(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】自動車両用伸縮式洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
B60S1/62 120B
B60S1/62 100
(21)【出願番号】P 2020569103
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2019065362
(87)【国際公開番号】W WO2019238764
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-16
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】マキシム、ボドワン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダン、ビエーユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ、ルソー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ピコ
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05657929(US,A)
【文献】国際公開第2018/059802(WO,A1)
【文献】特開2016-179767(JP,A)
【文献】特表2003-532511(JP,A)
【文献】特開2017-128181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(1)のセンサ/エミッタ(11)の外面に向けて少なくとも第1の流体及び少なくとも第2の流体を噴射するようになっている伸縮式洗浄装置(2)であって、
該伸縮式洗浄装置(2)が、第1の流体用の少なくとも第1の分配オリフィス(232)と第2の流体用の少なくとも第2の分配オリフィス(242)とが配置される分配エンドピース(201)を備え、
前記伸縮式洗浄装置(2)が、引き込まれる第1の位置と展開される第2の位置との間で、展開軸(D)に沿って展開するように構成され、
前記第1の分配オリフィス(232)及び前記第2の分配オリフィス(242)が前記洗浄装置の前記展開軸(D)に沿って互いからオフセットされ、
前記引き込まれる第1の位置では前記第1の分配オリフィス(232)のみが自由であり、
前記展開される第2の位置では前記第1の分配オリフィス(232)及び前記第2の分配オリフィス(242)が自由であるように構成されることを特徴とする、伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項2】
前記第1の流体用の少なくとも第1の入口オリフィス(231)及び前記第2の流体用の少なくとも第2の入口オリフィス(241)を備え、
前記第1の入口オリフィス(231)が第1のダクト(230)によって前記第1の分配オリフィス(232)に接続され、
前記第2の入口オリフィス(241)が前記第1のダクト(230)とは別個の第2のダクト(240)によって前記第2の分配オリフィス(242)に接続される、請求項1に記載の伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項3】
少なくとも1つの固定部(210)と1つの移動部(220)とを備える搬送体(200)を備え、
前記分配エンドピース(201)が前記移動部(220)の端部に形成される、請求項2に記載の伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項4】
前記第1の流体が圧縮空気であり、前記第2の流体が洗浄液である、請求項1から3のいずれか一項に記載の伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項5】
前記圧縮空気と関連付けられる前記第1の分配オリフィス(232)は、前記洗浄液と関連付けられる前記第2の分配オリフィス(242)よりも長い距離を隔てて前記分配エンドピースに配置される、請求
項4に記載の伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項6】
前記分配エンドピース(201)は、
洗浄されるべき光学面に面するとともに前記分配オリフィス(232,242)が配置される噴射面(204)と、
前記エンドピース及び前記伸縮式洗浄装置の軸方向端面によって形成されるカバー面(205)とを備え、
前記噴射面(204)は、該噴射面(204)の先端部(206)に形成される前記第1の分配オリフィスを自由な状態にするために前記第1の位置で部分的に引き込まれる、請求項1から5のいずれか一項に記載の伸縮式洗浄装置(2)。
【請求項7】
前記第1の分配オリフィスは、前記伸縮式洗浄装置の前記展開軸に対して略垂直な、第1の流体の噴流を形成するように構成される、請求項6に記載の伸縮式洗浄装置。
【請求項8】
前記第2の分配オリフィスは、前記分配エンドピースから出る前記第2の流体の噴流を、洗浄されるべき前記センサ/エミッタの表面に向けて偏向させるように構成された斜面(245)を備える、請求項6又は7に記載の伸縮式洗浄装置。
【請求項9】
検出アセンブリ(10)を備える自動車両(1)であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの伸縮式洗浄装置(2)を備え、
この伸縮式洗浄装置(2)が前記検出アセンブリの少なくとも1つのセンサ/エミッタ(11)の外面を洗浄するようになっていることを特徴とする自動車両(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の自動車両(1)の検出アセンブリ(10)のセンサ/エミッタ(11)の外面を洗浄するための方法であって、
該方法中に、制御ユニット(120)が、前記センサ/エミッタ(11)の前記外面上の水及び/又は汚れの存在の検出に関連する第1の情報項目(111)を受信し、
前記方法は、
水及び/又は汚れの存在の検出に関連する前記第1の情報項目(111)が肯定的であるときに、前記伸縮式洗浄装置が前記第1の流体を噴射するように前記制御ユニット(120)が前記伸縮式洗浄装置(2)に第1の命令(121)を送信する少なくとも第1のステップと、
検出システム(110)を使用して前記センサ/エミッタ(11)の前記外面上の水及び/又は汚れの存在をチェックする少なくとも第2のステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記方法中、前記第2のステップを実行した後、前記センサ/エミッタ(11)が清浄である状況に対応する第2の情報項目(112)を前記制御ユニット(120)が受信し、
前記方法は、洗浄方法が停止されるようにする第2の命令(122)を前記制御ユニット(120)が前記伸縮式洗浄装置(2)に送信する第3のステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法中、前記第2のステップを実行した後、前記センサ/エミッタ(11)の前記外面上の水及び/又は汚れの存在を前記検出システム(110)が検出する状況に対応する第3の情報項目(113)を前記制御ユニット(120)が受信し、
前記方法は、前記伸縮式洗浄装置(2)に対してこの伸縮式洗浄装置(2)の展開をもたらす第3の命令(123)を前記制御ユニット(120)が送信し、それにより、前記第2の流体が前記センサ/エミッタ(11)の前記外面上に噴射された後、前記第1の流体が前記センサ/エミッタ(11)のこの外面上に噴射される第3のステップを含み、
前記方法は、前記センサ/エミッタ(11)の前記外面上の水及び/又は汚れの存在を前記検出システム(110)がチェックする少なくとも第4のステップを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、自動車両を対象とした洗浄システムの分野であり、より詳細には、そのような車両が装備する運転支援システムを洗浄するようになっている洗浄システムの分野である。
【背景技術】
【0002】
最新の自動車両には、特定の操作においてドライバーを支援する又はドライバーの後を継ぐ一群の運転支援システムが装備される。これらの運転支援システムは、1つ以上のセンサ/エミッタによって検出される情報に基づいて動作される。これに関連して、各センサ/エミッタが完全に清浄であることが重要であり、それにより、システムが起動しない又は起動のタイミングが悪いというリスクがなくなる。
【0003】
スプレー装置によって噴射される洗浄剤を使用してこのタイプのセンサ/エミッタを洗浄することは既知のやり方である。洗浄剤はセンサ/エミッタ上の汚れを溶かすことができる。それにもかかわらず、洗浄剤のその後の乾燥は、カメラのレンズ上に残留物を残存させるとともに、画像を悪変化させて、センサ/エミッタが関連付けられるシステムのタイミングが悪い危険な起動を引き起こす場合がある。
【0004】
したがって、まず最初に光学面上に噴射されることによりこの光学面を洗浄して汚れを排除する洗浄液に加えて光学面上に乾燥流体、例えば空気を噴射する洗浄装置も知られている。この場合、洗浄装置の端部に配置される分配エンドピースから液体を噴射することによる洗浄サイクルの直後に、空気が、この分配エンドピースに輸送され、その後、光学面上に噴射される。この一連の動作が光学センサ/エミッタの高性能洗浄を可能にする。
【0005】
実施が容易な1つの解決策は、2つの別個の装置、すなわち、洗浄液用の装置と、乾燥流体用の装置とを設けて、一方を動作させた後に他方を連続して動作させることである。しかしながら、そのような実施形態が嵩張るとともに、よりコンパクトな解決策を求めることができるのが分かる。
【0006】
1つの同じ光学面上へ一方では洗浄液を噴射するために他方では特に乾燥流体を形成するべく加圧空気を噴射するために1つの同じ分配エンドピースが使用される装置が知られている。より具体的には、これらの洗浄システムは、2つの位置間での、すなわち、エンドピースがセンサ/エミッタの光学面の近傍で車両の車体の要素の容積内に収容される引き込み位置と、洗浄液用及び空気用のスプレーノズルがこの光学面に面している展開位置との間での並進移動で展開され得る本体の端部に分配エンドピースが配置される限りは、伸縮となる場合がある。
【0007】
典型的な実施形態によれば、エンドピースは、並んで配置されて流体のうちの一方を噴射するためにそれぞれ使用される2つのスプレーノズルを備えている場合があり、或いは、単一のスプレーノズルを備え、この単一のノズルを洗浄流体及び空気が二者択一的に通過する場合がある。
【0008】
関連する洗浄プロセスは、特に、伸縮式装置を展開させた後、装置が展開位置にある間に洗浄流体を噴射し、その後、装置が展開位置から引き込み位置に向かうその戻り移動を行なう際に洗浄液を乾燥させるべく空気を噴射することにある。
【0009】
現在のシステムの欠点のうちの1つは、センサ/エミッタ上の水及び/又は汚れの存在を検出するためのシステムがセンサ/エミッタ上の異質要素の存在を検出できるがそのタイプを区別できないという事実にある。例えば、そのようなシステムは水滴と埃との間を区別できない。現在、センサ/エミッタを洗浄して、例えば雨天時にこれらのセンサ/エミッタを乾燥させるには空気の噴射で十分であるという状況がある。結果として、そのような状況でのこれらのセンサ/エミッタの洗浄は、洗浄液の不必要な消費を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、センサ/エミッタの洗浄をそれぞれの状況に合うように適合させるべく空気のみを噴射できる又は空気と洗浄液とを噴射できる伸縮式洗浄装置を提案し、それにより、使用される洗浄液の量を節約するとともに、伸縮式装置の不必要な展開を回避するという点においてこの文脈に含まれる。好適には、本発明は、洗浄を最適化するべく、洗浄液が噴射される前に事前洗浄を実行できるようにもする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の1つの主題は、自動車両のセンサ/エミッタの外面に向けて少なくとも第1の流体及び少なくとも第2の流体を噴射するようになっている伸縮式洗浄装置であって、該伸縮式洗浄装置が、第1の流体用の少なくとも第1の分配オリフィスと第2の流体用の少なくとも第2の分配オリフィスとが配置される分配エンドピースを備え、伸縮式洗浄装置が、引き込まれる第1の位置と展開される第2の位置との間で、展開軸に沿って展開するように構成される、伸縮式洗浄装置に関する。本発明によれば、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスが洗浄装置の展開軸に沿って互いからオフセットされる。
【0012】
したがって、伸縮式洗浄装置は、分配エンドピースが伸縮式装置の展開方向に沿って2段階で配置される2つのスプレーノズル又は分配オリフィスを備えるという点で独特である。
【0013】
より具体的には、分配オリフィスは、分配エンドピースを支持する本体の端部から異なる距離を隔てて延在し、この場合、空気を噴射する分配オリフィスは、洗浄液を噴射する分配オリフィスが位置される距離よりも長い距離を本体のこの端部から隔てる。
【0014】
このようにして、伸縮式洗浄装置が引き込み位置にあるときに、洗浄されるべき表面が位置する車体表面下に洗浄液出口を隠すことができ、また、空気出口は作用可能である。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、伸縮式洗浄装置の展開軸と平行に第1の分配オリフィスと第2の分配オリフィスとの間で測定されるオフセットはゼロではない。例えば、このオフセットは2~30ミリメートルであってもよい。
【0016】
本発明の1つの特徴によれば、伸縮式洗浄装置は、第1の位置と第2の位置との間で展開するように構成され、第1の位置は、第1の分配オリフィスのみが覆われずに自由である引き込み位置に対応し、第2の位置は、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスが覆われずに自由である展開位置に対応する。言い換えると、その第1の位置にある伸縮式洗浄装置は、第1の流体のみを噴射するように構成されるが、その第2の位置にある伸縮式洗浄装置は、第1の流体及び/又は第2の流体を噴射できるように構成される。例えば、伸縮式洗浄装置の第1の位置は、分配ヘッドを突出できる車体要素内へ分配ヘッドが部分的に引き込まれる洗浄装置の引き込み位置に対応し、一方、第2の位置は、この伸縮式洗浄装置の展開位置に対応する。したがって、本発明が好適には伸縮式洗浄装置の位置にかかわらず第1の流体を噴射できるようにするとともに、第2の流体自体の噴射には伸縮式洗浄装置を展開させる必要があるのが分かる。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、伸縮式洗浄装置は、第1の流体用の少なくとも第1の入口オリフィス及び第2の流体用の少なくとも第2の入口オリフィスを備え、第1の入口オリフィスが第1のダクトによって第1の分配オリフィスに接続され、第2の入口オリフィスが第1のダクトとは別個の第2のダクトによって第2の分配オリフィスに接続される。したがって、伸縮式洗浄装置が、第1の流体と第2の流体とが決して接触しないように、入口から分配まで、互いに別個の2つのダクトを備えるように構成されるのが分かる。
【0018】
本発明によれば、伸縮式洗浄装置は、少なくとも1つの固定部と1つの移動部とを備える搬送体を備え、分配エンドピースが移動部の端部に形成される。
【0019】
本発明の1つの特徴によれば、搬送体の固定部は、伸縮式洗浄装置を引き込み可能にするべく構成される少なくとも1つの弾性戻り装置を備える。本発明によれば、この弾性戻り装置の圧縮のレベルは、第2のダクトの第1の部分に存在する第2の流体の量に依存する。言い換えると、第2のダクトの第1の部分における第2の流体の蓄積が弾性戻り装置の圧縮を引き起こし、それにより、伸縮式洗浄装置の搬送体の移動部が摺動する。第2のダクトからこの第2の流体がなくなった時点で、弾性戻り装置が初期位置に戻る傾向があり、それにより、移動部が引き込む。したがって、好適には、第2の流体の噴射が必要な場合にのみ伸縮式洗浄装置が展開されるのが分かる。
【0020】
例えば、本発明に係る伸縮式洗浄装置の搬送体の移動部は、伸縮式洗浄装置が展開されるときにだけこの移動部に形成される第2のダクトの第2の部分が第2の流体にアクセスできるように製造される。言い換えると、伸縮式洗浄装置がその第1の位置にあるときには、移動部が第2のダクトの第2の部分を遮断し、また、伸縮式洗浄装置がその第2の位置にあるとき、第2のダクトの第2の部分は、それが第2の流体を受けることができるように覆われない。
【0021】
好適には、第2の流体用の少なくとも第2の入口オリフィスには遮断手段が設けられ、該遮断手段は、それが第2の流体を第2のダクトに流入させることができるようにする少なくとも開位置と、それが第2の流体を第2のダクトに流入させないようにする少なくとも閉位置とをとるように構成される。より具体的には、遮断手段は、第2のダクトの第1の部分への第2の流体の流入を許容する又は防止するように構成される。遮断手段がその閉位置にあるときには、伸縮式洗浄装置がその第1の位置にあり、また、遮断手段がその開位置にあるときには、第2のダクトの第1の部分が第2の流体で満杯になり、それにより、本発明に係る伸縮式洗浄装置がその第2の位置まで展開する。或いは、遮断手段は、第2の流体を収容するリザーバの出口オリフィス上に配置されてもよい。
【0022】
本発明の特徴によれば、第1の流体が圧縮空気であり、第2の流体が洗浄液である。更に、圧縮空気と関連付けられる第1の分配オリフィスは、洗浄液と関連付けられる第2の分配オリフィスよりも長い距離を隔てて分配エンドピースに配置される。
【0023】
言い換えると、本発明は、伸縮式洗浄装置を展開することなく空気を吹き付けることができる可能性を与える。この空気は、一方では、センサ/エミッタの外面をこの外面が洗浄されてしまった後に乾燥させることができ、他方では、雨の場合にセンサ/エミッタのこの外面を乾燥させることができる。好適には、この空気は、伸縮式洗浄装置が展開されて洗浄液を噴射する前に、センサ/エミッタの外面の事前洗浄を行なうこともできる。したがって、空気を使用する事前洗浄ステップが不十分だと分かる場合にのみ、洗浄液がセンサ/エミッタの外面上へ噴射されることが理解される。
【0024】
本発明の特徴によれば、単独で又は組み合わせて、
-分配エンドピースが、洗浄されるべき光学面に面するとともに分配オリフィスが配置される噴射面と、エンドピース及び伸縮式洗浄装置の軸方向端面によって形成されるカバー面とを備え、噴射面が、該噴射面の先端部に形成される第1の分配オリフィスを自由な状態にするために第1の位置で部分的に引き込まれる、
-第1の分配オリフィスが、伸縮式洗浄装置の展開軸に対して略垂直な、第1の流体の噴流を形成するように構成される、
-第2の分配オリフィスが、分配エンドピースから出る第2の流体の噴流を、洗浄されるべきセンサ/エミッタの表面に向けて偏向させるように構成された斜面を備える、
ようにすることもできる。
【0025】
また、本発明は、検出アセンブリを備える自動車両であって、本発明に係る少なくとも1つの伸縮式洗浄装置を備え、この伸縮式洗浄装置が検出アセンブリの少なくとも1つのセンサ/エミッタの外面を洗浄するようになっている、自動車両に関する。
【0026】
本発明の1つの特徴によれば、第1の流体の主な噴射方向とセンサ/エミッタの外面が主に位置する平面との間の成す角度が-10°~10°である。好適には、この噴射振幅により、洗浄されるべきセンサ/エミッタの外面の様々な曲率に合うように伸縮式洗浄装置を適合させることができる。
【0027】
本発明によれば、検出アセンブリは、そのセンサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在を検出するための少なくとも1つのシステムを備える。例えば、水及び/又は汚れの存在を検出するためのこのシステムは、画像解析手段を備えてもよい。
【0028】
好適には、自動車両は、伸縮式洗浄装置の少なくとも展開を操作するように構成される制御ユニットも備える。言い換えると、制御ユニットは、少なくとも第2の流体のための第2の入口オリフィスを遮断するための手段を作動させるように構成される。前述したように、洗浄装置が展開できるようにするのは、この第2の流体の第2のダクト内への、より詳細にはダクトの第1の部分内への流入である。
【0029】
また、本発明は、本発明に係る自動車両の検出アセンブリのセンサ/エミッタの外面を洗浄するための方法であって、該方法中に、制御ユニットが、センサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在の検出に関連する第1の情報項目を受信し、方法は、水及び/又は汚れの存在の検出に関連する第1の情報項目が肯定的であるときに、伸縮式洗浄装置が第1の流体を噴射するように制御ユニットが伸縮式洗浄装置に第1の命令を送信する少なくとも第1のステップと、検出システムを使用してセンサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在をチェックする少なくとも第2のステップとを含む、方法に関する。ここで「第1の情報項目が肯定的である」とは、検出システムがセンサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在を実際に検出したことを意味する。
【0030】
第2のステップを実行した後に、センサ/エミッタが清浄である状況に対応する第2の情報項目を制御ユニットが受信する場合、方法は、洗浄方法が停止されるようにする第2の命令を制御ユニットが伸縮式洗浄装置に送信する第3のステップを含む。
【0031】
第2のステップを実行した後に、センサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在を検出システムが検出する状況に対応する第3の情報項目を制御ユニットが受信する場合、方法は、伸縮式洗浄装置に対してこの伸縮式洗浄装置の展開をもたらす第3の命令を制御ユニットが送信し、それにより、第2の流体がセンサ/エミッタの外面上に噴射された後、第1の流体がセンサ/エミッタのこの外面上に噴射される第3のステップを含み、方法は、センサ/エミッタの外面上の水及び/又は汚れの存在を検出システムがチェックする少なくとも第4のステップを更に含む。
【0032】
更なる特徴、詳細、及び、利点は、以下の図に関連して以下に例示として与えられる詳細な説明を読むことによって、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に係る伸縮式洗浄装置を備える自動車両を概略的に示す。
【
図2】
図1に示される自動車両のラジエーターグリルを概略的に示し、該ラジエーターグリルに本発明に係る伸縮式洗浄装置が組み込まれる。
【
図3】縦断面で見た本発明に係る伸縮式洗浄装置を描く。
【
図4】伸縮式洗浄装置の分配エンドピースの概略図であり、エンドピースによって分配される様々な流体間の噴射角度の違いを示す。
【
図5】本発明に係る伸縮式洗浄装置の第1の位置を示す。
【
図6】本発明に係る伸縮式洗浄装置の第2の位置を示す。
【
図7】
図5の第1の位置を示し、特に
図5及び
図6に見える分配エンドピース及び車体要素の表面を図示しており、車体要素の表面から本発明に係る洗浄装置が突出部として展開できる。
【
図8】
図6の第2の位置を示し、特に
図5及び
図6に見える分配エンドピース及び車体要素の表面を図示しており、車体要素の表面から本発明に係る洗浄装置が突出部として展開できる。
【
図9】本発明に係る伸縮式洗浄装置を使用する洗浄方法をブロック図の形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
説明の残りの部分において、「縦」、「横」、及び、「垂直」という用語は、自動車両に取り付けられたときの本発明に係る伸縮式洗浄装置の向きを指し、これに関しては、
図1~
図3に示される三面体L,V,Tを参照されたい。したがって、縦方向は、この伸縮式洗浄装置の主な延在方向に対応し、この縦方向は、図に示される三面体の縦軸Lと平行である。横方向は、三面体の横軸Tと平行な方向に対応し、この横軸Tは縦軸Lに対して垂直である。垂直方向は、三面体の垂直軸Vと平行な方向に対応し、この垂直軸Vは縦軸L及び横軸Tに対して垂直である。
【0035】
図1は、運転支援システムの検出アセンブリ10を備える自動車両1を概略的に示す。この検出アセンブリ10は、少なくとも1つのセンサ/エミッタ、例えば、
図2に示されるセンサ/エミッタと、本発明に係る伸縮式洗浄装置とを備える。ここに示される例において、検出アセンブリ10は、車両1の前面上に、例えばラジエーターグリルに配置される。説明の残りの部分において、「伸縮式洗浄装置」及び「洗浄装置」という用語は区別なく使用される。
【0036】
したがって、
図2は、センサ/エミッタ11と本発明に係る伸縮式洗浄装置2とを備える検出アセンブリ10の一例を示し、これらはそれぞれ、
図1に示される車両の構造要素、例えばこの車両のラジエーターグリルに固定されるようになっている支持要素12内に収容される。伸縮式洗浄装置2は、センサ/エミッタ11を洗浄する及び/又は乾燥するように構成される。勿論、検出アセンブリは、車両の構造要素に直接に固定されたセンサ/エミッタ11及び関連する伸縮式洗浄装置2を有する場合でも、本発明に準拠する。
【0037】
伸縮式洗浄装置2は、主に縦方向に延在し、この縦方向と平行な展開軸Dに沿って展開するように構成される。したがって、この伸縮式洗浄装置2は2つの極端位置間で移動でき、これらの位置は、「引き込み位置」としても知られる第1の位置と、「展開位置」としても知られる第2の位置であり、
図2は伸縮式洗浄装置をその第2の位置で示している。図示のように、展開軸Dは、洗浄及び/又は乾燥されるべきセンサ/エミッタ11が主に位置する平面P、より詳細には、このセンサ/エミッタ11の外面が主に位置する平面に対して垂直又は略垂直である。以下で更に詳しく説明されるように、流体分配エンドピースは、伸縮式洗浄装置の自由端に配置される。引き込み位置では、伸縮式洗浄装置が構造要素に形成されるハウジング内に配置されるため、分配エンドピースは少なくとも部分的に構造要素内に収容される、一方、展開位置では、分配エンドピースが構造要素から完全に突出する。
【0038】
本発明によれば、伸縮式洗浄装置2は、一方では第1の流体、より詳細には空気を噴射でき、他方では第2の流体、より詳細には洗浄液を噴射できる。以下でより一層十分に詳述するように、本発明に係る伸縮式洗浄装置2は、その第1の位置において、伸縮式洗浄装置が第1の流体のみを噴射できる、すなわち、空気を吹き付けることができる一方で、その第2の位置において、伸縮式洗浄装置が第1の流体及び第2の流体を噴射できる、すなわち、空気を吹き付けて洗浄液を噴射できるように構成される。言い換えると、例えば雨天時に、センサ/エミッタ11、より詳細にはこのセンサ/エミッタ11の外面を洗浄する又は乾燥させるのに空気の噴射が十分である場合、洗浄装置2は、車両の構造要素内へ引き込まれるその第1の位置にとどまる。これに対し、より大々的な洗浄が必要とされる場合、特に、汚れ又は昆虫がセンサ/エミッタの光学面上へ押し潰されている状態にある乾燥した天候において、洗浄装置2は、まず最初に、洗浄装置がその展開された極端位置にあるときにセンサ/エミッタ11の外面を洗浄するべく洗浄液の噴射を可能にするように展開し、その後、必要に応じて第2段階で、洗浄装置が引き込み位置に戻る際に、事前に噴射された洗浄液を乾燥させるべく空気を噴射するように構成される。したがって、洗浄装置2は、その引き込み位置において、センサ/エミッタ11の外面を乾燥させる又は該外面を事前洗浄することができ、また、洗浄装置は、センサ/エミッタ11の光学面のより集中的な洗浄が必要とされるときだけその展開位置をとるように作動されるのが分かる。
【0039】
図3は、本発明に係る伸縮式洗浄装置2の第1の実施形態の縦断面図である。
【0040】
伸縮式洗浄装置2は、円筒形の全体形状を有するとともに主に縦方向Xに延びる搬送体200を備える。この搬送体200は固定部210及び移動部220を備え、移動部220は、固定部210によって形成されるシリンダ内を摺動するピストンを形成する。移動部220が伸縮式洗浄装置2の展開軸Dに沿って移動できるのが分かる。言い換えると、特に「洗浄装置の搬送体の移動部の展開」を意味する「洗浄装置の展開」について言及する場合には、説明の残りの部分においてこれらの2つの表現が区別なく使用されるのが分かる。より具体的には、洗浄装置2は、
図3に示される方向Sで第1の展開方向に移動して展開位置をとり、第2の反対の引き込み方向に移動して、引き込み位置と称される第1の位置に戻る。
【0041】
図示のように、搬送体200は、第1の入口オリフィス231から第1の分配オリフィス232ー例えば、
図4及び
図5に見える-まで第1の流体を搬送するようになっている少なくとも第1のダクト230と、第2の入口オリフィス241から第2の分配オリフィス242まで第2の流体を搬送するようになっている少なくとも第2のダクト240とを備える。より詳細には、第1の分配オリフィス232及び第2の分配オリフィス242は、洗浄装置2の搬送体200の第1の縦方向自由端部を形成するとともに移動部220により形成されるピストンの自由端部の直接的な連続部分に位置される分配エンドピース201に形成される。
【0042】
より詳細には、分配エンドピース201は、分配オリフィス232,242が形成される
図4~
図8に見える噴射面204を備えさえすれば、装置が設置される車両の設計に適した任意の形状をとることができ、噴射面は、洗浄されるべき光学面に対向する面である。また、分配エンドピース201は、エンドピース及び伸縮式洗浄装置の軸方向端面に対応するカバー面205も備える。第1の位置では、末端界面のみが完全に見えるとともに、噴射面204が部分的に引き込まれ、噴射面204の先端部206が伸縮式洗浄装置のハウジングから延出する末端面に接続される。以下に記載されるように、第1の分配オリフィスのみが噴射面204のこの先端部206に配置される。
【0043】
搬送体200の反対側の縦方向端部は、それ自体、固定部を形成するシリンダを閉じるフランジから形成されるとともに、第1の入口オリフィス231が形成される第1の入口チューブ202と、第2の入口オリフィス241が形成される第2の入口チューブ203とを備える。第1の入口オリフィス231が、第1の流体、例えば圧縮空気を収容する第1のリザーバに接続され、第2の入口オリフィス241自体が、第2の流体、例えば洗浄液を収容する第2のリザーバに接続されるが、リザーバは図に描かれていないのが分かる。
【0044】
図示のように、第1のダクト230及び第2のダクト240は別個であって連通せず、そのため、第1の流体と第2の流体とが決して接触しない。
【0045】
第1の入口チューブ202は第1のダクト230の軸に沿って縦方向に配置され、また、洗浄装置の展開にかかわらず、第1の入口チューブを介して第1の分配オリフィス232に向けて流入される空気を流体密のダクトが案内する。このことから分かるように、第1のダクト230は、主に、搬送体200の移動部220に形成される。
【0046】
これに対し、第2の入口チューブ203は第2のダクト240に対して偏心しており、それにより、流入される洗浄液が第2のダクト240に直接に入らない。洗浄液が装置に注入されると、洗浄液がまず最初に緩衝室243に入り、この緩衝室の充填が、移動部220によって形成されるピストンに対する圧力の印加に寄与する。このことから分かるように、第2のダクト240は、緩衝室によって形成されて搬送体200の固定部210内へ延びる第1の部分243と、第1のダクト230と平行に搬送体200の移動部220内へ延びる第2の部分244とを備える。第2のダクト240の第1の部分243は、第2の流体のための入口オリフィス241に流体的に接続され、また、その部分のためのこの第2のダクト240の第2の部分244は、第2の分配オリフィス242に流体的に接続される。
【0047】
緩衝室243は、入口チューブを支持する閉鎖フランジによって、及び、移動部220の外周から突出するカラー221によって、縦方向で画定される。言い換えると、この緩衝室に入る洗浄流体は、移動部を形成するピストンを押し進めることによってピストンを入口オリフィスから離れるように移動させて強制的に展開させる傾向を有する。
図3から分かるように、第2のダクト240の第2の部分244及び対応する分配オリフィス242は、洗浄装置2が引き込み位置にある限りにおいて第2の流体にアクセスできず、また、本発明に係る洗浄装置2が展開位置にあるときに、流体が入口オリフィスから緩衝室及び第2のダクトを介して分配オリフィスへ自由に循環できる。
【0048】
弾性戻り装置211が、固定部210を形成するシリンダの壁と緩衝室243から離れる方向を向くカラー221の面との間に収容される。弾性戻り装置211は、第2のダクト240と関連付けられる緩衝室243が第2の流体で徐々に満杯になるにつれて漸進的に圧縮するように構成される。弾性戻り装置211を圧縮してこの移動部220が展開できるようにするのは、移動部220上に突出部として形成されるカラー221を介してこの第2の流体によって移動部220に及ぼされる圧力であり、それにより、この移動部は、方向Sで摺動し、したがって、第2のダクト240の第2の部分244を第2の流体にアクセスできるようにし、そのため、第2の分配オリフィス242を介してこの第2の流体を噴射されることができるのが分かる。以下のことから分かるように、第2の流体が第2の入口オリフィスを介して装置に注入されなくなると、弾性戻り装置211は、洗浄装置2が引き込むことができるようにしようとし、それにより、搬送体200の移動部240は、洗浄装置2がその引き込み位置に戻るように展開方向Sとは反対の方向に摺動する。
【0049】
図3に示される例において、搬送体200の固定部210の一方の縦方向端部は、この搬送体200の移動部220を案内するガイドスリーブ212の形態をとる。更に、このスリーブ212の一方の縦方向端部213は、移動部210の突出部として形成されるカラー221のための端部ストッパを形成する。したがって、固定部210に対する移動部220の摺動は、この端部ストッパによって縦方向で制限される。
【0050】
第1の入口オリフィス231は、特に装置及び分配エンドピースが引き込まれた第1の位置にあるときに第1の流体を流入させて第1の流体が第1の分配オリフィス232の方向で第1のダクトに沿って通過できるようにする開位置と、特に装置及び分配エンドピースが展開された第2の位置にあるときに第1のダクト240への空気の流入を防止する閉位置とをとるように構成される遮断手段-ここには描かれない-を備えてもよい。同様に、第2の入口オリフィス231は、特に装置及び分配エンドピースが展開された第2の位置にあるときに第2の流体を流入させて第2の流体が第2の分配オリフィス232の方向で第2のダクトに沿って通過できるようにする開位置と、装置及び分配エンドピースを引き込まれた第1の位置に維持するべく洗浄流体の装置内、特に第2のダクト内への流入を防止する閉位置とをとるように構成される遮断手段-ここには描かれない-を備えてもよい。
【0051】
図9を参照して、以下で更に十分詳しく説明するように、本発明に係る洗浄装置2を備える車両は、この又はこれらの遮断手段の開閉を操作するように構成される少なくとも1つの制御ユニットも備える。
【0052】
本発明によれば、特に
図4の概略図に示されるように、第1の分配オリフィス232及び第2の分配オリフィス242は、伸縮式洗浄装置2の展開軸Dに沿って互いからオフセットされる。言い換えると、第1の分配オリフィス232と第2の分配オリフィス242との間で測定されるこの展開軸Dと平行な軸方向オフセットdは、ゼロ以外の値を有する。このオフセットdは
図6においても明らかである。好適には、オフセットdのゼロ以外の値は2~30ミリメートルである。
【0053】
更に、乾燥用の空気を排出できる第1の分配オリフィス232と洗浄液を排出できる第2の分配オリフィス242との間の軸方向オフセットは、第2の分配オリフィスが装置の固定部に最も近接して位置されるように設定され、第1の分配オリフィスは、車両の車体の表面から、すなわち、洗浄されるべきセンサ/エミッタ10の外面が位置する平面Pから最も離れて突出するオリフィスである。
【0054】
軸方向オフセットの大きさは、特に、第2の分配オリフィス242が見えずに車体の表面の背後に隠されるように分配エンドピースが少なくとも部分的に引き込まれる第1の位置において、第1の分配オリフィスがそれ自体覆われることなく洗浄面に向かって空気を噴射するのに何ら障害を伴わないように決定される。
図4に概略的に示されるように、第1の分配オリフィス232は、略平坦な、すなわち、車体の表面と略平行な空気の噴流を出口で生成するように構成される。好適には、第1の分配オリフィス232は、第1の流体の主な噴射方向と主に洗浄されるべきセンサ/エミッタ11の外面が位置する平面とが-10°~10°の角度を成すように構成される。
【0055】
以上から、すなわち、分配オリフィスの軸方向オフセットから分かるように、第1の分配オリフィス232及び第2の分配オリフィス242は、いずれも覆われずに何ら障害を伴わず、すなわち、伸縮式洗浄装置2がその展開位置と称されるその第2の位置にあるときに、車体の外側にあって、洗浄されるべき光学センサ/エミッタの外面が位置する平面Pから離れている。また、この第2の位置では、平坦な噴流を生成する第1の分配オリフィス232の配置によって空気の噴射による洗浄がこの時点で有効且つ作用可能となり得ないことも分かる。以下で説明するように、第1の分配エンドピースを介して空気を噴射することによる乾燥の工程は、装置が展開された第2の位置と引き込まれた第1の位置との間で引き込み位置へと戻っている際に行なわれる。
【0056】
図4に概略的に示されるように、第2の分配オリフィスは、洗浄されるべき表面を洗うのに有利な衝突角度で洗浄液を洗浄されるべき表面上に噴射するべく、車体の表面に対して車体の方向で傾けられる洗浄液の噴流を出口で生成するように構成される。より詳細には、第2の分配オリフィスは、第2の流体の主な噴射方向と主に洗浄されるべきセンサ/エミッタ11の外面が位置する平面Pとが30°~60°の角度を成すように構成され、角度は、洗浄液の噴流がこの平面へ向けて偏向されるようになっている。
【0057】
本発明に係る分配エンドピースは、流体出口が千鳥状になるように、つまり、
図4に概略的に示される伸縮式洗浄装置の展開軸に対して垂直な断面の両側で流体出口が軸方向に配置されるように構成される。更に、流体出口は、これらの各出口によってそれぞれ噴射される流体がこの断面の一方側で延びるように構成される。
【0058】
図5及び
図7はそれぞれ、本発明に係る伸縮式洗浄装置2の第1の位置及び第2の位置を示す。前述のように、第1の位置は、洗浄装置が第1の位置にあるときには、第1の流体、すなわち空気を噴射できるように第1の分配オリフィスのみが覆われていないのに対し、洗浄装置が第2の位置にあるときには、特にこの第2の位置で洗浄液である第2の流体の噴射を可能にし、その後、より詳細には装置が開始位置へ戻る際に、空気の噴射を可能にして洗浄液が残留する光学面を乾燥させるべく、両方のオリフィスが覆われていないという点で、第2の位置とは異なる。
【0059】
言い換えると、洗浄装置2が
図5に示されるその第1の位置にあるときには、分配エンドピース201の一方の縦方向端部のみが、第1の分配オリフィスが形成される噴射面204の先端部206と共に、車両の車体を越えて、すなわち、洗浄されるべきセンサ/エミッタ11の外面が位置する平面P、より詳細にはカバー面205を越えて延びる。これに対し、洗浄装置2が
図7に示される第2の位置にあるときには、分配エンドピース201の全体が、センサ/エミッタ11の外面が位置する平面を超えて延びる。
【0060】
また、
図6は、第1の分配オリフィス232と第2の分配オリフィス242との間で測定される、ゼロ以外の値の軸方向オフセットdも示す。前述のように、このオフセットdは、洗浄装置の展開軸と平行に測定される。より具体的には、この軸方向オフセットdは、第1の分配オリフィス232の中心と第2の分配オリフィス242の中心との間で、この展開軸と平行に測定される。
【0061】
更に、洗浄液の噴流は、洗浄されるべき光学面に対する噴流の傾きを示すために
図6に一例として描かれている。先に明記できたように、分配エンドピースから出る洗浄液の噴流は、30~60°の値の角度を成す。この噴射角度は、特に、とりわけ
図7及び
図8に見えるように、第2のダクトから出る洗浄液の経路中に配置される斜面245の存在によって得られる。
【0062】
これらの
図7及び
図8は、特に、分配エンドピース201の詳細、及び、装置が伸縮自在に展開する際に装置が突出部として延びてくる車体表面を明らかにし、これらの図が車両の内側からの眺めであることが分かる。
【0063】
図7は、第1の分配オリフィスのみが車体表面を越えて延びている
図5の第1の位置を示す。第1のダクト230を第1の分配オリフィス232に接続する循環ダクト233を明らかにするために分配エンドピースが部分断面で描かれている。この循環ダクトによって形成される小さい通路断面により、乾燥又は汚れの除去に効果的な圧力で空気を噴射することができる。第1の分配オリフィス232は、噴射面204に通じている循環ダクト233の開口端によって形成される。
【0064】
図8は、両方の分配オリフィス231,232が車体表面を越えて延びている
図6の第2の位置を示す。分配エンドピースは、第2の分配オリフィス232の位置で第2のダクト240の出口に形成される斜面形状245を明らかにするために部分断面で描かれている。
【0065】
そして、最後に、
図9は、本発明に係る洗浄装置2を用いた洗浄方法をブロック図の形態で概略的に示す。
【0066】
本発明に係る洗浄装置2を使用して外面が洗浄及び/又は乾燥され得るセンサ/エミッタ11は、好適には、水及び/又は汚れの存在を検出する検出システム110を備える。したがって、この検出システム110がセンサ/エミッタ11の外面上の水及び/又は汚れの存在を実際に検出すると、該検出システムは、対応する第1の情報項目111を車両制御ユニット120に送信する。
【0067】
その後、この制御ユニット120は、第1の命令121を本発明に係る洗浄装置2に送信し、それにより、洗浄装置は、センサ/エミッタ11の外面上へ第1の流体を噴射、この場合には空気を噴射する。その後、検出システム110がセンサ/エミッタ11の外面の状態をチェックするステップが続く。このチェックステップから、センサ/エミッタ11の外面が清浄あることが明らかになれば、検出システムが対応する第2の情報項目112を制御ユニット120に送信し、その結果、制御ユニット120が第2の命令122を洗浄装置2に送信でき、この第2の命令122は洗浄方法を終了する効果を有し、洗浄方法は、前述したように、検出システム110がセンサ/エミッタ11のこの外面上の水及び/又は汚れの存在を再度検出するときに再開される。
【0068】
これに対し、センサ/エミッタ11の外面が正しく洗浄されていないことがチェックステップから明らかになれば、検出システム110は、対応する第3の情報項目113を制御ユニット120に送信する。したがって、制御ユニット120は、第3の命令123を洗浄装置2に送信するように構成され、その結果、前述の第2の入口オリフィスの遮断手段がその開位置をとり、それにより、この第2の流体が第2のダクトに到達でき、したがって、洗浄装置が展開できるとともに、この第2の流体、この場合には洗浄液を噴射できる。適切な場合には、伸縮式装置が第1の位置へ戻っているときに、第2の流体の残留物を乾燥させるべく、第2の流体の噴射後に、第1の流体の噴射が行なわれるように、他の命令が発せられる。その後、検出システム110によりチェックする更なるステップが続き、該ステップは前述のチェックステップと同様である。洗浄液を噴射してこの洗浄液を乾燥させるステップが必要な回数だけ実行されてもよいこと、すなわち、センサ/エミッタの外面上に存在する水及び/又は汚れの全て又は殆ど全てが除去されてしまうまでこれらのステップが繰り返されることが理解されるべきである。
【0069】
したがって、本発明は、特に伸縮式装置展開機構が動作されることなく空気を吹き付けることによって洗浄工程を行なうことができることにより、洗浄液を節約できるようにする簡単で安価な手段を提供する。これは、ひいては、洗浄液と機械装置の不必要な摩耗とを節約するが、車両に存在するセンサ/エミッタの洗浄の質に悪影響を与えない。
【0070】
しかしながら、本発明は、本明細書中に記載されて例示される手段及び形態に限定されないとともに、全ての同等の手段又は形態、及び、そのような手段の任意の技術的に作用可能な組み合わせにも及ぶ。特に、第1の分配オリフィス及び第2の分配オリフィスの形状及びレイアウトは、それらが本文書に記載されて例示される機能を与えれば、本発明に不利益を伴うことなく改変され得る。