(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】選択的にウイルスに影響を及ぼすかおよび/またはそれを死滅させるための装置、方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221128BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021031538
(22)【出願日】2021-03-01
(62)【分割の表示】P 2017561799の分割
【原出願日】2016-06-03
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2015-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513203956
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ランダース-パーソン ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブレナー デイビッド ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ビゲロウ アラン
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0073396(US,A1)
【文献】国際公開第01/005441(WO,A1)
【文献】特表2014-508612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0023284(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0054574(US,A1)
【文献】James J. McDevitt et al.,Aerosol Susceptibility of Influenza Virus to UV-C Light,Applied and Environmental Microbiology,2012年03月,Volume 78, Number 6,p. 1666-1669
【文献】Manuela Buonanno et al.,207-nm UV Light - A Promising Tool for Safe Low-Cost Reduction of Surgical Site Infections. I: In Vitro Studies,PLOS ONE,2013年10月,Volume 8, Issue 10,1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L2/00-2/28
A61L9/00-9/22
A61N5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射を発生させるための装置であって、前記装置は、
200nm~230nmの波長範囲の内側の1つ以上の波長を有する前記少なくとも1つの放射を発生させるように構成された放射源の第1の機器であって、エアロゾルを照射するように、さらに、前記エアロゾル中の少なくとも1つのウイルスを選択的に害するかまたは損傷するように構成された放射源の第1の機器と、
前記少なくとも1つの放射が、身体範囲の細胞
に有害であり、そして前記波長範囲の外側にある、UVC波長範囲内の任意の波長を有すること
を防止するように構成された少なくとも1つのフィルタの第2の機器と、
を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの放射は、前記エアロゾル中の少なくとも1つの細菌に選択的に影響を及ぼすかまたはそれを破壊するようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射源は、エキシランプを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記エキシランプは、クリプトン-臭素ランプまたはクリプトン-塩素ランプのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放射源の第1の機器は、単一波長を有する前記少なくとも1つの放射を発生させるようにさらに構成され、前記少なくとも1つの第2の機器は、前記少なくとも1つの放射が前記単一波長以外の前記UVC波長範囲内の任意の波長を有することを防止するようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記単一波長は、207nmである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記単一波長は、222nmである、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の機器は、ケミカルフィルタまたは誘電体のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の波長は、207nm~222nmの範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上の波長は、(i)200~204nm、(ii)205~209nm、(iii)210~214nm、(iv)215~218nm、(v)219nm~223nm、または(vi)224~230nmの範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記単一波長は、(i)201nm、(ii)202nm、(iii)203nm、(iv)204nm、(v)205nm、(vi)206nm、(vii)208nm、(viii)209nm、(ix)210nm、(x)211nm、(xi)212nm、(xii)213nm、または(xiii)214nmのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記単一波長は、(i)215nm、(ii)216nm、(iii)217nm、(iv)218nm、(v)219nm、(vi)220nm、(vii)221nm、(viii)223nm、(ix)224nm、(x)225nm、(xi)226nm、(xii)227nm、(xiii)228nm、(xiv)229nm、または(xv)230nmのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記ウイルスは、Z=0.42m
2/Jの感受性パラメータを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つのウイルスを選択的に死滅させるかまたはそれに影響を及ぼすための方法であって、前記方法は、
エアロゾルを照射するように、そして前記エアロゾル中のうちの少なくとも1つにおいて前記少なくとも1つのウイルスを選択的に害するかまたは損傷するように構成された200nm~230nmの波長範囲の内側の1つ以上の波長を有する少なくとも1つの放射を提供するステップと、
前記少なくとも1つの放射が、身体範囲の細胞
に有害であり、そして前記波長範囲の外側にある、UVC波長範囲内の任意の波長を有することの実質的な防止をもたらすステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの放射は、前記エアロゾル中の少なくとも1つの細菌に選択的に影響を及ぼすかまたはそれを破壊するようにさらに構成された、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの放射は、エキシランプによって向けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記エキシランプは、クリプトン-臭素ランプまたはクリプトン-塩素ランプのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
単一波長を有する前記少なくとも1つの放射が提供され、前記防止は、前記少なくとも1つの放射が前記単一波長以外の前記UVC波長範囲内の任意の波長を有することを防止する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記単一波長は、207nmである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単一波長は、222nmである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記もたらす手順は、ケミカルフィルタまたは誘電体のうちの少なくとも1つを利用するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記ウイルスは、Z=0.42m
2/Jの感受性パラメータを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
200nm~230nmの波長範囲の内側にある少なくとも1つの波長を有する少なくとも1つの放射を用いて、少なくとも1つの細菌または少なくとも1つのウイルスを有するエアロゾルを照射するステップと、
前記少なくとも1つの放射が前記波長範囲の外側にある、UVC波長範囲内の任意の波長を有することの実質的な防止をもたらすステップと、
を含む方法。
【請求項24】
単一波長を有する前記少なくとも1つの放射が提供され、前記防止は、前記少なくとも1つの放射が前記単一波長以外の前記UVC波長範囲内の任意の波長を有することを防止する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記単一波長は、207nmである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記単一波長は、222nmである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記エアロゾル中の少なくとも1つの細菌または少なくとも1つのウイルスに選択的に影響を及ぼすか、またはそれを破壊するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記照射手順は、エキシランプによって行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記エキシランプは、クリプトン-臭素ランプまたはクリプトン-塩素ランプのうちの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記もたらす手順は、ケミカルフィルタまたは誘電体のうちの少なくとも1つを利用するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ウイルスは、Z=0.42m
2/Jの感受性パラメータを有する、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照によりその全体において本明細書に援用される、2015年6月3日出願の米国仮出願第62/170,203号に関連し、それからの優先権を主張する。本出願は、それらの開示全体が参照によりそれらの全体において本明細書に援用される、2011年3月7日出願の米国仮出願第61/450,038号、2012年3月7日出願の国際特許出願第PCT/US2012/027963号および、2013年9月9日出願の米国特許出願第14/021,631号にも関連する。
【0002】
開示の分野
本開示の例示的な実施形態は、選択的にウイルスに影響を及ぼすかおよび/またはそれを死滅させることに関し、より具体的には、ヒト細胞を害することなく選択的にウイルスに影響を及ぼすかおよび/またはそれを死滅させるために紫外放射を用いることができる例示的な装置、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ウイルスを死滅させるための既存の従来型システムおよび方法の欠陥の少なくともいくつかに対処して、現在のシステムにおける欠陥を克服できる必要がありうる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、ウイルスを死滅させるための現在のシステムおよび方法のかかる欠陥の少なくともいくつかに対処できる本例示的な装置、方法およびシステムの例示的な実施形態を提供できる。例えば、本例示的な装置、方法およびシステムの例示的な実施形態は、ヒト細胞を害することなく選択的に細菌またはウイルスに影響を及ぼすかおよび/またはそれらを死滅させるために紫外(「UV:ultraviolet」)放射を用いることができる。
【0005】
特に、本開示のある例示的な実施形態においては、細菌またはウイルスに影響を及ぼすかおよび/またはそれらを死滅させることができて、ヒト細胞にとって有害でないUV照射器、例えば、エキシランプ(excilamp)を設けることができる。本例示的なシステム、方法および装置は、細菌およびウイルスが典型的にヒト細胞より物理的にずっとより小さく、従って、適切に選ばれたUV波長(例えば、およそ207nm~222nm)が細菌およびウイルスに好ましくは侵入してそれらを死滅させるが、ヒト細胞の生物学的に敏感な核中へは好ましくは侵入できないであろうという事実を考慮に入れる。それゆえに、この例示的な適合されたUV放射を用いた創傷の照射は、患者およびスタッフにとって安全であり、防護服/フード/アイシールドなどを好ましくは必要としないで、例えば、UVの細菌およびウイルス滅菌の利点を提供することができる。本開示の別の例示的な実施形態によれば、病院環境で室内空気、または表面(例えば、壁、床、天井、カウンター、家具、固定具など)をこの例示的なUVランプに曝露することができる。
【0006】
本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、典型的に広範囲の波長にわたって放出する標準的な水銀UVランプとは対照的に、単一波長で放出できる例示的なUVランプを設けることが可能でありうる。例示的なランプは、励起分子複合体(例えば、クリプトン-臭素またはクリプトン-塩素のいずれかのようなエキシプレックス)から放出されるUV放射を含むことができて、エキシランプと呼ばれ、本開示のある例示的な実施形態に従って、単一波長を有するUV放射を生成するように修正することができて、結果として、細菌およびウイルスに侵入してそれらを死滅させるのに十分なエネルギーを有するが、ヒト細胞の核へ侵入するのに十分な飛程を有さないようにUV放射を修正することを容易にする。ある例示的な実施形態に基づいて、例えば、1つ以上のモジュレータ、波長効果マスク(wavelength-effective mask)などを用いてこれを行うことができる。
【0007】
例示的なエキシランプ創傷照射は、空気伝搬または表面接触を通じてのウイルス伝播を著しく低減するための実用的で安価なアプローチを容易にすることができる。本開示のある例示的な実施形態によれば、例えば、ヒト細胞と比べて、差別的にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA:Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)を損傷するかおよび/または死滅させることができる、およそ207nm~約222nmのUV放射を提供できる。従来型殺菌UVランプは、MRSAおよびヒト細胞をほぼ等しく効率的に死滅させることができるが、対照的に、エキシランプからの例示的な207~222nmのUV波長は、ヒト細胞を死滅させるのと比べてMRSAをおよそ5000倍より効率的に死滅させることができる。
【0008】
本開示のある例示的な実施形態によれば、放射(単数または複数)を発生させるための装置および方法を提供できる。ある例示的な実施形態によれば、本例示的な装置および/または方法は、選択的に表面上またはエアロゾル中の細菌および/またはウイルス(単数または複数)を死滅させるかおよび/またはそれらに影響を及ぼすことができる。例えば、約190ナノメートル(「nm」)~約230nmの範囲内に提供された1つ以上の波長を有する放射(単数または複数)を発生させるように構成された放射源の第1の機器と、放射(単数または複数)がその範囲外にありうる任意の波長を有することを実質的に防止するように構成された第2の機器(単数または複数)とを設けることができる。選択的に表面上またはエアロゾル中の細菌および/またはウイルス(単数または複数)に影響を及ぼすかまたはそれらを破壊して、一方では体の細胞への害を実質的に回避するように放射を構成できる。放射源は、例えば、クリプトン-臭素ランプまたはクリプトン-塩素ランプのような、エキシランプを含むことができる。加えて、放射源の第1の機器をその範囲内に提供された単一波長を有する放射(単数または複数)を発生させるようにさらに構成できて、第2の機器(単数または複数)を放射がその単一波長以外の任意の波長を有することを防止するようにさらに構成できる。単一波長は、約207nm、および/または約222nmとすることができる。さらにまた、第2の機器(単数または複数)は、ケミカルフィルタまたは誘電体フィルタを含むことができる。
【0009】
本開示によるいくつかの例示的な実施形態では、単一波長は、200nm、201nm、202nm、203nm、204nm、205nm、206nm、208nm、209nm、210nm、211nm、212nm、213nmまたは214nmとすることができる。本開示のある例示的な実施形態では、単一波長は、215nm、216nm、217nm、218nm、219nm、220nm、221nm、223nm、224nm、225nm、226nm、227nm、228nm、229nmまたは230nmとすることができる。波長は、約190~194nm、195~199nm、200~204nm、205~209nm、210~214nm、215~218nm、219nm~223nmまたは224~230nmの範囲を含むことができる。ウイルスは、Z=0.42m2/Jの感受性パラメータを有することができる。
【0010】
表面は、個人(単数または複数)の皮膚、個人(単数または複数)の角膜または個人(単数または複数)の粘膜を含みうる、有生表面を含むことができる。表面は、媒介物表面(単数または複数)を含みうる、無生表面も含むことができる。
【0011】
さらに別の例示的な実施形態によれば、放射(単数または複数)を発生させるためのシステムおよび方法を提供できる。例えば、放射源の第1の機器または別の機器を用いて、約190ナノメートル(「nm」)~約230nmの範囲内に提供された1つ以上の波長を有する放射(単数または複数)を発生させることが可能でありうる。さらにまた、第2の機器(単数または複数)および/または同じ機器を用いて、放射(単数または複数)がその範囲外にありうる任意の波長を有することを実質的に防止することが可能でありうる。
【0012】
選択的に表面上の細菌および/またはウイルス(単数または複数)に影響を及ぼすかまたはそれらを破壊して、一方では体のいずれかの細胞を害することを実質的に回避するように放射(単数または複数)を構成できる。放射源は、エキシランプ、クリプトン-臭素ランプおよび/またはクリプトン-塩素ランプを含むことができる。放射源の第1の機器をその範囲内に提供された単一波長を有する放射(単数または複数)を発生させるようにさらに構成できて、第2の機器(単数または複数)を放射(単数または複数)がその単一波長以外の任意の波長を有することを防止するようにさらに構成できる。単一波長は、約206nm、約207nm、および/または約222nmとすることができる。第2の機器(単数または複数)は、ケミカルフィルタおよび/または誘電体フィルタを含むことができる。
【0013】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、本開示の実施形態の以下の詳細な記載を添付される特許請求の範囲と併せて読んだときに明らかになるであろう。
【0014】
本開示のさらなる目的、特徴および利点は、以下の詳細な記載を本開示の説明的な実施形態を示す添付図面と併せて考察すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】典型的な水銀UVランプによって発生したUV波長の例示的なスペクトルの例示的なグラフである。
【
図2】本開示の例示的な実施形態によるヒト細胞および細菌に関する低波長UV放射の例示的な侵入の例示的な説明図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、UV放射を単一波長で、または特定の波長範囲内で提供できる例示的なエキシランプの例示的な説明図である。
【
図4】本開示のある例示的な実施形態によるエキシランプによって発生した例示的なスペクトル分布の例示的なグラフである。
【
図5】本開示の特定の例示的な実施形態による装置の例示的なブロック図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、本開示のある例示的な実施形態による例示的なエキシランプの例示的なスペクトルのグラフである。
【
図7】本開示のある例示的な実施形態による、UVフルエンスに対するヒト細胞生存の例示的なグラフである。
【
図8】本開示のある例示的な実施形態によるエキシランプ・フルエンスに対するMRSA生存の例示的なグラフである。
【
図9】本開示の例示的な実施形態による、8つの一般的な蛋白質に関する測定結果にわたって平均された、波長に依存する平均UV吸光係数を図示する例示的なグラフである。
【
図10】本開示の例示的な実施形態による例示的な207nm KrBrエキシマランプに関して測定されたフィルタなしおよびフィルタありのUVスペクトルを図示する例示的なグラフである。
【
図11A】従来型殺菌UVランプを用いてMRSA細胞およびAG1522正常ヒト線維芽細胞を死滅させるかまたは別様にそれらに影響を及ぼす比較を図示する例示的なグラフである。
【
図11B】本開示の例示的な実施形態による例示的な207nmエキシマランプを用いてMRSA細胞およびAG1522正常ヒト線維芽細胞を死滅させるかまたは別様にそれらに影響を及ぼす比較を図示する例示的なグラフである。
【
図12A】ヒト皮膚モデルにおけるシクロブタン型ピリミジンダイマーの産生に対する従来型殺菌UVランプおよび例示的なフィルタありの207nmUVランプの効果を図示する例示的なグラフである。
【
図12B】ヒト皮膚モデルにおけるピリミジン-ピリミドン6-4光産物(例えば、6-4PP)の産生に対する従来型殺菌UVランプおよび例示的なフィルタありの207nmUVランプの効果を図示する例示的なグラフである。
【
図13A】207nmUV曝露の効果を同じフルエンスの254nm従来型殺菌UVランプ曝露と比較した、ヘアレスマウス皮膚における例示的なインビボ安全性予備研究からの例示的な断面像のセットである。
【
図13B】前変異損傷をもつ表皮細胞の割合を特定のUV波長に対して図示する例示的なチャートである。
【
図14】本開示の例示的な実施形態による、BSL-2キャビネット内の、例示的なエアロゾルUV曝露チャンバの例示的な写真である。
【
図15】本開示の例示的な実施形態によるUV曝露のためのマウス照射ボックスの例示的な写真である。
【
図16】本開示の例示的な実施形態によるバイオアッセイのためのマウス配分を図示する例示的なフロー図である。
【
図17】従来型殺菌ランプからの例示的なH1N1生存結果と本開示の例示的な実施形態による例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体からのH1N1生存結果とを比較して図示した例示的なグラフである。
【
図18】本開示の例示的な実施形態による選択的にウイルスを死滅させるかまたはそれに影響を及ぼすための例示的な方法の例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面全体にわたって、図示される実施形態の同様の特徴、要素、成分または部分を示すために、別に明記しない限り、同じ参照数字および文字を用いる。そのうえ、次に図を参照して本開示を詳細に記載するが、実例となる実施形態と関連付けてそのように記載し、本開示は、図に示す特定の実施形態および添付の特許請求の範囲によって限定されない。
【0017】
異なる波長の紫外(「UV:Ultra violet」)放射は、細胞中へ侵入する異なる能力を有しうる。典型的に、高波長なほど放射が侵入しやすく、低波長なほど放射が侵入しにくい。例えば、約200nmの低波長をもつUV放射は、かなり効率的に水を通過することが可能であるが、ヒト細胞の外側部分(例えば、細胞質、例として
図2中の例示的な線図を参照)で強く吸収できて、生物学的に感受性の高い細胞核へ到達するのに十分なエネルギーを有しえない。
図1は、典型的な水銀UVランプによって発生したUV波長の例示的なスペクトルのグラフを示す。
【0018】
細菌またはウイルスは、典型的にヒト細胞より物理的にはるかにより小さいため、
図2の例示的な線図に示すように、およそ200nmのUV放射の限られた侵入能力を細菌またはウイルスを死滅させるために用いることができる。具体的には、典型的な細菌細胞が直径約1マイクロメートル(「μm」)未満であり、典型的なウイルスが約20nm~約400nmに変動しうるのに対して、ヒト細胞は、細胞のタイプおよび部位に依存して、典型的に直径が約10~30μmである。従って、ヒト細胞を害することなく、H1N1、SARS-CoVおよびMERS-CoVのような一般的なウイルス、ならびにデング熱およびエボラを含む極めて危険なウイルスの空気伝搬および表面に基づく伝播を最小限に抑えるために、本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体を用いることができる。
【0019】
特に、
図2は、球状ジオメトリー202または扁平ジオメトリー204を有する典型的なヒト細胞核の線図を示し、およそ200nmの波長をもつUV放射のヒト細胞中への侵入を説明する。
図2に示すように、この波長のUV放射は、放射感受性の高いDNAを含む細胞核202および204に好んで到達することは実質的にない。このため、この波長のUV放射は、典型的にヒト細胞またはヒトにとって有害ではないであろう。加えて、およそ200nmの波長をもつUVが典型的にヒトにとって有害にはならない生物学的理由がありうる。約185nm以下では、UV放射は、オゾンおよび酸化的損傷を生じさせながら、酸素によって非常に効率的に吸収されうる。約240nm超では、UV放射は、酸化的DNA塩基損傷を生じさせるのに非常に効率的でありうる。(例えば、参照文献96および97を参照)。従って、200nm波長のUV放射は、狭いUV「安全窓」内にありうる。対照的に、ウイルスは、典型的にヒト細胞よりサイズが物理的にずっとより小さいため、およそ200nmの波長をもつUV放射がウイルスを貫通して、それゆえにそれらを死滅させることができる。
【0020】
本開示の例示的な実施形態によれば、1つ以上のUVエキシランプ、もしくは1つ以上のUVレーザまたは他のコヒーレント光源を利用することが可能であり、これらの光源は、標準的なUVランプとは対照的に、特定の波長、例えば、およそ200nmにおいてUV放射を生成できる。かかる例示的な波長近くの(例えば、本明細書に記載するような単一波長またはある波長の範囲内の)UV放射は、細菌に侵入してそれらを死滅させることができるが、ヒト細胞の核中へ好ましくは侵入せず、従って、患者およびスタッフの両方に対して安全であると期待できる。
【0021】
例示的なエキシランプUV照射器
例示的なエキシランプは、Institute of High Current Electronics(「IHCE」)において開発されたある例示的な概念を利用できる。(例えば、参考文献11を参照)。本開示の例示的な実施形態とともに利用できるさらなる例示的なエキシランプは、ドイツのHeraeus Nobelightから入手可能であろう。IHCEランプ、かかるランプの例示的な実施形態302を
図3の線図に示し、これらのランプを小さくて、頑丈で、費用をおよそ1,000ドルにできて、様々な単一波長のUV放射を生成するように作製することができる。加えて、ランプ302の側面から放出される任意のUV放射をフィルタするために、フィルタ304を用いることができる。上記の考察に基づいて、本開示の例示的な実施形態は、例えば、約207nmのUV放射を生成できるクリプトン-臭素ランプ(例えば、エキシランプ)、または約222nmのUV放射を生成できるクリプトン-塩素臭素ランプ(例えば、
図3を参照)を用いることができる。これらのランプの例示的なスペクトルを
図4のグラフに示す。同図に示すように、スペクトル分布402をクリプトン-臭素ランプによって生成し、スペクトル分布404をクリプトン-塩素ランプによって生成した。加えて、本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、不要な波長、または好ましい波長範囲外にありうる波長を除去するために、ある例示的な特徴(例えば、多層誘電体フィルタまたはケミカルフィルタのようなスペクトル・フィルタリング素子)を含めることができる。例えば、不要な波長をフィルタするために、ランプと照射表面との間に、例えば、バンドパスフィルタ、長波長ブロッキングフィルタなどの吸収および/または反射素子を設けることができる。1つの例示的な実施形態では、ランプが動作していることの指示を提供するために、吸収材料がUV放射を吸収するときに可視光をそれが放出するように吸収材料を蛍光性にすることができる。代わりに、または加えて、不要な波長を抑制するために他の気体をランプに追加することができる。例えば、クリプトン-臭素ランプにアルゴンを加えると228nmのUV放射の発生を抑制できる。
【0022】
空冷エキシランプの典型的なパワー密度出力を約7.5~約20mW/cm2とすることができるが、水冷システムではより高いパワー密度を得ることができる。約20mW/cm2では、数秒のみの曝露、または1秒のみの曝露でさえ、典型的な殺菌線量でありうる約20mJ/cm2を送達できる。
【0023】
本開示の例示的な実施形態は、隣接するヒト細胞をとっておく一方で細菌を差別的に死滅させるために、約207nmまたは約222nmの単一波長のUV放射を放出する、エキシランプを供給できる。さらにまた、本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、UV放射の波長(単数または複数)を約190nm~約230nmの範囲内、または約200nm~約230nmの範囲内とすることができる。本開示の実施形態を実装する例示的な実験は、インビトロ(例えば、実験室)3Dヒト皮膚システム(例えば、参考文献49および98を参照)、インビボ安全基準に関するヌードマウスモデル、および/またはインビトロ創傷感染モデルを含むことができる。(例えば、参考文献99を参照)。
【0024】
本開示のある例示的な実施形態を実装する例示的な実験では、例えば、例示的なUV放射源から例示的な予備滅菌結果を集めるために例示的なテストベンチを開発した。例えば、例示的なテストベンチは、(i)遮光ボックス、(ii)シャッタ制御、(iii)フィルタ・ホルダおよび(iv)時間、距離および波長(例えば、207nm KrBrエキシランプ、222nm KrClエキシランプ、および254nm標準殺菌ランプ)について調製可能な曝露パラメータを含むことができる。加えて、最適な単一波長曝露を提供すべくエキシランプ放出スペクトル中の高い方の波長成分を除去するために、例示的なカスタムフィルタを設計できる。UV分光計および(例えば、装置キャリブレーション用)重水素ランプを用いて、例えば、KrBrおよびKrClエキシランプの両方についてエキシランプ放出(例えば、要素602aおよび602b)をフィルタありのエキシランプ放出(例えば、要素604aおよび604b)と比較した正規化スペクトルを図示する、
図6Aおよび
図6Bに示すグラフに示されるように、フィルタの有効性を確認することができる。この例示的なテストベンチは、例えば、以下に記載する、細菌および健康なヒト細胞の両方へのフィルタありのエキシランプ曝露の生物学的知見の発生を容易にした。次に、例示的な生物学的試験の経験がフィルタありのKrBrおよびKrClエキシランプを臨床応用に最適のデバイスへ発展させるための例示的なパラメータについて詳細を提供した。
【0025】
例示的な生物学的結果
以下に記載するのは、本開示のある例示的な実施形態を実装するある例示的な実験である。例示的な実験は、例えば、例示的なフィルタありのエキシランプからのUV放射が正常ヒト細胞に害を与えない一方で細菌を効果的に死滅させることができるかどうかを調べた。
【0026】
例示的な実験では、ヒト線維芽細胞を、例えば、標準的な殺菌UVランプ(例えば、約254nm)からの約3mJ/cm
2に曝露し、それらの生存は、約10
-4未満であった。対照的に、それらを例示的なフィルタありのKrBrまたはKrClエキシランプ(例えば、それぞれ約207nmおよび222nm)からの150mJ/cm
2と高いフルエンスに曝露したときに、それらの生存は、約1~約10
-1の範囲内であった。(例えば、
図7に示すグラフを参照)。実際、
図7は、例示的なフィルタありのKrBr(例えば、207nm、要素705)もしくはKrCl(例えば、222nm、要素710)エキシランプから、または従来型殺菌ランプ(例えば、約254nm、要素715)からのUV放射に曝露した正常ヒト皮膚線維芽細胞(例えば、AG1522)のクローン原性生存を図示する例示的なグラフを示す。
【0027】
例示的な実験では、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)に対する例示的なエキシランプの殺菌死滅効力を試験した。MRSAは、手術部位感染の約25%の原因である可能性があり、米国における毎年およそ20,000人の死亡と関連付けることができて、大部分が医療に関連する。MRSAおよび抗生物質感受性黄色ブドウ球菌は、典型的に従来型殺菌ランプからのUV放射に対して等しく感受性がある。(例えば、参考文献2を参照)。例えば、例示的な結果を
図8のチャートに示し、同チャートは、約100mJ/cm
2のエキシランプ・フルエンスにおいて、10
-4のMRSA生存レベルを達成できることを示す。例えば、
図8は、例示的なフィルタありのKrBrエキシランプ(例えば、約207nm、要素805)またはKrClエキシランプ(例えば、約222nm、要素810)からのUV放射への曝露後のMRSA(例えば、菌株US300)の不活化の例示的なグラフを示す。
【0028】
図7および
図8における例示的な結果を比較すると、約207nmの、および約222nmの例示的なフィルタありのエキシランプUV放射は、ヒト細胞と比べて差別的にMRSAに影響を及ぼすかおよび/またはそれを死滅させることができる。例えば、約100mJ/cm
2の例示的なフィルタありのエキシランプ・フルエンスでは、ヒト細胞の生存レベルは、例えば、約0.1~1の範囲内とすることができ、一方でMRSAの生存レベルは、約10
-4の範囲内とすることができる。かかる例示的な知見は、細菌およびヒト細胞をおよそ等しく効率的に死滅させることができる従来型殺菌UVランプ(「GUVL:germicidal UV lamp」に関する状況とはかなり対照的である。例えば、従来型殺菌UVランプについては、GUVLが10
-4の細菌生存をもたらしうるUVフルエンスにおいて、GUVLからのヒト細胞生存が約0.3×10
-4であり、ヒト細胞の生存優位性は、0.3でありうる。約207または約222nmの例示的なエキシランプを用いると、例示的な207または222nmのフィルタありのエキシランプが10
-4の細菌生存をもたらしうるUVフルエンスにおいて、例示的なフィルタありのエキシランプによるヒト細胞生存が約0.1~1の範囲内にあり、ヒト細胞の生存優位性は、5000の範囲内にありうる。
【0029】
図5は、本開示によるシステムの例示的な実施形態の例示的なブロック図を示す。例えば、本明細書に記載する本開示による例示的な手順を別々におよび相互に連動してUV発生源580および/またはハードウェア処理機器および/または計算機器510によって行うか、またはそれらを用いて制御することができる。かかる例示的な処理/計算機器510は、例えば、以下には限定されないが、コンピュータ/プロセッサ520の、全体もしくは一部とするか、またはそれを含むことができて、コンピュータ/プロセッサ520は、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができ、コンピュータアクセス可能媒体(例えば、RAM、ROM、ハードドライブ、または他の記憶デバイス)上に記憶された命令を用いることができる。
【0030】
図5に示すように、例えば、コンピュータアクセス可能媒体530(例えば、本明細書において先に記載したように、ハードディスク、フロッピーディスク、メモリスティック、CD-ROM、RAM、ROMなどのような記憶デバイス、またはそれらの一群)を(例えば、処理機器510と通信する状態で)設けることができる。コンピュータアクセス可能媒体530は、実行可能な命令540をその上に含むことができる。加えてまたは代わりに、コンピュータアクセス可能媒体530から分離して記憶機器550を設けることができて、コンピュータアクセス可能媒体530は、例えば、本明細書において先に記載したように、ある例示的な手順、処理および方法を実行するように処理機器を構成するために処理機器510に命令を提供できる。
【0031】
さらにまた、例示的な処理機器510は、入力/出力機器570を設けるか、または含むことができて、入力/出力機器570は、例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット、イントラネット、データ収集プローブ、センサなどを含むことができる。
図5に示すように、例示的な処理機器510は、例示的な表示機器560と通信を行うことができて、例示的な表示機器560は、本開示のある例示的な実施形態によれば、例えば、情報を処理機器から出力するのに加えて、情報を処理機器へ入力するように構成したタッチスクリーンとすることができる。さらにまた、データをユーザアクセス可能フォーマットおよび/またはユーザ可読フォーマットで表示および/または記憶するために例示的な表示560および/または記憶機器550を用いることができる。
【0032】
ヘアレスマウスにおける、およびブタにおける例示的な安全性研究
207nmUV放射のインビボ安全性を判定するために、SKH-1ヘアレスマウスおよびブタをこのUV波長の放射に曝露できて、様々な生物学的損傷エンドポイントを評価できる。陽性対照は、従来型254nm殺菌UVランプと同じ線量の曝露とすることができる。陰性対照は、UV放射の曝露を受けることができない。エンドポイントは、生理学的エンドポイント(例えば、皮膚の浮腫および紅斑)、表皮の免疫組織化学的および分子的エンドポイント、ならびに白内障形成とすることができる。
【0033】
ヘアレスマウス皮膚創傷モデルにおける、およびブタ皮膚創傷モデルにおけるMRSA死滅に関する例示的な効力研究
207nm放射(例えば、光)の効力は、手術中の創傷の連続的な曝露によってSSIを防止するためにそれを用いる目的により評価することができる。例えば、生きているMRSAを含んだ懸濁液をSKH-1ヘアレスマウスおよびブタの背側皮膚に塗布することができて、その後に創傷誘導および縫合が続く。創傷部位の1つのセットを外用抗生物質で処理することができ(例えば、陽性対照)、別のセットを処理しないままとすることができ(例えば、陰性対照)、第3のセットを207nm放射に曝露することができる。感染に関する創傷の段階的な点検を客観的な創傷評価基準を用いて実施できる。
【0034】
表面上およびエアロゾル中のインフルエンザウイルスの不活化に関する例示的な効力研究
遠UVC光(例えば、約190nm~約230nmの光、または約200nm~約230nmの光)は、従来型殺菌ランプと同じくらい効率的に細菌を死滅させるか、または別様に損傷することができる。(例えば、参考文献94を参照)。加えて、例えば、(例えば、約222nmの)KrClエキシランプ、または(例えば、約222nmの)レーザ光源によって、同じかまたは同様の範囲で放出されたUV放射は、同様に効果的にウイルスを死滅させるかおよび/または損傷することができる。
【0035】
H1N1インフルエンザウイルスについて、222nmUV放射の抗ウイルス効力を従来型殺菌ランプからの254nmUV放射と比較して評価できる。例示的なベンチトップ・エアロゾルUV照射チャンバを用いて、感染性生物を運ぶことが可能な表面である、媒介物表面のような、表面上のインフルエンザウイルス、エボラ、SARSおよび/またはMERSについて、続いてエアロゾル中のインフルエンザウイルスについてフルエンスに依存する不活化の決定を行うことができる。
【0036】
UV放射は、細菌およびウイルスの両方に対して効果的な、確立された高効率の抗菌モダリティである。しかしながら、発癌性でも白内障誘発性でもあり、ヒト健康上危険な可能性があるため、人々が存在しうるシナリオでUV滅菌を用いることは、一般に実用的でない。生物物理学的原則に基づいて、本例示的なシステム、方法、およびコンピュータアクセス可能媒体は、例えば、KrBrエキシマランプ、レーザ光源またはコヒーレント光源(例えば、同じ位相、同じ偏光および/または同じ方向を有する光源)からの(例えば、およそ207nmの)遠UVC光源を含むことができて、この光源は、従来型UV殺菌ランプと比べて-細菌およびウイルスの両方に対して-抗菌性の利点を有し、かつ付随するヒト安全性欠陥を伴わない。
【0037】
細菌抑制のために、およびさらに(例えば、有生表面上、または感染性生物を運ぶことが可能な表面である媒介物表面を含む、無生表面上の)様々なウイルスの表面および空気伝搬による蔓延を防止するために、潜在的に重要な用途がありうる。1つの例示的な利点は、本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法、およびコンピュータアクセス可能媒体を用いた、UVを介した細菌の死滅が薬剤耐性とは無関係でありうる(参考文献2および3を参照)ということでありうる。
【0038】
本例示的なシステム、方法、およびコンピュータアクセス可能媒体が基づくことができる生物物理学考察を次の通りとすることができる。例えば、蛋白質(例えば、特にペプチド結合を通じて)および他の生体分子(例えば、参考文献4および5を参照)は、およそ200nmの波長のUV放射を非常に強く吸収することができ、従って、生体物質に侵入するこのUV放射の能力は、極めて限られうる。従って、例えば、250nmで約3μm、より高いUV放射波長のときはずっとより長い距離のものに放射する場合に比べて、約207nmのUV放射の強度は約0.3μmの組織のみで半減させることができる。(例えば、参考文献6および7を参照)。この現象を
図9のグラフに示す。対照的に、純水中では約207nmUV放射を最小限に吸収できるに過ぎない。(例えば、参考文献8を参照)。
【0039】
約207nmのUV放射の飛程が生体物質中で非常に短いことが意味するのは、この放射が、表面上またはエアロゾル中の細菌およびウイルスの両方に侵入してそれらを死滅させることができる(例えば、細菌、ウイルス、およびエアロゾルは、すべてが典型的に直径1μm未満である)が、ヒト角質層(例えば、ヒトでは5~20μmの厚さでありうる(例えば、参考文献9を参照)外側死細胞皮膚層、例えば、参考文献9を参照)も、眼球の角膜も、個々のヒト細胞の細胞質(例えば、大部分のヒト細胞は、直径が10~25μmに及び(例えば、参考文献10を参照)、核の周りの細胞質の層厚は、
図2に示すように約1ミクロンと約4.5ミクロンとの間にありうる)さえも、いずれも貫通できないということである。
【0040】
本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体は、特定の励起分子複合体から主として単一UV波長を放出する、しばしばエキシランプと呼ばれる、エキシマランプを用いることができる。(例えば、参考文献11および12を参照)。関心波長領域において放出するエキシランプが最近になって市販されるようになり、例えば、約207nmにおいて高強度遠UVC放射を生成できるクリプトン-臭素混合物を含む。(例えば、参考文献11を参照)。エキシランプを小さくて、頑丈、安価、十分な強度で、長寿命(例えば、およそ10,000時間)にすることができる。(例えば、参考文献11、13および14を参照)。これらのエキシランプは、例示的な用途には容認できないであろう、低レベルのより高波長のUV放射も放出できる。しかしながら、有害な波長を取り除くためにUV放射フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を用いることができる。
【0041】
手術部位感染の例示的な低減
米国におけるすべてのクリーン手術のうちの約0.5%と約10%との間でSSIを生じる可能性があり、これは、毎年約275,000人の患者に相当する。(例えば、参考文献15~17を参照)。SSIを発症する患者は、SSIのない患者と比較して、ICUで時間を過ごす尤度がさらに約60%高く、再入院する尤度が5倍になりかねず、死亡率が非感染患者の2倍であり、病院滞在が平均してさらに7日長く(例えば、参考文献18を参照)、全医療費は、およそ2倍である。(例えば、参考文献19を参照)。米国においてSSIに原因が帰される年間死亡数は、約8,200と推定され(例えば、参考文献16を参照)、年間患者病院費は、約30億ドルと約100億ドルとの間にある。(例えば、参考文献20を参照)。
【0042】
手術部位感染への2つの異なる細菌経路、すなわち、(i)概ね血流を通じての第1の内部経路、および(ii)概ね空気伝播を通じての第2の外部経路が潜在的に存在しうる。これらの2つの経路の相対的な重要性は、問題の手術のタイプに依存しうるが、現在の証拠は、SSIの過半数が空気から手術創上へ直接に降下する細菌から生じることを示唆する。空気ルートが優位である証拠は、空中浮遊細菌の密度と術後敗血症率との間の相関関係に依拠する。(例えば、参考文献21および22を参照)。手術創上に直接に降下する空中浮遊細菌の重大さに関する証拠は、例えば、特異的に手術部位上に向けられた従来型UVランプの研究(例えば、参考文献23を参照)、およびさらに創傷に向けられたフィルタ空気流の研究に依拠する。(例えば、参考文献24を参照)。
【0043】
従来型殺菌UVランプを用いた手術創照射の研究は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)の約4~約5 log cell killに相当するUVフルエンス、または線量を用いると、SSI率の著しい減少をもたらして、著しく有望であることを示した。例えば、5,980の関節置換術を追跡した19年間にわたって、SSI率は、UV照明なし、かつ層状空気流ありでは約1.8%であり、UV照明ありの感染率は、約0.6%であり、3分の1に減少した(例えば、p<0.0001)。(例えば、参照文献23を参照)。しかしながら、このアプローチのマイナス面は、上述のように、従来型殺菌UVランプが患者および手術スタッフの両方にとって健康上危険な可能性があり、手術スタッフおよび患者のために煩わしい防護服、フードおよびアイシールドの使用が必要となることである(例えば、参考文献25および26を参照)。従って、手術中の創傷滅菌のために殺菌UVランプを広範に用いることは限られてきた。
【0044】
しかしながら、約207nmのUV放射は、MRSAを従来型殺菌ランプと同じくらい効率的に不活化できるが、ヒト曝露についてははるかにより安全でありうる。従って、全手術手順中の手術創領域上への約207nmのUV放射の連続的な低フルエンス率の曝露は、細菌が創傷領域上へ降下するにつれて、それらが創傷の内部へ侵入する前に-かさねて潜在的に患者またはスタッフに対する悪影響なしに-細菌を死滅させる安全なアプローチでありうる。
【0045】
SSI率を最小限に抑えるためにかなりのリソースが充てられたが、ほどほど成功したに過ぎず、1つの基本的に未解決の課題は、MRSAのような薬剤耐性細菌の課題でありうる。(参考文献27を参照)。UV放射は、一般に、薬剤耐性菌を野生型株と比較して同等に効果的に不活化できる(例えば、参考文献2および3を参照)ため、UV放射の使用は、薬剤耐性の課題に直接的に対処し、実際、すべての例示的な研究がMRSA-薬剤耐性菌株を用いて行われてきた。
【0046】
実際には、手術環境においていくつかの207nmエキシマランプを用いることができる。本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体を標準的なオーバーヘッド手術照明システム中へ組み込むことができる。不測の遮蔽から冗長性のレベルを確保するために、外科医のヘッドライト照明システム中に可能な第2のUV放射源を組み込むことができて、光ファイバー経由でUV放射がこのヘッドライトへ送られる。(例えば、参照文献28を参照)。
【0047】
インフルエンザの伝播の例示的な低減
米国では、インフルエンザが約300万日の在院日数、および約100億ドルの医療費を生じ-発症する集団は、概して高齢者および非常に若い人々である。(例えば、参考文献29を参照)。インフルエンザは、急速に蔓延する可能性があり、ワクチンの開発を達成するために数カ月を要しうる。H5N1のようなインフルエンザの毒性株のパンデミックな蔓延についても重大な懸念がありうる。従って、インフルエンザの伝播を防止するための有効な方法論が緊急に必要とされうる。小さいエアロゾルを介してのインフルエンザの空気伝播は、唯一のルートではありえそうにないが、研究所(例えば、参照30および31を参照)および疫学的研究に基づいてそれを主要な個人間の伝播経路であると一般に見做すことができる。(例えば、参考文献32および33を参照)。
【0048】
考察され、かなり有望なことを示した1つの例示的なアプローチは、部屋の上部に位置する殺菌UVランプを用いた循環室内空気の照射-上部室UV殺菌照射(「UVGI:UV germicidal irradiation」)でありうる。(例えば、参考文献34を参照)。上部室UV殺菌ランプは、明らかに有望なことを示すが、それらの発癌および白内障誘発の可能性に起因して、その大規模な使用が幅広くは採用されなかった。特に、部屋の下部にいる個人に到達するUV放射を最小限に抑えるために、最新のUVGI固定具は、UVビームを下部室から遠ざけてコリメートするためにルーバを用いる。(例えば、参考文献35を参照)。しかしながら、ルーバは、UVGIシステムが殺菌UV曝露に関する推奨限度値を満たすことを容易にするが、UV固定具を出たUV放射の95%超をブロックすることによってこれを達成し、結果的に有効性が低下する。(例えば、参考文献36を参照)。さらなる考察は、誤ったUVGI使用後の不慮の殺菌UVC曝露のレポートを含む。(例えば、参考文献37を参照)。
【0049】
従って、本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体は、UVGI固定具内の標準的な殺菌ランプに取って代わることができる。H1N1インフルエンザウイルスを用いた例示的なデータに基づいて、約222nmのUV放射は、従来型殺菌UVランプと比較して、少なくとも同じくらい効果的に、および潜在的により効果的にインフルエンザウイルスを死滅させることができるが、ヒト安全性懸念の対象にはならないであろう。これによって病院および共同体の環境における本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体の広範な使用が広がるであろう。
【0050】
例示的な抗菌用途
空中浮遊微生物の伝播が懸念となりえ、本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体を用いて効果的に対処する可能性を有する、多くの他のシナリオがありうる。1つの細菌例は、結核の伝播を最小限に抑えることができて、上部室UV殺菌照射の使用がこの点に関して著しい可能性を有することを示した(例えば、参考文献38を参照)が、先に考察した安全性の警告を伴った。ウイルスについては、定期航空便、病院および他の共同体の環境における本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体の使用がSARSのようなパンデミックを制限するのに役立ちうる。最近の潜在的な用途は、UVへの感受性が知られている、エボラ・ウイルスのような感染源に潜在的に曝露される医療従事者が用いる個人用保護具(「PPE:personal protective equipment」)の除去室における照明でありうる。(例えば、参照文献39を参照)。PPEの除去/脱ぐことが感染源に曝露される医療従事者の系統的保護における弱点となりうることが広く提言されてきた。(例えば、参照文献40を参照)。
【0051】
本例示的な抗菌システム/方法は、例えば、約207nmまたは222nmの単一波長上でUVC放射(例えば、またはそれらの間の波長をもつ任意の放射源)を用いることができ、これらの放射は、哺乳類細胞または組織を損傷することなく細菌またはウイルスを死滅させることができる。(例えば、参照文献1を参照)。本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体は、約254nmの主要な殺菌波長を放出し、かつヒトにとって危険な可能性がある、従来型水銀ベース殺菌ランプを用いるのとは著しく異なることができる。(例えば、参考文献26および41~44を参照)。
【0052】
従って、本開示の例示的な実施形態による、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体は、従来型UV殺菌ランプと比較して細菌/ウイルスに対して同等に有毒でありうるが、ヒト曝露の観点からはるかにより安全でありうる、およそ207nmまたはおよそ222nmのUV波長の生成を含むことができる。
【0053】
単色207nmのUV放射源の例示的な開発
エキシマランプ(例えば、エキシランプ)は、効率的なほぼ単一エネルギーのUV放射源(例えば、参考文献11を参照)であり、適切なガス混合物(例えば、例示的なケースではKr+Br)によってほぼ単一エネルギーの207nmのUV放射源を作り出すことができる。
図10は、例示的なKrBrエキシランプから放出された測定スペクトルを示す。(例えば、参照文献1を参照)。しかしながら、エキシランプは、かなりのフルエンスのより高波長の光(例えば、
図10に示すグラフを参照)を放出できて、これらの高波長は、より侵入しやすく、著しい生物学的損傷を生じる可能性がある。それゆえに、主要な波長放出を除くすべてを除去するために、カスタマイズされたバンドパスフィルタを用いることができる(例えば、
図10の挿入グラフを参照)。フィルタありのエキシランプ、およびシャッタをユーザフレンドリーなスタンドをもつポータブルな装置へ組み込むことができる。本明細書に報告するすべての例示的な研究をこれらの例示的なフィルタありのエキシランプを用いて行った。典型的なジオメトリーは、約1mのランプ距離において約580mmの直径の円形フィールド内にパワー密度が約0.1mW/cm
2の均一なパワー密度を生成できる。
【0054】
ヒト線維芽細胞(安全性)およびMRSA(効力)を用いた、安全性および効力の例示的なインビトロ研究
ヒト皮膚AG1522線維芽細胞、およびMRSA細菌を用いて、インビトロで例示的な実験を行った。線維芽細胞およびMRSAの両方の表面上を遮蔽なしに照射した。従来型殺菌ランプ対例示的なフィルタありの207nmランプでセル生存を比較した。
図11Aおよび
図11Bのグラフに示すように、207nmUV曝露は、ヒト細胞において従来型殺菌ランプよりはるかに少ない細胞死滅をもたらした(例えば、
図11A、曲線1105は、殺菌ランプのMRSA死滅を図示し、曲線1110は、殺菌ランプに対するヒト細胞死滅を図示する)。適切なフルエンスにおいて、207nmのUV放射は、従来型殺菌ランプとほとんど同じぐらい効率的にMRSAを死滅させる(例えば、
図11B、曲線1115は、本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体に対するMRSA死滅を図示し、曲線1120は、例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体に対するヒト細胞死滅を図示する)。例えば、同じレベルのMRSA死滅に対して、本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体は、従来型殺菌ランプと比較してヒト細胞では約1000分の1のより少ない死滅をもたらす。(例えば、参照文献1を参照)。
【0055】
ヒト皮膚モデルにおける例示的な安全性研究
ヒト角質層、表皮および真皮を再現する完全な3Dヒト皮膚モデル(例えば、EpiDerm、MatTek Corp)を用いることによって例示的な表面上のインビボ安全性研究を拡張した。標準的な殺菌ランプからのUV放射および約207nmのUV波長を用いて皮膚モデルを上から照射した。UV曝露と関連付けられる一般的な前変異原性皮膚光産物(例えば、シクロブタン型ピリミジンダイマー(「CPD:cyclobutane pyrimidine dimer」)およびピリミジン-ピリミドン6-4光産物(例えば、6-4 PP))について免疫組織学的アッセイを行った。結果を
図4のグラフに示す。標準的な殺菌UVランプを用いた結果とは対照的に、207nmのUV放射は、UV-関連皮膚癌と関連付けることができる光産物を何も生成しなかった。
【0056】
ヘアレスマウス皮膚における例示的なインビボ安全性研究
SKH-1ヘアレスマウス角質層の典型的な厚さは、約5μmでありうる。(例えば、参考文献50を参照)。従って、この角質層は、約5~20μmの典型的な範囲の角質層厚を有する、ヒト皮膚に関する有用な保守的モデルでありうる。(例えば、参考文献9を参照)。
【0057】
照射の詳細を以下に示し、本例示的なシステム、方法、およびコンピュータアクセス可能媒体を用いたより広範な安全性研究を示す。ここでは、4匹のSKH-1ヘアレスマウスの一群をエキシランプに150mJ/cm2のフルエンスで曝露し、4匹のマウスの第2の群を標準的なUV殺菌ランプからの同じUVフルエンスに曝露し、4匹のマウスの第3の群は、UV放射曝露を何も受けなかった(例えば、sham)。
【0058】
曝露後48時間において、マウスを屠殺し、分析のために背側皮膚切片を調製した。表皮の厚さ、ならびにシクロブタン型ピリミジンダイマー(「CPD」)の誘導、およびピリミジン-ピリミドン6-4光産物(例えば、6-4PP)の誘導を評価した。
【0059】
図12Aは、ヒト皮膚モデルにおけるシクロブタン型ピリミジンダイマーの生成に対する従来型殺菌UVランプ1205および例示的なフィルタありの207nmUVランプ1210の効果を図示する例示的なグラフを示す。
図12Bは、ヒト皮膚モデルにおけるピリミジン-ピリミドン6-4光産物(例えば、6-4PP)の生成に対する従来型殺菌UVランプ1205および例示的なフィルタありの207nmのUVランプ1210の効果を図示する例示的なグラフを示す。
【0060】
図13A(例えば、最上行)は、3つのマウス群からのH&E染色皮膚試料の断面像を示す。約207nmまたは約222nmランプによって発生した150mJ/cm
2 UVに曝露したマウスの背側皮膚の表皮層の厚さは、対照と統計的に異ならなかった。対照的に、約254nmの従来型殺菌ランプによって発生した同じフルエンスは、表皮の厚さの2.7±0.4倍の増加を生じた。
【0061】
図13A(例えば、中間および下側の行)は、前変異原性光産物病変CPD(例えば、中間行、濃く染色した細胞)および6-4PP(例えば、最下行、濃く染色した細胞)を比較した3つの群からの皮膚試料の典型的な断面像を示す。予測通りに、
図13Aに示すように、254nmの従来型殺菌ランプからの150mJ/cm
2への曝露は、対照と対比して、表皮細胞におけるこれらの病変のパーセンテージの劇的な増加を生じたが、一方で207nmUV放射の同じフルエンスに曝露した組織は、対照と比べてこれらの表皮性病変の統計的に有意な増加を何も示さなかった。
図13Bは、特定のUV波長に対して前変異損傷を伴う表皮細胞の割合をCPD(例えば、shamの1305、254nmの1310および207nmの1315)ならびに6-4PP(例えば、shamの1320、254nmの1325および207nmの1330)について図示する例示的なチャートを示す。
【0062】
ブタにおける効力研究のためのMRSA濃度の例示的な最適化
MRSAの適切な初期濃度を評価するために設計したブタ実験から予備的な結果が生じた。UV照射を伴わなかった例示的な実験では、MRSAを異なるMRSA濃度(例えば、105~107cfu/ml)で3匹のブタの適切な背側領域上に広げた。各濃度で12個の表面創傷を発生させて、90%の創傷感染率をもたらす最小MRSA濃度を見出すことを目標に動物を7日間観察した。感染源を確認するために7日目にすべての創傷から生検試料も採取して、系列希釈を用いてアッセイした。創傷感染数に基づいて、(例えば、11/12の創傷が感染する)初期MRSA濃度として107cfu/mlを選び、この濃度について、生検試料からの結果は、平均して1.5±1.0×106MRSA cfu/組織試料であった。細菌コロニーは、純粋なMRSAであるように見えた。
【0063】
インフルエンザウイルス不活化に関する例示的な効力最適化研究
標準的なプラークアッセイを最適化して、UV曝露後のH1N1インフルエンザウイルスの生存率を測定するために用いた。ウイルスの表面上を照射した後に、例示的な生存率(「S」)結果を、207nmのUV放射曝露および従来型殺菌ランプ曝露の両方について、標準的な(例えば、参考文献29を参照)指数関数モデルS=exp(-Z)にフィッティングした、ここではUVフルエンスがありえ、Zは、いわゆる「感受性」パラメータとすることができる。従来型殺菌ランプのプラーク形成単位(「PFU:plaque forming unit」)データから、先に用いられた範囲のZ=0.32m2/Jの感受性パラメータ値を導出した。(例えば、参考文献29を参照)。207nmのデータから、H1N1インフルエンザウイルスを不活化するために207nmのUV放射が従来型殺菌ランプよりさらにいっそう効果的でありうることを示唆する、Z=0.42m2/Jの感受性パラメータ値を導出した。
【0064】
ベンチトップ・エアロゾルUV曝露チャンバの例示的な設計、構築および使用
図14中の画像に示す、ベンチトップ・エアロゾル曝露チャンバを設計し、構築した。エアロゾル発生モジュール1405は、飽和/乾燥空気および衝突-ネブライザー入力部を有し、液滴分散用の一連の内部バッフルを有する。エアロゾル発生チャンバ内の状態を温度および湿度計がモニタでき、その後にエアロゾルをUV曝露モジュールを通して流すことができて、UV曝露モジュールは、UV照射器側に300×275mmのシリカ石英窓1410を有し、向こう側にはUVC放射計によってUV放射照度をモニタするための石英ポートを有する。エアロゾルは、流速に依存する時間にわたってUVフィールド中に存在でき、その時間が次にはUV放射線量を決定できて、ランプを窓に近付けるか、または窓から遠ざけることによってその時間を調整することもできる。パーティクルサイザー(particle sizer)がUV照射体積中のエアロゾルのサイズ分布を測定できる。エアロゾルをアウトプット・ポートを通してサンプリング・モジュール1415中の2つのBioSamplerへ引き込むことができる。
【0065】
エアロゾルは、86.9%が0.3と0.5μmとの間、10.9%が0.5と0.7μmとの間、1.9%が0.7と1.0μmとの間、ならびに0.3%が1μm超のサイズであった。(例えば、37.9%の相対湿度および24.6Cにおける)これらのサイズ分布を相対湿度を変えることによって変化させることができて、ヒト呼気および咳からの適切なエアロゾル・サイズの範囲を表すことができる。(例えば、参考文献53および54を参照)。
【0066】
例示的なヘアレスマウス照射
図15に提供した例示的な画像に示すように、特別に設計したマウス照射ボックスの60mm(「W」)、125mm(「L」)および80mm(「H」)サイズの区画1510中にマウス1505を個々に配置できて、UV曝露の前(例えば、48時間の順化時間)、間、および後に水およびPurita Laboratory Chow5001の食餌を適宜与えながらマウス1505をそこに収容できる。マウス照射ボックス上の金属メッシュ最上部は、例示的な207nmのKrBrエキシランプから、または254nm殺菌ランプからのUV放射の透過を容易にすることができる。
【0067】
例えば、(i)sham曝露、(ii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける207nm KrBrランプ、および(iii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける殺菌UVランプを含みうる、様々な条件を用いることができる。UV Technik Micro Puck UV線量計およびPhoton Control UVC分光計を用いてインサイチュの207nmUVエキシランプ放出特性をマウス曝露前に測定することができる。
【0068】
長期UV放射曝露からの影響を決定するために全部で245匹のSKH-1ヘアレスマウス(例えば、7週齢,菌株コード:477,Charles River Labs)を用いることができる。1日および1ヶ月間の8時間/日の照射に対してマウスの総数を2つの群に分離できる。
図16の線図に示すように、曝露-継続期間群ごとに70匹のマウスを用いることができて(例えば、要素1605)、105匹の追加のマウス(例えば、1640)を1日の曝露後の時系列(例えば、1660)の免疫組織化学的および分子的エンドポイントのために用いた。
【0069】
70匹のマウスの各群(例えば、1605)を2つの下位群に分割できて、35匹のマウス(例えば、1625)は、曝露後のアッセイ(例えば、組織切片1660)のために採取でき、他の35匹(例えば、1610)は、皮膚特性(例えば、1615)の生存アッセイを受けることができて、次に眼の研究(例えば、1620)のためにさらに9ヶ月間維持できる。35匹のマウスの各群は、例示的な曝露条件:(i)sham曝露、(ii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける207nm KrBrランプおよび(iii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける殺菌UVランプの各々、を表すマウスを含むことができる。
【0070】
例示的なブタ皮膚照射
例示的なブタモデルを、例えば、(i)sham曝露、(ii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける207nm KrBrランプおよび、(iii)50または150mJ/cm2のいずれかにおける殺菌UVランプを含みうる、様々な曝露条件に曝露することができる。UV放射曝露時間は、約20分~1時間の範囲内とすることができる。ブタの背側表面領域は、複数の急性曝露条件にとって十分でありえ、複数組織試料を提供できるため、2匹のブタ、1匹は雄および1匹は雌を用いることができて、各動物にすべての曝露条件を送達できる。曝露中に各ブタを麻酔できて、各曝露条件を動物の所定の背側領域へ送達できる。マウス皮膚照射実験と比較するために、急性曝露後に、皮膚特性を記録できて、0、24、48および72時間においてバイオアッセイのために皮膚パンチによって組織試料を収集することができる。
【0071】
マウスおよびブタ安全性研究のための例示的なバイオアッセイ
皮膚特性アッセイ
例示的な生存アッセイは、皮膚特性に注目できる。(例えば、参考文献58および59を参照)。放射線療法患者におけるヒト皮膚紅斑を数量化するために現在用いられている例示的なコニカ-ミノルタ(Konica-Minolta)ハンドヘルド比色計(例えば、Chroma Meter CR-410T)を用いて照射前後の皮膚発赤の測定結果を比較することによって、皮膚紅斑を評価できる(例えば、参考文献60を参照)。皮膚経表皮水分喪失もServoMed Evaporimeter EP-2を用いて測定できる。ライブアッセイに用いたすべてのマウスを以下に記載する例示的なマウスの眼の研究のためにさらに9ヶ月間維持できる。
【0072】
例示的な組織切片アッセイ
皮膚画像化、免疫組織化学的および分子的エンドポイントのために、屠殺したマウスおよび生きているブタから背側皮膚組織切片を採取した。例示的な皮膚画像化エンドポイントのためには、マウスおよびブタの皮膚パンチから組織切片アッセイを採取した。固定した皮膚の微視的特徴を調べるため、および皮膚層の厚さを測定するために、コロンビア大学のSkin Disease Research CenterのAdvanced Imaging Coreにおいて利用可能な先端的画像解析技術(例えば、Velocity、Metamorph)と併せて共焦点および多光子顕微鏡手法を用いた。1ヶ月の曝露については、曝露直後のマウスから採取した組織切片上で例示的な皮膚画像化エンドポイント・アッセイを適用した。例示的な1日(例えば、8h)の曝露期間については、UVB曝露後に最大水腫(maximal edema)について報告された時点、72時間においてマウスを屠殺した。(例えば、参考文献58を参照)。
【0073】
例示的な免疫組織化学的および分子的エンドポイントのために、コロンビア大学Medical Center、Skin Disease Research CenterにおけるTissue Culture&Histology Coreを用いて組織切片をアッセイした。例示的な1日(例えば、8h)の曝露後に、0時間(例えば、1645)、24時間(例えば、1650)、48時間(例えば、1655)および72時間(例えば、1635)において採取した時系列(例えば、1660)の試料を用いた(注記:マウスから取得した72hの試料を皮膚画像化エンドポイントに用いた、上記を参照)。特に、組織学的分析のために、固定した組織切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。DNA光損傷、炎症およびアポトーシスの誘導を調べた。DNA光損傷を固定した組織中のシクロブタン型ピリミジンダイマーおよび6,4-光産物の免疫組織化学的分析によって検出した。これらの手順は、リンパ系または骨髄由来のいずれかの炎症性細胞浸潤を示す。マスト細胞およびマクロファージのためのマーカーを用いて炎症反応をさらに調べた。同様に、TU ELアッセイおよび/または免疫組織化学ベースのカスパーゼ-3活性化分析によってアポトーシスを評価した。皮膚脈管構造における変化ならびに繊維症の早期発症を調べた。皮膚脈管構造におけるUV誘導変化をCD31のような内皮マーカーを通じて調べたのに対して、繊維症の潜在的な早期発症を観察するためにはコラーゲンおよびエラスチンファイバ形成のマーカーを用いた。
【0074】
例示的なマウスの眼のアッセイ
眼の紫外照射を眼瞼および結膜異常、角膜病理および白内障を含む様々な眼疾患と関連付けることができる。(例えば、参考文献61~64を参照)。病理の重症度およびタイプは、線量およびUV波長の両方に関係しうる。病理は、UV放射の直接的な作用、例えば、変異原性につながるシクロブタン型ピリミジンダイマー形成(例えば、参考文献5、65および66を参照)から、または間接的にフリーラジアルを介した眼内液および亜細胞成分との光化学的相互作用によって生じうる。(例えば、参考文献67~69を参照)。
【0075】
これらのエンドポイントを毎週の前眼部のスリットランプ検査によって形態学的に測定できる。角膜のおよそ295nmのUVカットオフ(例えば、参考文献72および73を参照)に起因して、この波長のUV放射が白内障を生じることはありえそうにないが、UV誘導による水晶体の変化を排除するために、定期的に散大スリットランプ検査を行うことができる。一般に受け入れられている主観的基準(例えば、参考文献64、74および75を参照)およびスリットランプ・フォトドキュメンテーションを用いて、潜在的な角膜、結膜および水晶体の変化を重症度についてスコア化することができる。
【0076】
UV誘導による前眼部の変化も照射後に週1回の間隔で屠殺した選択した動物で組織学的に分析できる。パラフィン固定し、染色した眼および眼窩の水平切片を調製して、異常について分析できる。(例えば、参考文献64、76および77を参照)。
【0077】
視覚障害に対する照射の潜在的な影響を決定するために、Virtual Optomotor System(VOS)のコントラスト感度試験を採用することができる。(例えば、参考文献78を参照)。VOSは、視力およびコントラスト感度における減衰の開始および進行の両方の信頼性の高い追跡を可能にする、マウスの視覚を数量化する簡易、精密かつ迅速な方法でありうる。(例えば、参考文献79を参照)。対象動物がoptomotor(例えば、頭の回転)の応答をもはや引き起こされなくなるまで、表示される可変的な縦方向正弦波格子の空間周波数を変化させることによって、視力を確実に数量化できる。このアプローチの利点は、それが視力に対する眼の変化の影響のより主観的な推定ではなく、視覚機能の直接的な測定を可能にできるということでありうる。すべてのケースにおいて、データを解析して、照射固有の眼の病理の有病率、発生率または進行速度におけるベースラインの増加を決定することができる。
【0078】
例示的な統計的考察
マウス研究およびブタ研究に同じかまたは同様の統計的分析を適用できるが、各マウスを1つだけの曝露条件に曝露できるのに対して、ブタ背側皮膚の複数の領域を異なる曝露条件にさらすことができるため、マウスより少ないブタの数を用いることができる。
【0079】
この目標に対処するために行った一連の実験からデータを分析するために、約80%検定力(例えば、β=0.2)および約95%有意(2*α=0.05)の統計的基準を用いて、分散分析(「ANOVA:analysis of variance」)を利用することができる。例えば、皮膚特性のライブアッセイ、皮膚画像化および眼の研究については、応答変数に対して0.4以上の効果量を検出するために5つの群に分割した70匹のマウスの試料サイズで十分であった。
【0080】
時系列の免疫組織化学的および分子的エンドポイントについては、5つの群に分割した140匹のマウスの提案試料サイズを、4つの時点で繰り返して測定すると、多変量分散分析(「MANOVA:multivariate analysis of variance」)の使用を保証できる。この試料サイズは、応答変数に対して約0.2以上の効果量を検出するために十分でありうる。
【0081】
マウス皮膚およびブタ皮膚におけるMRSA死滅に関する例示的な効力研究
生きているMRSAを含んだ懸濁液をSKH-1ヘアレスマウスおよびブタの背側皮膚に塗布し、その後に創傷誘導および縫合が続いた。創傷の1つのセットは外用抗生物質で処理し(例えば、陽性対照)、別のセットは処理せず(例えば、陰性対照)、第3のセットは、207nm放射に曝露した。客観的な創傷評価基準を用いて感染に関する創傷の段階的な点検を実施した。
【0082】
207nm放射は、ヒト曝露に対して従来型殺菌ランプより潜在的にずっとより安全である一方で細菌を効果的に死滅させることができる。SSI率を最小限に抑える例示的な用途は、手術中に空中浮遊細菌が創傷上へ降下しうるときにそれらを不活化するための創傷の207nm照射を含むことができる。ヘアレスマウスおよびブタモデルの207nm照射を用いた例示的な提案のインビボ研究は、手術創の文脈では皮膚表面上に導入できる、細菌および/またはウイルスを死滅させるための本例示的なシステム、方法およびコンピュータアクセス可能媒体の効力の第1の評価を提供するように設計できる。例示的なエンドポイントは、創傷感染の予防とすることができる。
【0083】
例示的なインビボ・ヘアレスマウス皮膚モデル
所定のMRSA濃度において感染を予防する207nmUV放射の効力を決定することができる。SKH-1ヘアレスマウスをイソフルランで麻酔し、アルコールおよびポビドン-ヨード溶液による洗浄後に、背側皮膚上で20mm×20mmの領域をマーク付けした。マーク付けした領域に予め決定した濃度のMRSA溶液を塗布して、乾燥させた。マウスのサブセットを207nmランプに50mJ/cm2または150mJ/cm2の総フルエンスまで曝露し、残りのマウスは、陽性対照として役立てた。陰性対照として役立てるために、MRSAを接種しなかったが、ランプで処理したマウスを平行して処理した。各マウスの20mm×20mm領域内で皮膚および表皮を通して10mmの切開を作った。創傷クリップを用いて切開を閉じた。
【0084】
72匹のマウス、従って、以下に記載するブタ皮膚研究のために計画したのと同じ72個の創傷を用いた(例えば、24匹のマウスが50または150mJ/cm2のいずれかを受け、24匹のマウスが外用抗生物質を受け、24匹のマウスが何も処理を受けなかった)。検定力の計算を以下に記載する。
【0085】
カスタム設計したボックス中にマウスを個々に収容して(例えば、
図7を参照)、最大7日間にわたって(例えば、紅斑および排膿によってわかる)創傷の感染について毎日モニタした。感染した創傷をもつマウスを即座に安楽死させて、以下に記載するように、創傷を処理した。7日目に、マウスをCO
2および頚椎脱臼によって安楽死させた。感染した創傷を炎症および細菌培養のためにさらにアッセイした。細菌培養のために各創傷の2mmのパンチ生検切片を処理し、一方では炎症の評価のために残りを10%BS中で固定した。炎症の程度を0~3のスケールでグレード分けし(例えば、参考文献81を参照)、一方ではCFUアッセイを用いて生検切片を細菌力価についてアッセイした。
【0086】
例示的なインビボ・ブタ皮膚モデル
ブタ皮膚は、皮膚科学および創傷調査の視点から優れたモデルを提供する。(例えば、参考文献56を参照)。ブタ皮膚がモフォロジー、細胞組成および免疫活性においてヒト皮膚と重要な類似性を有することを多数の形態学的、解剖学的、免疫組織化学的、皮膚科学的および薬理学的研究が実証してきた。(例えば、参考文献82および85を参照)。
【0087】
例示的なブタ皮膚創傷研究を2つのフェーズに分割した。フェーズIは、例示的なフェーズII研究のためにMRSAの適切な濃度を評価するため、および例示的なアッセイ・プロトコルを最適化するための設計最適化フェーズであった。UV照射を伴わない、これらの例示的なフェーズI研究では、創傷感染手順後に、組織生検試料をトリプチカーゼ大豆ブロス(trypticase soy broth)中に懸濁させて、超音波処理し、TSAプレート上に系列希釈した。プレートを37℃で36時間インキュベートした後にMRSAコロニーカウントを決定した。初期の107cfu/mlを用いたコンタミネーションに関するフェーズIの試行から、12個の生検試料からの例示的な結果は、平均すると約1.5±1.0×106MRSA cfu/組織試料であり、107cfu/mlが例示的な第1のUV研究に適した初期MRSA濃度であることを示した。
【0088】
フェーズII研究は、6匹のブタにおける表面(例えば、皮膚/皮下)創傷を含んだ。ある範囲の207nmフルエンスを用いて、創傷感染率を評価するために7日の経過観察時間を用いた。
【0089】
例示的な研究は、体重がおよそ22~25kgの病原体不在の家畜ブタを用いることができ、例えば、
1)ブタの背側皮膚を剪毛、清浄化および調製するステップと、
2)適切な濃度のMRSA細菌を含んだ溶液の皮膚上への外用と、
3)MRSAを有する皮膚を207nmUV放射、または陽性対照として、標準的な外用抗菌剤に曝露するステップと、
4)麻酔下で、ブタ皮膚上に一連の表面創傷を作り出すステップと、
5)創傷を閉じて、Dermabond液状皮膚接着剤で個々に覆うステップと、
6)観察期間にわたって感染について毎日創傷を視覚的にモニタするステップと
を含み、
7)個々の創傷が感染していると視覚的に判定できれば、Dermabondを除去できて、感染している創傷を培養棒で拭き取り、試料を培養するために標準的なチューブ状培地へ移し、その後、創傷にDermabondを再塗布できて、
8)観察期間の終了のときに、人道的な屠殺後に、細菌濃度を測定するためにすべての創傷を拭き取って生検を行った。
【0090】
例示的なブタ研究:207nm照射および対照
MRSA濃度は、例えば、107cfu/mlであった。207nmのUV放射に曝露する領域を画定するために各ブタを光学的にマスクした。各ブタが1回のみの207nmフルエンスを受けたが、個々の207nmフルエンスをすべてのブタに加え、約50~約150mJ/cm2の範囲に及んだ。陽性対照の創傷は、ポビドンヨード(例えば、ベタジン)、よくキャラクタライズされた殺菌剤(例えば、参考文献86および87を参照)を受け、陰性対照の創傷は、UV放射または外用抗菌剤のいずれも伴わなかった。
【0091】
例示的なブタ研究:手術創
ブタごとに長さが60mmで、最短で25mmに隔てられた全部で12個の創傷を用いた。各ブタでは、4つの創傷が207nmUV照射領域内にあり、4つの創傷が外用抗菌剤を受け、4つの創傷が対照としての役割を果たした。創傷を吸収性縫合糸を用いて閉じ、次にDermabondによって個々に覆った。創傷を4-0バイオシンを用いて閉じた。
【0092】
例示的なブタ研究:感染モニタリング
感染の徴候についてすべての創傷を毎日視覚的にモニタした。個々の創傷が感染していると視覚的に判定されば、Dermabondを除去して、感染している損傷を培養棒で拭き取り、培養のために試料を標準的なチューブ状培地へ移して、その後、創傷にDermabondを再塗布した。7日の観察期間の終了のときに、動物を人道的に屠殺して、細菌濃度を測定するためにすべての創傷の拭き取りおよび生検の両方を行った。
【0093】
例示的なMRSA効力研究:統計的検定力の考察
マウスおよびブタの両方の研究について同じ数の創傷(例えば、参考文献72を参照)を計画できるので、検定力の算出が両方に適用する。感染制御確率とUV線量との間の関係をモデリングするためにロジスティック回帰を用いた。(例えば、ゼロUV放射線量を受ける)24個の対照切開、低UV放射線量(例えば、50mJ/cm2)を伴う12個の切開、および高UV放射線量(例えば、150mJ/cm2)を伴う12個があった。80%検定力(例えば、β=0.2)および95%有意(2*α=0.05)の基準を用いると、これらの試料サイズは、ゼロUV線量における約10%の創傷制御確率から高UV線量における約99%の創傷制御確率まで及びうる線量応答を検出するために十分であった。
【0094】
インフルエンザウイルスの例示的なUV不活化
例示的な研究は、H1N1インフルエンザウイルス(例えば、A/PR/8/34 H1N1;ATCC VR-95,マナッサス,ヴァージニア州)の凍結懸濁物を利用した。ウイルス懸濁物を解凍し、1回使用分量に分割して再凍結し、必要になるまで-80℃で貯蔵した。UV照射前後のウイルス力価を測定するために、最適化したプラークアッセイを用いた。
【0095】
表面ベースのウイルス不活化研究のために例示的なプロトコルを最適化した。例示的な表面ウイルス研究では、50μLのインフルエンザウイルス懸濁物をワークスペースおよび手術室内で見られる典型的な表面、すなわち、ステンレス鋼、ガラスおよびプラスチックをシミュレートする25mm×75mmの基板上へおよそ109フォーカス形成単位/mlの力価から播種した。付着した液体は、周囲条件に依存しておよそ20分の乾燥時間中に蒸発した。生物学的安全キャビネット内で例示的な対照播種基板を周囲条件に絶えず曝露した。例示的な機器ショップで設計して内製した、例示的な207nmまたは222nm曝露チャンバ中に残りの播種基板を(例えば、陰性対照として用いた清浄基板とともに)置いた。すべてのウイルス研究をBSL-2生物学的安全キャビネット中で行った。
【0096】
播種基板をUV照射処理のために2つのセットに分割し、一方のセットをKrBrエキシランプ(例えば、207nm)を用いて処理し、他方のセットは、陽性対照を提供するために従来型殺菌ランプを用いて同等の曝露を受けた。3つの播種基板の群を各207nm曝露後に曝露チャンバから取り出した。曝露線量は、約50および約150mJ/cm2の間に及んだ。対照播種基板をsham曝露した。最後の3つの播種基板を曝露チャンバから取り出した直後に、以下の手順を用いて各播種基板をDPBS++(例えば、DPBS[1X]+Mg++およびCa++)で洗浄した。すべての残渣を除去するためにピペットを用いて、ウイルスが付着した播種基板のはっきりとマーク付けした部分を単一の900μL体積のDPBS++で10回洗浄できる。各播種基板を洗浄するために用いたDPBS++体積に対してウイルス・プラークアッセイを行った。
【0097】
例示的なウイルス・プラークアッセイ
最適化した、標準的なプラークアッセイ(例えば、参考文献91を参照)によってウイルス感染性を評価した。A型インフルエンザウイルス(例えば、H1N1;A/PR/8/34)のUV放射への曝露直後に、ウイルスの系列希釈液を用いてコンフルエントなMadin-Darbyイヌ腎臓上皮細胞(例えば、MDCK;ATCC CCL-34)を1.5時間インキュベートした。ウイルスを吸引し、細胞を2.0μg/mlの最終濃度までTPCK-トリプシンを含んだ培地(例えば、2xMEM/BSA)中の0.6%のアビセルでオーバーレイした(例えば、参考文献92を参照)。プレートを37℃で少なくとも3日間インキュベートした。ウイルス感染性をプラーク形成単位PFU/mlとして表現した。
【0098】
エアロゾル中の例示的なインフルエンザウイルス研究
インフルエンザ伝播の多くのモードがありうるが、エアロゾルを介してのインフルエンザウイルスの蔓延が主要ルート(例えば、参考文献93を参照)でありえ、呼気エアロゾルの大部分がサブミクロン・サイズの範囲内にある。(例えば、参考文献53を参照)。別の生理的過程が特定のサイズ分布モードをもつエアロゾルの要因でありうるが、直径がおよそ0.8μm未満の1つ以上のモードですべての活性に係る大多数の粒子を生成することができる。(例えば、参考文献54を参照)。
【0099】
例示的なベンチトップ・エアロゾルUV曝露チャンバ
エアロゾル研究をBSL-2キャビネット中で例示的なベンチトップUVエアロゾル曝露チャンバを用いて行った。(例えば、
図6を参照)。例示的なエアロゾル・チャンバを用いた例示的な予備的エアロゾル研究では、86.9%が0.3と0.5μmとの間、10.9%が0.5と0.7μmとの間、1.9%が0.7と1.0μmとの間ならびに0.3%が1μm超のサイズであった。これらのサイズ分布は、入力空気/エアロゾル比を変えることによって変化した。
【0100】
0.075mlの無希釈のインフルエンザウイルスおよび75mlの緩衝液(例えば、0.1%ウシ血清アルブミンを含んだカルシウムおよびマグネシウム含有のダルベッコりん酸緩衝食塩水)を69kPaに加圧した高アウトプット拡張型エアロゾル呼吸療法(「HEART:high-output extended aerosol respiratory therapy」)ネブライザー(例えば、Westmed,ツーソン,アリゾナ州)中へ加えることによって、インフルエンザ・エアロゾルを発生させた。特定の相対湿度を達成するために、エアロゾル曝露チャンバへ送達する前にネブライザーのアウトプットを7.5リットルのチャンバ中でいくつかの比率の乾燥および加湿空気と混合した。曝露セクションの前にこのチャンバ中で相対湿度(「RH:relative humidity」)および温度をOmega RH32温度および相対湿度計(例えば、Omega Engieering Inc.,スタンフォード,コネチカット州)を用いて測定した。
【0101】
UV放射滅菌処理を加えるために例示的なKrBr207nmエキシランプ曝露を用い、標準的な殺菌UV放射ランプを陽性対照に用いた。曝露中に、UVC放射計を用いてUVC放射照度をモニタし、このUVC放射計がチャンバの曝露セクションにおいてUVC放射入口ポートに対向する溶融石英ポートを透過したUVC放射を検出した。曝露線量は、約150mJ/cm2までの範囲にわたり、これは、インフルエンザウイルスを不活化するために標準的な殺菌ランプを用いた先の研究において利用された線量レベルに及んだ。(例えば、参考文献29を参照)UVC放射線量をUVC放射照度に曝露時間を乗じることによって計算した。曝露時間をチャンバの容積を空気流速で除することによって計算した。例示的な設計寸法および例示的な計画した空気流速に基づいて、およそ8秒の曝露時間を予測した。
【0102】
チャンバから、各々が12.5リットル/分で動作している、2つのSKCBiosampler(例えば、SKC Inc.,エイティーフォー,ペンシルベニア州)に連結したマニホールドを通して、空気をポンプによって25リットル/分で引き込むことができる。各Biosamplerは、20mlのウイルス緩衝液(例えば、0.1%ウシ血清アルブミンを含んだカルシウムおよびマグネシウム含有のダルベッコりん酸緩衝食塩水)を含む。空気流がポンプに入る前に漏れるエアロゾルを除去するために、サンプラーの後ろにHEPAフィルタを置いた。サンプリングが進行していないときには、チャンバを通り抜けるエアロゾルを含んだ空気流をサンプラーの周りに迂回させて、25リットル/分の流れをHEPAフィルタへ向けた。
【0103】
例示的なエアロゾル研究:実験プロトコル
チャンバ内の濃度が安定化したことを確実にするために、サンプリング前にネブライザーを約20分間作動させた。全チャンバ空気流を約15分間にわたってBiosamplerを通過させることによって試料を収集した。(i)207nm KrBrエキシランプがオン、(ii)254nm殺菌ランプがオン(例えば、陽性対照用)、および(iii)UV放射がオフ(例えば、陰性対照用)の試料からなる試料セットを収集した。UVC放射線量(例えば、約150mJ/cm2までの範囲)とRH(例えば、約25%、約50%および約75%)との組み合わせについて3つ組の試料セットを収集した。各サンプリング後に、BioSamplerをチャンバから取り出して、収集液の体積を測定し、感染性アッセイを行う前にウイルス収集液を最長3時間にわたって4℃で貯蔵した。BioSamplerを再使用する前に約10%のブリーチで汚染を除去して、約70%のエタノールで濯いで乾燥させた。
【0104】
H1N1に関する例示的な生存結果
例えば、100μlのフェノールを含まないカルシウムおよびマグネシウム含有のハンクの平衡塩溶液(例えば、「HBSS++」)中のA型インフルエンザウイルス懸濁物(例えば、H1N1;A/PR/8/34)を30mmのペトリ皿上へ広げて、即座に(例えば、約222nmの)KrClランプによって、または254nmの従来型水銀殺菌ランプによって発生したUVC光のいずれかに曝露した。次に900μlのHBSS++を用いて曝露したウイルスの懸濁物を収集し、感染性アッセイのためにそれをコンフルエントなメイディン・ダービー・イヌ腎臓(「MDCK」)細胞上で系列希釈した。細胞をウイルスに約45分間感染させた。次に、細胞を洗浄して一晩インキュベートした。ウイルス感染性を評価するために蛍光フォーカス減少アッセイ(例えば、参考文献95を参照)を行った。蛍光フォーカスを示す細胞(例えば、蛍光フォーカス単位(「FFU:fluorescent focus unit」)の数を希釈係数、および算出した対照に対する試料当たりのFFUの比率に基づいて計算した。
図17に示すように、例示的な結果は、A型インフルエンザウイルス(例えば、H1N1;A/PR/8/34)を死滅させるために、約222nmの波長を有する例示的なKrClエキシランプ(例えば、要素1705)が254nmにおける従来型殺菌UVランプ(例えば、要素1710)と同じくらい効果的でありうることを示す。従って、約222nmにおけるKrClエキシランプは、254nmにおける従来型殺菌UVランプと同じくらい効果的でありうる一方で、222nmにおけるKrClエキシランプは、従来型殺菌UVランプのようには周囲の細胞を損傷しない。
【0105】
図18は、本開示の例示的な実施形態による選択的にウイルスを死滅させるかまたはそれに影響を及ぼすための例示的な方法の例示的なフロー図を示す。例えば、手順1805では、選択的に表面上またはエアロゾル中のウイルスを害するかまたは損傷するように構成できる1つ以上の波長を有する放射を提供できる。代わりに、または加えて、手順1805では、約200nmと約230nmとの間の範囲内にありうる1つ以上の波長を有する放射を用いて、ウイルスをその中に有する特定のサイズの空気量を照射することができる。手順1810では、放射が体の細胞にとって実質的に有害でありうる任意の波長(例えば、約200nmと約230nmとの間の範囲外にある波長)を有することを、手順1815において、実質的に防止できるようにフィルタを設けることができる。
【0106】
前述したことは、本開示の原理を単に示すに過ぎない。本明細書における教示に鑑みて、記載する実施形態への様々な変更および変化が当業者には明らかであろう。従って、当然のことながら、当業者は、本明細書に明示的に示されも記載されもしないが、本開示の原理を具現し、従って本開示の趣旨および範囲内にありうる多くのシステム、機器および手順を案出できるであろう。加えて、先に引用したすべての刊行物および参考文献は、参照によりそれらの全体を本明細書に援用されうる。理解すべきは、本明細書に記載する例示的な手順をハードドライブ、RAM、ROM、リムーバブルディスク、CD-ROM、メモリスティックなどを含む、任意のコンピュータアクセス可能媒体上に記憶できて、それらの手順を、以下の複数および/または組み合わせを含めて、ハードウェアプロセッサ、マイクロプロセッサ、ミニ、マクロ、メインフレームなどとするかおよび/またはそれらを含みうる処理機器および/または計算機器によって実行できることである。加えて、その明細書、図面および特許請求の範囲を含めて、本開示に用いるいくつかの用語は、例えば、データおよび情報に限定されないがそれらを含む、いくつかの事例において同義で用いることができる。本明細書ではこれらの言葉、および/または互いに同義でありうる他の言葉を同義で用いることができるが、かかる言葉を同義で用いることが意図されえない事例がありうることを理解すべきである。さらにまた、先行技術の知識は参照により本明細書の上記に明示的に組み込まれていない限り、その全体を本明細書に明示的に援用されうる。参照されたすべての刊行物は参照によりそれらの全体を本明細書に援用されうる。
【0107】
例示的な参考文献
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体を組み込まれる。
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