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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20221128BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221128BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20221128BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20221128BHJP
   H02M 7/48 20070101ALN20221128BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 321Z
H01L23/48 Q
H02M7/48 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021122105
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八田 英之
(72)【発明者】
【氏名】木ノ内 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中田 隼人
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-252956(JP,A)
【文献】特開2009-004800(JP,A)
【文献】特開2012-195454(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112086420(CN,A)
【文献】特開平03-257950(JP,A)
【文献】特開2021-125870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/60
H01L 23/48
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の第一面及び前記第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、前記半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが前記半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部と、を備え、
前記第一面に、2つ以上の前記応力印加部が設けられ、
前記第二面に、1つ以上の前記応力印加部が設けられ、
前記第一面に設けられた2つ以上の前記応力印加部は、前記第一面に平行な第一方向に並べて配置され、
前記第一面に垂直な方向にみて、前記第二面に設けられた1つ以上の前記応力印加部は、前記第一面に設けられた2つ以上の前記応力印加部における前記第一方向の一方側の端部と前記第一方向の他方側の端部との間に配置され、
前記応力印加部は、温度変化に伴った前記応力印加部の熱収縮または熱膨張により、前記半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、
前記半導体スイッチング素子は、前記圧縮応力又は前記引張応力の大きさが増加するに従って、前記半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下する半導体モジュール。
【請求項2】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の第一面及び前記第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、前記半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが前記半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部と、を備え、
前記第一面に、2つの前記応力印加部が設けられ、
前記第二面に、1つの前記応力印加部が設けられ、
前記第一面に設けられた2つの前記応力印加部は、前記第一面に平行な第一方向に間隔を空けて配置され、
前記第一面に垂直な方向にみて、前記第二面に設けられた1つの前記応力印加部は、前記第一面に設けられた前記第一方向の一方側の前記応力印加部における前記第一方向の一方側の端部と、前記第一面に設けられた前記第一方向の他方側の前記応力印加部における前記第一方向の他方側の端部との間に配置され
前記応力印加部は、温度変化に伴った前記応力印加部の熱収縮または熱膨張により、前記半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、
前記半導体スイッチング素子は、前記圧縮応力又は前記引張応力の大きさが増加するに従って、前記半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下する半導体モジュール。
【請求項3】
半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の第一面及び前記第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、前記半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが前記半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部と、を備え、
前記応力印加部は、前記第一面及び前記第二面の双方に設けられ、
前記第一面に設けられた前記応力印加部における、前記半導体スイッチング素子の側とは反対側の部分に接続されたバスバーと、
前記第二面に設けられた前記応力印加部における、前記半導体スイッチング素子の側とは反対側の部分に接続された放熱部材と、を備え、
前記応力印加部は、温度変化に伴った前記応力印加部の熱収縮または熱膨張により、前記半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、
前記半導体スイッチング素子は、前記圧縮応力又は前記引張応力の大きさが増加するに従って、前記半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下する半導体モジュール。
【請求項4】
前記第一面に設けられた前記応力印加部と前記バスバーとは同じ材料からなり、前記第一面に設けられた前記応力印加部と前記バスバーとは一体化されている請求項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
記第二面に設けられた前記応力印加部における、前記半導体スイッチング素子の側とは反対側の部分に接続された放熱部材を備えた請求項1または2に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記半導体スイッチング素子と前記応力印加部とは、接合層により互いに滑らないように接合されている請求項1からのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記半導体スイッチング素子と前記応力印加部とは、当接している請求項1からのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記半導体スイッチング素子は、主たる材料が珪素よりも硬い化合物半導体である請求項1からのいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
板状に形成され、主たる材料が炭化珪素からなる導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の第一面及び前記第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、前記半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが前記半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部と、
前記半導体スイッチング素子の前記第一面の側に接続されたバスバーと、
板状に形成され、前記半導体スイッチング素子の前記第二面に接合層を介して接合され、銅からなり、板面の外形が前記半導体スイッチング素子よりも大きい放熱部材と、を備え、
前記応力印加部は、温度変化に伴った前記応力印加部の熱収縮または熱膨張により、前記半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、
前記半導体スイッチング素子は、前記圧縮応力又は前記引張応力の大きさが増加するに従って、前記半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下し、
前記放熱部材の前記第二面に接合された部分は、前記第二面に設けられた前記応力印加部であり、
前記半導体スイッチング素子の厚みは200μm以下で、前記放熱部材の厚みは1mm以上である導体モジュール。
【請求項10】
複数の前記半導体スイッチング素子が、前記接合層を介して前記放熱部材の同じ面に接合されている請求項に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスの分野においては、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、及びインバータなどの電力変換装置が用いられている。電力変換装置は、半導体スイッチング素子のスイッチング動作により電力を変換する半導体モジュールを備える。パワー半導体からなる半導体スイッチング素子は、例えばMOSFET(金属酸化膜型電界効果トランジスタ、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、Insulated Gate Bipolar Transistor)である。これらは、一般的にゲート、ソース、ドレイン(あるいはゲート、エミッタ、コレクタ)の3つの電極を有する。半導体スイッチング素子は、ゲートに印加する電圧であるゲート電圧を変化させることにより、ソース(エミッタ)とドレイン(コレクタ)との間に流れる大電流を制御する。
【0003】
半導体スイッチング素子において、ソース-ドレイン間(エミッタ-コレクタ間)に予め定めた一定値以上の電流を流すために必要なゲート電圧を、閾値電圧(Threshold Voltage:Vth)と呼ぶ。一般的に、閾値電圧は温度に対して負の依存性を示す。すなわち、半導体スイッチング素子の温度が上昇するにしたがって、閾値電圧は低下する。反対に、半導体スイッチング素子の温度が低下すると、閾値電圧は増大する。閾値電圧が増大すると、半導体スイッチング素子のオン抵抗(チャネル抵抗)が増大するだけでなく、半導体スイッチング素子のスイッチング動作時にターンオフ速度が早くなり、ターンオフサージ電圧も増大する。オン抵抗の増大によって定常損失が増えると、半導体スイッチング素子の発熱が抑えられなくなる。また、ターンオフサージ電圧が増大すると、半導体スイッチング素子の定格電圧を越えることがある。これらを抑制するために、半導体スイッチング素子の設計において、半導体スイッチング素子の通電面積を大きくすること、半導体スイッチング素子の定格電圧を高めに設定することで対処している。
【0004】
半導体スイッチング素子の通電面積を大きくした場合、半導体スイッチング素子1個あたりの材料費が高くなるため、半導体モジュールのコストが増加する。また、内包する半導体スイッチング素子のサイズが大きくなるので、半導体モジュールのサイズが大きくなる。半導体スイッチング素子の定格電圧を高めに設定した場合、耐圧保持層を厚く形成するなど半導体スイッチング素子のプロセスのコストが増加する。また、耐圧保持層の厚みの増大に伴って半導体スイッチング素子のオン抵抗も増大するため、発熱を抑える為に必要な半導体スイッチング素子の面積が大きくなるので、半導体スイッチング素子のコストが増加し、半導体モジュールのサイズが大きくなる。このように、半導体スイッチング素子の閾値電圧が負の温度特性を有することで、半導体モジュールのコストの増加、及びサイズの増大を招くという課題があった。
【0005】
上述した課題に対し、ゲート駆動回路に内蔵されゲート駆動速度に影響する抵抗を、素子温度毎に可変するスイッチング回路を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。開示された技術では、ゲート駆動回路内の抵抗を切り替えてターンオフサージ電圧の増大を抑制することで、半導体スイッチング素子の定格電圧の増大を抑制できるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-199700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1における半導体電力変換装置の構成では、半導体スイッチング素子の温度によってゲート駆動回路内の抵抗を切り替えられるので、ターンオフサージ電圧の増大を抑制することができる。しかしながら、半導体スイッチング素子の温度によってゲート駆動回路内の抵抗を切り替える場合、半導体スイッチング素子の温度をモニタしてゲート駆動回路の抵抗値を制御する必要があるため、追加する部品が多数必要なので、半導体モジュールのコストが増加すると共に、半導体モジュールが大型化するという課題があった。また、制御の複雑化、及び故障のパターンの増大に対応するために、半導体モジュールの製造に係るコストが増加するという課題があった。
【0008】
そこで、本願は、低温でのオン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制した、小型で安価な半導体モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される半導体モジュールは、半導体スイッチング素子と、半導体スイッチング素子の第一面及び第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部とを備え、第一面に、2つ以上の応力印加部が設けられ、第二面に、1つ以上の応力印加部が設けられ、第一面に設けられた2つ以上の応力印加部は、第一面に平行な第一方向に並べて配置され、第一面に垂直な方向にみて、第二面に設けられた1つ以上の応力印加部は、第一面に設けられた2つ以上の応力印加部における第一方向の一方側の端部と第一方向の他方側の端部との間に配置され、応力印加部は、温度変化に伴った応力印加部の熱収縮または熱膨張により、半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、半導体スイッチング素子は、圧縮応力又は引張応力の大きさが増加するに従って、半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下するものである。



【発明の効果】
【0010】
本願に開示される半導体モジュールによれば、半導体スイッチング素子の第一面及び第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部を備え、応力印加部は温度変化に伴った応力印加部の熱収縮または熱膨張により、半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、半導体スイッチング素子は圧縮応力又は引張応力の大きさが増加するに従って、半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下するため、オン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制できるので、半導体スイッチング素子の面積、及び半導体スイッチング素子の定格電圧を低減でき、小型で安価な半導体モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る半導体モジュールの外観の概略を示す平面図である。
図2図1のA-A断面位置で切断した半導体モジュールの概略を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体モジュールの要部を示す平面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体モジュールの要部を示す別の平面図である。
図5】実施の形態1に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子の閾値電圧の温度特性の一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子に印加される電圧波形の一例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子に生じる圧縮応力を模式的に説明する図である。
図8】実施の形態1に係る別の半導体モジュールの要部を示す平面図である。
図9】実施の形態1に係る別の半導体モジュールの要部を示す平面図である。
図10】実施の形態2に係る半導体モジュールの概略を示す断面図である。
図11】実施の形態2に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子のターンオフ時を模擬した等価回路を示す図である。
図12】実施の形態2に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子の閾値電圧の減少量とターンオフ時間の増大量との相関を示す図である。
図13】実施の形態2に係る半導体モジュールの半導体スイッチング素子表面に生じる歪みと閾値電圧の変動量との相関を示す図である。
図14】実施の形態2に係る半導体モジュールの応力印加部の厚みと半導体スイッチング素子表面に生じる歪みとの相関を示す図である。
図15】実施の形態2に係る別の半導体モジュールの概略を示す側面図である。
図16】実施の形態2に係る別の半導体モジュールの要部を示す平面図である。
図17】実施の形態2に係る別の半導体モジュールの要部を示す平面図である。
図18】実施の形態3に係る半導体モジュールの概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施の形態による半導体モジュールを図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る半導体モジュール100の外観の概略を示す平面図、図2図1のA-A断面位置で切断した半導体モジュール100の概略を示す断面図、図3は半導体モジュール100の要部を示す平面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて第一面1aの側の半導体スイッチング素子1、応力印加部10a、及びバスバー5(破線)の部分を示す図、図4は半導体モジュール100の要部を示す別の平面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて第二面1bの側の半導体スイッチング素子1、応力印加部10b、及び応力印加部10a(破線)の部分を示す図、図5は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性の一例を示す図、図6は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1に印加される電圧波形の一例を示す図、図7は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1に生じる圧縮応力を模式的に説明する図である。電力変換用の半導体モジュール100は、主に所望の電力を直流ないしは交流電圧に変換する電力変換装置に搭載される。半導体モジュール100は、内部にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子1を有する。半導体スイッチング素子1のスイッチング動作により半導体モジュール100は電力を変換する。
【0014】
<半導体モジュール100>
半導体モジュール100は、図2に示すように、半導体スイッチング素子1、応力印加部10a、10b、放熱部材2、バスバー4、5、及びこれらを覆う絶縁樹脂材6を備える。図2において、絶縁樹脂材6の外形を破線で示す。半導体スイッチング素子1とバスバー5との間に応力印加部10aが設けられ、半導体スイッチング素子1と放熱部材2との間に応力印加部10bが設けられる。バスバー4、5の一部は、図1に示すように、絶縁樹脂材6から外部に露出して設けられる。バスバー4、5は、外部に露出した部分において外部の機器に接続される。バスバー4、5は、例えば、電気伝導度が高い銅から作製される。
【0015】
本実施の形態では、MOSFETまたはIGBTなどのパワー半導体からなる半導体スイッチング素子1において、チャネル領域が形成され、ソース電極(エミッタ電極)が存在する側を半導体スイッチング素子1の表面である第一面1a、ドレイン電極(コレクタ電極)を形成する面を裏面である第二面1bと称する。以下、特に断り書きのない限り、半導体モジュール100の断面図において、半導体スイッチング素子1の第一面1aを図の上側に、第二面1bを図の下側に向けて記載する。半導体スイッチング素子1の主たる材料は、珪素、炭化珪素、もしくは酸化ガリウムなどの半導体材料である。半導体スイッチング素子1には、バンドギャップが珪素よりも広いワイドバンドギャップ半導体である化合物半導体を用いることができる。化合物半導体は、その材料物性に起因して、電力変換装置に使用されるデバイスとして優れていると共に、珪素よりも硬い。また、炭化珪素及び酸化ガリウムからなる半導体スイッチング素子1は、一般的に珪素からなる半導体スイッチング素子1よりも小さい厚みで形成される。
【0016】
バスバー5は、第一面1aに設けられた応力印加部10aにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続される。図3において、バスバー5の外形は、破線で示された部分である。バスバー5と応力印加部10aとは、例えばはんだにより接続される。放熱部材2は、第二面1bに設けられた応力印加部10bにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続される。放熱部材2は、第二面1bに接続された電極としての機能を備え、放熱部材2にバスバー4が接続される。放熱部材2は、例えば、銅から矩形板状に形成されるがこれに限るものではなく、ブロック状であっても構わない。放熱部材2は、半導体スイッチング素子1と熱的かつ電気的に接続され、半導体スイッチング素子1に生じた熱を外部に放出する。また、放熱部材2は、半導体スイッチング素子1を介してバスバー5に生じた熱を外部に放出する。放熱部材2と応力印加部10bとは、例えばはんだにより接続される。
【0017】
<応力印加部10a、10b>
応力印加部は、半導体スイッチング素子1の第一面1a及び第一面1aとは反対側の第二面1bの一方または双方に設けられる。本実施の形態では、図3に示すように、第一面1aに2つの応力印加部10aが設けられる。また、図4に示すように、第二面1bに1つの応力印加部10bが設けられる。第一面1aに設けられた2つの応力印加部10aは、第一面1aに平行な第一方向(図3に示す矢印Bの方向)に間隔を空けて配置される。第一面1aに垂直な方向にみて、第二面1bに設けられた1つの応力印加部10bは、第一面1aに設けられた第一方向の一方側の応力印加部10aにおける第一方向の一方側の端部10a1と、第一面1aに設けられた第一方向の他方側の応力印加部10aにおける第一方向の他方側の端部10a2との間に配置されている。
【0018】
応力印加部10a、10bは、半導体スイッチング素子1の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する。応力印加部10a、10bは、厚みが半導体スイッチング素子1よりも厚い。応力印加部10a、10bは、例えば、1mm以上の厚みを有した銅から作製される。応力印加部10a、10bは、銅に限るものではなく、アルミニウムなど他の材料であっても構わない。応力印加部10a、10bが銅である場合、銅からなる応力印加部10a、10bは温度の低下に伴い熱収縮する。応力印加部10aはバスバー5と接続され、応力印加部10bは電極としての機能を備えた放熱部材2と接続されるため、応力印加部10a、10bは、電気伝導度及び熱伝導度に優れた材料であることが望ましい。しかしながら、応力印加部10a、10bは電気伝導度及び熱伝導度に優れた材料に限るものではなく、応力印加部10a、10bを介さずにバスバー5と放熱部材2とが半導体スイッチング素子1に接続される構成でも構わない。
【0019】
このように構成することで、応力印加部10a、10bは、温度変化に伴った応力印加部10a、10bの熱収縮または熱膨張により、半導体スイッチング素子1に圧縮応力または引張応力を生じさせる。図7に示すように、応力印加部10a、10bが熱収縮した場合、半導体スイッチング素子1における第一面1aの側に、2つの矢印Cで示した方向に圧縮応力が生じる。応力印加部10a、10bが熱膨張する場合、半導体スイッチング素子1における第一面1aの側に、引張応力が生じる。
【0020】
半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとは、接合層(図示せず)により互いに滑らないように接合されている。接合層を介して半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとを接続した場合、応力印加部10a、10bから半導体スイッチング素子1へ効率よく応力を加えることができる。また、半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとの剥離が抑制されるので、半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとの熱的な信頼性を向上させることができる。接合層は、例えば、銀粒子あるいは銅粒子などの金属粒子であり、はんだよりも固い材料を用いて形成される。接合層に金属粒子を用いた場合、加熱あるいは加圧もしくは加熱と加圧の双方によって、半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとは接合される。金属粒子のように固い材料を用いた場合、応力印加部10a、10bから半導体スイッチング素子1に印加される応力を固い材料を用いない場合と比較して増すことができる。
【0021】
半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとは、接合層により接合される構成に限るものではない。半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとは、当接している構成でも構わない。例えば圧接により、半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとが当接している場合、応力印加部10a、10bは、半導体スイッチング素子1に応力を加える機能と半導体スイッチング素子1と放熱部材2を接合する機能を備える。半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとが当接している場合、接合層が不要なため、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0022】
半導体スイッチング素子1に圧縮応力または引張応力が生じた場合の効果について説明する。半導体スイッチング素子1において、ソース-ドレイン間(エミッタ-コレクタ間)に予め定めた一定値以上の電流を流すために必要なゲート電圧である閾値電圧(Threshold Voltage:Vth)は、温度に対して負の依存性を示す。図5の実線に示すように、半導体スイッチング素子1の閾値電圧は、温度低下に伴って増大する。閾値電圧が増大すると、半導体スイッチング素子1のオン抵抗(チャネル抵抗)が増大し、ターンオフサージ電圧も増大する。そのため、温度が低下した際の半導体スイッチング素子1に印加される電圧波形は、図6の実線に示すような波形になる。
【0023】
半導体スイッチング素子1は、半導体スイッチング素子1に加わる圧縮応力又は引張応力の大きさが増加するに従って、半導体スイッチング素子1がオンになる閾値電圧が低下する特性を有する。銅からなる応力印加部10a、10bを用いた場合、半導体モジュール100の温度の低下に伴って、応力印加部10a、10bの熱収縮はより顕著になり、半導体スイッチング素子1に生じる圧縮応力もより強大になる。そのため、半導体モジュール100の温度の低下に伴って、半導体スイッチング素子1の閾値電圧を低下させる効果がより大きくなる。
【0024】
図5の実線に示した半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性に、応力が加わった際に閾値電圧が低下する特性を加えた結果の例を、図5に一点鎖線で示す。一点鎖線で示された閾値電圧の温度特性は、応力が加わらない従来の実線で示した特性と比較して傾きが緩やかになる。図5において注目すべき点は、応力が加わった際に図5の実線が並行移動するのではなく、温度T2の閾値電圧を起点に温度特性の傾きが小さくなる点である。この特性により、高温時に必要な閾値電圧を保持しつつ、低温での閾値電圧の増大を抑制することができる。
【0025】
図6の実線で示した温度が低下した際の半導体スイッチング素子1に印加される電圧波形に加えて、応力が加わった温度T1における電圧波形の結果の例を一点鎖線で図6に示す。低温での閾値電圧の増大が抑制されるので、図6の一点鎖線に示すように、時間t1において低温での半導体スイッチング素子1の閾値電圧の増大によるターンオフサージ電圧の増大及びターンオフサージ速度の増大を抑制することができる。また、閾値電圧の増大を抑制できることから、オン抵抗の増大も抑制することができる。よって、半導体スイッチング素子1の設計において、低温でのオン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を回避するために半導体スイッチング素子1の通電面積を大きくすること、及び半導体スイッチング素子1の定格電圧を高めに設定することが不要になり、半導体スイッチング素子1の面積を低減することができ、半導体スイッチング素子1の定格電圧を低減することができる。半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性を緩和することで、半導体スイッチング素子1の面積、及び半導体スイッチング素子1の定格電圧を低減できるので、低温でのオン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制した、小型で安価な半導体モジュールを得ることができる。
【0026】
閾値電圧の温度特性は、半導体スイッチング素子1の第二面1bではなく、チャネル領域の形成された第一面1aへの応力印加具合に影響されると考えている。そのため、第一面1aに応力を生じさせるように、応力印加部10a、10bを配置するのが望ましい。第一面1aに応力を生じさせる応力印加部10a、10bの配置、大きさ、数は、本実施の形態の構成に限るものではないが、本実施の形態の構成にした場合、少ない個数の応力印加部10a、10bで第一面1aへ応力を効率よく加えることができる。また、応力印加部10a、10bの個数が少ないので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。なお、応力印加部は、第一面1aまたは第二面1bの何れか一方にのみ設けても構わない。第一面1aまたは第二面1bの何れか一方にのみ応力印加部を設けた場合、部品点数が減るため、半導体モジュール100を小型化でき、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0027】
また、図8に示すように、さらに複数の応力印加部10aを設けても構わない。図8は、実施の形態1に係る別の半導体モジュール100の要部を示す平面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて第一面1aの側の半導体スイッチング素子1、応力印加部10a、及びバスバー5(破線)の部分を示す図である。このように構成することで、第一面1aに加わる応力の大きさ、及び応力の加わる領域を変化させることができるので、所望の閾値電圧の温度特性を容易に得ることができる。本実施の形態では、応力印加部10aの数を増やす例のみを示したがこれに限るものではなく、応力印加部10bの数を増やして構成しても構わない。また、応力印加部の数だけでなく、応力印加部の配置、及び大きさを変化させることで第一面1aに加わる応力の大きさ、及び応力の加わる領域を変えても構わない。
【0028】
また、図9に示すように、第一面1aに設けられた応力印加部10aとバスバー5とは同じ材料からなり、第一面1aに設けられた応力印加部10aとバスバー5とは一体化されていても構わない。図9は、実施の形態1に係る別の半導体モジュール100の要部を示す平面図で、一体化された応力印加部10aとバスバー5を半導体スイッチング素子1の側から示した図である。応力印加部10aとバスバー5とを形成する材料は、例えば銅である。図9に示した構成では、応力印加部10aとバスバー5とを同じ幅で形成している。応力印加部10aとバスバー5とを同じ幅で形成することで、一体化した応力印加部10aとバスバー5の生産性を向上させることができる。このように応力印加部10aとバスバー5とを同じ材料で一体化して設けた場合、半導体モジュール100を構成する部品数が減り、応力印加部10aとバスバー5とを接合する工程が削減されるので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0029】
半導体スイッチング素子1には、主たる材料が珪素よりも硬い化合物半導体である炭化珪素、酸化ガリウムなどを用いることができる。化合物半導体は珪素よりも硬いため、半導体スイッチング素子1に応力印加部10a、10bから加わる応力を大きくすることができる。応力印加部10a、10bから半導体スイッチング素子1に加わる応力が大きくなるので、閾値電圧の温度特性が緩やかになる効果をより顕在化することができる。また、炭化珪素及び酸化ガリウムなどの化合物半導体は珪素よりも小さい厚みで形成されるため、半導体スイッチング素子1が化合物半導体である場合、半導体スイッチング素子1に応力印加部10a、10bから加わる応力を大きくすることができる。
【0030】
以上のように、実施の形態1による半導体モジュール100において、半導体スイッチング素子1の第一面1a及び第一面1aとは反対側の第二面1bの一方または双方に設けられ、半導体スイッチング素子1の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが半導体スイッチング素子1よりも厚い応力印加部を備え、応力印加部は温度変化に伴った応力印加部の熱収縮または熱膨張により、半導体スイッチング素子1に圧縮応力または引張応力を生じさせ、半導体スイッチング素子1は圧縮応力又は引張応力の大きさが増加するに従って、半導体スイッチング素子1がオンになる閾値電圧が低下するため、オン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制できるので、半導体スイッチング素子1の面積、及び半導体スイッチング素子1の定格電圧を低減でき、小型で安価な半導体モジュール100を得ることができる。
【0031】
第一面1aに2つ以上の応力印加部10aが設けられ、第二面1bに1つ以上の応力印加部10bが設けられ、第一面1aに設けられた2つ以上の応力印加部10aは第一面に平行な第一方向に並べて配置され、第一面1aに垂直な方向にみて、第二面1bに設けられた1つ以上の応力印加部10bが、第一面1aに設けられた2つ以上の応力印加部10aにおける第一方向の一方側の端部10a1と第一方向の他方側の端部10a2との間に配置されている場合、第一面1aに応力を生じさせるように応力印加部10a、10bを配置させることができる。また、応力印加部の数、配置、及び大きさを変化させることで第一面1aに加わる応力の大きさ、及び応力の加わる領域を容易に変えることができるため、所望の閾値電圧の温度特性を容易に得ることができる。
【0032】
第一面1aに2つの応力印加部10aが設けられ、第二面1bに1つの応力印加部10bが設けられ、第一面1aに設けられた2つの応力印加部10aは第一面1aに平行な第一方向に間隔を空けて配置され、第一面1aに垂直な方向にみて、第二面1bに設けられた1つの応力印加部10bが、第一面1aに設けられた第一方向の一方側の応力印加部10aにおける第一方向の一方側の端部10a1と第一面1aに設けられた第一方向の他方側の応力印加部10aにおける第一方向の他方側の端部10a2との間に配置されている場合、少ない個数の応力印加部10a、10bで第一面1aへ応力を効率よく加えることができる。また、応力印加部10a、10bの個数が少ないので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0033】
応力印加部が第一面1a及び第二面1bの双方に設けられ、第一面1aに設けられた応力印加部10aにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続されたバスバー5と、第二面1bに設けられた応力印加部10bにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続された放熱部材2とを半導体モジュール100が備えた場合、放熱部材2はバスバー5及び半導体スイッチング素子1に生じた熱を外部に容易に放出することができる。また、第一面1aに設けられた応力印加部10aとバスバー5とが同じ材料からなり、第一面1aに設けられた応力印加部10aとバスバー5とが一体化されている場合、半導体モジュール100を構成する部品数が減り、応力印加部10aとバスバー5とを接合する工程が削減されるため、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0034】
半導体スイッチング素子1と応力印加部とが接合層により互いに滑らないように接合されている場合、応力印加部10a、10bから半導体スイッチング素子1へ効率よく応力を加えることができると共に、半導体スイッチング素子1と応力印加部10a、10bとの熱的な信頼性を向上させることができる。また、接合層がはんだよりも硬い金属粒子を用いて形成されている場合、応力印加部10a、10bから半導体スイッチング素子1に印加される応力を増すことができる。
【0035】
半導体スイッチング素子1と応力印加部とが当接している場合、接合層が不要なため、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。また、半導体スイッチング素子1の主たる材料が珪素よりも硬い化合物半導体である場合、半導体スイッチング素子1に応力印加部10a、10bから加わる応力を大きくすることができるので、閾値電圧の温度特性が緩やかになる効果をより顕在化することができる。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2に係る半導体モジュール100について説明する。図10は実施の形態2に係る半導体モジュール100の概略を示す断面図で、図1のA-A断面位置と同等の位置で切断した図、図11は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1のターンオフ時を模擬した等価回路を示す図、図12は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1の閾値電圧の減少量とターンオフ時間の増大量との相関を示す図、図13は半導体モジュール100の半導体スイッチング素子1の表面に生じる歪みと閾値電圧の変動量との相関を示す図、図14は半導体モジュール100の応力印加部の厚みと半導体スイッチング素子1の表面に生じる歪みとの相関を示す図である。実施の形態2に係る半導体モジュール100は、実施の形態1とは異なり、放熱部材である放熱板2aの第二面1bに接合された部分が、第二面1bに設けられた応力印加部10bとして構成されている。
【0037】
<半導体モジュール100>
半導体モジュール100は、図10に示すように、半導体スイッチング素子1、放熱部材である放熱板2a、バスバー4、5、半導体スイッチング素子1と放熱板2aとを接合する接合層3、及びこれらを覆う絶縁樹脂材6を備える。図10において、絶縁樹脂材6の外形を破線で示す。半導体スイッチング素子1は、板状に形成され、主たる材料が炭化珪素からなるパワー半導体である。バスバー5は、半導体スイッチング素子1の第一面1aの側に、例えばはんだにより接続される。放熱板2aは板状に形成され、半導体スイッチング素子1の第二面1bに接合層3を介して接合され、銅からなり、板面の外形が半導体スイッチング素子1よりも大きい。放熱板2aの第二面1bに接合された部分は、第二面1bに設けられた応力印加部10bである。
【0038】
放熱板2aは、第二面1bに接続された電極としての機能を備え、放熱板2aにバスバー4が例えばはんだにより接続される。放熱板2aは、半導体スイッチング素子1と熱的かつ電気的に接続され、半導体スイッチング素子1に生じた熱を外部に放出する。また、放熱板2aは、半導体スイッチング素子1を介してバスバー5に生じた熱を外部に放出する。バスバー4、5の一部は、絶縁樹脂材6から外部に露出して設けられる。バスバー4、5は、外部に露出した部分において外部の機器に接続される。バスバー4、5は、例えば、電気伝導度が高い銅から作製される。半導体スイッチング素子1の厚みは200μm以下で、放熱板2aの厚みは1mm以上である。これらの寸法構成とする理由は後述する。
【0039】
このように構成することで、実施の形態1と同様に、温度の低下に伴った応力印加部10bの熱収縮を利用して半導体スイッチング素子1に圧縮応力(図10の破線矢印)を印加することができる。圧縮応力の印加により、半導体スイッチング素子1の閾値電圧を低下させることができる。閾値電圧を低下により、オン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制できるので、半導体スイッチング素子1の面積、及び半導体スイッチング素子1の定格電圧を低減でき、小型で安価な半導体モジュールを得ることができる。また、実施の形態1に比べて部品数が少なく済むため、半導体モジュール100をさらに小型化することができる。また、製造工程が削減されるため、製造に係るコストが低減されるので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。
【0040】
<半導体スイッチング素子1及び放熱板2aの厚み>
半導体スイッチング素子1の厚みを200μm以下、放熱板2aの厚みを1mm以上にする理由について説明する。近年、半導体スイッチング素子1の主たる材料として、従来の珪素から炭化珪素への置き換えを検討する動きが盛んである。炭化珪素は、熱伝導率、絶縁破壊電界などのパワー半導体材料としての物性値が珪素よりも優れている。そのため、炭化珪素は、より低損失で、小型な電力変換装置の実現に向けて有望視されている半導体材料である。また、半導体スイッチング素子1の厚みは、薄いほど抵抗が小さくなる。そのため、炭化珪素に限らず、電力変換装置の設計において半導体スイッチング素子1の厚みを極力薄くする傾向にある。特に炭化珪素は絶縁破壊電界が珪素よりも高いため、耐圧保持のために必要な層の厚みを珪素に比べて薄くできる。以上のことから、炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1の厚みは一般的に200μm以下であることが多い。本実施の形態において、主たる材料が炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1の厚みを200μmとして構成した場合について述べる。
【0041】
半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性が緩和され、低温での閾値電圧の増大が抑制されれば、半導体スイッチング素子1のターンオフ時のスイッチング時間は増大する。そのため、ターンオフ時の電流の時間変化量が低下して、回路の寄生インダクタンスと電流の時間変化量に依存して発生するサージ電圧は低下する。半導体スイッチング素子1の閾値電圧の変動に対するスイッチングターンオフ時間は、図11に示した等価回路においては、ゲート容量Cgからの放電プロセスと見なせる。図11において、ゲート抵抗をRg、ゲート容量をCg、放電開始時にコンデンサに印加されている電圧をVgp、ゲート負バイアスをVgnとした場合、等価回路におけるコンデンサ電圧の時間変化V(t)は、式(1)で示される。
【数1】
スイッチング時のターンオフ時間は、コンデンサ電圧がミラー期間の終わりの電圧Vmから閾値電圧Vthまで落ち込む放電時間なので、式(2)で示される。
【数2】
【0042】
スイッチング時のターンオフ時間は、式(2)から、閾値電圧の変動に対して非線形に変動することが分かる。図12は、炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1の閾値電圧の変化割合に対する、スイッチングターンオフに要する時間の変化割合の関係の例を示している。半導体スイッチング素子1の閾値電圧が10%以上低下すると、ターンオフ時間が急峻に増大している。すなわち、ターンオフサージ電圧の増大を有意に抑制するためには、閾値電圧を10%以上低下させることが有効である。
【0043】
図13は、炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1の表面である第一面1aに生じる歪み量と、半導体スイッチング素子1の閾値電圧の変動割合との関係を示している。半導体スイッチング素子1の第一面1aとは、上述したように、MOSFETにおいてのソース電極、及び閾値電圧を決定する要因となるチャネル領域が形成される側である。筆者らは、図13に示すように、半導体スイッチング素子の第一面1aに生じる歪み量が増えるにつれて、半導体スイッチング素子1の閾値電圧が低下することを確認している。半導体スイッチング素子1に炭化珪素を用いた場合、閾値電圧を10%低下させるためには、半導体スイッチング素子1の第一面1aに1000×10-6の歪みを発生させる必要があることが図13よりわかる。
【0044】
図14は、200μmの厚みを有した板状の炭化珪素を銅板の上に接合層を介して高温下で接合し、銅板の側とは反対側の炭化珪素の表面にかかる応力による歪み量を、銅板の厚みを変えて計算した結果である。銅板の厚みが増加するほど、炭化珪素の表面に印加される応力が増し、表面に生じる歪み量が増す。閾値電圧を10%変動させるべく、半導体スイッチング素子1の表面に1000×10-6の歪みを発生させるためには、1mm以上の厚みのある銅板を用いて応力印加部10bの部分を有した放熱板2aを形成すればよいことがわかる。
【0045】
以上の考察から、200μmの厚みを有した炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1と、銅からなる応力印加部10bの部分を有した放熱板2aとを備えた半導体モジュール100において、低温でのスイッチングサージ電圧の増大を効果的に抑制するためには、応力印加部10bの部分の厚みを1mm以上に形成することが望ましいといえる。なお、放熱板2aは応力印加部10bの部分が銅であればよく、応力印加部10bの部分を除く他の部分が他の材料で構成されていても構わない。
【0046】
なお、炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1の厚みを200μmとした場合について述べたが、半導体スイッチング素子1の厚みを200μmよりも薄く形成しても構わない。半導体スイッチング素子1の厚みを200μmよりも薄く形成した場合、半導体スイッチング素子1の剛性が低下するので、厚みが200μmの場合と同じ応力を応力印加部10bから半導体スイッチング素子1が受けた時に、半導体スイッチング素子1の表面に生じる歪み量が増す。その結果、低温で閾値電圧が下がる効果が増すので、スイッチング時のターンオフサージ電圧の増大を抑制する効果、及びオン抵抗の増大を抑制する効果をより大きくすることができる。また、半導体スイッチング素子1の厚みを変えず、応力印加部10bの部分の厚みを1mmより大きくしても構わない。応力印加部10bの部分の厚みを1mmより大きくした場合、半導体スイッチング素子1へ印加される応力が増すので、半導体スイッチング素子1の厚みを薄くした場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
<接合層3>
接合層3は、例えば、銀粒子あるいは銅粒子などの金属粒子であり、はんだよりも固い材料を用いて形成される。接合層3に金属粒子のように固い材料を用いた場合、応力印加部10bから半導体スイッチング素子1に印加される応力を、固い材料を用いない場合と比較して増すことができる。接合層3の厚みは、10μmから50μm程度である。
【0048】
接合層3の厚みは可能な限り薄く、かつ線膨張係数が半導体スイッチング素子1に近いものが望ましい。接合層3の厚みが厚いと、応力印加部10bの部分から半導体スイッチング素子1へ伝える応力が緩和されてしまうため、半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性を緩和する効果が薄れてしまう。同様に、半導体スイッチング素子1と接合層3の線膨張係数に差が生じると、応力印加部10bの部分から半導体スイッチング素子1へ伝わる応力が緩和されてしまうため、半導体スイッチング素子1の閾値電圧の温度特性を緩和する効果が薄れてしまう。接合層3により応力印加部10bの部分から半導体スイッチング素子1へ加わる応力が緩和される場合は、より厚みの厚い放熱板2aを用いればよい。厚みの厚い放熱板2aを用いることで、接合層3によって応力が緩和される場合においても、半導体スイッチング素子1に必要量の応力を印加し、所望の閾値電圧の温度特性の緩和効果を得ることができる。
【0049】
半導体スイッチング素子1の第一面1aに垂直な方向に見て、接合層3の外形は、半導体スイッチング素子1の外形よりも大きい、または半導体スイッチング素子1の外形と同じ大きさであることが望ましい。半導体スイッチング素子1の第一面1aに垂直な方向に見て、接合層3が半導体スイッチング素子1の外形よりも小さい領域に形成されていても、本願の効果を得ることはできる。しかしながら、半導体スイッチング素子1の外形以上の大きさで接合層3を形成することにより、応力印加部10bの部分から半導体スイッチング素子1の全体の部分に応力を伝えることができる。そのため、半導体スイッチング素子1の外形以上の大きさで接合層3を形成することで、本願の効果を十分に引き出すことができる。
【0050】
<半導体スイッチング素子1の数>
複数の半導体スイッチング素子1が、接合層3を介して放熱板2aの同じ面に接合されている構成でも構わない。本実施の形態では、図15に示すように、2つの半導体スイッチング素子1が、放熱板2aの同じ面に接合されている例を示す。図15は実施の形態2に係る別の半導体モジュール100の概略を示す側面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて示した図である。大電流を扱う電力変換装置では、半導体スイッチング素子1の製造歩留まりとコストを考慮して、複数の半導体スイッチング素子1を並列に配置して電流量を確保する手法が使われることが多い。大電流化に伴って半導体スイッチング素子1を大きくしすぎると、半導体スイッチング素子1の歩留まりが低下する。そのため、ある程度のサイズの半導体スイッチング素子1を並列に数多く並べて接続したほうが、総コストを抑えることができる。矩形に形成された本実施の形態における半導体スイッチング素子1の外形の大きさは、例えば4mm×4mmである。
【0051】
このように構成することで、一つの放熱板2aに複数の半導体スイッチング素子1を並列させて配置することができ、必要な電流量を確保する際の半導体スイッチング素子1のコストを低減することができる。また、半導体スイッチング素子1のそれぞれに個別に応力印加部を設けるよりも、一つの放熱板2aの上に半導体スイッチング素子1を複数並べて一度に接合したほうが製造工程は削減されるので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。また、放熱板2aの半導体スイッチング素子1のそれぞれに接合された部分が応力印加部10bであるため、複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれにおいて、複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれの閾値電圧の温度特性が緩やかになる効果を得ることができる。なお、接合層3は複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれの直下に設けられる。また、バスバー5は、複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれの第一面1aにある電極に接続して設けられる。
【0052】
図16は実施の形態2に係る別の半導体モジュール100の要部を示す平面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて第一面1aの側の半導体スイッチング素子1、放熱板2a、及び接合層3を示す図である。2つの半導体スイッチング素子1を設ける場合、放熱板2aの表面に発生する応力が最大になる点、すなわち図16における放熱板2aの中心Oを原点として、原点対称な位置に2つの半導体スイッチング素子1を配置しても構わない。このように構成することで、それぞれの半導体スイッチング素子1にかかる応力が均一になるため、それぞれの半導体スイッチング素子1における閾値電圧が均一化される。その結果、スイッチング時の電流の偏りを低減することができるので、半導体スイッチング素子1に流れる最大電流が減少し、ターンオフサージ電圧の増大を抑制する効果をさらに高めることができる。
【0053】
図17は実施の形態2に係る別の半導体モジュール100の要部を示す平面図で、絶縁樹脂材6を取り除いて第一面1aの側の半導体スイッチング素子1、放熱板2a、及び接合層3を示す図である。図17図16に示した半導体スイッチング素子1の配置とは異なり、放熱板2aの原点対称な位置ではない位置に半導体スイッチング素子1を配置した例である。半導体モジュール100におけるバスバー4、5の配線の長さ及び配置などの影響により、それぞれの半導体スイッチング素子1に流れる電流量に偏りが生じることが予め分かっている場合がある。その場合、それぞれの半導体スイッチング素子1に加わる応力を変えることで、それぞれの半導体スイッチング素子1の電流量がバランスするように特定の半導体スイッチング素子1の閾値電圧を多めに低減させる調整が可能になる。これにより、低温でスイッチングした際のターンオフサージ電圧の増大をさらに抑制することができる。
【0054】
以上のように、実施の形態2による半導体モジュール100において、主たる材料が炭化珪素からなる半導体スイッチング素子1と、バスバー5と、半導体スイッチング素子1の第二面1bに接合層3を介して接合され、銅からなり、板面の外形が半導体スイッチング素子1よりも大きい放熱板2aとを備え、放熱板2aの第二面1bに接合された部分が第二面1bに設けられた応力印加部10bであり、半導体スイッチング素子1の厚みが200μm以下で放熱板2aの厚みが1mm以上であるため、半導体スイッチング素子1の低温でのスイッチングサージ電圧の増大を効果的に抑制することができる。
【0055】
接合層3がはんだよりも硬い金属粒子を用いて形成され、半導体スイッチング素子1の第一面1aに垂直な方向に見て、接合層3の外形が半導体スイッチング素子1の外形よりも大きい、または半導体スイッチング素子1の外形と同じ大きさである場合、応力印加部10bの部分から半導体スイッチング素子1の全体の部分に応力を伝えることができるため、半導体スイッチング素子1の低温でのスイッチングサージ電圧の増大をさらに効果的に抑制することができる。
【0056】
複数の半導体スイッチング素子1が、接合層3を介して放熱板2aの同じ面に接合されている場合、半導体スイッチング素子1のそれぞれに個別に応力印加部を設けるよりも、一つの放熱板2aの上に半導体スイッチング素子1を複数並べて一度に接合したほうが製造工程は削減されるので、半導体モジュール100の生産性を向上させることができる。また、放熱板2aの半導体スイッチング素子1のそれぞれに接合された部分が応力印加部10bであるため、複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれにおいて、複数の半導体スイッチング素子1のそれぞれの閾値電圧の温度特性が緩やかになる効果を得ることができる。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態3に係る半導体モジュール100について説明する。図18は実施の形態3に係る半導体モジュール100の概略を示す断面図で、図1のA-A断面位置と同等の位置で切断した図である。実施の形態3に係る半導体モジュール100は、応力印加部10bを設けた点が実施の形態2とは異なっている。また、応力印加部として応力印加部10aを設けずに応力印加部10bのみを設けた点が実施の形態1とは異なっている。
【0058】
応力印加部10bは、半導体スイッチング素子1の第二面1bに1つ以上設けられる。本実施の形態では、1つの応力印加部10bが半導体スイッチング素子1の外形よりも大きい大きさで設けられ、1つの応力印加部10bは1mm以上の厚みを有した銅から作製される。応力印加部10bの形状、材質、及び数はこれに限るものではなく、半導体スイッチング素子1の所望の位置に応力を加えることができれば、他の形状、材質、及び数であっても構わない。応力印加部10bと半導体スイッチング素子1とは、例えば接合層(図示せず)を介して接合される。
【0059】
半導体モジュール100は、第二面1bに設けられた応力印加部10bにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続された放熱部材2を備える。放熱部材2と応力印加部10bとは、例えばはんだにより接続される。放熱部材2は、第二面1bに接続された電極としての機能を備え、放熱部材2にバスバー4が接続される。バスバー5は、半導体スイッチング素子1の第一面1aの側に、例えばはんだにより接続される。本実施の形態では、図2に示した実施の形態1の構成と比較して、応力印加部10aを設けておらず部品点数が少ないので、半導体モジュール100を小型化することができる。
【0060】
実施の形態2では放熱板2aの第二面1bに接合された部分が第二面1bに設けられた応力印加部10bであったが、実施の形態3に示す構成にすることで、応力印加部10bと放熱部材2とを別の部材として設けることができる。そのため、応力印加部10bにおける半導体スイッチング素子1への応力印加による閾値電圧の調整と、放熱部材2における半導体スイッチング素子1の放熱性能とを切り分けて考えることができるので、実施の形態2と比較して、半導体モジュール100の構造設計を容易に行うことができる。例えば、放熱性能は十分である場合、半導体スイッチング素子1の閾値電圧をさらに下げたいのであれば、応力印加部10bの材料または厚みを変えればよい。この場合、放熱部材2の設計変更は不要であり、放熱部材2の厚みを必要最低限に抑えることができるので、半導体モジュール100のコストを下げることができる。
【0061】
本実施の形態において、半導体モジュール100が複数の半導体スイッチング素子1を備える場合、半導体スイッチング素子1のそれぞれに応力印加部10bを設けることができる。そのため、応力印加部10bの厚み及び材料などを半導体スイッチング素子1ごとに変えることで、半導体スイッチング素子1のそれぞれにおいて閾値電圧の変動量を調整することが可能になる。半導体モジュール100におけるバスバー4、5の配線の長さ及び配置などの影響により、それぞれの半導体スイッチング素子1に流れる電流量に偏りが生じることが予め分かっている場合がある。その場合、それぞれの半導体スイッチング素子1に加わる応力を変えることで、それぞれの半導体スイッチング素子1の電流量がバランスするように特定の半導体スイッチング素子1の閾値電圧を多めに低減させる調整が可能となる。これにより、低温でスイッチングした際のターンオフサージ電圧の増大をさらに抑制することができる。
【0062】
以上のように、実施の形態3による半導体モジュール100において、応力印加部10bが第二面1bに1つ以上設けられ、第二面1bに設けられた応力印加部10bにおける、半導体スイッチング素子1の側とは反対側の部分に接続された放熱板2aを備えたため、応力印加部10aを設けておらず部品点数が少ないので、半導体モジュール100を小型化することができる。また、応力印加部10bと放熱部材2とを別の部材として設けることができるため、応力印加部10bによる閾値電圧の調整と放熱部材2による放熱性能とを切り分けて考えることができるので、実施の形態2と比較して、半導体モジュール100の構造設計を容易に行うことができる。
【0063】
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体スイッチング素子、1a 第一面、1b 第二面、2 放熱部材、2a 放熱板、3 接合層、4 バスバー、5 バスバー、6 絶縁樹脂材、10a 応力印加部、10a1 端部、10a2 端部、10b 応力印加部、100 半導体モジュール
【要約】
【課題】低温でのオン抵抗の増大及びターンオフサージ電圧の増大を抑制した、小型で安価な半導体モジュールを得ること。
【解決手段】半導体スイッチング素子と、半導体スイッチング素子の第一面及び第一面とは反対側の第二面の一方または双方に設けられ、半導体スイッチング素子の主たる材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、厚みが半導体スイッチング素子よりも厚い応力印加部と、を備え、応力印加部は、温度変化に伴った応力印加部の熱収縮または熱膨張により、半導体スイッチング素子に圧縮応力または引張応力を生じさせ、半導体スイッチング素子は、圧縮応力又は引張応力の大きさが増加するに従って、半導体スイッチング素子がオンになる閾値電圧が低下する。
【選択図】図2
図1
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