(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】遠隔操作されるWSS冗長性を有する高密度な海底のROADM装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/27 20130101AFI20221128BHJP
H04B 10/03 20130101ALI20221128BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/03
H04J14/02
(21)【出願番号】P 2021523370
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 US2019061063
(87)【国際公開番号】W WO2020102268
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス、 エディアルド マテオ
(72)【発明者】
【氏名】間 竜二
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄大
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0117982(US,A1)
【文献】国際公開第2017/022231(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/017181(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00820166(EP,A2)
【文献】特開2010-226167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04B 10/03
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底の/海中の送信ネットワークで通信する改良された海底の/海中の通信システム構成であって、
海底の/海中の分岐装置(BU)と、
海底の/海中の再構成可能な光アド/ドロップ多重化装置(ROADM)と、を含み、
前記ROADMは高密度なROADM(HDRU)として構成され、前記HDRUは複数のROADMサブ装置(RSU)を含み、前記複数のRSUの夫々の1つは前記BUと光通信する複数の波長選択スイッチ(WSS)を有し、
前記改良された海底の/海中の通信システム構成は、前記複数
のWSSの遠隔操作される冗長性を含
み、
前記複数のWSSの前記遠隔操作される冗長性は、前記海底の/海中のRSUに含まれる前記複数のWSSの夫々に冗長なWSSを構成することによって達成され、各冗長なWSSは非海底の/非海中の位置に配置されることを特徴とする、改良されたシステム構成。
【請求項2】
各構成された冗長なWSSは、前記海底の/海中のRSUに含まれるその対のWSSの代わりに、前記対のWSSの故障中にはチャネルをアド/ドロップするよう構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の改良されたシステム構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2018年11月14日に出願された仮出願第62/767,174号、および2019年11月12日に出願された米国特許出願第16/681,813の利益を主張するものであり、両者の全体の内容が、本明細書に詳細に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(技術分野)
本開示は一般に、海底光通信に関し、より詳細には、高密度海底再構成可能な光アド-ドロップ多重化装置(ROADM)および波長選択スイッチ(WSS)の冗長性を含む海底光通信システムに関する。
【0003】
(背景)
光通信技術において、そして特に海底の/海中の光通信技術において知られているように、ROADMを含む分岐装置は、そのような海底の/海中のシステムにおいて基本的に重要な構成要素である。さらに、WSS要素に基づくROADMを有する既知の海底の/海中のシステムは、3つ以上のサイトの相互接続のため大きな柔軟性および信頼性を提供するので、さらに重要であることが証明されている。それらの重要性を考慮すると、ROADMとWSS’を含む分岐要素の改善は、技術に対して好適なものであろう。
【発明の概要】
【0004】
本技術の進歩は、遠隔操作される波長選択スイッチ(WSS)の冗長性を有する高密度な海底の/海中の再構成可能な光アド/ドロップ多重化装置(ROADM)を含む、改良されたシステム、方法、および構造に向けられた本開示の態様にしたがって引き起こされる。
【0005】
先行技術とは対照的に、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、有利に「ドライプラント」に配置され遠隔操作されるWSSを有利に使用し、一方、海底の/海中のROADMは「ウェットプラント」にWSSを含む。
【0006】
しかしながら、ここで、本開示によるシステム、方法、および構造を示し、説明すると、WSS要素の遠隔操作される冗長性を有する構成を使用することによって、海底の/海中のROADM装置のこのような空間制限を有利に克服する。有利に、本開示の一態様によれば、RU内部に通常配置される冗長性を有する要素は低減され、RSUの数は2倍になる。
【0007】
本開示のさらなる態様によれば、海底の/海中のRSUは、有利に冗長性を有するWSS要素を含まない。その代わりとして、特定のROADMでアド/ドロップ操作の量を増加させるだけでなく、また、その有用性を向上させる分岐局でWSS装置を使用するトラフィック回復方法論のシステムが使用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現されるであろう。
【0009】
【
図1】本開示の態様による、海底の/海中の分岐装置(BU)および海底の/海中のROADM装置(RU)の例示的な構成の概略図を示し、各RIは、数キロメートル(km)の距離だけ間隔をおいて置かれた分離したウェットプラント体であるROADMサブ装置(RSU)とRU1とRU2とを含む。
【0010】
【
図2】本開示の態様による例示的な高密度ROADM装置(HDRU)の概略図を示す。
【0011】
【
図3】本開示の態様による、構成が通常動作モードにある、遠隔操作されるWSS冗長性を有する例示的なHD-RSU構成の概略図である。
【0012】
【
図4】本開示の態様による、構成が故障動作モードにある、遠隔操作されるWSS冗長性を有する例示的なHD-RSU構成の概略図である。
【0013】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具体化されてもよく、図面および詳細な説明に記述された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、本明細書では明白に記述または示されていないが、当業者は本開示の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解されよう。
【0015】
さらに、本明細書に列挙されたすべての例および条件付きの言語は、読者が本開示の原理および本技術を促進するために本発明者(ら)によって寄与された概念を理解するのを助けるための教育上の目的のためだけのものであることが意図され、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0016】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての陳述は、その構造的および機能的同等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような同等物は現在知られている同等物と、将来開発される同等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素との両方を含むことが意図される。
【0017】
したがって、例えば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を具体化する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されよう。
【0018】
本明細書で特に明白に特定しない限り、図面を構成する図は、縮尺に合わせて描かれていない。
【0019】
いくつかの追加の背景として、我々は、ROADMを含む分岐装置が現代の海底の/海中の通信システムにおける基本的な要素であることにもう一度着目することから始める。当業者には公知であり理解されるように、波長選択スイッチ(WSS)要素を使用するROADMは、3つ以上のサイトを相互に接続して使用される場合、相当な柔軟性および信頼性を提供する。
【0020】
海底の/海中のネットワークシステムにおいて、当業者は、ネットワークを「トランク」と「分岐」に分割することはありふれたことであることを知っているであろう。典型的には、各分岐局は2つの独立したファイバ対(FP)によって1対のトランク局に接続される。各分岐局にアド/ドロップされる容量は、海底の/海中のROADM装置(RU)によって管理される。
【0021】
当業者にはさらに知られているように、海底の/海中のRUは、海底の/海中の本体のかなりの空間/体積制限のため、限られた数および結果として生じる構成要素の体積を収容することができる。海底の/海中のRUに含まれる構成要素の中で、中でもWSS要素、光増幅器、光スイッチ、受動光カプラ、制御回路、およびコマンド受信器および送信器を含む。さらに、全体的な信頼性を高めるため、WSSなどのRUに含まれる一定の要素は冗長である。その結果、そのようなRU空間制限は、RUにおいて実行される制限された量のアド/ドロップ動作という結果になる。例えば、典型的な海底の/海中のRUは、1つのハウジング(すなわち、2つのROADMサブ装置)で最高で2つのアド/ドロップ動作をサポートすることができる。これは、完全な双方向的な接続性が2つのトランクFPおよび4つの分岐FPに提供されることを意味する。特定の分岐において、より多くのファイバ対を分岐する必要があるこのような状況では、いくつかのRUはインストールされなければならない。
【0022】
図1は海底の/海中の分岐装置(BU)および海底のROADM装置(RU)の例示的な構成の概略図を示し、各RIは、数キロメートル(km)の距離によって間隔おいて置かれた分離したウェットプラント体であるROADMサブ装置(RSU)とRU1とRU2とを含む。図に示される構成に例示されるように、4つのトランクFPは、双方向的なアド/ドロップ接続性で示される。ここで容易に理解され、認識されるように、ハウジングサイズの制限のため、2つのカスケード接続されたRUは必然的に使用される。さらに、各RSUは、ネットワークの信頼性を高めるため冗長なWSS要素を含む。もちろん、このような冗長性は代償、すなわち、我々が既に注目した海中の/海底のハウジングの付加的な空間が、このような海中の/海底のシステムにおいて高価であるという代償になる。
【0023】
しかしながら、ここで、本開示によるシステム、方法、および構造を示し、説明すると、WSS要素の遠隔操作される冗長性の構成を使用することによって、海底の/海中のROADM装置のこのような空間制限を有利に克服する。有利に、本開示の一態様によれば、RU内部に通常配置される冗長な要素を低減することができ、RSUの数を2倍にすることができる。本開示のさらなる態様によれば、RSUは、有利に、冗長なWSS要素を含まない。その代わりに、分岐局でWSS装置を使用するトラフィック回復方法論のシステムが使用される。本発明の態様を使用したこのような高密度ROADM装置(HD-RU)は、
図2に例示的に示される。
【0024】
さて、その
図2を参照して、本開示の態様による例示的な高密度ROADM装置(HDRU)の概略図を示す。当業者には容易に理解され、認識されるように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造によって達成されるように、海底の/海中のRUの低減は、そのようなRUの低減がさらにコストを低減し、そのようなシステムの海洋の設置および回復を単純化するので、決定的に重要である。
【0025】
図2から気付くように、示された例示的な構成は、複数のFP(FP11、FP12、FP21、FP22、FP31、FP32、FP41、FP420)によって夫々光学的に相互接続された複数の(この例示的な例では4つの)RSU(RSU1、RSU2、RSU3、RSU4)を含むBUおよび海底の/海中のHDRUを含む。
【0026】
図3は、本開示の態様による、構成が通常動作モードにある、遠隔操作されるWSS冗長性を有する例示的なHD-RSU構成の概略図である。
図4は、本開示の態様による、構成が故障動作モードにある、遠隔操作されるWSS冗長性を有する例示的なHD-RSU構成の概略図である。
【0027】
ここで、これらの図面を同時に参照すると、この議論において明確かつ簡単にするため、動作は一方向のみについて説明されていることに留意する。当業者であれば、双方向的な動作は同様に動作することを認識し、理解するであろう。
【0028】
これらの図に示すように、3つの局が例示的に示されている。単純化した議論と一貫して、局Aから局B(AB)へのトラフィック、局Aから局C(AC)へのトラフィック、そして局Cから局B(CB)へのトラフィックが説明される。上記のように、トラフィック(BA)、(BC)、および(CA)についての説明は、本明細書で説明し記述したものと同一である。
【0029】
具体的な
図3に関連して、通常動作中、WSS1装置は、典型的な/従来のROADM動作におけるアド/ドロップチャネルを管理することに留意されたい。ACトラフィックは、WSS1におけるCBトラフィックによって置き換えられる。分岐局-Cにおいて、トランクチャネルと分岐チャネルとはWSS3によって分離される。WSS3の1つの出力ポートは、分岐チャネル(AC)をAC/CAチャネルの対応するトランスポンダに送信する。WSS3の第2のポートは、トランクチャネル(AB)を光スイッチSW3に送信する。あるいは、CBトラフィックは、局Cで生成され、受動カプラを介してダミーライト(DL)と結合される。ダミーライトは最終的にWSS1で除去され、WSS1でABトラフィックはCBトラフィックに結合される。
【0030】
ここで
図4に目を向けると、例えば、-WSS1が故障したときの、本開示の態様による故障モード動作を示す。この図に関連して、WSS1が非稼動になると、RSUの制御装置は、FP11を使用して帯域外チャネルを介して通知を発行する。分岐局Cでは、この通知は他の制御装置を介して受信され、光スイッチSW3は、その状態を変えるため起動される。ここで、ダミーライトの代わりに、トランクトラフィックは分岐トラフィックに結合される。同時に、光スイッチSW1およびSW2は、WSS1故障の通知後にそれらの状態を変更する。
【0031】
この図から分かるように、そこに示されている例示的な構成は、トランクチャネルが、ここでRUから分岐局へ往復することを実行すること以外に、通常モードと同じエンドツーエンドの接続性を維持する。これは、設計段階で修復の余地の状態とみなすことができる、このチャネルのOSNR劣化を引き起こす。このOSNRは、RUが予備のRU装置に置き換えられるとき回復される。
【0032】
ここで、当業者は、本開示の態様による遠隔操作される冗長性を有する設計/構成を使用することによって、RSU内のWSS装置の数を半減することができ、RU内のRSUの数を2倍にすることができることを理解し、認識するであろうし、コストおよび海底の/海中の設置および動作に関して著しい利点という結果になる。
【0033】
この時点で、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は我々の教示がそのように限定されないことを認識するであろう。したがって、この開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。