(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20221128BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02F1/1335
(21)【出願番号】P 2021031325
(22)【出願日】2021-03-01
(62)【分割の表示】P 2019054052の分割
【原出願日】2014-09-10
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 智一
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0215105(US,A1)
【文献】特開2001-305561(JP,A)
【文献】特開2002-040442(JP,A)
【文献】特開2003-167258(JP,A)
【文献】特開2009-133930(JP,A)
【文献】特開2008-151969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域と第2の領域とを有するTFT基板と、対向基板と、前記TFT基板と前記対向基板とを接着するシール材と、前記シール材の内側に封止された液晶とを有する液晶表示装置であって、
前記第1の領域は前記TFT基板が前記対向基板と重なる領域であり、前記第2の領域は前記TFT基板が前記対向基板から露出した領域であり、
前記対向基板は、ブラックマトリクスと、カラーフィルタと、オーバーコート膜と、前記第1の領域と前記第2の領域の境界となる第1の辺と、前記第1の辺と直交する第2の辺と、前記第2の辺と平行な第3の辺と、を備え、
前記シール材は、前記第1の辺の近傍であって前記第1の辺と平行に形成された第1のシール部を有し、
前記第1の辺と前記第1のシール部間に、シール材の非形成領域を有し、当該非形成領域に、前記第1の辺に沿って複数の第1の柱状スペーサと、前記第2の辺に沿って、前記第2の辺の端部にまで形成された第2の壁状スペーサと、前記第3の辺に沿って、前記第3の辺の端部にまで形成された第3の壁状スペーサと、が形成され、
前記複数の第1の柱状スペーサは前記オーバーコート膜上に形成され、前記カラーフィルタに重ならず、
前記複数の
第1の柱状スペーサは、前記第1の辺に沿う方向において前記第2の壁状スペーサと前記第3の壁状スペーサとの間に位置する、ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1のシール部内において、前記対向基板に第1の壁状スペーサを有し、前記第1の壁状スペーサは前記第1の辺に沿って平行に形成され、 前記複数の第1の柱状スペーサは、前記第1の辺と前記第1の壁状スペーサの間に位置し、 前記第1の壁状スペーサは前記オーバーコート膜上に形成され、前記カラーフィルタ及び前記ブラックマトリクスに重なり、
前記第1の壁状スペーサは、前記第2の壁状スペーサ及び前記第3の壁状スペーサに繋がり、
前記第1の壁状スペーサ、前記第2の壁状スペーサ、及び、前記第3の壁状スペーサは、平面視においてコの字の形状を成す、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1のシール部内において、前記対向基板に第1の壁状スペーサを有し、前記第1の壁状スペーサは前記第1の辺に沿って平行に形成され、 前記複数の第1の柱状スペーサは、前記第1の辺と前記第1の壁状スペーサの間に位置し、 前記第1の壁状スペーサは前記オーバーコート膜上に形成され、前記カラーフィルタには重ならず、前記ブラックマトリクスに重なり、
前記第1の壁状スペーサは、前記第2の壁状スペーサ及び前記第3の壁状スペーサに繋がり、
前記第1の壁状スペーサ、前記第2の壁状スペーサ、及び、前記第3の壁状スペーサは、平面視においてコの字の形状を成す、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記TFT基板は、下地膜と、前記下地膜を覆う無機絶縁膜と、前記無機絶縁膜を覆う有機絶縁膜と、前記下地膜と前記無機絶縁膜の間に設けられるブリッジ配線と、前記無機絶縁膜と前記有機絶縁膜の間に設けられる端子部配線と、前記無機絶縁膜と前記有機絶縁膜の間に設けられる配線と、を有し、
前記第1のシール部内において、前記第1の辺に沿って、前記有機絶縁膜が切り欠かれたスルーホールが形成され、
前記ブリッジ配線は前記スルーホールに重なり、
前記スルーホールが形成される領域において、前記配線と前記端子部配線は前記ブリッジ配線により接続されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1のシール部内において、前記第1の辺に沿った複数の第2の柱状スペーサを有し、 前記複数の第2の柱状スペーサは、表示領域と前記第1の壁状スペーサとの間に位置し、 前記第1の壁状スペーサは、前記複数の第1の柱状スペーサと前記複数の第2の柱状スペーサとの間に位置し、 前記第2の柱状スペーサは、前記オーバーコート膜上に形成され、前記カラーフィルタ及び前記ブラックマトリクスに重なることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記シール材は、表示領域を、前記第1のシール部を含む4辺で囲い、
前記第1のシール部を除く前記シール材の3辺は第2のシール部であり、
前記第1のシール部は前記第2のシール部よりも幅広である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に表示領域を囲む額縁領域の幅を小さくした場合の、シール部の信頼性を向上した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に使用される液晶表示パネルでは、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示パネルでは、TFT基板と対向基板と周辺のシール材とによって囲まれた領域に液晶が存在しているが、この空間に、封入孔から液晶を注入する方法と、TFT基板と対向基板を貼り合わせる前に、TFT基板あるいは対向基板に液晶を滴下して液晶を充填する方法(ODF法)とがある。
【0004】
ODF法(滴下法)は、液晶を充填するスピードが速いので、多く用いられるようになっている。滴下法は、滴下する液晶の量を正確に制御する必要がある。それでも、TFT基板と対向基板とを接着した際に、特にシール部において、基板どうしの間隔が不均一になりやすい。特許文献1には滴下法を用いた場合の基板間の間隔が不均一になるのを防止するために、内側の第1のシール材と外側の第2のシール材とを間隔をおいて配置し、液晶を滴下する位置と第1のシール材の間隔をaとし、第1のシール材と第2のシール材の間隔をbとした場合、aをbの関係を2.5倍から5倍の範囲に設定する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、液晶表示装置では、外形を一定の大きさにして、表示領域をできるだけ大きくしたいという要求が強くなっている。そうすると、表示領域の端部から液晶表示パネルの外形までの幅、いわゆる額縁領域が狭くなる。小型の液晶表示装置では、この額縁領域の幅が1mm程度まで小さくなっている。この場合、TFT基板と対向基板とを接着するシール材の幅が小さくなり、シール部の信頼性が問題となる。
【0007】
これに加えて、滴下法の場合は、液晶を滴下した時点では、シール材は半硬化の状態なので、TFT基板と対向基板との間で液晶が充填された領域の圧力が大きい場合は、液晶がシール材とTFT基板あるいは対向基板との間に差し込み、シール部の信頼性が損なわれることがある。
【0008】
本発明の課題は、滴下法を用いて液晶を充填する場合において、額縁領域が狭くなり、シール材の幅が小さくなっても、シール部の信頼性を保つことができる液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)表示領域と端子部を有するTFT基板と表示領域を有する対向基板がシール部に形成されたシール材によって接着し、シール部の内側に液晶が封止された液晶表示装置であって、前記シール部には、前記表示領域と前記シール材を囲んで第1の壁状スペーサが形成されており、前記第1の壁状スペーサは前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するものであることを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
(2)前記シール部は、端子側シール部とその他のシール部から構成され、前記端子側シール部においては、前記第1の壁状スペーサの外側に第2のシール材が形成され、前記第2のシール材の外側には、第2の壁状スペーサが形成され、前記対向基板の端部は前記第2の壁状スペーサの外側に存在していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0012】
(3)前記対向基板の端部と前記第2の壁状スペーサの間にスクライブ用柱状スペーサが形成されていることを特徴とする(2)に記載の液晶表示装置。
【0013】
(4)前記第1の壁状スペーサの内側コーナー部は、R0.3mm以上、更に好適にはR0.5mm以上の曲率半径を有するRが形成されていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0014】
(5)表示領域を端子部を有するTFT基板と、表示領域を有する対向基板がシール材によって接着し、前記シール材の内側に液晶が封止された液晶表示パネルが複数形成されているマザー基板であって、前記液晶表示パネルにおける表示領域はシール部によって囲まれ、前記シール部には、前記表示領域と前記シール材を囲んで第1の壁状スペーサが形成されており、前記第1の壁状スペーサは前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するものであり、前記第1の壁状スペーサと接して、前記複数の液晶表示パネルを囲む第2のシール材が形成されていることを特徴とするマザー基板。
【0015】
(6)前記シール部は、端子側シール部とその他のシール部から構成され、前記端子側シール部においては、前記第2のシール材の外側に第2の壁状スペーサが形成されていることを特徴とする(5)に記載のマザー基板。
【0016】
(7)前記第1のシール材の外側にマザー基板用シール材が形成されていることを特徴とする(5)に記載のマザー基板。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、滴下法を用いて液晶を充填する液晶表示装置において、シール材とTFT基板あるいは、対向基板との間に液晶が差し込むことを防止することができるので、シール部の信頼性を上げることができる。したがって、額縁領域の狭い、つまり、表示領域の大きい液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】本発明の液晶表示装置において端子部の対向基板を除去する前の平面図である。
【
図9】
図5のC-C断面を示すさらに他の例である。
【
図10】
図5のC-C断面を示すさらに他の例である。
【
図13】液晶が差し込む例を示す液晶表示装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
液晶表示パネルは1個ずつ形成したのでは、能率が悪いので、1枚のマザー基板に多数の液晶表示パネルを形成し、マザー基板が完成した後、個々の液晶表示パネルに分離することが行われている。個々の液晶表示パネルに分離する場合、破断線にシール材が存在すると、スクライブ等による分離が難しくなるので、破断線の部分にはシール材を形成しない。しかし、この方法だと、破断線の部分にシール材がはみ出してくることを防止するために、破断線を挟んでシール材が存在しない部分を比較的広くしなければならない。
【0020】
これを防止するために、破断線の部分に壁状スペーサを形成し、壁状スペーサの部分を切断する方法がある。
図13は、このようにして形成された液晶表示装置の平面図と側面図である。
図13において、TFT基板100と対向基板200とがシール材40によって貼りあわされ、シール材40の内側に液晶300が封止されている。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成され、TFT基板100が1枚となっている部分は、ICドライバを搭載したり、フレキシブル配線基板等と接続する端子等を形成するための、端子部150となっている。
【0021】
図14は、破断線50を含む
図13のD-D断面図である。
図13において、TFT基板100と対向基板200がシール材40によって接着し、内部に液晶300が存在している。TFT基板100と対向基板200とが切断される端部には、壁状スペーサ10を形成し、切断する領域のシールを排除している。しかし、
図13における端子部150側に面する破断線60は、対向基板1枚のみを切断し、TFT基板には端子部を残す必要があるため切断しない。したがって、破断線50と破断線60の部分では、構成が異なっている。
【0022】
図15は、マザー基板の状態において、液晶表示パネルが2個並んでいる状態を示す平面図である。
図16は、
図15において、破断線50を含む断面を示す断面図である。
図16において、破断線50は、壁状スペーサ10の中央を破断する。
図17は、
図15において、破断線60を含む断面図である。
図17において、対向基板200のみ破断する破断線60は、シール材40よりも外側に存在している。
【0023】
破断線60においては、端子部に対向する対向基板を除去する際、端子部にシール材が存在していると除去が困難となるため、破断線60の片側にはシール材が存在していない。一方、破断のためのスクライビングを入れる場合、ガラスが撓むと、適切なスクライビングを行うことが出来ないので、破断線60を挟んでスクライブ用柱状スペーサ30が配置されている。なお、端子部150以外における額縁幅w1は1mm程度であるのに対し、端子部150では額縁幅w2を3mm程度とることができるので、端子部160においては、このような構成としても問題はない。
【0024】
このような構成において、
図13に示すH1に示す領域にシール材40とTFT基板100あるいは対向基板200との間に液晶300が侵入する差し込みの現象(以後単に液晶の差し込みという)が生じた。これは、
図15に示すように、液晶表示パネルの長辺では、シール材40の片側に壁状スペーサ10及び隣接する液晶表示パネルのシール材40が存在しているのに対し、端子部150では、壁状スペーサ10や壁状スペーサの先にシール材が存在していないからと考えられる。液晶表示装置を滴下して、TFT基板100と対向基板200を貼り合わせた時点では、まだ、シール材40が硬化しておらず、液晶からの圧力によって、シール材40が動くから、差し込みが生ずると考えることができる。以下に示す実施例は、このような現象を防止する構成を与えるものである。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施例1を示す平面図である。
図1において、TFT基板100と対向基板200とがシール材40によって貼り合されており、TFT基板100と対向基板200との間に液晶が挟持されている。
図1において、端子部150を除く3辺では、基板端部に壁状スペーサ10が設けられている。端子部150には、シール材40の外側に壁状スペーサ10が延在している。また、壁状スペーサ10の外側(端子部側)に外側シール材41が存在している。外側シール材41が外側に広がるのを規制するために、外側壁状スペーサ11が存在している。外側壁状スペーサ11の外側に対向基板200の部分のみ除去する破断線60が存在している。破断線60は対向基板200に破断のためのスクライビングを入れる場所に対応するが、この際、ガラスが撓まないように、スクライブ用柱状スペーサ30が配置されている。
【0026】
図2は、
図1のA-A断面図である。
図2において、シール材40の内側に液晶300が封止されている。シール材40の外側に壁状スペーサ10が存在しており、壁状スペーサ10の外側に外側シール材41が存在し、外側シール材41は、さらに外側の外側壁状スペーサ11によって、せき止められている。外側壁状スペーサ11のさらに外側には、スクライビング時の撓み防止用柱状スペーサ30が存在している。
【0027】
図2に示すように、端子部150側においても、平面で見て、シール材―壁状スペーサ―シール材の構成となっている。このような構成にすることによって、対向基板200とTFT基板100を貼り合わせたとき、液晶側から圧力が加わっても、シール材40は壁状スペーサ10によってせき止められ、シール材40が動くことは無いために、液晶の差し込みは生じない。
【0028】
図3は、液晶表示パネルにおいて、端子部150に対向する対向基板200を除去する前の平面図を示す。点線で示す破断線60において、まだ、ガラスが分離されていない状態である点で、
図1と異なっている。
図3において、破断線60の両側にスクライブ用柱状スペーサ30が配置している。この部分には外側シール材41は存在していない。外側壁状スペーサ11によってシール材41はせき止められているからである。
【0029】
図4は
図3のB-B断面図である。
図4において、破断線60の両側にスクライブ用柱状スペーサ30が配置している。スクライビングのとき、ガラスが撓まないようにするためである。
図4において、破断線60において対向基板200側のガラスが除去されると
図2と同じになる。
【0030】
図5は、マザー基板を示す平面図である。
図5において、マザー基板には3個の液晶表示パネルが形成されている。但し、これは、例であり、多くの場合は、マザー基板には多数の液晶表示パネルが形成される。
図5において、3個の液晶表示パネルの周囲にマザー基板用シール材410が形成されている。マザーTFT基板とマザー対向基板を接着するためである。
【0031】
図5の個々の液晶表示パネルにおいて、表示領域1000を囲んでシール材40が形成されている。シール材40を囲んで壁状スペーサ10が形成されている。壁状スペーサ10の外側には外側シール材41が形成されている。
【0032】
端子部150において、外側シール材41の外側に外側壁状スペーサ11が形成され、端子部150において、必要以上に外側シール材41が広がって、破断線60に達するのを防止している。一方、端子部150以外では、端子部のように対向基板を分離する必要が無いので、外側壁状スペーサ11は存在していない。
【0033】
図5に示すように、液晶表示パネルの表示領域1000を囲む全ての辺において、平面で見て、シール材―壁状スペーサ―外側シール材の構成となっている。これによって、全ての辺において、液晶300がシール部に差し込む現象を防止している。したがって、液晶表示パネルの全ての辺において、シール部の信頼性を確保することができる。
図5の個々の液晶表示パネルの他の構成は
図1、3等で説明したのと同様である。
【実施例2】
【0034】
本実施例は、
図5における個々の液晶表示パネルにおいて、端子部のシール部に種々の構成を追加したものである。
図6は、
図5の領域Aの詳細平面図であり、
図7は
図5のC-C断面図である。
図6において、壁状スペーサ10より上が内側であり、壁状スペーサ10より下側が外側になる。
図6において、内側に液晶300が充填されている。液晶300の外側にはシール材40が形成されている。シール材40の中には、TFT基板100と対向基板200の間隔を規定する柱状スペーサ20が形成されている。柱状スペーサ20は対向基板200側において、ストライプ状に形成されたカラーフィルタ202の上に形成されている。このような柱状スペーサ20は、内側から3列形成されている。カラーフィルタ202は例えば、青カラーフィルタによって形成されている。
【0035】
図6において、壁状スペーサ10は対向基板200側においてカラーフィルタ202の上に形成されている。なお、
図6における柱状スペーサ20は、対向基板200に外部から押し圧力が加わった場合、対向基板200とTFT基板100の間隔が小さくなりすぎないように、配置されているものであり、柱状スペーサ20の先端とTFT基板100との間にはわずかに隙間が空いているがこれに限定されるものではない。
【0036】
図6において、壁状スペーサ10の外側には外側シール材41が形成されている。外側シール材41は外側壁状スペーサ11のよって仕切られている。外側シール材41が存在している部分の対向基板200側には、ストライプ状にカラーフィルタ202が形成され、その上に柱状スペーサ20が形成されている。ストライプ状カラーフィルタ202および柱状スペーサ20は3列形成されている。カラーフィルタ202は例えば、青カラーフィルタによって形成されている。
【0037】
外側壁状スペーサ11の外側には、スクライブ時の撓み防止用の柱状スペーサ30が2列形成され、柱状スペーサ列の中心がスクライビングライン、すなわち、破断線60になる。
図6において、外側シール材41は外側壁状スペーサ11によって仕切られているので、スクライブ用柱状スペーサ30が存在しているところまでははみ出してこない。したがって、精度よくスクライビングにより破断することができる。
【0038】
図7は、
図5のC-C断面図である。
図7において、TFT基板100の上に下地膜101が形成され、その上にブリッジ配線102が形成されている。下地膜101およびブリッジ配線102を覆って無機絶縁膜103が形成されている。無機絶縁膜103の上に映像信号線等の配線104が形成されている。配線104の上に有機パッシベーション膜106が形成され、その上にSiN等で形成された無機絶縁膜107が形成されている。
【0039】
有機パッシベーション膜106にはスルーホール108が形成されている。有機パッシベーション膜106のスルーホールは、端子部150から有機パッシベーション膜106を伝って侵入してくる水分を遮断する役割を有している。有機パッシベーション膜106に形成されたスルーホール108より内側において、配線104は無機絶縁膜103に形成されたコンタクトホール105を介してブリッジ配線102と接続している。有機パッシベーション膜106に形成されたスルーホール108の外側において、ブリッジ配線102は無機絶縁膜103に形成されたコンタクトホール105を介して端子部配線1041と接続している。ブリッジ配線102の役割は、有機パッシベーション膜106と端子部配線1041の界面を伝わってくる外部からの水分を遮断することである。
【0040】
対向基板200において、シール部にはブラックマトリクス201が形成されている。シール部からの光漏れを防止するためである。ブラックマトリクス201の上で、壁状スペーサ10あるいは柱状スペーサ20に対応した部分にカラーフィルタ201を形成している。柱状スペーサ20および壁状スペーサ10等の高さを表示領域1000における柱状スペーサとそろえるためである。カラーフィルタ202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。
【0041】
オーバーコート膜203の上に壁状スペーサ10、外側壁状スペーサ11、柱状スペーサ20等が形成されている。これらのスペーサはハーフトーンマスク等を利用することにより全て同じ材料によって同じ工程で形成することが出来るが、別マスク等を使用して個別に形成することも可能である。壁状スペーサ10の表示領域側にはシール材40が形成され、端子部側には外側シール材41が形成されている。液晶を封止するのはシール材40であり、壁状スペーサ10はTFT基板100と対向基板200とを貼り合わせる際に、シール材40が動いて液晶が差し込むのを防止するためである。外側シール材41は外側壁状スペーサ11によって、仕切られている。
【0042】
外側壁状スペーサ11の外側には、破断のためのスクライブ用柱状スペーサ30が形成されている。2列の柱状スペーサ30の中央に破断線60が存在している。外側シール材41は外側壁状スペーサ11によって仕切られているので、破断線60には外側シール材41は存在しないので、精度のよい破断が可能である。
【0043】
本実施例では、シール部において液晶の差し込みを防止できるとともに、シール部におけるTFT基板100と対向基板200の間隔を精度良く制御でき、かつ、外部からの水分の浸入を効果的に防止することができる。
【0044】
図8は、本実施例の他の形態である。
図8も
図5のC-C断面図である。
図8が
図7と異なる点は、TFT基板100において、有機パッシベーション膜106に凹部109が形成されていることである。凹部109は、柱状スペーサ30と柱状スペーサ30の間および柱状スペーサ30と壁状スペーサ10の間の有機パッシベーション膜106に形成されている。このような凹部109を形成することによって、仮に、外部から水分が浸入してきたとしても、水分が液晶にまで達する経路を長くすることができるので、その分、液晶表示装置の寿命を長くすることができる。
【0045】
図9は、本実施例のさらに他の形態である。
図9も
図5のC-C断面図である。
図9が
図7と異なる点は、対向基板200側において、壁状スペーサ10の存在している部分にはカラーフィルタが存在していないことである。壁状スペーサ10は柱状スペーサ20に比べて幅が大きいので、同じ条件によってフォトリソグラフィを行なった場合、高さが高くなる傾向がある。したがって、壁状スペーサ10の部分にはカラーフィルタが無いほうが、均一な高さのスペーサを形成できる場合がある。
【0046】
図10は本実施例のさらに他の形態である。
図10も
図5のC-C断面図である。
図10は
図8と
図10の構成の組み合わせである。すなわち、TFT基板100側においては、凹部109を形成することにより、水分侵入の経路を長くすることができる。また、対向基板200側においては、壁状スペーサ10の部分にカラーフィルタが形成されていない。効果は
図8と
図9の効果を合わせたものである。
【実施例3】
【0047】
滴下方式で液晶を充填させる液晶表示装置において、シール部において、液晶が差し込む原因は、シール材40が内部の液晶の圧力によって動くことであると考えられる。シール材40が液晶の圧力によって動かないようにするためには、壁状スペーサ10とシール材40が密着しているのがよい。シール材40はディスペンサ等によって塗布するので、表示領域のコーナー部は丸くなりやすい。壁状スペーサ10を表示領域のコーナー部において、角状に形成すると、シール材40がコーナー部にまで充填できない場合がある。つまり、シール材40と壁状スペーサ10の間に間隔があると、シール材が動く原因になる。
【0048】
本実施例ではこれを防止するために、表示領域のコーナー部において、壁状スペーサ10の内側にRつけている。
図11は
図5の領域Bを示す拡大平面図である。
図11において、壁状スペーサ10のコーナー部には、Rが形成されている。このために、壁状スペーサ10のコーナーにまで、シール材40が確実に充填されている。Rの大きさは小さすぎると効果が限定されるので、0.3mm以上、更には0.5mm以上であることが望ましい。
【0049】
図12は、
図5の領域Cを示す拡大平面図である。
図12において、壁状スペーサ10のコーナー部にはRが形成されている。このために、シール材40は壁状スペーサのコーナー部にまで確実に充填されている。この場合のRの大きさも小さすぎると効果が限定されるので、0.5mm以上であることが望ましい。一方、外側シール材が配置される壁状スペーサ10の外側では、
図12では、壁状スペーサ10あるいは外側壁状スペーサ11の内側コーナーは角状になっているが、この部分もR状としてもよい。
【0050】
本実施例によれば、表示領域のコーナー部においても、シール材40の動きを抑制でき、表示領域のコーナー部における液晶の差し込みを防止することができる。
【0051】
尚、上述の実施例では、表示領域側から端子部側に向けて、シール材40、壁状スペーサ10、外側シール材41、外側壁状スペーサ11、スクライブ用柱状スペーサ30の順に形成されている。しかしこれに制限される訳ではなく、
図18のように壁状スペーサ10が無い構成、
図19のように外側スペーサ11が無い構成、
図20のように、壁状スペーサ10も外側スペーサ11も、双方とも無い構成であってもよい。これら場合であっても、端子部以外の3辺に比べて端子部側のシール材の幅が大きくなっているために液晶の差し込みに対する効果を得ることができると共に、端子部側のシール領域の幅を狭くすることが可能となる。
【0052】
また、壁状スペーサ10、外側スペーサ11とも、対向基板200に設ける必要はなく、その一部、或いは、全てをTFT基板100に設けてもよい。また、それぞれのスペーサは前周に亘って同じ高さである必要はなく、一部の高さを低くした構成であってもよい。また、端子部150側以外の3辺について同じ構造で開示し、端子部150側の構成を前記3辺と異ならせる構成を開示しているが、それに限定される訳ではなく、端子部150側の構成を少なくとも端子部150側に隣接する2つの辺と異ならせる構成であってもよい。端子部150側の辺に対向する辺については、隣接する液晶表示パネルの構成に応じ、壁状スペーサ10、外側シール材41、外側壁状スペーサ11の全て、或いは一部を設けた構成であってもよい。また、端子部が形成される辺が2辺である場合は、端子部が形成された辺を端子部が形成されていない辺と異ならせる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…壁状スペーサ、 11…外側壁状スペーサ、 20…柱状スペーサ、 30…スクライブ用柱状スペーサ、 40…シール材、 41…外側シール材、 50…破断線、 60…破断線、 100…TFT基板、 101…下地膜、 102…ブリッジ配線、 103…無機絶縁膜、 104…配線、 105…コンタクトホール、 106…有機パッシベーション膜、 107…上部絶縁膜、 108…スルーホール、 109…凹部、 150…端子部、 200…対向基板、 201…ブラックマトリクス、 202…カラーフィルタ、203…オーバーコート膜、 300…液晶、 1000…表示領域、 1041…端子部配線