(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】建材用持ち上げ装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20221128BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20221128BHJP
B66F 9/12 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
B66F9/14 F
B66F9/12 U
(21)【出願番号】P 2021138521
(22)【出願日】2021-08-27
(62)【分割の表示】P 2018116670の分割
【原出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-171777(JP,U)
【文献】特開平06-073890(JP,A)
【文献】特開2013-155517(JP,A)
【文献】特開2003-026397(JP,A)
【文献】特開平07-127270(JP,A)
【文献】特開平07-215693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E04G 21/14-21/22
B66F 9/12
B66F 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置箇所が構造物の高所となっていて長さ方向が水平方向又は略水平方向となっている建材の前記長さ方向の両端部を2個の保持部材で保持させるために前記建材を持ち上げるための建材用持ち上げ装置であって、
前記建材を支持するために前記建材の長さ方向に離れて2個設けられた支持部材と、これらの支持部材が配置された構造体と、を含んで構成され、前記構造体が、前記2個の支持部材による前記建材の支持位置を左右方向に調整可能とするための左右移動機構を有して構成され
、
前記構造体は、この構造体を上昇させるためのリフト手段によって持ち上げられる基本部材と、この基本部材と結合されている第1中間部材と、この第1中間部材に対して前記建材の前記長さ方向となっている前記左右方向に移動可能となっている第2中間部材と、この第2中間部材と結合され、前記左右方向が長さ方向となって前後方向に2個並設されている桁部材と、これらの桁部材と結合され、前記前後方向が長さ方向となって前記左右方向に2個並設されている梁部材と、を含んで構成されているとともに、前記第1中間部材と前記第2中間部材は、前記2個の梁部材の前記左右方向の間に配置され、
前記2個の支持部材は、前記2個の梁部材に配置され、
前記左右移動機構は、前記第1中間部材と前記第2中間部材との間に、前記第1中間部材に対して前記第2中間部材を前記左右方向に移動させるものとなって配置されていることにより、前記リフト手段によって上昇する前記構造体に前記左右移動機構が配置され、
前記基本部材と前記第1中間部材とに対して前記第2中間部材と前記2個の桁部材と前記2個の梁部材とが、前記左右移動機構によって前記左右方向に移動可能となっていることにより、前記2個の支持部材が、前記左右方向の間隔が不変となって一体に前記左右方向に移動可能となっていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建材用持ち上げ装置において、前記第1中間部材は、前記左右方向が長さ方向となっている部材であって、この第1中間部材は前記前後方向に2個設けられているとともに、前記第2中間部材は、前記2個の第1中間部材の長さ方向の途中において、前記前後方向が長さ方向となって1個配置され、それぞれの前記第1中間部材と前記第2中間部材との間に前記左右移動機構が設けられていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建材用持ち上げ装置において、前記左右移動機構は、前記第1中間部材と前記第2中間部材との間に架け渡されたリニアシリンダによるものとなっていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の建材用持ち上げ装置において、前記基本部材は、前記前後方向が長さ方向となって前記左右方向に2個設けられた筒部材となっており、前記リフト手段は、前記筒部材の内部に前方延出部が挿入されるフォークを備えているフォークリフト車両となっていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の建材用持ち上げ装置において、前記構造体は、前記フォークリフト車両に着脱可能にセットされるアタッチメント台となっていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の建材用持ち上げ装置において、前記建材は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸であることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の建材用持ち上げ装置において、前記建材は、シャッターカーテンを巻き取り、繰り出すための巻取軸と、この巻取軸に巻き取られた前記シャッターカーテンとの結合体であることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の建材用持ち上げ装置において、前記支持部材と前記梁部材との間には、前記梁部材に対して上下移動機構により上下方向に移動する昇降部材が配置され、この昇降部材に前記支持部材が配置されていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の建材用持ち上げ装置において、前記2個の支持部材のそれぞれは、前記建材が載置される載置部材であることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の建材用持ち上げ装置において、それぞれの前記載置部材は、
前記前後方向に2個配置された載置半部材からなることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の建材用持ち上げ装置において、前記2個の載置半部材についての間隔が調整可能となっていることを特徴とする建材用持ち上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置箇所が高所となっている建材の長さ方向の両端部を2個の保持部材で保持させるために建材を持ち上げるための建材用持ち上げ装置に係り、例えば、シャッター装置のシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸や、巻取軸とシャッターカーテンとの結合体等の建材を持ち上げるために利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、シャッター装置のシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取り、長さ方向が水平方向又は略水平方向となっている巻取軸と、この巻取軸の長さ方向の両端部を支持するためにこの両端部に予め取り付けられたブラケットとを、シャッター装置が設置される建築物等の構造物の高所に配置するために、巻取軸及びブラケットとを持ち上げることが示されている。この特許文献1に示されている技術では、構造物の高所に配置されたチェーンブロックにより、構造物のための建材となっている巻取軸及びブラケットを吊り下げて持ち上げることにより、巻取軸の長さ方向の両端部に配置されているブラケットを、構造物の高所に配置されている2個の保持部材により保持させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように配置箇所が構造物の高所となっているシャッター装置の巻取軸等の建材を持ち上げるための作業では、建材の長さ方向のそれぞれの端部を2個の保持部材で所定どおり保持させるために、この建材の長さ方向のそれぞれの端部の高さ位置を2個の保持部材の高さ位置と一致させながら建材の持ち上げを行うことが求められる。
【0005】
本発明の目的は、建材の持ち上げ作業を、建材の長さ方向のそれぞれの端部の高さ位置を2個の保持部材の高さ位置と一致させながら行うことができるようになる建材用持ち上げ装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建材用持ち上げ装置は、配置箇所が構造物の高所となっていて長さ方向が水平方向又は略水平方向となっている建材の前記長さ方向の両端部を2個の保持部材で保持させるために前記建材を持ち上げるための建材用持ち上げ装置であって、前記建材を支持するために前記建材の長さ方向に離れて2個設けられた支持部材と、これらの支持部材が配置されたフレーム状構造体と、を含んで構成され、前記フレーム状構造体が、前記2個の支持部材による前記建材の上下方向の支持位置を、それぞれの前記支持部材について個別に調整可能とするための上下移動機構を有して構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係る建材用持ち上げ装置は、建材を支持するために建材の長さ方向に離れて2個設けられた支持部材と、これらの支持部材が配置されたフレーム状構造体と、を含んで構成されたものとなっており、フレーム状構造体が、2個の支持部材による建材の上下方向の支持位置を、それぞれの支持部材について個別に調整可能とするための上下移動機構を有して構成されているため、2個の支持部材による建材の上下方向の支持位置を、それぞれの支持部材について個別に調整することができることになり、これにより、建材の持ち上げ作業を、建材の長さ方向のそれぞれの端部の高さ位置を2個の保持部材の高さ位置と一致させながら行うことができ、このため、作業の容易化や作業性の向上を図ることができる。
【0008】
なお、以上の本発明において、前記上下移動機構は、2個の支持部材による建材の上下方向の支持位置を、作業現場の床に近いフレーム状構造体における低い位置から保持部材によって建材の長さ方向の端部を保持するための高い位置まで、それぞれの支持部材について個別に移動させるものでもよく、あるいは、保持部材によって建材の長さ方向の端部を保持するための高い位置よりも少し低い位置まで上昇させたフレーム状構造体において、2個の支持部材による建材の上下方向の支持位置を、保持部材によって建材の長さ方向の端部を保持するための高さ位置まで、それぞれの支持部材について個別に移動させるものでもよい。
【0009】
また、建材の長さ方向のそれぞれの端部を保持するための2個の保持部材は、前方に向かって開口した凹部を有するものになっていて、この凹部に建材の長さ方向の両端部が挿入されることによりこの両端部が保持されるものでもよく、あるいは、建材の長さ方向の両端部が上から落とし込まれることによりこの両端部が保持されるポケット状等のものとなっているものでもよく、あるいは、建材の長さ方向の両端部がボルト等の結合具で結合されることによりこの両端部が保持される柱状部材等のものでもよい。
【0010】
また、本発明に係る建材用持ち上げ装置を、フレーム状構造体が、2個の支持部材による建材の前後方向の支持位置を、それぞれの支持部材について個別に調整可能とするための前後移動機構を有して構成されたものとしてもよい。
【0011】
このように本発明に係る建材用持ち上げ装置を、フレーム状構造体が、2個の支持部材による建材の前後方向の支持位置を、それぞれの支持部材について個別に調整可能とするための前後移動機構を有して構成されたものとすると、2個の支持部材による建材の前後方向の支持位置を、それぞれの支持部材について個別に調整することができるため、建材を持ち上げたときに、建材の長さ方向の両端部の位置が前後方向にずれていても、このずれを前後移動機構により修正して、建材の長さ方向の両端部を2個の保持部材に保持させる作業を実施できることになる。
【0012】
また、以上の本発明において、建材を支持するためにこの建材の長さ方向に離れて2個設けられる支持部材は、建材が載置される載置部材でもよく、あるいは、建材を吊り下げ支持するためのワイヤー等の紐状部材でもよい。
【0013】
また、建材を支持するためにこの建材の長さ方向に離れて2個設けられる支持部材を、建材が載置される載置部材とする場合には、それぞれの載置部材を前後方向に2個配置された載置半部材からなるものとしてもよい。
【0014】
さらに、それぞれの載置部材を前後方向に2個配置された載置半部材からなるものとする場合には、2個の載置半部材についての間隔を調整可能とすることが好ましい。
【0015】
このようにそれぞれの載置部材を、前後方向に2個配置された載置半部材からなるものとし、これらの載置半部材についての間隔を調整可能とすると、載置部材は、前後方向の寸法が異なる各種の建材について汎用性を有するものとなる。
【0016】
なお、2個の載置半部材についての間隔を調整可能とするためには、2個の載置半部材のうち、1個又は2個の載置半部材を配置する位置を、作業者が手作業によって変更可能とするようにしてもよく、あるいは、2個の載置半部材のうち、1個又は2個の載置半部材の配置位置を、電動モータで回転する送りねじやシリンダ等による駆動手段により自動的に変更可能とするようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る建材用持ち上げ装置は、任意の建材を持ち上げるために用いることができ、その一例の建材は、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸であり、他の例の建材は、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、この巻取軸に上端が結合され、巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンとの結合体である。
【0018】
なお、これらの巻取軸や結合体は、巻取軸の長さ方向の両端部を支持するブラケットが予め取り付けられたものでもよい。
【0019】
以上のほかに、本発明に係る建材用持ち上げ装置は、長さ方向の両端部が柱の上端で保持される梁部材や桁部材等の建材の持ち上げ作業のためにも用いることができる。
【0020】
さらに、本発明において、前記フレーム状構造体を、前述したように、建材の長さ方向の両端部を2個の保持部材によって保持するための高い位置よりも少し低い位置まで上昇させるようにしてもよく、このためには、本発明に係る建材用持ち上げ装置を、フレーム状構造体を上昇させるためのリフト手段を備えているものとしてもよい。
【0021】
このリフト手段は、フォークリフト車両でもよく、あるいは、クレーン車両でもよく、あるいは、チェーンブロックでもよく、あるいは、ホイスト等でもよい。
【0022】
リフト手段をフォークリフト車両とする場合には、フレーム状構造体を、フォークリフト車両のフォークが内部に挿入される基本部材を有していて、このフォークリフト車両に着脱可能にセットされるアタッチメント台とすることが好ましい。
【0023】
このようにフレーム状構造体を、フォークリフト車両のフォークが内部に挿入される基本部材を有していて、フォークリフト車両に着脱可能にセットされるアタッチメント台とすると、フォークリフト車両に対するフレーム状構造体の取り付け及び取り外しを容易に行え、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、建材の持ち上げ作業を、建材の長さ方向のそれぞれの端部の高さ位置を2個の保持部材の高さ位置と一致させながら行うことができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る持ち上げ装置が適用される建材となっている巻取軸を含んで構成されたシャッター装置の全体を示す正面図である。
【
図2】
図2は、巻取軸の長さ方向の両端部を、シャッター装置が設置される構造物の高所に2個配設された保持部材となっているブラケットによって保持させたときの状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る持ち上げ装置を構成するフレーム状構造体の全体を示す平面図である。
【
図4】
図4は、フレーム状構造体の全体を示す正面図である。
【
図8】
図8は、フレーム状構造体の全体を示す側面図である。
【
図9】
図9は、フレーム状構造体に設けられているX字型リンク機構を示す側断面図である。
【
図11】
図11は、
図9に示されている前後案内手段のうちのガイドローラの部分を示す正断面図である。
【
図12】
図12は、
図9に示されている前後案内手段のうちのサイドローラの部分を示す正断面図である。
【
図13】
図13は、巻取軸を支持する支持部材となっている載置部材が上下移動機構により上昇したときを示す
図8と同様の図である。
【
図14】
図14は、フレーム状構造体をリフト手段であるフォークリフト車両のフォークに取り付けたときを示す側面図である。
【
図15】
図15は、フレーム状構造体をフォークリフト車両のフォークにより上昇させたときを示す正面図であって、フォークリフト車両を二点鎖線で示した図である。
【
図16】
図16は、フレーム状構造体の載置部材に載置された巻取軸の端部をブラケットに保持させるときの状態を示す側面図である。
【
図17】
図17は、フレーム状構造体の載置部材に載置される巻取軸を直径が大きいものとするために、載置部材を構成している2個の載置半部材の間隔を大きくしたときの状態を示す
図8と同様の図である。
【
図18】
図18は、フレーム状構造体の載置部材に載置される建材を巻取軸とシャッターカーテンとの結合体としたときの状態を示す
図8と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る建材用持ち上げ装置が適用される建材を用いて組み立てられたシャッター装置の全体正面図が示されている。構造物である建物に設置されるこのシャッター装置は、建物に形成された開口部となっている出入口10を上下方向に開閉するシャッターカーテン1と、このシャッターカーテン1の上下移動を案内するために、建物の不動部材となっている柱等の躯体7に取り付けられ、シャッターカーテン1の幅方向の両端部が上下にスライド自在に挿入された左右2個のガイドレール2と、出入口10の上側に建物の不動部材となって設けられている壁等の躯体8に取り付けられた左右2個のブラケット3と、これらのブラケット3により長さ方向である軸方向の両端部が保持された巻取軸4と、巻取軸4の軸方向の両端部を保持するための保持部材となっている2個のブラケット3に水平又は略水平に架け渡された巻取軸4に上端が結合されているシャッターカーテン1を巻取軸4で巻き取り、巻取軸4から繰り出すために、2個のブラケット3のうちの一方に取り付けられ、巻取軸4を正逆回転させるための電動モータとブレーキの組み合せからなる開閉機5と、この開閉機5の駆動力を巻取軸4に伝達するためのスプロケットホイールやチェーンによる駆動力伝達装置6とを含んで構成されており、躯体8には、長さ方向が水平方向又は略水平方向となっている巻取軸4を内部に収納するためのシャッターケース9が取り付けられている。
【0027】
2個のブラケット3により長さ方向の両端部が保持されている巻取軸4が開閉機5の駆動力で正逆回転することにより、上端が巻取軸4に結合されているシャッターカーテン1は、出入口10において、ガイドレール2に案内されながら上下に移動して出入口10を開閉し、シャッターカーテン1が全閉となったときには、シャッターカーテン1の下端を形成している座板1Aは床11に達する。また、シャッターカーテン1が全開となったときには、座板1Aは、シャッターカーテン1を上下に挿通させるためのスリットが形成されているシャッターケース9の下面9Aに達し、これにより、シャッターカーテン1は、出入口10の全体又は略全体を開放する。このため、シャッターカーテン1により出入口10の全部又は略全部が開閉される。
【0028】
なお、巻取軸4に結合されているシャッターカーテン1の上端は図示外の吊元部材により形成されており、この吊元部材と、シャッターカーテン1の下端を形成している座板1Aとを除くシャッターカーテン1の全部又は大部分は、
図1に示されているように、上下に多数連設されたスラット1Bにより形成されており、それぞれのスラット1Bの上下端部に設けられているカール部同士が回動自在に係合していることにより、スラット1B同士が連結されている。
【0029】
このシャッター装置では、シャッターカーテン1や巻取軸4は、建物に設置されるシャッター装置を構成するための部材となっているため、これらのシャッターカーテン1や巻取軸4は、本実施形態に係るシャッター装置のための建材となっている。なお、後述する本発明の一実施形態に係る建材用持ち上げ装置は、開閉機5によりシャッターカーテン1が開閉移動する自動式シャッター装置のためのシャッターカーテン1と巻取軸4はもちろんのこと、手動操作によりシャッターカーテンを開閉移動させる手動式シャッター装置のためのシャッターカーテンと巻取軸にも適用できる。
【0030】
図2には、
図1で示した巻取軸4の長さ方向の両端部を、この巻取軸4の長さ方向の間隔をあけて躯体8に取り付けられている2個のブラケット3によって保持させた作業が終了したときの状態が示されている。そして、
図2は、巻取軸4へのシャッターカーテン1の上端の結合作業がまだ行われておらず、躯体7へのガイドレール2の取付作業及び躯体8へのシャッターケース9の取付作業等もまだ行われていないときの状態を示している。
【0031】
なお、本実施形態において、
図2に示されているように、巻取軸4の軸方向の両端部は細径の首部4Aとなっており、これらの首部4Aが、それぞれのブラケット3に前方に向かって開口形成されている凹部3A(
図16も参照)に挿入されることにより、巻取軸4の軸方向の両端部は2個のブラケット3により保持されることになる。また、それぞれの首部4Aには、
図2で示されている軸受部材12が回転自在に配置されており、これらの軸受部材12がボルト等でブラケット3に結合されることにより、巻取軸4は、ブラケット3に軸受部材12を介して回転自在に保持されることになる。
【0032】
図3には、本発明の一実施形態に係る建材用持ち上げ装置を構成しているフレーム状構造体20の全体平面図が示され、
図4は、このフレーム状構造体20の全体正面図であり、
図8は、フレーム状構造体20の全体側面図である。
図3及び
図4に示されているように、フレーム状構造体20は、巻取軸4の長さ方向である左右方向に離れて配置された2個の基本部材21を有するものとなっており、長さ方向が前後方向となっているこれらの基本部材21は、
図14で示すフォークリフト車両80のフォーク81のうち、フォークリフト車両80の前方へ延びる前方延出部81Cが内部に挿入されるものとなっているため、これらの基本部材21は角筒部材により形成されている。また、
図3に示されているように、フレーム状構造体20は、左右方向が長さ方向となって前後方向に並設に配置されている2個の第1中間部材22と、これらの第1中間部材22の長さ方向中央部において、前後方向が長さ方向となって配置されている第2中間部材23とを有するものとなっている。
【0033】
2個の第1中間部材22は、
図4と、
図3のS5-S5線断面図である
図5とに示されているように、それぞれの基本部材21の上面に載置されているとともに、それぞれの基本部材21にブラケット24により第1中間部材22は結合されている。また、
図5に示されているように、第2中間部材23は、それぞれの第1中間部材22の上側に少しのすき間をあけて配置され、この第2中間部材23と第1中間部材22との間には、第1中間部材22に対して第2中間部材23を左右方向に移動させるためのリニアシリンダによる左右移動機構25が配置されている。この左右移動機構25は、本実施形態では、
図3に示されているように、第2中間部材23と、それぞれの第1中間部材22の長さ方向の両端部との間に架け渡されているため、フレーム状構造体20には、合計4個の左右移動機構25が配置されている。それぞれの左右移動機構25は、電動モータと、この電動モータで回転する雄ねじ部材と、この雄ねじ部材に螺合した雌ねじ部材とを含んで構成されており、電動モータが正逆回転することによる雌ねじ部材の移動により、第2中間部材23は、2個の第1中間部材22と、これらの第1中間部材22が取り付けられている2個の基本部材21とに対して左右方向に移動する。
【0034】
図3に示されているように、フレーム状構造体20は、2個の第1中間部材22の外側において、左右方向が長さ方向となっている2個の桁部材26が前後方向に並設されたものとなっている。
図4に示されているように、2個の基本部材21の上側に配置されているこれらの桁部材26は、
図4のS6-S6線断面図である
図6と、
図4のS7-S7線断面図である
図7とに示されているように、下向きに開口した一対のリップ部26A付きのチャンネル材によって形成されている。また、
図3に示されているように、第2中間部材23の長さ方向の両端部はこれらの桁部材26の上側まで達しており、第2中間部材23の長さ方向の両端部の下面は、これらの桁部材26の上面に溶接等で結合されている。このため、左右移動機構25により、第2中間部材23が2個の第1中間部材22と2個の基本部材21とに対して左右方向に移動すると、2個の桁部材26も2個の第1中間部材22と2個の基本部材21とに対して左右方向に移動する。
【0035】
2個の基本部材21に対する2個の桁部材26の左右方向の移動を円滑に行わせるために、
図4に示されているように、基本部材21と桁部材26との間に左右案内手段27が設けられている。これらの左右案内手段27は、
図6及び
図7に示されているように、それぞれの基本部材21の上面に固定された軸受け部材28と、この軸受け部材28に軸方向が前後方向となって水平に支持された軸部材29と、この軸部材29の両端部に回転自在に取り付けられた2個のガイドローラ30と、軸受け部材28に前後方向に離れて2個設けられ、それぞれの軸方向が鉛直方向となっている軸部材31と、これらの軸部材31に回転自在に取り付けられたサイドローラ32とを有するものとなっており、ガイドローラ30とサイドローラ32は、それぞれの桁部材26の内部に配置されている。このため、左右移動機構25による2個の基本部材21に対する2個の桁部材26の左右方向の移動は、桁部材26の重量がガイドローラ30で受けられながら行われ、また、2個の桁部材26は、サイドローラ32による案内作用により、前後方向に振られることなく、2個の基本部材21に対して正確に左右方向に移動する。
【0036】
また、
図3に示されているように、フレーム状構造体20は、2個の桁部材26の長さ方向の両端部の上側において、前後方向が長さ方向となっている2個の梁部材33が左右方向に並設されたものとなっており、これらの梁部材33は
図4及び
図8にも示されており、それぞれの梁部材33の下面は2個の桁部材26の上面に溶接等で結合されている。このため、左右移動機構25により2個の桁部材26が2個の基本部材21に対して左右方向に移動すると、2個の梁部材33も2個の基本部材21に対して左右方向に移動する。
【0037】
それぞれの梁部材33の上側には、
図8に示されているように、梁部材33と同様に前後方向が長さ方向となっていて、長さ寸法が梁部材33の長さ寸法よりも短くなっている昇降部材34が、梁部材33との間に少しのすき間をあけて配置されている。この昇降部材34は、梁部材33に対して前後方向に移動自在となっており、梁部材33に対する昇降部材34の前後方向の移動を円滑に行わせるために、
図8の梁部材33と昇降部材34を断面で示している
図9に示されているように、梁部材33と昇降部材34との間に前後案内手段35が設けられている。
【0038】
本実施形態に係る前後案内手段35は、昇降部材34の後部の高位部34Bの下部に連結されているパンタグラフ機構36の基礎部材36A(
図4も参照)を介して昇降部材34に結合された軸受け部材37と、前後案内手段35の配置箇所での断面図を示している
図11及び
図12に示されているように、軸受け部材37に軸方向が左右方向となって水平に支持された軸部材38と、この軸部材38の両端部に回転自在に取り付けられた2個のガイドローラ39と、軸受け部材37に左右方向に離れて2個設けられ、それぞれの軸方向が鉛直方向となっている軸部材40と、これらの軸部材40に回転自在に取り付けられたサイドローラ41とを有するものとなっている。ガイドローラ39とサイドローラ41は、上向きに開口した一対のリップ部33A付きのチャンネル材で形成されている梁部材33の内部に配置されており、また、サイドローラ41は、
図9に示されているように、軸受け部材37の前後両端部に設けられている。このため、それぞれの梁部材33に対する昇降部材34の前後方向の移動は、昇降部材34の重量がガイドローラ39で受けられながら行われ、また、昇降部材34は、サイドローラ41による案内作用により、左右方向に振られることなく、梁部材33に対して正確に前後方向に移動する。このため、昇降部材34は、前後方向にも移動する前後移動部材ともなっている。
【0039】
図8に示されているように、梁部材33と昇降部材34との間、又は梁部材33が結合されている2個の桁部材26のうち、前側の桁部材26と昇降部材34との間には、梁部材33に対して昇降部材34を前後方向に移動させるためのリニアシリンダによる前後移動機構42が配置されている。この前後移動機構42は、前述した左右移動機構25と同様に、電動モータと、この電動モータで回転する雄ねじ部材と、この雄ねじ部材に螺合した雌ねじ部材とを含んで構成されており、電動モータが正逆回転することによる雌ねじ部材の移動により、昇降部材34は、前後案内手段35で案内されながら梁部材33に対して前後方向に移動する。
【0040】
本実施形態の前後移動機構42には、
図3に示されているように、フレーム状構造体20の左右両端部に配置されているそれぞれの梁部材33及び昇降部材34の左右方向両側に配置された二種類の前後移動機構42A,42Bがあり、一方の前後移動機構42Aは、梁部材33が結合されている2個の桁部材26のうち、前側の桁部材26と、昇降部材34側の部材となっている上述のパンタグラフ機構36の基礎部材36Aとの間に架け渡されており、他方の前後移動機構42Bは、梁部材33と、昇降部材34側の部材となっているパンタグラフ機構36の基礎部材36Aとの間に架け渡されている。このように二種類の前後移動機構42A,42Bがそれぞれの梁部材33及び昇降部材34の左右方向両側に配置されていることにより、後述するように、昇降部材34に重量物の建材となっている
図2で示した巻取軸4の重量が作用しても、昇降部材34を梁部材33に対して所定どおり前後方向に移動させることができる。
【0041】
なお、前後移動機構42の一方の端部をパンタグラフ機構36の基礎部材36Aに連結するのではなく、昇降部材34に連結することにより、前後移動機構42を、梁部材33が結合されている2個の桁部材26のうち、前側の桁部材26と昇降部材34との間や、梁部材33と昇降部材34との間に架け渡してもよい。
【0042】
図4に示されているように、昇降部材34の後部に形成された前述の高位部34Bと前後案内手段35の軸受け部材37との間に配置されているパンタグラフ機構36は、菱形状に配置された4個のリンク部材45~48と、上側の2個のリンク部材45,46の互いに接近している端部を高位部34Bに結合された上部部材36Bに回転自在に結合するための軸49,50と、下側の2個のリンク部材47,48の互いに接近している端部を前述した基礎部材36Aに回転自在に結合するための軸51,52と、左右方向のうち、一方側に配置された2個のリンク部材46と48の端部同士を回転自在に連結している軸53に取り付けられている電動モータ54と、この電動モータ54の駆動力で正逆回転する雄ねじ棒55と、この雄ねじ棒55の外周に螺合され、左右方向のうち、他方側に配置された2個のリンク部材45と47の端部同士を回転自在に連結している軸56に取り付けられている雌ねじ部材57とを含んで構成されている。電動モータ54により雄ねじ棒55が正逆回転すると、雌ねじ部材57が雄ねじ棒55の長さ方向に移動するため、4個のリンク部材45~48で形成されている菱形状が変形して昇降部材34は梁部材33に対して昇降する。
【0043】
このため、パンタグラフ機構36は、昇降部材34を梁部材33に対して上下方向に移動させるための上下移動機構43ともなっている。
図13には、この上下移動機構43により、昇降部材34が梁部材33に対して上昇したときの状態が示されている。
【0044】
また、
図9に示されているように、梁部材33と昇降部材34との間には、第1リンク部材58と第2リンク部材59をX字状に交叉させたX字型リンク機構60が配置されている。
図11及び
図12で示したように、上向きに開口した一対のリップ部33A付きのチャンネル材で形成されている梁部材33に対して昇降部材34は、
図9のS10-S10線断面図である
図10に示されているように、下向きに開口した一対のリップ部34A付きのチャンネル材で形成されており、これらの梁部材33と昇降部材34の内部に2個のX字型リンク機構60が左右方向に配置され、両方のX字型リンク機構60の第1リンク部材58と第2リンク部材59は、これらの第1及び第2リンク部材58,59が交叉している中央部に回転自在に設けられた中心軸61により連結されている。
図9及び
図10から分かるように、第1リンク部材58の長さ方向の一方の端部には、昇降部材34の内部に固定配置された軸受け部材62で支持された軸62Aが回転自在に挿通され、他方の端部には、ローラ63が軸63Aを中心に回転自在に取り付けられている。また、第2リンク部材59の長さ方向の両端部には、ローラ64,65が軸64A,65Aを中心に回転自在に取り付けられている。ローラ64は昇降部材34の内部に配置され、ローラ63と65は梁部材33の内部に配置されている。
【0045】
図10に示されているように、ローラ64は、昇降部材34のリップ部34Aの内部上面に載せられている。また、軸62A,63A,64A,65Aは、梁部材33と昇降部材34の内部に左右2個配置されているX字型リンク機構60の第1リンク部材58、第2リンク部材59について共通の軸となっている。
【0046】
以上のX字型リンク機構60では、前後移動機構42により梁部材33に対して昇降部材34が前後方向に移動するときには、ローラ63~65の回転によって昇降部材34は梁部材33に対して前後方向に移動する。また、パンタグラフ機構36による上下移動機構43により、梁部材33に対して昇降部材34が上下方向に移動するときには、中心軸61を中心に第1リンク部材58と第2リンク部材59が回動するX字型リンク機構60の変形と、ローラ63~65の回転とにより、昇降部材34は梁部材33に対して上下方向に移動する。
【0047】
なお、本実施形態では、パンタグラフ機構36による上下移動機構43は、梁部材33と昇降部材34の長さ方向の一方の端部に、具体的には、梁部材33と昇降部材34の長さ方向の後端部に配置されているが、X字型リンク機構60は、
図8、
図9及び
図13に示されているように、梁部材33と昇降部材34の長さ方向の中央部又は略中央部に配置されているため、上下移動機構43による梁部材33に対する昇降部材34の上下移動を、梁部材33に対する昇降部材34の平行状態又は略平行状態を維持させて行わせることができるようになっている。
【0048】
図10に示されているように、昇降部材34の上面には、2個の壁部材66が左右に離れて固定配置されており、
図3に示されているように、これらの壁部材66は前後方向の長さを有しているため、昇降部材34の上面には、前後方向が長さ方向となっている溝部67が2個の壁部材66の間に形成されている(
図8も参照)。このような溝部67は、
図3に示されているように、フレーム状構造体20の左右両端部に2個配置されているそれぞれの昇降部材34の上面に設けられている。それぞれの溝部67には、
図2で示した巻取軸4を昇降部材34の上に載置するための載置部材68が挿入配置され、壁部材66よりも大きい上下寸法を有しているこれらの載置部材68は、巻取軸4を支持するために、巻取軸4の長さ方向に離れてフレーム状構造体20に2個設けられた支持部材となっている。
【0049】
図3及び
図8に示されているように、本実施形態に係る載置部材68は、巻取軸4の長さ方向と直交する水平方向又は略水平方向になっている前後方向に配置された2個の載置半部材68Aによるものとなっている。また、それぞれの載置半部材68Aは溝部67に置かれているため、作業者は手作業により、それぞれの載置半部材68Aの配置位置を、溝部67内において変更することができ、このため、2個の載置半部材68Aの間隔は調整可能となっている。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る建材用持ち上げ装置を構成しているフレーム状構造体20では、前述の
図3で示した左右移動機構25により、基本部材21に対して2個の桁部材26が左右方向に移動すると、これらの桁部材26に結合されている2個の梁部材33も左右方向に移動し、これらの梁部材33の上側に配置されているそれぞれの昇降部材34は、パンタグラフ機構36と
前後案内手段35とを介して梁部材33とは左右方向に連結されているため、梁部材33と共に昇降部材34も左右方向に移動し、これらの昇降部材34に配置されている載置部材68も左右方向に移動する。また、前述した前後移動機構42により、梁部材33に対して昇降部材34が前後方向に移動すると、載置部材68も前後方向に移動する。さらに、パンタグラフ機構36による上下移動機構43により、梁部材33に対して昇降部材34が上下方向に移動すると、載置部材68も上下方向に移動する。
【0051】
このため、巻取軸4を支持するための支持部材として、巻取軸4の長さ方向に離れてフレーム状構造体20に2個配置されている載置部材68は、左右移動機構25と前後移動機構42と上下移動機構43とによる左右、前後、上下の三次元移動が可能となってフレーム状構造体20に配置されていることになる。
【0052】
また、本実施形態では、フレーム状構造体20を構成するそれぞれの部材の前述した2個の第1中間部材22と、第2中間部材23と、第2中間部材23に結合されている2個の桁部材26と、それぞれの桁部材26に結合されている2個の梁部材33により、基本部材21に対して左右移動機構25により左右方向に移動する左右移動台44(
図3を参照)が構成されていることになる。また、梁部材33に対して前後移動機構42により前後方向に移動する昇降部材34は、左右移動台44に対して前後方向に移動可能となった前後移動台ともなっており、本実施形態では、昇降部材34は2個あるため、この前後移動台もフレーム状構造体20に2個設けられていることになる。
【0053】
また、本実施形態では、左右移動台44と、昇降部材34による前後移動台とにより、基本部材21に対して左右移動機構25及び前後移動機構42により左右方向及び前後方向に移動する二次元移動台が構成されていることになり、2個の昇降部材34に2個の載置部材68が配置されているため、この二次元移動台には、2個の載置部材68が配置されていることになる。
【0054】
また、前後移動台となっているそれぞれの昇降部材34は、上下移動機構43により左右移動台44に対して上下方向に移動するため、それぞれの前後移動台は、左右移動台44に対して上下方向に移動可能であり、これらの前後移動台ごとに、2個の載置半部材68Aによる1個の載置部材68が配置されていることになる。
【0055】
さらに、本実施形態では、このようにそれぞれの昇降部材34は、梁部材33に対して上下方向に移動する部材となっているとともに、梁部材33に対して前後方向に移動する前後移動台ともなっているため、フレーム状構造体20は、部材の兼用化が図られた構造となっている。
【0056】
以上説明したフレーム状構造体20において、左右移動機構25の電動モータと、前後移動機構42の電動モータと、上下移動機構43となっているパンタグラフ機構36の電動モータ54とに電力を供給するためのバッテリ、及びこれらの電動モータを制御するための制御装置は、図示されていないが、フレーム状構造体20に搭載されている。また、それぞれの上記電動モータは、作業者によって操作される操作装置から信号が送られる上記制御装置により、駆動制御される。操作装置から制御装置への信号の送信は、無線式によるものでもよく、電気ケーブルによる有線式によるものでもよい。無線式によるものとすると、フレーム状構造体20に電気ケーブルが接続されないため、このフレーム状構造体20についての取り扱いが容易になる。
【0057】
また、本実施形態では、操作装置からの信号を受ける制御装置は、フレーム状構造体20の左右両端部に上下移動機構43として2個配置されているパンタグラフ機構36のそれぞれの電動モータ54を個別に駆動制御するものとなっている。このため、それぞれのパンタグラフ機構36は、操作装置による操作と、この操作に基づいて作動する制御装置とにより、個別に駆動され、これにより、これらのパンタグラフ機構36により上下方向に移動するそれぞれの昇降部材34に配置されている載置部材68の高さ位置は、個別に調整可能となっている。
【0058】
さらに、本実施形態では、上記制御装置は、フレーム状構造体20の左右両端部に配置されているそれぞれ2個の梁部材33及び昇降部材34ごとに設けられた前後移動機構42の電動モータを個別に駆動制御するものとなっている。このため、それぞれの前後移動機構42も、操作装置による操作と、この操作に基づいて作動する制御装置とにより、個別に駆動され、これにより、これらの前後移動機構42により前後方向に移動するそれぞれの昇降部材34に配置されている載置部材68の前後方向の位置も、個別に調整可能となっている。
【0059】
図14には、フレーム状構造体20が、このフレーム状構造体20を上昇させるためのリフト手段となっているフォークリフト車両80のフォーク81にセットされたときの状態が示されている。フォークリフト車両80の本体に対して昇降動するフォーク81は、上下方向に延びる上下延出部81Aと、この上下延出部81Aの下端から連結部81Bを介して前方へ延びる前方延出部81CとからなるL字状又は略L字状となっている。フレーム状構造体20を床82の上に置いた後に、フォーク81を下降させてフォークリフト車両80を前進させることにより、フォーク81の前方延出部81Cは、フレーム状構造体20の角筒部材で形成されている基本部材21の内部に挿入される。これにより、フレーム状構造体20は、フォークリフト車両80のフォーク81にセットされることになる。
【0060】
図3には、このときにおける基本部材21とフォーク81との関係が、フォーク81を二点鎖線にして示されている。それぞれの基本部材21の後端上面には、フォーク81の上下延出部81A及び連結部81Bを嵌入するための開口部21Aが形成され、この開口部21Aは、基本部材21の後端面も開口するものとなっている。それぞれの基本部材21の後端には、開口部21Aのうち、基本部材21の後端面を開口している部分の一部を塞いでいる抜け出し阻止手段83が設けられている。この抜け出し阻止手段83は、軸部84Aが開口部21Aを左右方向に横断しているボルト84と、基本部材21の外部で軸部84Aの端部に螺合されたナット85とからなるものであり、抜け出し阻止手段83の主要部分を形成している軸部84Aは、フォーク81の上下延出部81Aと前方延出部81Cとを湾曲して連結している連結部81Bの後側において、開口部21Aのうち、基本部材21の後端面を開口している部分の一部を塞いでいる(抜け出し阻止手段83が示されている
図14も参照)。
【0061】
このため、上述したようにフォークリフト車両80のフォーク81にフレーム状構造体20をセットした後に、ボルト84とナット85からなる抜け出し阻止手段83を基本部材21に取り付けると、基本部材21がフォーク81の前方延出部81Cから前方へ抜け出すことは、抜け出し阻止手段83のボルト84の軸部84Aがフォーク81の連結部81Bに当接することで阻止され、このため、フレーム状構造体20をフォーク81に脱落を防止して安定した状態でセットすることができる。また、抜け出し阻止手段83は、基本部材21から分離可能となっているボルト84とナット85からなるため、これらのボルト84とナット85を基本部材21から分離することにより、フレーム状構造体20をフォーク81から取り外すことも可能である。
【0062】
このため、本実施形態に係るフレーム状構造体20は、このフレーム状構造体20を上昇させるためのリフト手段となっているフォークリフト車両80のフォーク81に着脱可能にセットされるアタッチメント台となっている。
【0063】
図14は、
図2で示した巻取軸4をフレーム状構造体20の載置部材68に載置するための載置作業が完了したときの状態を示している。この載置作業は、例えば、巻取軸を載せた搬送台車の下側に、フォークリフト車両80の走行により、フォーク81にセットされたフレーム状構造体20を挿入し、次いで、フォーク81を上昇させてフレーム状構造体20も上昇させることにより、巻取軸4を、搬送台車に設けられている載置部材からフレーム状構造体20の載置部材68に受け渡すことにより実施される。もちろん、これ以外の作業、例えば、チェーンブロック等の装置を用いることにより、あるいは、作業者の手作業により、巻取軸4をフレーム状構造体20の載置部材68に載置してもよい。
【0064】
なお、載置部材68のうち、少なくとも昇降部材34と接触する底面部は、昇降部材34の材料である金属との摩擦係数が大きい、例えば、天然ゴムや合成ゴム等により形成されているため、巻取軸4を載置部材68に載置しても、載置部材68を構成している2個の載置半部材68Aが巻取軸4から後退移動することはない。
【0065】
図15には、巻取軸4を、
図2でも示した躯体8の高所に取り付けられている2個のブラケット3に保持させるために、フォークリフト車両80をシャッター装置の設置現場まで走行させた後に、フォーク81を上昇させることにより、フレーム状構造体20及び巻取軸4を持ち上げた状態が、フォークリフト車両80を二点鎖線にして示されている。
【0066】
巻取軸4を2個のブラケット3に保持させるためには、
図16から分かるように、上述したリフト手段となっているフォークリフト車両80をこれらのブラケット3の近くまで走行させるとともに、フォーク81を上昇させることにより、フレーム状構造体20の載置部材68に載置された巻取軸4の高さ位置を、ブラケット3が配置されている高さ位置に近い位置まで上昇させ、次いで、作業者による前述した操作装置の操作により、フレーム状構造体20に設けられている上下移動機構43の駆動により昇降部材34を上昇させて、載置部材68に載置された巻取軸4の高さ位置をブラケット3の高さ位置と一致させ、また、前述した左右移動台44を左右移動機構25により左右方向に移動させて、載置部材68に載置された巻取軸4の長さ方向の両端部の左右方向の位置をブラケット3の左右方向の位置と一致させる。
【0067】
この後に、作業者による操作装置の操作により、フレーム状構造体20に設けられている前後移動機構42の駆動により昇降部材34を前進させて、載置部材68に載置されている巻取軸4をブラケット3が配置されている位置まで移動させ、ブラケット3に前向きに開口して設けられている凹部3Aに、巻取軸4の前述した首部4Aを挿入する。この挿入作業を2個のブラケット3のそれぞれについて実施することにより、巻取軸4の長さ方向の両端部は、2個のブラケット3により保持される。
【0068】
以上の作業を行う際に、例えば、
図15で示されているフォークリフト車両80が乗っている床86に傾斜角度があったり、2個のブラケット3が配置されている高さ位置に上下の多少のずれがある場合には、巻取軸4の長さ方向の両端部の高さ位置が、2個のブラケット3の凹部3Aの高さ位置と一致しないことになる。このため、このようなときには、作業者による操作装置の操作により、フレーム状構造体20の左右両端部に2個配置されているパンタグラフ機構36のそれぞれの電動モータ54を個別に駆動制御し、これにより、2個の昇降部材34のそれぞれに設けられている載置部材68による巻取軸4の長さ方向の両端部の高さ位置を個別に調整し、この個別調整により、巻取軸4の長さ方向の両端部の高さ位置を、2個のブラケット3の凹部3Aの高さ位置と一致させた後に、フレーム状構造体20に配置されている前後移動機構42の駆動により昇降部材34を前進させて、2個のブラケット3の凹部3Aに巻取軸4の長さ方向の両端部を挿入する。
【0069】
以上の説明で分かるように、本実施形態では、フレーム状構造体20にパンタグラフ機構36として2個配置されている上下移動機構43は、上記操作装置及び制御装置により個別駆動できるものとなっているため、フレーム状構造体20に巻取軸4の長さ方向に離れて配置されている2個の載置部材68で支持される巻取軸4の上下方向の支持位置を、それぞれの上下移動機構43を個別駆動することにより、個別に調整することができ、このため、巻取軸4の持ち上げ作業を、巻取軸4の長さ方向のそれぞれの端部の高さ位置を2個のブラケット3の高さ位置と一致させながら行うことができる。
【0070】
また、
図15に示されているように、フォークリフト車両80を2個のブラケット3が配置されているシャッター装置の設置現場まで走行させて停止させたときに、フォークリフト車両80が2個のブラケット3に対して正確に向かい合わずに停止し、これらのブラケット3に対するフォークリフト車両80の姿勢が斜めに向かい合う姿勢となっている場合には、作業者による操作装置の操作により、フレーム状構造体20の左右両端部に2個配置されている前後移動機構42のそれぞれの電動モータを個別に駆動制御し、これにより、2個の昇降部材34を個別に前後方向に移動させることにより、これらの昇降部材34に配置されている載置部材68による巻取軸4の長さ方向の両端部の前後方向の位置を個別に調整し、これにより、2個のブラケット3の凹部3Aに、巻取軸4の長さ方向の両端部を挿入する。
【0071】
以上の説明で分かるように、本実施形態では、フレーム状構造体20の左右両端部に配置されている前後移動機構42も、上記操作装置及び制御装置により個別駆動することができるものになっているため、フレーム状構造体20に巻取軸4の長さ方向に離れて配置されている2個の載置部材68で支持されている巻取軸4の長さ方向のそれぞれの端部についての前後方向の位置を、それぞれの前後移動機構42を個別駆動することにより、個別に調整することができ、このため、巻取軸4の長さ方向の両端部を2個のブラケット3によって支持させるための作業を容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態に係る持ち上げ装置によると、巻取軸4を支持するために巻取軸4の長さ方向に離れてフレーム状構造体20に2個設けられている載置部材68は、左右移動機構25と、前後移動機構42と、上下移動機構43とにより、左右、前後、上下の三次元で移動可能となってフレーム状構造体20に配置されているため、巻取軸4の持ち上げ作業を、巻取軸4の長さ方向のそれぞれの端部の位置を2個のブラケット3による保持位置と左右、前後、上下の三次元で一致させながら行うことができる。
【0073】
また、本実施形態に係るフレーム状構造体20には、
図9で示したように、梁部材33と昇降部材34との間において、第1リンク部材58と第2リンク部材59が主要部材となって構成されているX字型リンク機構60が配置され、このX字型リンク機構60は、昇降部材34の載置部材68に重量物となっている巻取軸4が載置されたときに、巻取軸4の下向きの重量が作用する前後方向の箇所と一致又は略一致する位置に配置されているため、巻取軸4の重量を、この重量を支持するために上下に変形自在となっているX字型リンク機構60により有効に支持して、梁部材33に伝達することができる。これを言い換えると、X字型リンク機構60は、巻取軸4の下向きの重量を支持するために、この重量が作用する前後方向の箇所と一致又は略一致する位置において、梁部材33と昇降部材34との間で上下変形自在となって配置された支持機構となっており、この支持機構により、載置部材68に巻取軸4を載置しても、昇降部材34が梁部材33に対して傾斜した姿勢となることを防止できる。
【0074】
なお、梁部材に対して昇降部材を上下方向に移動させるための前述した上下移動機構となっているパンタグラフ機構を、梁部材と昇降部材との間において、巻取軸の下向きの重量が作用する箇所の前後2箇所に配置することにより、昇降部材が梁部材に対して傾斜した姿勢となることを防止するようにしてもよい。また、本実施形態のように、梁部材33の後端部と昇降部材34の後端部との間に前述したパンタグラフ機構36を配置する場合には、梁部材33と昇降部材34との間において、巻取軸の下向きの重量が作用する前後方向の箇所又はこの箇所に近い箇所にパンタグラフ機構を配置することにより、昇降部材34が梁部材33に対して傾斜した姿勢となることを防止するようにしてもよい。
【0075】
前述したように巻取軸4の長さ方向の両端部に設けられている首部4Aを2個のブラケット3の凹部3Aに挿入する作業を実施した後に、首部4Aに回転自在に配置されている前述の軸受部材12をボルト等でブラケット3に結合する作業や、2個のブラケット3のうち、一方のブラケット3に
図1で示した開閉機5と駆動力伝達装置6を取り付ける作業、巻取軸4にシャッターカーテン1の上端を結合する作業、柱等の躯体7にガイドレール2を取り付け作業、さらには、躯体8にシャッターケース9を取り付ける作業等の残余の作業を行うことにより、シャッター装置の施工作業は終了する。
【0076】
図17は、巻取軸4よりも直径が大きい巻取軸4’を載置部材68に載置した場合を示す。この巻取軸4’は、巻取軸4よりも巻取軸4の長さ方向と直交する水平方向又は略水平方向となっている前後方向の寸法が大きい建材となっており、このため、昇降部材34に設けられた溝部67に配置されている2個の載置半部材68Aの間隔を、これらの載置半部材68Aのうち、少なくとも1個の載置半部材68Aの配置位置を作業者が調整することにより、前後方向に変更する。
【0077】
また、
図18は、載置部材68に載置する建材を、巻取軸4と、
図1及び
図2に示されている建物の出入口10を開閉するために上端が巻取軸4に結合され、この巻取軸4に巻き取られているシャッターカーテン1との結合体87とした場合を示す。この結合体87は、
図17の巻取軸4’よりも直径が大きいため、2個の載置半部材68Aの間隔を、
図17で示されている間隔よりも大きくしている。
【0078】
このように本実施形態に係る載置部材68は、前後方向に2個配置される載置半部材68Aからなるとともに、これらの載置半部材68Aの間隔は調整可能となっているため、前後方向の寸法が異なる各種の巻取軸や、巻取軸とシャッターカーテンとの結合体について、載置部材68は汎用性を備えることになる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば、シャッター装置のための建材となっている巻取軸や、巻取軸とシャッターカーテンとの結合体を持ち上げるために利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 建材であるシャッターカーテン
3 保持部材であるブラケット
4,4’ 建材である巻取軸
20 構造体であるフレーム状構造体
21 基本部材
25 左右移動機構
26 桁部材
33 梁部材
43 上下移動機構
68 支持部材である載置部材
68A 載置半部材
80 リフト手段であるフォークリフト車両
81 フォーク
87 建材である巻取軸とシャッターカーテンとの結合体