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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】建材用搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20221128BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
B62B3/00 D
B62B3/02 G
B62B3/02 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021121569
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2017218029の分割
【原出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2021165146
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】舘野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】石塚 洋司
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195610(JP,U)
【文献】特開2004-106751(JP,A)
【文献】特開2014-213771(JP,A)
【文献】特開2010-155587(JP,A)
【文献】特開2017-056902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材を載せるための荷台と、この荷台の下部に設けられた走行輪とを備えている建材用搬送台車において、
前記荷台に建材を立て掛けるための立て掛け部材が設けられ、この立て掛け部材に、前記走行輪の回転で走行させるために手を掛けるための部材が設けられており、
前記荷台には、前記立て掛け部材に立て掛けられた前記建材の下端部が当接することによりこの下端部が前記荷台に沿って滑動することを防止するための位置規制部材が配置されているとともに、前記立て掛け部材からの前記位置規制部材の配置位置が変更可能となっていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項2】
請求項1に記載の建材用搬送台車において、前記荷台には、前記位置規制部材が挿入可能となっている複数個の切り込み部が間隔をあけて設けられ、切り込み方向が上下方向となっているこれらの切り込み部のうち、前記位置規制部材を挿入する切り込み部を選択することにより、前記立て掛け部材からの前記位置規制部材の配置位置が変更されることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項3】
請求項2に記載の建材用搬送台車において、前記荷台は、前記複数個の切り込み部の前記間隔の方向と直交する方向に平行に配設された2個の荷台部材を含んで構成され、これらの荷台部材ごとに、前記立て掛け部材と、前記位置規制部材と、前記複数個の切り込み部とが設けられていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の建材用搬送台車において、前記位置規制部材は、前記切り込み部に挿入される鉛直姿勢の板状部材と、この板状部材に結合されたL字状の脚部材とを含んで構成されていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の建材用搬送台車において、前記立て掛け部材は、前記荷台から鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項6】
請求項5に記載の建材用搬送台車において、前記傾き角度は調整可能となっていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の建材用搬送台車において、前記手を掛けるための前記部材は、前記立て掛け部材に対して取り付け、取り外し可能となっていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項8】
請求項7に記載の建材用搬送台車において、前記立て掛け部材に対する前記手を掛けるための前記部材の取り付け、取り外しは、前記立て掛け部材に対する前記手を掛けるための前記部材の挿抜により可能となっていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の建材用搬送台車において、前記建材は、前記手を掛けるための前記部材に当接して前記荷台に載せられることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項10】
請求項9に記載の建材用搬送台車において、前記建材は鉛直姿勢から倒されて前記荷台に載せられ、この建材の上端又は上部が前記手を掛けるための前記部材に当接して、前記建材が前記荷台に載せられることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の建材用搬送台車において、前記手を掛けるための前記部材は、ゴムで形成されていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の建材用搬送台車において、前記手を掛けるための前記部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の建材用搬送台車において、前記手を掛けるための前記部材は、前記立て掛け部材の実質的な長さを延長するための延長部材となっていることを特徴とする建材用搬送台車。
【請求項14】
請求項13に記載の建材用搬送台車において、前記立て掛け部材は前記荷台に対して折り畳み可能となっており、前記立て掛け部材が前記荷台に対して折り畳まれるときに前記延長部材は前記立て掛け部材から取り外されることを特徴とする建材用搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材を工場や建築現場等で搬送するために用いる建材用搬送台車に係り、例えば、開き戸装置のドア枠や開き戸等の建材を搬送するために適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸装置を構成するドア枠や開き戸は、工場で製造された後に開き戸装置が施工設置される建築現場等に送られる。重量物となっているこれらのドア枠や開き戸等を工場や建築現場等において容易に搬送できる建材用搬送台車が下記の特許文献1に示されており、この建材用搬送台車は、建材を載せるための荷台と、この荷台の下部に設けられた走行輪とを備えている。荷台に建材を載せてから手押し操作等することにより、走行輪の回転による走行により建材を容易に搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3228299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場や建築現場等で搬送しなければならない建材には、寸法が異なる種々のものがあり、これらの建材には幅寸法が異なるものがあるため、幅寸法が異なる種々の建材を搬送することができる建材用搬送台車が求められる。
【0005】
本発明の目的は、幅寸法が異なる種々の建材に適用することができて、これらの建材を搬送できるようになる建材用搬送台車を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建材用搬送台車は、建材を載せるための荷台と、この荷台の下部に設けられた走行輪とを備えている建材用搬送台車において、前記荷台の幅寸法が調整可能となっていることを特徴とするものである。
【0007】
この建材用搬送台車は、荷台の幅寸法が調整可能となっているため、荷台の幅寸法を調整することにより、幅寸法が異なる種々の建材に適用できるようになり、これらの建材を工場や建築現場等で容易に搬送できる。
【0008】
本発明において、荷台の幅寸法を調整可能とすることは、例えば、荷台を幅方向に配置された2個の荷台部材を含んで構成するとともに、走行輪がそれぞれの下部に設けられているこれらの荷台部材の幅方向の間隔を調整可能とし、2個の荷台部材の幅方向の間隔が調整されることで荷台の幅寸法が調整されることでもよく、あるいは、荷台を入れ子式やテレスコーピック式の構造とすることにより幅方向に伸縮可能とし、伸縮させることで荷台の幅寸法を調整可能とすることでもよい。
【0009】
そして、荷台の幅寸法を調整可能とすることを、前者のように、荷台を幅方向に配置された2個の荷台部材を含んで構成するとともに、走行輪がそれぞれの下部に設けられているこれらの荷台部材の幅方向の間隔を調整可能とし、2個の荷台部材の幅方向の間隔が調整されることで荷台の幅寸法が調整されることとする場合には、2個の荷台部材に幅方向が長さ方向となっている架け渡し部材を架け渡し、2台の荷台部材のうち、少なくとも1個の荷台部材と架け渡し部材とを結合可能及び結合解除可能とし、架け渡し部材との結合が解除された荷台部材の配置位置をこの架け渡し部材の長さ方向に変更することで荷台の幅寸法が調整されるようにしてもよい。
【0010】
2個の荷台部材のうち、少なくとも1個の荷台部材と架け渡し部材とを結合可能及び結合解除可能とすることは、クランプ具等の締め付け具や、ボルト等の連結具、さらには、押え具等を用いることにより実現できる。
【0011】
また、架け渡し部材は1本でもよく、平行に配設された複数本でもよい。
【0012】
なお、2個の荷台部材と架け渡し部材とを結合可能及び結合解除可能とした場合には、これらの荷台部材と架け渡し部材とを分離することができるため、本発明に係る建材用搬送台車を収納等するときに、これらの荷台部材と架け渡し部材とに分解して有効に収納等できることになる。
【0013】
また、2個の荷台部材に建材を載せることは、これらの荷台部材に建材を平置きや縦置きにして載せることでもよく、あるいは、2個の荷台部材のそれぞれに、建材を立て掛けるための立て掛け部材を設け、これらの立て掛け部材に建材を立て掛けることにより、荷台に建材を載せることでもよい。
【0014】
さらに、2個の荷台部材のそれぞれに、建材を立て掛けるための立て掛け部材を設ける場合には、この立て掛け部材を荷台部材に鉛直に立設してもよく、あるいは、立て掛け部材を、荷台部材に連結されている下端部から鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びるものとし、荷台部材と立て掛け部材との間に、立て掛け部材を、この立て掛け部材が傾いている側から支持するための支持部材を配設してもよい。
【0015】
後者によると、建材が立て掛けられた立て掛け部材を支持部材により支持できるため、鉛直方向に対して傾いている立て掛け部材をその傾き姿勢に維持させることができ、これにより、立て掛け部材に建材を安定して立て掛けることができる。
【0016】
また、上述のように立て掛け部材を、荷台部材に連結されている下端部から鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びるものとし、荷台部材と立て掛け部材との間に、立て掛け部材を、この立て掛け部材が傾いている側から支持するための支持部材を配設する場合には、立て掛け部材の下端部の位置を、支持部材と荷台部材との連結部の位置から調整可能としてもよい。これによると、鉛直方向に対する立て掛け部材の傾き角度を調整できるようになるため、高さ寸法等が異なる種々の建材にも有効に対処できるようになる。
【0017】
さらに、荷台を構成している2個の荷台部材のそれぞれに、立て掛け部材に立て掛けられた建材の下端部の位置を規定し、この下端部が荷台部材に沿って滑動することを防止するための位置規定部材を設けてもよい。これによると、鉛直方向に対する傾き角度を有する立て掛け部材に建材を立て掛けても、建材の下端部が荷台部材に沿って滑動してしまうことを位置規定部材により防止でき、建材を立て掛け部材に安定して立て掛けることができるようになる。
【0018】
なお、このように2個の荷台部材のそれぞれに、建材の下端部が荷台部材に沿って滑動してしまうことを防止するための位置規定部材を設ける場合には、これらの位置規定部材を荷台部材の所定位置に固着状態で配置してもよく、あるいは、これらの位置規定部材を、立て掛け部材からの位置を調整可能にして荷台部材に配置してもよい。後者によると、荷台部材における位置規定部材の配置位置を立て掛け部材から調整することができるため、高さ寸法等が異なる種々の建材にも有効に対処できるようになる。
【0019】
また、前述したように、それぞれの荷台部材に配置される立て掛け部材を、荷台部材に連結されている下端部から鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びるものとし、荷台部材と立て掛け部材との間に、立て掛け部材を、この立て掛け部材が傾いている側から支持するための支持部材を配設する場合には、支持部材の下端部を荷台部材に回動自在に連結するとともに、立て掛け部材を支持部材の上端部に回動自在に連結し、立て掛け部材の下端部を荷台部材から連結解除可能に連結してもよい。
【0020】
これによると、荷台部材から立て掛け部材の下端部を連結解除することにより、立て掛け部材と支持部材とを荷台部材に対し折り畳み可能とすることができるようになり、このため、この折り畳みにより、荷台部材と立て掛け部材と支持部材を小型化して限られたスペースに有効に収納できるなどの利点を得られる。
【0021】
また、支持部材には、持ち運ぶときに把持する把持部を設けてもよく、これによると、この把持部により荷台部材等を容易に持ち運ぶことができるようになる。
【0022】
以上説明した本発明に係る建材用搬送台車は、手押し操作や手引き操作されることにより走行輪が回転して建材の搬送を行う手動走行式のものでもよく、あるいは、走行輪を電動モータやエンジン等の駆動源により回転させて建材の搬送を行う自動走行式のものでもよい。
【0023】
さらに、本発明に係る建材用搬送台車により搬送される建材は、任意の建材でよい。その一例は、開き戸装置のためのドア枠や開き戸、さらには、引き戸装置のための開口枠や引き戸であり、また、壁に形成される通行用開口部のための開口枠や、シャッター装置のシャッターカーテンの開閉移動を案内するガイドレール、このガイドレールを含んで構成されるシャッター装置の開口枠、中間柱を含む柱や、梁、横桟、面材等の建材を搬送するためにも、本発明に係る建材用搬送台車を用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、幅寸法が異なる種々の建材に適用することができて、これらの建材を搬送できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る建材用搬送台車の全体を示す斜視図である。
図2図2は、図1の建材用搬送台車の正面図である。
図3図3は、荷台部材を示し、(A)は、正面図、(B)は、平面図、(C)は、側面図である。
図4図4は、支持部材を示し、(A)は、正面図、(B)は、底面図、(C)は、側面図である。
図5図5は、建材を載せたときの建材用搬送台車を示す図1と同様の図である。
図6図6は、建材を載せたときの建材用搬送台車を示す図2と同様の図である。
図7図7は、幅寸法が大きい建材を載せたときの建材用搬送台車を示す図1と同様の図である。
図8図8は、高さ寸法が大きい建材を載せたときの建材用搬送台車を示す図2と同様の図である。
図9図9は、折り畳んだときの建材用搬送台車を示す図2と同様の図である。
図10図10は、図9のS10-S10線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る建材用搬送台車の全体斜視図が示されており、この建材用搬送台車の荷台1は、幅方向に平行に配設された2個の荷台部材2により構成されている。それぞれの荷台部材2の形状及び構造は同じであり、また、これらの荷台部材2に取り付けられている部材も同じであるため、以下に一方の荷台部材2だけについて説明する。
【0027】
図3(A)(B)(C)には荷台部材2が示されており、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。荷台部材2は、上向きに開口したリップ付きチャンネル材で形成されているため、この荷台部材2は、ウエブ部による底面部2Aと、この底面部2Aの幅方向両側から立ち上がった一対のフランジ部による側壁部2B,2Cと、これらの側壁部2B,2Cの上端から幅方向内側へ突出した一対のリップ部による上面部2D,2Eとからなるものである。荷台部材2の幅方向と直交する荷台部材2の長さ方向の両端部には、荷台部材2の下部である底面部2Aの下外面において、2個の走行輪3が配置されており、工場や建築現場の床の上で回転するこれらの走行輪3はキャスタによるものであるため、図2に示されているように、走行輪3は、底面部2Aの下外面に鉛直軸Nを中心に回動自在となって取り付けられている車軸保持部材4の車軸4Aで回転自在に支持されている。また、この車軸保持部材4には、走行輪3の回転を制動させるためのブレーキペダル4Bが設けられている。
【0028】
図3に示されているように、荷台部材2の底面部2Aの上内面には受け部材5が溶接等で固定されており、この受け部材5は上向きに開口したチャンネル材で形成されているため、受け部材5は、ウエブ部による底面部5Aと、この底面部5Aの幅方向両側から立ち上がった一対のフランジ部による立上り部5B,5Cとからなるものである。これらの立上り部5B,5Cには、図3(B)に示されている孔6が形成されており、この孔6は荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個6A~6D設けられており、図1には、これらの孔6A~6Dが複数個の孔6として示されている。また、図3(A)(B)に示されているように、荷台部材2の一対の側壁部2B,2Cのうち、一方の側壁部2Bには、孔6と対応する位置において、孔7が形成されており、この孔7は、孔6A~6Dと同様に、荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて孔6と同数の複数個7A~7D設けられており、荷台部材2の長さ方向におけるこれらの孔7A~7Dの位置は、孔6A~6Dの位置と一致している。
【0029】
図1に示されているように、受け部材5の一対の立上り部5B,5Cの間には立て掛け部材8の下端部が挿入されており、丸パイプ材で形成されているこの立て掛け部材8の下端部は、図3(B)にも示されている止めピン部材9により、受け部材5に連結されている。立て掛け部材8の下端部を受け部材5に連結するための連結部材となっているこの止めピン部材9は、止めピン部材9を引く抜くときなどに用いるリング部材10が取り付けられている大径基部9Aと、この大径基部9Aから前方へ延出している小径軸部9Bとからなる段付き状のものである。小径軸部9Bを、荷台部材2の側壁部2Bに複数個形成されている孔7のうち、1個の孔7に挿通するとともに、受け部材5の立上り部5B,5Cに荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個形成されている孔6のうち、1個の孔6と、立て掛け部材8の下端部に形成されている孔とに挿通することにより、立て掛け部材8の下端部は、受け部材5で受けられながら、この受け部材5と止めピン部材9を介して荷台部材2に連結されることになり、この連結は、止めピン部材9を中心に立て掛け部材8の下端部が荷台部材2に対して上下に回動自在となって行われる。
【0030】
なお、図2では、止めピン部材9の小径軸部9Bは、図3(B)で示された複数個の孔7A~7Dのうち、孔7Bと、複数個の孔6A~6Dのうち、孔6Bとに挿通されている。
【0031】
図3(B)に示されているように、小径軸部9Bの先部には、小球による2個のストップ部材11が止めピン部材9の軸方向と直交する方向に遊動自在に埋め込み状態で配置されており、ばね等の弾性部材の弾性力により小径軸部9Bから突出する方向に常時弾性付勢されることで小径軸部9Bの表面から一部が突出しているこれらのストップ部材11は、小径軸部9Bが、上述したように孔7と、孔6と、立て掛け部材8の下端部の孔とに挿通されるときには、これらの孔からの押圧力により弾性部材の弾性力に抗して小径軸部9Bの内部に没入し、小径軸部9Bの先部が、受け部材5の一対の立上り部5B,5Cのうち、立上り部5Cの孔6から突出すると、ストップ部材11の一部が弾性部材の弾性力で小径軸部9Bの表面から突出し、これにより、立上り部5Cの孔6からの小径軸部9Bの抜け出しが阻止される。そして、前述したリング部材10により止めピン部材9に引き抜き力を作用させたときには、ストップ部材11は、孔6と、立て掛け部材8の下端部の孔と、孔7とからの押圧力により弾性部材の弾性力に抗して小径軸部9Bの内部に没入するため、これらの孔から小径軸部9Bを引き抜いて、止めピン部材9を荷台部材2から取り出すことができる。
【0032】
したがって、立て掛け部材8の下端部は、止めピン部材9により、この止めピン部材9が挿通される受け部材5を介して荷台部材2に対し連結可能となっているとともに、この荷台部材2に対し連結解除可能ともなっている。また、止めピン部材9の小径軸部9Bは、孔7A,7C,7Dや、孔6A,6C,6Dにも挿通させることができるため、立て掛け部材8の下端部を連結する荷台部材2の位置を、この荷台部材2の長さ方向に変更、調整することもできる。
【0033】
以上のようにして下端部が止めピン部材9と受け部材5を介して荷台部材2に連結されている立て掛け部材8は、図1及び図2に示されているように、鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びている。
【0034】
図1及び図2に示されているように、荷台部材2の長さ方向の一方の端部には、言い換えると、立て掛け部材8が鉛直方向に対して傾いている側の荷台部材2の長さ方向の端部には、支持部材12の下端部12Aが連結具であるボルト13及びナットにより連結されている。図4(A)(B)(C)には支持部材12の正面図、底面図、側面図が示されている。支持部材12は下向きに開口したチャンネル材で形成されているため、この支持部材12は、ウエブ部による上面部12Bと、この上面部12Bの幅方向両側から垂下した一対のフランジ部による垂下部12C,12Dとからなるものである。そして、一対の垂下部12C,12Dの幅方向の間隔は、図3(B)(C)で示した荷台部材2の一対の側壁部2B,2Cの幅方向の間隔よりも少し大きくなっている。図4(A)(B)に示されているように、支持部材12の下端部12Aにおいて、一対の垂下部12C,12Dには孔14が形成され、これらの孔14と、図3(A)(B)に示されているように、荷台部材2の長さ方向の上述した一方の端部において、この荷台部材2の一対の側壁部2B,2Cに形成されている孔15とに図1及び図2のボルト13の軸部を挿通し、この軸部の先端に上記ナットを螺合することにより、支持部材12の下端部12Aが荷台部材2の長さ方向の一方の端部にボルト13の軸部を中心に上下に回動自在に連結されている。
【0035】
図4(A)(B)に示されているように、支持部材12の上端部12Eには、支持部材12の一対の垂下部12C,12Dの上端面から突出した二股の突出部16A,16Bを有するブラケット部材16が結合され、このブラケット部材16は、支持部材12の上面部12Bの下内面に溶接等で結合され、かつ突出部16A,16B同士を連結している板状の連結部16Cを有するものであり、二股の突出部16A,16Bには孔17が設けられている。また、図2に示されているように、立て掛け部材8には孔18が設けられ、この孔18は、立て掛け部材8の長さ方向の間隔をあけて複数個18A~18D設けられている。
【0036】
図1に示されているように、二股の突出部16A,16Bの間に、丸パイプ材で形成されている立て掛け部材8を挿入し、二股の突出部16A,16Bの孔17と、立て掛け部材8に複数個設けられている孔18のうち、1個の孔18とにボルト19の軸部を挿通し、このボルト19の軸部の先端にナットを螺合することにより、支持部材12の上端部12Eと立て掛け部材8は、連結具であるボルト19及びナットにより連結され、この連結は、立て掛け部材8が支持部材12の上端部12Eにボルト19の軸部を中心に上下に回動自在となって行われる。
【0037】
以上により、荷台部材2と立て掛け部材8との間には、支持部材12が配設されていることになり、荷台部材2から鉛直方向に対する傾き角度をもって上方に延びている立て掛け部材8は、この傾き側において荷台部材2に取り付けられている支持部材12により支持されていることになる。
【0038】
なお、図2では、ボルト19の軸部は、立て掛け部材8に複数個形成されている孔18A~18Dのうち、孔18Cに挿通されている。
【0039】
また、図4で説明した支持部材12には、一対の垂下部12C,12Dのうち、垂下部12Cにおいて、孔20が形成されている。この孔20と、前述したボルト13の軸部が挿通される支持部材12の孔14との間の距離は、このボルト13の軸部を挿通するために荷台部材2の一対の側壁部2B,2Cに形成されている図3(A)(B)の孔15と、孔7Dとの間の距離と同じである。また、図2に示されているように、ボルト19の軸部が立て掛け部材8の孔18Cに挿通されているときにおいて、この孔18Cと、支持部材12の垂下部12Cの孔20との間の距離は、立て掛け部材8に形成されている孔18Cと孔18Dとの間の距離と同じである。
【0040】
図4に示されているように、支持部材12の上面部12Bの上外面には、手で把持することができる把持部21が設けられており、この把持部21は、ビス等で取り付けられた把持部材によって形成されたものとなっている。
【0041】
図2に示されているように、荷台部材2には、立て掛け部材8が鉛直方向に対して傾いている側とは反対側において、位置規定部材22が配置されている。この位置規定部材22は、鉛直姿勢となっている板状部材22Aと、この板状部材22Aに溶接等で結合されたL字状の脚部材22Bとからなるものである。図1から分かるように、脚部材22Bの幅方向の寸法は、荷台部材2の前述した一対の上面部2D,2Eの内幅間隔よりも小さく、また、板状部材22Aの幅方向の寸法は、これらの上面部2D,2Eの内幅間隔よりも大きくなっている。これらの上面部2D,2Eには、板状部材22Aを上下に挿抜することができる切り込み部23が形成されており、これらの切り込み部23に板状部材22Aを上から挿入して、L字状の脚部材22Bの水平部を荷台部材2の底面部2Aの上内面に載せることにより、位置規定部材22は荷台部材2に安定して配置されることになる。
【0042】
図3(B)に示されているように、切り込み部23は、一対の上面部2D,2Eに荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個23A~23C設けられており、このため、荷台部材2における位置規定部材22の配置位置は、立て掛け部材8から調整可能となっている。なお、図2では、位置規定部材22の板状部材22Aは、複数個の切り込み部23A~23Cのうち、切り込み部23Bに挿入されている。
【0043】
図1に示されているように、2台の荷台部材2には、丸パイプ材による架け渡し部材24が架け渡されている。この架け渡し部材24は、それぞれの荷台部材2に取り付けられた図2のクランプ具25により、荷台部材2に対して結合可能及び結合解除可能となっている。クランプ具25は、上下一対の挟着部材25A,25Bと、これらの上下一対の挟着部材25A,25Bの一方の端部同士を回動自在に連結しているピン25Cと、荷台部材2の底面部2Aの下外面にボルト等で結合されている上側の挟着部材25Aの他方の端部にピン25Dで回動自在に連結されたボルト軸部材25Eと、このボルト軸部材25Eが下側の挟着部材25Bの他方の端部に形成されているU字溝に挿入された後に締め付け操作されるために、ボルト軸部材25Eに螺合されているナット25Fとからなるものであり、このナット25Fの締め付け操作により、架け渡し部材24は、上下一対の挟着部材25A,25Bにより挟着されて締め付けされ、この締め付けにより、架け渡し部材24と荷台部材2は結合され、また、ナット25Fを緩めることで締め付けを解除することにより、架け渡し部材24と荷台部材2との結合は解除される。
【0044】
クランプ具25により架け渡し部材24を、図1に示されているように、それぞれの荷台部材2に結合すると、これらの荷台部材2は架け渡し部材24を介して幅方向に連結されて建材用搬送台車ができあがるため、幅方向に平行に配置された2個の荷台部材2により、建材を載せるための荷台1が形成されることになる。
【0045】
なお、本実施形態では、架け渡し部材24の本数が1本となっているが、架け渡し部材24の本数を、荷台部材2の長さ方向に間隔をあけて配設された2本等の複数本としてもよい。
【0046】
図5及び図6には、以上説明した建材用搬送台車に、例えば、開き戸装置のドア枠や開き戸等の建材31を載せた状態が示されている。建材用搬送台車に建材31を載せるときには、図5及び図6に示されているように、それぞれの荷台部材2に設けられている立て掛け部材8に、これらの立て掛け部材8の実質的な長さ寸法を延長するための延長部材30を取り付けておく。これらの延長部材30は、例えば、立て掛け部材8の材料である丸パイプ材の外周に嵌合できる大径のパイプ材と、このパイプ材の外面に取り付けられたゴムや合成樹脂等による軟質部材などとからなるものであり、延長部材30は立て掛け部材8の上部外周に挿抜可能に配置されるため、立て掛け部材8に対して延長部材30は取り付け、取り外し可能となっている。
【0047】
このように建材用搬送台車に建材31を載せるときに、立て掛け部材8にこの立て掛け部材8の実質的な長さ寸法を延長するための延長部材30を取り付けるようにした理由は、後述するように、建材用搬送台車を収納等するために荷台部材2に対して立て掛け部材8及び支持部材12を折り畳んだときに、この折り畳み後の全長長さを短くし、限られたスペースに容易に収納等できるようにするためである。
【0048】
建材31が製造された工場や、この建材31が用いられて施工される建築現場等において、建材用搬送台車に建材31を載せるときには、図6に示されているように、荷台部材2に鉛直方向から傾いている立設されている立て掛け部材8の傾き側とは反対側において、建材31を2個の荷台部材2によって形成されている荷台1の上に立てて載せるとともに、建材31を鉛直姿勢から倒してこの建材31の上端又は上部を立て掛け部材8又は延長部材30に当接させ、これにより、建材31を立て掛け部材8又は延長部材30に立て掛ける。また、建材31の下端部は、それぞれの荷台部材2に配置されている位置規定部材22に当接させ、これにより、この下端部の位置を位置規定部材22によって規定する。
【0049】
このように建材31の上端又は上部を立て掛け部材8又は延長部材30に当接させて、建材31を立て掛け部材8又は延長部材30に立て掛けても、荷台部材2と立て掛け部材8との間には、立て掛け部材8を、この立て掛け部材8が傾いている側から支持するための支持部材12が配設されているため、建材31が重量物であってもこの重量物を充分に支持することができる。また、荷台部材2における建材31の下端部の位置は位置規定部材22によって規定されているため、この下端部が荷台部材2の長さ方向に滑動してしまうことを防止でき、これにより、建材31を立て掛け部材8又は延長部材30に安定して立て掛けることができる。
【0050】
そして、立て掛け部材8又は延長部材30、あるいは、建材31に掛けた手によって本実施形態に係る建材用搬送台車に押し操作や引き操作を行うことにより、それぞれの荷台部材2の下部に設けられている走行輪3が回転し、建材31が製造された工場や、この建材31が用いられて施工される建築現場等において、建材31を軽快に搬送することができる。
【0051】
図7には、図5及び図6の建材31よりも幅寸法が大きい建材32を建材用搬送台車に載せたときを示す。このように幅寸法が大きい建材32を2個の荷台部材2の上に載せる際には、これらの荷台部材2に設けられているクランプ具25のうち、少なくとも一方のクランプ具25による架け渡し部材24の締め付け結合を解除し、この後に、締め付け結合が解除されたクランプ具25を備えている荷台部材2を架け渡し部材24に沿って移動させ、これにより、2個の荷台部材2の間隔を、建材32の幅寸法と対応した大きさに調整し、次いで、締め付け結合が解除されていたクランプ具25の再度締め付け結合を行い、このクランプ具25を備えている荷台部材2と架け渡し部材24とを結合する。
【0052】
以上説明したように本実施形態に係る建材用搬送台車では、荷台1が幅方向に配置された2個の荷台部材2により構成され、走行輪3がそれぞれの下部に設けられているこれらの荷台部材2に幅方向が長さ方向となっている架け渡し部材24が架け渡され、2個の荷台部材2のうち、少なくとも1個の荷台部材2と架け渡し部材24とが結合可能及び結合解除可能となっていて、架け渡し部材24との結合が解除された荷台部材2の配置位置が、この架け渡し部材24の長さ方向に変更されることにより、2個の荷台部材2の幅方向の間隔が調整されて荷台1の幅寸法が調整されるようになっているため、本実施形態に係る建材用搬送台車を幅寸法が異なる種々の建材に適用することができて、これらの建材を搬送できるようになる。
【0053】
図8には、図5及び図6の建材31や図7の建材32よりも高さ寸法が大きい建材33を建材用搬送台車に載せたときを示す。このように高さ寸法が大きい建材33を2個の荷台部材2の上に載せる際には、前述した止めピン部材9による荷台部材2と立て掛け部材8の下端部との連結位置を、荷台部材2の長さ方向に変更する。すなわち、止めピン部材9の小径軸部9Bを挿通させることができる孔は、前述したように荷台部材2の側壁部2Bでは、この荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個7A~7D設けられ、荷台部材2の内部に固定配置されている受け部材5の立上り部5B,5Cでも、荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個6A~6D設けられているため、立て掛け部材8の下端部を荷台部材2に連結する位置を、荷台部材2と支持部材12とのボルト13による連結位置から調整することができるため、上記の変更作業を行える。図8では、止めピン部材9の小径軸部9Bを挿通させる孔を、孔7A~7Dでは、孔7Cとし、孔6A~6Dでは、孔6Cとし、これにより、止めピン部材9による荷台部材2と立て掛け部材8の下端部との連結位置を、図5図7の場合よりも、ボルト13による荷台部材2と支持部材12との連結位置から遠い位置としている。
【0054】
また、図8では、ボルト19により支持部材12の上端部12Eを立て掛け部材8に連結する位置も立て掛け部材8の長さ方向に変更している。すなわち、立て掛け部材8には、前述したように、立て掛け部材8の長さ方向の間隔をあけて複数個の孔18A~18Dが設けられ、これにより、ボルト19によって支持部材12の上端部12Eを立て掛け部材8に連結する位置を立て掛け部材8の長さ方向に調整することができるようになっているため、図8では、これらの孔18A~18Dのうち、孔18Bにボルト19の軸部を挿通することにより、ボルト19により支持部材12の上端部12Eを立て掛け部材8に連結する位置を、図5図7の場合よりも、立て掛け部材8における高位の位置としている。
【0055】
これにより、上端又は上部が立て掛け部材8又は延長部材30に当接して鉛直方向から傾いてそれぞれの荷台部材2の上に載せられる建材33を、図5図7の場合よりも、鉛直方向からの傾き角度を大きくして荷台部材2の上に載せることができ、このため、高さ寸法の大きい建材33でも有効に対処できるようになる。
【0056】
さらに、図8では、それぞれの荷台部材2に配置される位置規定部材22の配置位置も変更されている。すなわち、位置規定部材22は、前述したように、荷台部材2の一対の上面部2D,2Eに形成されている切り込み部23に板状部材22Aが挿入されることで荷台部材2に配置されており、この切り込み部23は、荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個23A~23C設けられているため、立て掛け部材8からの位置規定部材22の配置位置を、板状部材22Aを挿入する切り込み部23を選択することにより変更することができる。図8では、板状部材22Aを、切り込み部23A~23Cのうち、切り込み部23Cに挿入することにより、立て掛け部材8からの位置規定部材22の配置位置を、図5図7の場合よりも、遠い位置としている。そして、この位置規定部材22に建材33の下端部を当接させ、これにより、この下端部が荷台部材2に沿って滑動することを防止している。
【0057】
これにより、高さ寸法の大きい建材33に対して一層有効に対処できるようになる。
【0058】
図9は、本実施形態に係る搬送台車が、この建材用搬送台車を収納等する際に、折り畳むことができるようになっていることを示している。この折り畳みを行う際には、それぞれの立て掛け部材8から前述した延長部材30を取り外し、また、位置規定部材22を荷台部材2から取り外しておく。さらに、図2図6図8などで示したボルト19の軸部を、図2に示されているように、立て掛け部材8に設けた孔18Cに挿通し、この孔18Cの位置において、立て掛け部材8と支持部材12の上端部12Eとを連結しておく。次いで、荷台部材2に配置されている止めピン部材9の引き抜きを行い、これにより、止めピン部材9による立て掛け部材8の下端部と荷台部材2との連結を解除し、そして、立て掛け部材8を、この立て掛け部材8と支持部材12の上端部12Eとを連結しているボルト19を中心に図9の矢印Aの方向に回動させるとともに、支持部材12を、この支持部材12の下端部12Aと荷台部材2とを連結しているボルト13を中心に図9の矢印Bの方向に回動させる。
【0059】
このようにしたときの状態が、図9のS10-S10線断面図である図10に示されている。支持部材12の上面部12Bは、荷台部材2の一対の上面部2D,2Eの上に乗り、支持部材12の一対の垂下部12C,12Dは、荷台部材2の一対の側壁部2B,2Cの外側に嵌合している。
【0060】
このときには、前述したように、支持部材12の垂下部12Cに設けられている孔20と、ボルト13の軸部を挿通するために支持部材12に設けられている孔14との間の距離は、ボルト13の軸部を挿通するために荷台部材2に設けられている図3(A)(B)の孔15と、この荷台部材2に設けられている孔7Dとの間の距離と同じであるため、孔20の位置と孔7Dの位置は、一致している。さらに、このときには、前述したように、ボルト19の軸部が挿通されている立て掛け部材8の孔18Cと、支持部材12の垂下部12Cの孔20との間の距離は、それぞれが立て掛け部材8に形成されている孔18Cと孔18Dとの間の距離と同じであるため、孔20,7Dの位置と孔18Dの位置は、一致している。また、孔7Dの位置は、前述したように、荷台部材2の内部に固定配置された受け部材5の一対の立上り部5B,5Cに荷台部材2の長さ方向の間隔をあけて複数個設けられている孔6A~6Dのうち、孔6Dの位置と一致しているため、孔20と孔7Dと孔6Dと孔18Dのそれぞれの位置は、一致していることになる。
【0061】
このため、図10に示されているように、止めピン部材9の小径軸部9Bをこれらの孔20と孔7Dと孔6Dと孔18Dに挿通することができ、この挿通により、荷台部材2に立て掛け部材8と支持部材12とが止めピン部材9により連結されることになる。
【0062】
そして、このときには、立て掛け部材8と支持部材12は、荷台部材2に対してこの荷台部材2と平行になった状態で折り畳まれており、そして、荷台部材2と立て掛け部材8と支持部材12は、止めピン部材9により連結一体化されている。
【0063】
次いで、荷台部材2と架け渡し部材24とを結合するためにそれぞれの荷台部材2に設けられているクランプ具25による架け渡し部材24の締め付け結合を解除する。これより、本実施形態に係る建材用搬送台車の主要な部分が、2個の荷台部材2と1本の架け渡し部材24とに分解されることになり、これらと延長部材30と位置規定部材22とを収納スペース等に持ち運んで保管等を行う。なお、支持部材12には前述した把持部21が設けられているため、立て掛け部材8と支持部材12が折り畳まれている荷台部材2の持ち運びを、この把持部21を把持することにより容易に行える。また、このときの立て掛け部材8からは延長部材30が取り外されているため、立て掛け部材8と支持部材12が平行となって折り畳まれた荷台部材2についての立て掛け部材8及び支持部材12を含む全長の長さ寸法をそれだけ短縮することができるようになり、このため、上記収納スペース等での保管を一層容易に行える。
【0064】
そして、収納スペース等から取り出して本実施形態に係る建材用搬送台車を組み立てることは、以上説明した作業とは逆の作業を実施することにより行える。
【0065】
以上説明した実施形態では、位置規定部材22は荷台部材2に取り付け、取り外し可能に配置されていたが、この位置規定部材は荷台部材2に固定配置してもよい。そして、荷台部材2に固定配置する位置規定部材を幅方向に分割されたものとすることにより、荷台部材2に立て掛け部材8が折り畳まるときに、この立て掛け部材8が位置規定部材と干渉することを防止できるようになる。
【0066】
また、前記実施形態では、立て掛け部材8に、この立て掛け部材8の実質的な長さ寸法を延長するための延長部材30を立て掛け部材8に取り外し可能に取り付けたが、立て掛け部材の長さ寸法を、延長部材を取り付けたときと同様の長さ寸法とし、延長部材を省略してもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、荷台部材2の個数は2個であったが、この個数は、荷台に載せられる建材の重量が重い等の場合には、3個以上としてもよい。このように荷台部材の個数を3個以上とした場合でも、それぞれの荷台部材を幅方向に移動可能としたり、配置位置が固定された1個の荷台部材に対し、他の荷台部材を幅方向に移動可能とすることにより、荷台の幅寸法を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、開き戸装置のドア枠や開き戸等の建材を工場や建築現場等で搬送するために利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 荷台
2 荷台部材
3 走行輪
8 立て掛け部材
9 止めピン部材
30 手を掛けるための部材ともなっている延長部材
31,32,33 建材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10