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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】電極ユニットおよび内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221128BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20221128BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61B1/00 622
A61B18/14
A61B1/018 515
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020562054
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2018048171
(87)【国際公開番号】W WO2020136814
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生熊 聡一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠次
(72)【発明者】
【氏名】林田 剛史
(72)【発明者】
【氏名】塚越 貴之
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-247696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、
表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と、夫々の前記先端硬質部の基端側に設けられ前記先端硬質部よりも曲げ剛性の低い弾性領域部と、を備える電極支持部と、
前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、
前記基端硬質部から前記先端硬質部に向かう長手軸と交差する方向であって、前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の軸を第1軸および第2軸と定め、前記第1軸の一方を右方向、前記第1軸の他方を左方向とし、前記第2軸の一方を上方向、前記第2軸の他方を下方向とした場合、前記電極支持部の各先端硬質部から下方に突出し、下端部同士を架設部で架設された電極と、
前記基端硬質部に設けられ、前記基端硬質部に対して相対的に移動可能することにより、前記電極を、前記先端硬質部に対して相対的に前記電極が突出する方向に沿って移動させるための操作部と、
を含むことを特徴とする電極ユニット。
【請求項2】
前記電極は、前記先端硬質部に対して前記電極の突出方向に進退移動可能に配設されており、
前記操作部前記先端硬質部に対して相対的に移動することにより、前記電極の前記突出方向への移動範囲変更される請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項3】
前記操作部に接続され、前記電極の突出方向への移動可能範囲変更する規制部をさらに有する請求項2に記載の電極ユニット
【請求項4】
前記規制部は、前記電極の下面に接触した状態で長手軸に沿って進退可能である請求項3に記載の電極ユニット。
【請求項5】
前記操作部は、前記電極を前記先端硬質部に対して前記長手軸に沿う方向に移動させる力を前記電極に伝達し、
前記先端硬質部は、前記操作部から前記電極に伝達される力の方向を変換し、前記電極を前記電極の突出方向と、前記長手軸と、の双方に交差する方向に移動させる変換部を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項6】
前記変換部は、前記先端硬質部の内部に配置し、基端側に向けて上方へ傾斜する長穴であり、
前記電極は、前記操作部に接続される請求項に記載の電極ユニット。
【請求項7】
前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、
前記基端硬質部に設けられ、前記電極に電気的に接続された電気的接続部と、をさらに含み、
前記操作部は、前記基端硬質部に設けられ、前記基端硬質部に対して相対的に移動可能であり、
前記電極は、
前記一対の先端硬質部の夫々によって支持された一対の基部と、
前記先端硬質部の下方に突出した状態で前記一対の基部を接続する前記架設部と、を含む請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項8】
前記一対の基部は、前記一対の先端硬質部の互いに対向する対向面のそれぞれに配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電極ユニット。
【請求項9】
前記架設部は、前記一対の基部から下方に向かい凸形状である請求項に記載の電極ユニット。
【請求項10】
前記一対の基部は、前記対向面の夫々において、前記長手軸に対し直交する第1軸に沿って互いに近づくように突出する請求項8に記載の電極ユニット。
【請求項11】
高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、
表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と、夫々の前記先端硬質部の基端側に設けられ前記先端硬質部よりも曲げ剛性の低い弾性領域部と、を備える電極支持部と、
前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、
前記基端硬質部から前記先端硬質部に向かう長手軸と交差する方向であって、前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の軸を第1軸および第2軸と定め、前記第1軸の一方を右方向、前記第1軸の他方を左方向とし、前記第2軸の一方を上方向、前記第2軸の他方を下方向とした場合、前記電極支持部の各先端硬質部から下方に突出し、下端部同士を架設部で架設された電極と、
基端硬質部に設けられ、前記基端硬質部に対して相対的に移動することにより、前記電極を、前記先端硬質部に対して相対的に前記電極が突出する方向に沿って移動させる操作部と、を備えた電極ユニットと、
被写体を観察するためのテレスコープと、
を含む内視鏡システム。
【請求項12】
前記電極ユニットが挿通されるシースと、
前記シース内に挿通される前記テレスコープと、
前記シースの基端側において、前記テレスコープを前記シースの長手軸に沿う方向に移動可能に保持するスライダと、
前記シースの基端側において、前記電極ユニットを、前記テレスコープとは独立して前記シースの長手軸に沿う方向に移動可能に保持する電極ユニット保持部と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットおよび内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体等の被検体の組織を切除または凝固する技術として電気メスが知られている。例えば、日本国特開2002-95677号公報には、内視鏡による観察下において、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固するレゼクトスコープシステムが開示されている。日本国特開2002-95677号公報に開示の技術では、ループ形状に形成された電極に高周波電流を流すことにより、組織の切除または凝固を行う。
【0003】
日本国特開2002-95677号公報に開示されているような、ループ形状に形成された電極は、例えば膀胱等の臓器内の組織を切除するために用いられる。ここで、電極が臓器の壁面に入り込む深さは、使用者が電極を壁面に押しつける力の強さに応じて変化する。このため、従来のループ形状に形成された電極を用いて組織を切除する場合、使用者が加える力加減によって切除される組織の厚さにばらつきが生じてしまう。例えば、切除した組織を生検に用いる場合、所定の厚さの組織が必要となるため、切除される組織の厚さは使用者によらず一定であることが好ましい。
【0004】
本発明は、上述した点を解決するものであって、切除する組織の厚さの制御が容易な電極ユニットおよび内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による電極ユニットは、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と、夫々の前記先端硬質部の基端側に設けられ前記先端硬質部よりも曲げ剛性の低い弾性領域部と、を備える電極支持部と、前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、前記基端硬質部から前記先端硬質部に向かう長手軸と交差する方向であって、前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の軸を第1軸および第2軸と定め、前記第1軸の一方を右方向、前記第1軸の他方を左方向とし、前記第2軸の一方を上方向、前記第2軸の他方を下方向とした場合、前記電極支持部の各先端硬質部から下方に突出し、下端部同士を架設部で架設された電極と、前記基端硬質部に設けられ、前記基端硬質部に対して相対的に移動可能することにより、前記電極を、前記先端硬質部に対して相対的に前記電極が突出する方向に沿って移動させるための操作部と、を含む。
本発明の一態様による内視鏡システムは、高周波電流を用いて被検体内の組織を切除または凝固する電極ユニットであって、表面が電気絶縁性を有する材料により被覆された一対の先端硬質部と、夫々の前記先端硬質部の基端側に設けられ前記先端硬質部よりも曲げ剛性の低い弾性領域部と、を備える電極支持部と、前記電極支持部の基端に連結された基端硬質部と、前記基端硬質部から前記先端硬質部に向かう長手軸と交差する方向であって、前記長手軸に対し直交し、かつ互いに直交する一対の軸を第1軸および第2軸と定め、前記第1軸の一方を右方向、前記第1軸の他方を左方向とし、前記第2軸の一方を上方向、前記第2軸の他方を下方向とした場合、前記電極支持部の各先端硬質部から下方に突出し、下端部同士を架設部で架設された電極と、基端硬質部に設けられ、前記基端硬質部に対して相対的に移動することにより、前記電極を、前記先端硬質部に対して相対的に前記電極が突出する方向に沿って移動させる操作部と、を備えた電極ユニットと、被写体を観察するためのテレスコープと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の内視鏡システムの概略的な構成を示す図である。
図2】第1の実施形態の電極ユニットを第1軸に沿って見た図である。
図3】第1の実施形態の電極ユニットを第2軸に沿って見た図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6】第1の実施形態の規制部の作用を説明する図である。
図7】第1の実施形態の規制部の作用を説明する図である。
図8】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
図9】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
図10】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
図11】第2の実施形態の電極ユニットの構成を示す図である。
図12】第2の実施形態の電極ユニットの構成を示す図である。
図13】第3の実施形態の電極ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、内視鏡システム1の概略的な構成を示す図である。内視鏡システム1は、被検体内において、内視鏡による観察下で組織を切除または凝固する装置である。
【0009】
本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡であるレゼクトスコープ10、電極ユニット30および外部装置50を含む。本実施形態では一例として、被検体は人体である。また、本実施形態では一例として、内視鏡は一般にレゼクトスコープと称される形態のものであるが、内視鏡は軟性内視鏡であってもよい。
【0010】
レゼクトスコープ10は、シース11、スライダ20およびテレスコープ21を含む。
【0011】
シース11は、直線状の長手軸Lに沿う管状の部位を有する。シース11は、レゼクトスコープ10の使用時において、被検体外から被検体内に挿入される部位である。シース11は、長手軸Lに沿う方向の両端が開口している。レゼクトスコープ10の使用時においては、シース11内に、後述するテレスコープ21および電極ユニット30が挿入される。
【0012】
なお、シース11の外周には、潅流液を被検体内に導入するためのアウターシースが配置される。アウターシース等の潅流液を被検体内に導入するための構成は公知であるため説明を省略する。本実施形態では、潅流液は、例えば生理食塩水等の電解質溶液であり、導電性を有する。
【0013】
シース11の長手軸Lに沿う方向の両端のうち、被検体内に挿入される側の端を先端11aと称し、先端11aとは反対側の端を基端11bと称する。シース11の基端11bは、レゼクトスコープ10の使用時において被検体外に露出する。
【0014】
以下では説明のため、長手軸Lに直交し、かつ互いに直交する一対の軸である、第1軸Xおよび第2軸Yを定める。また、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を右方向とし、他方を左方向とする。第2軸Yに沿う方向のうちの一方を上方向とし、他方を下方向とする。本実施形態では一例として、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における水平方向が第1軸Xと略平行であり、垂直方向が第2軸Yと略平行である。また、上方向および右方向は、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における上および右である。
【0015】
シース11の少なくとも先端11a近傍の表面には、導電性の材料からなる回収電極11cが露出している。なお、シース11全体が金属等の導電性の材料からなり、シース11の表面全体が回収電極11cとなる構成であってもよい。
【0016】
また、シース11の基端11b近傍には、シースコネクタ11dが設けられている。シースコネクタ11dは、回収電極11cに電気的に接続されている。シースコネクタ11dには、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、シースコネクタ11dと、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。
【0017】
スライダ20は、シース11の基端11b側に配置される。スライダ20は、シース11に対して長手軸Lに沿う方向に相対的に移動する。スライダ20には、ハンドル20aが設けられている。使用者が手指によりハンドル20aに力を加えることにより、スライダ20は、シース11に対して長手軸Lに沿う方向に相対的に移動する。なお、シース11に対してスライダ20を相対的に移動可能に案内する機構は、従来のレゼクトスコープ10と同様であるため、図示および説明を省略する。
【0018】
スライダ20は、スコープ保持部22、電極ユニット保持部23および電極コネクタ24を含む。スコープ保持部22は、テレスコープ21を保持する。
【0019】
テレスコープ21は、被検体内を光学的に観察するための部位である。テレスコープ21は、細長の挿入部21a、接眼部21bおよび光源接続部21cを備える。挿入部21aは、テレスコープ21がスコープ保持部22に固定された状態において、シース11内に挿入される。
【0020】
挿入部21aの先端部21a1には、観察窓および照明光出射窓が配設されている。また、挿入部21aの基端部21a2には、接眼部21bおよび光源接続部21cが配設されている。
【0021】
接眼部21bには、撮像ユニット52が装着される。撮像ユニット52は、外部装置50のビデオプロセッサ51に電気的に接続されている。ビデオプロセッサ51には画像表示装置53が電気的に接続されている。また、光源接続部21cには、光ファイバケーブル54aの一端が接続される。光ファイバケーブル54aの他端は、外部装置50の光源装置54に接続される。
【0022】
挿入部21aの先端部21a1に設けられた観察窓からの視界が、撮像ユニット52により撮像され、画像表示装置53に表示される。また、光源装置54から出射された照明光が、挿入部21aの先端部21a1に設けられた照明光出射窓から出射される。テレスコープ21およびテレスコープ21に接続される外部装置50の構成は、従来のレゼクトスコープ10と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0023】
電極ユニット保持部23は、後述する電極ユニット30を保持する。電極コネクタ24は、電極ユニット保持部23に保持された電極ユニット30に電気的に接続される。電極コネクタ24には、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、電極コネクタ24と、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。
【0024】
電極ユニット30は、電極ユニット保持部23に固定された状態において、シース11内に挿通される部位を有する。スライダ20は、テレスコープ21および電極ユニット30と共に、シース11に対して長手軸Lに沿って相対的に移動する。電極ユニット30の一部は、シース11の先端11aから突出することができる。後述するが、電極ユニット30の、シース11の先端11aから突出する部位には、電極35が配設されている。
【0025】
電極ユニット30、回収電極11cおよび高周波電源制御装置55は、いわゆるバイポーラ式の電気手術装置を構成する。高周波電源制御装置55は、スイッチ55aを備える。スイッチ55aは、例えば使用者が足により操作するフットスイッチである。高周波電源制御装置55は、スイッチ55aの操作に応じて、高周波電流の出力の有無を切り替える。
【0026】
高周波電源制御装置55から出力される高周波電流は、被検体内において、電極35、潅流液および回収電極11cの間で流れる。高周波電源制御装置55が高周波電流を出力している状態において、電極35に接触する被検体の組織が発熱し、組織の切除または凝固が行われる。
【0027】
図2は、電極ユニット30を、第1軸Xに沿って左から見た図である。図2において、図中の上が上方向である。図3は、電極ユニット30を、第2軸Yに沿って下から見た図である。図3において、図中の上が左方向である。図4は、図3のIV-IV断面図である。図4において、図中の上が上方向であり、図中の右が左方向である。図5は、図4のV-V断面図である。図5において、図中の上が上方向である。
【0028】
図2および図3に示すように、電極ユニット30は、長手軸Lに沿う方向を長手方向とした細長の形状を有する。電極ユニット30は、基端硬質部31、電極支持部32、電極35および操作部40を含む。
【0029】
基端硬質部31は、レゼクトスコープ10の電極ユニット保持部23に固定される部位である。基端硬質部31の先端31aには、後述する電極支持部32が結合されている。基端硬質部31の基端31bには、電気的接続部31cが設けられている。電気的接続部31cは、基端硬質部31が電極ユニット保持部23に固定された状態において、レゼクトスコープ10の電極コネクタ24と電気的に接続される。また、電気的接続部31cは、電極ユニット30内に挿通されている導電性のワイヤ33を介して、電極35に電気的に接続されている。
【0030】
電極支持部32は、電極35を支持する。電極支持部32は、レゼクトスコープ10の使用時において、シース11の先端11aから突出する部位である。電極支持部32は、1つまたは2つの先端硬質部36および1つまたは2つの弾性領域37を含む。
【0031】
弾性領域37は、先端硬質部36の基端と、基端硬質部31の先端とを連結する。弾性領域37の曲げ剛性は、先端硬質部36および基端硬質部31の曲げ剛性よりも低い。
【0032】
電極35は、金属ワイヤ等の導電性を有する線状の部材からなる。電極35は、先端硬質部36の表面から突出している。
【0033】
電極35は、先端硬質部36の表面の一点から先端硬質部36の外側に突出し、異なる点において先端硬質部36の内側に入り込むループ形状を有している。具体的には、電極35は、先端硬質部36の表面の互いに離間した2点において、先端硬質部36によって支持された一対の基部35aと、先端硬質部36の表面から離間した状態で一対の基部35aを接続する架設部35bと、を含む。
【0034】
図4に示すように、架設部35bは、長手軸Lに沿う方向から見た場合に略コ字状または略U字状である。第1軸Xに沿う方向から見た場合に、架設部35bの頂部35cは、基部35aから長手軸Lに交差する方向に向かって突出している。
【0035】
一対の基部35aは、先端硬質部36内において、ワイヤ33と電気的に接続されている。図4および図5に示すように、本実施形態では一例として、ワイヤ33および電極35は、同一の金属製の線状部材からなる。
【0036】
操作部40は、基端硬質部31に配設されている。操作部40は、電極ユニット30がシース11内に挿通された状態において、シース11の基端11bよりも基端側に位置する。すなわち、シース11の先端11aおよび電極ユニット30の電極支持部32を被検体内に挿入した状態において、操作部40は、被検体外に位置する。
【0037】
操作部40は、基端硬質部31に対して、相対的に移動可能である。操作部40は、基端硬質部31に対して相対的に移動することにより、電極35を先端硬質部36に対して相対的に移動させる。
【0038】
電極支持部32、電極35および操作部40の構成の詳細について説明する。本実施形態の電極支持部32は、2つの先端硬質部36を備える。個々の先端硬質部36は、長手軸Lに沿う方向を長手方向とした柱状の外形を有する。
【0039】
2つの先端硬質部36は、長手軸Lに沿う方向についてはほぼ同じ位置に配置されており、かつ第1軸Xに沿う方向(左右方向)に離間して配置されている。すなわち、2つの先端硬質部36は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、重なり合う部分が存在する様に配置されている。したがって、2つの先端硬質部36のそれぞれは、第1軸Xに沿う方向について互いに対向する面である対向面36aを有する。
【0040】
なお、ここで「互いに対向する面」とは、右側に配置された先端硬質部36の概ね左方向に向く表面と、左側に配置された先端硬質部36の概ね右方向に向く表面と、のことを指す。すなわち、対向面36aとは、2つの先端硬質部36に挟まれた空間に面する部位である。したがって、2つの先端硬質部36の対向面36aは、互いに平行となる部位を有していなくともよい。
【0041】
個々の先端硬質部36には、内側に空洞部36cが形成されている。図5に示すように、空洞部36cの基端側の内壁面には、開口部36c1が開口している。開口部36c1には、ワイヤ33と後述する規制部41が挿通されている。
【0042】
また、個々の先端硬質部36には、対向面36aから空洞部36cに貫通する貫通孔36dが形成されている。貫通孔36dは、ワイヤ33が先端硬質部36の外側に突出する孔である。ワイヤ33の、貫通孔36dに挿通される部位は、電極35の基部35aとなる。貫通孔36dは、第2軸Yに沿う方向(上下方向)を長手方向とした長穴である。
【0043】
より詳細には、個々の先端硬質部36は、セラミックパイプ32aと被覆部38により構成されている。セラミックパイプ36cおよび被覆部38は、電気絶縁性を有する。セラミックパイプ32aは、内側に空洞部36cが形成されている。被覆部38は、樹脂製のチューブであり、セラミックパイプ32aを被覆している。貫通孔36dは、セラミックパイプ32aおよび被覆部38を貫通している。
【0044】
本実施形態の電極支持部32は、一例として2つの弾性領域37を有する。2つの弾性領域37は、2つの先端硬質部36のそれぞれの基端に接続されている。なお、電極支持部32は、2つの先端硬質部36の双方の基端に接続される1つの弾性領域37を備える形態であってもよい。
【0045】
本実施形態の弾性領域37は、樹脂製のチューブである被覆部38により構成されている。本実施形態では一例として、先端硬質部36の被覆部38と、弾性領域37の被覆部38とは、長手軸Lに沿う方向に連続した同一の部材である。弾性領域37の被覆部38内には、ワイヤ33が挿通される。すなわち、本実施形態では、被覆部38内に挿入されているセラミックパイプ32aが、先端硬質部36の曲げ剛性を弾性領域37よりも高める役割を有している。
【0046】
そして、本実施形態の基端硬質部31は、樹脂製のチューブである被覆部38および金属パイプ31dにより構成されている。本実施形態では一例として、基端硬質部31の被覆部38と、弾性領域37の被覆部38とは、長手軸Lに沿う方向に連続した同一の部材である。基端硬質部31の被覆部38内には、ワイヤ33が挿通される。金属パイプ31dは、被覆部38の外周を被覆している。すなわち、本実施形態では、金属パイプ31dが、基端硬質部31の曲げ剛性を弾性領域37よりも高める役割を有している。
【0047】
電極35の一対の基部35aは、2つの先端硬質部36のそれぞれに配置されている。すなわち、電極35は、2つの先端硬質部36の間に架け渡された金属製のワイヤ33である。
【0048】
一対の基部35aは、2つの先端硬質部36の対向面36aに設けられた貫通孔36dから、第1軸Xに沿って突出するように配置されている。また、一対の基部35aは、長手軸Lに沿う方向についてほぼ同じ位置配置されている。すなわち、一対の基部35aは、一対の対向面36から第1軸Xに沿って互いに近づくように突出している。
【0049】
架設部35bは、一対の基部35aの先端部の間を接続している。架設部35bは、長手軸Lに沿う方向から見た場合において、一対の基部35aから下方に向かって凸形状となるように湾曲している。そして、図4および図5に示すように、架設部35bの頂部35cは、2つの先端硬質部36の下方に面する下端面36bよりも下方に位置している。
【0050】
以上に説明した構成を有する電極35は、第2軸Yに沿う方向から見た場合に、2つの先端硬質部36に挟まれた空間内のみにおいて外部に露出している。言い換えれば、電極35の外部に露出する部位は、第2軸Yに沿う方向から見た場合に、2つの先端硬質部36と重ならないように配置されている。
【0051】
また、前述のように、基部35aが挿通される貫通孔36dが第2軸Yに沿う方向を長手方向とした長穴であることから、電極35は、先端硬質部36に対して相対的に第2軸Yに沿う方向に移動可能である。電極35が先端硬質部36に対して相対的に第2軸Yに沿う方向に移動すると、電極35の頂部35cの、下端面36bから下方への突出量が変化する。
【0052】
そして、本実施形態の電極ユニット30は、個々の先端硬質部36の空洞部36c内に配設された規制部41を備える。規制部41は、開口部36c1から空洞部36c内に突出し、先端硬質部36に対して相対的に移動可能である。規制部41は、先端硬質部36に対して長手軸Lに沿う方向に進退移動する。
【0053】
規制部41は、基端側に向かって延出し、弾性領域37および基端硬質部31内に挿通される連結部41aを有する。連結部41aは、操作部40に連結されている。規制部41は、操作部40の基端硬質部31に対する相対的な移動に従って、空洞部36c内において移動する。
【0054】
規制部41は、空洞部36c内において先端硬質部36に対して相対的に移動することにより、電極35の突出方向(上下方向)への移動可能範囲を変更する。本実施形態の規制部41は、空洞部36c内において、ワイヤ33の下面に接した状態で長手軸Lに沿う方向に進退移動する。規制部41の開口部36c1から空洞部36c内への突出量が大きくなるほど、ワイヤ33の上下方向への移動可能範囲が狭くなり、電極35の下端面36bから下方への突出量が変化する。
【0055】
図6は、規制部41が、先端硬質部36に対して、最も基端側に位置している状態を示している。また、図7は、先端硬質部36に対して、最も先端側に位置している状態を示している。本実施形態の電極ユニット30では、操作部40を基端硬質部31に対して相対的に基端側に移動させると、規制部41が先端硬質部36に対して基端側に移動する。また、本実施形態の電極ユニット30では、操作部40を基端硬質部31に対して相対的に先端側に移動させると、規制部41が先端硬質部36に対して先端側に移動する。
【0056】
図6および図7は、先端硬質部36の下端面36bを、組織に当接させた状態を示している。先端硬質部36の下端面36bを組織に当接させると、先端硬質部36の基端に接続された弾性領域37が、下方に向かって凸形状となるように湾曲する。この弾性領域37の湾曲により、弾性領域37から空洞部36c内に突出するワイヤ33には、開口部36c1を支点として先端を下方に移動させる力が加えられる。空洞部36c内におけるワイヤ33の先端には、電極35が接続されている。したがって、図6および図7に示すように、先端硬質部36の下端面36bを組織に当接させた場合、電極35は、先端硬質部36に対する上下方向への移動可能範囲のうちの下端に位置する。
【0057】
ここで、図6に示すようにワイヤ33の下方に接する規制部41が最も基端側に位置していれば、空洞部36c内におけるワイヤ33の先端の上下方向の移動可能範囲は最も広い。一方、図7に示すように、規制部41が先端側に移動すると、空洞部36c内において規制部41がワイヤ33の下方に進出するため、ワイヤ33の先端の上下方向の移動可能範囲は狭くなる。具体的には、規制部41が先端側に移動すると、空洞部36c内におけるワイヤ33の先端の移動可能範囲の下端が上方に移動する。空洞部36c内におけるワイヤ33の先端の移動可能範囲とは、すなわち電極35の先端硬質部36に対する上下方向への移動可能範囲である。
【0058】
したがって本実施形態では、図6に示すように規制部41が最も基端側に位置している場合に、電極35の頂部35cの、下端面36bから下方への突出量が最も大きくなる。また、本実施形態では、図7に示すように規制部41が先端側に移動するにつれて、電極35の頂部35cの、下端面36bから下方への突出量が小さくなる。
【0059】
操作部40は、基端硬質部31に配設されている。操作部40は、電極ユニット30がシース11内に挿通された状態において、シース11の基端11bよりも基端側に位置する。すなわち、シース11の先端11aおよび電極ユニット30の電極支持部32を被検体内に挿入した状態において、操作部40は、被検体外に位置する。
【0060】
操作部40は、基端硬質部31に対して、相対的に移動可能である。操作部40は、基端硬質部31に対して相対的に移動することにより、電極35を先端硬質部36に対して相対的に移動させ、電極35の頂部35cの下端面36bから下方への突出量を変更する。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態の電極ユニット30は、操作部40を移動させることにより、先端硬質部36の下端面36bから電極35の頂部35cが突出する量を変化させることができる。
【0062】
図8図9および図10に、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1を用いて被検体の臓器100内の組織を切除する様子の模式図を示す。
【0063】
電極ユニット30を用いて臓器100内の組織を切除する場合には、使用者は、まず臓器100内において、電極支持部32を、先端硬質部36の下端面36bが組織に対向する姿勢とする。そして、図8に示すように、使用者は、先端硬質部36の下端面36bから突出する電極35が組織に接するように、電極支持部32を臓器100の壁面に当接させる。なお、電極ユニット100およびレゼクトスコープ10のシース11を臓器100内に挿入する方法や、臓器100内を潅流液で満たす方法は従来の電極ユニットと同様であるため、説明を省略する。
【0064】
次に、使用者は、スイッチ55aを操作し、高周波電源制御装置55からの高周波電流の出力を開始する。これにより、高周波電流が、電極35から潅流液を通って回収電極11cへ向かって流れるため、電極35に接触する組織が発熱し、組織が切断される。高周波電流の出力開始によって組織が切断されると、図9に示すように、電極35は組織内に入り込む。
【0065】
ここで、前述のように、電極35は、第2軸Yに沿う方向(下方)から見た場合に、先端硬質部36と重ならないように配置されている。したがって、電極35が組織内に所定の深さまで入り込むと、先端硬質部36が電極35により切断されていない組織に当接する。よって、本実施形態では、使用者が電極支持部32を臓器100の壁面に押し当てる力が変化したとしても、先端硬質部36が組織に当接した状態からさらに電極35が組織内に入り込むことが防止される。
【0066】
そして、図10に示すように、使用者は、レゼクトスコープ10を移動させて、電極支持部32を臓器100の壁面に沿って移動させる。すると、組織内において壁面に沿う方向に電極35が移動するため、所定の厚さの組織片が切除される。
【0067】
ここで、前述のように、使用者が電極支持部32を臓器100の壁面に押し当てる力が変化したとしても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保たれる。また、使用者によるレゼクトスコープ10の移動が臓器100の壁面の形状に沿っておらず、臓器100の壁面とシース11の先端11aとの距離が変化する場合であっても、本実施形態では弾性領域37が弾性変形することにより、先端硬質部36が組織に当接した状態が保たれる。そして、先端硬質部36が組織に当接した状態であれば、前述のように、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保たれる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、使用者が電極35を移動させる軌跡にふらつきがある場合や、使用者が電極35に加える力に変動がある場合であっても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保つことができる。
【0069】
また、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、被検体外に位置する操作部40を使用者が操作することにより、先端硬質部36の下端面36bから電極35の頂部35cが突出する量を変化させることができる。すなわち、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、操作部40を使用者が操作することにより、電極35が組織内に入り込む深さを容易に変更することができる。
【0070】
よって、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1によれば、切除する組織の厚さの制御が容易である。
【0071】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0072】
第2の実施形態は、電極ユニット30の構成が第1の実施形態と異なる。図11および図12に示す第2の実施形態の電極ユニット30は、基端硬質部31、電極支持部32、電極35、操作部40および変換部43を含む。
【0073】
基端硬質部31は、第1の実施形態と同様に、レゼクトスコープ10の電極ユニット保持部23に固定される部位である。基端硬質部31の先端31aには、電極支持部32が結合されている。また、基端硬質部31の基端31bには、電気的接続部31cが設けられている。
【0074】
電極支持部32は、長手軸Lの沿う方向に連接された1つまたは2つの先端硬質部36および1つまたは2つの弾性領域37を含む。本実施形態では一例として、第1の実施形態と同様に、電極支持部32は、2つの先端硬質部36および2つの弾性領域37を備える。すなわち、2つの先端硬質部36のそれぞれは、第1軸Xに沿う方向について互いに対向する面である対向面36aを有する。基端硬質部31、弾性領域37および先端硬質部36内には、金属製のワイヤ33が挿通されている。
【0075】
電極35は、先端硬質部36から突出している。また、電極35は、先端硬質部36内においてワイヤ33に接続されている。本実施形態では一例として、ワイヤ33および電極35は、同一の金属製の線状部材からなる。電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bから、第2軸Yに沿って下方に向かって突出している。
【0076】
個々の先端硬質部36には、内側に空洞部36cが形成されている。空洞部36cの基端側の内壁面には、開口部36c1が開口している。開口部36c1には、ワイヤ33が挿通されている。
【0077】
また、個々の先端硬質部36には、長穴形状の変換部43が形成されている。変換部43は、対向面36aから空洞部36cを連通するように、第1軸Xに沿う方向に貫通する貫通孔である。
【0078】
また、長穴である変換部43は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、長手方向が長手軸Lに対して傾斜している。本実施形態では一例として、長穴である変換部43は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、基端側に向かうにつれて上方に向かうように、長手軸Lに対して傾斜している。すなわち、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、長穴である変換部43の長手方向は、電極35の突出方向(下方)と、長手軸Lと、の双方に交差する。
【0079】
電極35の一対の基部35aは、2つの先端硬質部36の対向面36aに開口する変換部43内に挿通される。
【0080】
操作部40は、基端硬質部31に対して、相対的に移動可能である。本実施形態の操作部40は、電極35に、先端硬質部36に対して長手軸Lに沿う方向に移動させる力を伝達する。
【0081】
具体的には、本実施形態の操作部40は、ワイヤ33に結合されている。操作部40の基端硬質部31に対する相対的な移動に従って、ワイヤ33が電極ユニット30内において長手軸Lに沿う方向に移動する。前述のように、ワイヤ33の先端には電極35が接続されていることから、操作部40の基端硬質部31に対する相対的な移動に従って、電極35が先端硬質部36に対して長手軸Lに沿う方向に移動する。
【0082】
電極35の基部35aは、長手軸Lに対して長手方向が傾斜している長穴である変換部43に挿通されている。このため、操作部40から電極35に力が加えられた場合、変換部43は、操作部40から電極35に伝達される力の方向を変換するカム孔として作用する。
【0083】
本実施形態の変換部43は、操作部40から電極35に対して加えられる長手軸Lに沿う力の方向を、電極35の突出方向(下方)と、長手軸Lと、の双方に交差する方向に変換する。
【0084】
具体的には、操作部40が基端側に向かって移動すると、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、電極35は、変換部43に沿って、基端側および上方に向かって移動する。この場合、操作部40が基端側に向かって移動するにつれて、電極35の頂部35cの下端面36bから下方への突出量は小さくなる。図11は、操作部40が移動可能範囲の最も基端側に位置している状態を示している。
【0085】
また、操作部40が先端側に向かって移動すると、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、電極35は、変換部43に沿って、先端側および下方に向かって移動する。この場合、操作部40が先端側に向かって移動するにつれて、電極35の頂部35cの下端面36bから下方への突出量は大きくなる。図12は、操作部40が移動可能範囲の最も基端側に位置している状態を示している。
【0086】
このように、本実施形態の電極ユニット30は、電極35を長手軸Lに沿って押し引きする操作部40と、電極35の移動方向を、第1軸Xに沿う方向から見た場合に長手軸Lに対して傾斜した方向に変換するカムである変換部43と、を備える。
【0087】
そして、本実施形態の電極ユニット30は、操作部40を移動させることにより、先端硬質部36の下端面36bから電極35の頂部35cが突出する量を変化させることができる。すなわち、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、操作部40を使用者が操作することにより、電極35が組織内に入り込む深さを容易に変更することができる。
【0088】
なお、第1の実施形態と同様に、電極支持部32が先端硬質部36および弾性領域37を含む本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、使用者が電極35を移動させる軌跡にふらつきがある場合や、使用者が電極35に加える力に変動がある場合であっても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保つことができる。
【0089】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0090】
図13に示す第3の実施形態の電極ユニット30は、先端硬質部36、電極35および変換部43の構成が第2の実施形態と異なる。
【0091】
先端硬質部36は、下端面36bから空洞部36cに貫通する貫通孔36dが形成されている。貫通孔36dには、電極35の基部35aが挿通される。すなわち、本実施形態では、電極35の基部35aは、先端硬質部36の下端面36bから下方に向かって突出する。
【0092】
変換部43は、空洞部35内に形成された斜面である。斜面である変換部43は、空洞部36cの先端側の内壁面に形成されている。変換部43は、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、基端側に向かうにつれて下方に向かうように、第2軸Yおよび長手軸Lに対して傾斜している。変換部43は、空洞部35内において電極35が先端側に向かって移動した場合に、電極35の基部35aが当接する箇所に配置されている。
【0093】
操作部40が移動可能範囲の最も基端側の端に位置すると、電極35の基部35aは、図13に実線で示すように、変換部43から離間する。基部35aが変換部43から離間した状態では、第1軸Xに沿う方向から見た場合に、基部35aの長手方向は、第2軸Yに略平行となる。言い換えれば、基部35aの長手方向は、長手軸Lに略直交する。すなわち、操作部40が移動可能範囲の最も基端側の端に位置した状態では、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bに対して略直交する方向に突出する。この場合、下端面36bから電極35の頂部35cまでの最短距離は、最も長くなる。
【0094】
そして、操作部40が移動可能範囲の最も先端側の端に位置すると、電極35の基部35aは、図13に二点鎖線で示すように、長手方向が変換部43に沿って第2軸Yおよび長手軸Lに対して傾斜した姿勢となる。すなわち、斜面である変換部43は、操作部40から電極35に伝達される力の方向を変換し、長手軸Lに対して略直交する基部35aを、長手軸Lに沿う方向に倒れさせる方向に移動させる。
【0095】
そして、操作部40が移動可能範囲の最も先端側の端に位置した状態では、電極35の頂部35cは、先端硬質部36の下端面36bから第2軸Yに対して傾斜した方向に突出する。この場合、下端面36bから電極35の頂部35cまでの最短距離は、最も短くなる。
【0096】
このように、本実施形態の電極ユニット30は、電極35を長手軸Lに沿って押し引きする操作部40と、電極35の頂部35cの移動方向を、第1軸Xに沿う方向から見た場合に長手軸Lに対して交差した方向に変換する変換部43と、を備える。
【0097】
そして、本実施形態の電極ユニット30は、操作部40を移動させることにより、先端硬質部36の下端面36bから電極35の頂部35cが突出する量を変化させることができる。すなわち、本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、操作部40を使用者が操作することにより、電極35が組織内に入り込む深さを容易に変更することができる。
【0098】
なお、第1の実施形態と同様に、電極支持部32が先端硬質部36および弾性領域37を含む本実施形態の電極ユニット30および内視鏡システム1は、使用者が電極35を移動させる軌跡にふらつきがある場合や、使用者が電極35に加える力に変動がある場合であっても、電極35が組織内に入り込む深さは一定に保つことができる。
【0099】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電極ユニットおよび内視鏡システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13