(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】片頭痛の処置における使用のためのラスミジタンとCGRPアンタゴニストとの併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4545 20060101AFI20221128BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221128BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20221128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221128BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A61K31/4545 ZMD
A61K39/395 N
A61P25/06
A61P43/00 121
A61K45/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021122905
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2020530455の分割
【原出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】シーナ・オーロラ
(72)【発明者】
【氏名】カーク・ウィリス・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヘンリー・クリージ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/123654(WO,A1)
【文献】特表2013-532143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0101655(US,A1)
【文献】MARKUS FARKKILA; ET AL,EFFICACY AND TOLERABILITY OF LASMIDITAN, AN ORAL 5-HT1F RECEPTOR AGONIST, FOR THE ACUTE 以下備考,LANCET NEUROLOGY,英国,2012年05月,VOL:11, NR:5,PAGE(S):405 - 413,http://dx.doi.org/10.1016/S1474-4422(12)70047-9,TREATMENT OF MIGRAINE: A PHASE 2 RANDOMISED, PLACEBO-CONTROLLED, PARALLEL-GROUP, DOSE-RANGING STUDY
【文献】Current Opinion in Neurology,2017年,30(3),pp.272-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C07D
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における片頭痛の治療において、カルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項2】
患者における片頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項3】
ラスミジタンまたはカルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不適切に制御された患者における片頭痛の治療において、CGRPアンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項4】
ラスミジタンまたはガルカネズマブ療法単独によって不適切に治療された患者における片頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項5】
治療抵抗性片頭痛に苦しむ患者における片頭痛の治療において、カルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物であって、前記患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置計画に対して不応性であった、医薬組成物。
【請求項6】
治療抵抗性片頭痛に苦しむ患者における片頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物であって、前記患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置計画に対して不応性であった、医薬組成物。
【請求項7】
ガルカネズマブが240mgの初期負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが20~30mgの用量で1日1回投与される、請求項2、4、または6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが20~30mgの用量で1日に1回投与される、請求項2、4、または6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、カルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項10】
患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項11】
ラスミジタンまたはカルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不適切に制御された患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、CGRPアンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項12】
ラスミジタンまたはガルカネズマブ療法単独によって不適切に制御された患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物。
【請求項13】
治療抵抗性頭痛に苦しむ患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、カルシトシン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物であって、前記患者の頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置計画に対して不応性であった、医薬組成物。
【請求項14】
治療抵抗性頭痛に苦しむ患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物であって、前記患者の頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置計画に対して不応性であった、医薬組成物。
【請求項15】
患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられる、20~30mgの単位用量を有するラスミジタンを含む、医薬組成物であって、ガルカネズマブが240mgの初期負荷用量で投与され、続いて
120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが20~30mgの用量で1日1回投与される、医薬組成物。
【請求項16】
患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛から成る群から選択される頭痛の治療において、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおいて用いられるラスミジタンを含む、医薬組成物であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが20~30mgの用量で1日1回投与される、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ラスミジタンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせ、例えば、ガルカネズマブとラスミジタンとの組み合わせ、ならびに片頭痛、特にラスミジタンまたはCGRPアンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された片頭痛の処置のためにその組み合わせを使用する方法に関し、より詳しくは、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に不応性の片頭痛として本明細書で定義される療法抵抗性片頭痛を処置することに関する。
【0002】
片頭痛を含む原発性頭痛障害は、最も一般的な疾患であり、世界的に障害の主な原因である。片頭痛は、世界中の成人の14%超に影響を及ぼしている。片頭痛についての利用可能な処置選択肢は、有効性、忍容性、および患者のアドヒアランスの割合が不十分である。2013 Global Burden of Disease Studyでは、片頭痛は、神経学的障害に起因する障害により失われた全ての年数の半分超を占めていた(New strategies for the treatment and prevention of primary headache disorders,N.M.Schuster & A.M.Rapoport,Nature Reviews Neurology(2016)12,635-650)。片頭痛は、悪心、嘔吐、羞明および音響恐怖症(前兆のない片頭痛)と関連する1~3日間の重度の頭痛の発作、ならびに患者の3分の1においては神経学的前兆症状(前兆のある片頭痛)を典型的に特徴とする(Goadsby P.J.et al.,New England Journal of Medicine 2002;346:257-270)。
【0003】
ラスミジタン、すなわち2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド(化合物I)は、片頭痛の処置のために開発中である選択的で非常に強力な5-HT-1F受容体アゴニストである(例えば、Lasmiditan for the Treatment of Migraine,Capi,M.et al.,Expert Opinion Investigational Drugs,(2017),Vol.26,NO.2,227-234を参照されたい)。
【0004】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、主に後根および三叉神経節、ならびに中枢神経系から生じるC感覚線維およびAd感覚線維に認められる37アミノ酸のペプチドである。CGRPは、三叉神経感覚求心性神経および脊髄三叉神経核から放出される疼痛シグナル伝達神経ペプチドおよび強力な血管拡張薬である。頭痛および片頭痛におけるCGRPの役割は、当技術分野で確立されており、多くの臨床研究が頭痛および片頭痛の処置のための抗CGRP抗体の使用を現に査定中である(例えば、Dodick et al.Lancet Neurolology;13(9):885-892(2014)を参照されたい)。
【0005】
本発明は、ラスミジタンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせ、例えば、ラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせ、および片頭痛を処置するために組み合わせを使用する方法に関する。より詳しくは、本発明は、ラスミジタンまたはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された片頭痛の処置のためのラスミジタンとCGRPアンタゴニストとの組み合わせの使用に関する。より詳しくは、本発明は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に不応性の片頭痛として本明細書で定義される療法抵抗性片頭痛の処置のためのラスミジタンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせの使用に関する。
【0006】
片頭痛患者の管理は、利用可能な急性期の療法および予防的な療法が有効ではないか、または忍容性がほとんどないため、しばしば不十分である。片頭痛発作の急性期の処置は、鎮痛薬、鎮痛薬とカフェイン、エルゴタミン、およびトリプタンとの組み合わせの使用に限定されてきた。(このような薬剤の説明については、例えば、New Therapeutic Approaches for the Prevention and Treatment of Migraine,Diener,H.C.et al.,(2015)Lancet Neurololgy,14:1010-22を参照されたい)。ラスミジタンは、5-HT-1Fを選択的に標的とすることによる、急性期の片頭痛療法の革新的なアプローチを代表する。多くの患者は、ラスミジタンまたはガルカネズマブを単剤で使用する処置により片頭痛の発作をうまく管理することができることになるが、患者の集団はこれらの薬剤のいずれかで個別に片頭痛発作をうまく管理し損ねていることになる。これらの患者は、1か月あたりの片頭痛の日数が続いて、有意に障害となっていることがある。さらに、本明細書で療法抵抗性片頭痛患者と呼ばれる一部の患者は、片頭痛発作をうまく管理し損ねることになり、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に抵抗性である片頭痛に罹患することになる。本明細書で定義する場合、療法耐性片頭痛患者とは、2つ以上の以前の単剤療法および/または二重療法処置投与計画にもかかわらず、1か月あたり3日間以上の片頭痛に苦しみ続ける患者となる。本明細書で使用する場合、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画は、トリプタン、エルゴタミン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、非麻薬性鎮痛薬、およびカフェインなどの単剤療法もしくは二重療法投与計画のいずれかを単独で、または2つのこのような薬剤を組み合わせて使用する従来の不満足な処置の試行を意味する。療法抵抗性患者は、再発性片頭痛からの実質的な自由をまだ達成していないため、重大な、満たされていないニーズを表している。これらの療法抵抗性片頭痛患者が複数の従来の処置投与計画から十分な緩和を達成し損ねていることは、該患者の疾患が処置することが特に困難であることを実証しており、この集団での有効性は驚くべき優れた結果を表す。
【0007】
本発明の組み合わせで使用されるラスミジタン(COL144、LY573144、CAS登録番号439239-90-4)は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドと化学的に説明することができ、化合物Iとして構造上表すことができる。
【化1】
本明細書で使用する場合、化合物Iには、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド一塩酸塩、および2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドヘミコハク酸塩が含まれるが、これらに限定されないその薬学的に許容される塩が含まれる。ラスミジタンおよび塩ならびにそのある特定の製剤および剤形を調製する方法は、当業者に既知であり、WO03/084949およびWO2011/123654に説明されている。
【0008】
本発明の組み合わせで使用されるガルカネズマブ(LY2951742、CAS登録番号1578199-75-3)は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体として説明することができる。ガルカネズマブの単剤療法は、片頭痛および群発頭痛のために開発中である(例えば、New players in the preventive treatment of migraine,Mitsikostas,Dimos D.;Rapoport,Alan M.,BMC Medicine(2015),13,279/1-279/7、およびTranslational pharmacodynamics of calcitonin gene related peptide monoclonal antibody LY2951742 in a capsaicin-induced dermal blood flow model,Vermeersch,S.,et al.Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(2015),354(3),350-357を参照されたい)。ガルカネズマブを調製する方法は、当業者に既知であり、WO2011/156324に説明されている。本発明の組み合わせにおいて有用であり、当業者に既知である他のCGRPアンタゴニストには、エプチンスマブ(ALD403)、フレマネズマブ(TEV-48125)、エレヌマブ(AMG334)、ウブロペパント(MK-1602)、MK-8031、オルセゲパント、またはリメゲパント(BHV-3000、BMS-927711)が含まれる(例えば、New strategies for the treatment and prevention of primary headache disorders,N.M.Schuster & A.M.Rapoport,Nature Reviews Neurology(2016)12,635-650を参照されたい)。本発明の組み合わせにおいて有用であり、当業者に既知であるCGRPアンタゴニストには、CGRP自体またはその受容体を標的とする小分子アンタゴニストおよびモノクローナル抗体アンタゴニストが含まれる。他のCGRPアンタゴニストを調製する方法は、当業者に既知である。
【0009】
片頭痛を処置する上で、特にラスミジタンまたはCGRPアンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された片頭痛の処置に有効であると証明されることができる、より多くの異なる療法の必要性が存在しており、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に不応性の片頭痛として本明細書で定義される療法抵抗性片頭痛の処置に対する重要な必要性が残っている。
【0010】
片頭痛および療法抵抗性片頭痛を処置するための、ラスミジタンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせ、例えばラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせの使用のための新規方法が本明細書で提供される。片頭痛の処置のためのラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせは、グルタミン酸シグナル伝達を低下させるためのラスミジタンの補完的作用と組み合わせたCGRP経路での併用作用により、いずれかの単剤療法単独よりも優れていることになると考えられている。これらの薬理学的特性の組み合わせは、療法抵抗性片頭痛に苦しむ患者の片頭痛処置に優れた有効性を結果としてもたらすことになると考えられている。
【0011】
したがって、本発明は、片頭痛の処置において、特にラスミジタンまたはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された片頭痛の処置のための、および患者における療法抵抗性片頭痛の処置のための、CGRPアンタゴニスト、例えば、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおける使用のためのラスミジタンを提供する。より詳しくは、処置される片頭痛患者は、ラスミジタンまたはCGRPアンタゴニスト療法単独によって不十分に制御されている片頭痛に苦しんでいる患者である。より詳しくは、処置される片頭痛患者は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に不応性の片頭痛として本明細書に定義される療法抵性片頭痛に苦しむ患者である。
【0012】
ラスミジタンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせ、例えば、ラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせ、および片頭痛、特にラスミジタンまたはCGRPアンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された片頭痛を処置するために、より詳しくは、療法抵抗性片頭痛を処置するために、該組み合わせを使用する方法は、後に説明されるラスミジタンとガルカネズマブとのある特定の用量および投与計画を採用する。
【0013】
本発明は、ある量のラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む薬学的組成物の併用に関し、経口投与については、該組成物は、単回用量あたり50~400mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩を含み、頬側、舌下、鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与については、該組成物は、単回用量あたり最高200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩を含み、さらに該組成物は毎日1回、2回、または3回投与される。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物は経口投与用であり、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり50mg~400mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンの量は、単回用量あたり50mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンの量は単回用量あたり100mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンの量は単回用量あたり200mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンの量は単回用量あたり400mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物は、頬側、舌下、鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内、または筋肉内投与用であり、投与されるラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり最高200mgである。本発明は、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の併用に関し、投与されるラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり20mg~200mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり20~60mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、投与されるラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり20~30mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、投与は静脈内であり、投与されるラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量は、単回用量あたり最高200mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の投与は、約20分間にわたって静脈内である。
【0014】
本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物はラスミジタンのヘミコハク酸塩を含む。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物はラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量は、単回用量あたり50mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物はラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量は、単回用量あたり100mgである。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、該組成物はラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量は、単回用量あたり200mgである。
【0015】
本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の用量が1日1回投与される。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は毎日2回投与される。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の併用に関し、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の用量は、毎日3回投与される。
【0016】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり50~400mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり50~400mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法であって、該組成物が毎日1回、2回、または3回投与される、方法に関する。
【0017】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり50mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり50mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法であって、該組成物が毎日1回または2回投与される、方法に関する。
【0018】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり100mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり100mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法であって、該組成物が毎日1回または2回投与される、方法に関する。
【0019】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者に単回用量あたり200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体とを経口投与することを含む、該患者における片頭痛の処置のための方法であって、該組成物が毎日1回または2回投与される、方法に関する。
【0020】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者への単回用量あたり50~400mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体との、頬側、舌下、鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与を含む、該患者における片頭痛の処置のための方法に関する。
【0021】
本発明は、片頭痛の処置を必要とする患者への単回用量あたり50~400mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される希釈剤または担体との、頬側、舌下、鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与を含む、該患者における片頭痛の処置のための方法であって、該組成物が毎日1回、2回、または3回投与される、方法に関する。
【0022】
本発明は、片頭痛の併用処置を必要とする患者に、120mgの用量のガルカネズマブを投与することを含む、該患者における片頭痛の併用処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の併用処置を必要とする患者に、240mgの用量のガルカネズマブを投与することを含む、該患者における片頭痛の併用処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の併用処置を必要とする患者に、300mgの用量のガルカネズマブを投与することを含む、該患者における片頭痛の併用処置のための方法に関する。本発明は、片頭痛の併用処置を必要とする患者に、360mgの用量のガルカネズマブを投与することを含む、該患者における片頭痛の併用処置のための方法に関する。好ましくは、ガルカネズマブの用量は、毎週、半月ごと、毎月、または四半期ごとの間隔で投与される。より好ましくは、ガルカネズマブ投与は、毎月である。本発明は、片頭痛の併用処置を必要とする患者に、240mgの初期負荷用量のガルカネズマブに続いて、120mgの毎月維持用量のガルカネズマブを投与することを含む、該患者における片頭痛の併用処置のための方法に関する。本発明は、120mgの毎月皮下用量のガルカネズマブを投与することを含む、患者における突発性片頭痛を処置するための併用方法に関する。本明細書で使用する場合、ガルカネズマブを投与する併用処置は、先に提供された投与計画による。
【0023】
本発明の別の態様は、薬剤、特にヒトにおける片頭痛の処置に適した薬剤としての、カルカネズマブとのラスミジタンの併用に関する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、ガルカネズマブと同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、ラスミジタンまたはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不十分に制御された患者における片頭痛の処置における、CGRPアンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、ラスミジタンまたはガルカネズマブ療法単独によって不十分に制御された患者における片頭痛の処置における、ガルカネズマブと同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、療法抵抗性片頭痛に苦しむ患者における片頭痛の処置における、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、療法抵抗性片頭痛に苦しむ患者における片頭痛の処置におけるガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の併用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日に1回または2回投与される、方法を提供する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日に1回投与される、方法を提供する。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日に1回投与される、方法を提供する。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、患者における片頭痛の処置における、カルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが、120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日に1回投与される、方法を提供する。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、ラスミジタンまたはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニスト療法単独によって不適切に制御された患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、CGRPアンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、ラスミジタンまたはガルカネズマブ療法単独によって不適切に制御された患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法を提供する。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、療法抵抗性頭痛に苦しむ患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、患者の頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、療法抵抗性頭痛に苦しむ患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、患者の頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。
【0045】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0049】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0050】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、患者における偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置における、ガルカネズマブとの同時の、別個の、または順次の組み合わせにおけるラスミジタンの使用のための方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0054】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法を提供する。
【0055】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のガルカネズマブとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法を提供する。
【0056】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法であって、患者における片頭痛がラスミジタンまたはCGRPアンタゴニスト療法単独によって不適切に制御された、方法を提供する。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のガルカネズマブとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法であって、患者における片頭痛がラスミジタンまたはガルカネズマブ療法単独によって不適切に制御された、方法を提供する。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)アンタゴニストとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法であって、患者が療法抵抗性片頭痛に苦しみ、患者の片頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。
【0059】
別の実施形態において、本発明は、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のガルカネズマブとの組み合わせにおける有効量のラスミジタンを同時に、別個に、または順次投与することを含む、患者における片頭痛を処置する方法であって、患者が療法抵抗性片頭痛に苦しみ、患者の片頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性であった、方法を提供する。後に説明するように、上述の処置方法は、「先の実施形態のうちの1つ」を表す。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0061】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが240mgの初回負荷用量で投与され、続いて、120mgの毎月維持用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回または2回投与される、方法を提供する。
【0066】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが50mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0067】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが100mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法であって、ガルカネズマブが120mgの毎月用量で投与され、ラスミジタンが200mgの用量で1日1回投与される、方法を提供する。
【0069】
片頭痛の従来の処置は、有意な数の患者が十分な処置を受けないままでいることがある。例えば、患者の約30%である片頭痛発作の最高40%は、有効性または忍容性の問題が最適に満たないため、特定のトリプタンに応答し損ねている(Dodick DW.Headache.2005;45:156-162、およびTepper DE.Headache.2013(53)577-578を参照されたい)。血管収縮作用があるため、これらの薬には、心血管リスク因子および心疾患を有する患者に対する禁忌、警告、および注意があることがある(Alwhaibi M,et al.Pain Res Treat.2016;2016:8538101、Gilmore B,Michael M.AM Fam Physician.2011(83)271-280を参照されたい)。さらに、従来の療法はしばしば、片頭痛過剰使用頭痛の発症によって制限され、ここで患者は片頭痛過剰使用頭痛の発症を回避するために特定の時間枠において使用することができる処置の回数が制限されることがある(例えば、Diener,H.C.et al.,Chronic Headache Due to Overuse of Analgesics and Anti-Migraine Agents.Dtsch Arztebl Int 2018;115:365-70を参照されたい)。したがって、従来の単剤療法または二重療法片頭痛処置のための従来の単剤療法または二重療法片頭痛処置について、かなりの割合の患者が頭痛の緩和および/または処置に応じて疼痛をなくすことを達成し損ねていることがある。さらに、本明細書で療法抵抗性片頭痛患者と呼ばれる一部の患者は、片頭痛発作をうまく管理し損ねることになり、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に不応性である片頭痛に苦しむことになる。本明細書で定義される場合、療法抵抗性片頭痛患者は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画にもかかわらず、ひと月に3日間以上片頭痛に苦しみ続ける患者となる。本明細書で使用される場合、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画は、トリプタン、エルゴタミン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、非麻薬性鎮痛薬、血圧薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、セロトニンアンタゴニスト、オナボツリヌス毒素、およびカフェインなど、単独または2つのこのような薬剤を組み合わせでのいずれかでの単剤療法または二重療法投与計画による従来の不満足な処置試行を意味する。さらに、患者の集団は、個別にガルカネズマブまたはラスミジタンのいずれかを用いて片頭痛発作をうまく管理し損ねることになる。
【0070】
これらの不適切に制御された片頭痛患者は、有意に障害され続ける、1か月あたりの片頭痛の日数が多いことがある。不満足な処置の試行は、患者が療法の全コースの後に、障害が回避されるほど症状が緩和されなかったと結論付けるものである。片頭痛の障害尺度は、合計スコア≧11が中等度から重度の頭痛と関連する障害を表すことがある片頭痛障害評価など、当業者に周知である。本発明の実施形態において、10以下の片頭痛障害評価、または当業者に既知の手段による同等の評価は、障害の回避を表す。好ましくは、本発明の併用方法は、患者が片頭痛障害評価で10以下の合計スコアを報告するように片頭痛障害の緩和を提供する。好ましくは、本発明の実施形態において、片頭痛障害評価または当業者に既知の手段による同等の評価は、臨床的に障害がないことを実証することになる。好ましくは、本発明の併用方法は、ラスミジタンの投与後に、片頭痛患者に有意な臨床上の障害がないように片頭痛障害の緩和を提供し、この中で、患者は完全な障害、または床上安静を必要とすること、または日常活動への著しい干渉を報告しない。より好ましくは、本発明の併用方法は、ラスミジタンの投与後に、片頭痛患者に軽度の干渉がないように、片頭痛障害の緩和を提供する。より好ましくは、本発明の併用方法は、ラスミジタンの投与後に、片頭痛患者が全く障害されないように、片頭痛障害の緩和を提供する。好ましくは、本明細書で提供される併用方法により処置される患者は、片頭痛過剰使用頭痛の発症を回避する。
【0071】
頭痛の疼痛緩和などの対症緩和、または患者の最も厄介な症状からの緩和は、例えば、本明細書で提供される臨床研究プロトコルによる有効性として定義されることができる。好ましくは、本発明の併用方法は、頭痛の疼痛の緩和、および/または患者の最も厄介な症状からの緩和を提供する。本明細書で使用する頭痛の疼痛の緩和は、投与後2時間で、ベースラインで中程度もしくは重度から軽度もしくはなしまでの疼痛の重症度の低減、またはベースラインで軽度からなしまでの疼痛の重症度の低減によって評価される。本明細書で使用される頭痛の疼痛がないとは、示された評価時に、ベースラインでの軽度、中等度、または重度からなしまでの疼痛の重症度の低減である。最も厄介な症状(MBS)は、投与前に、悪心、音響恐怖症、および羞明という関係する症状から、片頭痛発作の発症時に参加者によって特定される。本明細書で使用される最も厄介な症状がないとは、投与後2時間で片頭痛と関係したMBSがないという患者の報告された結果を指し、MBSは、存在する関係症状として定義され、投与前のMBSとして特定される。
【0072】
本明細書で使用される場合、不応性の片頭痛には、不応性の慢性片頭痛および/または不応性の偶発性片頭痛が含まれるが、これらに限定されない。不応性の片頭痛患者の特定手段は、当業者に既知である。例えば、不応性の慢性片頭痛は、European Headache Federation(EHF)によって提供されるこの容態についての提案基準に示されているように、当業者によって認識されている(Headache Classification Committee of the International Headache Society(IHS)。The International Classification of Headache Disorders、第3版を参照されたい)。EHFは、不応性の慢性片頭痛が、各々少なくとも3か月間の試行を用いる適切な薬用量の少なくとも3つの予防薬による処置に応答し損ねた患者において、薬剤の過剰使用のないICHD-3ベータ慢性片頭痛として定義されるべきであることを推奨している。提案基準は、次のように簡単に説明することができる。A.薬剤の過剰使用のないICHD-3ベータ慢性片頭痛、B.各々少なくとも3か月間使用される適切な薬用量での片頭痛予防薬、C.次のクラスからの少なくとも3つの薬剤による予防薬についての禁忌または効果なし:ベータ遮断薬(毎日240mgまでのプロプラノロール、毎日200mgまでのメトプロロール、毎日100mgまでのアテノロール、毎日10mgまでのビソプロロール)、抗痙攣薬(毎日1.5gまでのバルプロ酸、毎日200mgまでのトピラマート)、三環系(毎日150mgまでのアミトリプチリン)、またはその他(毎日10mgまでのフルナリジン、毎日16mgまでのカンデサルタン、PREEMPTによる155~195Uのオナボツリヌス毒素)、およびD.利用可能な場合、集学的チームによる精神医学のまたは他の共存疾患の適切な処置。
【0073】
本発明の併用処置方法は、ラスミジタンもしくはガルカネズマブ療法単独によって不十分に制御された患者、ならびに/または患者の片頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/もしくは二重療法処置投与計画に対して不応性であった、療法抵抗性片頭痛に苦しむ患者におけるものを含む、改善された片頭痛処置を提供する、かつ頭痛疼痛の迅速で(詳しくはラスミジタンの投与後2時間以内で、好ましくは1時間以内で、より好ましくは30分以内で)、安全でかつ有効な低減および/または除去を含む、薬理学的利点の特に有利な組み合わせをさらに提供し、かつそれと同時に、めまい、感覚異常、および傾眠などの臨床的に許容されるレベルの有害作用を提供すると考えられている。本発明の併用処置方法は、片頭痛患者が片頭痛発作をより低用量のラスミジタン、例えば100mgまたは50mgで適切に処置することを可能にすることにより、より好ましくは1日あたり単回用量でそうすることによって1日あたり第2の投与についての必要性を回避することを可能にすることにより、これらの利点を部分的に提供することができる。この点において、本発明の併用処置方法は、片頭痛患者に有意な低減、ならびに/またはより好ましくは有意な片頭痛の症状および障害がないことを提供する。別の点において、本発明の併用処置方法は、片頭痛患者に有意な低減、ならびにより好ましくは有意な片頭痛の症状および障害がないことを、持続した時間、例えば、ラスミジタンの投与後24時間、または好ましくはラスミジタンの投与後48時間提供する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「併用療法」または「組み合わせにおける/組み合わせでの」には、これらの治療薬の共作用から有益な効果を提供するように意図した特定の処置投与計画の一部としてのラスミジタンおよびCGRPアンタゴニストの投与が含まれる。組み合わせの有益な効果には、治療薬の組み合わせから結果として生じる薬物動態学的および/または薬力学的共作用が含まれるが、これらに限定されない。これらの治療薬の組み合わせでの投与は、典型的には、規定時間(通常、選択された組み合わせに応じて数分、数時間、数日または数週間)にわたって実施される。併用療法は、順次の様式における示された治療薬の投与、すなわち、各治療薬が異なる時点で投与されること、および実質的に同時の様式におけるこれらの治療薬の投与を包含することを意図している。投与は、例えば、各治療薬の固定比を有する単一経口剤形もしくは各治療薬についての複数の単回経口剤形を対象に投与することにより、またはラスミジタンの経口剤形およびガルカネズマブの注射剤形を投与することにより達成されることができる。各治療薬の順次のまたは実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を経た直接的な吸収を含むがこれらに限定されない何らかの適切な経路によってもたらされることができる。治療薬は、同じ経路によってまたは異なる経路によって投与されることができる。例えば、選択された組み合わせのうちの第1の治療薬は、筋肉内または静脈内注射により投与されてもよいのに対し、組み合わせのうちのその他の治療薬は経口投与されてもよい。あるいは、例えば適用可能な場合、すべての治療薬を経口投与するか、またはすべての治療薬を静脈内注射により投与してもよい。治療薬が投与される順序は、厳密に重要ではない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「1日1回」は、ラスミジタンが24時間に1回、または暦日に1回投与されることを意味する。本明細書で使用される場合、「1日1回」は、片頭痛発作の予防または処置のために、ラスミジタンが24時間に1回、または暦日に1回投与されることを意味する。本明細書で使用される場合、「1日1回」は、片頭痛発作の処置のためにラスミジタンを24時間に1回、または暦日に1回投与することを意味し、このような処置は2日以上連続して起こってもよい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「毎月」は、ガルカネズマブが30日間に1回、または暦月に1回投与されることを意味する。本明細書で使用される場合、「毎月」は、ガルカネズマブが30日間に1回、または暦月に1回投与されることを意味し、この期間の投与のタイミングは変わってもよい。好ましくは、本明細書で使用される場合、「毎月」は、ガルカネズマブが30日間に1回、または暦月に1回投与され、規則的な投与間隔を提供するために各月の同じまたはほぼ同じ暦日に投与されることを意味する。
【0077】
本明細書で説明される場合、ラスミジタンは、片頭痛を止めるために、ガルカネズマブなどのCGRPアンタゴニストとの組み合わせで投与される。一実施形態において、ラスミジタンおよびCGRPアンタゴニストのいずれもが、急性片頭痛の緩和のために投与される。別の実施形態において、ガルカネズマブなどのCGRPアンタゴニストは予防のために投与され、ラスミジタンは突出痛の急性片頭痛の緩和のために投与される。本発明はまた、CGRPのレベル上昇と関連した容態、好ましくは頭痛および/または片頭痛を処置することを必要とする患者に、治療有効量の本発明のラスミジタンとガルカネズマブなどのCGRPアンタゴニストとの組み合わせを投与することを含む、CGRPのレベル上昇と関連した容態、好ましくは頭痛および/または片頭痛を処置する方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、片頭痛、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、および/または偶発性群発頭痛を処置することを必要とする患者に、治療有効量のラスミジタンとガルカネズマブなどのCGRPアンタゴニストとの組み合わせを投与することを含む、片頭痛、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、および/または偶発性群発頭痛を処置する方法を提供する。
【0078】
本発明の組み合わせによって処置されることができる障害が、片頭痛、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、および/または偶発性群発頭痛など、確立されかつ受け入れられている分類によって既知である場合、該分類は、種々の源で認めることができる。例えば、現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-IV(商標))(1994,American Psychiatric Association,Washington,D.C.)の第4版は、本明細書に説明される障害のうちの多くを特定するための診断ツールを提供する。また、International Classification of Diseases第10版(ICD-10)は、本明細書に説明される障害のうちの多くについての分類を提供する。当業者は、DSM-IVおよびICD-10に説明されているものを含む、本明細書に説明される障害についての代替的な命名法、疾病分類学、および分類系統があること、ならびに用語および分類系統が医科学の進歩とともに進化することを認識することになる。片頭痛患者はさらに、国際頭痛学会(IHS)のInternational Classification of Headache disorders第3版、(ICHD-3)ベータ版(The International Classification of Headache Disorders,第3版(ベータ版),Cephalalgia 2013;33:629-808)によって定義されているように、前兆のあるまたはない(1.1および1.2)片頭痛と診断されることができる。
【0079】
本明細書で形容詞として使用されるときの「医薬品」または「薬学的に許容される」という用語は、受け手に対して実質的に無毒であり、かつ実質的に無害であることを意味する。「薬学的組成物」はさらに、担体、溶剤、賦形剤および塩が、組成物の有効成分(例えば、本発明の化合物)と適合性でなければならないことを意味する。「薬学的製剤」および「薬学的組成物」という用語が概して相互交換可能であり、かつ該用語が、本出願の目的のためにそのように使用されることは、当業者によって理解される。
【0080】
さらに、本発明の化合物、例えば、該化合物の塩は、水和または非水和(無水)の形態で存在することができる。水和物の非限定例には、一水和物、二水和物などが含まれる。本発明の化合物がアミンであるとき、該化合物は本質的に塩基性であり、したがって多数の無機酸および有機酸のうちのいずれかと反応して、薬学的に許容される酸付加塩を形成する。「酸付加塩」という用語は、化合物と鉱酸または有機酸との反応により調製される化合物の塩を指す。本発明の化合物は、広範な種々の有機酸および無機酸を用いて薬学的に許容される酸付加塩を形成し、薬化学においてしばしば使用される生理学的に許容される塩を含む。このような塩も本発明の実施形態である。「薬学的に許容される(酸)付加塩」は、当技術分野で周知のように、薬学的に許容される酸から形成される。このような塩には、当業者に周知であるBerge,S.M,Bighley,L.D.,and Monkhouse,D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1,(1977)において例証される薬学的に許容される塩が含まれる。
【0081】
「有効量」という用語は、5-HT-1F受容体を活性化することができるラスミジタンの量、またはCGRPの作用を阻害することができるCGRPアンタゴニストの量を意味する。好ましい実施形態において、「有効量」は、ラスミジタンを用いた頭痛処置後2時間で患者の疼痛をなくすことができるラスミジタンの量およびCGRPアンタゴニストの量を意味する。
【0082】
「処置すること」または「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、既に存在する病状または容態、例えば、患者または対象における片頭痛または頭痛を治癒させることを意味する。処置することにはまた、病状または容態のさらなる発達を阻害すること、すなわち停止させること、および病状または容態、例えば、片頭痛を緩和または寛解させること、すなわち、病状または容態、例えば、片頭痛の退化を生じさせることが含まれることができる。本明細書で使用される「予防すること」または「予防」という用語は、特に患者または対象が、病状または容態、例えば、片頭痛を発症しやすいかまたはそのリスクにあるときに、患者または対象において病状または容態が発症するのを完全にまたはほぼ完全に停止させることを意味する。
【0083】
本明細書を通じて、組成物が特定の成分を有する、含む(including)、または含む(comprising)と説明されている場合、組成物はまた、列挙された成分から本質的になる、または該成分からなることが想定される。同様に、方法またはプロセスが特定のプロセス段階を有する、含む(including)、または含む(comprising)と説明されている場合、プロセスはまた、列挙された処理段階から本質的になる、または該処理段階からなる。さらに、本発明が実施可能のままである限り、段階の順序またはある特定の作用を実行するための順序は重要ではないことは理解されるべきである。その上、2つ以上の段階または作用を同時に実施することができる。
【0084】
製剤を調製する当業者は、選択された化合物の特定の特徴、治療される障害または容態、障害または容態の病期、および他の関連する状況に応じて適切な形態および投与モードを容易に選択することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。特に、本発明の組み合わせの成分は、適宜、同じ製剤中に組み合わせることができ、またはそれに代わるものとして、該成分は別個に製剤することができる。
【0085】
別個の製剤において、ラスミジタンは通常、賦形剤と共に混合されるか、賦形剤によって希釈されるか、またはカプセル剤、サシェ剤の形態の中に、紙もしくは他の容器の中にあることができるような担体内に封入される。CGRPアンタゴニストは、別個に適切に製剤される。賦形剤が希釈剤として役立つとき、賦形剤は有効成分のためのビヒクル、担体または媒質として作用する固体、半固体、または液体の材料であることができる。したがって、製剤は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体としてまたは液体媒質中にある)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、ゲル剤、坐剤、滅菌注射用液剤、ならびに滅菌包装粉末の形態であることができる。適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが含まれる。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピルなどの保存剤;甘味料;ならびに矯正剤を追加として含むことができる。本発明の化合物は、当該技術分野において既知の手順を採用することによって患者への投与後に有効成分の迅速な、持続的な、または遅延した放出を提供するように製剤することができる。
【0086】
臨床研究の例
以下の臨床研究デザインは本発明をさらに説明するものであるが、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。片頭痛の処置におけるガルカネズマブとの組み合わせでのラスミジタンの試験の例が後述に提供される。当業者は、ラスミジタンまたはガルカネズマブのいずれかを個々に用いて片頭痛発作をうまく管理できなかった患者に対して同様の試験を実施することができることを理解することになる。当業者は、本明細書で療法抗性片頭痛患者と呼ばれる、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性である片頭痛発作を有する患者で同様の試験を実施することができることを理解することになる。当業者は、療法抵抗性頭痛を有する患者を含む、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛に苦しむ患者に対して同様の試験を行うことができる。当業者は、本明細書に説明する方法ならびに当技術分野で既知の方法を使用して、ラスミジタンもしくはガルカネズマブのいずれかを個々に用いて片頭痛発作をうまく管理することができなかった患者、ならびに/または2つ以上の従来の単剤療法および/もしくは二重療法処置投与計画に対して不応性である片頭痛発作を有する療法抵抗性片頭痛患者を容易に特定することができ、そのように特定された該患者は、本明細書に説明されるものなど、臨床研究のための被験者であることがある。
【0087】
このような臨床研究を実施する方法は、当業者に既知であり、例えば、本明細書で提供される公表されたラスミジタンおよびガルカネズマブの臨床研究についての引用により例示される。片頭痛の処置を評価する方法には、例えば、片頭痛特有の生活の質、第2.1版(MSQ v2.1)、頭痛影響検査6(HIT-6)、片頭痛障害評価尺度(MIDAS)、片頭痛特有の生活の質のアンケート(MSQoL)を含む、生活の質(QOL)の判定など、患者報告アウトカムの判定(PRO)が含まれる。さらに、ePRO日記を使用して、頭痛およびその他の片頭痛の症状を記録することができる。日記データに基づいて、自動化されたアルゴリズムを使用して、日数を片頭痛日数(MHD)(中位数MHDを含む)として分類することができる。中位数片頭痛は、前兆のあるまたはない頭痛として定義され、30分以上持続するが、ICHD-3ベータ基準における片頭痛の特質のうちの1つが欠落している。急性片頭痛薬の使用によるMHDの毎月の数は、ePRO日記から取得することができ、PGI-S、MSQ、ならびにMIDASの評価は、PGI-SおよびMSQについては毎月の訪問時に、ならびにMIDASについては3か月後および6か月後に試験実施施設においてスレートデバイスを使用して実行される。ePROまたは他の関連する臨床データに基づいて、処置相の間の月間片頭痛日(MHD)の数のベースラインからの全体的な平均の変化について、偽薬、またはガルカネズマブ処置単独、またはラスミジタン処置と比較した、各併用投薬投与計画の有効性を比較するために、試験デザインを策定することができる。他の可能な結果測定尺度は、二重盲検処置相中の月間MHDにおけるベースラインからの低減がある患者の平均比率、片頭痛特有の生活の質第2.1(MSQ v2.1)の役割機能制限(R-FR)ドメインスコアにおけるベースラインからの平均変化、重症度に関する患者の包括的な印象(PGI-S)格付けにおけるベースラインからの平均変化(選択した月の平均)、および/または片頭痛障害評価(MIDAS)合計スコアについての結果測定尺度であってもよい。これらおよび他の片頭痛処置の評価は、当業者に周知である。
【0088】
静脈内投与によるガルカネズマブなどのCGRPアンタゴニストありおよびなしでのラスミジタンを用いた片頭痛の急性期の処置
ラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせの有効性を実証するために、以下の試験を後述のとおり1回、および査定下の患者に240mgの初回負荷用量のガルカネズマブに続いて、120mgの毎月維持用量のガルカネズマブを投与した1回を実施する。試験の処置群には、経口投与用の50mg、100mg、または200mgのラスミジタンの単位用量が含まれることがある。
【0089】
多施設、偽薬対照、二重盲検、群順次、適応処置割り当て、概念実証および用量設定試験において、130名の患者を片頭痛発作中の入院時に処置する。患者を、小規模コホートでラスミジタンまたは偽薬の静脈内投与レベルに割り当てる。開始用量は2.5mgとする。後続の用量を、先行コホートにおいて見られた安全性および有効性により、上下に調整する。主要評価項目は、ベースラインでの中程度または重度の頭痛から、投与後2時間での軽度または頭痛なしへの改善として定義される頭痛応答とする。本試験は、全体的な用量応答関連性を探索するように設計されているが、個々の用量を偽薬と区別したり、他の片頭痛症状についての作用の違いを検出したりするようにはしていない。
【0090】
42名の患者が偽薬を投与され、88名が2.5~45mgの用量でラスミジタンを投与される。患者は、処置後4時間診療所で観察され、日記カードを使用して24時間までの症状および有害事象を記録する。用量が事前に定義された有効性停止規則を満たしたとき、本試験を終了する。10、20、30、および45mgのラスミジタン投与群において処置された患者を、偽薬群と比較して2時間の頭痛応答について査定する。2時間での患者の包括的な印象、および救助薬についての必要性のないことも、用量との統計的に有意な線形相関について査定する。2.5~45mgのラスミジタンの静脈内投与で、片頭痛の急性期処置のために、同時のガルカネズマブ処置との組み合わせでのラスミジタンの有効性を査定する。
【0091】
方法
本試験を、多施設で、ヘルシンキ宣言および国際的に認められた適正臨床試験実施基準に従って実施することができる。開始する前に、関連する規制当局および独立した倫理委員会による承認が必要である。すべての被験者は、書面によるインフォームドコンセントを提供する被験者に限定される。
【0092】
試験デザイン
本試験では、群順次適応処置割り当てを行う前向き無作為化二重盲検偽薬対照デザインを使用する(Olesen J et al.,N Engl J Med 2004:350:1104-10、Hall DB et al.,Contemporary Clinical Trials 2005;26:349-63)。患者を小規模コホートでラスミジタンの用量レベルに割り当て、最初の20コホートは6名の患者(4名はラスミジタンを、2名は偽薬を投与される)からなり、後続のコホートは5名の患者(4名のラスミジタンおよび1名の偽薬)からなる。最初のコホートには2.5mgの用量レベルを割り当てる。後続のコホートにおいて使用される用量は、先行コホートの頭痛応答(2時間で中等度または重度の頭痛が軽度またはなしに低減)による。4名の積極的に処置した患者のうちの2名以下が応答した場合、用量を増やし、4名の積極的に処置した患者のうちの3名以上が応答した場合、用量を減らす。用量調整規則は、経口トリプタンと同等以上の効力を持つラスミジタンの用量を特定するために選択される。この用量増加または低減の順序は、いずれかのコホートにおいて2名以上の積極的に処置された患者が重度の重篤でない有害事象を経験した場合、修正されることになる。薬物関連の重篤な有害事象が発生すると、安全性の確認が行われるまで無作為化が自動的に中断されることになる。ラスミジタンの最低許容量は1mgであり、最高許容量は60mgである。
【0093】
上下する用量調整プロセスは、次の基準が満たされたときに有効用量を選択して終了する。すなわち、少なくとも5つのブロックの患者がこの用量で処置され、少なくとも4つのブロックについて、判定規則が用量の低下を必要とした場合である。あるいは、患者の5つの連続したブロックが、用量増加を毎回必要とする増量規則により上限用量で処置された場合、有効用量の選択をすることなく終了することができた。
【0094】
患者のスクリーニングおよび選択
まず、片頭痛発作以外での外来での受診の適格性について患者をスクリーニングし、発症4時間以内に新たな中等度または重度の片頭痛発作の治験薬による処置のために診療所を再訪するように招待する。診療所への再訪時に、本試験に対する適格性を再確認し、患者を無作為化する。患者が18~65歳であり、かつ50歳前に片頭痛を発症し、IHS診断基準1.1および1.2.1(2004)を満たし、前兆のあるまたはない片頭痛の病歴が少なくとも1年間である場合、該患者は、本試験に対して適格である (Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society.The International Classification of Headache Disorders(second edition).Cephalalgia 2004:24;Suppl 1:1-160)。患者は、ひと月に1~8回の片頭痛発作がなければならず、片頭痛予防薬を使用していない必要がある。患者の全身の健康状態は良好であり、脈管疾患または高血圧の証拠がない。以前にトリプタン不耐性であった患者は除外される。妊娠中または授乳中の女性は除外され、同様に、非常に信頼度のある形式の避妊を使用中ではない妊孕能のある女性も除外される。
【0095】
試験手順
患者が診療所を再訪した際、治験責任医師とは無関係に薬剤師または他の治験担当者が治験薬の希釈についての説明をオンライン無作為化システムから取得し、注入用の治験薬を準備する。治験責任医師および薬剤師はいずれも、有効薬または偽薬に関して盲検化されており、薬剤師のみが希釈を知っている。すべての患者は、20分間で60mlの静脈内注入を受ける。治験薬投与前後の有効性および安全性のデータは、電子データ捕捉システムにすぐに入力されるので、頭痛応答を使用して後続のコホート向けに用量割り当てを行わせることができる。
【0096】
ベースライン評価を完了した後、ラスミジタンまたは偽薬を20分間静脈内注入し、患者を安全性および有効性について少なくとも4時間監視する。データを、オンライン電子データ捕捉システムに同時に入力する。患者は、4時間後に診療所から退所し、日記カードを使用して24時間まで片頭痛の症状および有害事象を記録し続ける。
【0097】
症状の査定
多くの異なる症状を査定する。頭痛の重症度を、0=無痛、1=軽度の疼痛、2=中等度の疼痛、3=重度の疼痛による4点尺度で測定する。関係する症状(悪心、嘔吐、羞明、音響恐怖症)を、ありまたはなしとして記録する。障害は、0=障害なし、1=軽度の障害、2=中等度の障害、3=重度の障害による4点尺度で文書化する。患者の包括的な印象についてのデータは、1=非常に良い、2=かなり良い、3=やや良い、4=変わらない、5=やや悪い、6=かなり悪い、7=非常に悪いによる7点ス尺度で収集する。
【0098】
主要有効性測定尺度は頭痛応答であり、ベースラインでの中等度または重度から、治験薬の注入開始後2時間での軽度または無痛までの頭痛の低減として定義される(HIS Clinical Trials Subcommittee.Guidelines for Controlled Trials in Migraine: second edition,Cephalalgia 2000:20:765-786)。副次有効性測定尺度は、治験薬注入開始後10分、20分、40分、60分、90分、180分、および240分での頭痛応答の割合と、治験薬の開始後10分、20分、40分、60分、90分、120分、180分、および240分での頭痛のない割合(ベースラインでの中等度または重度の頭痛から無痛までの低減)と、ベースラインでの中等度または重度の頭痛が治験薬の開始後2時間で軽度または無痛となり、かつ治験薬開始24時間以内に再発しなかった(軽度、中等度または重度にならなかった)持続的な無痛の割合と、治験コースの間の悪心、嘔吐、羞明および音響恐怖症、ならびに臨床障害度があることと、治験薬の開始後2~24時間で救助薬を用いた患者の比率と、治験薬開始後2時間での患者の包括的な印象である。
【0099】
統計的方法
有効量レベルで処置された少なくとも20名の患者と偽薬で処置された少なくとも10名の患者とを含む多くとも160名の患者の標的試料サイズを選択して、適切な予備データを提供し、該データを基に、さらなる査定のための用量範囲を選択する。群順次適応処置割り当てデザインを使用して用量を割り当てるときに、仮説を検定して1つ以上の用量レベルを偽薬と比較する統計的特性は知られていない。それゆえ、正式な統計的検定は、本試験が「陽性」または「陰性」と断定するために使用されておらず、本試験に、統計的有意性を求めていない。さらに、統計的に考慮するための試料サイズを求めていない。
【0100】
本試験の終了時に、頭痛応答率を用量レベルで要約する。Mantel-Haenszel検定を使用して、用量応答の関連性について検定する。Fisherの正確検定を使用して、選択した用量と偽薬とについて頭痛応答率を比較する。すべての解析において、各用量レベル(偽薬を含む)についての結果を全ブロックにわたって合わせるので、それを使用した。何らかの治験薬を服用しているすべての患者を解析集団に含める。患者を、実際に受けている処置および用量レベルにより解析する。
【0101】
有効性
応答率と用量レベルとの間の線形関係を、傾向についてのMantel-Haenszel検定で統計的に評価する。10分から4時間までの時点で頭痛応答を達成した各群における患者の比率を作表する。主な副次的有効性パラメータを、2時間での患者の包括的な印象と24時間までの救助薬の使用とを含む各群について作表する。副次的有効性パラメータは、2時間での疼痛なし、2時間での持続性疼痛応答、持続性疼痛なし、悪心、2時間での音響恐怖症、2時間での羞明、2時間での障害なし/軽度の障害、2~24時間での救助薬の使用、2時間での印象:非常によい/かなりよい、である。
【0102】
ガルカネズマブ処置を同時に併用するまたはしない、ラスミジタンの急性期の片頭痛抑制の有効性を検査する。上下の用量適応試験デザインを使用して、広い用量範囲にわたる有効性および忍容性について迅速かつ確実にスクリーニングしながら、治験薬または偽薬への患者の曝露を最小限にする。頭痛緩和の開始は、20分間の静脈内注入の開始後20~40分で明白であることがある。
【0103】
臨床医は、試験の有効性の結果を査定して、ラスミジタンの静脈内投与後に障害を報告する割合、報告される障害が中等度または重度である割合、患者の包括的な印象、および投与2時間後に「非常に」または「かなりよい」という感じを報告する患者の割合を決定することができる。臨床医は、副次的評価項目(羞明、音響恐怖症、および悪心)も査定することができる。
【0104】
片頭痛の急性期処置におけるガルカネズマブのありおよびなしでの経口ラスミジタンの二重盲検無作為化偽薬対照並行群用量範囲決定試験
ラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせの有効性を実証するために、以下の試験を後述のとおり1回、および査定下にある患者に240mgの初回負荷用量のガルカネズマブに続いて120mgの毎月維持用量のガルカネズマブを投与した1回を実施する。
【0105】
ラスミジタンの経口用量の範囲の有効性(2時間での頭痛応答)を査定するために試験を実施する。副次的な目的は、頭痛応答、無痛患者の比率、頭痛再発、悪心、羞明、音響恐怖症、嘔吐、障害、救助薬の使用、患者の包括的な印象を含む片頭痛の特質に及ぼすラスミジタンの用量レベルの範囲の時間経過および効果を探索することとする。本試験では、有害事象、身体的検査、バイタルサイン、実験室での査定、および心電図の点で、さまざまな用量のラスミジタンの安全性および忍容性を探索する。試験プロトコルを以下に概略する。
【0106】
これは、片頭痛に罹患している対象者における前向き無作為化二重盲検偽薬対照用量範囲決定試験である。患者は自宅で治験薬により片頭痛発作を処置するよう求められる。各被験者の試験への参加は、適格性を確認するために5日以内に電話連絡でのスクリーニング訪問、被験者が経口ラスミジタンまたは偽薬の4つの用量レベルのうちの1つの単回用量を用いて1回の片頭痛発作を処置するよう求められた8週間までの処置期間、および発作を処置して14日以内の経過観察訪問からなる。
【0107】
スクリーニング後、新たな片頭痛発作の初回処置として使用するために、経口ラスミジタン(50、100、200または400mg)または対応する偽薬を受けるよう、被験者を無作為に割り当てる。すべてのスクリーニング査定がいったん完了したら、被験者に電話で適格性が確認されるまで発作を処置しないように指示する。適格性が確認されると、被験者に次回の片頭痛発作をその発症から4時間以内に処置するように求められるが、ただし、頭痛の重症度がその時点で少なくとも中程度であり、改善していないことを条件とする。被験者は日記カードを使用して、以後48時間にわたる自身の応答を記録する。被験者に、治験薬を服用した後少なくとも2時間まで救助薬を使用しないように求める。いったん発作を処置したら、被験者は診療所に連絡して、できるだけ早く、処置から14日以内に経過観察訪問を予定に入れる。患者を、事前に定義された無作為化リストにより、1:1:1:1:1の比で4つの用量レベルのうちの1つのラスミジタンまたは対応する偽薬に割り当てる。少なくとも340名の患者が1回の発作を治験薬で処置する。
【0108】
組み入れ/除外についての基準:
組み入れ:被験者は、以下のすべての基準が満たされている場合にのみ本試験に組み入れられる:
IHS診断基準1.1および1.2.1(2004)を満たす前兆のあるまたはない片頭痛患者、少なくとも1年間の片頭痛の病歴、50歳未満での片頭痛の発症、1か月あたり1~8回の片頭痛発作の病歴、18~65歳の男性または女性の患者、妊孕能のある女性患者は、非常に有効な形式の避妊法(例えば、経口避妊薬、子宮内避妊具、禁欲、パートナーの精管切除の組み合わせ)を使用していなければならない、書面によるインフォームドコンセントを提供することができかつその意思があること、治験薬を用いて処置した発作の詳細を記録するために片頭痛日記カードを完成させることができかつその意思があること、である。
【0109】
除外:以下の基準のうちのいずれかが満たされた場合、被験者を本試験から除外する。すなわち、何らかのトリプタンに対する生命を脅かすまたは耐えられない有害反応の履歴;スクリーニング訪問前30日以内および試験参加中に処方された片頭痛予防薬の使用(デザインによるガルカネズナブ以外);妊娠中または授乳中の女性;非常に有効な避妊法を使用しない妊孕能のある女性;冠動脈疾患、虚血性もしくは出血性卒中、てんかんまたは発作のリスクが高い患者が置かれた何らかの他の容態に関する病歴または証拠;高血圧の病歴(管理されているかまたは管理されていない);起立性低血圧の病歴;スクリーニング時の2回の反復測定で、座位で収縮期血圧が160mmHgを超えるか、または拡張期血圧が90mmHgを超えること;血行動態を活溌にする心血管薬の現在の使用;何らかの薬物、処方もしくは違法、またはアルコールの乱用に関する過去3年以内の病歴または現在の証拠;腎または肝の有意な障害;本臨床試験における以前の参加;過去30日間の実験薬または実験デバイスに関する何らかの臨床試験への参加;治験責任医師の判断で患者が本試験に不適切とされる何らかの医学的容態または臨床検査結果;既知のB型もしくはC型肝炎またはHIVへの感染;治験依頼者の従業員である被験者;治験責任医師の親族、または治験責任医師に直接報告する担当者;化合物I、他の5-HT1F受容体アゴニストまたは化合物製剤の何らかの賦形剤に対する既知の過敏症に罹患している患者;先行ラスミジタン試験において試験薬を用いて処置された患者(スクリーニングされたが該プロトコルの下では処置されなかった患者は除外されない)、である。
【0110】
査定についての基準に含まれるもの:
有効性/薬力学:頭痛の重症度(4点尺度:なし、軽度、中等度、重度);48時間以内の頭痛の再発;悪心の有無;音響恐怖症、羞明、嘔吐;障害(4点尺度:なし、軽度、中等度、重度);2~48時間の救助薬についての必要性(ありまたはなし);患者の包括的な印象(7点尺度);頭痛の緩和までの時間および疼痛がなくなるまでの時間。
【0111】
安全性:
身体的検査;有害事象(自主的に報告);バイタルサイン;12本のリード線使用の心電図;臨床実験パラメータ;統計分析。
【0112】
有効性:
この多施設、無作為化、二重盲検、並行群、偽薬対照臨試験は、片頭痛の急性期処置において、同時のガルカナズマブありおよびなしでの経口ラスミジタンの有効性および安全性を査定するように設計されている。投与後2時間で頭痛が緩和された被験者の比率は、主要な有効性パラメータである。主要な有効性解析では、傾向についてのCochran-Armitage検定を使用して、5つの試験群において投与後2時間で頭痛が緩和された被験者の比率が同じであるという帰無仮説と、応答率の正の線形傾向の対立仮説とを検査する。一次解析は、有意性の5%水準での片側検定を使用して、治験薬で発作を処置するすべての被験者として定義される改変された処置する意図のある集団において実行される。2時間での頭痛の重症度またはその時点より前の救助薬の使用を文書化し損ねた患者は、解析セットから除外される。
【0113】
5つのすべての処置群からのデータを含むロジスティック回帰モデルを使用して、追加の有効性解析で各有効量群を偽薬群と比較する。追加の解析はまた、プロトコルごとの被験者セットに基づいている。
【0114】
試料サイズを、反応率が偽薬群において40%、最高用量群において65%であると仮定して概算する。処置群が等間隔であり、応答オッズ比が、隣接する用量群の対間で等しいと仮定して、Nam(1987)のアプローチを使用して必要な試料サイズを概算する。1:1:1:1:1の無作為化に基づいて、5%水準の有意性での片側検定に基づいて、330名の患者という総試料サイズ(1群あたり66名)が90%の乗数に対して必要である。
【0115】
安全性:有害事象を要約することができ、処置群ごとに事象率を提示することができる。実験データを、ベースライン状態からの変化の点で処置群ごとに要約する。安全性集団は、少なくとも単回用量の治験薬または偽薬を投与されたすべての無作為化患者から構成することができる。有害事象は、Medical Dictionary for Regulatory Activities(第19.1版)でコードすることができる。安全性パラメータを、処置により発生する有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、死亡、有害事象による中止、中止率、バイタルサイン、体重、免疫原性として計算することができる。
【0116】
一次解析では、ePROまたはその他の関連する臨床データに基づいて、処置相中の月間片頭痛日(MHD)の数のベースラインからの全体的な平均変化について、偽薬、またはガルカネズマブ単独、またはラスミジタン単独と比較した各併用投薬投与計画の有効性を査定することができる。他のアウトカム測定尺度は、二重盲検処置中の月間MHDにおいてベースラインからの低減が50%以上、75%以上、および100%である患者の平均比率であってもよい。片頭痛特有の生活の質に関するアンケート第2.1版(MSQ v2.1)の役割機能制限(R-FR)ドメインスコアにおけるベースラインからの平均変化を、本試験の選択された月の平均として計算することができる。二重盲検処置期間中のMHD数におけるベースラインからの全体的な平均変化を計算することができる。重症度に関する患者の包括的な印象(PGI-S)格付け(選択された月の平均)におけるベースラインからの平均変化を計算することができる。片頭痛障害評価(MIDAS)の合計スコアについてのアウトカム測定尺度を、本試験の終了など、選択された時点で計算することができる。
【0117】
別個に使用されるラスミジタンおよびガルセナゼマブの両方の単剤療法第III相試験が実施され、公表されている。例えば、ラスミジタンについては、Phase 3 Studies(SAMURAI,SPARTAN)of Lasmiditan Compared to Placebo for Acute Treatment of Migraine(S50.008),Linda A.Wietecha,Bernice Kuca,Josephine Asafu-Adjei,Sheena K.Aurora,Neurology April 2018,90(15 Supplement)S50.008を参照されたく、ここで著者らは、初回投与後2時間で、偽薬と比較して、ラスミジタン200mgを使用して、有意に高い比率の患者(p<0.001)で頭痛による疼痛がなくなり(ラスミジタン200mg:SAMURAI32.2%、SPARTAN38.8%、偽薬:SAMURAI15.3%,SPARTAN21.3%)、最も厄介な症状(MBS)がなくなった(ラスミジタン200mg:SAMURAI40.7%、SPARTAN48.7%、偽薬:SAMURAI29.5%,SPARTAN33.5%)。両方のエンドポイントについて、偽薬と比較した他のラスミジタン投与群(100mg、50mg)の有意性も認められた。初回投与後にラスミジタン(2%以上で偽薬よりも多量)を用いて最も頻繁に報告されたTEAEは、めまい、感覚異常、傾眠、疲労、悪心、および嗜眠であり、ほとんどの事象は重症度が軽度から中等度であった。この解析から、著者らは、主要評価項目および鍵となる副次的評価項目が満たされ、安全性の結果は2つの第3相試験にわたって一致していたと結論付けた。また、例えば、ガルカネズマブについては、Efficacy and safety of galcanezumab for the prevention of episodic migraine Results of the EVOLVE-2 Phase 3 randomized controlled clinical trial,Vladimir Skljarevski,Manjit Matharu,Brian A Millen,Michael H Ossipov,Byung-Kun Kim and Jyun Yan Yang,Cephalalgia 0(0)1-13,2018を参照されたく、ここで著者らは、月間片頭痛の平均日数は、ガルカネズマブ120および240mgによって4.3および4.2日、ならびに偽薬によって2.3日減少したと結論付けた。偽薬との群差(95%信頼区間)は、それぞれ1.9(-2.4、-1.4)および2.0(-2.6、-1.5)であった。いずれの用量も、すべての鍵となる副次的市評価項目について偽薬よりも優れていた。注射部位の疼痛は、最も一般的な処置で発生する有害事象であり、すべての処置群において同様の割合で報告された。いずれのガルカネズマブ用量も、注射部位反応および注射部位掻痒が有意に多く、240mg群は偽薬と比較して注射部位紅斑が有意に多かった。この解析から、著者らは、毎月1回投与されたガルカネズマブ120または240mgが有効で、安全で、かつ十分に忍容性があったと結論付けた。
【0118】
片頭痛の処置に使用するラスミジタンとガルカネズマブとの組み合わせは、グルタミン酸シグナル伝達を低下させるラスミジタンの補完作用との組み合わせにおけるCGRP経路に対する併用作用によって、特に以前に処置が失敗したある特定の集団において、いずれの単剤療法単独よりも優れていることになると考えられている。これらの薬理学的特性の組み合わせは、療法抵抗性片頭痛に苦しむ患者における片頭痛処置に対して優れた有効性を結果としてもたらすことになると考えられている。各薬剤、すなわちラスミジタンおよびガルカネズマブ単独は、片頭痛の処置において有効性を実証してきたが、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のラスミジタンを有効量のガルカネズマブとの組み合わせで同時に、別個に、または順次に投与することを含む、該患者において片頭痛を処置する方法を提供する本発明は、ガルカネズマブまたはラスミジタンのいずれかを単独で用いて処置したとき、片頭痛患者にとって、より詳しくは、適切な片頭痛処置有効性を個々に経験していない片頭痛患者にとって、さらなる潜在的な利点を提供することができる。したがって、ラスカミタンもしくはガルカネズマブ療法単独によって不適切に制御された患者を処置するために、ならびに/または疾患が2つ以上の従来の単剤療法および/もしくは二重療法処置投与計画に対して不応性であった片頭痛患者を処置するために、ガルカネズマブとラスミジタンとの本発明の併用によって提供される潜在的有効性は、片頭痛療法における重要なさらなる進歩を表すであろう。好ましくは、片頭痛を処置することを必要とする患者に、有効量のラスミジタンを有効量のガルカネズマブとの組み合わせで同時に、別個に、または順次に投与することを含む、該患者において片頭痛を処置する今回提供される併用方法は、これらの不適切に処置された片頭痛患者に有効性をさらに提供することができ、それにより該患者は、ラスミジタンによる処置後2時間で、より好ましくはラスミジタンによる処置後1時間で疼痛がなくなることができ、さらにより好ましくは、ラスミジタンにより処置後2時間で該患者の最も厄介な症状からの緩和も経験するであろう。好ましくは、本発明の組み合わせによって処置される患者は、MIDASなど、当業者に周知の方法によって、または周知の生活の質の測定尺度によって評価されるような、持続的な疼痛の緩和、および/またはより好ましくは片頭痛による疼痛がなくなり、および/または片頭痛障害がなくなることも潜在的に経験することができる。好ましくは、本発明の組み合わせで処置される患者は、1か月に3日以下の片頭痛、より好ましくは1か月に1日以下の片頭痛を経験するであろう。好ましくは、本発明の組み合わせは、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛の処置において、直前で説明したように、有効性の形態でさらなる潜在的な利点を提供することができる。好ましくは、本発明の併用療法は、望ましい臨床上の安全性および忍容性を実証するのと同時に、本明細書に説明する改善された片頭痛処置を提供することになる。