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特許7183301バチルス・コアグランスによる免疫機能のモジュレーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】バチルス・コアグランスによる免疫機能のモジュレーション
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/00 20060101AFI20221128BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20221128BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20221128BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221128BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
C12N1/00 L ZNA
A23L33/135
A61K35/742
A61P37/04
C12N15/09 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020561714
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019029564
(87)【国際公開番号】W WO2019212928
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】62/664,354
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】MTCC  MTCC 5856
(73)【特許権者】
【識別番号】501394435
【氏名又は名称】サミ-サビンサ グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100218578
【弁理士】
【氏名又は名称】河井 愛美
(72)【発明者】
【氏名】マジード ムハンメド
(72)【発明者】
【氏名】ナガブシャナム カリヤナム
(72)【発明者】
【氏名】マジード シャヒーン
(72)【発明者】
【氏名】ムンドクル ラクシュミ
(72)【発明者】
【氏名】アルムガム シヴァクマール
(72)【発明者】
【氏名】パンデ アヌラッグ
(72)【発明者】
【氏名】アリ フルカン
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523104(JP,A)
【文献】特表2018-511577(JP,A)
【文献】特表2012-525428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00
A23L 5/00-35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物を調製するための方法であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)胞子形成細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、80~100%の胞子形成細胞を含有するブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、胞子を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で胞子形成細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、110±2℃において0.8±0.2バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活胞子を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)熱失活胞子を含有するスプレー乾燥粉末を、121±2℃において1.5±0.2バールの圧力で15~30分間のさらなる熱処理に晒して、生存胞子数を確実に≦103cfu/gにするステップと、
i)マルトデキストリンまたは適切な賦形剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物を得るステップと、
j)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含
バチルス・コアグランス株が、バチルス・コアグランスMTCC5856である、方法
【請求項2】
ステップa)およびステップb)の培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項3】
ステップc)の発酵培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項4】
ステップc)の発酵培地が、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む、請求項1に記載の方法
【請求項5】
組成物が、哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤/添加剤として使用される、請求項1に記載の方法
【請求項6】
哺乳動物が、ヒトである、請求項5に記載の方法
【請求項7】
バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物が、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される、請求項1に記載の方法
【請求項8】
プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物を調製するための方法であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)栄養細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、ブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、細胞を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で栄養細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、100±2℃において0.2±0.1バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活栄養細胞を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)マルトデキストリンまたは適切な賦形剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物を得るステップと、
i)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含
バチルス・コアグランス株が、バチルス・コアグランスMTCC5856である、方法
【請求項9】
ステップa)およびステップb)の培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、請求項8に記載の方法
【請求項10】
ステップc)の発酵培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、請求項8に記載の方法
【請求項11】
ステップc)の発酵培地が、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む、請求項8に記載の方法
【請求項12】
組成物が、哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤/添加剤として使用される、請求項8に記載の方法
【請求項13】
哺乳動物が、ヒトである、請求項12に記載の方法
【請求項14】
バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物が、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される、請求項8に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年4月30日出願の米国仮出願第62664354号の優先権を主張するPCT出願である。
本発明は、一般に、プロバイオティクスに関する。より具体的には、本発明は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)の熱失活胞子/細胞を調製するための新規な方法、およびマクロファージを活性化することによるその免疫モジュレート機能に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内微生物叢と免疫機能の関係は、十分に確立されている。腸内微生物叢および炎症の不均衡は、それに限定されるものではないが、心血管疾患、肥満、がん、糖尿病、関節炎、うつ病、および炎症性腸疾患を含めた多くの健康問題の発症に寄与することが、報告により示されている。
プロバイオティクスは、免疫機能をモジュレートし、それによって多くの疾患の発症からの保護をもたらすことが報告されている。プロバイオティクスが免疫機能をモジュレートする能力は、以下の従来技術の文献に記載されている。
1.Jensen et al. GanedenBC30TM cell wall and metabolites: anti-inflammatory and immune modulating effects in vitro, BMC Immunology 2010, 11:15。
2.Dong et al., Comparative effects of six probiotic strains on immune function in vitro, British Journal of Nutrition (2012), 108, 459-470。
3.Chunqing et al., Immunomodulatory Effects of Different Lactic Acid Bacteria on Allergic Response and Its Relationship with In Vitro Properties, PLoS ONE (2016), 11(10): e0164697。
4.Benson et al., Probiotic metabolites from Bacillus coagulans GanedenBC30TM support maturation of antigen-presenting cells in vitro, World J Gastroenterol 2012; 18(16): 1875-1883。
【0003】
マクロファージは、自然免疫応答の代表であり、任意の傷害または感染に対する防御の最前線である。マクロファージは、様々な器官に広く分散しており、Tリンパ球の抗原提示機能を担い、したがって適応応答を活性化する。マクロファージは、微小環境に応じて、古典的活性化M1および選択的活性化M2と呼ばれる別個の機能的表現型に区別することができる。IFN-γに応答する古典的M1マクロファージの活性化は、抗原を提示する高い能力によって特徴付けられ、その能力は、細胞内病原体を死滅させる強力なエフェクター細胞とみなされる(Benoit M, Desnues B, Mege JL (2008) Macrophage polarization in bacterial infections. J Immunol 181:3733-3739)。M2マクロファージは、デブリの除去、血管新生、組織再構築および修復に関与し、したがって創傷治癒を促進し、炎症を消散させる(Mantovani A, Sica A, Sozzani S, Allavena P, Vecchi A, Locati M (2004) The chemokine system in diverse forms of macrophage activation and polarization. Trends Immunol 25:677-686)。
【0004】
マクロファージ分極化は、外部シグナルに応答して表現型および機能的特徴を切り替える能力を示す。「古典的分極化」M1マクロファージは、リポ多糖(LPS)またはインターフェロン-c(IFN-c)によってM0マクロファージから誘導され得ると同時に、M1マクロファージは、様々な炎症性サイトカイン、例えばIL-1、IL-6、IL-8、IL-12、IL-23、および腫瘍壊死因子(TNF)-a、活性酸素種および一酸化窒素を産生するので炎症促進性の特性を示し、一方、M2マクロファージは、スカベンジャー受容体(SR-A)、アルギナーゼ、成長因子ならびにmRNAの発現[マンノース受容体(Cd206)キチナーゼ様3(Chil3 aka Ym1)およびレジスチン様α(Retnla aka Fizz1)の増大を示す通り、むしろ抗炎症性である。このマクロファージの柔軟性は、炎症、免疫応答および組織再構築の制御に必須である。M1優位は、慢性炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、神経炎症/変性、細胞自己免疫、代謝性障害および自己免疫疾患のような疾患において顕著な役割を有し、一方、M2優位は、がんの成長、細胞内での病原体成長および免疫抑制においてある役割を有する。マクロファージ分極化機構および免疫応答におけるそれらの役割は、以下の従来技術の文献に十分に開示されている。
a)Elhelu M.A., The Role of Macrophages in Immunology, J Natl Med Assoc. 1983; 75(3): 314-317。
b)Hirayama et al., The Phagocytic Function of Macrophage-Enforcing Innate Immunity and Tissue Homeostasis, Int J Mol Sci. 2018; 19(1): 92。
c)Gordon S, The role of the macrophage in immune regulation, Research in Immunology. 1998; 149(7):685-688。
d)Martinez et al., Macrophage activation and polarization. Front Biosci. 2008;13:453-461。
e)Murray et al., Macrophage activation and polarization: nomenclature and experimental guidelines, Immunity. 2014; 41(1): 14-20。
【0005】
プロバイオティクスは、粘膜免疫系と活発に相互作用し、免疫応答をモジュレートすることができる。しかし、プロバイオティクスの免疫モジュレート能力は、それらの細胞壁に多様なタンパク質プロファイルが存在し、それらのDNAのCpG含量が異なっていることにより株依存性であり、それによって、抗炎症性および炎症促進性サイトカインの産生、ならびにTヘルパー(Th)1/Th2バランスを特異的に制御する(Dong et al., Comparative effects of six probiotic strains on immune function in vitro, British Journal of Nutrition (2012), 108, 459-470)。また科学分野では、プロバイオティクスまたはその産物の生物学的効果は、株に特異的であり、属、種および株の間で一般化できないことが周知である(プロバイオティクス:詳細/NCCIH、アメリカ合衆国保健福祉省、アメリカ国立衛生研究所)。したがって、個体の、特に感染に対する自然免疫の発生が最も少ない子どもおよび乳児の免疫機能を増強し、かつ/またはモジュレートする優れたプロバイオティクス株を見出す必要はまだ満たされていない(Simon et al., Evolution of the immune system in humans from infancy to old age, Proc Biol Sci. 2015; 282(1821): 20143085)。さらに、最終配合物において生存プロバイオティクスを含むことが困難であることに起因して、プロバイオティクスの細胞壁代謝産物が免疫応答を誘発することを考慮すると、優れたプロバイオティクス株の熱失活細胞および/または胞子を含有する配合物が産業的に必要である。本発明は、免疫機能をモジュレートするためのプロバイオティクス菌バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活細胞および胞子を開示することによって、上述の問題を解決する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の主な目的は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活細胞および胞子を調製するための方法を開示することである。
本発明の別の目的は、マクロファージ分極化を誘導することによるプロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活細胞および胞子の免疫モジュレート機能を開示することである。
【0007】
本発明は、上述の目的を解決し、関連するさらなる利点を提供する。
【0008】
生物学的材料の寄託
本願で言及される受入番号MTCC5856を有する生物学的材料であるバチルス・コアグランスの寄託は、Microbial Type Culture Collection & Gene Bank(MTCC)、CSIR-Institute of Microbial Technology、Sector 39-A、インド、チャンディガール-160036において2013年9月19日に行われた。
【0009】
最も好ましい実施形態では、本発明は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物、およびその組成物を調製するための方法を開示する。
別の好ましい実施形態では、本発明は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物、およびその組成物を調製するための方法を開示する。
最も好ましいさらに別の実施形態では、本発明は、哺乳動物の免疫機能をモジュレートする方法であって、生存または熱失活胞子および/または細菌の形態の有効濃度のバチルス・コアグランスを、前記哺乳動物に投与して、マクロファージを活性化することによって免疫モジュレーションの効果をもたらすステップを含む、方法を開示する。
【0010】
本発明の他の特色および利点は、例えば本発明の原理を例示する添付の画像と合わせて解釈される以下のより詳細な説明から明らかになろう。
本発明または本願は、カラーで示された少なくとも1つの図面を含有する。本発明または本願のカラー図面のコピーは、要求に応じて必要な料金支払いを受けて事務所から提供されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】フローサイトメトリー(cytomeric)による、バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活胞子の生細胞および死細胞の検出結果を示す。A-未染色およびB-染色。Q1は、死細胞を示し、Q2は、生存可能であるが培養不可能な細胞を示し、Q3は、損傷した細胞を示し、Q4は、生細胞を示す。
図2A】バチルス・コアグランスMTCC5856の生存胞子の湿潤マウントの顕微鏡写真を示す。
図2B】バチルス・コアグランスMTCC5856の生存胞子のグラム染色の顕微鏡写真を示す。
図2C】バチルス・コアグランスMTCC5856の生存胞子の胞子染色の顕微鏡写真を示す。
図2D】バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活胞子の湿潤マウントの顕微鏡写真を示す。
図2E】バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活胞子のグラム染色の顕微鏡写真を示す。
図2F】バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活胞子の胞子染色を示す。
図3A】フローサイトメトリー(FCM)技術に従って決定された、バチルス・コアグランスMTCC5856の胞子および栄養細胞の生存率に対する熱失活の効果を示すグラフ表示である。
図3B】プレート計数法に従って決定された、バチルス・コアグランスMTCC5856の胞子および栄養細胞の生存率に対する熱失活の効果を示すグラフ表示である。
図4】異なるプロバイオティクス濃度で処理した後のRAW264.7細胞の細胞生存率を示すグラフ表示である。処理は、6時間の時点で1.5×106cfu/ml、1.5×107cfu/ml、1.5×108cfu/ml、1.5×109cfu/mlの濃度で行われた。
図5A】1.5×108cfu/mlの生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子を含むRAW264.7共培養物における6時間にわたるIL-1β遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図5B】1.5×108cfu/mlの生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子を含むRAW264.7共培養物における6時間にわたるTNF-α遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図5C】1.5×108cfu/mlの生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子を含むRAW264.7共培養物における6時間にわたるIL-6遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図5D】1.5×108cfu/mlの生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子を含むRAW264.7共培養物における6時間にわたるIL-12p40遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図6】1.5×108cfu/mlの生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子を含むRAW264.7共培養物における6時間にわたるi-NOS遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図7】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞によって活性化されたM1関連遺伝子の発現を示すグラフ表示である。
図8A】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるNOレベルを示すグラフ表示である。
図8B】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるi-NOSレベルを示すグラフ表示である。
図8C】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるTNOSレベルを示すグラフ表示である。
図8D】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるIL-6レベルを示すグラフ表示である。
図8E】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるIL-1βレベルを示すグラフ表示である。
図8F】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるTNF-αレベルを示すグラフ表示である。
図8G】バチルス・コアグランスMTCC5856の生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子と共に培養したRAW264.7細胞におけるTGF-βレベルを示すグラフ表示である。
図9A】RAW264.7マクロファージのM1表面受容体CD80、CD83、CD86およびMHC-IIに対するバチルス・コアグランスの効果を示すフローサイトメトリーによるグラフ表示である。
図9B】RAW264.7マクロファージのM1表面受容体CD16/32およびF4/80に対するバチルス・コアグランスの効果を示すフローサイトメトリーによるグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の説明
最も好ましい実施形態では、本発明は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)胞子形成細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、80~100%の胞子形成細胞を含有するブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、胞子を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で胞子形成細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、110±2℃において0.8±0.2バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活胞子を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)熱失活胞子を含有するスプレー乾燥粉末を、121±2℃において1.5±0.2バールの圧力で15~30分間のさらなる熱処理に晒して、生存胞子数を確実に≦103cfu/gにするステップと、
i)マルトデキストリンまたは適切な保護剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物を得るステップと、
j)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含む方法によって調製される、組成物を開示する。
【0013】
関連の実施形態では、バチルス・コアグランス株は、具体的にはバチルス・コアグランスMTCC5856である。関連する別の実施形態では、ステップa)およびステップb)の培地は、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される。関連する別の実施形態では、ステップc)の発酵培地は、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される。関連する別の実施形態では、ステップc)の発酵培地は、好ましくは、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む。
【0014】
別の好ましい実施形態では、組成物は、哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤(supplement)/添加剤として使用される。関連する一態様では、哺乳動物は、好ましくはヒトである。関連する別の実施形態では、バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物は、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤(exicipient)、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品(eatable)または咀嚼可能食品(chewable)の形態で投与される。
【0015】
最も好ましい別の実施形態では、本発明は、プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)栄養細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、ブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、細胞を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で栄養細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、100±2℃において0.2±0.1バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活栄養細胞を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)マルトデキストリンまたは適切な保護剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物を得るステップと、
i)生細胞、死細胞および生存しているが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含む方法によって調製される、組成物を開示する。
【0016】
関連の実施形態では、バチルス・コアグランス株は、具体的にはバチルス・コアグランスMTCC5856である。関連する別の実施形態では、ステップa)およびステップb)の培地は、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される。関連する別の実施形態では、ステップc)の発酵培地は、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される。関連する別の実施形態では、ステップc)の発酵培地は、好ましくは、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む。
【0017】
別の好ましい実施形態では、組成物は、哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤/添加剤として使用される。関連する一態様では、哺乳動物は、好ましくはヒトである。関連する別の実施形態では、バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物は、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される。
【0018】
最も好ましいさらに別の実施形態では、本発明は、哺乳動物の免疫機能をモジュレートする方法であって、胞子および/または細菌の形態の有効濃度のバチルス・コアグランスを前記哺乳動物に投与して、マクロファージを分極化することによって免疫モジュレーションの効果をもたらすステップを含む、方法を開示する。関連の実施形態では、胞子は、バチルス・コアグランスの生存または熱失活または死滅胞子を含む。関連する別の実施形態では、細菌は、バチルス・コアグランスの生存または熱失活または死滅または溶解栄養細胞を含む。関連する別の実施形態では、バチルス・コアグランス株は、好ましくはバチルス・コアグランスMTCC5856である。関連する一態様では、免疫機能のモジュレーションは、マクロファージをM1型に分極化することによってもたらされる。関連する別の態様では、M1型へのマクロファージ分極化は、炎症促進性遺伝子および細胞表面受容体の発現を誘導することによってもたらされる。関連するさらに別の態様では、炎症促進性遺伝子は、IL-1β、IL-6、IL-12p40、IL23、TNF-α、およびiNOSを含む群から選択される。関連するさらなる態様では、細胞表面受容体は、CD80、CD83、CD86、MHC-II、F4/80およびCD16/32を含む群から選択される。関連するさらに別の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。関連する別の実施形態では、バチルス・コアグランスの熱失活胞子および/または栄養細胞を含む組成物は、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される。
【0019】
以下の例示的な例によって、本発明の好ましい実施形態をさらに詳説する。
【実施例
【0020】
(実施例1)バチルス・コアグランスの胞子および栄養細胞を熱失活させる方法
バチルス・コアグランスの胞子の熱失活は、以下のステップによって行われる。
a)細菌を無菌種培地(MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地)に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地(MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地)中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含むブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)胞子形成細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、80~100%の胞子形成細胞を含有するブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、胞子を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で胞子形成細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、110±2℃において0.8±0.2バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活胞子を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)熱失活胞子を含有するスプレー乾燥粉末を、121±2℃において1.5±0.2バールの圧力で15~30分間のさらなる熱処理に晒して、生存胞子数を確実に≦103cfu/gにするステップと、
i)マルトデキストリンまたは適切な保護剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物を得るステップと、
j)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップ。
【0021】
同様に、熱失活栄養細胞は、以下のステップを含む以下の方法によって調製される。
a)細菌を無菌種培地(MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地)に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地(MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地)中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含むブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)栄養細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、ブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、細胞を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で栄養細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、100±2℃において0.2±0.1バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活栄養細胞を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)マルトデキストリンまたは適切な保護剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物を得るステップと、
i)生細胞、死細胞および生存しているが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップ。
【0022】
フローサイトメトリーの結果により、生存可能であるが培養不可能な細胞が、死細胞および生細胞と区別される(図1Aおよび図1B)。熱失活ステップは、プロバイオティクス株の生物学的機能に関与する安定な組成物を調製するために必須である。提供される熱が不適切である場合、その熱は部分的な失活をもたらし、熱が多いと胞子が死滅し、復活することができない。したがって、上述のステップで言及される通り、熱失活後に細胞完全性が維持されることを示す厳密な実験方法によって(図2A~2F)、正しい温度が決定され、それによってプロバイオティクス株の熱失活胞子および/または栄養細胞を含有するこのような組成物の生物学的機能が保持された。図2A、2Bおよび2Cは、バチルス・コアグランスの生存胞子の形態を示しており、図2D、2Eおよび2Fは、バチルス・コアグランスの熱失活胞子の形態を示す。熱失活ステップは、細胞の形態/構造を著しく変化させなかったことが明らかになり、したがって、生物学的機能を示す、すなわち免疫機能をモジュレートする安定な組成物を調製するのに適していることが見出された。細胞生存率は、フローサイトメトリー法(図3A)およびプレート計数(図3B)によって決定した。生存細胞を決定するには、プレート計数法よりもフローサイトメトリー法の方が、かなり効率的である。前記方法に従うことによって得られた熱失活胞子および栄養細胞は、バチルス・コアグランスの生存栄養細胞および胞子を有していたことが、フローサイトメトリーデータから非常に明らかであるが(図1A図1Bおよび図3A)、バチルス・コアグランスの栄養細胞および胞子を数え上げるプレート方法によって示される通り、培養不可能であった(図3B)。
【0023】
(実施例2)マクロファージ分極化による免疫機能のモジュレーション
実験セクション/材料および方法
試薬
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、LPS(大腸菌(Escherichia coli)055:B5)、およびFITC-デキストラン(40,000Da)は、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州、セントルイス)から購入した。細胞を計数するためのキット(Kit-8)、一酸化窒素(NO)、BCAタンパク質、および一酸化窒素合成酵素(iNOS)は、Beyotime Biotechnology(中国、海門)から購入した。抗マウス抗体FITC-CD80、FITC-CD83、APC-CD86、APC-MHCII、FITC-F4/80炎症促進性マーカーは、Beijing 4A Biotech Co.,Ltd(4A Biotech、中国)から購入した。エオシン-メチレンブルー培地(EMB)寒天は、solarbio(solarbio、中国)から得た。ホスホ-ERK1/2、ERK1/2、ホスホ-JNK、JNK、ホスホ-p38、p-38、β-アクチンおよびHRP-コンジュゲート抗マウスIgGは、Cell Signaling Technology(米国、マサチューセッツ州)から得た。
【0024】
細胞培養およびプロバイオティクス
マウス単球/マクロファージ細胞系、Raw264.7を、10%熱失活ウシ胎児血清(Gibco、USA)、100μg/mLのストレプトマイシン、および100U/mLのペニシリン(Sigma-Aldrich、米国)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で増殖させた。細胞を、5%CO2の加湿雰囲気中、37℃で維持した。LactoSpore(登録商標)(米国、Sabinsa Corporationの登録商標)として商業的に公知のB.コアグランスMTCC5856、ならびに熱失活栄養細胞および熱失活胞子を、実験方法のために使用した。
【0025】
細胞生存率アッセイ
細胞を、96ウェルの培養プレート中細胞2×104個/ウェルで播種し、6時間インキュベートし、次にRAW264.7細胞を、PBS、リポ多糖(LPS、200ng/mL)と共に24時間、またはそれぞれ生細胞(1.5×108cfu/mL)および熱失活胞子(1.5×108cfu/mL)と共に6時間、さらに培養した。M1サブタイプへの機能的分化を確実にするために、各実験にLPS(200ng/ml)による刺激が含まれていた。細胞計数kit-8(Beyotime)を使用して、製造者の使用説明書に従って細胞傷害性を決定した。簡潔には、10μlのCCK-8を各ウェルに添加し、37℃で1~4時間インキュベートした。OD450における光学吸光度を、SpectraMax M5(Molecular Devices、カリフォルニア州、サニーベール)によって測定した。
【0026】
iNOS、IL-1β、IL-6、IL-12p40およびTNF-αの相対的転写
RAW264.7細胞(6ウェルプレート中1.0×106個の細胞)を、リポ多糖(LPS、200ng/mL)で24時間、または生細胞(1.5×108cfu/mL)、熱失活細胞もしくは熱失活胞子(1.5×108cfu/mL、単独、37℃、5%CO2において6時間)のいずれかで処理した後、マクロファージを溶解させ、全RNAを、Trizol(Sangon Biotech)を使用して抽出した。単離されたRNAの濃度、純度、および質を、NanoDrop One分光光度計(ThermoFisher Scientific)で測定し、全RNA1,000ngを、HiScript(登録商標)IIQ RT SuperMix(Vazyme、R223-01)を使用してcDNAにすぐに逆転写した。iNOS、IL-1β、IL-6、IL-12p40およびTNF-αの相対的な発現レベルを、定量的リアルタイム逆転写PCR(RT-qPCR)によって、ChamQTM SYBR(登録商標)qPCRマスターミックス(Vazyme、Q341-02)およびCFX96リアルタイムPCR系(Bio-Rad)を使用して評価した。RT-qPCRは、95℃で10分間、その後95℃で15秒間の初期ステップ、その後95℃で15秒間および60℃で1分間のサイクル40回を含んでいた。すべてのデータを同じ試料から増幅したβ-アクチン転写物レベルに正規化し、次に未処理対照mRNAに正規化した。データは、2-△△T方法を用いて分析した。遺伝子特異的プライマー配列を以下に記載する。
【0027】
IL-1β F:GCAACTGTTCCTGAACTCAACT
R:ATCTTTTGGGGTCCGTCAACT
IL-6 F:TAGTCCTTCCTACCCCAATTTCC
R:TTGGTCCTTAGCCACTCCTTC
IL-12p40 F:CCCATTCCTACTTCTCCCTCAA
R:CCTCCTCTGTCTCCTTCATCTT
TNF-α F:CCCTCACACTCAGATCATCTTCT
R:GCTACGACGTGGGCTACAG
iNOS F:CTCACCTACTTCCTGGACATTAC
R:CAATCTCTGCCTATCCGTCTC
β-アクチン F:CGTTGACATCCGTAAAGACC
R:AACAGTCCGCCTAGAAGCAC
【0028】
一酸化窒素合成の評価
12ウェルマイクロプレート中、RAW264.7マクロファージの単層を、10%FBSを補充したDMEM中、最適な湿度下で、5%CO2中37℃で培養した。細胞を、それぞれPBS、リポ多糖(LPS、200ng/mL)と共に24時間、生細胞(1.5×108cfu/mL)および熱失活胞子(1.5×108cfu/mL)と共にインキュベートした。上清中の一酸化窒素および一酸化窒素合成酵素(iNOS、tNOS)を、一酸化窒素および一酸化窒素合成酵素型のアッセイキット(Nj jiancheng、中国)を使用して決定した。
【0029】
サイトカインプロファイル
LPSまたは1.5×108cfu/mlのバチルス・コアグランス(生細胞、熱失活胞子)で処理した後にマクロファージによって分泌されたiNOS、NO、IL-1β、IL-6、TNF-αおよびTGF-βの濃度を、ELISA(4A Biotech、中国)によって、製造者の推奨に従ってマクロファージ細胞上清中で決定した。サイトカインレベルを、標準較正曲線と比較することによって決定した。
デキストラン貪食アッセイ
RAW264.7細胞を、12ウェルプレート中、細胞1.0×105個で播種した後、リポ多糖(LPS、200ng/mL)で24時間処理するか、または無血清培地中で1時間飢餓させた後に、5%CO2下37℃で生細胞(1.5×108cfu/mL)もしくは熱失活胞子(1.5×108cfu/mL)で6時間処理した。次に、細胞をPBSで2回反復して洗浄し、FITC-デキストラン(1mg/mL、Sigma、FD40S)と共に5%CO2下37℃で1時間インキュベートした。その後、細胞をPBSで洗浄し、収集した後に遠心分離した(500×g、5分、4℃)。データを、少なくとも10,000のイベント数についてフローサイトメトリー分析(FACS)を使用して処理して、細胞内FITC-デキストランの平均蛍光強度(MFI)を決定した。
フローサイトメトリー分析
RAW264.7細胞を、12ウェルプレート中、細胞1.0×105個で播種した後、リポ多糖(LPS、200ng/mL)で24時間処理するか、または5%CO2下37℃で生細胞(1.5×108cfu/mL)単独もしくは熱失活胞子(1.5×108cfu/mL)で6時間処理した。最終的なインキュベーション後、マクロファージをPBSで洗浄し、0.04%エチレンジアミン四酢酸(EDTA、Sinopharm)で処理し、細胞をFc Block TM(BD Biosciences)と共にインキュベートし、FITC抗マウスCD80、FITC抗マウスCD83、APC抗マウスCD86、APC抗マウスMHCII、FITC抗マウスF4/80およびFITC抗マウスCD16/32抗体(BioLegend)またはアイソタイプ対照のいずれかを用いて、暗室中4℃で30分間染色した。染色された細胞をPBSで2回反復して洗浄した後、少なくとも10,000のイベント数について蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって分析して、平均蛍光強度(MFI)を決定した。
【0030】
統計的分析
データは、少なくとも3回の独立な実験の平均±SEMとして表される。統計的分析を、SPSS20.0およびOriginProソフトウェアを使用して実施した。統計的有意性は、一元配置分散分析を使用した後、多重比較のためにダネットまたはターキー試験を使用してアセスメントした。P<0.05の値が、統計的に有意とみなされた。
結果
RAW264.7マクロファージ上でのバチルス・コアグランスの生存率分析
マウスマクロファージ細胞系上でのプロバイオティクス株バチルス・コアグランス(生細胞および熱失活細胞)の細胞傷害性を評価するために、RAW264.7細胞を、プロバイオティクスバチルス・コアグランスで6時間にわたって処理し、細胞生存率を、CCK-8アッセイを使用して決定した。このアッセイでは、RAW264.7細胞を様々な濃度(1.5×106~1.5×108cfu/ml)の生細胞または加熱失活胞子で処理した場合、生存率の著しい低下(p>0.05)は観察されなかった(図4)。しかし、細胞を1.5×109cfu/mlのバチルス・コアグランスに曝露した場合、生存率が低下した(P<0.05)。生細胞は、1.5×108cfu/mlにおいて、対照と比較して細胞生存率を上昇することが見出された(P<0.01)。したがって、その後の実験では1.5×108cfu/mlを使用した。
【0031】
バチルス・コアグランスはM1マクロファージのためのマーカーの遺伝子発現レベルをin vitroで上方制御する
炎症促進性遺伝子(IL-1β、IL-6、IL-12p40、TNF-α)およびiNOSの発現を、RAW264.7を1.5×108cfu/mlのバチルス・コアグランス(生細胞、熱失活細胞および熱失活胞子)で6時間処理した後に評価した。時間を一致させた未処理対照細胞と比較して、生細胞およびLPS処理で処理したRAW264.7においてIL-12p40が劇的に増大した(P<0.01)ことを除き、mRNAレベルによって炎症促進性遺伝子が明らかになった(図5A~5D)。さらに、熱失活胞子は、IL-6(P<0.01)およびTNF-α(P<0.05)の発現を上方制御する(図5C、5B)。プロバイオティクス生細胞は、未処理試料と比較してiNOSの発現を著しく上方制御し(P<0.01)、LPSと比較してより高い効力があることを示した(図6)。それにもかかわらず、バチルス・コアグランスは、iNOSの上方制御を誘導する傾向があり、それによって、生細胞がマクロファージRaw264.7分極化の促進において複雑な役割を有することを示したことは、注目に値する。
【0032】
あるいは、ヒト単球THP1細胞をPMAで処理して、それらの細胞をマクロファージに分化させた。これらのマクロファージを、低血清含有培地で培養して、M0相を誘導させた。M1マクロファージを、細菌LPSおよびIFN-γを使用して分化させて、M1分極化を誘導し(M1対照)、IL4を使用して分化させて、M2分極化を誘導した(M2対照)。M0細胞を、生細胞(細胞1000個)と共に6時間インキュベートした。細胞を洗浄し、RNA単離およびRT PCRのために処理した。上清をサイトカインの推定のために保存した。
結果は、バチルス・コアグランスMTCC5856(生細胞)が、M1表現型に関連する遺伝子発現(TNF-α、MCP-1、IL6、IL1β)を増大することによって、M1表現型を誘導することが見出されたことを示した(図7)。
【0033】
バチルス・コアグランスはRAW264.7マクロファージの免疫応答を誘導した
サイトカインプロファイリングは、RAW264.7マクロファージが炎症促進性表現型を獲得したかどうかを示すことができる。したがって、全分泌TNOS、iNOS、NO、IL-1β、IL-6、TNF-αおよびTGF-βの可溶性メディエーターを、1.5×108cfu/mlのバチルス・コアグランス(生細胞、熱失活胞子)で処理した後、ELISAによって定量した。NOレベルは、対照試料と比較し、特にLPSと比較して著しく上昇し(P<0.01)(図8A~8C)、NO分泌は、生細胞処理でより増大した。LPSは、プロバイオティクス生細胞または熱失活胞子と比較して、サイトカインIL-6(P<0.01)およびIL-1β(P<0.05)分泌を最も強力に誘導した(図8Dおよび8E)。生細胞は、サイトカインTNF-αの誘導において非常に強力であった(P<0.01)(図8F)。一方、分泌TGF-βの量は、対照マクロファージと比較して劇的に低下した(P<0.01)(図8G)。その効果は、バチルス・コアグランスを含むマクロファージ共培養物における分極化遺伝子の発現の増大と関連していた。
【0034】
バチルス・コアグランスはRAW264.7マクロファージの活性化および成熟を促進する
バチルス・コアグランスによって処理されたRAW264.7マクロファージによって発現された、M1に関連する特異的サイトカインの遺伝子解析により、RAW264.7マクロファージのM1様の分極化の活性化を示した。バチルス・コアグランスによって誘導された、CD80、CD83、CD86、MHC-II、F4/80およびCD16/32を含めたマクロファージ表面上の受容体の発現を、フローサイトメトリーによって確認した。RAW264.7マクロファージの表面上のCD80およびMHC-II分子の発現は、PBS対照群と比較して、1.5×108cfu/mlのバチルス・コアグランス(生細胞、熱失活胞子)と共に6時間共培養した細胞の方が低かった(図9A)。生菌は、CD86発現を著しく低減しただけでなく、CD83細胞表面マーカー発現を増大した一方、熱失活胞子はCD83およびCD86の発現を増大した(図9A)。成熟マウスマクロファージマーカーF4/80およびM1分極化の代表的受容体CD16/32の発現は、B.コアグランスの存在下でより高い発現を示した。フローサイトメトリーの結果により、生存および熱失活胞子は、Raw264.7マクロファージがM1様のマクロファージになるようにRaw264.7マクロファージを著しく分極化し、Raw264.7マクロファージにおける細胞表面抗原F4/80およびCD16/32発現を促進し得ることが実証された(図9B)。とりわけRaw264.7の活性化および成熟は、陽性LPS処理と比較して、M1マクロファージ分極化のための複雑で多様な表面受容体である。
【0035】
結果は、バチルス・コアグランスの生存および熱失活細胞および胞子の両方によってM1型マクロファージ分極化が誘導されたことを示した。M1分極化は、細菌感染症およびウイルス感染症に対する免疫を増大するために重要なので、バチルス・コアグランスMTCC5856の生存および熱失活胞子/細胞の両方は、それを必要とする対象、特に子どもおよび乳児における免疫を増大するために使用することができる。バチルス・コアグランスMTCC5856の熱失活胞子/細胞は、飲料および乳幼児用配合物などの最終製品に配合することができ、個体の免疫機能を増大するために食事性栄養補助剤として投与することができる。
【0036】
本発明の他の改変形態および変形形態は、上述の開示および教示から当業者に明らかとなろう。したがって、本発明のある特定の実施形態だけを本明細書に具体的に記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に数々の改変を加え得ることが明らかとなろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と併せてのみ解釈されるべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)胞子形成細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、80~100%の胞子形成細胞を含有するブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、胞子を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で胞子形成細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、110±2℃において0.8±0.2バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活胞子を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)熱失活胞子を含有するスプレー乾燥粉末を、121±2℃において1.5±0.2バールの圧力で15~30分間のさらなる熱処理に晒して、生存胞子数を確実に≦10 3 cfu/gにするステップと、
i)マルトデキストリンまたは適切な賦形剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物を得るステップと、
j)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含む方法によって調製される、組成物。
〔2〕バチルス・コアグランス株が、具体的にはバチルス・コアグランスMTCC5856である、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕ステップa)およびステップb)の培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕ステップc)の発酵培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔5〕ステップc)の発酵培地が、好ましくは、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む、前記〔1〕に記載の組成物。
〔6〕哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤/添加剤として使用される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔7〕哺乳動物が、好ましくはヒトである、前記〔1〕に記載の組成物。
〔8〕バチルス・コアグランスの熱失活胞子を含む組成物が、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔9〕プロバイオティクス菌バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物であって、
a)細菌を無菌種培地に接種し、常に振とうしながら37~40℃で22~24時間インキュベートし、顕微鏡技術によって純度を確認することによって、バチルス・コアグランスの純粋培養物を調製するステップと、
b)ステップa)の純粋培養物を適切な培地中で混合し、オルトリン酸で6.5±0.2のpHに調整することによって、種接種菌液を調製するステップと、
c)ステップb)の種培地を、適切に滅菌した発酵培地(ブロス)に接種し、かき混ぜ、適切に通気しながら37~39℃で35~37時間インキュベートするステップと、
d)栄養細胞を、顕微鏡技術を使用して特定し、ブロスを7000~15000rpmで遠心分離することによって、細胞を収集するステップと、
e)10%w/vマルトデキストリンまたは適切な保護剤を、1:1の比で栄養細胞のバイオマスに添加し、スラリーを、無菌メッシュを介して濾過するステップと、
f)ステップe)のスラリーを、100±2℃において0.2±0.1バールの圧力で5~8時間熱処理することによって失活させるステップと、
g)熱失活栄養細胞を、入口温度115~150℃および出口温度55~70℃でスプレー乾燥させるステップと、
h)マルトデキストリンまたは適切な賦形剤で希釈して、バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物を得るステップと、
i)生細胞、死細胞および生存可能であるが培養不可能な細胞を、フローサイトメトリーによって数え上げるステップと
を含む方法によって調製される、組成物。
〔10〕バチルス・コアグランス株が、具体的にはバチルス・コアグランスMTCC5856である、前記〔9〕に記載の組成物。
〔11〕ステップa)およびステップb)の培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、前記〔9〕に記載の組成物。
〔12〕ステップc)の発酵培地が、MRS、デキストロース培地、トリプシン大豆培地、栄養培地、酵母ペプトン培地、コーンスティープ培地を含む群から選択される、前記〔9〕に記載の組成物。
〔13〕ステップc)の発酵培地が、好ましくは、デキストロース、コーンスティープ粉末、炭酸カルシウム、硫酸マンガン(II)および硫酸アンモニウムを含む、前記〔9〕に記載の組成物。
〔14〕哺乳動物の免疫機能を増大するための栄養補助剤/添加剤として使用される、前記〔9〕に記載の組成物。
〔15〕哺乳動物が、好ましくはヒトである、前記〔9〕に記載の組成物。
〔16〕バチルス・コアグランスの熱失活栄養細胞を含む組成物が、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される、前記〔9〕に記載の組成物。
〔17〕哺乳動物の免疫機能をモジュレートする方法であって、胞子および/または細菌の形態の有効濃度のバチルス・コアグランスを前記哺乳動物に投与して、マクロファージを分極化することによって免疫モジュレーションの効果をもたらすステップを含む、方法。
〔18〕胞子が、バチルス・コアグランスの生存または熱失活または死滅胞子を含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕細菌が、バチルス・コアグランスの生存または熱失活または死滅または溶解栄養細胞を含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔20〕バチルス・コアグランス株が、好ましくはバチルス・コアグランスMTCC5856である、前記〔17〕に記載の方法。
〔21〕免疫機能のモジュレーションが、マクロファージをM1型に分極化することによってもたらされる、前記〔17〕に記載の方法。
〔22〕M1型へのマクロファージ分極化が、炎症促進性遺伝子および細胞表面受容体の発現を誘導することによってもたらされる、前記〔17〕に記載の方法。
〔23〕炎症促進性遺伝子が、IL-1β、IL-6、IL-12p40、IL23、TNF-α、TNOSおよびiNOSを含む群から選択される、前記〔17〕に記載の方法。
〔24〕細胞表面受容体が、CD80、CD83、CD86、MHC-II、F4/80およびCD16/32を含む群から選択される、前記〔17〕に記載の方法。
〔25〕哺乳動物が、ヒトである、前記〔17〕に記載の方法。
〔26〕バチルス・コアグランスの熱失活胞子および/または栄養細胞を含む組成物が、薬学的/栄養補助的に許容される賦形剤、アジュバントを用いて配合され、粉末、乳幼児用配合物、懸濁液、シロップ、エマルション、錠剤、カプセル剤、食用品または咀嚼可能食品の形態で投与される、前記〔17〕に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
【配列表】
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