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特許7183409電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを制御するための方法およびデバイス
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  • 特許-電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを制御するための方法およびデバイス 図1
  • 特許-電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを制御するための方法およびデバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを制御するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20221128BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221128BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221128BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221128BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221128BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20221128BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20221128BHJP
【FI】
H02J7/04 B
H02J7/00 P
H02J7/00 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
B60L50/60
B60L58/10
B60L53/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021518077
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076957
(87)【国際公開番号】W WO2020074397
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】1859336
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴイエ, オーレリアン
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第97/027659(WO,A1)
【文献】特開2012-105492(JP,A)
【文献】特開2002-135987(JP,A)
【文献】特開平05-328624(JP,A)
【文献】特開2005-006461(JP,A)
【文献】特開平04-308429(JP,A)
【文献】特開平05-146087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133861(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器(3)を介して配電ネットワーク(31)に接続された電気車両(1)のダウンタイムフェーズ中に、前記電気車両のトラクションバッテリー(2)の充電レベルを調整するための方法であって、前記方法は、
前記バッテリーをそれの最小電圧まで、前記バッテリーの公称容量に対して0.1C以下の放電電流で完全に放電させるように、前記バッテリーに関連する放電回路(5)において実行される、前記バッテリーを強制的に放電させる第1の放電ステップ(E1)と、
前記第1の放電ステップ(E1)の後において少なくとも1回行われる、前記バッテリーを充電し放電させる中間シーケンスと、
前記中間シーケンスを少なくとも1回行った後に、前記バッテリーを前記バッテリーの有用な充電レベルまで、第1の充電電流を用いて充電する通常充電のステップ(E2)と
を含み、
前記中間シーケンスは、
前記バッテリーを、それの最大電圧まで、前記第1の充電電流よりも低い第2の充電電流で充電する、抑制充電のステップ(E11)と、
前記抑制充電のステップ(E11)の後において、前記バッテリーを、再びそれの前記最小電圧まで0.1C以下の前記放電電流で完全に放電させるように、前記放電回路において実行される、前記バッテリーを強制的に放電させる第2の放電ステップ(E12)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記バッテリーを強制的に放電させる前記第1の放電ステップ(E1)および前記第2の放電ステップ(E12)が放電抵抗器(51)において実行され、前記放電抵抗器が、前記第1の放電ステップ(E1)および前記第2の放電ステップ(E12)中は前記バッテリーの端子に接続され、前記通常充電のステップ(E2)および前記抑制充電のステップ(E11)中は前記バッテリーの前記端子から切断され、前記放電抵抗器が前記放電電流を設定する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の充電電流が、前記バッテリーの前記公称容量Cに対して0.1C以下の充電電流である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の充電電流が、前記有用な充電レベルをできる限り速く得るように前記バッテリーを充電することが可能な充電電流である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バッテリーがリチウムイオンバッテリーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
充電器(3)を介して配電ネットワーク(31)に接続された電気車両(1)のダウンタイムフェーズ中に、前記車両のトラクションバッテリー(2)の充電レベルを調整するためのデバイスであって、前記デバイスは、前記バッテリーに電気的に接続することが可能な、前記バッテリーを放電させるための放電回路(5)と、前記バッテリーを放電させ、請求項1からのいずれか一項に記載の方法を実装するために、前記放電回路(5)を前記バッテリーに選択的に接続するように設計された制御モジュール(4)とを備える、デバイス。
【請求項7】
前記放電回路(5)が放電抵抗器(51)を備え、前記放電抵抗器(51)の各端子(51a、51b)が、前記抵抗器の前記端子を前記バッテリーの端子に接続するため及び前記抵抗器の前記端子を前記バッテリーの前記端子から切断するために2つの位置間で前記制御モジュール(4)によって駆動される可動接点(52)を備えるスイッチ(54)を介して、前記バッテリーの前記端子のそれぞれに接続されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記放電抵抗器(51)が前記バッテリーのハウジング(21)中に組み込まれている、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のデバイスを備える電気車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両のトラクションバッテリー(traction battery)の充電レベルを調整するための方法およびデバイスに関する。特に、排他的にではないが、充電式ハイブリッドおよび電気車両のためのリチウムイオン(Liイオン)バッテリーの充電レベルを管理する分野に適用する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、電気車両の使用の成長の主要な制限要因のうちの1つは、特に、燃焼車両に燃料を充填するために必要とされる時間と比較した、バッテリー充電時間であった。したがって、自動車分野に好適な、新しい「高速」または「超高速」充電Liイオンバッテリー技術が開発され、充電時間を著しく減少させることが可能になった。しかしながら、そのような高速または超高速充電を可能にする、すなわち大きい充電電流を受容することが可能なバッテリーは、時間経過に伴うそれらの特性の劣化をより受けやすいことが認められている。言い換えれば、高速または超高速充電を受容するバッテリーの能力により、物理化学的起因の、バッテリー経年変化メカニズムの発生の確率が増加する。これらのメカニズムは、ある充電時間しきい値未満で、大きい電流で促進され、その結果、バッテリー容量の減少が起こり、それにより、車両の航続距離が深刻な影響を受け得ることになる。高速または超高速充電は、したがって、Liイオンバッテリーの経年変化に、したがって車両性能に悪影響を及ぼす。
【0003】
とはいえ、より速く経年変化するそれらの傾向を抑えながら、バッテリー高速充電の課題に対処するために、1つの知られているソリューションは、バッテリーの充電状態と温度とに応じて充電電流のレベルを調整することにある。しかしながら、充電時間の減少に対する一定の需要を超えて、このストラテジーは、低速充電と比較してバッテリーの容量の劣化の増加を防止しないことが認められている。
【0004】
さらに、充電の一定の中間レベルまたは過度に高い温度は、バッテリーの耐用年数に悪影響を及ぼす条件になり得ることが証明されている。本出願人によって出願された特許文献FR2992779は、バッテリー耐用年数を最大化することを可能にする、双方向充電器を介して配電ネットワークに接続された電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを調整するための方法を開示している。この文献で説明されている方法は、バッテリーが使用されていないときに、過度に高い充電レベルでバッテリーによって費やされる時間を制限する原理に基づく。したがって、車両が使用されていないフェーズにおいて、車両のバッテリーが充電しているとき、できる限り多くのエネルギーが配電ネットワークに戻され、それにより、バッテリーの耐用年数が最大になり、次いで、このエネルギーは、後で車両が再び実際に使用される少し前に取り戻される。この方法は、したがって、最初に、バッテリーが使用されないことが推定される時間に応じたバッテリーの容量の損失の最小化を可能にする最適な充電レベルまで、双方向充電器によってバッテリーをネットワークに放電するステップと、次いで、あらかじめ知られている旅行のために必要とされる充電レベルまで、バッテリーを充電するステップとを含む。
【0005】
しかしながら、この方法は、バッテリーの暦年変化に対する耐性を高めることができる(すなわちバッテリーが休止しているときの容量の損失を抑える)が、それは、連続的な高速充電動作、特に持続時間がバッテリーの化学反応のための臨界しきい値を下回る充電動作から生じる、バッテリー容量の劣化による、上述したような車両の航続距離の損失の問題に対処するものでは決してない。
【0006】
さらに、上述の文献では、バッテリーの耐用年数を最大化するために、使用していないフェーズにおいてバッテリーの充電状態レベルを修正するためのステップを実装するには、エネルギーを配電ネットワークに送り戻すことを可能にするための双方向充電器の使用が必要になる。これは比較的複雑で費用がかかるデバイスであり、このことはこのソリューションの展開に対する制限になる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、Liイオンバッテリー、特に電気車両のためのトラクションバッテリーとして使用されるLiイオンバッテリーを高速充電するサイクルの実装によって引き起こされる容量の損失の問題を少なくとも部分的に克服することを可能にする、容易に実装することができる、方法およびデバイスを提供することである。
【0008】
そのために、本発明は、充電器を介して配電ネットワークに接続された電気車両のダウンタイムフェーズ中に、電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを調整するための方法であって、
バッテリーをそれの最小電圧まで低速で完全に放電させるように、バッテリーの公称容量に対して強度が較正された放電電流を用いて、バッテリーに関連する放電回路において実行される、バッテリーを強制的に放電させる第1のステップと、
バッテリーをバッテリーの有用な充電レベルまで充電するように、充電器またはバッテリーによって規定された設定点充電電流を用いて、バッテリーを通常に充電するステップとを含むことを特徴とする方法に関する。
【0009】
一実施形態によれば、
バッテリーをそれの最大電圧まで低速で充電するように、設定点充電電流よりも小さい、抑制充電電流を用いた、バッテリーの抑制充電のステップと、
バッテリーを再びそれの最小電圧まで低速で完全に放電させるように、前記較正された放電電流を用いて、バッテリーに関連する放電回路において実行される、バッテリーを強制的に放電させる第2のステップと
を連続的に含む、バッテリーを充電し、放電させる少なくとも1つの中間シーケンスが、バッテリーを通常に充電する前記ステップの前に行われる。
【0010】
有利には、バッテリーを強制的に放電させる第1および第2のステップは放電抵抗器において実行され、前記放電抵抗器は、強制された放電の前記第1および第2のステップ中はバッテリーの端子に接続され、通常の充電および抑制充電の前記ステップ中はバッテリーの端子から切断され、前記放電抵抗器は前記較正された放電電流を設定する。
【0011】
有利には、前記較正された放電電流は、バッテリーの公称容量の値の高々1/10に等しい。
【0012】
有利には、前記抑制充電電流は、バッテリーの公称容量の値の高々1/10に等しい。
【0013】
好ましくは、前記設定点充電電流は、バッテリーを高速充電するために好適である。
【0014】
本発明はまた、充電器を介して配電ネットワークに接続された電気車両のダウンタイムフェーズ中に、電気車両のトラクションバッテリーの充電レベルを調整するためのデバイスであって、本デバイスは、前記バッテリーに電気的に接続することが可能な、バッテリーを放電させるための放電回路と、前記バッテリーを放電させ、上記で説明した方法を実装するために、前記放電回路を前記バッテリーに選択的に接続するように設計された制御モジュールとを備えることを特徴とするデバイスに関する。
【0015】
有利には、放電回路は放電抵抗器を備え、放電抵抗器の各端子は、抵抗器の端子をバッテリーの端子に接続するため、及び前記抵抗器の前記端子をバッテリーの端子から切断するために、2つの位置間で前記制御モジュールによって駆動される可動接点を備えるスイッチを介してバッテリーのそれぞれの端子に接続される。
【0016】
有利には、放電抵抗器は前記バッテリーのハウジング中に組み込まれる。
【0017】
本発明はまた、上記で説明したデバイスを備える電気車両に関する。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な指示として与えられる、本発明の1つの特定の実施形態の以下で与えられる説明を読めば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による、バッテリーの充電レベルを調整するためのデバイスを装備された例示的な電気車両の回路図を示す図である。
図2】本発明の方法の2つの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、電気モーター(図示せず)を与えられた、電気モーター車両1における本発明の例示的な実装形態の回路図を示す。この例による車両の電気モーターには、公称電圧を供給するように設計された充電式電気化学システムを含む、複数の電気化学アキュムレータ22またはセルが直列に配置された、バッテリーハウジング21をそれ自体知られている様式で備える、リチウムイオンタイプのトラクションバッテリー2によって電力が供給される。
【0021】
この例の車両はまた、バッテリー充電器3を備える。バッテリー充電器3は、車両バッテリーを充電するために配電ネットワーク31に接続されるように設計される。バッテリー充電器3は、車両が停止しており、充電のためにネットワーク31に接続されているときに、充電器3を介した電気ネットワーク31からのバッテリー2の充電を制御するように設計されたコンピュータを備える、制御モジュール4によって駆動される。
【0022】
車両が停止しており、充電のために配電ネットワーク31に接続されている、このコンテキストにおいて、本発明は、特に、バッテリーが前に受けた高速充電のフェーズの終了時に、失われたバッテリー容量の一部分を回復することを可能にするプロトコルの実装を提案する。
【0023】
特に、連続的な高速充電動作から生じるLiイオンバッテリーの容量のこの損失は、大きい充電電流によって悪化させられる、寄生電気化学反応に帰し、その結果、特に負電極がその中に浸漬されている電解質と反応する負電極の表面上にリチウム金属が堆積し得ること(「Liめっき」)が認められている。本発明の原理は、この現象に関連するバッテリー容量の一時的に失われた可逆部分を回復させ、それにより、高速充電を実装しているにもかかわらず、電気車両の耐用年数を増加させるために、特定のプロトコルに関連する単純なデバイスを提供することである。
【0024】
そのために、本発明のデバイスは、バッテリー2に関連する放電回路5を備える。この放電回路は単一の放電抵抗器51を備え、放電抵抗器51は、したがって、セル22がその中に配置されているバッテリーハウジング21中に容易に組み込まれ得る。より正確には、放電抵抗器51の一方の端子51aは、リレーなど第1のスイッチ54の可動接点52を介してバッテリー2の正端子に接続され、放電抵抗器51の他方の端子51bは、リレーなど第2のスイッチ54の可動接点52を介してバッテリーの負端子に接続される。第1および第2のスイッチ54の可動接点52は、それぞれ、図1に示されているように、放電抵抗器51の端子51aおよび51bが、バッテリーの正端子および負端子に接続されない第1の「開」位置と、放電抵抗器51の端子51aおよび51bがバッテリーの正端子および負端子に接続される第2の「閉」位置との、2つの位置を取り得る。
【0025】
バッテリーに関連する放電システムの第1および第2のスイッチ54の位置は制御モジュール4によって制御され、制御モジュール4は、以下でより詳細に説明するように、車両が停止しており、充電のためにネットワークに接続されているときに、本発明がドライバーに提案することが可能である、異なる充電ストラテジーに応じて、第1および第2の位置の中から第1および第2のスイッチ54の可動接点52の位置を決定するように設計される。
【0026】
本発明の方法は、図2においてMode_1およびMode_2によって示されている、少なくとも2つのストラテジーを与えることを可能にし、特にバッテリーを高速充電するフェーズの終了時に失われたバッテリー容量の可逆部分の回復を可能にする。
【0027】
どちらのストラテジーについても、最初に第1のステップE1においてバッテリーの強制放電が制御される。したがって、この第1のステップにおいて、放電抵抗器51は、制御モジュール4を介して、リレー54の2つの可動接点52が閉位置に来るように、それらの可動接点52を駆動することによって、バッテリーの端子間に接続される。このようにしてバッテリーに接続された放電抵抗器51は、放電ステップE1における有効放電電流を設定することを可能にする。本発明によれば、放電抵抗器は、バッテリーをそれの最小電圧まで低速で放電させることが可能な、極めて小さい放電電流のみを流れさせることを可能にするようにサイズ決定される。好ましい例示的な実施形態を与えるために、放電抵抗器51は、放電電流の強度をバッテリーの公称容量の高々1/10に調整するようにサイズ決定される。これは0.1Cにおける放電と呼ばれ、ここで、Cは、10時間にわたる総放電に対して与えられる、Ahで表される、バッテリーの公称エネルギー容量である。このことは、バッテリーが、この放電ステップE1において、10時間の時間期間にわたってバッテリーの容量よりも10倍低い強度をもつ電流を供給することを意味する。言い換えれば、この例示的な実施形態によれば、バッテリーは、10時間の時間期間にわたって、それの最小電圧まで低速で放電する。
【0028】
したがって、バッテリーを低速で完全に放電させるこの第1のステップE1は、充電中に起こる「Liめっき」現象を部分的に可逆的にすることによって、バッテリーの容量の一部分を回復させることを可能にし、その現象は、バッテリー劣化の重大な原因であり、高速充電の使用中に大電流で促進される。
【0029】
最小電圧または停止電圧は、バッテリーの総放電しきい値を決定することを可能にし、バッテリーを保護することを可能にする。したがって、制御モジュール4が、バッテリーを形成するセルの端子に配置された電圧センサーによって、最小電圧を検出するとすぐに、制御モジュール4は、リレー54の2つの可動接点52を開位置に来るように駆動することによって、バッテリーから放電抵抗器51を切断し、それにより、バッテリーの過放電およびバッテリー耐用年数に対する好ましくない結果を回避することが可能になる。
【0030】
バッテリーを低速で完全に放電させる第1のステップE1が終了すると、本発明の方法は、それぞれ第1の「高速」モードおよび第2の「低速」モードに対応する、図2にMode_1およびMode_2によって示された2つのストラテジーに対応する、2つの異なるシーケンスに従って継続し得る。
【0031】
高速モードでは、第1のステップE1に続いて、配電ネットワークに接続された充電器3を介してバッテリーを通常に充電するステップE2が制御される。このステップ中に、上記で説明したように、放電抵抗器51は、したがってバッテリーから切断される。この通常充電ステップは、充電器またはバッテリーによって規定されるものである、設定点充電電流を用いて実行される。言い換えれば、通常充電は、充電器のまたはバッテリーの能力によって制限される電力レベルにおける充電である。
【0032】
通常充電ステップE2はまた、利用可能な場合、言い換えれば、ネットワークおよび充電器を通して高い充電電力が利用可能である場合、高速充電レジームを使用して実行され得る。この場合、設定点充電電流は、それが、許容できる充電レベルをできる限り速く得るようにバッテリーを充電することが可能な、バッテリーの高速充電を可能にするような値に設定される。たとえば、この充電電流はバッテリー容量の少なくとも40%に設定され得る。
【0033】
バッテリーは、たとえば、知られている旅行をするために必要とされる最小の充電レベルに対応する、必要とされる充電レベルまで充電される。
【0034】
高速モードによるストラテジーを適用することによって、バッテリーは、バッテリー耐用年数が損なわれることなしに、高速充電レジームを使用することを含む、必要とされる充電レベルまで、第1の低速放電ステップE1の直後に充電され得る。特に、車両を充電する次のフェーズでは、バッテリーを低速で放電させる予備ステップE1の本発明による適用により、上記で説明したように、バッテリーの失われた容量の一部分を回復させることが可能になる。
【0035】
変形態として、バッテリーを低速で完全に放電させる第1のステップE1が終了すると、本発明の方法は、低速モードと呼ばれる第2のモードに従って継続し得る。
【0036】
この低速モードでは、上記で説明したように、バッテリーを通常に充電するステップE2の前に、バッテリーを充電および放電させる中間シーケンスが行われる。
【0037】
したがって、この中間シーケンス中に、配電ネットワークに接続された充電器3を介したバッテリーの抑制充電のステップE12が最初に制御される。このステップE12中に、放電抵抗器51は、したがってまた、上述の原理に従って、通常充電ステップE2の場合のように、バッテリーから切断される。しかしながら、この抑制充電ステップE12は、バッテリーをそれの最大電圧まで低速で充電するように、充電器またはバッテリーによって規定される最大充電電流に対応する設定点充電電流よりも低い、抑制充電電流を用いて実行される。1つの好ましい例示的な実施形態によれば、制御モジュール4は、充電電流の強度を、バッテリーの公称容量の高々1/10に等しいレベルに調整する。これは、0.1Cにおいて抑制された充電を意味する。これは、バッテリーが、この抑制充電ステップE12において、10時間の時間期間にわたってバッテリーの容量よりも10倍低い強度をもつ電流を受けることを意味する。言い換えれば、この例示的な実施形態によれば、バッテリーは、10時間の時間期間にわたってそれの最大電圧まで低速で完全に充電する。制御モジュール4が最大電圧を検出すると、低速充電は停止される。
【0038】
次に、依然としてこの中間シーケンスにおいて、バッテリーが完全に充電されると、バッテリーを強制的に放電させる第2のステップE12が、次いで、第1の放電ステップE1の条件と同等の実装の条件下で制御される。したがって、放電抵抗器51は、バッテリーの最小電圧に達するまで、0.1Cにおけるバッテリーの低速で完全な放電を引き起こすように、再びバッテリーに接続される。
【0039】
ステップE12中に実装される、バッテリーのこの第2の低速で完全な放電が終了すると、放電抵抗器51がバッテリーから切断され、高速モードMode_1に関して上記で説明したように、バッテリーを通常に充電するステップE2が実装される。したがって、このステップE2中に、利用可能な場合、潜在的に高速充電レジームを使用して、充電器のまたはバッテリーの能力によって制限される電力レベルにおいて、必要とされる充電レベルまで充電が行われる。
【0040】
低速モードMode_2は、両方のモードで実装される、バッテリーを低速で完全に放電させる第1のステップE1によって、「Liめっき」現象を少なくとも部分的に反転させることに関して、高速モードMode_1と同じ有益な効果を生じる。さらに、バッテリーを低速で完全に充電するステップE11と、その後の、バッテリーを低速で完全に放電させるステップE12とからなる、ステップE1に続く中間シーケンスは、バッテリーのLiイオンセルの充電の内部状態が再均質化されることを可能にし、このことは、高速充電のフェーズ中に失われ得る、バッテリーの容量のより大部分を回復させるために、Liイオンセルの活性領域のうちのいくつかに過度の力をかけ、したがってバッテリーのセルを早期に劣化させることを回避する。
【0041】
低速モードMode_2は、例示的な実施形態によれば、ステップE1とステップE2との間の、0.1Cにおける低速充電および放電のステップE11およびE12の中間シーケンスの実装による、20時間の車両の追加の不動を伴うので、高速モードMode_1に対して低速と呼ばれる。したがって、高速モードは、特に、充電および/または駐車時間が制限され得る公共空間に配備された充電ポイントを介した充電の場合に有効であり得る。
【0042】
有利には、上記で説明した2つのモードの一方または他方に従ってバッテリー容量を回復する本発明によって提案されるオプションをドライバーが選択した場合、ドライバーが停車し、充電のためにネットワークに接続されていると、充電の開始前に、ドライバーの車両が再び利用可能になるまでに必要とされる時間をドライバーに通知するための準備が行われ得る。2つのモードの一方または他方の実装のために必要とされるこの時間はまた、車両の充電状態に依存する。
【0043】
ドライバーはまた、バッテリー容量を回復させることを可能にする、本発明の2つのモードの実装のために必要とされる時間がドライバーの制約に適合しない場合、これらの2つのモードの一方または他方に従ってバッテリーを充電しないことを選定し得る。その場合、標準充電が実装される。
【0044】
また、ステップE1およびE12におけるようなバッテリーの低速で完全な放電は車両の通常の使用中に実行され得ないことに留意されたい。特に、運転しているとき、制動のフェーズが断続的な充電をもたらし、それが放電を中断させ、連続的な低速で完全な放電の実装を妨げる。しかしながら、バッテリーのそのような放電は、車両バッテリーを充電する間に、上記で説明したようにバッテリー容量を回復するための異なるストラテジーの実装を可能にするために、少なくともステップE1の前に必要とされる。したがって、制御モジュール4によって制御される放電回路5とバッテリーとの結合は、本発明によって必要とされる、バッテリーのこれらの低速で完全な放電を可能にする。
図1
図2