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特許7183345エネルギー貯蔵システムの拡張方法及びエネルギー貯蔵システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システムの拡張方法及びエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20221128BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221128BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021110297
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2022013915
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】202010633967.9
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517112122
【氏名又は名称】陽光電源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】兪 雁飛
(72)【発明者】
【氏名】李 暁迅
(72)【発明者】
【氏名】張 志飛
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078227(JP,A)
【文献】特表2014-514692(JP,A)
【文献】特開2011-120456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
G01R 31/36 - 31/44
H02J 3/00 - 5/00
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムにおけるコントローラに適用されるエネルギー貯蔵システムの拡張方法であって、前記エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器、少なくとも1つの充放電電力変換器、及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を含み、1つの前記第2エネルギー貯蔵機器、又は、同じ特徴パラメータを有する複数の前記第2エネルギー貯蔵機器に関して、前記エネルギー貯蔵システムの拡張方法は、
前記第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値とするステップと、
少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、
前記エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力するステップと、を含み、
前記第2エネルギー貯蔵機器が1つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、各前記第1エネルギー貯蔵機器が1つのエネルギー貯蔵モジュール、又は順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、
前記第2エネルギー貯蔵機器が直列接続されるように追加される場合、少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップは、
少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器における少なくとも1つのエネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が、前記所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップを含むことを特徴とするエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項2】
各前記第1エネルギー貯蔵機器が順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含む場合、各エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさを取得する方法は、
対応する前記第1エネルギー貯蔵機器における管理システムと通信すること、又は、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値を各エネルギー貯蔵モジュールに均分して、1つのエネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさとすることである、ことを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項3】
各エネルギー貯蔵機器はいずれも蓄電池であり、前記特徴パラメータは電圧、電力量及び荷電状態SOCのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項4】
前記近接程度は差分値の絶対値であり、所定の程度は事前設定された閾値であることを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項5】
前記特徴パラメータが電圧である場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が前記所定の程度より小さいかどうかを判断するステップは、
所定の期間内の、各前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさと前記目標特徴値との間の差分値に対して最小二乗法計算を行うステップと、
最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が、変曲点に達したかどうかを判断するステップと、
前記変化曲線が変曲点に達した場合、前記近接程度が前記所定の程度より小さいと判定するステップと、を含むことを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項6】
前記特徴パラメータが電力量又はSOCである場合、前記目標特徴値の由来は、前記第2エネルギー貯蔵機器の出荷情報であることを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項7】
前記出荷情報は、前記特徴パラメータを含み、又は、前記特徴パラメータと、出荷時間と、前記特徴パラメータの経時変化の計算式とを含むことを特徴とする請求項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項8】
各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップは、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より小さい場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より大きい場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器を放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項9】
前記第2エネルギー貯蔵機器が前記エネルギー貯蔵システムに追加された後に、
各エネルギー貯蔵機器に対して、深い充放電及びSOC再スケーリングを行うように、前記充放電電力変換器を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法。
【請求項10】
エネルギー貯蔵システムであって、コントローラ、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器、少なくとも1つの充放電電力変換器、及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を含み、
各前記第1エネルギー貯蔵機器はいずれも対応する前記充放電電力変換器の直流側に接続され、
前記コントローラは、前記充放電電力変換器と通信可能に接続され、前記コントローラは、前記第2エネルギー貯蔵機器を前記エネルギー貯蔵システムに追加するように、請求項1からのいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法を実行するために使用されることを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記充放電電力変換器がDCAC変換器である場合、前記充放電電力変換器の他方側は、交流側であり、交流電源及び/又は交流負荷に接続されることを特徴とする請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記充放電電力変換器がDCDC変換器である場合、前記充放電電力変換器の他方側は、直流側であり、別のDCDC変換器を介して直流電源及び/又は直流負荷に接続され、及び/又は、
前記充放電電力変換器の他方側は、DCAC変換器を介して、交流電源及び/又は交流負荷に接続されることを特徴とする請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
前記直流電源は、太陽電池モジュール又はエネルギー貯蔵機器であることを特徴とする請求項12に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
前記交流電源は、電力網又は交流エンジンであることを特徴とする請求項11又は12に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記充放電電力変換器の内部コントローラであり、又は、前記コントローラは、システムコントローラであることを特徴とする請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、エネルギー貯蔵システムの拡張方法及びエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を含むエネルギー貯蔵システムでは、蓄電池は、充放電電力変換器を介して、外部電源又は負荷に接続され、外部電源又は負荷に放電することも、それ自身を充電するために外部電源を受けることもできる。
【0003】
ただし、製品の経済性を考慮して、通常、まず、現在の需要を満たす電池容量を選択し、その後、負荷が増加したり蓄電池の価格が下がったりする場合、蓄電池の数を増やしてエネルギー貯蔵システムを拡張する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のエネルギー貯蔵拡張方案では、追加対象となる蓄電池に対して充放電処理を行うために、別の充電器又は放電器を配置する必要があり、拡張要件を満たした場合に限り、当該エネルギー貯蔵システムに追加でき、このようにして、エネルギー貯蔵システムの拡張コストが高くなり拡張方案が複雑であるという問題を引き起こした。
【0005】
これに鑑みると、本発明は、エネルギー貯蔵システムの拡張コストが高くなり拡張方案が複雑であるという問題を解决するために、エネルギー貯蔵システムの拡張方法及びエネルギー貯蔵システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を実現するために、本発明の実施例は以下の技術案を提供する。
本出願の一態様は、エネルギー貯蔵システムの拡張方法を提供し、前記エネルギー貯蔵システムにおけるコントローラに適用される。前記エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器、少なくとも1つの充放電電力変換器、及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を含む。
1つの前記第2エネルギー貯蔵機器、又は、同じ特徴パラメータを有する複数の前記第2エネルギー貯蔵機器に関して、前記エネルギー貯蔵システムの拡張方法は、
前記第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値とするステップと、
少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、
前記エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力するステップと、を含む。
【0007】
好ましくは、前記第2エネルギー貯蔵機器が1つのエネルギー貯蔵モジュールを含み、各前記第1エネルギー貯蔵機器が1つのエネルギー貯蔵モジュール、又は順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含む。
前記第2エネルギー貯蔵機器が直列接続されるように追加される場合、少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップは、
少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器における少なくとも1つのエネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が前記所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップを含む。
【0008】
好ましくは、各前記第1エネルギー貯蔵機器が順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含む場合、各エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさを取得する方法は、
対応する前記第1エネルギー貯蔵機器における管理システムと通信すること、又は、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値を各エネルギー貯蔵モジュールに均分して、1つのエネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさとすることである。
【0009】
好ましくは、前記第2エネルギー貯蔵機器が並列接続されるように追加される場合、少なくとも1つの前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップは、
前記第2エネルギー貯蔵機器の並列接続対象となる各前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度がいずれも前記所定の程度より小さくなるまで、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップを含む。
【0010】
好ましくは、各エネルギー貯蔵機器はいずれも蓄電池であり、前記特徴パラメータは、電圧、電力量及び荷電状態SOCのうちの少なくとも1つである。
【0011】
好ましくは、前記近接程度は差分値の絶対値であり、所定の程度は事前設定された閾値である。
【0012】
好ましくは、前記特徴パラメータが電圧である場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの前記目標特徴値への近接程度が前記所定の程度より小さいかどうかを判定するステップは、
所定の期間内の、各前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさと前記目標特徴値との間の差分値に対して最小二乗法計算を行うステップと、
最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が、変曲点に達したかどうかを判断するステップと、
前記変化曲線が変曲点に達した場合、前記近接程度が前記所定の程度より小さいと判定するステップとを含む。
【0013】
好ましくは、前記特徴パラメータが電力量又はSOCである場合、前記目標特徴値の由来は、前記第2エネルギー貯蔵機器の出荷情報である。
【0014】
好ましくは、前記出荷情報は、前記特徴パラメータを含み、又は、前記特徴パラメータと、出荷時間と、前記特徴パラメータの経時変化の計算式とを含む。
【0015】
好ましくは、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップは、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より小さい場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器を充電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、
前記第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より大きい場合、各前記第1エネルギー貯蔵機器を放電するように前記充放電電力変換器を制御するステップと、を含む。
【0016】
好ましくは、前記第2エネルギー貯蔵機器が前記エネルギー貯蔵システムに追加された後、
各エネルギー貯蔵機器に対して、深い充放電及びSOC再スケーリングを行うように、前記充放電電力変換器を制御するステップをさらに含む。
【0017】
本出願の別の態様は、エネルギー貯蔵システムを提供する。エネルギー貯蔵システムは、コントローラ、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器、少なくとも1つの充放電電力変換器及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を含む。
各前記第1エネルギー貯蔵機器はいずれも、対応する前記充放電電力変換器の直流側に接続される。
前記コントローラは、前記充放電電力変換器と通信可能に接続され、前記コントローラは、前記第2エネルギー貯蔵機器を前記エネルギー貯蔵システムに追加するように、本出願の前の態様のいずれか1つに記載のエネルギー貯蔵システムの拡張方法を実行するために使用される。
【0018】
好ましくは、前記充放電電力変換器がDCAC変換器である場合、前記充放電電力変換器の他方側は交流側であり、交流電源及び/又は交流負荷に接続される。
【0019】
好ましくは、前記充放電電力変換器がDCDC変換器である場合、前記充放電電力変換器の他方側は、直流側であり、別のDCDC変換器を介して直流電源及び/又は直流負荷に接続され、及び/又は、
前記充放電電力変換器の他方側は、DCAC変換器を介して、交流電源及び/又は交流負荷に接続される。
【0020】
好ましくは、前記直流電源は、太陽電池モジュール又はエネルギー貯蔵機器である。
【0021】
好ましくは、前記交流電源は、電力網又は交流エンジンである。
【0022】
好ましくは、前記コントローラは、前記充放電電力変換器の内部コントローラであり、又は、前記コントローラは、システムコントローラである。
【0023】
上記の技術案から分かるように、本発明は、エネルギー貯蔵システムにおけるコントローラに適用されるエネルギー貯蔵システムの拡張方法を提供する。容量が拡張されるたびに、全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器のうちの1つ、又は同じ特徴パラメータを有する複数の第2エネルギー貯蔵機器に関して、当該コントローラはまず、それの特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値として使用し、その後、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなる、即ち、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器と追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器がほぼ同じ状態にあるまで、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御し、最後に、エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力することで、作業者に対して拡張提示を行い、作業者は拡張提示に基づいて、拡張を完了した後、拡張過程全体が完了する。前記拡張方法を使用した後、拡張過程全体において、エネルギー貯蔵システムの元の充放電電力変換器を利用するだけで、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を、当該エネルギー貯蔵システムに拡張するという目的を実現できる。そのため、前記エネルギー貯蔵システムの拡張方法を使用することにより、エネルギー貯蔵システムの拡張コストを削減し、エネルギー貯蔵システムの拡張方案を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下は、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明の図面はただ本発明の実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、提供された図面から他の図面を得ることができる。
【0025】
図1】本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムの拡張方法の概略フローチャート
図2】本出願の実施例によるステップS120の判断に関する具体的な実施形態の概略フローチャート
図3】本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムの別の拡張方法の概略フローチャート
図4】本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムの別の拡張方法の概略フローチャート
図5】エネルギー貯蔵システム及び追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の概略構成図
図6図5の直列接続式拡張が完了した後のエネルギー貯蔵システムの概略構成図
図7】並列接続式拡張が完了した後のエネルギー貯蔵システムの概略構成図
図8】第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータ及び第2エネルギー貯蔵機器のパラメータの経時変化の概略図
図9】本出願の実施例によるエネルギー貯蔵システムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本出願の実施例における図面を結合して、本出願の実施例における技術案を明確且つ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は全ての実施例ではなく、本出願の実施例の一部のみである。本出願の実施例に基づいて、進歩性に値する労働をしない前提で当業者によって得られた他の全ての実施は、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0027】
本出願では、第1及び第2などの関係用語は、1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作から区別するためのみのものであり、これらのエンティティ又は操作同士の間にはこのような実際の関係又は順序があるように要求又は暗示するとは限らない。且つ、「含む」「包含」という用語又はその他の任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているので、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器はそれらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素も含み、或いは、このような過程、方法、品物又は設備に固有の要素も含む。これ以上の制限がない場合、「・・・を含む」という文で限定された要素は、当該要素を含む過程、方法、品物又は設備には更に他の同じ要素があることを排除しない。
【0028】
本出願は、エネルギー貯蔵システムの拡張コストが高くなり拡張方案が複雑であるという問題を解决するために、エネルギー貯蔵システムにおけるコントローラに適用されるエネルギー貯蔵システムの拡張方法を提供する。当該エネルギー貯蔵システムはさらに、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器、少なくとも1つの充放電電力変換器、及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を含む。
【0029】
各第1エネルギー貯蔵機器はいずれも対応する充放電電力変換器の直流側に接続され、第2エネルギー貯蔵機器は、エネルギー貯蔵システムの追加対象となるエネルギー貯蔵機器である。第1エネルギー貯蔵機器の数、第2エネルギー貯蔵機器の数の具体的な値について、具体的な状況に応じて選択すればよく、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。容量が拡張されるたびに、全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器のうちの1つ、又は同じ特徴パラメータを有する複数の第2エネルギー貯蔵機器に対して、それぞれ、以下の拡張方法を1回実行する。
【0030】
当該エネルギー貯蔵システムの拡張方法の具体的なプロセスは図1に示すように、以下のステップを含む。
S110:追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値として使用する。
【0031】
なお、当該コントローラがエネルギー貯蔵システムを正常に動作するように制御する場合、本実施例で提供される拡張方法は実行できない。当該コントローラの動作状態が拡張モードに切り替えられた場合に限り、本実施例で提供される拡張方法を実行することができ、即ち、ステップS110から実行する。
【0032】
作業者は、マンマシンインタラクションの方式で、エネルギー貯蔵システムにおけるコントローラの動作モードを切り替えることができる。好ましくは、マンマシンインタラクションの方式は、エネルギー貯蔵システムに設けられるボタンであってもよいし、エネルギー貯蔵システムに設けられる液晶ディスプレイ又はタッチスクリーンであってもよく、携帯電話の無線通信又はコンピューター端末であってもよい。ここで、具体的に限定していなく、実際の応用シーンに応じて決定すればよく、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0033】
好ましくは、各エネルギー貯蔵機器はいずれも蓄電池であり、特徴パラメータは電圧、電力量及び荷電状態SOCのうちの少なくとも1つであってもよく、ここで、具体的に限定していなく、実際状況に応じて選択すればよく、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0034】
なお、エネルギー貯蔵システムにおける第1エネルギー貯蔵機器と追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器との使用程度が異なる場合、エネルギー貯蔵システムにおける第1エネルギー貯蔵機器と、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器との電圧と電力量、及び電圧とSOCとの間の差が大きいから、拡張されたエネルギー貯蔵システムは、最大能力で出力できるように保証するために、好ましくは、特徴パラメータは電力量又はSOCである。
【0035】
S120:少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さくなるまで、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御する。
【0036】
ステップS120に関与している充放電電力変換器は、今回の拡張方法の実行対象となる第2エネルギー貯蔵機器の接続対象となる充放電電力変換器であり、ステップS120に関与している第1エネルギー貯蔵機器は、元々当該充放電電力変換器に接続された第1エネルギー貯蔵機器である。
【0037】
なお、エネルギー貯蔵システムが正常に動作しているときに、充放電電力変換器が、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータをリアルタイムで検出し、それ自体と当該コントローラとの間の通信接続を介して、当該コントローラにアップロードする場合、当該コントローラが拡張モードに切り替えられた後、コントローラは各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータを直接に呼び出すことができる。エネルギー貯蔵システムが正常に動作しているときに、充放電電力変換器が、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータをリアルタイムで検出しなく、又は、それ自体と当該コントローラとの間の通信接続を介して当該コントローラにアップロードしない場合、当該コントローラが拡張モードに切り替えられた後、コントローラは、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータを直接に呼び出すことができず、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータを検出するように充放電コントローラを制御する必要がある。
【0038】
ステップS120において、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御するための根拠は次の通りである。即ち、第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より小さい場合、当該コントローラは、各第1エネルギー貯蔵機器を充電するように充放電電力変換器を制御する。第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値が目標特徴値より大きい場合、当該コントローラは、各第1エネルギー貯蔵機器を放電するように充放電電力変換器を制御する。
【0039】
なお、所定の程度は、事前設定された近接程度であり、第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さい限り、第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさが目標特徴値に等しいとほぼ考えられることができる。この場合、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を当該エネルギー貯蔵システムに拡張することは、当該エネルギー貯蔵システムに影響することがないので、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を当該エネルギー貯蔵システムに拡張した後、当該エネルギー貯蔵システムがスムーズ且つ均衡に動作することが保証される。
【0040】
S130:エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力する。
【0041】
エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号は、マンマシンインタラクションの方式で、作業者に提示することができる。好ましくは、マンマシンインタラクションの方式は、指示灯又はアラームベルであってもよいし、液晶ディスプレイ又はタッチスクリーンであってもよく、携帯電話の無線通信又はコンピューター端末であってもよい。提示機能を実現できるデバイス、端末又は回路であれば、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、ここで、具体的に限定していなく、具体的な応用シーンに応じて選択すればよい。
【0042】
以上から分かるように、前記拡張方法を使用した後、拡張過程全体において、エネルギー貯蔵システムの元の充放電電力変換器を利用するだけで、エネルギー貯蔵システムを充放電して、エネルギー貯蔵システムにおける少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の現在の状態を、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器と同じにすることができる。それにより、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を当該エネルギー貯蔵システムに拡張するという目的を実現するので、前記エネルギー貯蔵システムの拡張方法を使用することにより、エネルギー貯蔵システムの拡張コストを削減し、エネルギー貯蔵システムの拡張方案を簡素化することができる。
【0043】
実際の応用において、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器がエネルギー貯蔵システムに追加された後、コントローラはさらに、各エネルギー貯蔵機器に対して、深い充放電及びSOC再スケーリングを行うように充放電電力変換器を制御することができる。それにより、拡張後の各エネルギー貯蔵機器のSOCはより正確になり、電池管理及びエネルギー管理に便利である。その後、エネルギー貯蔵システムに追加された第2エネルギー貯蔵機器は、第1エネルギー貯蔵機器としてマークすることができ、次に、前記拡張方法を実行することにより、全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器がエネルギー貯蔵システムに追加されるまで、まだエネルギー貯蔵システムに追加されていない残りの第2エネルギー貯蔵機器を、エネルギー貯蔵システムに追加する。
【0044】
前の実施例のステップS120に関して、本出願の別の実施例は、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さいかどうかを判断するための2つの方法を提供する。
【0045】
1つの方法において、差分値の絶対値を使用して近接程度を表徴し、事前設定された閾値を使用して所定の程度を表徴するので、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さいことに対する判断は、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさと目標特徴値との差分値の絶対値が、事前設定された閾値より小さいことに対する判断である。
【0046】
もう1つの方法は、特徴パラメータが電圧である場合にのみ適用される。この方法において、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さいことに対する判断は、図2に示すように、具体的に以下のステップを含む。
S121:所定の期間内の、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさと目標特徴値との間の差分値に対して最小二乗法計算を行う。
S122:最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が、変曲点に達したかどうかを判断する。
最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が変曲点に達した場合、ステップS123を実行し、最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が変曲点に達していない場合、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御するというステップに戻る。
S123:各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が所定の程度より小さいと判定する。
【0047】
上記の技術は、各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が、所定の程度より小さいかどうかを判断するための2つの実施形態のみであり、実際の応用において、上記2つの実施形態を含むが、これらに限定されず、具体的な状況に応じて選択すればよく、ここで、具体的に限定していない。
【0048】
実際の応用において、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の追加方法は、直列接続追加方法及び並列接続追加方法という2つがある。
【0049】
直列接続追加方式を使用して追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器をエネルギー貯蔵システムに追加することは、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器、及びエネルギー貯蔵システムにおける第1エネルギー貯蔵機器の構造に関連し、両者が対応する条件を満たした場合に限り、直列接続追加方式を使用することができる。
【0050】
具体的に、直列接続追加方式の使用は、以下の条件を満たす必要がある。即ち、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器は1つのエネルギー貯蔵モジュールを含む。また、エネルギー貯蔵システムにおける第1エネルギー貯蔵機器は、1つのエネルギー貯蔵モジュール、又は、順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含む。
【0051】
本出願の別の実施例は、エネルギー貯蔵システムの拡張方法を提供し、直列接続追加方式を使用して追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器をエネルギー貯蔵システムに追加する状況に適用される。当該拡張方法のプロセスは図3に示すように、以下のステップを含む。
S210:追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値として使用する。
ステップS210はステップS110と同じであり、ステップS210の詳細な説明について、前述の実施例のステップS110を参照すればよいので、ここでは繰り返さない。
S220:少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器における少なくとも1つのエネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度が、所定の程度より小さくなるまで、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御する。
【0052】
第1エネルギー貯蔵機器が1つのエネルギー貯蔵モジュールのみを含む場合、当該エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータは第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータであり、即ち、コントローラは充放電電力変換器との間の通信接続を介して取得できる。
【0053】
第1エネルギー貯蔵機器が順次に直列接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵モジュールを含む場合、コントローラが各エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータを取得する方法は2つある。
【0054】
1つの方法は、対応する第1エネルギー貯蔵機器における管理システムと通信することで、対応する第1エネルギー貯蔵機器における各エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータを取得することであり、管理システムを備えた第1エネルギー貯蔵機器に適用される。
【0055】
もう1つの方式は、コントローラが充放電電力変換器との間の通信接続を介して、対応する第1エネルギー貯蔵機器のパラメータを取得し、次に、対応する第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値を、各エネルギー貯蔵モジュールに均分して、各エネルギー貯蔵モジュールの特徴パラメータの値の大きさとすることであり、管理システムを備えない第1エネルギー貯蔵機器に適用される。
【0056】
なお、エネルギー貯蔵機器が蓄電池である場合、当該管理システムとはBMS(Battery Management System、電池管理システム)である。
【0057】
ステップS220の他の説明は、前述の拡張方法におけるステップS120の説明と同じであるので、ここでは繰り返さず、上記の実施例を参照すればよい。
【0058】
S230:エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力する。
【0059】
ステップS230はステップS130と同じであり、ステップS230の詳細な説明について、前述の実施例におけるステップS130を参照すればよいので、ここでは繰り返さない。
【0060】
本出願の別の実施例は、エネルギー貯蔵システムの拡張方法を提供し、並列接続追加方式を使用して追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器をエネルギー貯蔵システムに追加する状況に適用される。当該拡張方法のプロセスは図4に示すように、以下のステップを含む。
S310:追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさを取得し、目標特徴値として使用する。
【0061】
ステップS310はステップS110と同じであり、ステップS310の詳細な説明について、前述の実施例におけるステップS110を参照すればよいので、ここでは繰り返さない。
【0062】
ただし、この場合、特徴パラメータは、電圧であってもよいし、電圧及び電力量又はSOCのいずれか1つであってもよく、ここで、具体的に限定していなく、実際の状況に応じて決定すればよく、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0063】
S320:第2エネルギー貯蔵機器の並列接続対象となる各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさの目標特徴値への近接程度がいずれも所定の程度より小さくなるまで、各第1エネルギー貯蔵機器を充放電するように充放電電力変換器を制御する。
【0064】
なお、並列に接続された各エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさが異なる場合、並列に接続された各エネルギー貯蔵機器に損傷を与えやすく、電気事故を引き起こすことさえある。そのため、並列接続追加方式を使用するとき、第2エネルギー貯蔵機器の並列接続対象となる各第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさがいずれも目標特徴値とほぼ同じであることが保証される場合に限り、第2エネルギー貯蔵機器を各第1エネルギー貯蔵機器に並列に接続することができる。また、特徴パラメータは、電圧が含まれる必要があり、他の2つについて、実際の状況に応じて選択すればよく、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0065】
ステップS320の説明は、前述の拡張方法におけるステップS120の説明と同じあるので、ここでは繰り返さず、上記の実施例を参照すればよい。
【0066】
S330:エネルギー貯蔵システムが容量拡張を可能にすることを表徴するための信号を生成して出力する。
【0067】
ステップS330はステップS130と同じであり、ステップS330の詳細な説明について、前述の実施例におけるステップS130を参照すればよいので、ここでは繰り返さない。
【0068】
図5及び図6を例として、図5の左側に示される第2エネルギー貯蔵機器40を、直列に接続するように、図5の右側に示されるエネルギー貯蔵システムを拡張し、図6に示される拡張されたエネルギー貯蔵システムが得られる。上記の実施例のエネルギー貯蔵システムの拡張方法の理解を容易にするために、本出願の別の実施例は、当該拡張過程を例として、上記のエネルギー貯蔵システムの拡張方法を具体的に説明する。
【0069】
図5の右側に示されるエネルギー貯蔵システムは、1つの第1エネルギー貯蔵機器20と、充放電電力変換器30としての1つのDCAC変換器31を含む。第1エネルギー貯蔵機器20はDCAC変換器31の直流側に接続され、DCAC変換器31の他方側は電力網に接続され、コントローラ10はDCAC変換器31と通信可能に接続され、第1エネルギー貯蔵機器20は3つの電池パックA1、A2、A3を含む。図5の左側に示される第2エネルギー貯蔵機器40は、1つの電池パックB1を含む。
【0070】
以下、特徴パラメータが電圧であることを例として、拡張過程を詳細に説明し、具体的には次の通りである。
まず、コントローラ10は、V0として示される電池パックB1の電圧を取得する。その後、DCAC変換器31を制御して拡張モードに切り替え、第1エネルギー貯蔵機器20が管理システムを備えない場合、コントローラ10は、DCAC変換器31を制御して、それ自体の直流側の電圧を測定することで第1エネルギー貯蔵機器20の電圧を取得する。コントローラ10は、これに基づいて、3で割って3つの電池パックの平均電圧、即ち、Vavを得る。次に、コントローラ10は、V0及びVavの大きさを判断し、Vav>V0である場合、第1エネルギー貯蔵機器20の電力量を電力網に放電するようにDCAC変換器31を制御することで、第1エネルギー貯蔵機器20の電圧を低減さる。Vav<V0である場合、コントローラ10は、電力網の電力量を第1エネルギー貯蔵機器20に充電するようにDCAC変換器31を制御することで、蓄電池電圧を増加させる。上記の充放電プロセスは、VavとV0との電圧差の絶対値が0.5より小さくなるときに終了する第1エネルギー貯蔵機器20における電池パックA1、A2及びA3の電圧は、電池パックB1と基本的に一致すると判定する。この場合、エネルギー貯蔵システムは容量拡張を可能にし、外部に提示する。
【0071】
第1エネルギー貯蔵機器20がBMSを備えたリチウム電池である場合、コントローラ10は、DCAC変換器31を介して、管理システムとの通信によって、V1、V2及びV3としてそれぞれ示される電池パックA1、A2及びA3の電圧を取得することができる。通常、リチウム電池には均衡システムが付けられるので、V1、V2及びV3はほぼ同じである。次に、V1、V2及びV3の少なくとも1つとV0との電圧差の絶対値が0.5より小さくなるまで、第1エネルギー貯蔵機器20を充放電する。この場合、第1エネルギー貯蔵機器20における電池パックA1、A2及びA3の電圧は、電池パックB1と基本的に一致すると判定し、エネルギー貯蔵システムは容量拡張を可能にし、外部に提示する。
【0072】
また、電池パックA1、A2及びA3の電圧V1、V2及びV3を取得した後、V1、V2及びV3のそれぞれとV0との差分値に対して行われた最小二乗法の計算結果の経時変化曲線が変曲点に達するまで、第1エネルギー貯蔵機器20を充放電してもよい。この場合、第1エネルギー貯蔵機器20における電池パックA1、A2及びA3の電圧は、電池パックB1と基本的に一致すると判定し、エネルギー貯蔵システムは容量拡張を可能にし、外部に提示する。
【0073】
さらに、仮に第1エネルギー貯蔵機器20における電池パックA1、A2及びA3は既に3年間使用された場合、電池パックB1の容量を拡張する必要がある。特徴パラメータが電圧である技術案を選択して容量を拡張すると、同じ端子電圧の場合には、電池パックA1、A2及びA3は、内部抵抗が大きくなるため、充電が終了した後、より低い電力量を取得する。電池パックA1、A2及びA3と電池パックB1とのSOCの不均衡によるバレル効果により、電池パックA1、A2及びA3は充電できなくなる。そのため、エネルギー貯蔵システムの利用可能な電池容量は最適状態に達することができない。これにより、拡張方案は、特徴パラメータがSOC又は電力量である技術案を選択することができる。
【0074】
なお、第2エネルギー貯蔵機器40が電池パックB1、B2、B3を含む場合、第2エネルギー貯蔵機器40を、並列に接続するように、エネルギー貯蔵システムを拡張することができる。当該具体的な過程は、上記の過程に類似するので、ここでは繰り返さなく、拡張されたエネルギー貯蔵システムは図7に示される。ただし、第1エネルギー貯蔵機器20の両端の電圧は、第2エネルギー貯蔵機器40の両端の電圧と同じであるように、保証しなければならない。
【0075】
上記の実施例から分かるように、特徴パラメータは、電圧、電力量又はSOCのうちの少なくとも1つであってもよい。特徴パラメータが電圧である場合、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器が現場に到着した後に測定することで取得できる。ただし、特徴パラメータが電力量又はSOCである場合、現場検出を利用できるが、好ましくは、この場合、目標特徴値の由来は、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の出荷情報にする。このようにして、検出コストを節約するだけでなく、検出の困難さを低減することができる。
【0076】
追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の電圧、電力量又はSOCは、例えば30日などの長期間にわたってあまり変化しなく、通常状況での出荷輸送、エネルギー貯蔵システムの拡張モードでの充放電に必要な時間を満たすことができる。このことを考慮し、出荷情報は、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータを含んでもよい。この場合、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさは、出荷値であり、即ち、製造業者の生産ラインで製造され、又は倉庫から出庫する前に、それ自体の特徴パラメータに対する測定値である。例えば、製造業者の生産ラインで製造され、倉庫から出庫する前に、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の電圧は51.2v、電力量は92Ah(又は4.7KWh)、或いはSOCが92%であることが測定される。
【0077】
ただし、輸送遅延や取り付け遅延などのいくつかの特殊な状況を考慮して、出荷情報は上記の情報に加えて、出荷時間と、追加対象になる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの経時変化の計算式とも含む。
【0078】
追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの経時変化の計算式は具体的に、「目標特徴値=f(出荷値,時間差)」であり、fは、目標特徴と、出荷値及び時間差との関係を反映する、事前設定された関数である。
【0079】
好ましくは、出荷情報における特徴パラメータ及び出荷時間は、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の本体の内部又は外面、或いはパッケージの内部又は外面に付けられてもよい。例えば、バーコード又は二次元コードの形式で本体の外面に付着されてもよく、携帯電話APPに入力されてもよい。ここで、具体的に限定していなく、具体的な状況に応じて決定すればよく、出荷情報を保存できる方式であれば、いずれも本出願の保護範囲に含まれる。
【0080】
好ましくは、マニュアルでは、特徴パラメータ及び出荷時間の対応する入力方法を紹介する。例えば、バーコード又は二次元コードの形式で本体の外面に付着する場合、取り付けの現場では、携帯電話APPを介して対応するパラメータを入力し、又は、コードをスキャンすることで、対応するパラメータを自動に入力してもよい。ここで、入力方法について、従来技術の入力方法を使用すればよいので、ここでは繰り返さない。
【0081】
好ましくは、追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの経時変化の計算式、及びその使用方法は、マニュアルに記載される。例えば、取り付けの現場で、バーコードをスキャンすることで、特徴パラメータの出荷値及び出荷時間を携帯電話APPに入力し、その後、マニュアルの記載に基づいて、当該計算式を携帯電話APPに入力する。APPは、当該計算式、特徴パラメーの出荷値、出荷時間及び現在の時刻を利用して、目標特徴値を計算して、エネルギー貯蔵システムに入力し、また、携帯電話APPに直接に入力してもよい。例えば、出荷前に、当該計算式を携帯電話APPに入力し、取り付けの現場に到着した後、特徴パラメータの出荷値及び出荷時間を携帯電話APPに入力すると、APPは、特徴パラメータの出荷値、出荷時間、計算式及び現在の時刻に基づいて、目標特徴値を計算することができる。
【0082】
なお、エネルギー貯蔵システムの拡張モードでの充放電の時間が所定の時間を超える場合、例えば、負荷が所定の値より小さくて第1エネルギー貯蔵機器を充放電するのに長い時間がかかる場合、又は、電力網の電力不足で第1エネルギー貯蔵機器を充電できない場合、メーカーは別の目標特徴値の計算方式をマニュアルに特に記載する。図8を例として説明する。
【0083】
追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器が時刻t1に取り付けの現場に到着した場合、APPを介して追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの出荷値、出荷時間をエネルギー貯蔵システムに送信する。エネルギー貯蔵システムは、出荷値に基づいて、初期の目標値を計算し、その後、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータの値の大きさと最後に計算された目標値との差分値が閾値より小さくなるt2時刻まで、エネルギー貯蔵システムにおける第1エネルギー貯蔵機器に対して充放電制御を行い、充放電にかかった時間に基づいて新たな目標値を計算して充放電制御を調整する。このようにすれば、エネルギー貯蔵システムは容量拡張を可能にする。
【0084】
なお、メーカーの生産ライン/倉庫で測定較正を行う重要の優勢の1つは、バッチ測定較正及び統一管理を実行できることである。例えば、メーカーの生産ラインで、出荷対象となる全ての電池の特徴パラメータを、いずれも統一値に較正し、例えば、電池電圧を51.2V、電力量を92Ah(又は4.7KWh)、或いはSOCを92%にするように較正すれば、単独の電池のそれぞれに対して専門の較正測定を行う必要がないので、実施コストを大幅に削減することができる。
【0085】
実際の応用において、上記の方式に基づいて、全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器をグループ化し、同じ特徴パラメータを有する第2エネルギー貯蔵機器を同一のグループに区画し、一緒に前記拡張方法を1回実行する。全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータがいずれも同じである場合、全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器を、一度にエネルギー貯蔵システムに追加すればよい。全ての追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器の特徴パラメータが異なる場合、各グループの第2エネルギー貯蔵機器をバッチでエネルギー貯蔵システムに追加し、容量を拡張するたびに一意の目標特徴値が1つしかないことが保証されればよく、ここでは繰り返さない。
【0086】
上記の実施例を用いて、様々なエネルギー貯蔵システムの拡張方法を説明した。以下は、上記の各実施例によって提供される拡張方法を実行するためのエネルギー貯蔵システムを提供し、その具体的な構成は図5に示すように、コントローラ10、少なくとも1つの第1エネルギー貯蔵機器20(図には1つのみが示される)、少なくとも1つの充放電電力変換器30(図にはDCAC変換器31のみが例として示される)、及び少なくとも1つの追加対象となる第2エネルギー貯蔵機器40を含む。
【0087】
当該エネルギー貯蔵システムにおいて、各第1エネルギー貯蔵機器20はいずれも、対応する充放電電力変換器30の直流側に接続され、各充放電電力変換器30の他方側は、外部電源及び/又は外部負荷に接続される。
【0088】
コントローラ10は充放電電力変換器30と通信可能に接続され、コントローラ10は第2エネルギー貯蔵機器40を当該エネルギー貯蔵システムに追加するように、上記の各実施例によって提供される拡張方法を実行するために使用される。
【0089】
なお、エネルギー貯蔵システムにおける充放電電力変換器30はDCAC変換器又はDCDC変換器であってもよい。充放電電力変換器30は、DCAC変換器31であるかそれともDCDC変換器であるかにも関わらず、双方向変換器であり、双方向に動作することができる。
【0090】
好ましくは、充放電電力変換器30がDCAC変換器31(図5に示す)である場合、充放電電力変換器30の他方側は、交流側であり、交流電源(図5に示す)及び/又は交流負荷に接続される。ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。
【0091】
好ましくは、充放電電力変換器30がDCDC変換器32である場合、充放電電力変換器30の他方側は、直流側であり、別のDCDC変換器50を介して直流電源(図9に示す)及び/又は直流負荷に接続される。拡張モードで、第1エネルギー貯蔵機器20を充放電する必要がある場合、エネルギー貯蔵システムは、別のDCDC変換器50を介して第1エネルギー貯蔵機器20のエネルギーを外部に放出し、又は、直流電源からエネルギーを第1エネルギー貯蔵機器20に吸収し、及び/又は、充放電電力変換器30の他方側はDCAC変換器を介して交流電源及び/又は交流負荷に接続される。ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。
【0092】
なお、充放電電力変換器30がDCDC変換器32である場合、DCDC変換器32の他方側は(図9に示すように)直接に直流電源又は負荷に接続され、また、上記のいずれかの状況と同時に発生してもよい。ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。
【0093】
また、エネルギー貯蔵システムにおける電源又は負荷が多いほど、第1エネルギー貯蔵機器に対する充放電の制御がより柔軟になる。
【0094】
なお、直流電源は、太陽電池モジュールであってもよいし、エネルギー貯蔵機器であってもよく、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。交流電源は、電力網であってもよいし、交流エンジンであってもよく、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。
【0095】
好ましくは、コントローラ10は充放電電力変換器30の内部コントローラであり、又は、コントローラ10はシステムコントローラであり、ここで、具体的に限定していなく、いずれも本出願の保護範囲に含まれ、具体的な状況に応じて決定すればよい。
【0096】
本発明における各実施例は、漸進的に説明され、各実施例について、他の実施例との相違点を主に説明され、各実施例の間の同じ又は類似の部分について、互いに参照すればよい。実施例に開示された装置について、実施例に開示された方法に対応するので、説明は比較的簡単であり、関連部分は、方法部分の説明を参照すればよい。
【0097】
以上は、本発明に対する、いかなる形態の限定ではなく、本発明の好適な実施例に過ぎない。本発明は好適な実施例で以上のように開示されたが、本発明を限定していない。当業者であれば、本発明の技術案範囲から逸脱することなく、上記に開示された方法及び技術的内容を利用して、本発明の技術案に多くの可能な変更及び修正を加えるか、又は同等の変更を加えた同等の実施形態に修正することができる。従って、本発明の技術案の内容から逸脱することなく、本発明の技術的本質に従って、上記の実施例に対して行われた任意の単純な修正、同等の変更及び修正はいずれも本発明の技術案の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9