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  • 特許-回転捕獲部を有するさすまた 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】回転捕獲部を有するさすまた
(51)【国際特許分類】
   F41B 15/00 20060101AFI20221128BHJP
【FI】
F41B15/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022034222
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522089424
【氏名又は名称】小池 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】小池 英雄
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-032948(JP,A)
【文献】登録実用新案第3147456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲対象者や捕獲対象物(H)を捕獲しやすいさすまたであって、
一部が開口する略Uの字形状の二つのアーム部(10)から構成される固定捕獲部(20)と、
中心から略雫状に突出した同一形状の掴み部(30)を少なくとも3つ以上等角に備えた回転捕獲部(40)と、
持手部(50)を備える柄(60)と、
から成り、
前記回転捕獲部(40)の回転軸(41)が前記アーム部(10)の一方にラチェット機構(42)を介して一方向に回転自在に軸支され、前記回転捕獲部(40)が一部の掴み部(30)が押し回されることで前記固定捕獲部(20)の前記アーム部(10)と前記回転捕獲部(0)の掴み部(30)により閉鎖した捕獲領域(70)が形成されることを特徴とする回転捕獲部(40)を有するさすまた(1)。
【請求項2】
前記固定捕獲部(20)において、略Uの字形状の開口が持ち手部と反対側の先端にあり、二つの前記アーム部(10)の付け根部分に柄(60)が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の回転捕獲部(40)を有するさすまた(1)。
【請求項3】
前記固定捕獲部(20)において、略Uの字形状の開口が持ち手部側であり、二つの前記アーム部(10)のうち一方が延長されて柄(60)が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の回転捕獲部(40)を有するさすまた(1)。
【請求項4】
前記ラチェット機構(42)が、規制する回転方向を切り替えるラチェット切り替え機構(43)を備えたものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回転捕獲部(0)を有するさすまた(1)。
【請求項5】
前記回転捕獲部(20)が前記アーム部(10)を挟むように二重に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の回転捕獲部(0)を有するさすまた(1)。
【請求項6】
前記柄(60)の長さを調整可能な長さ調整機構(80)を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の回転捕獲部(40)を有するさすまた(1)。
【請求項7】
二つの前記アーム部(10)にそれぞれ回転捕獲部(40)を備え、一つの回転捕獲部(40)は掴み部(30)が時計回り、他方の回転捕獲部(40)は掴み部(30)が反時計回りに回転し、逆方向へは回転が規制されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の回転捕獲部(40)を有するさすまた(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さすまたに関し、詳しくは、回転捕獲部を有するさすまたの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、国内外で様々な事件が起きている。不審者の情報も年々多くなる傾向にあり、何か事が起こってから警察に通報するのでは間に合わないケースもある。そこで、個人においても防犯の意識が高くなってきており、警備会社との契約や護身防犯用のグッズをかばんに忍ばせたりと、様々な工夫がなされている。特に、時にはナイフなどの凶器を持った不審者などを相手にしなくてはならないときなどは、さすまたが有効であり、誰でも手軽に簡単に使えるさすまたの技術が望まれている。
【0003】
さすまたは、暴れる犯罪者の動きを封じ込める武具及び捕具であり、形状は、U字形の金具に柄がついているものが多い。使い方は、U字形の金具の部分で相手の首や腕などを壁や地面に押しつけて捕らえることができ、柄が長いため、ナイフのような小型の刃物や刀などを持った相手と距離をおいて、安全に対応することができるものである。しかしながら、従来のさすまたでは力の少ない女性や子供においては体の大きな男性相手に使うことは困難であり、一度U字型の部分に捕まえたとしても、力で撥ねつけられてしまったりする場合がある。
【0004】
また、従来のさすまたは、U字形に長い柄がついた形状のものが多く、構造も簡易的なものが多い。従って、一度捉えても逃げられてしまうことがある。そういった時にはかなり危険な状態といえ、一度捉えたら逃げることができない、さすまたが望まれるところである。
【0005】
そこで、このような要求にこたえるべく、従来からも、種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「刺股」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。具体的には、「一人で把持して、暴れる暴漢等を捕獲するための刺股を提供する。」ことを課題とし、解決手段として「把持用直棒体1の一端を、半円状湾曲棒体2が形成され、その開口部を先方として固着したものとし、かつ、半円状湾曲棒体2の両端部には、湾曲したL字状で、その曲折部に、回転軸3を設け、可動湾曲状棒体4の2本が、互いに内側に円を描くよう配置させる。把持用直棒体1の長さ方向の中空部に、先方へ露出する押し出し棒体5を有し、その押し出し棒体5の先端には、T字状に直交した両可動湾曲状棒体4の離反開口する状態を保持するための中央部連結部材6を有している。中央部連結部材6を先端に有する押し出し棒体5が、後退する際には容易に後退するが、通常は前進しないためのラチェット機構7が、把持用直棒体1の一部に、把持用直棒体1から露出する把手8と共に有したことを特徴とする。」というものである。
【0006】
また、発明の名称を「開閉機能を有する刺股」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、解決課題を「開いた状態で捕獲対象者に押しつけることにより自動的に閉じる刺股であって、一旦捕獲対象者を捕獲したときには容易に開くことのない構成とすることにより、1個の刺股で捕獲対象者を捕獲することを可能とした刺股11、12を提供することにある。さらに、捕獲対象者を傷つけることがない刺股であって、少しばかり中心をずらして突いた場合でも、容易に捕獲することのできる刺股11、12を提供することにある。」とするもので、解決手段を「閉じたときに概略円環形状を構成するように弧形状の2本のアーム5、6を配置しこれを開閉可能に取り付け、2本のアーム5、6の中央部の間をワイヤ9で連結した刺股11、12とする。また、アーム5の内側に複数の突起部材8を取り付けた刺股11とする。さらには、アーム6の先端部に一方向クラッチ6cを介してゴム製のローラ7bを取り付けた刺股12とする。」というものである。
【0007】
また、発明の名称を「刺股」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「捕獲対象者の胴体よりも、腕や脚部を挟むことで、刺股の小型軽量化と、操作性の向上及び構造上の信頼性を向上させた刺股の提供する」ことを課題とし、その解決手段に、「筒状の支柱の一端に設けた湾曲状の固定アームと対をなし、常に閉じる方向に付勢されて、回動可能に設け湾曲状の可動アームとで、捕獲挟みを形成した。この捕獲挟みは前記可動アームを開いた状態に維持する可動停止手段と、この可動停止手段に連結して、前記固定アームと可動アームとの間に紐体を張設して、可動アーム用の作動手段とすることで刺股とした。 この刺股によれば、固定アームと可動アームに張設した紐体に、捕獲対象者の脚部などに押し当てると、可動停止手段が引っ張られて、解除され挟み込まれるものである。」というものである。
【0008】
しかしながら、特許文献1から特許文献3に記載の技術は、開いた状態で捕獲対象者に押し付けることにより、自動的に閉じる構成を採用しているものの、係る動作をさせるのは二本のアーム間を繋いだワイヤーや作動手段を用い、一突きで捕獲できなかった場合に閉じてしまったアーム部の固定を解除する必要が生じ、緊迫した中での対応としてはかえって危険が生じる場合が起き得る。そこで、何度突いても捕獲対象物を捉えない限り固定されないという課題を残すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3191857号
【文献】特開2007-46853号
【文献】特開2007-333367号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、一度捕獲した被捕獲物を確実に捉え、一度捉えたら離さず、より安全に被捕獲物を捕獲できる、さすまたの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、捕獲対象者や捕獲対象動物またはコードやホースなどの部材(以下、「捕獲対象物」という)を捕獲しやすいさすまたであって、一部が開口する略Uの字形状の二つのアーム部から構成される固定捕獲部と、中心から突出した掴み部を少なくとも3つ以上等角に備えた回転捕獲部と、持手部を備える柄と、から成り、前記回転捕獲部の回転軸が前記アーム部の一方にラチェット機構を介して一方向に回転自在に軸支され、前記回転捕獲部が一部の掴み部が押し回されることで前記固定捕獲部の前記アーム部と前記回転捕獲部の掴み部により閉鎖した捕獲領域が形成される構成を採用する。
【0012】
また、本発明は、前記固定捕獲部において、略Uの字形状の開口が持ち手部と反対側の先端にあり、二つの前記アーム部の付け根部分に柄が備えられている構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記固定捕獲部において、略Uの字形状の開口が持ち手部側であり、二つの前記アーム部のうち一方が延長されて柄が備えられている構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記ラチェット機構において、規制する回転方向を切り替えるラチェット切り替え機構を備えたものである構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記回転捕獲部を前記アーム部を挟むように二重に備える構成を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記柄の長さを調整可能な長さ調整機構を備えている構成を採用することもできる。
【0017】
また、二つの前記アーム部にそれぞれ回転捕獲部を備え、一つの回転捕獲部は掴み部が時計回り、他方の回転捕獲部は掴み部が反時計回りに回転し、逆方向へは回転が規制される構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたによれば、相手の動きを封じ込めることが可能であり、且つ、相手の動作に対応して捕獲する力を規制することができるという優れた効果を発揮する。
【0019】
本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたによれば、回転捕獲部が一方向にしか回転せず、一度捕獲すると離さないという優れた効果を発揮する。
【0020】
本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたにおいて、略Uの字形状の開口が持ち手部と反対側の先端にあり、二つの前記アーム部の付け根部分に柄が備えられている構成を採用した場合には、持ち手部を押すことにより回転捕獲部が回転し、捕獲領域内に捕獲対象物に取り込むことが容易となるという優れた効果を発揮する。
【0021】
本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたにおいて、略Uの字形状の開口が持ち手部側であり、二つのアーム部のうち一方が延長されて柄が備えられている構成を採用した場合には、持ち手部を引くことにより回転捕獲部が回転し、捕獲領域内に捕獲対象物を取り込むことが容易にできるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたにおいて、ラチェット機構に、規制する回転方向を切り替えるラチェット切り替え機構を備えた構成を採用した場合には、捕獲後の解除が容易になるという優れた効果を発揮する。
【0023】
また、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたにおいて、回転捕獲部をアーム部を挟むように二重に構成した場合には、より安全に捕獲対象物を捕獲することができるという優れた効果を発揮する。
【0024】
また、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたにおいて、柄の長さを調整可能な長さ調整機構を備えている構成を採用した場合には、捕獲対象物との距離を離したり、近づけたりすることが可能となるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第一の実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図である。
図2】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第ニの実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図である。
図3】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第一の実施形態における使用状態説明図である。
図4】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第二の実施形態における使用状態説明図である。
図5】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第一の実施形態における別の使用状態説明図である。
図6】本発明に係る回転捕獲部を有するさすまたの第二の実施形態における別の使用状態説明図である。
図7】本発明に係る回転捕獲部を二つ有するさすまたの第三の実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図である。
図8】本発明に係る回転捕獲部を二つ有するさすまたの第三の実施形態における別の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、捕獲対象者や捕獲対象物を捕獲しやすいさすまたであって、一部が開口する略Uの字形状の二つのアーム部から構成される固定捕獲部と、中心から突出した掴み部を少なくとも3つ以上等角に備えた回転捕獲部と、持手部を備える柄と、から成り、前記回転捕獲部の回転軸が前記アーム部の一方にラチェット機構を介して一方向に回転自在に軸支され、前記回転捕獲部が一部の掴み部が押し回されることで前記固定捕獲部の前記アーム部と前記回転捕獲部の掴み部により閉鎖した捕獲領域が形成される構成を最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0027】
図1は、本発明に係る回転捕獲部40を有するさすまたの第一の実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図である。
以下、本発明に係る回転捕獲部40を有するさすまた1の各構成について説明する。
【0028】
回転捕獲部を有するさすまた1は、捕獲対象物Hを捕獲しやすいさすまたであって、一部が開口する略Uの字形状の二つのアーム部10から構成される固定捕獲部20と、中心から突出した掴み部30を少なくとも3つ以上等角に備えた回転捕獲部40と、持手部50を備える柄60と、から成り、前記回転捕獲部40の回転軸41が前記アーム部10の一方にラチェット機構42を介して一方向に回転自在に軸支され、前記回転捕獲部40が一部の掴み部30が押し回されることで前記固定捕獲部の前記アーム部10と前記回転捕獲部40の掴み部30により閉鎖した捕獲領域70が形成される構成である。
【0029】
アーム部10は、捕獲対象物Hを捉えるための左右2本の腕であり、固定捕獲部20の左右に設けられるものである。
【0030】
固定捕獲部20は、左右2本のアームが付け根で一体となり、捕獲対象物Hを取り込む開口部を有し、捕獲対象物Hを囲むように略U字型、J字型、又はV字型形状等を成すものである。なお、図面では平板状で示したが、パイプを曲げて形成してもよい。
【0031】
掴み部30は、回転軸41の中心から外側へ少なくとも3つ以上等角に突出して形成され、アーム部10で捕獲した捕獲対象物Hが逃げられないように捕獲領域70へ導いた後に、開口部をふさぐためのものであり、回転軸41を軸芯として回転するものである。なお、図面では平板状で示したが、パイプを曲げて形成してもよい。
【0032】
回転捕獲部40は、捕獲対象物Hが逃げられないように複数の掴み部30を回転式にすること、並びにラチェット機構42により該回転方向が一方向のみに規制され、何度捕獲に失敗しても回転して直ぐ次の掴み部30で捉えることができるような構成となっている。
【0033】
持手部50は、柄60の片側端部に備えることが望ましいものであり、持ちやすくするために、滑りにくいゴム素材などを用いて握り易くすることが好適である。
【0034】
柄60は、固定捕獲部20を支え、捕獲対象物Hに安全な距離を取って捕獲できるためのものである。枝60が長くなれば長くなるほど安全マージンを取ることができるが、その分重くなることと、曲げに対する強度を考慮して比強度の大きなアルミ合金等を素材とすることが望ましい。
【0035】
回転軸41は、回転捕獲部40が回転するための軸であり、具体的には、アーム部10と掴み部30で捕獲対象物Hをシッカリと掴むために必要な捕獲領域70を形成し、掴み部30の適宜捕獲領域70を形成する位置へ備えられるものである。
【0036】
ラチェット機構42は、アーム部10と掴み部30で捕獲対象物Hを捉えた際に、逃げることができないように回転捕獲部40が片側方向にしか回転しないような仕組みにしたものである。
【0037】
ラチェット切り替え機構43は、特に図面には示していないが、規制する回転方向を自在に切り替えることができる機構である。具体的には、ボルトやナットによる締結に用いられるラチェットめがねレンチに用いられている構造とすればよく、例えば、丸棒に爪形状が加工してあるピン頭部を押す事によってピンがスライドし回転軸41の回転方向が切り替わる切替ピン方式、中心にピンにより取付けられた揺動式の切替爪方式、基本的にワンウェイクラッチ機構を本体とセレーション部に取込んだカム式、或いは、多数のギアにより細かい送り操作が可能なギア式、などこれらの構造とすることが考えられる。
【0038】
捕獲領域70は、アーム部10と掴み部30で捕獲対象物Hを囲むために必要となる空間領域のことである。係る捕獲領域70は、回転捕獲部の回転に伴いその領域が変化するもので、ラチェット機構42により狭くはなるが広くはならない領域である。
【0039】
長さ調整機構80は、柄60の長さを調整する機構であり、捕獲対象物Hとの距離を大きくとりたい場合には柄60を長くし、小動物などを捕獲する際のように、取り回しやすいように柄60を短くしたい場合など、自在に柄60の長さを調整できることが望ましく、具体的には連結部にネジ部を設けた構造によりジョイントしたり伸縮したりするものである。
【0040】
捕獲対象物Hは、動きを封じ込めようとする、人、動物などが対象であるが、必ずしも不審者と限らず、救命のための人や動物も対象となる。その他、電線やホースなどを捉えることも想定でき、
【0041】
図2は、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまた1の第二の実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図であり、図2(a)は、回転捕獲部がアームを挟むように二重に構成した場合の側面を示し、図2(b)は、回転捕獲部がアームに対して一枚で構成されている場合の側面を示し、図2(c)は、第二の実施形態における平面から見た構成を示している。
【0042】
図3は、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまた1の第一の実施形態における使用状態説明図であり、図3(a)は、第一の実施形態において、前方側が開口したアーム部10を目標とする捕獲対象物Hに向かって押し出し、回転捕獲部を捕獲対象物Hに向かって押し当てる状態を示し、図3(b)は、その後押し当てられた回転捕獲部が回転し、捕獲領域70内に捕獲対象物Hを捕獲している状態を示している。
【0043】
図4は、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまた1の第二の実施形態における使用状態説明図であり、図4(a)は、第二の実施形態において、持ち手側に開口したアーム部10を目標とする捕獲対象物Hに対して引っ張る方向に捉えている状態を示し、図4(b)は、その後掴み部30によって引き込まれた回転捕獲部40が回転し、捕獲領域70内に捕獲対象物Hを捕獲している状態を示している。特に、逃げていく人や動物など捕獲対象物Hに対して、人の場合は手や足等、小動物の場合は胴体に引っ掛けることで捕獲対象物Hを捉える構成に適していることを示している。
【0044】
図5は、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまた1の第一の実施形態における別の使用状態説明図であり、捕獲対象物Hが人である場合を示している。なお、図面では捕獲対象物Hは捕獲領域70内に捕獲された状態を示しており、回転捕獲部40は後方へは回らないため、逃げ出すことができない状態を示している。
【0045】
図6は、本発明に係る回転捕獲部を有するさすまた1の第二の実施形態における別の使用状態説明図であり、捕獲対象物Hが小動物の猫である場合を示している。なお、図面では捕獲対象物Hは捕獲領域70内に捕獲された状態を示しており、回転捕獲部40が後方へは回らないため、逃げ出すことができない状態を示している。
【0046】
図7は、本発明に係る回転捕獲部を二つ有するさすまたの第三の実施形態における基本構成を説明する基本構成説明図であり、図7(a)は、回転捕獲部がアームを挟むように二重に構成した場合の側面を示し、図7(b)は、回転捕獲部がアームに対して一枚で構成されている場合の側面を示し、図7(c)は、第三の実施形態における平面から見た構成を示している。
【0047】
図面に示すとおり、第三の実施形態では、回転捕獲部(40)を二つ備えて構成されており、平面視においてアーム(10)の両側に突出する掴み部を小さくすることができ、コンパクト化を図ることができるとともに、全体の剛性を高めることに寄与するものである。従って、狭い場所での捕獲や力の弱い女性などの扱いが容易となる。
【0048】
図8は、本発明に係る回転捕獲部を二つ有するさすまたの第三の実施形態における別の使用状態説明図である。図8に示すとおり、第三の実施形態では、回転保持部が二つあり、それぞれの回転方向が別々に規制されることから、人の捕獲などでは小型の回転捕獲部(40)が機敏に動作し、捕獲しやすくする。また、アーム(10)の開口部を広げるように掴み部が間口を広げるため、より捕獲しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る、回転捕獲部を有するさすまたによれば、小学校や公共施設等、人が集まる場所での不審者や野生動物等を捉えることが容易であり、様々な場所での利用が可能であることから、多くの生産が期待でき、産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 回転捕獲部を有するさすまた
10 アーム部
20 固定捕獲部
30 掴み部
40 回転捕獲部
41 回転軸
42 ラチェット機構
43 ラチェット切り替え機構
50 持手部
60 柄
70 捕獲領域
80 長さ調整機構
H 捕獲対象物













【要約】
【課題】
本発明は、一度捕獲した被捕獲物を確実に捉え、一度捉えたら離さず、より安全に被捕獲物を捕獲できるさすまたの提供を課題とするものである。
【解決手段】
本発明は、捕獲対象者や捕獲対象物を捕獲しやすいさすまたであって、一部が開口する略Uの字形状の二つのアーム部から構成される固定捕獲部と、中心から突出した掴み部を少なくとも3つ以上等角に備えた回転捕獲部と、持手部を備える柄と、から成り、前記回転捕獲部の回転軸が前記アーム部の一方にラチェット機構を介して一方向に回転自在に軸支され、前記回転捕獲部が一部の掴み部が押し回されることで前記固定捕獲部の前記アーム部と前記回転捕獲部の掴み部により閉鎖した捕獲領域が形成される構成を採用した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8