(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】香り発散量を調節可能な装身具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20221128BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20221128BHJP
A44C 1/00 20060101ALI20221128BHJP
A44C 3/00 20060101ALI20221128BHJP
A44C 7/00 20060101ALI20221128BHJP
A45D 8/02 20060101ALI20221128BHJP
A45D 8/36 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
A44C25/00 Z
A44C5/00 501A
A44C25/00 A
A44C1/00
A44C3/00
A44C7/00 A
A45D8/02
A45D8/36 A
(21)【出願番号】P 2021545657
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(86)【国際出願番号】 KR2019008854
(87)【国際公開番号】W WO2020080649
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0123134
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0026001
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】20-2019-0000932
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521153294
【氏名又は名称】セラアート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ウン キョン エー
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3000181(JP,U)
【文献】登録実用新案第3108423(JP,U)
【文献】実開平06-029547(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00-27/00
A61L 9/00-9/22
B22F 1/00-8/00
B22F 10/00-12/90
C22C 1/04-1/05
C22C 33/02
B65D 85/00
A45D 8/00-8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間を有する本体と、
前記本体の収納空間に収納可能に形成され、内部気孔に香り原液を含有する香りカートリッジと
を備え
、前記本体および香りカートリッジがセラミック材料からなる構成において、
前記本体は、
前記香りカートリッジを、一面が露出された状態で収納できるベースと、
前記ベースの一面を覆い、着用者の指の動きで開放状態を変えることができるカバーとを備えると共に、
前記ベースは、
前記ベースの上面の中心部に前記香りカートリッジを収納できる収納溝と、
前記収納溝を中心として、前記ベースの上面の一側に形成されるヒンジピンと、
前記収納溝の底面に形成される第1結合磁石および第2結合磁石と、を備え、
前記カバーは、
前記ベースと向き合う前記カバーの下面において、前記第1結合磁石および第2結合磁石と対応する位置に形成される第1スライド磁石および第2スライド磁石を備え、
前記ヒンジピンを介して前記ベースとカバーとが結合され、カバーがベース上でスイング方式により水平に回転できる
ことを特徴とする装身具。
【請求項2】
前記本体は、ブレスレット、ペンダント、リング、イヤリング、ネックレス、アンクレット、ノリゲ(韓国の女性のチョゴリ(上衣)のオッコルム(リボン)やスカートの裳の腰に下げた装飾具),ブローチ、ヘアバンド、ヘアピン、メダル、およびクリップのうちのいずれか一つの主装飾部の形状を有してもよく、この主装飾部を身体に着用するために備えられる付属装飾部の形状を有してもよいことを特徴とする請求項1に記載の装身具。
【請求項3】
前記本体は、ジルコニア及びアルミナのうちのいずれか一方を主材料としてセラミック化されることを特徴とする請求項1に記載の装身具。
【請求項4】
前記香りカートリッジは、ジルコニア及びアルミナのうちのいずれか一方を主材料として多孔質セラミック化されることを特徴とする請求項1に記載の装身具。
【請求項5】
前記香りカートリッジは、香り原液に浸漬されるか、または、香り原液を噴霧又は塗布することにより、内部気孔に香り原液を含有させることを特徴とする請求項4に記載の装身具。
【請求項6】
前記ベースの第1結合磁石と第2結合磁石は、同じ磁性を有し、前記カバーの第1スライド磁石および第2スライド磁石は、ベースの第1結合磁石および第2結合磁石と反対の磁性を有することを特徴とする請求項
1に記載の装身具。
【請求項7】
前記ベースの第1結合磁石とカバーの第1スライド磁石とが磁気的に結合され、前記ベースの第2結合磁石とカバーの第2スライド磁石とが磁気的に結合されて、香りカートリッジが内蔵される収納溝が外部に露出されない閉鎖モードで本体が香りを発散することを特徴とする請求項
6に記載の装身具。
【請求項8】
着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、
前記カバーの第1スライド磁石が位置移動して前記ベースの第2結合磁石と磁気的に結合され、ベースの第1結合磁石とカバーの第2スライド磁石とは結合されないため、香りカートリッジの一部が着用者側に露出される着用者側クォーター開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする請求項
7に記載の装身具。
【請求項9】
前記着用者側クォーター開放モードへの状態変換のために下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする請求項
8に記載の装身具。
[数式]
L
2b-D
2b≦L
1c≦L
2b+D
2b
(ここで、L
1cは、ヒンジピンから第1スライド磁石の中心部までの距離であり、L
2bは、ヒンジピンから第2結合磁石の中心部までの距離であり、D
2bは、第2結合磁石の中心部から最外周までの平均距離を示す。)
【請求項10】
前記カバーの一方向への回転に応じて着用者側クォーター開放モードへの状態変換が行われ、その反対方向への回転に応じてカバーがアイドリングするように、下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする請求項
9に記載の装身具。
[数式]
│L
1c-L
2b│>D
1c+D
2b
(ここで、D
1cは、第2スライド磁石の中心部から最外周までの平均距離であり、│L
1c-L
2b│はL
1c-L
2bの絶対値を示す。)
【請求項11】
着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、
前記カバーの第2スライド磁石が位置移動して前記ベースの第1結合磁石と磁気的に結合され、ベースの第2結合磁石とカバーの第1スライド磁石とは結合されないため、香りカートリッジの一部が相手側に露出される相手側クォーター開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする請求項
7に記載の装身具。
【請求項12】
前記相手側クォーター開放モードへの状態変換のために下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする請求項
11に記載の装身具。
[数式]
L
1b-D
1b≦L
2c≦L
1b+D
1b
(ここで、L
2cはヒンジピンから第2スライド磁石の中心部までの距離であり、L
1bはヒンジピンから第1結合者席の中心部までの距離であり、D
1bは、第1結合磁石の中心部から最外周までの平均距離を示す。)
【請求項13】
前記カバーの一方向への回転に応じて相手側クォーター開放モードへの状態変換が行われ、その反対方向への回転に応じてカバーがアイドリングするように、下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする請求項
12に記載の装身具。
[数式]
│L
2c-L
1b│>D
2c+D
1b
(ここで、D
2cは、第2スライド磁石の中心部から最外周までの平均距離であり、│L
2c-L
1b│はL
2c-L
1bの絶対値を示す。)
【請求項14】
着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、
前記ベースの第1結合磁石および第2結合磁石と、カバーの第1スライド磁石および第2スライド磁石とのいずれも結合されないため、香りカートリッジの一部が相手側に露出される半開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする請求項
7乃至請求項
13のいずれか一項に記載の装身具。
【請求項15】
前記ベース及びカバーからヒンジピンを取り外してベースからカバーを分離することにより、香りカートリッジを外部に開放させる完全開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする請求項
6に記載の装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香り発散量を調節可能な装身具に係り、さらに詳しくは、身体に着用したときに審美的な美しさを提供すると同時に、香りを発する機能を有し、それにより嗅覚刺激を通じて着用者の安定を助け、着用者の個性を周りに表現することができ、着用者の香りの好みや嗜好に応じて、簡単かつ手軽に新しい香りと交換することができ、内部に収納された香りカートリッジから発散される香り発散量を、着用者の好みや着用環境に応じて様々なモードで容易かつ簡単に調整することができ、それにより香りカートリッジの使用期間を延長し、ラグジュアリーでセンスのよい香りコーディネートを実現することができ、着用時に豊富な香りを発し、着用していない状態では香の発散を最小限に抑えることで、香りカートリッジから発する香りの量を節約し、その賢明な利用を可能にする、香り発散量を調節可能な装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、装身具は、身体に着用したときに美的装飾効果を提供すると同時に、自身だけの個性を表現する手段として使われてきた。最近では、装身具に香水や芳香剤を内蔵させて香り発散機能を持たせた機能性製品が発売されている。
【0003】
しかしながら、香水や芳香剤を収納して製品化した装身具のほとんどが、そこから発散される香りを消費すると、香水としてのそれらの機能は失われる。したがって、香水の機能を目的として購入した場合、長期間使用しなくても、香料が放出されて使用目的が失われてしまい、その結果、着用者はもはや香り装身具を着用することに何の魅力も興味も持たず、それは望ましくないことに装身具の寿命を実質的に短くする。
【0004】
また、装身具を製造する過程ではなく、装身具を使用する過程において、装身具に香水や芳香剤を組み込むことは非常に困難であり、香水や芳香剤を新しいものと交換することは不便である。なお、既存の香水や芳香剤は使用期間が短いため、頻繁に交換する必要があり、そうでない場合は、香水を定期的に続けて装身具に入れる必要がある。
【0005】
さらに、これまで、芳香剤または添加剤をその表面に塗布するか、または装身具製品の背面部に別個の固体香料を付着させることによって、香水機能を備えた装身具が作製されてきたが、上記と同様に、一定期間使用すると香料がすべて放出、揮散および消費されるため、一回性であるという問題がある。
【0006】
さらにまた、着用者が芳香物質(香り発散剤)とアレルギー反応を起こすと、直接接触することを躊躇するが、ほとんどの装身具製品は、装身具自体に香りを塗布するか、その外部に芳香物質を露出させることによって提供されるので、アレルギー反応により着用者の皮膚が深刻な損傷を受ける事例が多かった。
【0007】
一方、香水や芳香剤を収納して製品化した既存の装身具の場合、芳香剤として、香り発散量が一定期間に限定された芳香剤を使用し、実際、装身具を使用していないかまたは着用していない場合でも、一定量の香りが発散されるので、不要な香料が放出されることになる。その結果、装身具の芳香剤の使用時間が短縮され、芳香剤が組み込まれた装身具製品の好みの程度が低くなる。しかも、外出時に着用するのが一般的ですが、相手の香りの好みや着用環境の特性に応じて、香りの発散量を調整する必要がある。しかし、これまで芳香剤を収納した装身具製品では、香りの発散量を調整することができず、香りの発散量を調整できたとしても、調整が容易でなく便利ではなかった。
【0008】
さらにまた、装身具は、その特性上、身体に着用した状態で使用し、着用していない状態では保管している。香り装身具は、限られた所定の発散量を有しており、装身具を着用せずに所定の場所に保管している間に大量の香りが発散されると、装身具内の香り原液が急速に使い果たされるため、香り装身具の使用効果が低下する。具体的には、ブレスレットやイヤリングのような装身具の場合、特定の場所に装身具が保管され、待機される時間は、装身具が実際に着用者に着用される時間よりも長いため、着用者は、香りを発散する着用型装身具の有効性に疑問が投げかけられているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、身体に着用したときに審美的な美しさを提供すると同時に、香りを発する機能を有し、それにより嗅覚刺激を通じて着用者の安定を助け、着用者の個性を周りに表現することができ、なお、着用者の香りの好みや嗜好に応じて、簡単かつ手軽に新しい香りと交換することができる、香り発散量を調節可能な装身具を提供することを目的とする。
【0010】
また、内部に収納された香りカートリッジから発散される香り発散量を、着用者の好みや着用環境に応じて様々なモードで容易かつ簡単に調整することができ、それにより、香りカートリッジの使用期間を延長し、ラグジュアリーでセンスのよい香りコーディネートを実現することができる、香り発散量を調節可能な装身具を提供することを他の目的とする。
【0011】
さらに、内部に収納された香りカートリッジから発散される香り発散量を、着用者の好みや着用環境に応じて様々なモードで容易かつ簡単に調整することができ、それにより、香りカートリッジの使用期間を延長し、ラグジュアリーでセンスのよい香りコーディネートを実現することができる、香り発散量を調節可能な装身具を提供することをまた他の目的とする。
【0012】
さらにまた、着用時に豊富な香りを発し、着用していない状態では香の発散を最小限に抑えることで、香りカートリッジから発する香りの量を節約し、その賢明な利用を可能にする、着用パターンに応じて香り発散量の自動調整が可能な装身具を提供することをまた他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、内部に収納空間を有する本体と、前記本体の収納空間に収納可能に形成され、内部気孔に香り原液を含有する香りカートリッジと、を備え、前記本体および香りカートリッジがセラミック材料からなることを特徴とする装身具を提供する。
【0014】
好ましくは、前記本体は、ブレスレット、ペンダント、リング、イヤリング、ネックレス、アンクレット、ノリゲ(韓国の女性のチョゴリ(上衣)のオッコルム(リボン)やスカートの裳の腰に下げた装飾具)、ブローチ、ヘアバンド、ヘアピン、メダル、およびクリップのうちのいずれか一つの主装飾部の形状を有してもよく、この主装飾部を身体に着用するために備えられる付属装飾部の形状を有してもよいことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記本体は、ジルコニア及びアルミナのうちのいずれか一方を主材料としてセラミック化されることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記香りカートリッジは、ジルコニア及びアルミナのうちのいずれか一方を主材料として多孔質セラミック化されることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記香りカートリッジは、香り原液に浸漬されるか、または、香り原液を噴霧又は塗布することにより、内部気孔に香り原液を含有させることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、前記本体は、前記香りカートリッジを、一面が露出された状態で収納できるベースと、前記ベースの一面を覆い、着用者の指の動きで開放状態を変えることができるカバーと、を備えることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記ベースは、前記ベースの上面の中心部に前記香りカートリッジを収納できる収納溝と、前記収納溝を中心として、前記ベースの上面の一側に形成されるヒンジピンと、前記収納溝の底面に形成される第1結合磁石および第2結合磁石と、を備え、前記カバーは、前記ベースと向き合う前記カバーの下面において、前記第1結合磁石および第2結合磁石と対応する位置に形成される第1スライド磁石および第2スライド磁石を備え、前記ヒンジピンを介して前記ベースとカバーとが結合され、カバーがベース上でスイング方式により水平に回転できることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記ベースの第1結合磁石と第2結合磁石は、同じ磁性を有し、前記カバーの第1スライド磁石および第2スライド磁石は、ベースの第1結合磁石および第2結合磁石と反対の磁性を有することを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記ベースの第1結合磁石とカバーの第1スライド磁石とが磁気的に結合され、前記ベースの第2結合磁石とカバーの第2スライド磁石とが磁気的に結合されて、香りカートリッジが内蔵される収納溝が外部に露出されない閉鎖モードで本体が香りを発散することを特徴とする。
【0022】
好ましくは、着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、前記カバーの第1スライド磁石が位置移動して前記ベースの第2結合磁石と磁気的に結合され、ベースの第1結合磁石とカバーの第2スライド磁石とは結合されないため、香りカートリッジの一部が着用者側に露出される着用者側クォーター開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記着用者側クォーター開放モードへの状態変換のために下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする。
【0024】
[数式]
L2b-D2b≦L1c≦L2b+D2b
【0025】
ここで、L1cは、ヒンジピンから第1スライド磁石の中心部までの距離であり、L2bは、ヒンジピンから第2結合磁石の中心部までの距離であり、D2bは、第2結合磁石の中心部から最外周までの平均距離を示す。
【0026】
好ましくは、前記カバーの一方向への回転に応じて着用者側クォーター開放モードへの状態変換が行われ、その反対方向への回転に応じてカバーがアイドリングするように、下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする。
【0027】
[数式]
│L1c-L2b│>D1c+D2b
【0028】
ここで、D1cは、第2スライド磁石の中心部から最外周までの平均距離であり、│L1c-L2b│はL1c-L2bの絶対値を示す。
【0029】
好ましくは、着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、前記カバーの第2スライド磁石が位置移動して前記ベースの第1結合磁石と磁気的に結合され、ベースの第2結合磁石とカバーの第1スライド磁石とは結合されないため、香りカートリッジの一部が相手側に露出される相手側クォーター開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする。
【0030】
好ましくは、前記相手側クォーター開放モードへの状態変換のために下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする。
【0031】
[数式]
L1b-D1b≦L2c≦L1b+D1b
【0032】
ここで、L2cはヒンジピンから第2スライド磁石の中心部までの距離であり、L1bはヒンジピンから第1結合者席の中心部までの距離であり、D1bは、第1結合磁石の中心部から最外周までの平均距離を示す。
【0033】
好ましくは、前記カバーの一方向への回転に応じて相手側クォーター開放モードへの状態変換が行われ、その反対方向への回転に応じてカバーがアイドリングするように、下記数式に基づいて配置が行われることを特徴とする。
【0034】
[数式]
│L2c-L1b│>D2c+D1b
【0035】
ここで、D2cは、第2スライド磁石の中心部から最外周までの平均距離であり、│L2c-L1b│はL2c-L1bの絶対値を示す。
【0036】
好ましくは、着用者がカバーを押してカバーがヒンジピンを中心として水平回転することにより、前記ベースの第1結合磁石および第2結合磁石と、カバーの第1スライド磁石および第2スライド磁石とのいずれも結合されないため、香りカートリッジの一部が相手側に露出される半開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする。
【0037】
好ましくは、前記ベース及びカバーからヒンジピンを取り外してベースからカバーを分離することにより、香りカートリッジを外部に開放させる完全開放モードで本体が香りを発散することを特徴とする。
【0038】
本発明の他の態様によれば、内部に収納空間を有し、収納空間を構成する下部の接触壁が身体と接触するように設けられる本体と、前記本体の収納空間に収納可能に形成され、前記接触壁に面して配置される香りカートリッジと、を備え、前記接触壁は、無孔質セラミック材料からなり、厚さ1.5~2.9mmであり、前記香りカートリッジは、多孔質セラミック材料からなり、厚さ0.5~1.3mmであり、内部気孔に香り原液を含有し、前記接触壁と直接接触する身体から体熱を伝えられ、香りカートリッジ内の香料を発散させることを特徴とする装身具を提供する。
【0039】
好ましくは、前記本体と香りカートリッジは、ジルコニア及びアルミナのうちのいずれか一方を主材料としてセラミック化されることを特徴とする。
【0040】
好ましくは、前記香りカートリッジでは、香り原液を、香りカートリッジが収納された収納溝に滴下するか、または、香り原液を香りカートリッジに噴霧又は塗布することにより、内部気孔に香り原液を含有させることを特徴とする。
【0041】
好ましくは、前記本体と香りカートリッジは、ジルコニアを主材料としてセラミック化されており、香りカートリッジの内部の気孔径は10~200μmであり、気孔率は10~70%であり、前記接触壁は、厚さ2.5~2.7mmであり、前記香りカートリッジは、厚さ0.9~1.3mmであり、一日以上の香り発散が可能であり、着用の有無に応じて、香り発散量を自動的に調整することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明の装身具は、身体に着用したときに審美的な美しさを提供すると同時に、香りを発する機能を有し、それにより嗅覚刺激を通じて着用者の安定を助け、着用者の個性を周りに表現することができる。
【0043】
また、本発明の装身具は、着用者の香りの好みや嗜好に応じて、簡単かつ手軽に新しい香りと交換することができ、香り発散装身具として半永久的に使用することができる。
【0044】
さらに、本発明の装身具は、香りを発散する香りカートリッジが皮膚に直接接触することを防ぐことにより、香り発散体に対してアレルギー反応を示す着用者でも安全に使用することができる。
【0045】
さらにまた、本発明の装身具は、内部に収納された香りカートリッジから発散される香り発散量を、着用者の好みや着用環境に応じて様々なモードで容易かつ簡単に調整することができ、それにより、香りカートリッジの使用期間を延長し、ラグジュアリーでセンスのよい香りコーディネートを実現することができる。
【0046】
さらにまた、本発明の装身具は、着用時に豊富な香りを発し、着用していない状態では香の発散を最小限に抑えることで、香りカートリッジから発する香りの量を節約し、その賢明な利用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態に係る装身具の本体を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る装身具の香りカートリッジを説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る装身具の本体と香りカートリッジ間の結合過程を説明するための図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る装身具の本体と香りカートリッジ間の結合過程を説明するための図である。
【
図5】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の形状を説明するための図である。
【
図6】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の本体の分解斜視図である。
【
図7】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【
図8】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【
図9】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【
図10】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【
図11】本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る装身具の結合構成に対する配置制限を説明するための図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る装身具の結合構成に対する配置制限を説明するための図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る本体と身体との相関関係を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る装身具の本体および香りカートリッジの厚さと香り発散力との相関関係を説明するための図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る装身具の本体および香りカートリッジの厚さと香り発散力との相関関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、図面中の同じ構成要素または部品に対しては、できる限り同じ参照符号を付していることに留意されたい。本発明を説明するにあたり、関連する公知の機能や構成の詳細については、本発明の要旨を曖昧にしないために省略する。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態に係る装身具の本体を説明するための図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る装身具の香りカートリッジを説明するための図である。
【0050】
図1および
図2を参照すると、本発明に係る香り発散機能を有する装身具は、身体に着用されて審美的な美しさを与える本体10に、香り発散機能を有する香りカートリッジ20が結合されて構成されてもよい。
【0051】
前記本体10は、身体に装身具として着用されてその外観を通じて審美的な美しさを表出する。
【0052】
このような本体10は、様々な形状を有してもよい。ブレスレット、ペンダント、リング、イヤリング、ネックレス、アンクレット、ノリゲ(韓国の女性のチョゴリ(上衣)のオッコルム(リボン)やスカートの裳の腰に下げた装飾具)、ブローチ、ヘアバンド、ヘアピン、メダル、クリップなどの主装飾部の形状を有してもよく、これらを身体に着用するために備えられるコネクタなどの付属装飾部の形状を有してもよい。
図1に示す本体10は、例えば、ブレスレットを構成する主装飾部であるブレスレットヘッドとして構成されている。
【0053】
特に、前記本体10は、セラミック材料でできていてもよい。
【0054】
一般に、多孔質の金属に香水や香りを染み込ませて継続的に香りを発散させる様々な形状の装身具が提供されているが、この場合、金属材料を使用しているため、人体親和性および着心地が良くないという問題があり、市場の評価が低かった。また、比重が大きいため、必要なサイズや形状に制限があり、強度や硬度が低く、耐久性や商品性に劣った。
【0055】
本発明では、前記本体10は、強度と硬度を高めるためにセラミック材料で作られており、製品は剛性が高いため、使用時に製品の損傷のリスクが少なく、外面に生活傷(生活スクラッチ)がよく見えず、表面光沢が良好であるため、商品性が高いという利点を有する。
【0056】
このような本体10は、セラミック原料を均一に混合し、成形金型に充填した後、高温で焼結することにより製造することができる。ここでは、前記セラミック原料として、ジルコニア(ZrO2)またはアルミナ(AL2O3)を主材料とし、焼結後、ダイヤモンド砥粒工具を用いて安定成形品を光沢表面研磨したり、形状研磨加工したりすることにより、準宝石(半貴石)に近い表面と形状を作り出すことができる。
【0057】
このとき、前記本体10には、内部に所定の空きスペースで形成された収納部12が形成され、この収納部12には、その空間を区画する少なくとも1つの外面により接触壁11が構成される。この接触壁11は、装身具を着用する際、収納部12内の香りカートリッジ20と着用者の皮膚との間に配置されるように構成されている。
【0058】
前記収納部12は、前記香りカートリッジ20を挿入できる空間として形成される。
【0059】
前記接触壁11は、収納部12の空間を区画する面の1つであり、特に当該本体10を装身具として着用したときに身体に直接接触する面となる。前記香りカートリッジ20は、香り発散のために香り発散物質が内部気孔に含まれており、香り発散物質に対して皮膚アレルギー反応を示す使用者には、深刻な皮膚損傷を引き起こす可能性がある。したがって、収納部12は、収納部12に収容された香りカートリッジ20が皮膚に直接接触しないように、接触壁11を含まなければならない。
【0060】
ここで、前記収納部12の空間形態は、前記香りカートリッジ20の外形に対応するように形成されることが好ましく、また、香りカートリッジ20の内蔵状態を維持するための機構物や香りカートリッジを挿出するための機構物によってその形態が変形する場合があることは言うまでもない。
【0061】
また、前記本体10には、内部収納部12に内蔵された香りカートリッジ20から発散された香りを本体10の外側に送るために、通孔(図示せず)が形成されてもよい。
【0062】
前記香りカートリッジ20は、前記本体10の収納部12に内蔵できる形状を有し、香り発散機能を有する。
【0063】
このような香りカートリッジ20は、様々な形状を有することができ、前記本体10の収納部12に内蔵できる形状であれば、その形状に特別な制限はない。
図2に示す香りカートリッジ20は、一例として、長方形の板状に形成されている。
【0064】
特に前記香りカートリッジ20は、セラミック材料でできていてもよい。香りカートリッジ20は、ジルコニア(ZrO2)及びアルミナ(Al2O3)のうちのいずれか一方を主材料とし、成形金型に充填し、加圧プレスして気孔を作成した後、高温で焼結することにより製造することができる。このようなセラミック製の香りカートリッジ20の気孔は、香り発散物質を含有することができる。
【0065】
気孔が形成された前記香りカートリッジ20を香り原液に一定時間浸漬すると、毛細管現象により香り原液が気孔に入り込み、この香りカートリッジ20の気孔に含有された香り原液が長い間、ゆっくりと気孔の外に排出されながら香りを発散することになる。
【0066】
このとき、上述した説明では、香りカートリッジ20を香り原液に一定時間浸漬する方法を例として述べたが、それに加えて、香り原液を香りカートリッジ20に噴霧又は塗布する方法を用いて、香りカートリッジ20の気孔に香り原液を含有させることもできる。
【0067】
このような香り付き香りカートリッジ20を、審美的な外観を持つ本体10に内蔵させ、その内蔵状態を維持させるには、さまざまな方法がある。
【0068】
まず、
図3には、引出し型結合法により香りカートリッジ20と本体10とを結合および分離する過程が示されている。
【0069】
前記香りカートリッジ20は平たい板状に形成されており、前記本体20の収納部12は、この香りカートリッジ20を収容するための板状の空きスペースを有する空間部として形成されている。このとき、収納部12は、香りカートリッジ20を出し入れできるように、外側に露出された入口を備えて形成される。したがって、使用者は、香りカートリッジ20を出し入れするだけで、香りカートリッジ20を簡単かつ手軽に交換することができ、それにより、使用者の香りの好みや嗜好に応じて自由で多彩な装身具を使用することができる。
【0070】
このとき、前記本体20の収納部12は、香りカートリッジ20が収納部12から容易に脱出しないように、内蔵された香りカートリッジ20を支持する収納保持具を備えてもよい。
【0071】
次に、
図4には、本発明の他の実施形態に係る装身具が示されている。
【0072】
図4は、本発明の他の実施形態に係る装身具の本体と香りカートリッジ間の結合過程を説明するための図である。
【0073】
図4を参照すると、前記本体10から外部に露出した結合面には、結合用磁石13が設けられている。また、それに対応して、前記香りカートリッジ20における、前記本体10の結合面と接触する結合面にも、結合用磁石23が設けられている。
【0074】
したがって、香りカートリッジ20は、結合用磁石13、23を用いて本体10の外面に結合することができる。
図4に示すように、この香りカートリッジ20の外観形状を、を本体の外観形状に合わせて構成することにより、香りカートリッジを本体に結合したときに1つの装身具として見えるようにすることで、美的完成度を高めることができる。
【0075】
このとき、前記本体10の結合用磁石13と香りカートリッジ20の結合用磁石23は、結合のために極性が異なっていなければならず、本体10の結合用磁石13と香りカートリッジ20の結合用磁石23のうちのいずれか一方を金属材料で作製することも可能である。
【0076】
ここで、
図5から
図11を参照して、本発明のまた他の実施形態に係る装身具について詳細に説明する。
【0077】
図5は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の形状を説明するための図である。
【0078】
図5に示すように、本発明のまた他の実施形態に係る装身具は、ブレスレットの頭部に適用可能であり、着用者がブレスレットを着用している間、ブレスレットの頭部から着用者の周りにほのかな香りが発散されることにより、着用者の個性を表現し、相手に自分の魅力をアピールすることができる。
【0079】
実際には、ブレスレットを身に着けた状態で、さまざまな人と会ったり、さまざまな性格の集いに参加したりするなど、着用者はさまざまな状況に直面するであろう。言い換えれば、誰かと会うときは強い香りで相手にアピールする必要があり、他の集いでは強すぎないように、ほのかな香りで目立たないように配慮する必要がある。
【0080】
しかしながら、上述した実施形態における装身具では、固定サイズの香り発散出口(香りカートリッジを出し入れできるように外部に露出された入口)のみを形成するので、発散される香りの量を着用者の好みや着用環境に応じて多様に変更することはできなかった。もちろん、扉を追加するだけで香り発散口を開閉することも可能であるが、材料(セラミック)の特性上、扉の追加が難しく、ドアだけを追加することで着用者が望むほどの、状況に応じた様々な香り発散モードを期待するのは難しいというのが事実である。
【0081】
これを克服するために、
図5に示すように、装身具の本体10は、香りカートリッジ20を、一面が露出された状態で収納できるベース14と、ベース14の一面を覆い、着用者の簡単な指の動きで開放状態を変えることができるカバー17と、を備えてなり、前記本体10はブレスレットを構成する主装飾部であり、両端にストラップ30が締結されてブレスレットが構成される。
【0082】
図6を一緒に参照すると、まず、前記ベース14は、上面の中心部に前記香りカートリッジ20を収容できる収納溝14aを有する。前記収納溝14aの深さは、香りカートリッジ20の厚さと等しいかわずかに大きくなるように設計されているので、後述するカバー17のスイング(動き)が香りカートリッジ20によって制限されないことが重要である。
【0083】
また、前記ベース14は、本体10を装身具として身体に装着したときに、身体と直接接触する面となる。前記香りカートリッジ20は、香り発散のために香り発散物質が内部気孔に含まれており、このような香り発散物質に対して皮膚アレルギー反応を示す使用者には、深刻な皮膚損傷を引き起こす可能性がある。したがって、香りカートリッジ20が皮膚に直接接触しないように、ベース14を含まなければならない。
【0084】
この収納溝14aを中心として、ベース14の上面の一側には、前記カバー17と結合できるヒンジピン16が形成されており、このヒンジピン16によりベース14とカバー17との結合が行われる。したがって、前記ヒンジピン16の位置を中心として、前記カバー17は、前記ベース14上においてスイング方式で水平に回転することができる。このようなヒンジピン16は、図に示すように、ベース14を中心にカバー17を回転させるために、カバー17に回転可能に結合され、ベース14にピンの本体が収容されることで構成されてもよい。これとは異なり、ヒンジピンは、カバー17およびベース14にそれぞれ回転可能に結合され、このピンの末端を一つのチューブに挿入させる方式で構成されてもよい。
【0085】
また、前記収納溝14aの底面には、第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bが形成される。
【0086】
一方、第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bが形成されるベース14の上面と向き合うカバー17の下面には、この第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bと向き合って対応する位置に、第1スライド磁石18aおよび第2スライド磁石18bが形成される。ここで、ベース14の第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bは、結合の際に、香りカートリッジ20によって外部に露出されない。
【0087】
このとき、ベース14の第1結合磁石15aと第2結合磁石15bは、同じ磁性を有するように設けられ、これに対し、カバー17の第1スライド者席18aおよび第2スライド磁石18bは、ベース14の第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bと反対の磁性を有するように設けられる。
【0088】
このベース14の第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bと、カバー17の第1スライド磁石18aおよび第2スライド磁石18bとの磁力結合状態により、本発明のまた他の実施形態に係る本体10は、様々な香り発散モードで動作することができる。
【0089】
図7から
図11は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の様々な香り発散モードを説明するための図である。
【0090】
まず、
図7は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の香り発散モードの中で閉鎖モードを説明するための図である。
【0091】
閉鎖モードでは、ベース14の第1結合磁石15aとカバー17の第1スライド磁石18aとが磁気的に結合され、また、ベース14の第2結合磁石15bとカバー17の第2スライド磁石18bとが磁気的に結合される。その結果、ベース14上でのカバー17は、図に示すように、香りカートリッジ20が内蔵されている収納溝14aが外部に露出しないようにする。
【0092】
したがって、この閉鎖モードでは、収納溝14aに内蔵された香りカートリッジ20は、直接的に外部に露出せず、べース14とカバー17との間の隙間からのみ香りが発散されるため、香りの発散量が非常に少なくなる。
【0093】
このような閉鎖モードは、就寝時や外部活動のない個人的な空間(例えば、自宅)で使用者が選択することで適切に活用でき、閉鎖モードでの使用時間を延長することで香りカートリッジ20の使用寿命を延ばすことができる。
【0094】
特に、水平回転可能なカバー17に着用者の指先を接触させた状態で、水平方向に軽く押すだけでカバー17を水平方向に回転させることにより、ベース14の第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bと、カバー17の第1スライド磁石18aおよび第2スライド磁石18bとを位置移動させて、磁力によって結合させることができるので、閉鎖モードへの状態変化を容易かつ簡単に行うことができるという利点がある。
【0095】
このとき、閉鎖モードにおいてより多くの香りを外部に発散できるように、前記カバー17に多数の通孔を形成してもよい。
【0096】
次に、
図8は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の香り発散モードの中で着用者側クォーター開放モードを説明するための図である。
【0097】
着用者側クォーター開放モードでは、ベース14の第2結合磁石15bとカバー17の第1スライド磁石18aとが、磁気的に結合されているのに対し、ベース14の第1結合磁石15aとカバー17の第2スライド磁石18bとは、結合されていない。このような着用者側クォーター開放モードは、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では時計回り)させることにより達成できる。同様に、着用者側クォーター開放モードから閉鎖モードへの変換もまた、指先をカバー17に置いて反時計回りに軽く押すことにより達成できる。
【0098】
このとき、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードに変換する場合、着用者がカバー17に加える力としては、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除するのに十分な力のみが必要とされる。なぜなら、この力を、カバー17に水平回転(図では時計回り)方向に加えることで、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除すると、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18a間の引力によって、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとが自然に結合されるからである。
【0099】
その結果、ベース14上でのカバー17により、図に示すように、収納溝14a内の香りカートリッジ20の一部(上面の約1/4)が着用者側に露出される。
【0100】
したがって、この着用者側クォーター開放モードにおいて、収納溝14aに内蔵された香りカートリッジ20は、着用者側に向かって開いた隙間を通って着用者に向かって香りを発散することができる。
【0101】
このような着用者側クォーター開放モードでは、着用者が所望の香りを自分に送ることができるので、動きの少ない場所においてほのかな香りで気分を改善するために適切に使用でき、開放部位が小さいため、香りカートリッジ20の使用寿命を延ばすことが可能になる。
【0102】
特に、着用者の指先を水平回転可能なカバー17に接触させた状態で水平方向に軽く押すだけでカバー17を水平方向に回転させることで、カバー17の第1スライド磁石18aを位置移動させることができるので、着用者側クォーター開放モードへの状態変換を容易かつ簡単に行うことができるという利点がある。また、収納溝14aの一部のみがカバー17によって開かれるので、香りカートリッジ20が収納溝14aから外れる恐れがないという利点もある。
【0103】
次に、
図9は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の香り発散モードの中で相手側クォーター開放モードを説明するための図である。
【0104】
相手側クォーター開放モードでは、ベース14の第1結合磁石15aとカバー17の第2スライド磁石18bとが、磁気的に結合されているのに対し、ベース14の第2結合磁石15bとカバー17の第1スライド磁石18aとは、結合されていない。このような相手側クォーター開放モードは、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では反時計回り)させることにより達成できる。同様に、相手側クォーター開放モードから閉鎖モードへの変換もまた、指先をカバー17に置いて時計回りに軽く押すことにより達成できる。
【0105】
このとき、閉鎖モードから相手側クォーター開放モードに変換する場合、着用者がカバー17に加える力としては、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除するのに十分な力のみが必要とされる。なぜなら、この力を、カバー17に水平回転(図では反時計回り)方向に加えることで、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除すると、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18b間の引力によって、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとが自然に結合されるからある。
【0106】
その結果、ベース14上でのカバー17により、図に示すように、収納溝14a内の香りカートリッジ20の一部(上面の約1/4)が相手側に露出される。
【0107】
したがって、この相手側クォーター開放モードにおいて、収納溝14aに内蔵された香りカートリッジ20は、相手側に向かって開いた隙間を通って、着用者側ではなく、相手に向かって香りを発散することができる。
【0108】
このような相手側クォーター開放モードでは、着用者が所望の香りを相手に送ることができるので、動きの少ない場所においてほのかな香りで自分の魅力をアピールするために適切に使用でき、開放部位が小さいため、香りカートリッジ20の使用寿命を延ばすことが可能になる。
【0109】
特に、着用者の指先を水平回転可能なカバー17に接触させた状態で水平方向に軽く押すだけでカバー17を水平方向に回転させることで、カバー17の第2スライド磁石18bを位置移動させることができるので、相手側クォーター開放モードへの状態変換を容易かつ簡単に行うことができるという利点がある。また、収納溝14aの一部のみがカバー17によって開かれるので、香りカートリッジ20が収納溝14aから外れる恐れがないという利点もある。
【0110】
次に、
図10は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の香り発散モードの中で半開放モードを説明するための図である。
【0111】
半開放モードでは、ベース14の第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bと、カバー17の第1スライド磁石18aおよび第2スライド磁石18bとのいずれも結合されていない。このような半開放モードは、着用者側クォーター開放モードにある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では時計回り)させることにより達成できる。同様に、半開放モードから着用者側クォーター開放モードへの変換もまた、指先をカバー17に置いて反時計方向に軽く押すことにより達成できる。
【0112】
このとき、着用者側クォーター開放モードから半開放モードに変換する場合、着用者がカバー17に加える力としては、着用者側クォーター開放モードにあった第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとの結合引力を解除するのに十分な力のみが必要とされる。
【0113】
その結果、ベース14上でのカバー17により、図に示すように、収納溝14a内の香りカートリッジ20の半分が露出される。
【0114】
したがって、この半開放モードにおいて、収納溝14aに内蔵された香りカートリッジ20は、半分開いた隙間を通って香りを発散することができる。
【0115】
このような半オープンモードでは、着用者所望の香りを自分と周りに送ることができるので、動きの少ない場所において香りで気分を改善するために、同時に自分の魅力を周りにアピールするために適切に使用でき、開放部位が半分程度であるため、香りカートリッジ20の使用寿命を延ばすことが可能になる。
【0116】
特に、着用者の指先を水平回転可能なカバー17に接触させた状態で水平方向に軽く押すだけでカバー17を水平方向に回転させることで、カバー17の第1スライド磁石18aを位置移動させることができるので、半開放モードへの状態変換を容易かつ簡単に行うことができるという利点がある。また、収納溝14aの半分だけがカバー17によって開かれるので、香りカートリッジ20が収納溝14aから外れる恐れがないという利点もある。
【0117】
次に、
図11は、本発明のまた他の実施形態に係る装身具の香り発散モードの中で完全開放モード(全開モード)を説明するための図である。
【0118】
完全開放モードでは、ベース14およびカバー17からヒンジピン16を取り外して、ベース14からカバー17を完全に分離する。このような完全開放モードは、収納溝14a内の香りカートリッジ20を完全に取り出して、香りカートリッジ20の交換や香り液の充填を可能にする状態である。
【0119】
また、この完全開放モードにおいて、収納溝14aに内蔵された香りカートリッジ20は、外部に完全に開いて大量の香りを発散することができる。
【0120】
このような完全開放モードでは、着用者が所望の香りを自分と周りに多く送ることができるので、動きの少ない場所において強い香りで気分をすばやく改善するために、同時に自分の魅力を周りに強くアピールするために適切に使用できる。
【0121】
一方、
図8および
図9にそれぞれ示す着用者側クォーター開放モードおよび相手側クエリから開放モードは、
図7に示す閉鎖モードにおいてカバー17に着用者の指先を接触させた状態で水平方向に軽く押すだけで達成できる。同様に、着用者側クォーター開放モードまたは相手側クォーター開放モードから閉鎖モードへのモード変換もまた、着用者の軽い指の動きだけで達成できる。
【0122】
このとき、重要なのは、着用者が特別なスキルなしでいつでもどこでも軽い指の動きだけでこのようなモード変換をスムーズに実行できるように、諸構成要素を備える必要があるということである。
【0123】
つまり、閉鎖モードからクォーター開放モードへの状態変換を容易かつ正確に行うための、且つ、変換された状態を安定して維持するための諸構成要素を提供する必要がある。
【0124】
このため、本発明では、カバー17を水平に回転させるために設けられるヒンジピン16、並びに、水平に回転するカバー17の動作半径を決定するための結合磁石15a、15b及びスライド磁石18a、18b間の相互配置構造を制限することになり、これにより、多様に形成できる本体10の形状や磁石の形状にとらわれず、正確なモード変換と安定したモードを維持することが可能である。
【0125】
図12には、このような配置構造を説明するために、ベース14の上面(
図12の(a))とカバー17の下面(
図12の(b))が示されている。ここで、ベース14の上面とカバー17の下面は、本体を構成する際に向かい合う面であり、磁力により結合される。
【0126】
まず、ベース14の上面には、ヒンジピン16、第1結合磁石15a、および第2結合磁石15bが設けられる。
【0127】
ここで、図示のように、前記ヒンジピン16から第1結合磁石15aの中心部までの距離をL1bとし、同様に、前記ヒンジピン16から第2結合磁石15bの中心部までの距離をL2bとする。また、第1結合磁石15aの中心部から最外周までの平均距離をD1bとし、第2結合磁石15bの中心部から最外周までの平均距離をD2bとする。
【0128】
このとき、上述したD
1bおよびD
2bは、磁石の中心から最外周のまでの平均距離として定義され、
図12に示すように、磁石が円形断面を有する場合、D
1bおよびD
2bは、磁石の半径となる。しかしながら、本発明において、第1結合磁石15aおよび第2結合磁石15bは、円形に限定されるものではない。すなわち、磁石は、三角形や四角形を含む多角形、無定形の断面を有してもよい。このとき、多角形や無定形の場合、中心部から最外周までの距離は、磁石の最外周の位置によって異なってくるので、本発明において、D
1bおよびD
2bを、磁石の中心部から様々な最外周までの平均距離と定義することは、すべての形状の磁石をカバーするためである。
【0129】
次に、カバー17の下面には、ヒンジピン16、第1スライド磁石18a、および第2スライド磁石18bが設けられる。
【0130】
ここで、図に示すように、前記ヒンジピン16から第1スライド磁石18aの中心部までの距離をL1cとし、同様に、前記ヒンジピン16から第2スライド磁石18bの中心部までの距離をL2cとする。また、第1スライド磁石18aの中心部から最外周までの平均距離をD1cとし、第2スライド磁石18bの中心部から最外周までの平均距離をD2cとする。
【0131】
このように、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードへの状態変換を容易かつ正確に行うための、且つ、変換された状態を安定して維持するための諸構成要素の配置は、下記数式1を満たす必要がある。
【0132】
[数式1]
L2b-D2b≦L1c≦L2b+D2b
【0133】
諸構成要素が前記数式1を満たすように配置されている場合、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では時計回り、
図8参照)させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、回転方向にあった第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとの間の引力により、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとは、磁力により自然に結合される。
【0134】
このとき、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードに変換する場合、着用者がカバー17に加える力としては、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除するのに十分な力のみが必要であり、着用者側クォーター開放モードは、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとの間の自然な引力により達成される。特に、前記数式1に基づく諸構成要素の配置制限により、着用者側クォーター開放モードを完成させる第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとの間の結合は、結合の維持が可能なほどの面積の範囲でそれらが互いに向かい合ったときに発生する磁性引力によって安定して維持することができる。
【0135】
特に、諸構成要素が前記数式1を満たすように配置されると、ベース14やカバー17の平面サイズ、およびヒンジピン16の位置や磁石の位置に関係なく、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードへの状態変換を容易かつ正確に安定して行うことができる。また、磁石のサイズや形状に制限されない製品構成が可能であるという利点もある。
【0136】
次に、閉鎖モードから相手側クォーター開放モードへの状態変換を簡単かつ正確に行うことができ、また、変換された状態を安定して維持するための諸構成要素の配置は、下記数式2を満たす必要がある。
【0137】
[数式2]
L1b-D1b≦L2c≦L1b+D1b
【0138】
諸構成要素が前記数式2を満たすように配置されている場合、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では反時計回り、
図9参照)させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、回転方向にあった第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとの間の引力により、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとは、磁力により自然に結合される。
【0139】
このとき、閉鎖モードから相手側クォーター開放モードに変換する場合、着用者がカバー17に加える力としては、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力を解除するのに十分な力のみが必要であり、相手側クォーター開放モードは、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとの間の自然な引力により達成される。特に、前記数式2に基づく諸構成要素の配置制限により、相手側クォーター開放モードを完成させる第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとの間の結合は、結合の維持が可能なほどの面積の範囲でそれらが互いに向かい合ったときに発生する磁性引力によって安定して維持することができる。
【0140】
特に、諸構成要素が前記数式2を満たすように配置されると、ベース14やカバー17の平面サイズ、およびヒンジピン16の位置や磁石の位置に関係なく、閉鎖モードから相手側クォーター開放モードへの状態変換を容易かつ正確に安定して行うことができる。また、磁石のサイズや形状に制限されない製品構成が可能であるという利点もある。
【0141】
さらに、諸構成要素が前記数式1と数式2の両方を満たすように配置されると、着用者側クォーター開放モードと相手側クォーター開放モードへの変換を、単一の製品で容易かつ安定して行うことができる。
【0142】
一方、上述したように、カバー17を特定の方向に回転させると、磁気結合作用と結合構成要素の高度な配置構造(数式1、数式2)により、閉鎖モードから使用者側クォーター開放モードへの状態変換や、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードへの状態変換をスムーズに行うことができる。
【0143】
このとき、1つの製品において、前記数式1を満たす、閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードへの状態変換と、前記数式2を満たす、閉鎖モードから相手側クォーター開放モードへの状態変換とを、両方とも可能にすることが製品の特性上一般である。ただし、製品の機能や価格のポートフォリオを多様化する必要がある場合、または、着用者の様々な操作の好みを満たすことが必要な場合は、2つの状態変換モードのうちのいずれか一方のみを製品に適用することで、機能が制限された製品を発売する必要もある。
【0144】
特に、前記2つの状態変換のうちのいずれか一方のみを製品に適用する場合、当該状態変換が行われるカバー17の回転方向と反対方向への回転時には何らの磁気結合作用も行われないようにして、その結果、カバー17がアイドリングするようにし、これにより、香水の使用において着用者のモードの好みに合わせたカスタマイズ製品を作ることができる。
【0145】
図13には、機能制限型のカスタマイズ製品の結合構成の配置構造を説明するために、ベース14の上面(
図13の(a))およびカバー17の下面(
図13の(b))が示されている。
【0146】
このとき、ベース14の下面に設けられた第1結合磁石15aと第2結合磁石15bは、それぞれ異なるサイズであってもよい。また、カバー17の上面に設けられる第1スライド磁石18aと第2スライド磁石18bもまた、それぞれ異なるサイズであってもよい。
【0147】
また、収納溝14aを中心として磁気結合構成要素とは反対側に位置し、カバー17の回転軸として働くヒンジピン16は、磁気結合構成要素の回転半径を調整するために、中央ではなく側面に配置される。
【0148】
ここで、カバー17の特定の方向への回転に応じて閉鎖モードから着用者側クォーター開放モードへの状態変換(数式1)が行われ、同時に、その反対方向への回転時には何らの磁気結合作用も行われないようにして、その結果、カバー17がアイドリングするようにする、諸構成要素の配置は、下記数式3を満たす必要がある。
【0149】
[数式3]
│L1c-L2b│>D1c+D2b
【0150】
前記数式3において、│L1c-L2b│はL1c-L2bの絶対値を示す。
【0151】
諸構成要素が、前記数式1と前記数式3の両方を満たすように配置されている場合、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では時計回り、
図8参照)させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、回転方向にあった第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとの間の引力により、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとは、磁力により自然に結合されて、着用者側クォーター開放モードが達成される。逆に、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が、着用者側クォーター開放モードとは反対方向にカバー17を回転させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとは、回転中に互いに接触しないため、それらの間に磁気結合が達成されず、結果として、当該方向では何らの磁気結合作用が行われないため、カバー17がアイドリングするようになる。
【0152】
これにより、カバー17の一方向への回転時には着用者側クォーター開放モードへの変換が行われ、カバー17の反対方向への回転時にはアイドリングするようにする、機能制限型のカスタマイズ製品を作製することができる。
【0153】
さらに、カバー17を特定の方向に回転させることで閉鎖モードから相手側クォーター開放モードへの状態変換(数式2)が行われ、同時に、その逆方向に回転させる際には何らの磁気結合作用も行われないようにして、その結果、カバー17がアイドリングするようにする、諸構成要素の配置は、下記数式4を満たす必要がある。
【0154】
[数式4]
│L2c-L1b│>D2c+D1b
【0155】
前記数式4において、│L2c-L1b│はL2c-L1bの絶対値を示す。
【0156】
諸構成要素が、前記数式2と前記数式4の両方を満たすように配置されている場合、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が指先をカバー17に置いて軽く押して水平回転(図では半時計回り、
図9参照)させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、回転方向にあった第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとの間の引力により、第1結合磁石15aと第2スライド磁石18bとは、磁力により自然に結合されて、相手側クォーター開放モードが達成される。逆に、閉鎖モード状態にある本体10に対して、着用者が、相手側クォーター開放モードとは反対方向にカバー17を回転させると、その押す力により、閉鎖モードにあった、第1結合磁石15aと第1スライド磁石18aとの結合引力、および、第2結合磁石15bと第2スライド磁石18bとの結合引力は、解除されることになり、同時に、第2結合磁石15bと第1スライド磁石18aとは、回転中に互いに接触しないため、それらの間に磁気結合が達成されず、結果として、当該方向では何らの磁気結合作用が行われないため、カバー17がアイドリングするようになる。
【0157】
これにより、カバー17の一方向への回転時には相手側クォーター開放モードへの変換が行われ、カバー17の反対方向への回転時にはアイドリングするようにする、機能制限型のカスタマイズ製品を作製することができる。
【0158】
一方、上記のように、本発明に係る装身具を構成する本体10は、様々な形状を有してもよい。例えば、本体10は、ブレスレット、ペンダント、リング、イヤリング、ネックレス、アンクレット、ノリゲ(韓国の女性のチョゴリ(上衣)のオッコルム(リボン)やスカートの裳の腰に下げた装飾具)、ブローチ、ヘアバンド、ヘアピン、メダル、クリップなどの主装飾部の形状を有してもよく、これらを身体に着用するために備えられるコネクタなどの付属装飾部の形状を有してもよい。
【0159】
その中で、本体10がブレスレットを構成する主装飾部の形状を有する場合、着用者がブレスレットを手首に着用したときに、前記本体10は着用者の手首と直接密着した状態を保ち、このような着用形態では、本体10は、身体からの体熱を伝えられることになる。
【0160】
本発明に係る装身具の香りカートリッジ20では、香り原液を、香りカートリッジ20が収納された収納溝14aに滴下して香りカートリッジ20を香り原液に一定時間浸漬するか、または、香り原液を香りカートリッジ20に直接噴霧又は塗布することにより、香りカートリッジ20の気孔に香り原液を含有させることができる。
【0161】
この香り原液は、香りカートリッジの気孔に浸透してその中に充填され、気孔内の表面張力によってその状態を維持するが、この場合、この香り原液の表面から熱エネルギーを吸収して、高いエネルギーの分子を気化させることにより、香りを周りに発散させることができる。
【0162】
すなわち、香り原液の気化、すなわち、表面張力に影響を与える最大の要因は、香り原液の温度である。周囲温度が上昇するほど表面張力は低下し、これは、より多くの香りが周囲に発散されることを意味する。
【0163】
したがって、香りカートリッジ20を内蔵した本体10の温度が上昇するほど、香りの発散量が多くなる。逆に、香りカートリッジ20を内蔵した本体10の温度が低下するほど、香りの発散量が少なくなる。
【0164】
このような原理に着目して、本発明者は、手首に着用して身体の体熱を直接伝えられるブレスレットなどの形状の装身具において、身体の体熱を用いて、着用者が、ブレスレットを手首につけている際には体熱を伝えられてより多くの香りを発散し、ブレスレットを手首につけずに保管した際には最小の香りを発散することができる、最適の本体10および香りカートリッジ20の構造を長年の研究の末に開発した。
【0165】
図14は、本発明の実施形態に係る装身具の本体と身体との相関関係を説明するための図である。
【0166】
まず、本体10は、セラミック原料を均一に混合し、成形金型に充填した後、高温で焼結することにより作製されてもよい。したがって、本体10は、気孔のない無孔質部分であり、本体10の一部である、身体と直接接触する接触壁11もまた、無孔質部分である。
【0167】
また、前記香りカートリッジ20は、セラミック材料を成形型に充填し、圧力で加圧して気孔を形成した後、高温で焼結することにより作製されてもよい。したがって、香りカートリッジ20は、気孔を有し、この気孔は、香り発散物質を含有することができる。
【0168】
このとき、無孔質セラミックと多孔質セラミックでは、熱伝導率に違いがある。基本的に、ジルコニアを主材料とする無孔質セラミックの熱伝導率は約30W/mkであり、同様に、ジルコニアを主材料とする多孔質セラミックの熱伝導率は約40~50W/mkである。
【0169】
重要なのは、着用者の体熱を直接伝えられる無孔質接触壁11と、接触壁11と面した状態で香り原液を含む多孔質香りカートリッジ20とが、身体の体熱により香り原液の表面に熱エネルギーを供給できるようにして、高い香り発散率を持たせることであり、同時に、身体の体熱が伝わらない際には、低い香り発散率を持たせることである。
【0170】
ここで、多孔質香りカートリッジ20は、プレスによる成形時の成形圧力が調整され、気孔径が10~200μm、気孔率が10~70%となる。この場合、そのような気孔径及び気孔率を有する香りカートリッジ20の全体のサイズは、当然のことながら、香り原液を含有する含水率に直接関わることになる。すなわち、香りカートリッジ20のサイズ大きければ、より多くの香り原液を含有でき、逆に、香りカートリッジ20のサイズが小さければ、より少ない香り原液だけを含有できる。かといって、香りカートリッジ20のサイズを大きくすると、それに比例して香りカートリッジ20を収容する本体10のサイズ及びストラップ30のサイズが大きくなり、重量が増加するので、結果として、女性のブレスレット商品として商品性が落ちる可能性がある。このとき、無孔質本体10は、前記多孔質香りカートリッジ20の気孔径および気孔率よりも小さい気孔径および気孔率を有する。
【0171】
特に、細い手首に着ける女性用ブレスレットの場合、本体としてのヘッド部は、通常、平面サイズが約20×20mmであり、重量が約20~50gである。すなわち、香りカートリッジ20が組み込まれる本体10の平面サイズはある程度制限されている。
【0172】
したがって、香りカートリッジ20の厚さ(T2)および本体10下部の接触壁11の厚さ(T1)を最適化することにより、1日以上の香り発散が可能であり、これと同時に、身体から体熱を伝えられ、着用するかどうかに応じて、香り発散量を自動的に調整できるようにする。
【0173】
図15には、無孔質セラミック(a)と多孔質セラミック(b)の熱伝導率の、基準温度20℃での厚さに応じて変わる程度が、グラフに示されている。
【0174】
次に、
図16には、無孔セラミック(a)と多孔質セラミック(b)の体温(36.5℃)伝達率の、厚さに応じて変わる程度を試験した事前の実験の結果値が、グラフに示されている。事前の実験は、断面積20×20mmのセラミックの厚さを0.5mm単位で増やしながら、一方の面では体温などの温度を伝え、他方の面(反対側の面)では伝えられる温度を測定することで行われる。事前の実験によれば、無孔質セラミックと多孔質セラミックでは、両方とも、厚さが厚くなるにつれて体温伝達率が急激に低下した。特に、無孔質セラミックの場合、厚さ5mm以上から体温が全く伝わらなかったし、同様に、多孔質セラミックの場合、厚さ8mm以上から体温が全く伝わらなかった。
【0175】
ここで重要なのは、本発明のブレスレット装身具構造では、身体の体熱を直接伝えられる無孔質接触壁11を間に置いて、香り原液を含有する多孔質香りカートリッジ20が配置されるということにある。
【0176】
そこで、メインの実験では、接触壁11と対応する構成として、断面積20×20mmの無孔質セラミックを配置し、この無孔質セラミックに面する断面積12×12mmの多孔質セラミックを、香りカートリッジ20と対応する構成として配置した後、無孔質セラミックの外面に体温などの温度を伝え、香りカートリッジ20に伝わる温度を測定した。このとき、無孔質セラミックの厚さを、最小厚さ1.5mmから0.2mmずつ増やし、多孔質セラミックの厚さをも、最小厚さ0.5mmから0.2mmずつ増やしながら実験を行った。また、多孔質セラミックの厚さに応じた発散香りの持続時間を、厚さ別に測定した。
【0177】
その結果は、以下の表1の通りである。この実験で使用した多孔質セラミックの気孔径は100μmであり、気孔率は50%であった。
【0178】
【0179】
表1からわかるように、無孔質セラミックの厚さが厚くなるにつれて、無孔質/多孔質セラミックの組み合わせの熱伝達率は徐々に低下する。また、多孔質セラミックの厚さが厚くなるにつれて、セラミックのサイズが大きくなり、香り原液の含水率が高くなり、これに比例して香り持続時間が長くなる。
【0180】
また、無孔質セラミックの厚さが同じである場合、多孔質セラミックの厚さが厚くなるにつれて、無孔質/多孔質セラミックの組み合わせの熱伝達率は徐々に低下する。
【0181】
このメインの実験の目的は、標準化された平面サイズを有しながら、体温を多孔質香りカートリッジ20に十分に伝えることにより、ブレスレット着用時により多くの香りを自然に発散することができ、しかも、少なくとも24時間以上の香り発散持続時間を持って一日中香り発散を可能にする、接触壁11および香りカートリッジ20の厚さの最適の組み合わせを見つけることである。
【0182】
実験1~5の場合、無孔質セラミックの厚さが比較的薄いため、多孔質セラミックへの温度伝達率が非常に高く、着用の有無に応じて香り発散量を自動的に調整することができるが、香り原液が限定的に含まれている多孔質セラミックは、高温のため24時間以上香りを発散することができないので、商品化が難しいことが確認された。
【0183】
これとは異なり、実験6~7の場合、無孔質セラミックの厚さが適切であるため、多孔質セラミックの温度伝達率が高く、香り発散量を自動的に調節することができ、且つ、香り原液が限定的に含まれている多孔質セラミックが、適切な温度で24時間以上にわたって香りを発散することができるので、商品化に適していることが確認された。
【0184】
最後に、実験8の場合、無孔質セラミックの厚さが厚いため、多孔質セラミックへの温度伝達率が非常に低く、香り発散量を自動的に調整することができなかった。このため、多孔質セラミックが適切な温度で24時間以上にわたって香りを発散できるという利点があるにもかかわらず、商品化には不十分であることが確認された。
【0185】
この実験によれば、無孔質セラミックである接触壁11は、厚さ1.5~2.9mmであり、多孔質セラミックである香りカートリッジ20は、厚さ0.5~1.3mmであり、無孔質セラミックである接触壁11は、厚さ2.5~2.7mmであり、多孔質セラミックである香りカートリッジ20は、厚さ0.9~1.3mmであることが、香り発散量の自動調節および香り持続時間の面で最も好ましいことが確認された。
【0186】
以上のように、図面及び明細書に最適な実施形態が開示された。ここで、特定の用語が使用されたが、これは単に本発明を説明するための目的で使用されたものに過ぎず、意味を限定したり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を制限したりするために使用されたものではない。よって、本技術分野において通常の知識を有する者であれば、これから種々の変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的な思想によって定められるべきである。