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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】駆動制御装置および鉄道車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/26 20071001AFI20221128BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20221128BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20221128BHJP
   B61C 7/04 20060101ALI20221128BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20221128BHJP
   B60L 50/10 20190101ALI20221128BHJP
【FI】
B60K6/26 ZHV
B60W10/08 900
B60W20/00 900
B61C7/04
B60L9/18 A
B60L50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021513098
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2019015692
(87)【国際公開番号】W WO2020208755
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】大場 友裕
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-543674(JP,A)
【文献】特開2018-149882(JP,A)
【文献】特開平01-295605(JP,A)
【文献】特開平08-051798(JP,A)
【文献】特開平03-074200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60W 10/00-20/50
B61C 7/04
B60L 1/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に連結され、前記内燃機関に駆動されて、電力を発電し、発電した電力を出力する自励発電機と、
前記内燃機関に連結され、励磁された状態で、前記内燃機関に駆動されて、電力を発電し、発電した電力を出力する他励発電機と、
前記他励発電機から一次端子を介して供給される電力を直流電力に変換して二次端子から出力し、または、前記二次端子を介して供給される直流電力を前記他励発電機に供給するための電力に変換して前記一次端子から出力する第1電力変換部と、
前記第1電力変換部の前記二次端子の間に接続されるコンデンサと、
を備え、
前記自励発電機の出力端子は、前記コンデンサに接続される、
駆動制御装置。
【請求項2】
前記第1電力変換部が有するスイッチング素子を制御する第1制御部をさらに備え、
前記第1制御部が前記スイッチング素子を制御することで、前記第1電力変換部は、前記自励発電機が出力する電力によって充電された前記コンデンサから前記二次端子を介して供給される直流電力を前記他励発電機に供給するための電力に変換して前記一次端子から前記他励発電機に供給し、
前記他励発電機が前記第1電力変換部から電力を供給されて励磁された後に、前記第1制御部が前記スイッチング素子を制御することで、前記第1電力変換部は、前記他励発電機から前記一次端子を介して供給される電力を直流電力に変換して前記二次端子から出力する、
請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記自励発電機の発電容量は、前記他励発電機の発電容量より小さい、
請求項1または2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
一端が前記自励発電機に接続され、他端が前記コンデンサに接続される接触器と、
前記接触器を制御する接触器制御部と、をさらに備え、
前記接触器制御部は、前記内燃機関の始動後に、前記接触器を投入する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記接触器制御部は、前記コンデンサの端子間電圧が閾値電圧以上の場合に、前記接触器を開放する、
請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記自励発電機は、前記内燃機関に連結し、前記内燃機関に駆動されると、直流電力を発電し、発電した直流電力を出力する直流発電機から構成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記自励発電機は、前記内燃機関に連結し、前記内燃機関に駆動されると、交流電力を発電し、発電した交流電力を出力する交流発電機から構成され、
前記自励発電機から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を前記コンデンサに供給する第2電力変換部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
内燃機関と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動制御装置と、を備え、
前記駆動制御装置は、前記第1電力変換部から供給される直流電力を負荷に供給するための電力に変換し、変換した電力を前記負荷に供給する主インバータをさらに有する
道車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動制御装置および鉄道車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両を駆動する車両用駆動装置には、発電機および電動機を使用するタイプのものがある。この種の車両用駆動装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される車両用駆動装置は、内燃機関と、内燃機関に駆動される誘導発電機と、誘導発電機が発電した電力を用いて誘導電動機を駆動する電力変換器と、二次電池を含む蓄電装置とを備える。内燃機関に駆動されて誘導発電機が発電するためには、誘導発電機に電力を供給して、誘導発電機を励磁する必要がある。この車両用駆動装置では、蓄電装置から供給される直流電力を、電力変換器によって交流電力に変換して誘導発電機に供給する。これによって誘導発電機が励磁され、内燃機関に駆動された誘導発電機が電力を発電し、電力変換器に発電された電力が供給される。そして、電力変換器は、誘導発電機から供給される電力を、誘導電動機を駆動するための電力に変換し、変換した電力を誘導電動機に供給する。この結果、誘導電動機が駆動され、鉄道車両の推進力が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-49811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置は、二次電池の充放電を制御する充放電制御装置、二次電池の過電圧が生じているか否かを監視する監視装置、ならびに、二次電池、充放電制御装置、および監視装置を収容する筐体等を備える必要があり、装置が大きくなるという課題がある。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、小型の駆動制御装置および鉄道車両用駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の駆動制御装置は、自励発電機と、他励発電機と、第1電力変換部と、コンデンサとを備える。自励発電機は、内燃機関に連結され、内燃機関に駆動されて、電力を発電し、発電した電力を出力する。他励発電機は、内燃機関に連結され、励磁された状態で、内燃機関に駆動されて、電力を発電し、発電した電力を出力する。第1電力変換部は、他励発電機から一次端子を介して供給される電力を直流電力に変換して二次端子から出力し、または、二次端子を介して供給される直流電力を他励発電機に供給するための電力に変換して一次端子から出力する。コンデンサは、第1電力変換部の二次端子の間に接続される。自励発電機の出力端子は、コンデンサに接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1電力変換部の二次端子の間に接続されるコンデンサに、自励発電機の出力端子が接続される。これにより、第1電力変換部は、自励発電機の出力端子が接続されたコンデンサから二次端子を介して供給される直流電力を他励発電機に供給するための電力に変換して一次端子から出力する。そして、他励発電機は、第1電力変換部から電力を供給されて励磁される。この結果、他励発電機を励磁するための電力を供給する蓄電装置を設ける必要がない。このため、駆動制御装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る鉄道車両用駆動装置の構成を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る鉄道車両用駆動装置が行う他励発電機の励磁処理の動作を示すタイミングチャート
図3】実施の形態1に係る鉄道車両用駆動装置における電流の流れの一例を示す図
図4】本発明の実施の形態2に係る鉄道車両用駆動装置の構成を示すブロック図
図5】実施の形態2に係る鉄道車両用駆動装置が行う他励発電機の励磁処理の動作を示すタイミングチャート
図6】実施の形態2に係る鉄道車両用駆動装置における電流の流れの一例を示す図
図7】本発明の実施の形態3に係る鉄道車両用駆動装置の構成を示すブロック図
図8】実施の形態3に係る鉄道車両用駆動装置が行う他励発電機の励磁処理の動作を示すタイミングチャート
図9】実施の形態1に係る鉄道車両用駆動装置における電流の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る駆動制御装置および鉄道車両用駆動装置について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
発電機および電動機を使用して鉄道車両を駆動する鉄道車両用駆動装置を図1に示す。鉄道車両用駆動装置(以下、駆動装置という)1は、動力源である内燃機関2と、内燃機関2を制御する内燃機関制御部3と、内燃機関2の回転数を検出する速度センサ4と、内燃機関2に駆動されることで発電した電力を電動機5に供給する駆動制御装置10と、駆動制御装置10から供給される電力によって駆動され、鉄道車両の推進力を発生させる電動機5と、を備える。
【0011】
内燃機関2は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等から構成される。また内燃機関2は、セルモータを備える。内燃機関2の出力軸は、駆動制御装置10が備える後述の自励発電機11および他励発電機12のそれぞれの入力軸に接続されている。これにより、内燃機関2は、回転することで、自励発電機11および他励発電機12のそれぞれを駆動して発電させる。
【0012】
内燃機関制御部3には、図示しない運転台に設けられた始動スイッチから始動指令信号S1が供給され、運転台に設けられたマスターコントローラから運転指令信号S2が供給される。始動指令信号S1は、内燃機関2の始動を指示する信号である。内燃機関2を停止させておく場合、始動指令信号S1はL(Low)レベルであり、内燃機関2を始動する場合、始動指令信号S1はH(High)レベルにされる。また、運転指令信号S2は、鉄道車両の加速度を指示する力行ノッチ、鉄道車両の減速度を指示するブレーキノッチ等を示す信号とする。
【0013】
内燃機関制御部3は、始動指令信号S1がHレベルになると、内燃機関2を始動する。詳細には、内燃機関制御部3は、始動指令信号S1がHレベルになると、セルモータに制御信号を送り、セルモータを始動させる。セルモータの回転力が内燃機関2に伝達されると、内燃機関2が始動する。
また内燃機関制御部3は、内燃機関2の始動後は、運転指令信号S2が示す力行ノッチに対応する目標回転数に基づき、速度センサ4から取得した内燃機関2の実回転数を目標回転数に近づけるように、内燃機関2を制御する。なお内燃機関制御部3は、各力行ノッチに対応する目標回転数の値を予め保持している。
【0014】
速度センサ4は、内燃機関2に取り付けられたPG(Pulse Generator:パルスジェネレーター)を備える。そして、速度センサ4は、PGが出力するパルス信号から内燃機関2の回転数を算出し、内燃機関2の回転数を示す信号を出力する。具体的には、速度センサ4は、一定の時間間隔でパルス信号の立ち上がりをカウントし、一定の時間でのパルス数から内燃機関2の回転数を算出する。
【0015】
電動機5は、三相誘導電動機から構成され、駆動制御装置10が有する後述の主インバータ14が出力する交流電力で駆動されて回転する。電動機5は、例えば、継手を介して車軸に連結されており、車軸に回転力を伝達する。
【0016】
駆動制御装置10は、内燃機関2に駆動されて回転することで直流電力を発電し、発電した直流電力を出力する自励発電機11と、内燃機関2に駆動されて回転することで交流電力を発電し、発電した交流電力を出力する他励発電機12と、を備える。駆動制御装置10はさらに、他励発電機12から一次端子を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、二次端子から直流電力を出力する第1電力変換部13と、第1電力変換部13から一次端子を介して供給される直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を二次端子から出力する主インバータ14と、第1電力変換部13の二次端子間に接続されるコンデンサC1と、を備える。
【0017】
また駆動制御装置10は、第1電力変換部13を制御する第1制御部15と、主インバータ14を制御するインバータ制御部16と、をさらに備える。さらに駆動制御装置10は、第1電力変換部13の一次端子に接続され、他励発電機12と第1電力変換部13の間の回路を流れるU相、V相、W相それぞれの相電流の値を測定する電流測定部CT1と、主インバータ14から電動機5に流れるU相、V相、W相それぞれの相電流の値を測定する電流測定部CT2と、コンデンサC1に並列に接続され、コンデンサC1の端子間電圧の値を測定する電圧測定部VT1と、を備える。
【0018】
自励発電機11は、直流発電機から構成される。自励発電機11の入力軸は、内燃機関2の出力軸に連結されている。自励発電機11は、内燃機関2に駆動されると、直流電力を発電し、発電した直流電力を出力する。自励発電機11の出力端子は、コンデンサC1の両端に接続される。このため、他励発電機12が励磁されておらず、発電していない状態では、自励発電機11が直流電力を出力することで、コンデンサC1を充電する。
好ましくは、自励発電機11の発電容量は、他励発電機12の発電容量より小さい。
【0019】
他励発電機12は、第1電力変換部13から供給される電力で励磁される。また他励発電機12の入力軸は、内燃機関2の出力軸に連結されている。他励発電機12は、励磁された状態で、内燃機関2に駆動されると、交流電力を発電し、発電した交流電力を出力する。
【0020】
第1電力変換部13は、その一次端子が他励発電機12に、二次端子が主インバータ14に接続されている。第1電力変換部13は、第1制御部15の制御に従って動作する。第1電力変換部13は、内燃機関2の始動直後に充電されたコンデンサC1から、その二次端子を介して供給される直流電力を交流電力に変換して、その一次端子から他励発電機12に供給し、他励発電機12を励磁する。他励発電機12が励磁されると、内燃機関2の回転により、他励発電機12が発電を開始する。また、第1電力変換部13は、第1制御部15の制御に従って、他励発電機12の発電開始後に、他励発電機12から一次端子を介して供給される交流電力を直流電力に変換して、その二次端子から、主インバータ14に直流電力を供給する。
【0021】
主インバータ14は、インバータ制御部16の制御に従って、第1電力変換部13が二次端子から出力する直流電力を三相交流電力に変換して、電動機5に出力する。これにより、電動機5は、主インバータ14が出力する三相交流電力で駆動されて回転する。なお主インバータ14は、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数)インバータから構成される。
【0022】
速度センサ17は、電動機5に取り付けられたPGを備える。なお速度センサ17は、速度センサ4と同様に、PGが出力するパルス信号から電動機5の回転数を算出し、電動機5の回転数を示す信号を出力する。
【0023】
第1制御部15には、始動指令信号S1および運転指令信号S2が供給される。また第1制御部15は、電圧測定部VT1から、コンデンサC1の端子間電圧を取得する。さらに第1制御部15は、電流測定部CT1から、他励発電機12と第1電力変換部13の間の回路を流れるU相、V相、W相それぞれの相電流の値を取得する。
第1制御部15は、始動指令信号S1および運転指令信号S2に従って、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングを制御するスイッチング制御信号S3を出力する。具体的には、第1制御部15は、第1電力変換部13を、自励発電機11が発電した直流電力で充電されたコンデンサC1から供給される直流電力を交流電力に変換するDC(Direct Current:直流)-AC(Alternating Current:交流)コンバータ、または、他励発電機12から供給される交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータとして動作させる。
【0024】
具体的に説明すると、第1制御部15は、始動指令信号S1がLレベルであって、運転指令信号S2がブレーキ指令を示すときには、第1電力変換部13を停止させる。
また、第1制御部15は、始動指令信号S1がHレベルで、且つ、コンデンサC1の端子間電圧が、閾値電圧EFC1に達すると、第1電力変換部13を制御する。そして第1制御部15は、第1電力変換部13に、自励発電機11が発電した直流電力で充電されたコンデンサC1から供給される直流電力を交流電力に変換して、他励発電機12に供給させる。この結果、他励発電機12が励磁される。なお閾値電圧EFC1を、他励発電機12を励磁することが可能となる電圧とする。第1制御部15は、閾値電圧EFC1を予め保持している。
【0025】
第1制御部15は、電流測定部CT1が測定した相電流の振幅が閾値振幅以上であるか否かを判別する。電流測定部CT1が測定した相電流の振幅が閾値振幅である場合、他励発電機12が励磁されたとみなすことができる。なお閾値振幅は、励磁された他励発電機12が出力する電流の振幅が取り得る値より小さい値に設定される。また第1制御部15は、閾値振幅の値を予め保持している。
【0026】
そして、第1制御部15は、電流測定部CT1が測定した相電流の振幅が閾値以上であって、運転指令信号S2が力行ノッチを示す場合に、他励発電機12の出力電圧および運転指令信号S2が示す力行ノッチに対応する目標電圧に基づき、第1電力変換部13の出力電圧を目標電圧に近づけるため、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングを制御する。なお第1制御部15は、各力行ノッチに対応する目標電圧の値を予め保持している。
【0027】
インバータ制御部16には、運転指令信号S2が供給される。またインバータ制御部16は、速度センサ17から電動機5の回転数を取得する。さらにインバータ制御部16は、電流測定部CT2から、電動機5に流れる相電流の値を取得する。そして、インバータ制御部16は、運転指令信号S2と電動機5の回転数と電動機5に流れる相電流とに従って、主インバータ14の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングを制御するスイッチング制御信号S4を出力する。
【0028】
具体的には、インバータ制御部16は、運転指令信号S2が示す力行ノッチおよび速度センサ17から取得した電動機5の回転数から、電動機5の目標トルクを算出する。また、インバータ制御部16は、電流測定部CT2が測定した相電流の値から電動機5の実トルクを算出する。そして、インバータ制御部16は、電動機5の実トルクを目標トルクに近づけるため、主インバータ14の複数のスイッチング素子を制御する。
【0029】
次に、上記構成を有する駆動装置1の動作を図2(A)-(F)のタイミングチャートを参照して説明する。
内燃機関2の停止時は、図2(A),(B)に示すように、始動指令信号S1はLレベルであり、運転指令信号S2は、ブレーキノッチB1を示す。図2(C)に示すように、内燃機関2の停止時の回転数をRPM0とする。図2(D)に示すように、内燃機関2の停止時は、自励発電機11は、停止している。図2(E)に示すように、内燃機関2の停止時にコンデンサC1は放電された状態であり、放電された状態のコンデンサC1の端子間電圧を電圧EFC0とする。図2(F)に示すように、内燃機関2の停止時は、他励発電機12は停止している。以降、始動指令信号S1がLレベルからHレベルになるタイミングを時刻T1とする。
【0030】
図2(C)に示すように、始動指令信号S1が時刻T1においてLレベルからHレベルになったことに応答して、内燃機関制御部3は、内燃機関2を始動する。この結果、内燃機関2の回転数が回転数RPM0から上昇し始める。その後、内燃機関2の回転数は回転数RPM1に到達する。なお回転数RPM1を、内燃機関2が始動されていて、運転指令信号S2がブレーキノッチを示している状態での内燃機関2の回転数とする。
【0031】
また図2(D)に示すように、内燃機関2の回転数の上昇に伴って、内燃機関2に駆動される自励発電機11が発電を開始する。この結果、図3に実線の矢印A1で示すように、自励発電機11から、コンデンサC1に電流が流れ、コンデンサC1が充電される。そして、図2(E)に示すように、自励発電機11が発電した電力によってコンデンサC1が充電され、コンデンサC1の端子間電圧EFCが電圧EFC0から上昇し始める。図2(F)に示すように、他励発電機12は励磁されていないため、内燃機関2に駆動されても、発電を開始しない。
【0032】
第1制御部15は、電圧測定部VT1の出力信号により、コンデンサC1の端子間電圧をモニタしており、図2(E)に示すように、時刻T2において、端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達したと判別する。第1制御部15は、コンデンサC1の端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達したと判別すると、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフの制御を開始し、第1電力変換部13に、コンデンサC1から供給される直流電力を交流電力に変換して、他励発電機12に供給させる。この結果、図3に実線の矢印A2で示すように、第1電力変換部13から他励発電機12に電流が流れ、他励発電機12が励磁される。そして、図2(F)に示すように、時刻T2において、他励発電機12が励磁されると、内燃機関2に駆動される他励発電機12は、発電を開始する。その後、他励発電機12は、発電した交流電力を第1電力変換部13に供給する。
【0033】
また第1制御部15は、電流測定部CT1の出力信号により、他励発電機12と第1電力変換部13との間に流れる電流の振幅をモニタしている。時刻T2において他励発電機12が励磁されると、電流測定部CT1が測定した相電流の振幅は、閾値振幅以上となる。第1制御部15は、電流測定部CT1が測定した相電流の振幅が閾値振幅以上であると判別した場合、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子を制御して、第1電力変換部13に、他励発電機12から供給される交流電力を直流電力に変換して、主インバータ14に供給させる。
【0034】
その後、マスターコントローラから力行ノッチが入力され、運転指令信号S2が力行ノッチN1を示すとする。なお、このタイミングを時刻T3とする。時刻T3以降、内燃機関制御部3は、内燃機関2の回転数を力行ノッチN1に対応する回転数RPM2に近づけるように、内燃機関2を制御し、図2(C)に示すように、その回転数を回転数RPM2まで上昇させる。内燃機関2の回転数の上昇に伴い、自励発電機11および他励発電機12の回転数も上昇し、その出力電圧も上昇する。
【0035】
また、第1制御部15は、力行ノッチN1を示す運転指令信号S2に応答して、第1電力変換部13の出力電圧を力行ノッチN1に応じた一定電圧である電圧EFC2、例えば600Vに近づけるように、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフを制御する。詳細には、第1制御部15は、速度センサ4から取得した内燃機関2の回転数および電流測定部CT1から取得した相電流の値から、他励発電機12の出力電圧を算出する。そして、他励発電機12の出力電圧および運転指令信号S2が示す力行ノッチに対応する目標電圧に基づき、第1制御部15は、第1電力変換部13の出力電圧を目標電圧に近づけるように、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子の通流率を制御する。
【0036】
また、インバータ制御部16は、電流測定部CT2から取得した、電動機5に流れる相電流の値から、電動機5の実トルクを算出する。そして、インバータ制御部16は、実トルクを、力行ノッチN1に応じた目標トルクに近づけるように、主インバータ14の複数のスイッチング素子のオン・オフを制御する。これにより、時刻T3以降、運転指令信号S2に応答して、電動機5が駆動され、鉄道車両の動力が得られる。なおインバータ制御部16は、各力行ノッチに応じた目標トルクの値を予め保持している。
【0037】
以上説明したとおり、本実施の形態1に係る駆動制御装置10は、自励発電機11が発電した電力によって充電されたコンデンサC1から供給される直流電力を第1電力変換部13で交流電力に変換し、交流電力を他励発電機12に供給することで、他励発電機12を励磁する。このため、他励発電機12を励磁するための蓄電装置を設ける必要がない。これにより、駆動制御装置10および駆動装置1の小型化が可能となる。
自励発電機11の発電容量を他励発電機12の発電容量より小さくする場合、自励発電機11は、他励発電機12を励磁するための電力が得られる程度の小型の発電機から構成可能である。これにより、駆動制御装置10および駆動装置1の更なる小型化が可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
駆動制御装置10の回路構成は、自励発電機11が発電した電力でコンデンサC1を充電し、コンデンサC1から供給される電力で他励発電機12を励磁できれば、任意である。図4に示す実施の形態2に係る駆動制御装置20は、一端が自励発電機11の一方の出力端子に接続される接触器Q1と、一端が接触器Q1の他端に接続され、他端がコンデンサC1の一端に接続される抵抗R1と、接触器Q1を制御する接触器制御部18と、をさらに備える。駆動制御装置20の構造は、接触器Q1と、抵抗R1と、接触器制御部18とを除いて、駆動制御装置10の構造と同じである。
【0039】
接触器Q1は、直流電磁接触器から構成される。また接触器Q1は、接触器制御部18によって制御される。
接触器制御部18が接触器Q1を投入すると、接触器Q1の一端と他端は互いに接続される。この結果、自励発電機11と抵抗R1は互いに電気的に接続される。そして、コンデンサC1は、自励発電機11が発電した電力で充電される。なお抵抗R1が設けられていることで、接触器Q1の投入時に、コンデンサC1に突入電流が流れることが抑制される。
また接触器制御部18が接触器Q1を開放すると、接触器Q1の一端と他端は絶縁される。この結果、抵抗R1は、自励発電機11から電気的に切り離される。
【0040】
接触器制御部18は、接触器制御信号S5を接触器Q1に送り、接触器Q1を投入または開放する。なお接触器制御部18は、速度センサ4から内燃機関2の実回転数を取得する。そして、接触器制御部18は、内燃機関2の実回転数が閾値回転数に到達すると、接触器Q1を投入する。なお閾値回転数は、例えば、内燃機関2が始動し、内燃機関2に駆動されて自励発電機11が発電し始める際の内燃機関2の回転数に設定される。
【0041】
また接触器制御部18は、電圧測定部VT1からコンデンサC1の端子間電圧EFCを取得する。そして、接触器制御部18は、接触器Q1の投入後、コンデンサC1の端子間電圧EFCが、他励発電機12を励磁することが可能となる電圧である閾値電圧EFC1以上となると、接触器Q1を開放する。この結果、自励発電機11が出力する電力が、他励発電機12が発電した交流電力を直流電力に変換して出力する第1電力変換部13の出力の外乱となることが抑制される。
【0042】
次に、上記構成を有する駆動装置1の動作を図5(A)-(G)のタイミングチャートを参照して説明する。図5(A)-(F)は、図2(A)-(F)と同様である。図2と同様に、時刻T1において、始動指令信号S1が、LレベルからHレベルになる。
図5(C)に示すように、始動指令信号S1が時刻T1においてLレベルからHレベルになったことに応答して、内燃機関制御部3は、内燃機関2を始動する。この結果、内燃機関2の回転数が回転数RPM0から上昇し始める。そして、図5(D)に示すように、内燃機関2の回転数の上昇に伴って、内燃機関2に駆動される自励発電機11が発電を開始する。また図5(G)に示すように、自励発電機11が発電した電力でコンデンサC1を充電するため、接触器制御部18は、時刻T1において、接触器Q1を投入する。この結果、図6に実線の矢印A3で示すように、自励発電機11から、接触器Q1を通って、コンデンサC1に電流が流れ、コンデンサC1が充電される。そして図5(E)に示すように、自励発電機11が発電した電力によってコンデンサC1が充電され、コンデンサC1の端子間電圧EFCが電圧EFC0から上昇し始める。図5(F)に示すように、他励発電機12は励磁されていないため、内燃機関2に駆動されても、発電を開始しない。
【0043】
図5(E)に示すように、時刻T2において、端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達すると、第1制御部15は、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフの制御を開始し、第1電力変換部13に、コンデンサC1から供給される直流電力を交流電力に変換して、他励発電機12に供給させる。この結果、図6に実線の矢印A4で示すように、第1電力変換部13から他励発電機12に電流が流れ、他励発電機12が励磁される。そして、図5(F)に示すように、時刻T2において、他励発電機12が励磁されると、内燃機関2に駆動される他励発電機12は、発電を開始する。その後、他励発電機12は、発電した交流電力を第1電力変換部13に供給する。
【0044】
また時刻T2において、端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達すると、図5(G)に示すように、接触器制御部18は、接触器Q1を開放する。後続の動作は、実施の形態1と同様である。
【0045】
以上説明したとおり、本実施の形態2に係る駆動制御装置20は、自励発電機11が発電した電力によって充電されたコンデンサC1から供給される直流電力を第1電力変換部13で交流電力に変換し、交流電力を他励発電機12に供給することで、他励発電機12を励磁する。このため、他励発電機12を励磁するための蓄電装置を設ける必要がない。これにより、駆動制御装置20および駆動装置1の小型化が可能となる。
自励発電機11の発電容量を他励発電機12の発電容量より小さくする場合、自励発電機11は、他励発電機12を励磁するための電力が得られる程度の小型の発電機から構成可能である。これにより、駆動制御装置20および駆動装置1の更なる小型化が可能となる。
【0046】
(実施の形態3)
駆動制御装置10,20の回路構成は、自励発電機11が発電した電力でコンデンサC1を充電し、コンデンサC1から供給される電力で他励発電機12を励磁する回路であれば、任意である。図7に示す実施の形態3に係る駆動制御装置30は、自励発電機21を備える。また駆動制御装置30は、駆動制御装置20の構成に加え、一次端子が自励発電機21に接続され、二次端子の一方が接触器Q1の一端に接続され、自励発電機21から供給される交流電力を直流電力に変換して直流電力を出力する第2電力変換部22と、第2電力変換部22を制御する第2制御部23と、をさらに備える。駆動制御装置30の構造は、自励発電機21と、第2電力変換部22と、第2制御部23とを除いて、駆動制御装置20の構造と同じである。
【0047】
自励発電機21は、交流発電機から構成される。自励発電機21の入力軸は、内燃機関2の出力軸に連結されている。自励発電機21は、内燃機関2に駆動されると、交流電力を発電し、発電した交流電力を出力する。自励発電機21の出力端子は、第2電力変換部22の一次端子に接続される。
【0048】
第2電力変換部22は、一次端子を介して自励発電機21から供給される交流電力を直流電力に変換し、二次端子から出力する。第2電力変換部22が出力する電力によって、コンデンサC1が充電される。
【0049】
第2制御部23は、スイッチング制御信号S6を第2電力変換部22に送り、第2電力変換部22の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングを制御する。具体的には、第2制御部23は、速度センサ4から内燃機関2の実回転数を取得する。そして、第2制御部23は、内燃機関2の実回転数が閾値回転数に到達すると、第2電力変換部22の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングを制御して、第2電力変換部22に、一次端子から供給された交流電力を直流電力に変換させる電力変換の処理を開始させる。なお閾値回転数は、例えば、内燃機関2が始動し、内燃機関2に駆動されて自励発電機11が発電し始める際の内燃機関2の回転数に設定される。
【0050】
また第2制御部23は、電圧測定部VT1からコンデンサC1の端子間電圧EFCを取得する。そして、第2制御部23は、コンデンサC1の端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1以上となると、第2電力変換部22の複数のスイッチング素子をオフにするスイッチング制御信号S6を出力し、第2電力変換部22を停止させる。
【0051】
次に、上記構成を有する駆動装置1の動作を図8(A)-(H)のタイミングチャートを参照して説明する。図8(A)-(G)は、図5(A)-(G)と同様である。図5と同様に、時刻T1において、始動指令信号S1が、LレベルからHレベルになる。
図8(C)に示すように、始動指令信号S1が時刻T1においてLレベルからHレベルになったことに応答して、内燃機関制御部3は、内燃機関2を始動する。この結果、内燃機関2の回転数が回転数RPM0から上昇し始める。そして、図8(D)に示すように、内燃機関2の回転数の上昇に伴って、自励発電機21が発電を開始する。この結果、図9に実線の矢印A5で示すように、自励発電機21から第2電力変換部22に電流が流れる。
【0052】
図8(H)に示すように、自励発電機11が発電した電力でコンデンサC1を充電するため、第2制御部23は、時刻T1において、第2電力変換部22の複数のスイッチング素子のオン・オフのタイミングの制御を開始し、第2電力変換部22に、自励発電機21が発電した交流電力を直流電力に変換させる。また図8(G)に示すように、接触器制御部18は、時刻T1において、接触器Q1を投入する。この結果、図9に実線の矢印A6で示すように、第2電力変換部22からコンデンサC1に電流が流れ、コンデンサC1が充電される。そして、図8(E)に示すように、自励発電機11が発電した電力によってコンデンサC1が充電され、コンデンサC1の端子間電圧EFCが電圧EFC0から上昇し始める。図8(F)に示すように、他励発電機12は励磁されていないため、内燃機関2に駆動されても、発電を開始しない。
【0053】
図8(E)に示すように、時刻T2において、端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達すると、第1制御部15は、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子のオン・オフの制御を開始し、第1電力変換部13に、コンデンサC1から供給される直流電力を交流電力に変換して、他励発電機12に供給させる。この結果、図9に実線の矢印A7で示すように、第1電力変換部13から他励発電機12に電流が流れ、他励発電機12が励磁される。そして、図8(F)に示すように、時刻T2において、他励発電機12が励磁されると、内燃機関2に駆動される他励発電機12は、発電を開始する。その後、他励発電機12は、発電した交流電力を第1電力変換部13に供給する。
【0054】
また時刻T2において、端子間電圧EFCが閾値電圧EFC1に到達すると、図8(H)に示すように、第2制御部23は、第2電力変換部22の複数のスイッチング素子をオフにし、第2電力変換部22を停止させる。また図8(G)に示すように、時刻T2において、接触器制御部18は、接触器Q1を開放する。
なお第2電力変換部22を停止させてから、接触器Q1を開放することが好ましい。この場合、接触器制御部18は、スイッチング制御信号S6を取得し、第2制御部23が第2電力変換部22を停止させたことを検出してから、接触器Q1を開放すればよい。
後続の動作は、実施の形態1と同様である。
【0055】
以上説明したとおり、本実施の形態3に係る駆動制御装置30は、交流電動機から構成される自励発電機21が発電した電力によって充電されたコンデンサC1から供給される直流電力を第1電力変換部13で交流電力に変換し、交流電力を他励発電機12に供給することで、他励発電機12を励磁する。このため、他励発電機12を励磁するための蓄電装置を設ける必要がない。また自励発電機21は、他励発電機12を励磁するための電力が得られる程度の小型の発電機から構成可能である。これにより、駆動制御装置30および駆動装置1の小型化が可能である。
【0056】
本発明は、上述の実施の形態に限られない。上述の駆動制御装置10,20,30の回路構成は一例であり、駆動制御装置10,20,30の回路構成は、自励発電機11または自励発電機21が発電した電力で他励発電機12を励磁する構成であれば、任意である。
一例として、駆動制御装置30を、駆動制御装置10と同様に、接触器Q1を備えない構成とすることができる。
また駆動装置1が電力を供給する機器、換言すれば、主インバータ14の二次端子に接続される負荷は、電動機5に限られず、空調機器、照明機器等の車載機器でもよい。この場合、主インバータ14は、CVCF(Constant Voltage Constant Frequency:定電圧定周波数)インバータから構成されればよい。
【0057】
また駆動制御装置20,30は、接触器Q1に代えて、自励発電機11または自励発電機21とコンデンサC1とを電気的に接続、または、コンデンサC1を自励発電機11または自励発電機21から電気的に切り離す任意の素子を備えることができる。
【0058】
また駆動制御装置30は、第2電力変換部22に代えて、自励発電機21が出力する交流電力を全波整流するダイオードブリッジを備えてもよい。
【0059】
第1制御部15による制御は上述の例に限られない。一例として、第1制御部15は、第1電力変換部13の出力電流をフィードバックして、第1電力変換部13の複数のスイッチング素子を調節してもよい。またインバータ制御部16による制御は上述の例に限られない。駆動制御装置10,20,30は、速度センサ17を備えず、インバータ制御部16は、ATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)から電動機5の回転数を取得してもよい。そして、インバータ制御部16は、電動機5の回転速度を推定するセンサレスベクトル制御を行ってもよい。
【0060】
接触器制御部18による制御は上述の例に限られない。一例として、接触器制御部18は、内燃機関2の実回転数が閾値回転数に到達してから、定められた時間が経過した後に、接触器Q1を投入してもよい。あるいは、接触器制御部18は、始動指令信号S1を取得し、始動指令信号S1がHレベルになってから定められた時間が経過した後に、接触器Q1を投入してもよい。
また他の一例として、接触器制御部18は、コンデンサC1の端子間電圧EFCが、閾値電圧EFC1以上である時間が定められた時間以上継続した場合に、接触器Q1を開放してもよい。
【0061】
電流測定部CT1,CT2はU相、V相、W相それぞれの相電流を検出する場合を説明したが、U相、V相、W相のうち少なくとも2相の相電流を検出すればよい。
【0062】
駆動制御装置10,20,30は、内燃機関2と自励発電機11とを機械的に接続し、または、自励発電機11を内燃機関2から機械的に切り離すクラッチと、クラッチを制御するクラッチ制御部と、をさらに備えてもよい。この場合、クラッチ制御部は、電流測定部CT1が測定した相電流を取得し、相電流の振幅が閾値電流以上となると、内燃機関2と自励発電機11とを機械的に切り離すようにクラッチを制御すればよい。その後、内燃機関2が停止した後に再び始動すると、クラッチ制御部は、内燃機関2と自励発電機11とを機械的に接続するようにクラッチを制御すればよい。
【0063】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0064】
1 鉄道車両用駆動装置、2 内燃機関、3 内燃機関制御部、4,17 速度センサ、5 電動機、10,20,30 駆動制御装置、11,21 自励発電機、12 他励発電機、13 第1電力変換部、14 主インバータ、15 第1制御部、16 インバータ制御部、18 接触器制御部、22 第2電力変換部、23 第2制御部、B1 ブレーキノッチ、C1 コンデンサ、CT1,CT2 電流測定部、EFC 端子間電圧、EFC0,EFC2 電圧、EFC1 閾値電圧、N1 力行ノッチ、Q1 接触器、R1 抵抗、RPM0,RPM1,RPM2 回転数、S1 始動指令信号、S2 運転指令信号、S3,S4,S6 スイッチング制御信号、S5 接触器制御信号、VT1 電圧測定部。
図1
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