(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ビデオ内視鏡用プラグ接続部、ビデオ内視鏡、およびプラグ接続部の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20221128BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H01R12/77
A61B1/00 680
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021044062
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】10 2020 107 492.1
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591228476
【氏名又は名称】オリンパス ビンテル ウント イーベーエー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アルルン テューメン
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ジュンバウアー
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-019749(JP,A)
【文献】特開2015-066287(JP,A)
【文献】特開2001-008885(JP,A)
【文献】特開2006-192202(JP,A)
【文献】特開2007-229085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
H01R 13/622
A61B 1/00-1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ内視鏡(10)の先端側ビデオユニット(12)と基端側ケーブルユニット(16)との間に信号接続を確立するためのビデオ内視鏡(10)用プラグ接続部(60)であって、該プラグ接続部(60)は、
プラグ(62)と、
前記信号接続を確立および遮断するために前記プラグ(62)内に挿入され得る相補的なコネクタ(80)と、
を備え、
前記プラグ(62)は、ガラス鋳造部として形成されて前記先端側ビデオユニット(12)の基端部に配置され、前記コネクタ(80)は、前記基端側ケーブルユニット(16)の先端部に配置され、
前記プラグ(62)は、その外側において前記先端側ビデオユニット(12)のハウジング(14)に接続され、複数の電気フィードスルー(70)を有し、先端側において前記先端側ビデオユニット(12)のフレキシブル基板(72)に導電的に接続され、その基端側において前記コネクタ(80)のための凹部として構成されたコネクタレセプタクル(64)を有し、
前記コネクタ(80)は、コネクタハウジング(82,90)に封入され、該コネクタハウジング(82,90)は、形状嵌めおよび/または圧力嵌めによって前記プラグ(62)の前記コネクタレセプタクル(64)に受容されるようになるため、あるいは受容されるために、前記プラグ(62)の前記コネクタレセプタクル(64)に適合するように前記コネクタ(80)の外側に形成され、
前記コネクタ(80)は、前記プラグ(62)の前記電気フィードスルー(70)の配置に従って配置された複数の電気フィードスルー(84)を有し、
前記コネクタ(80)の前記電気フィードスルー(84)は、基端側において、はんだパッドを備えた平面はんだパッド構造を有するフレキシブル基板(86)に接続され、前記はんだパッドには信号ケーブルおよび接続ケーブル(18)がはんだ付けされて
おり、
前記コネクタハウジング(82、90)は、該コネクタハウジング(82、90)の基端側レセプタクル内に嵌合するフェルール(92)によって終端し、該フェルールは、前記信号ケーブルおよび供給ケーブル(18)のための貫通部を有し、前記信号ケーブルおよび供給ケーブル(18)は、前記フェルール(92)内にはんだ付けされていることを特徴とする、
プラグ接続部(60)。
【請求項2】
前記プラグ(62)および前記コネクタハウジング(82、90)は、それらの外側に、ユニオンナット(94)をねじ込むことによって前記プラグ接続部(60)を圧迫させ固定させる構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグ接続部(60)。
【請求項3】
前記コネクタハウジング(82、90)は、前記フレキシブル基板(86)の領域において、前記コネクタ(80)の領域におけるよりも小さい断面積を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグ接続部(60)。
【請求項4】
前記コネクタレセプタクル(64)および前記コネクタハウジング(82、90)は、前記コネクタ(80)と前記プラグ(62)とを互いに対して正確に位置合わせするために、互いに相補的な構造を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラグ接続部(60)。
【請求項5】
前記フェルール(92)と、前記コネクタハウジング(82、90)の前記基端側レセプタクルとは、互いに適合する形状を有し、それにより前記コネクタハウジングの前記基端側レセプタクルにおいて前記フェルール(92)が回転することが抑制されることを特徴とする、請求項
1から4のいずれか1項に記載のプラグ接続部。
【請求項6】
前記コネクタハウジング(82、90)は、鋳造部(88)で全面的に満たされていることを特徴とする、請求項
1から5のいずれか1項に記載のプラグ接続部。
【請求項7】
前記コネクタハウジング(82、90)は2つの部分で構成され、前記コネクタ(80)は先端側コネクタハウジング部(82)内に嵌合され、前記フェルール(92)は基端側コネクタハウジング部内に嵌合されていることを特徴とする、請求項
1から6のいずれか1項に記載のプラグ接続部。
【請求項8】
先端側ビデオユニットおよび基端側ケーブルユニット、ならびに前記先端側ビデオユニットと前記基端側ケーブルユニットとの間に信号接続を確立するための請求項1から
7のいずれか1項に記載のプラグ接続部を有するビデオ内視鏡。
【請求項9】
請求項
8に記載のビデオ内視鏡(10)の先端側ビデオユニット(12)と基端側ケーブルユニット(16)との間に信号接続を確立するための、請求項1から
7のいずれか1項に記載のプラグ接続部(60)を製造する方法であって、
前記コネクタ(80)の基端側において、前記コネクタ(80)の前記電気フィードスルー(84)に前記フレキシブル基板(86)をはんだ付けする工程と、
前記フレキシブル基板(86)の側面を上向きに曲げ、前記コネクタ(80)を前記コネクタハウジング(82)に押し込む工程と、
前記信号ケーブルおよび接続ケーブル(18)を前記フレキシブル基板(86)の前記平面はんだパッド構造(87)の前記はんだパッド(87’,87”)にはんだ付けする工程と、
前記平面はんだパッド構造(87)へのはんだ付けの前または後に、前記信号ケーブルおよび接続ケーブル(18)を前記フェルール(92)内にはんだ付けする工程と、
前記コネクタハウジング(82、90)を閉じる工程と、
前記フェルール(92)を前記コネクタハウジング(82,90)にはんだ付けする工程と、
を有する方法。
【請求項10】
前記コネクタハウジング(82、90)は、鋳造部(88)で全面的に満たされることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記先端側ビデオユニット(12)の前記基端部において、ガラス鋳造部として構成されたプラグ(62)の電気フィードスルー(70)は、前記先端側ビデオユニット(12)の信号ケーブルおよび供給ケーブルに接続されたフレキシブル基板(72)の接触面に接続され、前記プラグ(62)は、前記先端側ビデオユニット(12)のハウジング(14)内に挿入されて、前記プラグ(62)の一部が前記ハウジング(14)から基端側に突出するように前記先端側ビデオユニット(12)の前記ハウジング(14)に接続されることを特徴とする、請求項
9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記コネクタハウジング(82、90)を閉じるために、基端側コネクタハウジング部(90)は、先端側コネクタハウジング部(82)の上に、またはその中に押し込まれ、前記先端側コネクタハウジング部(82)に押し付けられることを特徴とする、請求項
9から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記プラグ接続部は、ユニオンナットにて締着されることを特徴とする、請求項
9から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記プラグ(62)および前記コネクタハウジング(82、90)は、前記ユニオンナット(94)をねじ込むことによって前記プラグ接続部(60)を圧迫させ固定させる構造として、雄ねじおよび終端面を有することを特徴とする、請求項2に記載のプラグ接続部(60)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビデオ内視鏡の先端側ビデオユニットと基端側ケーブルユニットとの間に信号接続を確立するためのビデオ内視鏡用プラグ接続部、対応するビデオ内視鏡、および対応するプラグ接続部の製造方法に関する。
【0002】
ビデオ内視鏡においては、例えば内視鏡シャフトおよび画像センサならびにその読み出し電子装置を通常備える、Rユニットとも称される先端側ビデオユニットと、ハンドルを通常備える、ケーブルユニットとも称される基端側ケーブルユニットと、の間にプラグ接続部がある。このようなプラグ接続部は、ビデオユニットのビデオラインをケーブルのビデオラインに接続する。ビデオユニット側には、ガラス鋳造部と、封止および締着用のOリングおよびコイルばねリングとを有する30ピンプラグがある。このようなばねおよびOリングは、常に機能するとは限らず、比較的早期に損傷する。
【0003】
ケーブルユニット側のコネクタは、複数の部品で組み立てられている。ケーブルは、複数のステップからなる工程で手作業にて剥がされ、外側のシールドは、フェルール内に、すなわちケーブル用の通路を有するストッパ内にはんだ付けされる。その後、個々の撚り線が、コネクタのはんだバケット内にはんだ付けされるが、一つにはこの目的で、太めの撚り線のためにはんだアダプタが追加的にさらに必要になる。単線の多くは同軸ケーブルである。そのシールドは、撚り合わされて幾つかの群にまとめられ、はんだバケットに同じくはんだ付けされる。コネクタは、続いてハウジングに押し込まれる。その後、ねじ山のところまで、さらにはマウントを有するプラグのところまで、厚い層のラッカーで内部空間が鋳造される。最後に、フェルールが蓋にはんだ付けされる。プラグ接続部は、続いてねじおよびばねリングにて締着される。
【0004】
プラグを手作業で組み立てるこの工程は、複雑でありエラーが発生しやすい。プラグ同士は、触知的にではなく光学的に互いとの事前位置合わせをすることしかできないため、このプラグは接続しやすいものではない。これにより、フィードスルー(ピン)が対になる一方の基部において直接係合することが確実となるわけではない。さらに、ばね座金で補強される2本のねじが締められることになるが、それには長い時間がかかりエラーが発生しやすい。ケーブルは異なる線径を有するため、ケーブルをはんだバケットにはんだ付けするのは困難である。同軸ケーブルのシールドは、幾つかの群を形成するために部分的に撚り合わせる必要がある。このような群は、太さが異なる場合があり、バケットにはんだ付けする必要もある。組み付けの空間は非常に狭いため、このはんだ付け工程は困難でエラーが発生しやすく、頻繁に補修作業をする結果となる。外側のケーブルシールドは、フェルールにさらにはんだ付けされる。後者は円形であるため、組み立て中に回転することも起こり得る。そうなると、既にはんだ付けされた内部のケーブルが捩られて、それゆえ短くなり得る。これらのはんだ付け部は、このように応力を受けて、場合によっては事前に損傷し、それにより使用中の早期故障に至る可能性がある。
【0005】
プラグの不安定な固定、不確実な水密性、および大きな構造的形状は、取り扱いを困難にするさらなるポイントである。ばねおよびOリングは常に機能するとは限らず、あるいは早期に損傷する。鋳造部は、ねじ山のところまでしか延出しておらず、その結果、コネクタ後部のケーブルは保護されていない。プラグの締結用ハトメまたはアイ(eyes)が大きく突出しており、ハンドルをより細く設計することができない。
【0006】
電気信号の伝送についても理想的ではない。内部の同軸線をプラグのはんだバケットに取り付けることを可能にするためには、シールドの群を作らなければならない。さらに、内部導体を長い円弧で案内することが必要である。この構造は、プラグの伝達インピーダンスの大幅な上昇を示し、高速デジタル信号には好ましくない。
【0007】
対照的に、本発明の基礎をなす目的は、上述した不利益を克服する、プラグ接続部、ビデオ内視鏡、および当該プラグ接続部を製造する方法を提供することである。
【0008】
この目的は、ビデオ内視鏡の先端側ビデオユニットと基端側ケーブルユニットとの間に信号接続を確立するためのビデオ内視鏡用プラグ接続部であって、該プラグ接続部は、プラグと、信号接続を確立および遮断するためにプラグ内に挿入され得る相補的なコネクタと、を備え、プラグは、ガラス鋳造部として形成されて先端側ビデオユニットの基端部に配置され、コネクタは、基端側ケーブルユニットの先端部に配置され、プラグは、その外側において先端側ビデオユニットのハウジングに接続され、複数の電気フィードスルーを有し、先端側において先端側ビデオユニットのフレキシブル基板に導電的に接続され、その基端側においてコネクタのための凹部として構成されたコネクタレセプタクルを有し、コネクタは、コネクタハウジングに封入され、該コネクタハウジングは、形状嵌めおよび/または圧力嵌めによってプラグのコネクタレセプタクルに受容されるようになるため、あるいは受容されるために、プラグのコネクタレセプタクルに適合するようにコネクタの外側に形成され、コネクタは、プラグの電気フィードスルーの配置に従って配置された複数の電気フィードスルーを有し、コネクタの電気フィードスルーは、基端側において、はんだパッドを備えた平面はんだパッド構造を有するフレキシブル基板に接続され、はんだパッドには信号ケーブルおよび接続ケーブルがはんだ付けされている、プラグ接続部によって達成される。
【0009】
本発明によれば、プラグ接続部の製造は、ビデオ内視鏡に至るケーブルに接触するための平面はんだパッド構造を有するフレキシブル基板をコネクタ側において使用することによって平易になる。フレキシブル基板は、ビデオユニットにおける接触のために既にそれまで配備されていた。しかしながら、ケーブルユニットの側における接触は機械的に高負荷であり、それゆえフレキシブル基板を配備することは、それまで検討されることはなかった。
【0010】
従来のように、本発明に係るプラグ接続部は、ビデオ内視鏡のビデオラインに対して配備し得るが、例えばアクチュエータラインおよび/またはヒータラインに対しても配置し得る。ケーブルの撚り線およびシールドをフレキシブル基板のはんだパッド上に接触させることは、従来よりもはるかに容易になり、ケーブルの製造も同様に容易になる。さらに、この構造により、伝達インピーダンスの急上昇が従来よりも大幅に小さくなる。
【0011】
実施形態において、プラグおよびコネクタハウジングは、それらの外側に、ユニオンナットをねじ込むことによってプラグ接続部を圧迫させ固定させる構造、具体的には雄ねじおよび終端面を有する。この方策により、コンパクトでありながら確実なプラグコンタクト(プラグ接続部)の接続が実現し、また、内視鏡の他の部分、例えば光ファイバまたは光チャネルのための空間もさらに残される。
【0012】
コネクタハウジングは、実施形態において、フレキシブル基板の領域において、コネクタの領域における断面積よりも小さい断面積を有する。これは、平面はんだパッド構造を有するフレキシブル基板を使用することによって可能となった。コネクタハウジングは基端側に向かって先細になっているため、この機器は全体的によりスリムで使いやすい構造となり得る。同時に、ハンドル内には、さらなる部品、例えば操作要素または電子機器のためのより広いスペースがある。
【0013】
コネクタレセプタクルおよびコネクタハウジングが、コネクタとプラグとを互いに対して正確に位置合わせするために、互いに相補的な構造を有する場合、接続部を製造するプロセスは有利に平易になり、また確実なものとなる。
【0014】
実施形態において、コネクタハウジングは、コネクタハウジングの基端側レセプタクル内に嵌合するフェルールによって終端し、フェルールは、信号ケーブルおよび供給ケーブルのための貫通部を有し、信号ケーブルおよび供給ケーブルは、フェルール内にはんだ付けされている。フェルールは、ケーブル用の貫通開口部を有するストッパであると理解される。フェルール自体は、コネクタハウジング内にはんだ付けされ得る。これらの方策により、気密かつ機械的に安定した、ケーブルのコネクタハウジング内への貫通が確実になる。
【0015】
フェルールと、コネクタハウジングの基端側レセプタクルとは、実施形態において、互いに適合する形状を有し、それによりコネクタハウジングの基端側レセプタクルにおいてフェルールが回転することが抑制される。このような形状は、回転対称であることが好ましい。断面において、それらは例えば、偏平な、角張った、または平らな形状である。この方策により、1つの向き、または互いに対して180°回転した2つの向きのみが提供されることが確保され、それゆえ取り付けプロセスが平易になる。さらに、コネクタハウジングのレセプタクルにおけるフェルールの望まない捩れによって信号ケーブルおよび供給ケーブルが捩れて短くなることが起こり得ない。
【0016】
実施形態において、コネクタハウジングは、鋳造部で全面的に満たされている。全面的な鋳造により、完全にケーブルとフレキシブル基板上のはんだパッドとの間の接続が機械的に固定され、はんだ接合部およびケーブルの有害な機械的応力が最適に軽減される。
【0017】
実施形態では、組み立ての平易化のため、コネクタハウジングは組み立てを平易にするために2つの部分で構成され、コネクタは先端側コネクタハウジング部内に嵌合され、フェルールは基端側コネクタハウジング部内に嵌合されている。基端側コネクタハウジング部と先端側コネクタハウジング部とは、具体的にはコネクタハウジングが充填開口部を通して鋳造部で満たされる前に、例えば押圧により、コネクタハウジングを形成するように接続されている、または接続されることになる。ハウジングが2つの部分からなるという事実は、コネクタおよびフェルールをそれぞれのコネクタハウジング部内に別々に導入することが可能であり、結果として取り扱いが大幅に平易になるということを意味する。
【0018】
本発明の基礎をなす目的は、先端側ビデオユニットおよび基端側ケーブルユニット、ならびに先端側ビデオユニットと基端側ケーブルユニットとの間に信号接続を確立するための本発明に係る上述のプラグ接続部を有するビデオ内視鏡によっても達成される。本発明に係る上述のプラグ接続部の実施形態を備えるビデオ内視鏡は、したがって、上述した利点、特性、および特徴の全てを実現する。
【0019】
本発明の基礎をなす目的は、本発明に係る上述のビデオ内視鏡の先端側ビデオユニットと基端側ケーブルユニットとの間に信号接続を確立するための、本発明に係る上述のプラグ接続部を製造するための方法であって、
コネクタの基端側において、コネクタの電気フィードスルーにフレキシブル基板をはんだ付けする工程と、
フレキシブル基板の側面を上向きに曲げ、コネクタをコネクタハウジングに押し込む工程と、
信号ケーブルおよび接続ケーブルをフレキシブル基板の平面はんだパッド構造のはんだパッドにはんだ付けする工程と、
平面はんだパッド構造へのはんだ付けの前または後に、信号ケーブルおよび接続ケーブルをフェルール内にはんだ付けする工程と、
コネクタハウジングを閉じる工程と、
フェルールをコネクタハウジングにはんだ付けする工程と、を有する方法によっても達成される。
【0020】
本発明に係る上述のプラグコンタクト(プラグ接続部)は、この方法にて製造される。それは結果として、本発明の他の主題と同じ利点、特徴、および特性を実現する。
本方法の実施形態において、コネクタハウジングは、鋳造部で全面的に満たされる。
【0021】
ガラス鋳造部として構成されたプラグの電気フィードスルーは、先端側ビデオユニットの基端部において、先端側ビデオユニットの信号ケーブルおよび供給ケーブルに接続されたフレキシブル基板の接触面に接続され、プラグは、先端側ビデオユニットのハウジング内に挿入されて、プラグの一部がハウジングから基端側に突出するように先端側ビデオユニットのハウジングに接続されることが有利である。したがって、プラグの外側輪郭は、例えばユニオンナットのための雄ねじによって、締着に利用できる。
【0022】
コネクタハウジングを閉じるために、実施形態において、基端側コネクタハウジング部は、先端側コネクタハウジング部の上に、またはその中に押し込まれ、先端側コネクタハウジング部に押し付けられる。コネクタハウジングのこのような2部構成により、コネクタとフレキシブル基板との間、およびフレキシブル基板とケーブルとの間の電気的接触部の平易な取り付けが可能になる。
【0023】
プラグ接続部は、安定したコンパクトな締着が実現されるように、ユニオンナットにて締着されることが好ましい。
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および添付の図面とともに、本発明に係る実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明に係る実施形態は、個々の特徴、または複数の特徴の組み合わせを実現し得る。
【0024】
本発明の文脈の中で、「具体的には」または「好ましい」と付記された特徴は、任意の特徴であると理解されるべきである。
本発明は、図面を参照しつつ、例示的な実施形態を用いて、本発明の全般的概念を限定することなく以下に説明される。ここで、本文中でより詳細には説明されない本発明に係る詳細の全てに関する図面について明示的に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1a】
図1a)は、公知のビデオ内視鏡用プラグ接続部を示す。
【
図1b】
図1b)は、公知のビデオ内視鏡用プラグ接続部を示す。
【
図1c】
図1c)は、公知のビデオ内視鏡用プラグ接続部を示す。
【
図2a】
図2a)は、本発明に係るプラグ接続部を示す。
【
図2b】
図2b)は、本発明に係るプラグ接続部を示す。
【
図2c】
図2c)は、本発明に係るプラグ接続部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面では、同一または類似の要素および/または部分は、各場合において同一の参照符号が付され、各場合において再び導入されることはない。
図1a)~1c)は、ビデオ内視鏡10の公知のプラグ接続部20を概略的に示している。プラグ接続部20は、
図1a)では外装されているが、
図1b)および1c)では2つの縦断面で表されている。
図1b)の断面は、2本のケーブルの間を垂直に通っているが、
図1c)の断面は、2本のねじ28を通る平面において、すなわち実質的に円筒形であるプラグ接続部20の中心軸の上方で、
図1b)の断面に垂直に通っている。
【0027】
図1a)に示されているのは、プラグ接続部20が、一方の側に向かって先端側ビデオユニット12に隣接し、反対側に向かって基端側ケーブルユニット16に隣接している態様である。先端側ビデオユニット12は通常、ビデオ内視鏡10の内視鏡シャフト内に配置されるが、基端部は、ビデオ内視鏡10のハンドル内に配置される。先端側では、プラグ接続部20はハウジング14内に封入され、基端側では、蓋50で基端側が終端するコネクタハウジング42内に封入されている。ケーブル18は、ケーブル18のための開口部を有するフェルール52を貫通して、プラグ接続部20のコネクタハウジング42の中に通じている。封止する目的で、フェルール52は蓋50内にはんだ付けされており、ケーブル18はフェルール52内にはんだ付けされている。先端側ビデオユニット12の側において、プラグ22がハウジング14の延在部内に押し込まれており、このハウジング14から基端側に突出している。この領域において、プラグ22は内部が中空であり、コネクタレセプタクル23を有し、コネクタ40がそのコネクタハウジング42とともにその中に導入される。プラグ接続部は、雌ねじ穴を有する2つのアイ(eyes)26と、ばね座金を有する2本のねじ28とのねじ結合によって締着され、また、コネクタハウジング42も対応するアイ(eyes、参照符号なし)を有し、それは、例えば30ピンプラグであり得るプラグ22のアイ26と位置が整合する。
【0028】
ケーブル18は、ビデオ信号用の信号ケーブルであり得るが、ビデオユニット12に電気を供給するための、または他の機器からの、供給ケーブルでもあり得る。
図1b)において、2本のケーブル18の間を垂直に通る、プラグ接続部20の断面が示されている。ガラス鋳造部として構成され得る中実のプラグ22は、先端側中央に表されている。ここに示す断面では、先端側はU字形を有し、その基部は、先端側を向いており、ガラス鋳造部の中に気密的にはめ込まれた電気フィードスルー30(ピン)が点在している。電気フィードスルー30は、プラグ22から先端側に突出し、また、導電性トラックおよびはんだパッド(図示せず)を有するフレキシブル基板32の輪状の基部に接続され、ここで、フィードスルー30は、フレキシブル基板32のはんだパッドまたは導電性トラックに電気的に接続されている。フレキシブル基板32の2本のアームは、互いに対して内側に曲げられ、非導電性の結合要素34によって共に保持された形状になっている。図示されないフレキシブル基板32の先端部は、例えば、対応するジャック(図示せず)内に挿入され得る。
【0029】
プラグ22は、基端側を向いた実質的に円筒形の縁部を有し、これは、図示された断面ではU字形のアームを示し、その内側はプラグ接続部20のコネクタ40のためのレセプタクル23を構成し、このコネクタは基端側においてケーブル18との接続部を構成する。このコネクタ40は同様に、フィードスルー30のためのレセプタクル43における中空ピンとして先端側に構成された電気フィードスルー(44)(ピン)を同じく多数有し、結果として、コネクタ40がプラグ22に挿入された際に、プラグ22の電気フィードスルー30との確実な電気的接触を確立する。
【0030】
コネクタ40の製造は、複雑な工程である。まず、ケーブル18の個々の信号導体がコネクタ40に接続される。これは、ケーブル18からの信号線の撚り線およびシールド布帛を電気フィードスルー44の基端側突出端部にはんだ付けすることによって達成されるが、該当する場合、はんだバケットとも称されるはんだアダプタ46によってこれは支持される。この目的のため、ケーブル18は、複数のステップからなる工程で手作業にて剥がされ、外側のシールドが、フェルール52内にはんだ付けされる。その後、個々の撚り線が、コネクタ40のはんだバケット内にはんだ付けされ、より太い撚り線には、はんだアダプタが部分的に追加でさらに必要になる。単線の多くは同軸ケーブルである。そのシールドは、撚り合わされて幾つかの群にまとめられ、はんだバケットに同じくはんだ付けされる。
【0031】
コネクタ40は、続いて今度は、実質的に円筒形のコネクタハウジング42に押し込まれ、接触部を機械的および化学的に保護するために、ねじ接続部54のねじ山のところまで、厚膜ラッカーで作られた鋳造部で内部空間が鋳造される。ねじ接続部54の雌ねじは、鋳造部48から外れたままである。コネクタ40の基端側は、カバーディスク45によってさらに保護されており、それを通して電気フィードスルー44が同様に突出している。カバーディスク45は、カバーディスク45およびコネクタ40における相補的形状を有する構造によって、所定の位置にもたらされ、保持される。鋳造部48の硬化に続いて、蓋50が基端側からコネクタハウジング42のねじ接続部54にねじ込まれ、ケーブル18がそこを通って案内されるフェルール52が、蓋50の出口開口部に引き込まれ、そこではんだ付けされる。
【0032】
このようにして完成したコネクタ40は、プラグ22に挿入され、続いてプラグ接続部は、ばね座金を有する2本のねじ28にて締着される。2本のねじ28は、コネクタハウジング42のアイ(参照符号なし)を通るように案内され、雌ねじ穴を有するプラグ22のアイ26にねじ込まれる。
【0033】
コネクタハウジング42の外側輪郭は、プラグ22の縁部の内側輪郭と合致し、好ましくは相補的である形状が、挿入中にプラグ22および各電気フィードスルー30,44に対するコネクタ40の正確な位置合わせを確実にする、相補的な構造を含むことが好ましい。プラグ22の縁部における円周方向の窪みに配置されてコネクタハウジング42を圧迫する、円周Oリング24とコイルばねリング25とによって、安定した座りおよび密封が確実になる。ばね25およびOリング24は、常に機能するとは限らず比較的早期に損傷する可能性があるため、弱点となる。
【0034】
図1c)に示すように、コネクタ40をプラグ22内に挿入することにより製造されるプラグ接続部20は、コネクタハウジング42のアイを通って、またプラグ22のアイ26を通ってそれぞれねじ込まれるねじ28を用いて締着され、プラグのアイ26は、ねじ28に適合する雌ねじを有する。ねじ28を有するねじ接続部は、ねじ接続部に予張力を導入する ばね座金によって安定する。
【0035】
本発明に係るプラグ接続部60が、
図2a)~2c)に概略的に示されている。
図2a)において明確に見られるように、
図1a)~1c)の公知のプラグ接続部20よりも突出する程度は少ない。そして、この部分が先端側ビデオユニット12に属していることが左側で見られる一方、基端側ケーブルユニット16は右側に設けられている。同様に、プラグ部を有する先端側ハウジング14および基端側コネクタハウジング90が存在するが、これらは、
図1a)~1c)の公知のプラグ接続部20のコネクタハウジング42よりもはるかに狭小な構造を有する。ねじ接続部に代わって、プラグ接続部60は、ユニオンナット94を用いて締着される。ユニオンナット94は、コネクタハウジング90の突出部を介して据えられ、ガラス鋳造部として構成されたプラグ62の雄ねじにねじ込まれる。さらなる相違点は、フェルール92が必ずしも円筒形とは限らず、ケーブル18が、コネクタハウジング90およびその中に配置された構成要素に対して捩れないように、ハウジング90の基端部の偏平な形状に従って、同様に偏平にされ得ることである。
【0036】
互いに対して垂直である、プラグ接続部60を通る断面が、
図2b)および2c)に示されている。
図2b)の断面は、中心軸を垂直に通り、
図2c)の断面は、プラグ接続部60の中心軸を水平に通る。
【0037】
先端側において、フレキシブル基板72との接続部を有するプラグ62は、
図1a)~1c)の公知の例におけるものと機能的に類似した態様で設計されている。しかしながら、プラグ62は、
図1a)~1c)のプラグ22ほど半径方向に突出していない。コネクタ80は、その中央部において、
図1a)~1c)のコネクタ40と類似した態様で同様に設計されているが、カバーディスク45によって覆われていない。それに代わり、本発明に係るコネクタの場合、フレキシブル基板86との接続は、プラグ62に類似した方法にて確立される。このフレキシブル基板は、電気フィードスルー84のための対応する通路およびはんだパッドを有する丸みのある基部、ならびに、
図2b)に示すように、曲げられてその背面にて接合されることが可能な2本のアームを同様に有する。そして、フィードスルー84は、先端側がプラグ62のフィードスルー70のためのレセプタクル83内に配置されている。
【0038】
プラグ62は、コネクタレセプタクル64および電気フィードスルー70を同様に有し、外側のその縁部の基端部にねじ構造を有し、このねじ構造は、ユニオンナット94の雌ねじ構造と相互作用する。コネクタハウジング82は、ユニオンナット94によって運ばれてプラグ62の基端部に押し付けられる、対応する円周方向の隆起を有し、これにより、機械的に安全かつ安定であるとともに気密である、プラグ接続部60の接合がもたらされる。
【0039】
本発明に係るコネクタは、フレキシブル基板86をコネクタ80の電気フィードスルー84にはんだ付けすることにより製造される。したがって、フレキシブル基板86は、多様な器具に使用できるように設計され得る。続いて、フレキシブル基板86の側面が上向きに曲げられ、コネクタ80が先端側コネクタハウジング82に押し込まれる。電気フィードスルー84の円形のパターンは、フレキシブル基板86によって、平面はんだパッド構造87に変えられる。はんだパッド構造87は、信号線用のはんだパッド87’と、ケーブルの外装またはシールド用のはんだパッド87”とを有する。同軸ケーブルのシールドは、もはや互いに捩れることはないが、内部導体と共通して、剥がされて標準の長さに短くされる。その後、ケーブル18は、フェルール92内にはんだ付けされる。ケーブルは、続いてフレキシブル基板86の平面はんだパッド構造87上に同じように互いに隣接してはんだ付けされる。この構造により、
図1a)~1c)による先行技術から公知であるソリューションよりも、伝達インピーダンスの急上昇がはるかに小さくなる。
【0040】
続いて、1つまたは2つの部分に構成され得る、蓋または基端側コネクタハウジング部90が、フェルール92の側から押し入れられ、先端側コネクタハウジング82に押し付けられる。フレキシブル基板86の表面をコネクタの中央に位置決めする2本の溝が、円形に設計されていない基端側コネクタハウジング90に組み込まれている。このように、はんだ付け面を中央に保持するための追加の留め具は必要ではなく、フレキシブル基板86の表面は、導電性トラックの引き回しのために全面的に利用することができる。続いて、フェルール92が、蓋または基端側コネクタハウジング90にはんだ付けされる。外形がもはや円形ではなく角張っているため、ケーブルの長さが組み立て中の回転によって短くなることはもはや起こり得ない。このことは、フェルール92が円筒形である必要がないという点において裏付けられる。最後に、コネクタは、鋳造部88の鋳造コンパウンドが通気口の中に見えるまで、穴を通して鋳造される。このことの利点は、コネクタが全面的に鋳造され、結果として、機械的負荷の全てが鋳造コンパウンドによって吸収され、はんだ接触部が機械的負荷を受けないように保たれることである。プラグ接続部60は、続いてユニオンナット94にて締着される。このような締着により、この接続部がより小型のハンドルに収まって、例えば光ファイバープラグ用のスペースがさらにあるといったように、公知のプラグの場合よりも非常に小さく構築される。
【0041】
図面のみから推測されるものを含む、示されている特徴の全て、および、他の特徴と組み合わせて開示されている個々の特徴は、単独でも組み合わせた場合でも、本発明に必須であるとみなされる。本発明に係る実施形態は、個々の特徴によって、または複数の特徴の組み合わせによって、実行され得る。
[参照符号の一覧]
10…ビデオ内視鏡、12…先端側ビデオユニット、14…ハウジング、16…基端側ケーブルユニット、18…信号ケーブルおよび供給ケーブル、20…プラグ接続部、22…ガラス鋳造部を有するプラグ、23…コネクタレセプタクル、24…Oリング、25…コイルばねリング、26…雌ねじ穴を有するアイ、28…ばね座金を有するねじ、30…電気フィードスルー(ピン)、32…フレキシブル基板、34…結合要素、40…コネクタ、42…コネクタハウジング、43…レセプタクル、44…電気フィードスルー(ピン)、45…カバーディスク、46…はんだアダプタ、48…鋳造部、50…蓋、52…フェルール、54…ねじ接続部、60…プラグ接続部、62…ガラス鋳造部を有するプラグ、64…コネクタレセプタクル、70…電気フィードスルー(ピン)、72…フレキシブル基板、80…コネクタ、82…先端側コネクタハウジング部、83…レセプタクル、84…電気フィードスルー(ピン)、86…フレキシブル基板、87…はんだパッド構造、87’…信号線用はんだパッド、87”…外装(コンパウンド)用はんだパッド、88…鋳造部、90…基端側コネクタハウジング部、92…フェルール、94…ユニオンナット。