IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ エム シー コーポレーションの特許一覧

特許7183405除草剤ピリダジノンを調製するための中間体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】除草剤ピリダジノンを調製するための中間体
(51)【国際特許分類】
   C07D 237/16 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
C07D237/16 CSP
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021517192
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019053052
(87)【国際公開番号】W WO2020069056
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】62/737,897
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・フレデリック・マッカン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーティン・スティーヴンソン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528960(JP,A)
【文献】特表2015-517997(JP,A)
【文献】特開昭63-301870(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2519092(GB,A)
【文献】PARK, J.W. et al.,Synthesis of Novel Acyclonucleosides Containing Pyridazine,Journal of Heterocyclic Chemistry,2000年,Vol.37, No.1,pp.5-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 237/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物とそのN-オキシドおよび/またはその塩であって、
【化1】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、
はClまたはNHであり、
はORであり、そして
は、C~Cアルキル、SOCFまたはSO(4-Me-Ph)である、式Iの化合物とそのN-オキシドおよび/またはその塩。
【請求項2】
式I-Aの化合物であり、
【化2】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、そして
はC~Cアルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
はC~Cアルキルであり、そして
は、メチル、エチル、n-プロピル、またはi-プロピルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
はメチルであり、そして
はメチルである、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式I-Bの化合物であり、
【化3】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、そして
はC~Cアルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
はC~Cアルキルであり、そして
は、メチル、エチル、n-プロピル、またはi-プロピルである、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
はメチルであり、そして
はメチルである、
請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式I-Aの化合物を調製するためのプロセスであって、
【化4】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、そして
はC~Cアルキルであり、
式IIの化合物を反応させることを含み、
【化5】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、
アルコキシル化剤を用いる、プロセス。
【請求項9】
がメチルである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
式I-Bの化合物を調製するためのプロセスであって、
【化6】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、そして
はC~Cアルキルであり、
式I-Aの化合物を反応させることを含み、
【化7】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、そして
はC~Cアルキルであり、
CuClまたはCuClの存在下で亜硝酸アルキルを用いる、プロセス。
【請求項11】
がメチルである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
がメチルである、請求項10に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本開示は、ピリダジノンおよびピリダジノンを調製するためのプロセスを提供する。本明細書に開示されるピリダジノンは、ピリダジノンベースの除草剤を調製するための合成中間体として使用することができる。特許文献1および特許文献2は、除草剤ピリダジノンおよび除草剤ピリダジノンを調製するために使用される合成中間体を開示している。除草剤ピリダジノンを調製する改善された方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】WO2015/168010
【文献】WO2017/074988
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
一態様において、本開示は、式Iの化合物およびそのN-オキシドまたはその塩を提供する。
【化1】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はClまたはNHであり;
はClまたはORであり;そして
は、C~Cアルキル、SOCFまたはSO(4-Me-Ph)である。
【0004】
他の一態様において、本開示は、式I-Aの化合物を調製する為のプロセスを提供する。
【化2】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;そして
はC~Cアルキルであり、
式IIの化合物を反応させることを含み、
【化3】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、
アルコキシル化剤を用いる。
【0005】
他の一態様において、本開示は、式I-Bの化合物を調製する為のプロセスを提供する。
【化4】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;そして
はC~Cアルキルであり、
上記のように、式I-Aの化合物を、CuClまたはCuClの存在下で亜硝酸アルキルと反応させることを含む。
【0006】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「であることを特徴とする(characterized by)」またはそれらの任意の他の変形語は、明示された制限を前提として、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、要素のリストを含むプロセスまたは方法は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的にはリストされていないもの、またはそのような構成のプロセスあるいは方法に固有の他の要素を含んでもよい。
【0007】
「からなる(consisting of)」という転換句は、指定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。請求項にある場合、この句は、通常それに関連する不純物を除いて、明示的に記載されているもの以外の材料を除外する。「からなる」という句がクレームの本文の条項にある場合、前文の直後ではなく、その条項に記載されている要素のみを制限し;その他の要素は、全体としてクレームから除外されない。
【0008】
「から基本的になる(consisting essentially of)」という転換句は、文字通り開示されたものに加えて、原料、ステップ、機能、コンポーネント、または要素を含むプロセスまたは方法を定義するために使用されている。ただし、これらの追加の原料、ステップ、機能、コンポーネント、または要素は本開示の基本的および新規の特性に実質的に影響を与えない。「から基本的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含んでいる(comprising)」と「からなる(consisting of)」の中間に位置する。
【0009】
出願人が、「含んでいる(comprising)」などの自由形式の用語で、開示またはその一部を定義した場合、その記載は、(特に明記しない限り)「から基本的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という用語を使用した開示のように記載するように解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。
【0010】
さらに、明示的に反対の記載がない限り、「または」は包括的論理和を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれかによって満たされる:Aが真(または存在)およびBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)およびBが真(または存在)、およびAとBの両方が真(または存在)。
【0011】
また、本開示の要素またはコンポーネントに先行する不定冠詞「ひとつの(a)」および「ひとつの(an)」は、要素またはコンポーネントのインスタンス(すなわち、発生)の数に関して非制限的であることを意図している。したがって、「ひとつの(a)」または「ひとつの(an)」は、1つまたは少なくとも1つを含むように読む必要があり、要素またはコンポーネントの単数形には、数が明らかに単数であることを意味しない限り、複数形も含まれる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「C~Cアルキル」という用語は、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、またはさまざまなブチル、ペンチル、またはヘキシル異性体を含む。同様に、「C~Cアルキル」という用語は、1~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、またはさまざまなブチル異性体を含む。「C~Cアルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、およびi-プロピルを含む。本明細書で使用される場合、「C~Cシクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0013】
「反応」などの用語は、示されたおよび/または所望の生成物を生成する為の、適切な条件下での2つ以上の試薬を添加、接触、または混合を指す。示されたおよび/または所望の生成物を生成する反応は、必ずしも最初に添加された2つの試薬の組み合わせから直接生じるとは限らず、すなわち、示されたおよび/または所望の生成物の形成に最終的に導く混合物中に生成される1つ以上の中間体であってもよい。反応は、溶媒の存在下または非存在下、室温より高いまたは室温より低い温度、不活性雰囲気下などで起こり得る。
【0014】
圧力は、周囲の大気圧への相対的に測定された圧力として定義される。「psig」という用語は、1平方インチあたりのポンドを意味する。
【0015】
本明細書で使用される「アルコキシル化剤」という用語は、化合物にC~Cアルコキシ基を付加するために使用される化学試薬を指す。本明細書で使用される場合、「C~Cアルコキシ」という用語は、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、および様々なブトキシ異性体を含む。代表的で非限定的なアルコキシル化剤には、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドが含まれる。同様に、本明細書で使用される「メトキシル化剤」という用語は、出発化合物にメトキシ基、すなわちOCHを付加するために使用される化学試薬を指す。本明細書で使用される「亜硝酸アルキル」という用語は、式R-ONOを有する化合物を指し、ここで、RはC~Cアルキルである。代表的で非限定的な亜硝酸アルキルには、亜硝酸tert-ブチル、亜硝酸アミル、および亜硝酸n-ブチルが含まれる。Rが「SO(4-Me-Ph)」の場合、これはあるいは「SO(p-tolyl)」として定義される。
【0016】
式Iの化合物は、通常には複数の固体形態で存在する。したがって、式Iの化合物は、式Iによって表される属内の化合物のすべての結晶形態および非結晶形態を含む。非結晶形態には、ワックスやガムなどの固体である実施形態、ならびに溶液や溶融物などの液体である実施形態が含まれる。結晶形態には、本質的に単結晶タイプを表す実施形態と、多形(すなわち、様々な結晶タイプ)の混合物を表す実施形態とが含まれる。「多形」という用語は、様々な結晶形態で結晶化することができる化合物の特定の結晶形態を指し、これらの形態は、結晶格子において、分子の様々な配置および/または立体配座を有する。多形体は同じ化学組成を持つことができるが、格子内で弱くまたは強く結合することができる共結晶水または他の分子の有無により、組成が異なる場合もある。多形体は、結晶形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、感受性、溶解速度、生物学的有用性などの化学的、物理的、生物学的特性が異なる場合がある。
【0017】
当業者は、式Iの化合物の多形が、別の多形または式Iの同じ化合物の多形の混合物と比較して有益な効果(例えば、改善された溶解性への適合性)を示し得ることを理解するであろう。式Iの化合物の特定の多形の調製および単離は、例えば、選択された溶媒および温度を使用する結晶化を含む、当業者に知られている方法によって達成することができる。多形の包括的な議論については、R.Hilfiker.Ed., Polymorphism in the Pharmaceutical Industry, Wiley-VCH, Weinheim, 2006が参照される。
【0018】
複素環および第三級アミンのN-オキシドを調製するための合成方法は、当業者によく知られている。N-オキシドを調製するための代表的な手順には、過酢酸およびm-クロロ過安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、およびジメチルジオキシランなどのジオキシランによる、複素環および第三級アミンの酸化が含まれる。N-オキシドの調製方法は、文献で広く説明およびレビューされており、例えば、以下が参照される:T.L.Gilchrist in Comprehensive Organic Synthesis, vol.7, pp748~750, S.V.Ley, Ed., Pergamon Press; M.Tisler and B.Stanovnik in Comprehensive Heterocyclic Chemistry, vol.3, pp18-20, A.J.Boulton and A.McKillop, Eds., Pergamon Press; M.R.Grimmett and B.R.T.Keene in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol.43, pp149-161, A.R.Katritzky, Ed., Academic Press; M.Tisler and B.Stanovnik in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol.9, pp285-291, A.R.Katritzky and A.J.Boulton, Eds., Academic Press; and G.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk in Advances in Heterocyclic Chemistry, vol.22, pp390-392, A.R.Katritzky and A.J.Boulton, Eds., Academic Press。とは言うものの、窒素は酸化物への酸化のために利用可能な孤立電子対を必要とすることから、すべての含窒素複素環がN-オキシドを形成できるわけではないことを当業者は理解するであろうし、N-オキシドを形成できるそれらの含窒素複素環を当業者は認識するであろう。
【0019】
いくつかのプロセス条件下で化学的化合物が非塩または塩の形態で単離され得ることを、当業者は認識している。したがって、本明細書に開示される化合物の多種多様な塩は、本プロセス、または化合物を調製するための方法で利用される塩基に応じたプロセスを用いて、単離することができる。適切な塩には、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4-トルエンスルホン酸または吉草酸などの、無機酸または有機酸との酸付加塩が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施形態は以下を含む:
実施形態A1。発明の概要に記載されている、式Iの化合物およびそのN-オキシドまたは塩。
実施形態A2。RがC~Cアルキルである、実施形態A1の化合物。
実施形態A3。RがC~Cシクロアルキルである、実施形態A1の化合物。
実施形態A4。Rがメチルまたはエチルである、実施形態A1~A2のいずれか1つの化合物。
実施形態A5。Rがメチルである実施形態A4の化合物。
実施形態A6。RがClである、実施形態A1~A5のいずれか1つの化合物。
実施形態A7。RがNHである、実施形態A1~A5のいずれか1つの化合物。
実施形態A8。RがClである、実施形態A1~A7のいずれか1つの化合物。
実施形態A9。RがORである、実施形態A1~A7のいずれか1つの化合物。
実施形態A10。RがC~Cアルキルである、実施形態A9の化合物。
実施形態A11。Rがメチル、エチル、n-プロピルまたはi-プロピルである、実施形態A10の化合物。
実施形態A12。RがSOCFまたはSO(4-Me-Ph)である、実施形態A9の化合物。
【0021】
実施形態A13。式I-Aの化合物である、発明の概要における式Iの化合物。
【化5】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はORであり;そして
はC~Cアルキルである。
【0022】
実施形態A14。式I-Bの化合物である、発明の概要における式Iの化合物。
【化6】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;そして
はC~Cアルキルである。
【0023】
実施形態A15。式I-Cの化合物である、発明の概要における式Iの化合物。
【化7】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルである。
【0024】
実施形態A16。Rがメチルである、実施形態A1、A2、A4またはA6~A15のいずれか1つである化合物。
実施形態A17。RがClである(すなわち、式I-BまたはI-Cの化合物以外である)、実施形態A1~A5またはA6~A16のいずれか1つである化合物。
実施形態A18。4,5,6-トリクロロ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(CAS番号37648-42-3)および6-アミノ-4,5-ジクロロ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(CAS番号25717-64-0)以外の実施形態A1の化合物。
【0025】
実施形態B1。発明の概要に記載されている、式I-Aの化合物を調製するためのプロセス。
実施形態B2。RがC~Cシクロアルキルである実施形態B1のプロセス。
実施形態B3。RがC~Cアルキルである実施形態B1のプロセス。
実施形態B4。Rがメチルである、実施形態B1またはB3のプロセス。
実施形態B5。反応が適切な溶媒中で行われる、実施形態B1~B4のいずれか1つのプロセス。
実施形態B6。適切な溶媒がメタノールまたはジオキサンである、実施形態B5のプロセス。
実施形態B7。反応が0℃以下の温度で行われる、実施形態B1~B6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態B8。反応が0℃を超える温度で行われる、実施形態B1~B6のいずれか1つのプロセス。
実施形態B9。アルコキシル化剤がナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドである、実施形態B1~B8のいずれか1つのプロセス。
実施形態B10。Rがメチルである、実施形態B1およびB3~B9のいずれか1つのプロセス。
実施形態B11。式I-Aの化合物が単離される、実施形態B1~B10のいずれか1つのプロセス。
【0026】
実施形態C1。発明の概要に記載されている、式I-Bの化合物を調製するためのプロセス。
実施形態C2。RがC~Cシクロアルキルである、実施形態C1のプロセス。
実施形態C3。RがC~Cアルキルである、実施形態C1のプロセス。
実施形態C4。Rがメチルである、実施形態C1またはC3のいずれか1つのプロセス。
実施形態C5。Rがメチルまたはエチルである、実施形態C1~C4のいずれか1つのプロセス。
実施形態C6。反応が適切な溶媒中で行われる、実施形態C1~C5のいずれか1つのプロセス。
実施形態C7。適切な溶媒がアセトニトリルである、実施形態C6のプロセス。
実施形態C8。反応が0℃以下の温度で行われる、実施形態C1~C7のいずれか1つのプロセス。
実施形態C9。反応が0℃を超える温度で行われる、実施形態C1~C7のいずれか1つのプロセス。
実施形態C10。亜硝酸アルキルが亜硝酸tert-ブチルである、実施形態C1~C9のいずれか1つのプロセス。
実施形態C11。反応が0℃と180℃との間の温度で行われる、実施形態C1~C6またはC9~C10のいずれか1つのプロセス。
実施形態C12。反応が0℃と80℃との間の温度で行われる、実施形態C11のプロセス。
実施形態C13。Rがメチルである、実施形態C1、C3またはC5~C12のいずれか1つのプロセス。
実施形態C14。式I-Bの化合物が単離される、実施形態C1~C13のいずれか1つのプロセス。
【0027】
実施形態D1。発明の概要に記載された、式I-Cの化合物を調製するためのプロセス。
実施形態D2。RがC~Cシクロアルキルである、実施形態D1のプロセス。
実施形態D3。RがC~Cアルキルである、実施形態D1のプロセス。
実施形態D4。Rがメチルである、実施形態D1またはD3のプロセス。
実施形態D5。反応がニートまたは適切な溶媒中で行われる、実施形態D1~D4のいずれか1つのプロセス。
実施形態D6。適切な溶媒がアセトニトリルである、実施形態D5のプロセス。
実施形態D7。反応がニートで行われる、実施形態D5のプロセス。
実施形態D8。反応が80℃と150℃との間の温度で行われる、実施形態D1~D7のいずれか1つのプロセス。
実施形態D9。反応が100℃と140℃との間の温度で行われる、実施形態D8のいずれか1つのプロセス。
実施形態D10。反応が120℃と140℃との間の温度で行われる、実施形態D8のプロセス。
実施形態D11。反応が100℃と120℃との間の温度で行われる、実施形態D8のプロセス。
実施形態D12。反応が120℃の温度で行われる、実施形態D8のプロセス。
実施形態D13。100℃での圧力が最大117psig(807kPa)である、実施形態D8のプロセス。
実施形態D14。120℃での圧力が最大150psig(1034kPa)である、実施形態D8のプロセス。
実施形態D15。140℃での圧力が最大223psig(1538kPa)である、実施形態D8のプロセス。
実施形態D16。反応がN,N-ジメチルホルムアミドの存在下である、実施形態D1~D9のいずれか1つのプロセス。
実施形態D17。反応が10モル%と100モル%との間のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下である、実施形態D10のプロセス。
実施形態D18。反応が20モル%と30モル%との間のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下である、実施形態D11のプロセス。
実施形態D19。式I-Cの化合物が単離される、実施形態D1~D12のいずれか1つのプロセス。
【0028】
実施形態A1~A18、B1~B11、C1~C14およびD1~D19、ならびに本明細書に記載の他の実施形態(Embodiment)または実施形態(Embodiments)は、任意の方法で組み合わせることができる。
【0029】
式IBの化合物は、式ICのトリクロロピリダジノン化合物を、ナトリウムまたはカリウムアルコキシドと、1,4-ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中で、0℃からの溶媒の還流温度までの範囲の温度で、スキーム1に示すように反応させることによって調製することができる。式I-Cの化合物の調製は、J.Het.Chem.1972, vol.9, p.471に記載されている。
【0030】
【化8】
【0031】
スキーム2に示すように、式I-Cの化合物は、POCl、PCl、PClまたはこれらの組み合わせなどの、1つまたは複数の塩素化試薬を使用して、式3の化合物(MはH、NaまたはK)の塩素化によって調製することもできる。反応は、通常80℃~150℃、好ましくは約100℃で、塩素化試薬中または塩素化試薬の組み合わせ中のニートで行われる。
【0032】
【化9】
【0033】
スキーム3に示されるように、式3の化合物は、式4の化合物を、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒中で、ナトリウムまたはカリウムアルコキシドを用いて処理することによって調製することができる。アルコール溶媒中では、反応は通常60℃~150℃、好ましくは70℃~80℃で行われる。テトラヒドロフランなどのノンアルコール溶媒中では、反応は通常0℃~20℃、好ましくは0℃~5℃で行われる。スキーム3の方法は、本明細書の合成実施例3に示されている。
【0034】
【化10】
【0035】
式I-Cの化合物は、WO8704321A2およびJP47024029Bに記載されており、スキーム4に示されたように、無水マレイン酸から2ステップで調製することもできる。スキーム4の2番目の反応の代替条件には、POCl、PCl、PClおよびこれらの組み合わせなどの1つ以上の塩素化試薬を、N,N-ジメチルホルムアミドの存在下で、密閉された反応器内で、使用することが含まれる。通常、反応はニートで、80℃~150℃、好ましくは100℃~120℃で行われる。N,N-ジメチルホルムアミドの量は、10モル%から100モル%、好ましくは20モル%から30モル%にすることができる。反応は、ニートで、またはアセトニトリルなどの有機溶媒中で行うことができる。スキーム4の第2の反応は、本明細書の合成実施例4に示されている。
【0036】
【化11】
【0037】
式I-Bの化合物は、スキーム5に示された手順を使用して調製することができる。式I-Aのアミノピリダジノン化合物は、亜硝酸tert-ブチルや亜硝酸イソアミルなどの亜硝酸アルキルと、CuClまたはCuClとを、アセトニトリルなどの溶媒中で、0℃から溶媒の還流温度までの範囲の温度で処理することができる。同様の手順は、WO2010/009183の82ページに記載されている。スキーム5の反応の代替条件には、式I-Aの化合物を、亜硝酸ナトリウムおよび濃塩酸と、必要に応じてアセトニトリルなどの溶媒中で、反応させることが含まれる。同様の手順は、WO2012/091156の223ページに記載されている。
【0038】
【化12】
【0039】
式I-Aの化合物の調製は、スキーム6に示すように、式5の化合物をナトリウムアルコキシドと、ジオキサン中で処理することによって達成できる。スキーム5では、ナトリウムアルコキシド(1.0~1.5モル当量)を、固体または25%アルコール溶液として、ジオキサン中の化合物5の溶液に加えることができ、得られた混合物を、好ましくは10℃~溶媒の還流温度までの温度で撹拌することができる。式5の化合物の調製は、J.Het.Chem.1996, vol.33,p.1915.に記載されている。J.Het.Chem.1996, vol.33, p.1579.も参照されたい。
【0040】
【化13】
【0041】
さらなる精緻化が無くても、前述の説明を用いる当業者は、本開示を最大限に利用することができると考えられる。以下の非限定的な例は、本開示の例示である。以下の例のステップは、全体的な合成変換の各ステップの手順を示しており、そして、各ステップの出発原料は、必ずしも、他の例またはステップで手順が説明されている特定の準備実行によって準備されていなくてもよい。
【0042】
本明細書における式I、I-A、I-BおよびI-Cの化合物、および該化合物を調製するために記載されたプロセスは、除草剤ピリダジノンを調製するために有用である。特に、式Iの化合物が有用である。
【化14】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はClであり;
はClまたはORであり;そして
はC~Cアルキル、SOCFまたはSO(4-Me-Ph)であり;
式IIIの化合物と反応し得て、
【化15】
ここで、
は、H、F、ClまたはCHであり;そして
は、HまたはClであり;
適切な条件下で式IVの化合物を生成し、
【化16】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はClであり;
はH、F、ClまたはCHであり;そして
はHまたはClである。
【0043】
式IVの化合物は、メトキシル化剤と更に反応して、式Vの化合物を調製することができる。
【化17】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はClであり;
はH、F、ClまたはCHであり;
はHまたはClであり;そして
式Vの化合物は、ジメチル化剤(モルフォリンなど)と反応して、式VIの化合物を調製することができる。
【0044】
【化18】
ここで、
はC~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり;
はClであり;
はH、F、ClまたはCHであり;そして
はHまたはClである。
【0045】
好ましくは、式I、IV、VおよびVIの化合物において;Rはメチルである。好ましくは、式IV、VおよびVIの化合物において;RはHである。好ましくは、式IV、VおよびVIの化合物において;RはCHである。好ましくは、式IV、VおよびVIの化合物において;RはHである。式VIの化合物は、WO2015/168010から除草活性を有することが知られている。
【0046】
さらなる精緻化が無くても、前述の説明を使用する当業者は、本開示を最大限に利用することができると考えられる。下記の非限定的な例は、本開示の例示である。下記例のステップは、全体的な合成変換の各ステップの手順を示しており、そして、各ステップの出発原料は、必ずしも、他の例またはステップで手順が説明されている特定の準備実行によって準備されていなくてもよい。パーセンテージは、クロマトグラフィー溶媒混合物または特に明記されている場合を除いて、重量によるものである。クロマトグラフィー溶媒混合物の部及びパーセンテージは、特に明記されていない限り、体積によるものである。1H NMRスペクトルは、特に明記されていない限り、CDCl中のテトラメチルシランからのppmダウンフィールドで報じられており;「s」は一重項を意味し、「brs」は広い一重項を意味する。
【実施例
【0047】
合成実施例1
6-アミノ-5-クロロ-4-メトキシ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノンの調製
ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(4.4M溶液4.8mL、21.0mmol)を、氷水浴冷却された6-アミノ-4,5-ジクロロ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(3.70g、19.1mmol)およびジオキサン(95mL、無水)の懸濁液に加えた。得られた懸濁液を周囲温度で3時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液(150mL)に注ぎ、得られた混合物を塩化メチレン(150mL)で抽出した。水層を塩化メチレンでさらに2回抽出し、合わさった有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、3.45gの表題化合物を黄色の半固体として得た。
1H NMR(500MHz)δ4.34(brs,2H)、4.29(s,3H)、3.60(s,3H)。
【0048】
合成実施例2
5,6-ジクロロ-4-メトキシ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノンの調製
6-アミノ-5-クロロ-4-メトキシ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノン(すなわち、合成実施例1で得られた生成物、529mg、2.8mmol)、塩化銅(II)(618mg、4.6mmol)及びアセトニトリル(8mL、無水)の溶液に、氷水浴冷却下で亜硝酸tert-ブチル(0.48mL、90重量%、3.6mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次に酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液との間で分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、0.51gの表題化合物を黄色の半固体として得た。
1H NMR(500MHz)δ4.33(s,3H),3.74(s,3H)。
【0049】
合成実施例3
2-メチル-4,5,6-トリクロロ-3(2H)-ピリダジノンの調製
4,5-ジクロロ-1,2-ジヒドロ-1-メチル-3,6-ピリダジンジオン(10g、51mmol)、オキシ塩化リン(8.4g、55mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(0.37g、5.1mmol)の混合物を加圧反応器に密封し、120℃に加熱した。反応物を6時間撹拌した。反応中、反応圧力は150psig(1034kPa)増加した。反応物を室温に冷却した。得られた混合物に水(100mL)を加え、1時間撹拌し、濾過し、水(20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。濾過した固体に5℃でヘキサン(30mL)を加え、濾過し、乾燥させて、8.7gの表題化合物をベージュ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz)δ3.86(s)。
【0050】
合成実施例4
5,6-ジクロロ-4-メトキシ-2-メチル-3(2H)-ピリダジノンの調製
2-メチル-4,5,6-トリクロロ-3(2H)-ピリダジノン(すなわち、合成実施例3で得られた生成物)のテトラヒドロフラン(96mL)溶液に、1℃で、ナトリウムメトキシド(メタノール中25%、12.7g、59mmol)を、ゆっくりと30分かけて加えた。得られた混合物を30分かけて室温に温めた。水(100mL)を加えた。有機層を分離し、濃縮して、21gのベージュ色の固体を得た。固体をメタノール/水(60mL/60mL)から再結晶化して、8.25gの表題化合物をベージュ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz)δ4.33(s,3H),3.74(s,H)。除草剤ピリダジノンの調製に有用な合成中間体の代表的な例を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
本明細書で引用されているすべての特許および刊行物は、参照によりその全体が完全に組み込まれている。