(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221128BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2021546112
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2019036619
(87)【国際公開番号】W WO2021053763
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 太
【審査官】山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/082370(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/064745(WO,A1)
【文献】特開2009-217438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転支援を行う運転支援装置であって、
前記車両の周辺に位置する他車両とネットワークを介して通信可能な通信手段と、
前記通信手段の通信に基づいて、前記他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、前記他車両の位置と速度に関する情報を含む移動情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報と、前記移動情報に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、前記車両の後方に位置する他車両を特定する特定手段と、
前記移動情報に基づいて、前記車両の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する速度比較手段と、
前記比較の結果に基づいて、前記四輪車両の側方の位置を走行し、前記車両に接近する前記二輪車両の有無を判定する判定手段と、
前記車両に接近する前記二輪車両が存在すると判定された場合に、前記判定の結果を前記車両の運転者に報知する報知手段と、
を備え、
前記情報取得手段は、
前記移動情報の前記車両カテゴリに基づいて、前記車両の後方を走行する前記他車両の種別が前記四輪車両であるか、前記二輪車両であるかを判定し、
前記他車両が四輪車両である場合、前記車両の車幅方向において第一の幅範囲に位置する四輪車両から当該四輪車両の速度の情報を取得し、
前記他車両が二輪車両である場合、前記車両の車幅方向において、前記第一の幅範囲よりも狭い第二の幅範囲に位置する二輪車両から当該二輪車両の速度の情報を取得することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記移動情報に基づいて、前記車両の後方を走行する複数の四輪車両の速度と、前記車両の周辺を走行する二輪車両の速度と、を取得し、
前記速度比較手段による速度の比較により、前記二輪車両の速度と、前記複数の四輪車両の速度から取得した平均速度との差分速度が閾値速度以上である場合、
前記報知手段は、前記車両が走行する走行方向において前記車両に接近する前記二輪車両の存在を前記車両の運転者に報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記差分速度と前記閾値速度との速度差に応じて、前記報知のレベルを変更することを特徴とする請求項
2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記移動情報には前記他車両の走行方向を示す情報が更に含まれており、
前記車両の走行方向と異なる走行方向を示す情報が前記移動情報に含まれている場合、
前記情報取得手段は、後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する際に、前記異なる走行方向を示す情報を含む前記移動情報を除外することを特徴とする請求項1
乃至3
のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
車両の運転支援を行う運転支援装置における運転支援方法であって、
通信手段が、前記車両の周辺に位置する他車両とネットワークを介して通信を行う通信工程と、
情報取得手段が、前記通信工程での通信に基づいて、前記他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、前記他車両の位置と速度に関する情報を含む移動情報を取得する情報取得工程と、
特定手段が、前記車両の位置情報と、前記移動情報に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、前記車両の後方に位置する他車両を特定する特定工程と、
速度比較手段が、前記移動情報に基づいて、前記車両の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する速度比較工程と、
判定手段が、前記比較の結果に基づいて、前記四輪車両の側方の位置を走行し、前記車両に接近する前記二輪車両の有無を判定する判定工程と、
報知手段が、前記車両に接近する前記二輪車両が存在すると判定された場合に、前記判定の結果を前記車両の運転者に報知する報知工程と、
を有し、
前記情報取得工程では、
前記移動情報の前記車両カテゴリに基づいて、前記車両の後方を走行する前記他車両の種別が前記四輪車両であるか、前記二輪車両であるかを判定し、
前記他車両が四輪車両である場合、前記車両の車幅方向において第一の幅範囲に位置する四輪車両から当該四輪車両の速度の情報を取得し、
前記他車両が二輪車両である場合、前記車両の車幅方向において、前記第一の幅範囲よりも狭い第二の幅範囲に位置する二輪車両から当該二輪車両の速度の情報を取得することを特徴とする運転支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項
5に記載の運転支援方法の各工程を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転支援装置、運転支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の周辺を走行する他車両を検出し、接近する他車両が検出された場合に運転者に報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、渋滞時などでは、車両(自車両)の周辺に位置する他車両が通常の走行状態に比べて自車両に接近した状態になり、カメラやセンサを用いた検出では、複数の他車両の間を走り抜け、自車両に接近する二輪車両を予め検出することができない場合が生じ得る。
【0005】
本発明は、車両の後方に位置する四輪車両の側方を走行し、車両に接近する二輪車両の存在を、運転者に報知することが可能な運転支援技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による運転支援装置は、車両の運転支援を行う運転支援装置であって、前記車両の周辺に位置する他車両とネットワークを介して通信可能な通信手段と、
前記通信手段の通信に基づいて、前記他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、前記他車両の位置と速度に関する情報を含む移動情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の位置情報と、前記移動情報に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、前記車両の後方に位置する他車両を特定する特定手段と、
前記移動情報に基づいて、前記車両の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する速度比較手段と、
前記比較の結果に基づいて、前記四輪車両の側方の位置を走行し、前記車両に接近する前記二輪車両の有無を判定する判定手段と、
前記車両に接近する前記二輪車両が存在すると判定された場合に、前記判定の結果を前記車両の運転者に報知する報知手段と、
を備え、
前記情報取得手段は、
前記移動情報の前記車両カテゴリに基づいて、前記車両の後方を走行する前記他車両の種別が前記四輪車両であるか、前記二輪車両であるかを判定し、
前記他車両が四輪車両である場合、前記車両の車幅方向において第一の幅範囲に位置する四輪車両から当該四輪車両の速度の情報を取得し、
前記他車両が二輪車両である場合、前記車両の車幅方向において、前記第一の幅範囲よりも狭い第二の幅範囲に位置する二輪車両から当該二輪車両の速度の情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の後方に位置する四輪車両の側方を走行し、車両に接近する二輪車両の存在を、運転者に報知することが可能になる。
【0008】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図2】運転支援装置の構成を車両に配置した制御ブロック図。
【
図3】3Aは後方に位置する他車両の特定を例示的に説明する図、3Bは速度の取得範囲を例示的に説明する図、3Cは処理の変形を例示的に説明する図。
【
図5】移動情報の通信パケットの構成を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、以下の実施形態によって限定されるわけではない。
【0011】
[運転支援装置の構成]
図1は、車両の運転支援制御を行う運転支援装置100の構成例を示す図であり、運転支援装置100は、センサS、複数のカメラCAM、コンピュータCOMを有する。センサSは、車両の外界情報を検出する検出ユニットとして、例えば、複数のレーダS1、および複数のライダS2(Light Detection and Ranging(LIDAR:ライダ))を有する。また、センサSは、車両の走行情報を
検知する検知ユニットとして、例えば、方位センサS3、GPSセンサS4、速度センサS5等を含む。
【0012】
レーダS1は、例えば、ミリ波レーダであり、電波を発信し、周辺の他車両で反射した電波を受信する。これにより、車両の周辺の他車両を検知し、周辺の他車両との距離(相対的な距離)を検出できる。
【0013】
ライダS2は、光をパルス状に照射し、周辺の他車両に反射されて戻ってくる時間によって、周辺の他車両を検知し、周辺の他車両との距離(相対的な距離)、または、距離(相対的な距離)の変化に基づいて、周辺の他車両の速度(相対的な速度)を検出できる。
【0014】
また、ジャイロセンサ等を含む方位センサS3は自車両の回転運動や姿勢を検知し、コンピュータCOMは、方位センサS3の検知結果により自車両の走行方向(走行路)を検知することができる。GPSセンサS4は、車両の位置情報を取得するGPS情報受信部として機能し、地図情報における自車両の現在位置(位置情報)を取得する。速度センサS5は、車両(自車両)の走行速度を検出するセンサであり、例えば、車両(自車両)の車輪の回転数に応じた回転速度(速度)を検出する。
【0015】
センサSおよびカメラCAMは、車両(自車両)の各種情報および車両の周辺の情報を取得し、コンピュータCOMに入力する。
【0016】
コンピュータCOMは、車両の運転支援制御に関する処理を司るCPU(C1)、メモリC2、通信装置C3(通信インターフェース(I/F))を有する。
【0017】
通信装置C3は、ネットワークNETと接続して、通信装置道路交通システムとの通信により外界情報を取得することが可能である。通信サーバ装置C-ITS-SVは、道路上に配置されたインフラ設備から収集した道路交通情報を配信することが可能であり、通信装置C3は、ネットワークNET上の通信サーバ装置C-ITS-SVとの通信により、道路の渋滞状況などを示す道路交通情報を取得する。尚、通信装置C3は、道路上に配置されたインフラ設備との間の路車間通信により、道路交通情報を直接取得することも可能である。
【0018】
また、通信装置C3は、車両(自車両)の周辺に位置する他車両(二輪車両200(二輪車両には鞍乗型車両も含む)、四輪車両300)との間で通信可能である。通信装置C3は、車両の周辺に位置する他車両(二輪車両200、四輪車両300)との車車間通信により、他車両の移動情報を取得することが可能である。
【0019】
図5は、移動情報500の通信パケットの構成を例示する図である。
図5に示すように、移動情報には、他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリ501と、他車両の位置502と速度503に関する情報と、他車両の走行方向504を示す情報とが含まれる。
【0020】
他車両(二輪車両200、四輪車両300)との車車間通信により、他車両の移動情報500を取得することにより、運転支援装置100は、車両(自車両)の周辺に位置する他車両(二輪車両200、四輪車両300)の車両カテゴリ(種別)、車両(自車両)に対する他車両の相対的な位置や速度、走行方向を特定することができる。
【0021】
移動情報において、車両カテゴリ(種別)は、各他車両に固有の情報であり、4輪車両であれば、車両カテゴリには「4」が設定される。また、二輪車両であれば、車両カテゴリには「2」が設定される。
【0022】
移動情報において、位置に関する情報には、例えば、GPSセンサにより検出された位置情報が設定される。また、移動情報において、速度に関する情報には、例えば、速度センサにより検出された速度情報が設定される。そして、走行方向に関する情報には、例えば、ジャイロセンサ等を含む方位センサにより検出された方位情報が設定される。
【0023】
運転支援装置100のCPU(C1)は、速度センサS5、GPSセンサS4、方位センサS3のサンプリング周期に基づいて、
図5に示す通信パケット形式の車両(自車両)の移動情報を生成することが可能である。通信装置C3は、生成された車両(自車両)における移動情報の通信パケットを他車両(二輪車両200、四輪車両300)に送信する。
【0024】
他車両(二輪車両200、四輪車両300)側では、車両(自車両)から送信された移動情報の通信パケットを受信することにより、車両(自車両)の車両カテゴリ(種別)、位置、速度、走行方向を特定することができる。
【0025】
コンピュータCOMのCPU(C1)は、メモリC2に記憶されているプログラムを実行することにより、運転支援装置100の機能構成として、情報取得部C11、速度比較部C12、判定部C13、位置比較部C14、特定部C15、報知部C16、画像処理部C17及び車両制御部C18として機能する。
【0026】
情報取得部C11は、通信装置C3の通信に基づいて、他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、他車両(二輪車両200、四輪車両300)の位置と速度に関する情報を含む移動情報を取得する。
【0027】
位置比較部C14は、GPSセンサS4(GPS情報受信部)により取得された車両(自車両)の位置情報と、移動情報に含まれる他車両(二輪車両200、四輪車両300)の位置の情報とを比較する。
【0028】
特定部C15は、位置比較部C14による比較の結果に基づいて、車両(自車両)の後方に位置する他車両を特定する。すなわち、特定部C15は、車両(自車両)の位置情報と、移動情報に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、車両(自車両)の後方に位置する他車両を特定する。
【0029】
図3の3Aは後方に位置する他車両の特定を例示的に説明する図である。
図3の3Aの例において、道路は3車線(L1~L3)であり、車両1(自車両)は中央の車線L2を走行している。車両1(自車両)の前方には他車両(四輪車両300a)が走行しており(車線L2)、車両1(自車両)の側方には他車両(四輪車両300b)が走行している(車線L3)。
【0030】
また、車両1(自車両)の後方には、他車両(二輪車両200a、二輪車両200b、四輪車両300c~300h)が走行している(車線L1~L3)。
【0031】
図3の3Aに示すように、特定部C15は、車両1(自車両)の位置情報と、移動情報に含まれる他車両(200a、200b、300a~300h)の位置の情報との比較に基づいて、車両1(自車両)の後方に位置する他車両を特定する。
図3の3Aに示す例では、二輪車両200a、二輪車両200b、四輪車両300c~300hが、車両1(自車両)の後方に位置する他車両として特定される。
【0032】
特定部C15により車両1(自車両)の後方に位置する他車両(200a、200b、300c~300h)が特定された場合、情報取得部C11は、通信部C3が周辺に位置する他車両(200a、200b、300a~300h)から受信した移動情報のうち、後方に位置する他車両(200a、200b、300c~300h)の移動情報から速度の情報を取得する。情報取得部C11は、移動情報に基づいて、車両1(自車両)の後方を走行する複数の四輪車両(300c~300h)の速度と、車両1(自車両)の後方を走行する二輪車両200a、200bの速度と、を取得する。この場合、車両(自車両)の前方に位置する四輪車両300aの移動情報や、車両(自車両)の側方に位置する300bの移動情報は除外される。
【0033】
ここで、情報取得部C11は、移動情報の車両カテゴリに基づいて、車両1(自車両)の後方を走行する他車両の種別が四輪車両であるか、二輪車両であるかを判定することが可能である。情報取得部C11は、速度比較部C12で速度を比較するための速度を移動情報から取得する際に、車両カテゴリ及び位置の情報を用いて、取得範囲を変更することが可能である。
【0034】
図3の3Bは速度の取得範囲を例示的に説明する図である。例えば、他車両が四輪車両である場合、情報取得部C11は、車両1の車幅方向において第一の幅範囲W1に位置する四輪車両300c~300hの移動情報から当該四輪車両の速度の情報を取得する。
【0035】
また、他車両が二輪車両である場合、情報取得部C11は、車両1の車幅方向において、第一の幅範囲W1よりも狭い第二の幅範囲W2に位置する二輪車両200aの移動情報から当該二輪車両の速度の情報を取得する。この場合、第二の幅範囲W2の外側に位置する二輪車両200bの移動情報は除外される。
【0036】
速度比較部C12は、情報取得部C11により取得された移動情報に基づいて、車両1の後方に位置する四輪車両(300c~300h)の速度と二輪車両200aの速度とを比較する。速度の比較において、速度比較部C12は、複数の四輪車両の速度から平均速度を取得して、平均速度と二輪車両の速度との比較を行うことが可能である。
【0037】
判定部C13は、速度比較部C12の比較の結果に基づいて、車両(自車両)の後方に位置する複数の四輪車両300の側方の位置を走行し、車両(自車両)に接近する二輪車両200の有無を判定する。
【0038】
速度比較部C12による速度の比較により、車両1(自車両)の後方を走行する複数の四輪車両(300c~300h)の速度から取得した平均速度VMと二輪車両200aの速度VRとの差分速度(VR-VM)が閾値速度以上((VR-VM)≧Vth)である場合、判定部C13は、車両1(自車両)の後方に位置する複数の四輪車両300d、300e、300g、300hの側方の位置を走行し、車両1(自車両)に接近する二輪車両200aが存在すると判定する。二輪車両200aは、四輪車両300d、300e、300g、300hの側方の位置を走行し、
図3の3Bの矢印350の方向に走行して、車両1(自車両)に接近する。
【0039】
報知部C16は、判定部C13の判定により、車両(自車両)に接近する二輪車両200が存在すると判定された場合に、判定の結果を車両(自車両)の運転者に報知する。報知部C16は、車両1が走行する走行方向において車両1に接近する二輪車両200aの存在を車両1の運転者に報知する。運転者へ報知するために、報知部C16は、車両1(自車両)に設けられた、音声出力装置91と表示装置92(
図2)を制御する。報知部C16の報知制御基づいて、音声出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知し、また、表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。この場合、報知部C16は、差分速度(VR-VM)と閾値速度Vthとの速度差に応じて、報知のレベルを変更することが可能である。報知部C16は、例えば、接近する方向(車両1の右側方に接近、または左側方に接近)を示す接近方向情報と、速度差とを組み合わせた画像を表示装置92に表示する。この際、報知部C16は、車両1(自車両)との相対的な距離に応じて、表示色を変えたり、が画像サイズを接近に応じて大きくするように表示制御を行うことが可能である。また、報知部C16は、速度差の情報に基づいて、接近している二輪車両が車両1(自車両)に到達する到達予定時間を推定し、推定した到達予定時間を表示装置92に表示するように表示制御することも可能である。
【0040】
また、報知部C16は、接近方向情報及び速度差を組み合わせて音声情報として音声出力装置91から出力するように制御することも可能である。この際、報知部C16は、車両1(自車両)との相対的な距離に応じて、音声情報の出力を変更する。例えば、報知部C16は、二輪車両の接近に応じて、音声情報の出力を大きくするように音声出力装置91を制御することが可能である。
【0041】
画像処理部C17は、カメラCAMから入力された画像情報に対して画像処理を行う。画像処理部C17は、カメラCAMが撮影した画像の解析(画像処理)により、例えば、車両1が走行している車線及び隣接車線において、周辺を走行する他車両の輪郭抽出や、道路上の走路境界(例えば、ガードレール、レーンマーク、植栽、分離帯等の構造物)を抽出する処理を行う。
【0042】
車両制御部C18は、車両1の情報および車両1の周辺情報を検知する検知部(センサS、カメラCAM等)の検知結果、及び画像処理部C17の画像処理の結果に基づき、車両1の制御を行う。車両制御部C18は、画像処理したカメラ画像情報と、センサS(レーダS1、ライダS2)から入力されたセンサ情報とに基づいて、自車両の周囲に存在する他車両の走行を解析し、解析結果を車両1の制御に反映することが可能である。
【0043】
図1に示す運転支援装置100を車両に搭載する場合、コンピュータCOMを、例えば、センサSやカメラCAMの情報を処理する認識処理系のECUや画像処理系のECU内に配置してもよいし、通信装置や入出力装置を制御するECU内に配置してもよいし、車両の駆動制御を行う制御ユニット内のECUや、運転支援制御用のECU内に配置してもよい。例えば、以下に説明する
図2のように、センサS用のECU、カメラ用のECU、入出力装置用のECU、および運転支援制御用のECU等、運転支援装置100の構成を複数のECUに機能を分散してもよい。
【0044】
図2は、運転支援装置100の構成を車両1に配置した制御ブロック図であり、運転支援装置100の構成を車両1(自車両)の複数のECUに分散して制御ブロック図は構成されている。
図2において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0045】
図2の制御ユニット2は、
図1のCPUC1に対応する構成で、車両1の各部を制御する。制御ユニット2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20~29を含む。各ECU(Electronic Control Unit)は、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインターフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインターフェース等を複数備えていてもよい。
【0046】
以下、各ECU20~29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については、車両1の適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合することが可能である。
【0047】
ECU20は、本実施形態に係る車両1(自車両)の運転支援に関わる車両制御を実行する。運転支援においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。
【0048】
ECU20は、車両1の周囲の状況を示す車両1(自車両)の位置、車両1の周辺に存在する他車両の相対的な位置、車両1が走行する道路の情報や地図情報等に基づいて、車両1の運転支援制御を行う。
【0049】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。
【0050】
ECU22およびECU23は、車両1の周囲状況を検知する検知ユニット41~43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、
図1のカメラCAMに対応する構成である。カメラ41は車両1の前方を撮影可能なように、例えば、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。
【0051】
ECU22およびECU23は、カメラ41A,41Bが撮影した画像の解析(画像処理)により、例えば、車両1が走行している車線内または隣接車線内において、前方を走行する他車両などの物標の輪郭抽出や、道路上の走路境界(例えば、ガードレール、レーンマーク、植栽等)を抽出可能である。
【0052】
検知ユニット42は、光により車両1の周囲の他車両を検知したり、他車両との距離を測距する(以下、ライダ42と表記する場合もある)。検知ユニット42(ライダ42)は
図1のライダS2に対応する構成である。本実施形態の場合、ライダ42は車両1の周囲に複数設けられている。
図2に示す例では、ライダ42は、例えば、5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。
【0053】
検知ユニット43は、例えば、ミリ波レーダであり、電波により車両1の周囲の他車両を検知したり、他車両との距離を測距する(以下、レーダ43と表記する場合がある)。検知ユニット43(レーダ43)は
図1のレーダS1に対応する構成である。本実施形態の場合、レーダ43は車両の周囲に複数設けられている。
図2に示す例では、レーダ43は、例えば、5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0054】
ECU22は、一方のカメラ41Aと、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41Bと、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0055】
ECU24は、方位センサS3、GPSセンサS4、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。方位センサS3は車両1の回転運動や姿勢を検知する。方位センサS3の検知結果により車両1の走行方向(走行路)を判定することができる。GPSセンサS4は、車両1の現在位置を検知する。
【0056】
通信装置24cは、地図情報や道路交通情報を提供するサーバ装置と無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。データベース24aはネットワーク上に配置可能であり、通信装置24cがネットワーク上のデータベース24aにアクセスして、情報を取得することが可能である。
【0057】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。通信装置24c及び通信装置25aは、
図1の通信装置C3に対応する構成である。
【0058】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した車両乗員(運転者)の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、速度センサS5が検知した速度等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を制御し、車両1の加減速を制御する。
【0059】
ECU27は、方向指示器8を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図2の例の場合、方向指示器8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0060】
ECU28は、入出力装置9の制御を行うことが可能である。入出力装置9は車両乗員(運転者)に対する情報の出力と、運転者からの設定の受け付けを行う。音声出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知する。
【0061】
表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席前面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音声出力装置91に含まれてもよい。
【0062】
更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせてもよい。音声出力装置91、表示装置92による報知内容は、例えば、先に説明した
図1の報知部C16により制御される。
【0063】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を制御し、車両1の減速および停止を制御する。
【0064】
[運転支援装置における処理フロー]
図4は運転支援装置の処理の流れを説明する図である。ステップS40において、通信装置C3は車車間通信を実行する。通信装置C3は車両1の周辺に位置する他車両とネットワークを介して車車間通信を行う。
【0065】
ステップS41において、情報取得部C11は、移動情報を取得する。本ステップにおいて、情報取得部C11は、通信装置C3の通信に基づいて、他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、他車両(二輪車両200、四輪車両300)の位置と速度に関する情報を含む移動情報を取得する。
【0066】
ステップS42において、位置比較部C14は位置情報の比較を行う。位置比較部C14は、GPSセンサS4により取得された車両1(自車両)の位置情報と、移動情報に含まれる他車両(二輪車両200、四輪車両300)の位置の情報とを比較する。
【0067】
ステップS43において、特定部C15は、位置比較部C14による比較の結果に基づいて、車両(自車両)の後方に位置する他車両を特定する。
【0068】
ステップS44において、情報取得部C11は、車両1(自車両)の後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する。本ステップで、情報取得部C11は、通信部C3が周辺に位置する他車両から受信した移動情報のうち、後方に位置する他車両(
図3の3Bの200a、200b、300c~300h)の移動情報から速度の情報を取得する。ここでは、
図3の3Bに示したように、他車両が四輪車両である場合、情報取得部C11は、車両1の車幅方向において第一の幅範囲W1内に位置する四輪車両300c~300hの移動情報から四輪車両の速度の情報を取得し、他車両が二輪車両である場合、情報取得部C11は、車両1の車幅方向において、第一の幅範囲W1よりも狭い第二の幅範囲W2内に位置する二輪車両200aの移動情報から二輪車両の速度の情報を取得する。
【0069】
ステップS45において、情報取得部C11は、移動情報の車両カテゴリに基づいて、後方を走行する他車両のうち、後方に二輪車両200が走行しているか判定する。車両1(自車両)の後方に二輪車両200が走行していない場合(S45-No)、情報取得部C11は処理をステップS41に戻し、ステップS41以降の処理で同様の処理を繰り返す。
【0070】
一方、後方を走行する他車両のうち、後方に二輪車両200が走行している場合(S45-Yes)、情報取得部C11は処理をステップS46に進める。
【0071】
ステップS46において、速度比較部C12は、情報取得部C11により取得された移動情報に基づいて、車両1の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する。速度の比較において、速度比較部C12は、複数の四輪車両の速度から平均速度を取得して、平均速度と二輪車両の速度との比較を行うことが可能である。
【0072】
ステップS47において、判定部C13は、車両(自車両)に接近する二輪車両200の有無を判定する。速度比較部C12による速度の比較により、車両1(自車両)の後方を走行する複数の四輪車両の速度から取得した平均速度VMと二輪車両200aの速度VRとの差分速度(VR-VM)が閾値速度以上((VR-VM)≧Vth)である場合、判定部C13は、車両1(自車両)の後方に位置する複数の四輪車両300の側方の位置を走行し、車両1(自車両)に接近する二輪車両200が存在すると判定し(S47-Yes)、処理をステップS48に進める。
【0073】
一方、ステップS47の判定で、平均速度VMと二輪車両200aの速度VRとの差分速度(VR-VM)が閾値速度未満((VR-VM)<Vth)の場合、判定部C13は、車両1(自車両)に接近する二輪車両200は存在しないと判定し(S47-No)、処理をステップS41に戻し、ステップS41以降の処理で同様の処理を繰り返す。
【0074】
ステップS48において、報知部C16は、車両1が走行する走行方向において車両1に接近する二輪車両200aの存在を車両1の運転者に報知する。
【0075】
[変形例1]
先に説明した
図4のステップS44では、情報取得部C11は、
図3の3Bに示した第一の幅範囲W1及び第二の幅範囲W2を用いた位置の制限により、四輪車両の速度の情報及び二輪車両の速度の情報を取得する例を説明した。
【0076】
変形例1として、移動情報500に含まれる情報のうち、他車両の走行方向504を示す情報を用いる例を説明する。
【0077】
図3の3Cは処理の変形を例示的に説明する図である。
図3の3Cの例において、道路は片側2車線(L1~L2)であり、対向車線も2車線である(L3~L4)。車線L2と車線L3の間には、道路上の走路境界360(例えば、ガードレールや分離帯等の構造物)が存在している。
【0078】
車両1(自車両)は車線L2を走行しているものとする。移動情報500に含まれる位置の情報と、第一の幅範囲W1及び第二の幅範囲W2とを用いた場合、車両1(自車両)の後方には他車両(二輪車両200a、二輪車両200b、四輪車両300c~300h)が走行していることになる。
【0079】
しかしながら、二輪車両200b、四輪車両300e、300hは、車両1(自車両)の走行方向(第一の方向)に対して逆向きの走行方向(第二の方向)である。
【0080】
位置の情報と、第一の幅範囲W1及び第二の幅範囲W2とを用いた場合には、対向車線を走行する他車両が処理の対象として含まれる場合が生じ得るが、走行方向の情報を用いた制限を加えることにより、対向車線を走行する他車両を処理の対象から除外することができる。
【0081】
すなわち、情報取得部C11は、ステップS44の処理において、車両1(自車両)の後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する際に、移動情報500に含まれる他車両の走行方向504を示す情報を参照して、車両1(自車両)の走行方向(第一の走行方向)と異なる走行方向(第二の走行方向)を示す情報を含む移動情報を除外する。すなわち、走行方向を示す情報が車両1(自車両)と異なる方向(第二の走行方向)の移動情報の速度の情報は取得対象から除外される。これにより、運転支援装置100の処理負荷を低減しつつ、処理の精度を向上させることが可能になる。
【0082】
この場合、二輪車両200b、四輪車両300e、300hの移動情報が除外される。情報取得部C11は、第一の幅範囲W1内に位置し、車両1(自車両)と同一の走行方向の四輪車両300c、300d、300f、300gの移動情報から速度の情報を取得し、第二の幅範囲W2内に位置し、車両1(自車両)と同一の走行方向の二輪車両200aの移動情報から速度の情報を取得する。
【0083】
[変形例2]
変形例1では、対向車線を走行する他車両が処理の対象として含まれる場合、移動情報500に含まれる走行方向を示す情報を用いた制限を加えることにより、対向車線を走行する他車両を処理の対象から除外する例について説明した。
【0084】
変形例2では、例えば、カメラ画像に基づいた画像処理の結果を用いる例を説明する。画像処理部C17がカメラCAMにより撮影された画像の解析(画像処理)を行うことにより、車両1が走行している車線L2(第一車線)と対向車線L3(第二車線)との間に、道路上の走路境界360(ガードレールや分離帯等の構造物)が抽出された場合、情報取得部C11は、対向車線L3(第二車線)に位置する他車両の移動情報を除外する。
【0085】
情報取得部C11は、ステップS44の処理において、車両1(自車両)の後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する際に、画像処理部C17の画像処理結果に基づいて、対向車線L3(第二車線)に位置する他車両の移動情報を除外する。
【0086】
これにより、運転支援装置100の処理負荷を低減しつつ、処理の精度を向上させることが可能になる。変形例2では、移動情報500の通信パケットの構成として、少なくとも、車両カテゴリ501と、他車両の位置502と速度503に関する情報が含まれていればよい。これにより、車両1(自車両)と他車両との間における車車間通信の負荷を低減することが可能になる。
【0087】
[変形例3]
先に説明した実施形態、及び変形例1、2では、運転支援装置100が搭載される車両として、四輪車両に搭載される例を説明したが、この例に限定されず、例えば、
図3の3Aで、渋滞の車列に並ぶ車両1(自車両)を二輪車両に置き換えることも可能である。
図1に示した運転支援装置100の構成を二輪車両に搭載し、二輪車両のECUで運転支援装置100の機能構成を実現することも可能である。
【0088】
[その他の実施形態]
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現する車両制御プログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0089】
<実施形態のまとめ>
構成1.上記実施形態の運転支援装置は、車両(例えば、
図3の1)の運転支援を行う運転支援装置(例えば、
図1の100)であって、
前記車両(1)の周辺に位置する他車両(例えば、
図1の200、300)とネットワーク(例えば、
図1のNET)を介して通信可能な通信手段(例えば、
図1のC3)と、
前記通信手段(C3)の通信に基づいて、前記他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、前記他車両の位置と速度に関する情報を含む移動情報(例えば、
図5の500)を取得する情報取得手段(例えば、
図1のC11)と、
前記車両(1)の位置情報と、前記移動情報(500)に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、前記車両(1)の後方に位置する他車両を特定する特定手段(例えば、
図1のC15)と、
前記移動情報(500)に基づいて、前記車両(1)の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する速度比較手段(例えば、
図1のC12)と、
前記比較の結果に基づいて、前記四輪車両の側方の位置を走行し、前記車両(1)に接近する前記二輪車両の有無を判定する判定手段(例えば、
図1のC13)と、
前記車両(1)に接近する前記二輪車両が存在すると判定された場合に、前記判定の結果を前記車両(1)の運転者に報知する報知手段(例えば、
図1のC16)と、を備える。
【0090】
構成1の運転支援装置によれば、車両の後方に位置する四輪車両の側方を走行し、車両に接近する二輪車両の存在を、運転者に報知することが可能になる。これにより運転者は、予め接近する二輪車両の存在を認識することが可能になる。
【0091】
上記実施形態の運転支援装置(100)は、前記車両の位置情報を取得するGPS情報受信手段(例えば、
図1のS4)と、
前記車両の位置情報と、前記移動情報に含まれる前記他車両の位置の情報とを比較する位置比較手段(例えば、
図1のC14)と、を更に備え、
前記特定手段(C15)は、前記位置比較手段(C14)による比較の結果に基づいて、前記車両(1)の後方に位置する他車両を特定し、
前記特定手段(C15)により前記車両の後方に位置する他車両が特定された場合、
前記情報取得手段(C11)は、前記通信手段(C3)が周辺に位置する他車両から受信した移動情報のうち、後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する。
【0092】
上記実施形態の運転支援装置によれば、位置の比較の結果に基づいて、車両の後方に位置する他車両を特定することができ、後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得することができる。
【0093】
構成2.上記実施形態の運転支援装置(100)であって、前記情報取得手段(C11)は、
前記移動情報(500)の前記車両カテゴリに基づいて、前記車両(1)の後方を走行する前記他車両の種別が前記四輪車両であるか、前記二輪車両であるかを判定し、
前記他車両が四輪車両である場合、前記車両の車幅方向において第一の幅範囲(例えば、
図3の3BのW1)に位置する四輪車両から当該四輪車両の速度の情報を取得し、
前記他車両が二輪車両である場合、前記車両の車幅方向において、前記第一の幅範囲よりも狭い第二の幅範囲(例えば、
図3の3BのW2)に位置する二輪車両から当該二輪車両の速度の情報を取得する。
【0094】
構成2の運転支援装置によれば、情報取得範囲を車両(自車両)に影響のある範囲に制限することで、運転支援装置の処理負荷を低減しつつ、処理の精度を向上させることが可能になる。
【0095】
構成3.上記実施形態の運転支援装置(100)であって、
前記情報取得手段(C11)は、前記移動情報(500)に基づいて、前記車両(1)の後方を走行する複数の四輪車両の速度と、前記車両(1)の周辺を走行する二輪車両の速度と、を取得し、
前記速度比較手段(C12)による速度の比較により、前記二輪車両の速度と、前記複数の四輪車両の速度から取得した平均速度との差分速度が閾値速度以上である場合、
前記報知手段(C16)は、前記車両が走行する走行方向において前記車両に接近する前記二輪車両の存在を前記車両の運転者に報知する。
【0096】
構成3の運転支援装置によれば、速度の比較により、二輪車両の速度と、複数の四輪車両の速度から取得した平均速度との差分速度が閾値速度以上である場合、車両が走行する走行方向において車両に接近する二輪車両の存在を車両の運転者に報知することが可能になる。
【0097】
構成4.上記実施形態の運転支援装置(100)であって、前記報知手段(C16)は、前記差分速度と前記閾値速度との速度差に応じて、前記報知のレベルを変更する。
【0098】
構成4の運転支援装置によれば、差分速度と閾値速度との速度差に応じて、報知のレベルを変更することにより、報知すべき情報のレベル(緊急度)に応じて報知を行うことが可能になる。
【0099】
構成5.上記実施形態の運転支援装置(100)であって、
前記移動情報(500)には前記他車両の走行方向を示す情報が更に含まれており、
前記車両の走行方向と異なる走行方向を示す情報が前記移動情報に含まれている場合、
前記情報取得手段(C11)は、後方に位置する他車両の移動情報から速度の情報を取得する際に、前記異なる走行方向を示す情報を含む前記移動情報を除外する。
【0100】
構成5の運転支援装置によれば、運転支援装置の処理負荷を低減しつつ、処理の精度を向上させることが可能になる。
【0101】
構成6.上記実施形態の運転支援方法は、車両(例えば、
図3の1)の運転支援を行う運転支援装置(例えば、
図1の100)における運転支援方法であって、
通信手段(例えば、
図1のC3)が、前記車両(1)の周辺に位置する他車両(例えば、
図1の200、300)とネットワーク(例えば、
図1のNET)を介して通信を行う通信工程(例えば、
図4のS40)と、
情報取得手段(例えば、
図1のC11)が、前記通信工程での通信に基づいて、前記他車両の種別が四輪車両または二輪車両であることを示す車両カテゴリと、前記他車両の位置と速度に関する情報を含む移動情報(例えば、
図5の500)を取得する情報取得工程(例えば、
図4のS41)と、
特定手段(例えば、
図1のC15)が、前記車両(1)の位置情報と、前記移動情報(500)に含まれる他車両の位置の情報との比較に基づいて、前記車両の後方に位置する他車両を特定する特定工程(例えば、
図4のS43)と、
速度比較手段(例えば、
図1のC12)が、前記移動情報(500)に基づいて、前記車両(1)の後方に位置する四輪車両の速度と二輪車両の速度とを比較する速度比較工程(例えば、
図4のS46)と、
判定手段(例えば、
図1のC13)が、前記比較の結果に基づいて、前記四輪車両の側方の位置を走行し、前記車両(1)に接近する前記二輪車両の有無を判定する判定工程(例えば、
図4のS47)と、
報知手段(例えば、
図1のC16)が、前記車両(1)に接近する前記二輪車両が存在すると判定された場合に、前記判定の結果を前記車両(1)の運転者に報知する報知工程(例えば、
図4のS48)と、を有する。
【0102】
構成6の運転支援方法によれば、車両の後方に位置する四輪車両の側方を走行し、車両に接近する二輪車両の存在を、運転者に報知することが可能になる。
【0103】
構成7.上記実施形態のプログラムは、コンピュータに、構成6に記載の運転支援方法の各工程を実行させる。
【0104】
構成7のプログラムによれば、運転支援方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムを提供することができる。
【0105】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0106】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0107】
1:車両(自車両)、200:二輪車両、300:四輪車両
C11:情報取得部、C12:速度比較部、C13:判定部、
C14:位置比較部、C15:特定部、C16:報知部、
C17:画像処理部、C18:車両制御部