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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】フローティングリングシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/44 20060101AFI20221128BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
F16J15/44 C
F16J15/447
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020556903
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019057444
(87)【国際公開番号】W WO2019201561
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】102018205979.9
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510151348
【氏名又は名称】イーグルブルクマン ジャーマニー ゲセルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】イムハウザー,ロバート
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500578(JP,A)
【文献】実開昭51-041058(JP,U)
【文献】米国特許第03971563(US,A)
【文献】米国特許第05322298(US,A)
【文献】米国特許第04177997(US,A)
【文献】米国特許第02917329(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16-15/32
F16J 15/324-15/3296
F16J 15/40-15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリング本体(20)と、前記シーリング本体(20)を保持するシールリングキャリア(6)と、前記シールリングキャリア(6)に配置され、前記シールリングキャリア(6)を筐体(4)に保持するように構成されたロック機構(7)とを備えたフローティングリングシールであって
前記シーリング本体(20)は一体的に形成されており、径方向内側に向けられた第1の絞り領域(21)と、径方向内側に向けられた第2の絞り領域(22)と、その内周に設けられた第1の周方向溝(23)とを備え、
前記第1の溝(23)は、前記フローティングリングシールの軸方向(X-X)における前記第1の絞り領域(21)と前記第2の絞り領域(22)との間に配置され、
前記第1の絞り領域(21)の第1の幅(B1)は、前記第2の絞り領域(22)の第2の幅(B2)以下である、
回転部品上をシールするためのフローティングリングシール。
【請求項2】
前記第1の溝(23)は、前記第1の幅(B1)以下、且つ、前記第2の幅(B2)以下の溝幅(N1)を有する、請求項1に記載のフローティングリングシール。
【請求項3】
前記ロック機構(7)は、ヘッド(71)を有するボルト(70)を備える、請求項1又は2に記載のフローティングリングシール。
【請求項4】
前記ボルト(70)は、前記シールリングキャリア(6)に固定されている、請求項3に記載のフローティングリングシール。
【請求項5】
前記ボルト(70)は、前記シールリングキャリア(6)に螺合接続によって固定されている、請求項4に記載のフローティングリングシール。
【請求項6】
前記筐体(4)に形成され、前記シーリング本体(20)と前記シールリングキャリア(6)とを浮遊状態で収容するための凹部(5)を更に備える、請求項3~5のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
【請求項7】
前記凹部(5)には、前記ロック機構(7)を収容するための側方ノッチ(50)が形成されている、請求項6に記載のフローティングリングシール。
【請求項8】
前記側方ノッチ(50)は、長形溝、又はロック機構の一寸法、特にロック機構(7)の前記ヘッド(71)の直径よりも大きな直径を有する円柱状の凹部である、請求項7に記載のフローティングリングシール。
【請求項9】
前記シーリング本体(20)は、径方向内側に向けられた第3の絞り領域(25)を更に備え、
第2の溝(26)が、前記フローティングリングシールの軸方向(X-X)における前記第3の絞り領域(25)と前記第2の絞り領域(22)との間に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のフローティングリングシール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のフローティングリングシール(2)を少なくとも1つと、
回転部品(3)とを備える部品装置。
【請求項11】
前記第1の絞り領域(21)と前記回転部品(3)の表面との間の第1の絞りギャップ(8)の第1のギャップ高さは一定に保たれ、及び/又は、前記第2の絞り領域(22)と前記回転部品(3)の前記表面との間の第2の絞りギャップ(9)の第2のギャップ高さは一定に保たれている、請求項10に記載の部品装置。
【請求項12】
前記第1のギャップ高さは前記第2のギャップ高さと等しい、請求項11に記載の部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大幅に軽量化され設計が簡素化された、回転部品、特に回転シャフト上をシールするためのフローティングリングシールであって、大幅に軽量化され、フローティングリングシールの回転部品との共回転を防止するロック機構が簡素化されたフローティングリングシールに関する。
【0002】
従来技術による様々な構成のフローティングリングシールが知られている。例えば、フローティングリングシールは高速ポンプのポンプシャフトをシールするために用いられている。フローティングリングシールはシャフト上で浮遊配置とされ、特にシャフトが径方向にたわんだ場合に適切な径方向のたわみに追従可能である。フローティングリングシールの問題は、フローティングリングシールと回転部品の間の永続的なギャップであり、そこで比較的激しい漏れが生じる。このため、通常、複数のフローティングリングシールが直列に配置される。しかしながら、これは、製造上かなりの手間がかかり、特に、シールされるべき部品の軸方向に大きな設置スペースを要し、ポンプなどの設置全長を増加させる。これらは、そのようなポンプ製造業者が可能な限り避けたいものである。フローティングリングシールの他の問題は、動作中にフローティングリングシールが回転するシャフトと共に共回転することである。これにより、特にフローティングリングシールのシャフトとは反対側の摩耗が増加する。そのため、そのような摩耗は避けることが望ましいとされる。
【0003】
そのため、本発明の目的は、回転部品上をシールするための簡素で低コスト構造を有するフローティングリングシールを提供することであり、このフローティングリングシールは、特に、シールの軸方向の全長を短縮可能であり、動作中にフローティングリングシールが共回転するのを防止することできる。更に、本発明の目的は、本発明に係るフローティングリングシールを備える部品装置を提供することである。
【0004】
本目的は、請求項1に記載の特徴を有するフローティングリングシール及び請求項13に記載の特徴を有する部品装置により解決されるであろう。それぞれの従属請求項は、本発明の好適な実施形態を表している。
【0005】
より容易な組み立て/分解に加えて、本発明に係る回転部品上をシールするためのフローティングリングシールは、大きな重量的利点を提供する。更に、動作中にフローティングリングシールが、フローティングリングシールがシールしている回転部品、特にシャフトとの共回転をすることを回避することができる。本発明によると、この目的は、フローティングリングシールが、回転部品に対しシールを行うシーリング本体と、シーリング本体を保持するシールリングキャリアとを備えることにより実現され得る。更に、シールリングキャリアに配置され、シールリングキャリアを筐体等に保持するように設計されるロック機構が設けられる。ロック機構は、シールリングキャリアとシールリングキャリアに接続されたシーリング本体とが共回転するのを防止する。例えば、シールリングキャリアとシーリング本体との間に摩擦接続を設けてもよい。
【0006】
フローティングリングシールが共回転しないように保持するためのロック機構は、好ましくは、ヘッドを有するボルトからなる。ヘッドは、ボルトよりも大きな直径を有する。これにより、ロック機構を非常に簡単に費用効果の高い方法で設けることができる。
【0007】
好ましくは、ボルトは、シールリングキャリアに固定される。固定は、好ましくは螺合接続を用いて行なわれる。これにより、ボルトをシールリングキャリアに簡単にねじ込むことが可能となり、ヘッドがシールリングキャリアから突出して当接面にもたれることで、フローティングリングシールが共回転するのを防ぐ。
【0008】
シーリング本体が凹部を有さないことが特に好ましい。これにより、シーリング本体の脆弱化が防止され、シーリング本体の寸法と重量が大幅に削減可能である。その結果、フローティングリングシールは、非常にコンパクトで軽量な方法で製造可能となる。好ましくは、シーリング本体は、凹部、孔、穴等を有さない断面矩形である。
【0009】
更に好ましくは、フローティングリングシールは、シーリング本体とシールリングキャリアの浮遊収容のための凹部を有する筐体を備える。好ましくは、凹部は、ロック機能を収容するための側方ノッチを有して形成される。従って、ロック機構の一部は側方ノッチ内に突出し、ロック機構のその他の部分はシールリングキャリアに位置し、それにしっかりと接続される。
【0010】
凹部の側方ノッチは、好ましくは長形溝又はロック機構のいずれかの寸法よりも大きな直径を有する円柱状の凹部である。これにより、ロック機構が側方ノッチに突出するにも関わらず、確実に、フローティングリングシールをシャフトの径方向移動に追従可能とする。シャフトのそのような径方向のたわみは、動作中の様々な理由により生じ得るものである。もしフローティングリングシールがそのようなシャフトの径方向移動に追従できない場合には、直接接触することとなり、動作中のシーリング本体の摩耗が激しいものとなる。
【0011】
更に好ましくは、フローティングリングシールは、径方向内側に向けられた第1及び第2の絞り領域を有する一体型シーリング本体を備える。これらの絞り領域は、シーリング本体の内周に設けられた第1の周方向溝により互いに分離されている。溝は、第1及び第2の絞り領域の間に位置する。回転部品側に向けられた2つの絞り領域を備え、回転部品と2つの絞り領域との間に絞りギャップを有する一体型のフローティングリングシールを設計することにより、従来技術の2つの個別のフローティングリングシールと比べて、大きな重量的利点がもたらされる。本発明に係るフローティングリングシールの合計質量は、2つの個別のフローティングリングシールと比べて約40%削減可能である。
【0012】
好ましくは、第1の絞り領域のフローティングリングシール軸方向の第1の幅は、第2の絞り領域のフローティングリングシール軸方向の第2の幅以下である。これにより、第2の絞り領域の絞り効果が向上し、フローティングリングシールの全体的な漏れが低減される。
【0013】
間に溝が配置された2つの絞り領域を有する本発明に係る装置の別の大きな利点は、第1の絞り領域を通り第2の絞り領域に向かって流れる漏れ流が溝内で減速され、その後、第2の絞り領域にわたって漏れが大幅に低減されることである。ここで、漏れ流は特に逆流を形成可能である。
【0014】
特に、溝幅は、第1の絞り領域の第1の幅以下、及び/又は、第2の絞り領域の第2の幅以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態によると、一体型シーリング本体は、径方向内側に向けられた第3の絞り領域を更に備える。第3の絞り領域は、第2の絞り領域と直列に配置される。更に、第2の周方向溝が、シーリング本体の内周の第2及び第3絞り領域の間に配置される。
【0016】
更に好ましくは、一体型シーリング本体は第4の絞り領域を有することが好ましい。第3の周方向溝が、一体型シーリング本体の内周の第3及び第4絞り領域の間に形成される。従って、このようなフローティングリングシールは、4つの絞り領域と3つの周方向溝を備える。
【0017】
一体型シーリング本体がカーボンシーリングであることが特に好ましく、これにより大幅なコスト削減が実現される。
【0018】
更に、本発明は、本発明に係るフローティングリングシールと、特にシャフトである回転部品とを備える部品装置に関する。特に、シャフトはポンプシャフト又はコンプレッサシャフトであることが好ましい。
【0019】
部品装置は、フローティングリングシールの一体型シーリング本体の第1の絞り領域と回転部品との間の第1の絞りギャップと、一体型シーリング本体の第2の絞り領域と回転部品との間の第2の絞りギャップとを備える。更に好ましくは、これらの絞り領域と回転部品の表面は、第1の絞りギャップ及び/又は第2の絞りギャップのギャップ高さが軸方向に一定に保たれるように設計される。好ましくは、第1の絞りギャップのギャップ高さは、第2の絞りギャップのギャップ高さと等しい。
【0020】
好ましくは、部品装置は、ポンプ、コンプレッサ又はタービンである。部品装置は、好ましくは、非常に高速で運転される。
【0021】
以下、フローティングリングシールを備える部品装置の好ましい実施形態の例を、以下の添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第1の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略斜視図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態例に係る、フローティングリングシールを備える部品装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図1を参照して、本発明の第1の実施形態例に係るフローティングリングシール2を備える部品装置1を詳細に説明する。
【0024】
図1から分かるように、フローティングリングシール2は、一体型シーリング本体20とシールリングキャリア6を備える。シールリングキャリア6は、一体型シーリング本体20を保持するようになっている。シールリングキャリア6とシーリング本体20との間に摩擦接続を設けることが好ましい。
【0025】
一体型シーリング本体20は、第1の絞り領域21と第2の絞り領域22とを備える。第1の絞り領域21は、一体型シーリング本体20の径方向内側に向けられた領域に位置する。第2の絞り領域22もまた、一体型シーリング本体20の径方向内側に向けられた領域に位置する。
【0026】
図1からわかるように、フローティングリングシール2は、シャフト3上でプロダクト領域10を大気領域11からシールする。第1の絞り領域21とシャフト3の表面との間に第1の絞りギャップ8が形成され、第2の絞り領域22とシャフト3の表面との間に第2の絞りギャップ9が形成される。
【0027】
フローティングリングシール2の軸方向X-Xにおける第1の絞り領域21と第2の絞り領域22との間には、溝23が配置される。溝23は、一体型シーリング本体20の内周の全周にわたって形成される。
【0028】
軸方向X-Xにおいて、第1の絞り領域21の第1の幅B1は、第2の絞り領域22の第2の幅B2よりも短い。更に、溝23の軸方向X-Xの幅N1は、第1の幅B1及び第2の幅B2よりも短い。
【0029】
第1の絞りギャップ8の第1ギャップ高さは軸方向X-Xにおいて一定に保たれる。第2の絞りギャップ9の第2ギャップ高さも軸方向X-Xにおいて一定である。好適には、第1及び第2の絞りギャップのギャップ高さは、第2の絞りギャップ9の第2ギャップ高さが第1の絞りギャップ8の第1ギャップ高さと等しくなるように選択される。
【0030】
フローティングリングシール2は、筐体4の凹部5に位置する。筐体4は、シャフト3の軸方向に組み立て可能である複数の部分から設計されている。図1から分かるように、フローティングリングシール2は、凹部5内に浮遊状態で配置される。これにより、フローティングリングシール2が、動作中に起こり得るシャフト3の径方向のたわみの際にシャフトの動きに追従可能となる。この場合、シャフトの径方向の動きにより、シャフト3と一体型シーリング本体20とが短期的に接触することもある。
【0031】
フローティングリングシール2はまた、自身を筐体4内に取り付け可能とするロック機構7を含む。ロック機構7は、ヘッド71を有するボルト70を備える。図1から分かるように、ボルト70はシールリングキャリア6内に位置する。ヘッド71は軸方向X-Xに突出しており、凹部5の側方ノッチ50内に位置する。側方ノッチ50には、フローティングリングシール2が上記のシャフトの径方向のたわみに追従できるように、ヘッド71のための径方向のクリアランスを設ける。これを両方向矢印Aで示す。
【0032】
好ましくは、側方ノッチ50は径方向の溝である。或いは、側方ノッチ50は、ロック機構7のヘッド71の直径よりも大きな直径を有する円柱状の凹部である。円柱状の凹部がヘッド71よりも大きな直径を有することで、フローティングリングシールと筐体4の相対移動の際にロック機構7に掛かる負荷を低減するために、フローティングリングシール2が筐体4に対して周方向にわずかに移動可能となる。
【0033】
筐体4には、上記の径方向のたわみの際にフローティングリングシール2をガイドできるように、軸方向X-Xに突出する突起40が形成される。これにより、凹部5において、フローティングリングシールを安全にガイドすることが可能となる。突起40はまた、媒体が絞りギャップ8、9を迂回して、フローティングリングシール2の後ろの経路を通るのを防ぐ。
【0034】
突起40は、周方向の全周にわたって設けられている。
【0035】
従って、本発明に係るフローティングリングシール2は、フローティングリングシール2が回転するシャフト3と共に共回転するのを防ぐことができる。ロック機構7は、ヘッド71付きのボルト70という設計であるため、非常に簡素で廉価である。ロック機構7がシールリングキャリア6に位置し、側方ノッチ50が筐体内に形成されるため、シールリングキャリア6は、径方向の全高を非常に小さくすることができる。このように、シールリングキャリア6の寸法の一つを削減できるため、重量の削減にもつながる。
【0036】
更に、シーリング本体20の一体型設計を有する本発明のフローティングリングシール2は、従来技術で以前に使用されていた2つの個別のフローティングリングシールにとって代わることができる。特に、約40%までの大幅な軽量化が実現可能となる。更に、シーリング本体20の一体型設計により、フローティングリングシール2を交換する必要がある場合に、はるかに容易な組み立て及び分解を可能とする。そのうえ、ロック機構7はシールリングキャリア6にのみ設けられているので、フローティングリングシールの一体型シーリング本体20は、ロック機構を収容するために使用される、脆弱化をもたらす凹みや溝等を省いて設計することができる。これにより、シーリング本体20の重量が更に軽減され、一体型シーリング本体20の耐用年数が大幅に延びる。
【0037】
動作中に、第1の絞りギャップ8を介していくらかの漏れが生じるが、周方向溝23が備わっているため、溝23の領域において漏れの流速は著しく低下する。したがって、大気領域11に向かう第2の絞りギャップ9を通る別の漏れは、再び大幅に減少されるか、又は必要に応じて完全に防止することができる。
【0038】
溝23の深さは、第1の絞りギャップ8を通って溝23に到達した漏れのうちの少なくとも一部の戻り流Cが溝23の領域において発生するように選択される。これは更に、フローティングリングシールを通る漏れの流速を低下し、第2の絞りギャップ9を通る更なる漏れを最小限に抑える。
【0039】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る部品装置1を示しており、同じ部品又は動作上同じ部品は同じ符号で示す。
【0040】
図2から分かるように、部品装置1は、本発明に係る2つの分離したフローティングリングシール2を備える。フローティングリングシール2の基本構造は、第1の実施形態例と同じである。しかしながら、図2からわかるように、これらのフローティングリングシール2は、シャフト3上に互いに鏡映反転で配置される。従って、プロダクト領域10から大気領域11へ向かう方向に合計4つの絞りギャップが備えられる。更に、図2からわかるように、周方向溝41が、筐体4の第1及び第2のフローティングリングシール2の間の領域に設けられる。この周方向溝41において、第1のフローティングリングシール2を介してもたらされた漏れが蓄積して戻り流Cを形成し、第2のフローティングリングシールを介して大気領域11へと生じる漏れを更に低減する。また、各フローティングリングシールは、ヘッド71を有するボルト70という形態のロック機構7を備える。図2から分かるように、2つのフローティングリングシールのロック機構7もまた、鏡面反転で配置される。これにより、2つの側方ノッチ50が2つのフローティングリングシールの間に位置する筐体部分にそれぞれ形成されるため、第2の設計例の部品装置の構造が大幅に簡略化される。
【0041】
図3は、本発明の第3例の実施形態に係る部品装置を示す。図3から分かるように、第3の実施形態例のフローティングリングシール2は、第3の絞り領域25を備えており、第1の絞り領域21と第2の絞り領域22との間に設けられた第1の溝23と、第2の絞り領域22と第3の絞り領域25との間に設けられた第2の溝26を有する。第1の実施形態例と同様に、第1の溝23と第2の溝26は、周方向の全周にわたって設計されている。このようにして、3つの絞り領域を有することにより、プロダクト領域10から大気領域11への漏れを更に低減する一体型シーリング本体20が提供される。図3に示すロック機構7は、第1の実施形態例で記載したように構成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 部品装置
2 フローティングリングシール
3 シャフト
4 筐体
5 凹部
6 シールリングキャリア
7 ロック装置
8 第1の絞りギャップ
9 第2の絞りギャップ
10 プロダクト領域
11 大気領域
20 一体型シーリング本体
21 第1の絞り領域
22 第2の絞り領域
23 第1の溝
24 突起
25 第3の絞り領域
26 第2の溝
40 突起
41 溝
50 側方ノッチ
70 ボルト
71 ヘッド
A 両方向矢印
B1 第1の幅
B2 第2の幅
C 戻り流
N1 第1の溝23の溝幅
X-X 軸方向
図1
図2
図3