組の命令を暗示することも意図していない。
【0059】
[0077] 図2Aおよび図2Bは、基板、例えば、顕微鏡スライド上に載せられた生体試料のスキャンを取得するときに伴うステップを示すフローチャートについて説明する。ある実施形態では、ユーザによって選択することができる(例えば、手作業で、または所定の構成プロファイルにしたがって)ユーザ構成可能スキャニング設定値にしたがって、 スキャンを取得する。ある実施形態では、スキャニング・デバイス110によって取得された生体試料の1つ以上のプレビュー・スキャン画像をユーザが検討した後に、ユーザ構成可能スキャニング設定値を最適化することもできる。ある実施形態では、この方法は、ユーザが、1つ以上のプレビュー・スキャン画像を見た後に、構成可能スキャニング設定値(例えば、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータまたは予め計算した対象エリア)を選択または変更することを可能にする新規なユーザ・インターフェースの使用により、効率的な方法で容易に実行することができる。ある実施形態では、選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値(およびスキャニング動作中に適用されたもの)を、これらが対応する1つ以上のプレビュー・スキャン画像に隣接して表示する。本明細書において更に詳しく説明するように、本方法は、一定の基準または目的(例えば、病理学者の好み、アッセイまたはプロトコルの要件等)を満たす最終的なスキャンを取得できるように、リアル・タイム画像データ、スキャニング動作ステータス・データ、およびスキャニング設定値情報が供給されている間に、ユーザがユーザ構成可能スキャニング設定値を動的に変化させることを可能にする。
【0060】
[0078] 図2Aを参照すると、顕微鏡スライド上に載せられた生体試料の少なくとも1つのプレビュー・スキャン画像を、スキャニング・デバイス110によって生成し、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120が受け取る(ステップ200)。少なくとも1つのプレビュー・スキャン画像は、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120内でイネーブルされたプリセットにしたがって、自動的に取得することができ、またはプレビュー・スキャン画像は手動で取得することもできる(即ち、ユーザが、ユーザ入力デバイス106を使用して、1つ以上のユーザ・インターフェース・エレメントを選択し、これによってスキャニング動作を開始させることによって)。プレビュー・スキャン画像を自動的に取得する実施形態では、記憶サブシステム104、例えば、プリセット・ファイル内に格納されている所定の1組のスキャニング設定値を使用して、スキャニング動作を開始してもよい。
【0061】
[0079] 少なくとも1つのプレビュー・スキャン画像を受け取ると、次に、ユーザ・インターフェースによって表示される複数のプレースホルダの内の1つに入力する(ステップ201)。ある実施形態では、スキャニング・デバイス110内に挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応するプレースホルダに、プレビュー・スキャン画像を入力する。このように、表示されるプレースホルダは、スキャニング・デバイス110に挿入された実際のスライド・トレーのスライド位置を精度高く表す。ある実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すように、プレースホルダは、互いに対して並列に、および/またはキャプチャもしくはスキャニング設定値パネルに対して並列に配列される。ある実施形態では、プレースホルダは、縦並びで表示される。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像上に対象エリア(「AOI」)が重ね合わされる。ユーザ・インターフェース内におけるプレースホルダの説明図(representation)、および種々のスライド・トレーの実施形態については、本明細書において更に詳しく説明する。
【0062】
[0080] ある実施形態では、プレースホルダには、それぞれのプレビュー・スキャン画像を取得するときに使用した1組の構成可能スキャニング設定値も入力する。ある実施形態では、それぞれのプレビュー・スキャン画像を取得するときに使用した1組のスキャニング設定値の識別には、(i)合焦方法、(ii)検出方法、(iii)拡大、(iv)スキャンするレイヤの数、および/または(v)スキャンするレイヤ間の間隔の内1つ以上が含まれる。このようにして、システム100のユーザには、プレビュー・スキャン画像および関連するスキャニング・パラメータ情報が提示され、プレビュー・スキャン画像が所与の目的のために満足できるか否かについて、ユーザが情報に基づいた判定を行うことを可能にする(ステップ203)。プレビュー・スキャン画像の検討を更に容易にするために、ビューア・モジュール134を利用して、ユーザ入力にしたがって、プレビュー・スキャン画像の拡大部分のような、プレビュー・スキャン画像の複数の領域または部分を見ることもできる。ビューア・モジュール134に加えて、またはビューア・モジュール134の代わりとして、プレビュー・スキャン画像またはその任意の部分を検討するために、処理サブシステム10によって別個のビューア・ソフトウェア(記憶サブシステム104上に提供される)を実行してもよい。ある実施形態では、ビューア・モジュール134または単体のビューア・ソフトウェアは、適切な合焦レイヤ間隔が選択されたか否か判定するために、異なる合焦レイヤの目視を可能にしてもよい。
【0063】
[0081] プレビュー・スキャン画像が満足できる場合、ユーザは、プレビュー・スキャン画像が更なる分析のために十分な解像度であると仮定して、記憶サブシステム104にというように、このプレビュー・スキャン画像を格納させることを選択することができる(例えば、プレビュー・スキャン画像が高解像度画像である場合、更に再スキャンすることなく、この高解像度画像を格納すればよい)。一方、もっと高い解像度のスキャンが必要とされる場合、選択されると、プレビュー・スキャン画像に使用された同じスキャニング設定値を使用して生体試料の高解像度スキャンを取得するコマンドをスキャニング・デバイス110に供給するユーザ・インターフェース・エレメントを、ユーザは選択することができる。例えば、ユーザは、選択されたスキャニング設定値にしたがって、以前に使用されたスキャニング設定値を使用して高解像度スキャニングがスキャニング・デバイス110によって開始されるように、インターフェース・モジュール126に信号を送るユーザ・インターフェース・エレメントを選択することができる。ある実施形態では、高解像度は、サムネイル画像のような低解像度画像よりも多い1インチ当たりのドット数(dpi)で構成される。ある実施形態では、高解像度画像のdpiは、150dpiから1200dpiの範囲を取る。ある実施形態では、高解像度画像のdpiは、200dpiから1200dipの範囲を取る。他の実施形態では、高解像度画像のdpiは、300dpiから1200dipの範囲を取る。他の実施形態では、高解像度画像のdpiは、600dipから1200dipの範囲を取る。
【0064】
[0082] プレビュー・スキャン画像が満足できない場合、設定パネル内またはユーザ・インターフェース内のメニュー・バーに表示される複数のエレメント(例えば、ドロップダウン・リスト、トグル・スイッチ等)から選択することによってというようにして、ユーザ構成可能スキャニング設定値を選択することができる。例えば、ユーザ・インターフェースは、(i)合焦方法、(ii)AOI検出方法、(iii)倍率レベル、(iv)スキャンする合焦レイヤの数、および/または(v)合焦レイヤ間の間隔の内1つ以上の選択肢を含む、選択可能なユーザ構成可能スキャニング・パラメータを提示する(provide)ことができる。
【0065】
[0083] ある実施形態では、予め計算された対象エリア(「AOI」)を含むスキャニング設定値を、この場合もユーザ入力デバイス106からの入力を使用して、変更する能力もユーザには与えられる。例えば、ユーザは、AOIの位置、サイズ、および/または焦点の内1つ以上を調節することを可能にするユーザ・インターフェース・エレメントを選択することができる。ある実施形態では、ユーザ入力は、予め計算されたAOIのリアル・タイム・サイズ変更、予め計算されたAOI境界ボックスのリアル・タイム位置付け変更、1つ以上の予め計算されたAOIのリアル・タイム削除、リアル・タイムのAOI焦点選択、または新たなAOIのリアル・タイム枠取り(outlining)の内1つ以上を可能にする。ある実施形態では、組織を取り巻く余白を最小限に減らすために、ユーザ入力を通じてAOIを調節することによって、例えば、スキャニング・デバイス110のスキャニング動作のスキャニング時間を削減することができる。あるいは、自動検出方法によって取り損ねた組織をキャプチャできるように、いずれかの予め計算されたAOI境界ボックスのサイズを大きくするために、ユーザ入力を通じてAOIを調節することもできる。ある実施形態では、スキャニング・インターフェース・アプリケーション120および/またはインターフェース・モジュール126が、ユーザ入力コマンドを受け取ったときに、スキャニング・デバイス110に、任意の予め計算されたAOIに変更を加えてまたは加えずに、1組の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値を使用して、スキャンを取得するように指令することができる(ステップ204)。
【0066】
[0084] ステップ205において、ユーザは、生成された中間スキャンが満足できるか否か(即ち、所定のスキャニング基準を満たすか)再度判定することができ、満たす場合、この中間スキャンを格納するか、格納のためにこの中間スキャンよりも解像度が高いバージョンを生成する(同じ1組のスキャニング設定値を使用して)ことができる(ステップ206)。勿論、中間スキャンが満足できない場合、更に別の異なる1組のユーザ構成可能スキャニング設定値によって(少なくとも1つの設定値が変更された1組のスキャニング設定値等)、試料を再スキャンすることができる。このプロセスは、満足できるスキャンが取得されるまで、即ち、病理学者の好み、アッセイまたはプロトコルの要件等を含む所定の基準または目的を満たすものが取得されるまで、繰り返してもよい(例えば、第2、第3、第4等の画像スキャンを取得する)。
【0067】
[0085] ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが、DICOMフォーマットを含む、保存用の特定ファイル・フォーマットの選択を可能にするエレメントを提示する(provide)。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが、ファイル保存動作の前、最中、または後に、メタデータの手作業による入力を可能にする。他の実施形態では、メタデータが自動的に認識され、OCR/デコーダ・モジュール132を使用して、該当するデータ・フィールドにまたはファイル名自体にインポートされる。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが別個のウィンドウを表示することができ、この別個のウィンドウが入力および/または目視のためのメタデータ・フィールドを含み、これによってメタデータを任意の撮像データと共に格納することができる。
【0068】
[0086] 図2Bは、基板上に載せられた生体試料のスキャン画像を、スライド・スキャニング・デバイス110を使用して、取得するステップを示すフローチャートについて説明する。ステップ220は、スライド・スキャニング・デバイス110から、スライド・トレーがスライド・スキャニング・デバイス110内に挿入されていることを示すスライド・トレー挿入信号を受け取る動作を含む。スライド・トレーは、生体試料が載せられた1つ以上のスライド、例えば、1枚のスライド、2枚のスライド、3枚のスライド、4枚のスライド、5枚のスライド、6枚のスライド等を含むことができる。ある実施形態では、スライド・スキャニング・デバイス110から受け取られるスライド・トレー挿入信号は、挿入されたスライド・トレーの種類、例えば、3箇所または6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーの内どちらが挿入されているのかの指示を含む(以下で説明する通り)。ある実施形態では、スライド・トレー挿入信号は、スライド・トレーにおける個々のスライド位置が顕微鏡スライドで占有されているか否かも示すことができる。
【0069】
[0087] ある実施形態では、スライド・トレーが複数のスライド位置を含み、各スライド位置が顕微鏡スライドを保持するように構成される。ある実施形態では、スライド・トレーが3枚および6枚の間の顕微鏡スライドを保持するように構成される。他の実施形態では、スライド・トレーが3枚の顕微鏡スライドを保持するように構成される(図3A参照)。更に他の実施形態では、スライド・トレーが6枚の顕微鏡スライドを保持するように構成される(図3B参照)。
【0070】
[0088] 尚、スライド・トレーは3枚および6枚の間の顕微鏡スライドを保持することができるが、スライド・トレーをスライド・スキャニング・デバイス110に挿入するため、またはスライド・スキャニング・デバイス110によってスキャニング動作が引き受けられるためには、スライド位置の全てがスライドによって占有されなければならない訳ではないことは、当業者には認められよう。一例として、6枚のスライドを保持するスライド・トレーでは、1箇所および6箇所の間の利用可能なスライド位置がスライドによって占有されればよい。同様に、3枚のスライドを保持するスライド・トレーでは、1箇所および3箇所の間の利用可能なスライド位置がスライドによって占有されればよい。いずれにしても、スライド・トレーはスライドの装填および高速スキャニングを容易にすることも、当業者には更に認められよう。
【0071】
[0089] インターフェース・モジュール126によるスライド・トレー挿入信号の受け取り(ステップ220)に続いて、GUIレンダラ128は、ユーザ・インターフェースおよび可視化のような、スライド・トレーの説明図(representation)を、出力デバイス108上に生成する(ステップ221)。ある実施形態では、GUIレンダラ128によって生成される説明図は、スライド・トレー内におけるスライド位置のレイアウトの描写(depiction)である。 言い方を変えると、表示される説明図は、スライド・トレー内に配置されたスライドのレイアウトを模擬する。したがって、3箇所のスライド位置を有するスライド・トレーがステップ200において挿入された場合、GUIレンダラ128は、互いに並列に並べられた3箇所のスライド位置というような、3箇所のスライド位置400を有する説明図を表示する(図4A参照)。同様に、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーがステップ200において挿入された場合、GUIレンダラ128は、互いに並列に並べられた6箇所のスライド位置というような、6箇所のスライド位置400を有する説明図を提示する(図4B参照)。
【0072】
[0090] ある実施形態では、そしてプレースホルダに加えて、GUIレンダラ128は、ユーザ選択可能なエレメントを有するメニュー・バー404を表示する。ユーザ入力デバイス106によってユーザ選択可能なエレメントが選択されると、スキャニング動作、対象エリア(「AOI」)調節動作、ビューア・モジュール134またはビュー・ソフトウェアの起動等の内1つ以上を開始することができる。ある実施形態では、そしてプレースホルダに加えて、GUIレンダラ128は、複数のユーザ構成可能スキャニング・パラメータを提示する構成パネル403を表示する。
【0073】
[0091] ある実施形態では、GUIレンダラ128によって生成される説明図は、複数の重複しないプレースホルダ400を含む。ある実施形態では、複数のプレースホルダの各々は、等しいサイズに作られる。ある実施形態では、複数のプレースホルダは、縦向きに並べられる。即ち、プレースホルダの長い縁が、表示されるキャプチャ設定または構成パネルに並列となる。ある実施形態では、各プレースホルダは、スライド・トレーにおける特定のスライド位置に対応する。このように、表示されるプレースホルダは、スライド・トレーにおけるスライドの実際のレイアウトを表す。ある実施形態では、表示されるプレースホルダは、スライド・トレー内におけるスライドの実際の形状およびサイズを表す。ある実施形態では、GUIレンダラ128は、スライド・トレーが顕微鏡スライドによって占有されているか否かには関係なく、スライド・トレーのスライド位置毎にプレースホルダ400を表示する。例えば、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーがスキャニング・デバイス110に挿入され、実際の(physical)スライド・トレーの位置1、4、および6がスライドで占有されている場合、位置2、3、および5は顕微鏡スライドで占有されていないにも拘わらず、GUIレンダラ128は6つの重複しない、等しい大きさのプレースホルダ400を表示する。このように、生体試料を支持するスライドで占有されたスライド位置を含み、スライド・スキャニング・デバイス100に挿入された特定のスライド・トレーについて、その高精度可視化がユーザ・インターフェース内に描写され、こうしてシステム100のユーザへのフィードバックを容易にする。
【0074】
[0092] 図4Aを参照すると、ある実施形態では、各プレースホルダ400が、スキャニング・デバイス110から受け取った画像データ(例えば、プレビュー・スキャン画像、サムネイル・スキャン、中間スキャン、高解像度スキャン等)を、表示されたユーザ・インターフェースを通じて、少なくともスキャニング・システム100のユーザに伝えるように構成される。ある実施形態では、各プレースホルダ400が、顕微鏡スライドのラベル部分を含む、顕微鏡スライド全体のスキャンに対応する画像データを伝えるように構成される(例えば、スライド・スキャン全体について図5Dを参照のこと)。ある実施形態では、ラベル部分がバーコードあるいは他の英数字情報または指標を含んでもよい。ある実施形態では、ラベル部分が、患者、症例番号、症例の種類(case type)、試料が調製された日付け等についての識別情報を供給する。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが、患者の匿名性を保持するように、プレースホルダ内に描写される任意のスライドのラベル部分を隠す、ユーザ選択可能選択肢(user selectable option)、即ち、ラベル匿名化機能(anonymization feature)を提供する(例えば、構成パネルにおいて選択可能な選択肢)。ある実施形態では、患者データが隠される場合であっても、スキャニング・システム100は自動的にラベル部分内にエンコードされているデータ(バーコードを含む)の一部または全部を、1つ以上のメタデータ・フィールド、ファイル名、DICOMファイル属性、他の医療/撮像業界ファイル・フォーマットの充填可能フィールド(fillable field)等に入力するため等に、引き出して認識する(例えば、OCR/デコーダ・モジュール132を使用する光学文字認識によって)ことができる。ある実施形態では、スライド・ラベル情報がユーザ・コマンドによって「隠される」場合、スライド・ラベル情報は1つ以上のメタデータ・フィールドから削除される。
【0075】
[0093] ある実施形態では、GUIレンダラ128によって生成される各プレースホルダ400は、第1部分401および第2部分402を含む。ある実施形態では、第1部分401は、顕微鏡スライド(スライドのラベル部分があるものまたはないもの)上に載せられた生体試料の画像データを受け取って伝えるように構成される。ある実施形態では、第2部分402は、スキャニング動作ステータス・データ・フィールドおよび/または1つ以上のスキャニング属性/スキャニング・パラメータ・データ・フィールドのような、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成される。ある実施形態では、任意の個々のプレースホルダ400の第2部分402は、英数字記述子を使用するスキャニング動作のステータス、動画化した(animated)ステータス・バー、ステータス・バー、動画、あるいは他のグラフィクスまたは動画化したグラフィクスを伝えることもできる。
【0076】
[0094] 勿論、いずれのプレースホルダ400の第2部分402内にあるステータス指示もカラー・コード化できることは、当業者には認められよう。ある実施形態では、第1の色が第1ステータスを表すとしてもよく、第2の色が第2ステータスを表すとしてもよく、第3の色が第3ステータスを表すとしてもよく、この場合色の各々が異なる。ある実施形態では、スキャニング動作ステータスの指示が、スキャニング・ステータス情報が提供されていないというものでもよい。例えば、スライド・トレーにおける特定のスライド位置にスライドが位置していない場合、ステータス・フィールドは空白のままにしておき、スライドがないことを示すこともできる。あるいは、フィールドが、第2部分の背景色と同じ色のままであってもよい。つまり、この特定実施形態では、スキャニング動作ステータスは、その特定のプレースホルダ/スライド位置ではスキャニングが開始されないことを示す。
【0077】
[0095] ある実施形態では、第2部分402において伝えられるスキャニング動作ステータスは、リアル・タイムで、スキャニング・デバイス110の外面上にあるステータス灯/指示灯と同期する。ある実施形態では、そして先に注記したように、スライド・スキャナ・デバイス110は、複数のステータス指示灯を有する外部パネルを含み、各ステータス指示灯は複数のプレースホルダ400の内1つに対応し、一方、プレースホルダ400はスライド・トレーにおけるスライド位置に対応する。ある実施形態では、プレースホルダ400の任意の第2部分402に表示される任意の色が、同じスライド位置に対して、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致することができるように、ユーザ・インターフェース内において任意のプレースホルダ400の第2部分402内に着色表示される指標を、対応するスキャニング・デバイス・ステータス指示灯と同期させることができる。同様に、ユーザ・インターフェース内の任意のプレースホルダ400の第2部分402内部で伝えられる動画は、スキャニング・デバイス110上においてそれぞれのステータス指示灯を点滅(blink)または明滅(flash)させることによって、模擬させることもできる。例えば、スキャニング・デバイス110上の第1ステータス指示灯が第1の色で点滅する場合、ユーザ・インターフェース内にある第1プレースホルダ400の第2部分402のエリアが指示灯と同じ第1の色で点滅することができ、または指示灯と同じ第1の色を表示する動画化バーを有することができる。このように、システム100のユーザは、ユーザ・インターフェースおよびスキャニング・デバイス110の双方から、同期された視覚ステータス指示を受ける。これは、ユーザ体験を改良し、リアル・タイムのスキャニング動作フィードバックを容易にすると考えられる。
【0078】
[0096] ある実施形態では、1つ以上のスキャニング動作を開始するために、インターフェース・モジュール126からスキャニング・デバイス110に信号を送信する。ある実施形態では、インターフェース・モジュール126が信号をスキャニング・デバイス110に送り、1組の所定のスキャニング設定値(記憶サブシステム104に格納されている1組のスキャニング設定値等)と共に(along with)、1つ以上のスライド位置においてスライドのスキャニングを自動的に開始する。したがって、ある実施形態では、スライド・トレー挿入信号を受け取り(ステップ220)、複数のプレースホルダを表示した(ステップ221)ときに、1組の所定のスキャニング設定値を使用して、スキャニングを自動的に開始する。他の実施形態では、スライド・トレー挿入信号を受け取り(ステップ220)、複数のプレースホルダを表示した(ステップ221)ときに、スキャニングを開始することができるように(スキャニングの手動開始)、インターフェース・モジュール126を通じて、送信されたユーザ入力信号をスキャニング・デバイス110に送信する。スキャニングの手動開始は、本明細書において注記したように、プリセット・スキャニング設定値を利用するか、またはユーザ入力によって供給される設定値を利用することもできる。
【0079】
[0097] 複数のプレースホルダを含む説明図の表示(ステップ221)に続いて、スキャニングを開始し、続いて1つ以上のプレースホルダ400に、スキャニング・デバイス110からまたはスキャニング・インターフェース・アプリケーション122から受け取ったデータを入力する(スキャニングが自動で開始されたかまたは手動で開始されたかには関係なく、あるいはスキャニングに使用される設定が手動で選択されたかまたはプリセットに基づいて選択されたかにも関係なく)(ステップ222)。例えば、スキャニング・デバイス110は、スキャニング動作ステータス・データを送信することができ、および/または画像データを送信することができ、このような情報をプレースホルダ400に入力することもできる。加えて、プレースホルダ400には、スライド位置毎に画像データの取得において使用されたスキャニング設定値を入力することもできる(即ち、格納されているプリセット・スキャニング設定値または手作業で入力されたスキャニング設定値の内、スキャニング・デバイス110に送信されたもの)。
【0080】
[0098] ある実施形態では、各スライドが個々にスキャンされ、その結果、プレースホルダ400には順次スキャンされた画像データが入力される。ある実施形態では、そしてプレースホルダ400に画像データを入力する前に、プレースホルダ400に少なくともスキャニング動作のステータスに関する情報を入力する。ある実施形態では、そして再度プレースホルダ400に画像データを入力する前に、プレースホルダ400にはスキャニング動作ステータス情報およびスキャニング設定値が入力される。ある実施形態では、全てのプレースホルダ400に、ステータス・データおよび/またはスキャニング・パラメータ・データが実質的に同時に入力される。
【0081】
[0099] 図2Cを参照すると、ある実施形態では、スキャニング動作ステータス・データは、画像データの送信とは別個に、スライド・スキャニング・デバイス110から送信される。即ち、各プレースホルダ400には、最初にスキャニング動作ステータス情報および/またはスキャニング設定値が入力され(ステップ240)、次いで一旦プレースホルダに対応するスライド位置におけるスライドのスキャニングが完了したなら、画像データが入力される(ステップ241)。例えば、任意のスライド位置におけるスライドがスキャンされているとき、ユーザ・インターフェースが、リアル・タイムでというように、対応するプレースホルダ内にスキャニング動作ステータスを(スキャニング・デバイス110のスライド・ステータス・パネル上に表示される、同時に存在する任意のステータス(contemporaneous status)と共に)表示できるように、スライド位置毎のスキャニング動作ステータス情報を送信する(ステップ240)。任意の位置におけるスライドのスキャニングが完了したとき、画像データをプレースホルダの1つに入力できるように、結果的に得られた画像データをスライド・スキャニング・デバイス110からインターフェース・モジュール126に送信する(ステップ241)。加えて、各プレースホルダが更新スキャニング・ステータスを表示するように、新たなスキャニング動作ステータス情報を提供する(ステップ242)。尚、スキャニング・デバイス110が任意のスライド位置にある顕微鏡スライドのスキャンを取得している間、スキャニング・ステータス情報を連続的に、リアル・タイムでというように、送信または更新できることは当業者には認められよう。このように、ステータス・データは連続的にユーザにフィードバックとして供給される(即ち、画像データが順次プレースホルダに入力されるに連れて、ステップ242を繰り返すことができる)。
【0082】
[0100] 一例として、6箇所のスライド位置を有するスライド・トレーがスキャニング・デバイス110に挿入されると仮定する。更に、スライド位置1、2、4、5、および6が、異なる生体試料を支持する顕微鏡スライドで占有されると仮定する。ユーザ・インターフェース内にプレースホルダ400が表示された後、スキャニング動作のステータスをスライド位置1、2、4、5、および6の各々について表示できるように、少なくともスキャニング動作ステータス信号がスライド・スキャニング・デバイス110から送信される。ある実施形態では、そしてスキャニング動作ステータス信号に加えて、各プレースホルダ400には、それぞれの画像データを取得するときにスキャニング・デバイス110によって使用されたスキャニング設定値の識別が入力される。更に他の例として、位置1におけるスライドがスキャニングされるに連れて、第1プレースホルダの第2部分が、スライド1が「スキャンされている」ことを示す指標を提示する(provide)ことができ、一方第2、第4、第5、および第6プレースホルダの各々の第2部分は、スライド2、4、5、および6が「待機中」であることを示す指標を提示することができる。勿論、そして先に注記したように、スライド・スキャニング・デバイス110の外面上にあるステータス指示灯はスライド位置の各々について同じステータス指標を同時に示す(portray)ことができる。図5Aおよび図5Bは、プレースホルダへの画像データの順次入力の実例である。同様に、図5Cおよび図5Dもプレースホルダへの画像データおよび/またはスキャニング動作ステータス・データ情報の順次入力の実例である。図5Eは、図5Dと比較して、選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値を使用する、高解像度スキャンの開始を示す(各図における第2プレースホルダを参照のこと)。
【0083】
[0101] 先の例を更に続けると、第1スライドのスキャニングが完了すると、第1プレースホルダの第1部分が、スキャニングが完了したという指標を提示することができ、取得された画像データがサムネイル画像(即ち、組織切片に対するAOIおよびキャプチャまたはスキャニング設定値を検討するのに適した低解像度画像)かまたは高解像度画像(例えば、スライドの20Xまたは40X拡大スキャン)かに応じて、異なる指標を提示することもできる。第2、第4、第5、および第6プレースホルダの第2部分も同様に、第1スライドのスキャニングが完了して第2スライドのスキャニングが開始した後に、異なるステータス指標を伝える(例えば、第1位置=スキャニング完了、第2位置=スキャン中、第4位置=待機中、第5位置=待機中、および第6位置=待機中)。また、スキャニング・デバイス110の外面上にあるステータス指示灯に付随する変化も提示される。
【0084】
[0102] 図5Aに示すように、いずれかのスライド位置においてスライドの1つに対してスキャニングが完了した後、ユーザ・インターフェースは、スキャン画像データ501(画像データは低解像度または高解像度キャプチャでもよい)をプレースホルダ500の第1部分502に供給し、スキャニング動作ステータス指示および/またはスキャニング・パラメータをプレースホルダ500の第2部分503に供給する。本明細書において注記したように、表示されるスキャニング設定値は、プレースホルダに入力された画像データの取得中に適用されたスキャニング設定値を反映する(スキャニング設定値が手作業で選択されたか、または記憶サブシステム104に格納されている所定の1組のスキャニング設定値が利用されたかには関係ない)。ある実施形態では、自動的に生成されたAOI504(または図5Aにおける場合では、複数のAOI)が画像データ501上に重ね合わせられる(スキャンされた顕微鏡スライド上において染色された組織の各部分の周囲にある青い矩形ボックスを参照のこと)。
【0085】
[0103] 尚、プレースホルダの1つに画像データ(例えば、プレビュー・スキャン)を入力する間に、他のプレースホルダに入力する画像データを生成するためのスライドのスキャニングを開始することもでき、または予定することもできる(例えば、図5Aにおけるプレースホルダ505は、スキャンが取得されつつあることを示し、一方プレースホルダ506は、スキャンが予定されており、したがって「待機中」であることを示す)ことは、当業者には認められよう。また、他のスキャンが待機中、即ち、予定されている間、ユーザは画像データを見ること、および/または表示された画像データを取得するために使用されたスキャニング設定値に対して調節を行うこともできることも当業者には認められよう。言い方を変えると、ユーザは、全てのプレースホルダに画像データが入力されるまで、いずれの特定の画像を見ることも、AOIパラメータを含むスキャニング設定値に対して調節を行うことも待つ必要はない。
【0086】
[0104] プレースホルダの1つに画像が表示された後、ユーザは、画像データ、スキャニング・パラメータ、および/または任意の予め計算されたAOIを検討し、少なくともユーザ・インターフェース作業空間内に表示された(presented)データ全体に基づいて、スキャニング・パラメータが調節を必要とするか否かに関して、十分な情報に基づいた決定を行うことができる(ステップ223)。ある実施形態では、ビューア・モジュール134または記憶サブシステム104内に設けられている他のビューア・ソフトウェアを処理サブシステム102によって実行し、スキャニング・パラメータが調節を必要とするか否かに関する決定においてユーザを更に補助することもできる。本明細書において注記したように、ビューア・モジュール134は、ある実施形態では、画像の拡大部分のような、スキャン画像データの領域または一部の目視を容易にするために、実行することもできる。
【0087】
[0105] 図2Dを参照すると、ある実施形態では、それ以上の調節は必要ない(ステップ250)。サムネイル画像を取得するのと同時に高解像度スキャンを取り込む場合(即ち、プレースホルダにおける画像データはサムネイル画像であるが、高解像度スキャン(high-resolution can)も同時に実行した)、高解像度画像を記憶サブシステム104またはネットワークに保存することができる(DICOMフォーマットを含む種々の異なるファイル・フォーマットの内1つ)(ステップ254または224)。低解像度画像またはサムネイル画像だけを取得した場合、プレビュー・スキャン画像を取得したときと同じスキャン設定を使用して高解像度スキャンを取得するように、ユーザ入力を供給してもよい(ステップ251)。一旦取得されたなら、高解像度スキャンを随意に検討する(ビューア・モジュールによってというように)ことができ(ステップ252)、次いで記憶サブシステム104またはネットワーク上に高解像度スキャンを格納することができる。
【0088】
[0106] あるいは、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータおよび/または予め計算されたAOIに対して調節を行うこともでき、選択および/または調節された設定を使用して、他のスキャンを生成することもできる(ステップ225)。図2Eを参照すると、ある実施形態では、プレースホルダの1つにおける画像の少なくとも一部を検討するために、ビューア・モジュール134または他のビューア・ソフトウェアを使用する(ステップ260)。例えば、ユーザは、画像の焦点がずれていないか、または取得画像のコントラストが不適当でないか判定することができるのはもっともである。ある実施形態では、選択されたスポットがビューア・ウィンドウ内に表示されるように、スキャン画像のあるエリア上にクロスヘアを位置付けるために、ユーザ入力デバイス106を使用することができる。
【0089】
[0107] ある実施形態では、ユーザは、生体試料を再スキャンするときに適用される特定のユーザ構成可能スキャニング・パラメータを選択することができる(ステップ261)。1つのユーザ構成可能スキャニング・パラメータは、合焦方法(focus method)である。ある実施形態では、スワス幅を調節することによって、スキャンが難しい試料のために画質を維持することができる。ある実施形態では、動的追跡手法に基づくものも含めて、合焦選択肢が使用可能である。他の実施形態では、焦点品質を測定し、AOIをスキャンする間必要に応じて焦点を動的に調節する合焦方法を選択することもできる。更に他の実施形態では、組織のばらつき(variability)(例えば、変化する厚さまたはひだを有する組織)を補償する合焦方法を選択することもできる。
【0090】
[0108] ある実施形態では、ユーザは、AOI検出方法に関係する、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータを選択することができる。例えば、マイクロアレイおよび散乱試料(disperse sample)のためのAOIを検出するために、設定値を選択することもできる。本質的に円形(round or circular)であるAOIを検出するための他の設定値を選択することもできる。他の実施形態では、薄く染色された組織または陰性対照というような、コントラストが低い試料を含むスライドのために、設定値を選択することもできる。ある実施形態では、スライド上にあるバーコードまたは他の指標内にエンコードされている属性に基づいて、AOI検出方法を自動的に選択することもできる。例えば、バーコードがアッセイ型または組織型に関する情報を含むこともあり、アッセイ型または組織型に基づいて対象エリアを最良に決定する検出方法を自動的に選択することができる。
【0091】
[0109] ある実施形態では、ユーザは、倍率に関係するユーザ構成可能スキャニング・パラメータを選択することができる。ある実施形態では、20Xおよび40Xの選択肢を利用可能にする。尚、各倍率から生成されるディジタル画像は、20Xまたは40Xの対物レンズを使用して試料を見るとき、光学顕微鏡によって得られるものと同様の解像度を有すると考えられる。
【0092】
[0110] ある実施形態では、ユーザは、例えば、三次元スキャニングのために、複数の合焦レイヤをスキャンできるように、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータを選択することもできる。ある実施形態では、合焦レイヤは、撮像されるz軸方向の平面を指す。他の実施形態では、ユーザ・インターフェース内に設けられるエレメントが、1および15枚の間の合焦レイヤの選択を可能にする。他の実施形態では、ユーザ・インターフェース内に設けられるエレメントが、3および15枚の合焦レイヤからの選択を可能にする。ある実施形態では、ユーザ・インターフェース内に設けられるエレメントが、合焦レイヤ間の間隔、例えば、0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.25ミクロン、0.5ミクロン、および1.0ミクロンの選択を可能にする。
【0093】
[0111] 本明細書において注記したように、スキャン設定パネル内というような、ユーザ・インターフェース内にあるユーザ構成可能な機能(feature)も、ラベル部分内にある情報を「隠す」または匿名化することができるように、選択することができる。このようなラベル匿名化機能を選択することによって、スライドのラベル部分上にあり、任意のプレースホルダの第1部分内に描写されるバーコードおよび他の識別情報を覆い隠すことができる(永続的に、またはシステム100のユーザの視線から隠す)。ある実施形態では、このデータが隠されても、DICOM画像属性のようなメタデータは、収集してフィールドに入力するために使用することができてもよい。
【0094】
[0112] ユーザ構成可能スキャニング設定値は、1つ、全て、または任意の部分集合のプレースホルダに適用することができる。「プレースホルダに適用する」とは、1つ、全て、または任意の部分集合のスライド位置において試料を再スキャンするとき、最終的に得られるスキャンはいずれも、選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値を使用して取得されることを意味する。例えば、ユーザが1つ、全て、または複数のプレースホルダを選択できてもよく、使いやすさを追求し、スライドのスキャン速度を高め、システムの直観的操作を行い易くするために、選択された各プレースホルダにユーザ構成可能スキャニング設定値を適用することができる。
【0095】
[0113] ある実施形態では、ユーザ・インターフェースは、ユーザ・インターフェース・デバイス106を通じて選択されると、予め計算されたAOIの調節を可能にするエレメントを含む(ステップ262)。本明細書において説明したように、予め計算されたAOIは、プレースホルダにおける画像上に重ね合わされる。予め計算されたAOIは、例えば、着色されたボックスによって表すことができる(図5Aの504参照)。着色されたボックスは、リアル・タイムでというように、ユーザ入力デバイス106の使用を通じて、サイズを変更する、移動させる、または削除することができる。例えば、ユーザ入力デバイス106でクリックし、4方向移動ポインタを予め計算されたAOIの内側に保持することによって、ユーザはAOIをスライド上の所望位置にドラッグすることができ、その後、ソフトウェア・インターフェース・アプリケーション120が、組織切片上における新たな焦点を判定する(焦点とはスキャンの開始点であり、自動的に選択することも、ユーザが決定することもできる)。ある実施形態では、ユーザ入力デバイス106の使用によって、重ね合わされた焦点を動かすこともできる。尚、スキャニングを最適化するために焦点を手作業で動かすことができると考えられるが、好ましくは、組織上のいずれの場所に位置付けてもよい。焦点の最適な位置は、底面に近い組織の最も長い切片上であると考えられる。ある実施形態では、散乱試料のためというように、組織の底面近くで最も密度が高い領域に、焦点を位置付けることが好ましい。同様に、1つ以上の新たなAOIを追加するためにも、ユーザ入力デバイス106を使用することができる。
【0096】
[0114] ユーザ構成可能スキャニング・パラメータの選択、および/または予め計算されたAOIに対する調節に続いて、選択したパラメータを使用して、生体試料を再スキャンする(ステップ263および225)。再スキャニングに続いて、適用した設定が満足できたか否かについて、再度判定を行うことができ(ステップ226)、満足できた場合、画像サブシステム104内またはネットワーク上に高解像度画像を格納することができる(ステップ227)。尚、ステップ260から263までは、適したスキャンが取得されるまで、即ち、所定の基準を満たすスキャンが取得されるまで、必要な回数だけ繰り返せばよいことは、当業者には認められよう。試料を支持するスライド位置毎に画像が格納され終えたとき、しかるべきユーザ・インターフェース・エレメント(例えば、「排出」アイコン)の選択により、スライドを排出することができる。次いで、他の1組のスライドをスキャンするために、スキャニング・システム100を準備することができる。
【0097】
[0115] ある実施形態では、ユーザ・インターフェースが追加のフィードバックをユーザに提供することもできる。例えば、GUIレンダラ128は、スキャンの誤り等を示すオーバーレイのようなオーバーレイを、ユーザ・インターフェース内に設けることができる。ある実施形態では、ユーザの注意が必要な場合には、オーバーレイをある色で、例えば、赤で表示する(present)こともできる。
【0098】
[0116] 図6は、スキャニング・デバイス110を使用して高解像度画像を取得するステップを示す他のフローチャートについて説明する。具体的には、図6は、スキャニングの開始は、本明細書において詳細に説明するように、手動または自動も可能であることを示す。ソフトウェア・インターフェース・アプリケーション120において、スキャニングの開始が自動に設定されている場合、スキャニングの間所定のスキャニング設定値が適用される。しかしながら、初期状態においてスキャニングが手動の場合、ユーザ・インターフェース内においてスキャニングを開始するための信号をスキャニング・デバイス110に送らせるエレメントを選択することによってというようにして、スキャニング設定値を手作業で設定することができ、または所定のスキャニング設定値を適用してもよい。スキャニング設定値を手作業で設定する場合、複数のユーザ構成可能スキャニング設定値を、ユーザ・インターフェースによって表示することができる。それらの選択のとき、ユーザ構成可能スキャニング設定値が適用され、初期画像データを取得するために使用される。ある実施形態では、手作業で適用されたユーザ構成可能スキャニング設定値を、後の使用のために、記憶サブシステム104内にプリセットとして格納することができる。
【0099】
[0117] 図7は、スキャニング・デバイスおよび/またはユーザ入力デバイスに送られる信号、ならびにこれらから受け取られる信号を示すフローチャートについて説明する。例えば、ステップ700において、スライド・トレー挿入信号をスキャニング・デバイス110から受け取る。その後、処理サブシステムは、挿入されたスライド・トレーの説明図を含むユーザ・インターフェースを表示することができる。本明細書において注記したように、この説明図は複数のプレースホルダを含むことができ、画像データ、スキャニング動作ステータス情報、および/またはスキャニング設定値を伝えることができる。スライド・トレー挿入信号を受け取った(ステップ700)後、スキャニングを開始するために、信号をスキャニング・デバイス110に送る(ステップ701)。スキャニングの開始は、本明細書において注記したように、手動または自動にすることができ、選択されたスキャニング設定値またはプリセット・スキャニング設定値を利用することができる。続いて、画像データおよびスキャニング動作ステータス情報をスキャニング・デバイス110から受け取り(ステップ702)、このようなデータおよび情報を、ユーザ・インターフェース内にある複数のプレースホルダに入力することができる。ある実施形態では、画像ビューア(例えば、ビューア・モジュール134または外部ビューア・ソフトウェア・パッケージ)を起動するユーザ・インターフェース・エレメントの選択に対応する信号を、入力デバイス106から受け取る(ステップ703)。画像データの一部を検討した後、1つ以上のユーザ構成可能スキャニング設定値の選択に対応する信号を受け取り(ステップ704)、および/または対象エリアまたは焦点の調節に対応する信号を受け取る(ステップ705)。ある実施形態では、次いで、選択されたスキャニング設定値にしたがって画像データを再スキャンできるように、1つ以上のユーザ構成可能スキャニング・パラメータの選択、あるいは対象エリアまたは焦点の調節に対応する信号を、スキャニング・デバイス110に送る(ステップ706)。
【0100】
[0118] 追加の実施形態
[0119] ある実施形態では、基板上に載せられた生体試料の高解像度スキャンを、スキャニング・デバイスによって取得する方法であって、この方法は、(i)グラフィカル・ユーザ・インターフェース上において、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する第1ユーザ入力を受け取るステップと、(ii)グラフィカル・ユーザ・インターフェース上において、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する、受け取った一連のユーザ入力に基づいてスキャニングを開始するための第2ユーザ入力を受け取るステップと、(iii)グラフィカル・ユーザ・インターフェース上に、スキャニング動作ステータス情報、画像データ、およびユーザ構成可能スキャニング設定値の少なくとも一部が入力された1つ以上のプレースホルダの可視化を表示するステップとを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、画像データを格納するための第3ユーザ入力を受け取るステップを含む。ある実施形態では、画像データを格納するステップは、更に、格納の前に、画像データの高解像度スキャンを生成するステップを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、ユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する一連のユーザ入力を見直し、見直した一連のユーザ入力に基づいて画像データを再スキャンするための第4ユーザ入力を受け取るステップを含む。ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節値、および(ii)ユーザ構成可能スキャニング・パラメータを含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、または対象エリアの削除を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、合焦方法、対象エリア決定方法、倍率、合焦レイヤの数、および合焦レイヤの間隔を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、更に、ラベル匿名化機能を含む。
【0101】
[0120] ある実施形態では、生体試料の高解像度画像を、スライド・スキャニング・デバイスによって取得する方法であって、(i)複数のプレースホルダを表示するステップであって、各プレースホルダが、スライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応する、ステップと、(ii)複数のプレースホルダの各々の第2部分に、少なくともスキャニング動作ステータス情報を入力するステップと、(iii)複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に、スライド・トレーの対応するスライド位置に配置された生体試料のプレビュー・スキャン画像を入力するステップとを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの中にあるプレビュー・スキャン画像が所定の基準を満たすか否か評価するステップを含む。ある実施形態では、この方法は、更に、1つ以上のユーザ・インターフェース・エレメントの選択に対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、少なくとも1つの見直したスキャン画像(例えば、プレビュー・スキャン画像よりも高い解像度を有する画像)を生成するステップを含む。ある実施形態では、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する。ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像がサムネイルであり、見直したスキャン画像が高解像度画像である。ある実施形態では、選択されたユーザ・インターフェース・エレメントが、スキャニング・デバイスにスキャニング動作を開始させるエレメントである。
【0102】
[0121] ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、少なくとも1つの見直したスキャン画像を生成する。ある実施形態では、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節、および(ii)ユーザ構成可能スキャニング・パラメータを含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、または対象エリアの削除を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、合焦方法、対象エリア決定方法、倍率、合焦レイヤの数、および合焦レイヤの間隔を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、更に、ラベル匿名化機能を含む。
【0103】
[0122] ある実施形態では、複数のプレースホルダの各々には、スライド・トレーの対応するスライド位置における生体試料のプレビュー・スキャン画像が順次入力される。ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報がリアル・タイムで更新される。ある実施形態では、複数のプレースホルダの各々の第2部分に、スキャニング動作ステータス情報および初期スキャニング・パラメータの双方が表示される。
【0104】
[0123] ある実施形態では、対象エリアが、複数のプレースホルダの少なくとも1つの第1部分に入力されるプレビュー・スキャン画像上に重ね合わせられる。ある実施形態では、プレースホルダは重複せず、等しいサイズに作られる。ある実施形態では、3つのプレースホルダが表示される。ある実施形態では、6つのプレースホルダが表示される。
【0105】
[0124] ある実施形態では、生体試料が主染料、例えば、H&Eによって染色される。ある実施形態では、特定のバイオマーカの存在を求めて、生体試料が染色される。ある実施形態では、生体試料が主染料によって染色され、更に特定のバイオマーカの存在を求めて染色される。
【0106】
[0125] ある実施形態では、プレースホルダの第2部分に入力されるスキャニング動作ステータス情報が、(i)空ステータス・フィールド、または(ii)スライド・トレー内の対応する位置にスライドが存在しないとき、ユーザ・インターフェースの背景色と一致するステータス・フィールドである。ある実施形態では、プレースホルダの第2部分に入力されるスキャニング動作ステータス情報が、スライド・トレーにおける対応する位置にスライドが存在しないことを示す英数字エントリである。
【0107】
[0126] ある実施形態では、複数のプレースホルダの少なくとも1つの第1部分に入力されるプレビュー・スキャン画像が、自動的に生成される。ある実施形態では、自動的に生成されるプレビュー・スキャン画像が、予めプログラミングされ記憶サブシステム上のプリセット・ファイルに格納されたスキャニング設定値のような、予めプログラミングされたスキャニング設定値を使用して取得される。ある実施形態では、予めプログラミングされたスキャニング設定値が、合焦方法、または対象エリア検出方法の内少なくとも1つを含む。
【0108】
[0127] ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報が、英数字指示、動画、および着色指標(colored indicia)の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、スライド・スキャナ・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が複数のプレースホルダの内の1つに対応し、複数のプレースホルダのいずれの個々のプレースホルダに対して表示される着色指標も、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する。ある実施形態では、隣接する1対のスライド・ステータス指示灯が1つのプレースホルダに対応する。
【0109】
[0128] ある実施形態では、前述の方法は、更に、スライド・ラベル情報を自動的に認識し、スライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力するステップを含む。ある実施形態では、スライド・ラベル情報がバーコード内に埋め込まれる。ある実施形態では、1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である。ある実施形態では、自動的に認識されるスライド・ラベル情報、例えば、アッセイ型、組織型等に基づいて、少なくとも1つのユーザ構成可能スキャニング設定値が自動的に変更される。
【0110】
[0129] ある実施形態では、プレビュー・スキャン画像の評価が、焦点品質または画像コントラストのためというように、プレビュー・スキャン画像の少なくとも1つの拡大部分を検討することを含む。例えば、ユーザは、画像が焦点外れか否か、または彼の好みおよび/またはアッセイもしくはプロトコルの要件にしたがって、取得された画像のコントラストが不適当か否か判定することができるのでもよい。ある実施形態では、評価は、プレビュー・スキャン画像を取得するときに利用されるスキャニング設定値を考慮に入れる。ある実施形態では、前述の方法は、更に、見直したスキャン画像を評価するステップ、例えば、高解像度画像を評価するステップを含む。
【0111】
[0130] ある実施形態では、この方法は、更に、手動スキャンを開始するためのユーザ制御エレメントを選択するステップを含む。ある実施形態では、手動スキャンはプリセット・スキャニング設定値を利用する。ある実施形態では、手動スキャンは手作業で選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値を利用する。ある実施形態では、手動スキャニング方法は、更に、複数のユーザ構成可能スキャニング設定値を表示するステップを含み、ユーザ構成可能スキャニング設定値は、1つ、全て、または任意の部分集合のプレースホルダに独立して適用可能である。
【0112】
[0131] ある実施形態では、高解像度画像スキャンを生成するシステムであって、このシステムは、(i)1つ以上のプロセッサと、(ii)1つ以上のプロセッサに結合されたメモリであって、コンピュータ実行可能命令を格納するメモリとを備え、コンピュータ実行可能命令が1つ以上のプロセッサによって実行されると、複数のスライド位置を有するスライド・トレーの説明図を表示する動作であって、この説明図が複数のプレースホルダを含み、各プレースホルダが各々複数のスライド位置の内の1つに対応する、動作と、複数のプレースホルダの各々に、スキャニング・デバイスから受け取ったスキャン動作ステータス情報を入力する動作と、プレースホルダの各々に、スキャニング・デバイスから受け取った生体試料のスキャン画像を順次入力する動作と、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に基づいて、1つ以上のスライド位置の再スキャンを実行するための信号を、スキャニング・デバイスに送信する動作とを含む動作をシステムに実行させる。
【0113】
[0132] ある実施形態では、スキャニング・システムであって、スキャニング・デバイスと、スキャニング・デバイスに通信可能に結合された処理サブシステムとを備え、処理サブシステムが、スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーの説明図を表示し、スライド・トレーが複数のスライド位置を有し、各スライド位置が、表示された説明図内部における複数のプレースホルダの内1つに対応し、スキャニング・デバイスから、スライド位置の各々に対応する画像データとスキャン動作ステータス情報とを受け取り、プレースホルダの各々に、受け取ったスキャン動作ステータス情報を入力し、プレースホルダの各々に、受け取った画像データを順次入力し、選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に基づいて、1つ以上のスライド位置の再スキャンを実行するための信号をスキャニング・デバイスに送るように構成される。
【0114】
[0133] ある実施形態では、前述の方法は、更に、1つ以上のスライド位置に関する、再スキャンした画像データを表示するステップを含む。ある実施形態では、処理サブシステムが、取得した画像データ、および/またはDICOMフォーマットのようなメタデータを保存するために、記憶サブシステムに通信可能に結合される。ある実施形態では、表示される説明図が、更に、1つ以上のスキャニング設定値に関連する選択可能なエレメントを含む。
【0115】
[0134] ある実施形態では、スライド位置の内任意のものに対する再スキャニングが、最初に適用した1組のスキャニング設定値では、所定の基準を満たす画像データが得られなかったという判定の後に行われる。ある実施形態では、画像データの少なくとも1つの拡大部分を表示することによって、および/または画像データの取得において使用されたスキャニング設定値を表示することによって、この判定を容易にする。
【0116】
[0135] ある実施形態では、処理サブシステムが、スライド・スキャニング・デバイスからスライド・トレー挿入信号を受け取った後に、説明図(representation)を表示する。ある実施形態では、画像データの取得およびスキャン動作ステータス情報の送信が自動的に実行される。即ち、処理サブシステムが、スライド・トレー挿入信号を受け取った後に、画像取得を開始しステータス情報を送信するための信号を、スキャニング・デバイスに送る。ある実施形態では、画像データの自動取得がプリセット・スキャニング設定値に基づく。ある実施形態では、画像データの取得およびステータス情報の送信が手動で開始される。即ち、処理サブシステムが、処理サブシステムに通信可能に結合された入力デバイスから信号を受け取った後に、画像取得を開始しステータス情報を送信するための信号を、スキャニング・デバイスに送る。ある実施形態では、スキャニングの手動開始のための信号の受け取りが、表示されたユーザ・インターフェース・エレメントの選択に対応する。
【0117】
[0136] ある実施形態では、表示されるスライド・トレーの説明図は、ユーザ・インターフェースの一部であり、このユーザ・インターフェースは、更に、複数のユーザ選択可能な構成設定値と、他の制御エレメントとを含む。ある実施形態では、複数のユーザ選択可能な構成設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節と、(ii)ユーザ構成可能スキャニング・パラメータとを含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、または対象エリアの削除を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、合焦方法、AOI検出方法、倍率、合焦レイヤの数、および合焦レイヤの間隔を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、更に、ラベル匿名化機能も含む。
【0118】
[0137] ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報が、英数字指示、動画、または着色指標の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、スライド・スキャニング・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、ユーザ・インターフェース説明図における複数のプレースホルダの内1つに対応し、複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する。
【0119】
[0138] ある実施形態では、処理サブシステムが、任意のスライド位置における任意のスライドについてのスライド・ラベル情報を自動的に認識し、スライド・ラベル情報を1つ以上のメタデータ・フィールドに入力するための命令を含む。ある実施形態では、スライド・ラベル情報がバーコード内に具体化される。ある実施形態では、1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM属性である。ある実施形態では、少なくとも1つのユーザ構成可能スキャニング設定値が、自動的に認識されたスライド・ラベル情報に基づいて、自動的に変更される。
【0120】
[0139] ある実施形態では、生体試料の高解像度画像スキャンをスライド・スキャニング・デバイスによって生成するための命令を格納する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、複数の重複しないプレースホルダを表示する命令であって、各プレースホルダがスライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、画像データを伝えるように構成された第1部分と、1つ以上のデータ・フィールドを伝えるように構成された第2部分とを有する、命令と、複数のプレースホルダの各々の第2部分に、少なくともスキャニング動作ステータス情報を入力する命令と、複数のプレースホルダの内少なくとも1つの第1部分に、スライド・トレーの対応するスライド位置に配置された生体試料のプレビュー・スキャン画像を入力する命令と、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング設定値に対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、少なくとも1つの見直したスキャン画像(例えば、プレビュー・スキャン画像と比較して解像度が高い画像)を生成する命令とを含む。ある実施形態では、少なくとも1つの見直したスキャン画像の生成が、生体試料のプレビュー・スキャン画像が所定の基準を満たさなかったという判定、例えば、画像が適正に合焦されていなかった、不適当な数の合焦レイヤが選択された、倍率が高すぎたまたは低すぎた等という判定の後に行われる。
【0121】
[0140] ある実施形態では、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体は、バーコードにエンコードされた情報またはそれ以外でスライドのラベル部分上に提供される情報を自動的に認識するための命令を含む。ある実施形態では、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体は、1つ以上のメタデータ・フィールドに、自動的に認識された情報を自動的に入力するための命令も含む。ある実施形態では、1つ以上のメタデータ・フィールドがDICOM画像属性(例えば、患者名、症例番号等)である。ある実施形態では、スキャニング動作ステータス情報が、英数字指示、動画、および着色指標の内少なくとも1つを含む。ある実施形態では、スライド・スキャナ・デバイスが、複数のステータス指示灯を有する外面パネルを含み、各ステータス指示灯が、複数のプレースホルダの内1つに対応し、複数のプレースホルダの内任意の個々のプレースホルダに対して表示される着色指標が、対応する個々のステータス指示灯の色と実質的に一致する。ある実施形態では、隣接する1対のスライド・ステータス指示灯が1つのプレースホルダに対応する。
【0122】
[0141] ある実施形態では、スライド・スキャニング・デバイスを使用して、生体試料の高解像度スキャンの取得を容易にするグラフィカル・ユーザ・インターフェースであって、グラフィカル・ユーザ・インターフェースが、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコンピュータ・システム上にディスプレイを備える。このグラフィカル・ユーザ・インターフェースは、(i)コンピュータ・システムのディスプレイ上に、スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーの複数のスライド位置の可視化を表示し(present)、(ii)コンピュータ・システムのディスプレイ上に、スキャニング・デバイスから受け取った画像データおよびスキャニング・ステータス動作情報を表示し、画像データおよびスキャニング・ステータス動作情報をスキャニング・デバイスから受け取るに連れて、画像データおよびスキャニング・ステータス動作情報によって、コンピュータ・システムのディスプレイを更新し、(iii)コンピュータ・システムのディスプレイ上に、ユーザ構成可能スキャニング設定値を識別する1つ以上のユーザ入力を受け取るように構成された1つ以上のインターフェース・コンポーネントを表示し、(iv)コンピュータ・システムのディスプレイ上において、ユーザ構成可能スキャニング設定値を識別する1つ以上のユーザ入力を受け入れ、(v)ユーザ構成可能スキャニング設定値を識別するユーザ入力を受け入れ、このユーザ入力に基づいて、再スキャンされた画像データによる複数のスライド位置の可視化を、コンピュータ・システムのディスプレイ上に表示するように構成される。ある実施形態では、画像スキャンが完了すると、スキャニング・デバイスから受け取った画像データが順次表示される。ある実施形態では、表示されたスキャニング動作ステータス情報が、スキャニング・デバイスの外面上にある一連の指示灯と同期する。ある実施形態では、同期は、表示されたスキャニング動作ステータス情報の色を、対応する指示灯の色と実質的に一致させることを含む。ある実施形態では、受け取った1つ以上のユーザ入力が、ユーザ構成可能スキャニング設定値を識別し、ユーザ構成可能スキャニング設定値を変更せずに、高解像度のスキャニングを開始するためのユーザ入力を含む。
【0123】
[0142] ある実施形態では、ユーザ選択可能な構成設定値が、(i)予め計算された対象エリアに対する調節、および(ii)ユーザ構成可能スキャニング設定値を含む。ある実施形態では、予め計算された対象エリアに対する調節が、対象エリアのサイズ変更、対象エリアの再位置付け、焦点の再位置付け、新たな対象エリアの作成、または対象エリアの削除を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、合焦方法、AOI検出方法、倍率、合焦レイヤの数、および合焦レイヤの間隔を含む。ある実施形態では、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、更に、ラベル匿名化機能も含む。
【0124】
[0143] ある実施形態では、生体試料の高解像度画像をスライド・スキャニング・デバイスによって取得する方法は、ユーザ・インターフェースを表示するステップであって、ユーザ・インターフェースが複数のプレースホルダを有し、各プレースホルダが、スライド・スキャニング・デバイスに挿入されたスライド・トレーのスライド位置に対応し、各プレースホルダが、スライド・トレーの対応するスライド位置におけるスライド上に載せられた生体試料の画像を伝えるように構成された第1部分と、スキャニング動作ステータス指示を少なくとも伝えるように構成された第2部分とを有する、ステップと、複数のプレースホルダの各々の第2部分に、スキャニング動作ステータス情報を入力するステップと、複数のプレースホルダの内少なくとも1つに、スライド・トレーの対応するスライド位置に配置された生体試料の初期サムネイル画像を入力するステップと、複数のユーザ構成可能スキャニング・パラメータを表示するステップであって、ユーザ構成可能スキャニング・パラメータが、複数のプレースホルダに入力された任意の初期スキャン・サムネイル画像に独立して適用可能である、ステップと、1つ以上の選択されたユーザ構成可能スキャニング・パラメータに対応する入力信号を受け取り、この入力信号に基づいて、入力された複数のプレースホルダの内任意のものにおける初期スキャン・サムネイル画像に対応する高解像度画像を生成するステップと、生成した高解像度画像を格納するステップとを含む。ある実施形態では、複数のプレースホルダが、重複せず、等しい大きさに作られる。ある実施形態では、ユーザ・インターフェースがメニュー・バーおよび構成パネルも含む。
【0125】
[0144] 本明細書において引用した、および/または出願データ・シートにおいて列挙した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および特許以外の刊行物の全ては、引用したことによって、その全体が本願にも含まれるものとする。実施形態の態様は、必要であれば、種々の特許、出願、および公開の概念を採用して、更に他の実施形態を提供するために変更することができる。
【0126】
[0145] 以上、多数の例示的な実施形態を参照しながら本開示について説明したが、本開示の原理の主旨および範囲に該当する数多くの他の変更や実施形態が、当業者によって考案できることは理解されてしかるべきである。更に特定すれば、以上の開示、図面、および添付した請求項の範囲内で、本開示の主旨から逸脱することなく、主題の組み合わせ構成のコンポーネント部分および/または配置において、合理的な変形および変更が可能である。コンポーネント部分および/または配置における変形ならびに変更に加えて、代替使用も当業者には明白であろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7