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特許7183319情報処理装置、予測方法および予測プログラム
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  • 特許-情報処理装置、予測方法および予測プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、予測方法および予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221128BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021024408
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126374
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 景子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩正
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-326475(JP,A)
【文献】特開2019-144757(JP,A)
【文献】特開2019-148973(JP,A)
【文献】特開2009-187288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に実施したプロジェクトのリスクに関する特徴量であって、前記プロジェクトで利用するハードウェアの規模、前記プロジェクトで提供するサービスの内容を含む前記特徴量と、前記プロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することでモデルを生成する学習部と、
前記モデルに、あるプロジェクトの特徴量を入力し、前記あるプロジェクトの原価率を予測する予測部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ハードウェアの規模は、サーバ機器の台数、端末機器の台数、拠点数を含み、前記サービスの内容は、ファシリティを構築するか否かの情報、サーバ、ストレージを構築するか否かの情報、ネットワークを構築するか否かの情報、クラウドを構築するか否かの情報、データ移行を行うか否かの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部によって予測された前記あるプロジェクトの原価率と、ユーザによって事前設定された前記あるプロジェクトの予定原価率との差分を算出し、前記予定原価率と、前記差分との関係を示すグラフを生成する生成部を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、同一のあるプロジェクトに関して、複数のユーザによって設定された複数の特徴量を取得し、複数の特徴量をそれぞれ前記モデルに入力して、複数の原価率を予測し、前記生成部は、ユーザと、該ユーザが設定した特徴量に対応する原価率とを対応付けた情報を更に生成することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記あるプロジェクトの原価率の実績値を取得する度に、前記あるプロジェクトの特徴量と、前記あるプロジェクトの原価率の実績値とを記憶部に蓄積する取得部を更に有し、前記学習部は、前記記憶部に蓄積した情報を用いて、前記モデルの機械学習を再度実行することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
過去に実施したプロジェクトのリスクに関する特徴量であって、前記プロジェクトで利用するハードウェアの規模、前記プロジェクトで提供するサービスの内容を含む前記特徴量と、前記プロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することで生成されたモデルを記憶する記憶部と、
前記モデルに、あるプロジェクトの特徴量を入力し、前記あるプロジェクトの原価率を予測する予測部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する予測方法であって、
過去に実施したプロジェクトのリスクに関する特徴量であって、前記プロジェクトで利用するハードウェアの規模、前記プロジェクトで提供するサービスの内容を含む前記特徴量と、前記プロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することでモデルを生成し、
前記モデルに、あるプロジェクトの特徴量を入力し、前記あるプロジェクトの原価率を予測する
処理を実行することを特徴とする予測方法。
【請求項8】
コンピュータに、
過去に実施したプロジェクトのリスクに関する特徴量であって、前記プロジェクトで利用するハードウェアの規模、前記プロジェクトで提供するサービスの内容を含む前記特徴量と、前記プロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することでモデルを生成し、
前記モデルに、あるプロジェクトの特徴量を入力し、前記あるプロジェクトの原価率を予測する
処理を実行させることを特徴とする予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ある商談(プロジェクト)の発生が認識された後、各種社内手続き・審議工程を経て、契約がなされる。この、商談が認識されてから契約が成立するまでの間に、プロジェクトに関する採算の見積もりが行われる。
【0003】
プロジェクトの採算を見積もる場合には、その商談が受注した暁にプロジェクトを推進する責任者となるプロジェクトマネージャー(PM:Project Manager)が、顧客とのヒアリングやプロジェクトに関するRFP等の資料を確認して、独自に判断し作成している。
社内の各種手続き・審議工程では、過去にプロジェクトマネージャーを多数担ってきた経験豊富な専門家を監査人として、第三者的立場で、プロジェクトマネージャーが独自に作成した見積りを監査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-287849号公報
【文献】特開2006-18532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の経済状況から大型のプロジェクトのみならず、中小規模のプロジェクトが増加しており、各プロジェクトの採算性を適切に予測することが求められている。
【0006】
しかし、専門家の人数が限られているため、プロジェクトの見積もりに関する作業を全て専門家が行うことが困難な場合がある。また、見積もりに失敗して不採算となるプロジェクトを誤って受注してしまう場合もあり得た。
【0007】
1つの側面では、本発明は、不採算となるプロジェクトを検知することができる情報処理装置、予測方法および予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の案では、情報処理装置は、学習部と、予測部とを有する。学習部は、過去に実施したプロジェクトのリスクに関する特徴量であって、プロジェクトで提供するハードウェアの規模、プロジェクトで提供するサービスの内容を含む特徴量と、プロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することでモデルを生成する。予測部は、モデルに、あるプロジェクトの特徴量を入力し、あるプロジェクトの原価率を予測する。
【発明の効果】
【0009】
誰もが、不採算となるプロジェクトを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施例に係るシステムを示す図である。
図2図2は、プロジェクトの基本情報の一例を示す図である。
図3図3は、プロジェクトの特徴量情報の一例を示す図である。
図4図4は、予測結果の画面情報の一例を示す図である。
図5図5は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、履歴データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、バブルチャートの一例を示す図である。
図8図8は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する情報処理装置、予測方法および予測プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例
【0012】
図1は、本実施例に係るシステムを示す図である。図1に示すように、このシステム1は、情報処理装置100と、端末装置10a,10b、10cとを有する。情報処理装置100と、端末装置10a~10cは、ネットワーク20を介して相互に接続される。図1に示す例では、端末装置10a~10cを示すが、このシステム1では、他の端末装置を有していてもよい。以下の説明では、端末装置10a~10cをまとめて、端末装置10と表記する。
【0013】
端末装置10は、ユーザ(全社員)が、利用する端末装置であり、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等に対応する。たとえば、ユーザは、端末装置10を操作して、プロジェクトに関する情報(以下、プロジェクト情報)を入力すると、端末装置10は、プロジェクト情報の予測要求を、情報処理装置100に送信する。かかる予測要求には、プロジェクト情報が付与される。
【0014】
プロジェクト情報には、プロジェクトの基本情報と、プロジェクトの特徴量に関する情報(以下、特徴量情報)が含まれる。図2は、プロジェクトの基本情報の一例を示す図である。図2に示すように、基本情報には、プロジェクト名、顧客名、識別番号、予定原価率、担当者、売上金額等が含まれる。プロジェク名は、プロジェクトの名称である。顧客名は、顧客の名称である。識別番号は、プロジェクトを識別する番号である。
【0015】
予定原価率は、担当者等が予想するプロジェクトの原価率である。担当者は、プロジェクトの担当者である。売上金額は、プロジェクトの売上金額である。基本情報には、図2に示したプロジェクト名、顧客名、案件番号、予定原価率、担当者、売上予想金額以外の情報が更に含まれていてもよい。
【0016】
プロジェクトの特徴量情報は、過去に実施したプロジェクトのリスクに関する情報であって、プロジェクトで利用するハードウェアの規模、プロジェクトで提供するサービスの内容を含む。
【0017】
図3は、プロジェクトの特徴量情報の一例を示す図である。図3に示す例では、特徴量情報は、特徴量の項目と、特徴量の入力値とを対応付ける。項目には、ファシリティ構築、サーバ/ストレージ構築、NW(New Work)構築、DB(Data Base)構築、クラウド構築、アプリ(アプリケーションソフトウェア)との整合、移行作業、サーバ機器の台数、端末機器の台数、拠点数、部門数、技術スキル、製品選定方法等を含む。
【0018】
ファシリティ構築は、電気工事、施設工事などの各種工事、DC(Data Center)構築関連、機器移設等を示し、ファシリティ構築に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0019】
サーバ/ストレージ構築は、サーバまたはストレージの設計、設定、動作検証等を示し、サーバ/ストレージ構築に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0020】
NW構築は、ネットワークの設計、設定、動作検証等を示し、ネットワーク構築に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0021】
DB構築は、PaaS(Platform as a Service)を含むデータベースの設計、設定、動作検証等を示し、データベース構築に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0022】
クラウド構築は、IaaS(Infrastructure as a Service)を含むクラウドの設計、設定、動作検証等を示し、クラウド構築に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0023】
アプリとの整合は、アプリを含めた動作検証等を示し、アプリとの整合に関する作業を行う場合には、入力値が「1」となり、作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0024】
移行作業は、データ移行またはアプリ移行を示し、移動作業を行う場合には、入力値が「1」となり、移行作業を行わない場合には、入力値が「0」となる。
【0025】
サーバ機器の台数は、プロジェクトで利用するサーバ機器の台数を示す。入力値には、サーバ機器の台数が設定される。
【0026】
端末機器の台数は、プロジェクトで利用する端末機器の台数を示す。入力値には、端末機器の台数が設定される。
【0027】
拠点数は、プロジェクトを実行する場合に作業員が利用する拠点の数を示す。入力値には、拠点数(拠点の数)が設定される。
【0028】
部門数は、プロジェクトを実行する場合に作業員が所属する部門の数を示す。入力値には、部門数(部門の数)が設定される。
【0029】
技術スキルは、プロジェクトを実行する作業員の技術スキルを示す。入力値には、複数の技術スキルに関する選択項目の候補が含まれ、いずれかの選択項目が選択される。
【0030】
製品選定方法は、プロジェクトに関する製品の選定方法を示す。入力値には、複数の製品選定方法に関する選択項目の候補が含まれ、いずれかの選択項目が選択される。
【0031】
図3で説明した特徴量情報の項目には、ファシリティ構築、サーバ/ストレージ構築、NW構築、DB構築、クラウド構築、アプリとの整合、移行作業、サーバ機器の台数、端末機器の台数、拠点数、部門数、技術スキル、製品選定方法が含まれている場合について説明したが、他の項目が更に含まれていてもよい。
【0032】
図1の説明に戻る。情報処理装置100は、過去のプロジェクト情報の履歴を用いて機械学習を実行することで、予測モデルを生成しておくものとする。本実施例では、予測モデルを決定木(Decision Tree)として説明を行うが、これに限定されるものではなく、NN(Neural Network)等であってもよい。たとえば、予測モデルに特徴量情報を入力すると、原価率の予測値が算出される。
【0033】
情報処理装置100は、端末装置10からプロジェクト情報の予測要求を受信した場合、プロジェクト情報に含まれる特徴量情報を、予測モデルに入力することで、プロジェクトの原価率を予測する。予測モデルを用いて予測した原価率を「予測原価率」と表記する。情報処理装置100は、予測結果を基にして、予測結果の画面情報を生成し、端末装置10に表示させる。
【0034】
図4は、予測結果の画面情報の一例を示す図である。図4に示すように、この画面情報30には、表示領域30a,30bが含まれる。表示領域30aには、プロジェクト情報の基本情報に関する項目が表示される。たとえば、表示領域30aには、プロジェクト名、顧客名、営業部門、識別番号、売上金額等が含まれる。
【0035】
表示領域30bには、担当者と、予定原価率と、原価率予測区分とが含まれる。担当者は、プロジェクト情報の基本情報に含まれる担当者に対応する。予定原価率は、プロジェクト情報の基本情報に含まれる予定原価率に対応する。原価率予測区分は、予定原価率と、予測原価率との乖離具合を示す情報である。
【0036】
たとえば、予測原価率から予定原価率を減算した値が第1閾値以上である場合に、「区分A」となる。予測原価率から予定原価率を減算した差分値が第1閾値未満、第2閾値以上(第1閾値>第2閾値とする)である場合に、「区分B」となる。予測原価率から予定原価率を減算した差分値が、第2閾値未満、第3閾値以上(第2閾値>第3閾値とする)である場合に、「区分C」となる。
【0037】
予測原価率から予定原価率を減算した差分値が、第3閾値未満、第4閾値以上(第3閾値>第4閾値とする)である場合に、「区分D」となる。予測原価率から予定原価率を減算した差分値が、第4閾値未満、第5閾値以上(第4閾値>第5閾値とする)である場合に、「区分E」となる。予測原価率から予定原価率を減算した差分値が、第5閾値未満である場合に、「区分F」となる。
【0038】
たとえば、第1閾値、第2閾値を正の閾値とし、第3閾値、第4閾値、第5閾値を負の閾値とする。そうすると、区分A,Bは、ユーザの想定する予定原価率よりも、予測原価率が大きくなっており、不採算の傾向となるプロジェクトであることを示す。一方、区分C~Fは、ユーザの想定する予定原価率と予測原価率との乖離が小さい、あるいは、予測原価率が予定原価率を下回っており、採算の取れるプロジェクトであることを示す。
【0039】
図示を省略するが、図4では、予測モデル(決定木)の予測結果に影響を与えた特徴情報の項目(説明変数)と影響度の大きさとを対応付けた情報が表示される表示領域を更に含んでいてもよい。この表示領域では、影響度の大きい項目が順に表示される。
【0040】
上記のように、本実施例に係る情報処理装置100は、過去の履歴を基にした機械学習により予測モデルを生成しておく。情報処理装置100は、端末装置10から受信した特徴量情報を、予測モデルに入力して、原価率の予測値(予測原価率)を算出し、予測結果の画面情報30を端末装置10に表示させる。ユーザが、画面情報30に示される自身の予測した予定原価率と予測原価率との乖離具合を示す原価率予測区分を参照することで、不採算となるプロジェクトを検知することができる。
【0041】
次に、図1で説明した情報処理装置100の構成の一例について説明する。図5は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、この情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0042】
通信部110は、ネットワーク20を介して、端末装置10または図示しない外部装置との間で情報の送受信を行う。たとえば、通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0043】
入力部120は、各種の情報を、入力する入力装置である。入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0044】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。表示部130は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、タッチパネル等に対応する。
【0045】
記憶部140は、履歴データベース141、予測モデル142を有する。記憶部140は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0046】
履歴データベース141は、過去のプロジェクト情報を保持するデータベースである。図6は、履歴データベースのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、この履歴データベース141は、項番に対応付けて、プロジェクト情報と、原価率(実績値)とを保持する。プロジェクト情報は、図2で説明した基本情報と、図3で説明した特徴量情報が含まれる。原価率(実績値)は、該当するプロジェクトを受注した際の実際の原価率を示す。履歴データベース141は、予測モデル142を機械学習する場合に用いられる教師データに対応する。
【0047】
予測モデル142は、履歴データベース141に基づく機械学習によって生成されるモデルである。たとえば、予測モデル142は、決定木、ランダムフォレスト等のモデルに対応し、特徴量情報が入力されると、特徴量情報に対応する原価率(実績値)が計算される。
【0048】
図3の説明に戻る。制御部150は、取得部151と、学習部152と、予測部153と、生成部154とを有する。制御部150は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)により実現される。また、制御部150は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実行されてもよい。
【0049】
取得部151は、プロジェクト情報の履歴に関する各種の情報を取得する。たとえば、取得部151は、端末装置10や、他の外部装置等から、過去のプロジェクト情報と、原価率(実績値)との組を取得し、過去のプロジェクト情報と、原価率(実績値)とを対応付けて、履歴データベース141に登録する。
【0050】
取得部151は、端末装置10や、他の外部装置等から、過去のプロジェクト情報と、原価率(実績値)との組を取得する度に、上記処理を繰り返し実行する。
【0051】
学習部152は、履歴データベース141に保持された特徴量情報と、原価率(実績値)との関係を基にして、機械学習を実行し、予測モデル142を生成する。学習部152は、生成した予測モデル142の情報を、記憶部140に記録する。学習部152が実行する機械学習は、どのような従来技術を用いてもよい。
【0052】
学習部152は、前回の機械学習を行ってから、所定期間経過し、履歴データベースに新規の情報が蓄積された場合に、予測モデル142を再学習してもよい。
【0053】
予測部153は、端末装置10からプロジェクト情報の予測要求を受信した場合に、プロジェクト情報の特徴量情報を、予測モデル142に入力することで、予測原価率を算出する。予測部153は、予測原価率と、受信したプロジェクト情報を、生成部154に出力する。また、予測部153は、予測モデル142に含まれる条件分岐(説明変数)を特定し、予測原価率を算出した際の、各説明変数の影響度を、生成部154に出力する。影響度が大きい説明変数ほど、予測原価率の計算により大きな影響を与えたものといえる。
【0054】
ここで、予測部153は、複数の端末装置10からプロジェクト情報をそれぞれ受信した場合には、各プロジェクト情報の特徴量情報を、予測モデル142に入力して、予測原価率をそれぞれ算出する。予測部153は、各プロジェクト情報に対応する予測原価率を、生成部154に出力する。
【0055】
生成部154は、予測部153から、プロジェクト情報、予測原価率、各説明変数の影響度の情報を取得し、画面情報を生成する。生成部154が生成する画面情報は、図4に示した画面情報に対応する。たとえば、生成部154は、プロジェクト情報に含まれる基本情報を基にして、画面情報30の表示領域30aの情報を生成する。
【0056】
生成部154は、プロジェクト情報に含まれる予定原価率と、予測部153に予測された予測原価率とを基にして、画面情報30の表示領域30bの情報を生成する。たとえば、生成部154は、「予測原価率」から「予定原価率」を減算した差分値を算出し、差分値と、第1~第5閾値との比較を行うことで、原価予測区分A~Fのいずれかを特定する。図4で説明したように、生成部154は、表示領域30bに、予定原価率、原価率予測区分、基本情報の担当者を設定する。
【0057】
生成部154は、予測部153から取得した項目(説明変数)および影響度との関係を基にして、予測モデル(決定木)の予測結果に影響を与えた特徴情報の項目(説明変数)と影響度の大きさとを対応付けた情報を生成する。たとえば、生成部154は、項目を影響度の大きさの降順にソートし、上位N個の項目を選択する。生成部154は、選択した上位N個の項目と、影響度との関係を視覚可能に、画面情報30に設定する。
【0058】
ここで、生成部154は、複数のプロジェクト情報に関する予測原価率を取得した場合には、各プロジェクト情報に関する予定原価率および予測原価率を基にして、各原価予測区分を特定する。生成部154は、各プロジェクト情報に関する予定原価率、原価予測区分、担当者の組を、表示領域30bに設定する。ユーザは、かかる表示領域30bを参照することで、担当者毎の予定原価率および原価予測区分を比較することができる。
【0059】
生成部154は、上述した画面情報30に加えて、次に説明するバブルチャートの画面情報を生成してもよい。図7は、バブルチャートの一例を示す図である。図7において、横軸は、予定原価率に対応する。縦軸は、原価率予測区分に対応する。生成部154は、予定原価率及び原価率予測区分に対応する領域に、プロジェクト情報に対応する楕円を設定する。
【0060】
たとえば、第1プロジェクト情報に対応する予定原価率を「86%」、原価率予測区分を「A」とすると、第1プロジェクト情報に対応する楕円は、楕円O1となる。第2プロジェクト情報に対応する予定原価率を「70%」、原価率予測区分を「D」とすると、第2プロジェクト情報に対応する楕円は、楕円O2となる。
【0061】
第3プロジェクト情報に対応する予定原価率を「83%」、原価率予測区分を「E」とすると、第1プロジェクト情報に対応する楕円は、楕円O3となる。第4プロジェクト情報に対応する予定原価率を「86%」、原価率予測区分を「F」とすると、第4プロジェクト情報に対応する楕円は、楕円O4となる。
【0062】
生成部154は、プロジェクト情報の基本情報に設定された売上金額が大きいほど、楕円の大きさを大きくする。生成部154は、予定原価率と、原価率予測区分との組み合わせに応じた色を、楕円に設定する。図7に示す例では、楕円O1を第1の色(たとえば、赤色)で表示させ、楕円O2を第2の色(たとえば、青色)で表示させ、楕円O3,O4を第3の色(たとえば、黄色)で表示させる。予定原価率および原価率予測区分の組と、色との関係は、予め管理者が設定しておくものとするが、原価率予測区分がA,Bとなるプロジェクト情報の楕円を第1の色で表示することで、不採算となるプロジェクト情報を容易に把握することができる。
【0063】
生成部154は、図4で説明した画面情報30および図7で説明したバブルチャートの画面情報を、端末装置10に送信して表示させる。また、生成部154は、図4で説明した画面情報30および図7で説明したバブルチャートの画面情報を、表示部130に出力して表示させてもよい。
【0064】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。図8は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、情報処理装置100の学習部152は、履歴データベース141を基にして機械学習を実行し、予測モデル142を生成する(ステップS101)。
【0065】
情報処理装置100の予測部153は、プロジェクト情報の予測要求を取得する(ステップS102)。予測部153は、特徴量情報を予測モデル142に入力して、予測原価率を算出する(ステップS103)。
【0066】
情報処理装置100の生成部154は、予測原価率から予定原価率を減算した差分値を基にして、原価率予測区分を特定する(ステップS104)。生成部154は、予測結果の画面情報を生成する(ステップS105)。
【0067】
生成部154は、予定原価率と原価率予測区分とを基にしてバブルチャートの画面情報を生成する(ステップS106)。生成部154は、予測結果およびバブルチャートの画面情報を、端末装置10に表示させる(ステップS107)。
【0068】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の効果について説明する。情報処理装置100は、過去のプロジェクトに関する特徴量情報と、かかる過去のプロジェクトに関する原価率の実績値との関係を基にして機械学習を実行することで予測モデル142を生成する。情報処理装置100は、予測要求を受信した場合に、予測要求のプロジェクトに関する特徴量情報を、予測モデル142に入力することで、予測原価率を予測する。これによって、不採算となるプロジェクトを検知することができる。
【0069】
情報処理装置100は、プロジェクト情報の特徴量情報として、ファシリティ構築、サーバ/ストレージ構築、NW構築、DB構築、クラウド構築、アプリとの整合、移行作業、サーバ機器の台数、端末機器の台数、拠点数、部門数、技術スキル、製品選定方法等を用いる。これによって、プロジェクト情報のリスクに関する特徴量を設定でき、予測原価率の精度を向上させることができる。
【0070】
情報処理装置100は、予定原価率と、原価率予測区分との関係を基にして、バブルチャートを生成し、端末装置10に表示させる。これによって、不採算となるプロジェクトを視覚的に容易に把握することが可能になる。
【0071】
情報処理装置100は、複数のプロジェクト情報に関する予測原価率を取得した場合には、各プロジェクト情報に関する予定原価率および予測原価率を基にして、各原価予測区分を特定する。情報処理装置100は、各プロジェクト情報に関する予定原価率、原価予測区分、担当者の組を、画面情報に表示させる。ユーザは、かかる画面情報を参照することで、担当者毎の予定原価率および原価予測区分を比較することができる。
【0072】
情報処理装置100は、前回の機械学習を行ってから、所定期間経過し、履歴データベース141に新規の情報が蓄積された場合に、予測モデル142を再学習する。これによって、予測モデル142を最新の情報に合わせてアップグレードすることができる。
【0073】
ところで、本実施例では、情報処理装置100が、履歴データベース141を用いて、機械学習を実行し、予測モデル142を生成する場合について説明したがこれに限定されるものではなく、外部装置が機械学習した予測モデルを取得して、予測原価率の予測を行ってもよい。すなわち、必ずしも、情報処理装置100が、予測モデル142を生成しなくてもよい。
【0074】
情報処理装置100は、プロジェクト受注前の特徴量情報を用いて、予測モデル142の機械学習を実行していたがこれに限定されるものではなく、プロジェクト受注後の特徴量を更に用いて、機械学習を実行することで、予測モデル142を生成してもよい。
【0075】
情報処理装置100は、プロジェクト情報毎に画面情報を生成していたが、類似性の高いプロジェクト情報の組を特定し、各プロジェクト情報から算出された原価予測区分の情報等を並べて表示してもよい。
【0076】
情報処理装置100は、画面情報30に表示された影響度の大きい複数の項目(説明変数)のうち、対象外とする項目の選択を、ユーザから受付けた場合には、選択された項目に対応する情報を、特徴量情報から除外して、再度、予測原価率を算出してもよい。たとえば、情報処理装置100は、項目「サーバ機器の台数」を対象外とする旨の指示を、端末装置10を操作するユーザから受け付けた場合には、項目「サーバ機器の台数」のレコードを除外した特徴量情報を予測モデル142に入力し、予測原価率を算出する。
【0077】
次に、上記実施例に示した情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。図9は、実施例の情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0078】
図9に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行う通信装置204と、インタフェース装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0079】
ハードディスク装置207は、取得プログラム207a、学習プログラム207b、予測プログラム207c、生成プログラム207dを有する。また、CPU201は、各プログラム207a~207dを読み出してRAM206に展開する。
【0080】
取得プログラム207aは、取得プロセス206aとして機能する。学習プログラム207bは、学習プロセス206bとして機能する。予測プログラム207cは、予測プロセス206cとして機能する。生成プログラム207dは、生成プロセス206dとして機能する。
【0081】
取得プロセス206aの処理は、取得部151の処理に対応する。学習プロセス206bの処理は、学習部152の処理に対応する。予測プロセス206cの処理は、予測部153の処理に対応する。生成プロセス206dの処理は、生成部154の処理に対応する。
【0082】
なお、各プログラム207a~207dについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207dを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10a,10b,10c 端末装置
20 ネットワーク
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
141 履歴データベース
142 予測モデル
150 制御部
151 取得部
152 学習部
153 予測部
154 生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9