(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】カメラモジュールおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221128BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221128BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20221128BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 100
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2022089498
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】202110866550.1
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521010115
【氏名又は名称】基合半導体(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張耀国
(72)【発明者】
【氏名】夏波
(72)【発明者】
【氏名】張毓麟
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-515881(JP,A)
【文献】特開平10-145663(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112804419(CN,A)
【文献】特開2005-037599(JP,A)
【文献】特開平11-344738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 30/00
H04N 5/222 - 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
前記台座に設けられたレンズアセンブリと、
前記台座に移動可能に設けられた感光性コンポーネントと、
前記台座に設けられ、前記感光性コンポーネントに接続され、前記感光性コンポーネントを前記台座上で移動させるように駆動するためのドライブアセンブリと、
少なくとも2組の電極板と、を備え、
そのうち、各組の前記電極板は、前記レンズアセンブリに設けられた第1電極板と、前記感光性コンポーネントに設けられた第2電極板とを備え、各組の前記電極板の前記第2電極板と、該組の電極板の前記第1電極板とは、前記レンズアセンブリの光軸方向に対向して設置され、前記レンズアセンブリの光軸に垂直な方向における前記感光性コンポーネントの移動に伴い大きさが変化する静電容量を形成しており、
前記ドライブアセンブリは、前記静電容量の大きさに応じて前記感光性コンポーネントの移動を制御する、
ことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記少なくとも2組の電極板は、前記レンズアセンブリの光軸の周りに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
各組の前記電極板のうち、同一の前記第1電極板に対向して設置された前記第2電極板が複数あり、または、同一の前記第2電極板に対向して設置された前記第1電極板が複数ある、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記レンズアセンブリは、前記台座に接続されたモーターホルダーと、前記モーターホルダーに接続されたレンズと、を備え、
各組の前記電極板の前記第1電極板は、前記モーターホルダーに設けられた固定子金属板、または前記モーターホルダーにメッキされた導電性メッキ層である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記感光性コンポーネントは、イメージセンサと、前記イメージセンサに接続された回路基板と、を備え、
前記回路基板は、前記台座に移動可能に設けられ、各組の前記電極板の前記第2電極板は、前記回路基板に設けられた可動子金属板、または前記回路基板にメッキされた導電性メッキ層である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記ドライブアセンブリは、前記台座に設けられた磁性部材と、前記感光性コンポーネントに設けられ且つ前記磁性部材に対向して設けられた電磁コイルと、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記ドライブアセンブリは複数あり、前記複数のドライブアセンブリは前記レンズアセンブリの光軸の周りに設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記台座に設けられ、前記感光性コンポーネントを支持する複数のボールをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記台座と前記感光性コンポーネントとをそれぞれ接続する複数の弾性部材をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のカメラモジュールを備える、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像製品の技術分野に関し、特に、カメラモジュールおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器上のカメラモジュールは、光学式手ブレ補正機能を備えていることが多く、光学式手ブレ補正技術は、レンズの移動または感光性素子(イメージセンサ)の移動によって手ブレ時の光路を補償して、カメラモジュールの結像品質を向上させる。カメラモジュールにおけるレンズのサイズが大きくなるにつれて重量が上がり、レンズを動かす難しさがますます大きくなるが、感光性素子のサイズが小さいため軽量であり、感光性素子を動かすことで光学式手ブレ補正を実現することが重要視されている。
【0003】
モバイル感光性素子を適用して光学式手ブレ補正を実現するカメラモジュールのいくつかにおいて、より早くより安定な合焦を達成するために、カメラモジュールにホールセンサ又はホールセンサ検出機能付きの駆動チップを内蔵すると共に、対応する検出用磁石を内蔵して、感光性素子の移動位置を検出し、感光性素子の移動駆動時に閉ループ制御を実現し、カメラモジュールの合焦を安定して速く制御する目的を達成するのが一般的である。しかしながら、これでは、カメラモジュールの内部空間を占有してしまい、カメラモジュールの小型化に不利であるばかりか、ホール素子のコストが高く、カメラモジュールのコスト低減に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カメラモジュールの内部空間を省いてカメラモジュールの小型化に有利にできるだけでなく、カメラモジュールのコスト低減にも有利であるカメラモジュールおよび電子機器を提供することを目的とする。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態は、カメラモジュールを提供し、台座と、前記台座に設けられたレンズアセンブリと、前記台座に移動可能に設けられた感光性コンポーネントと、前記台座に設けられ、前記感光性コンポーネントに接続され、前記感光性コンポーネントを前記台座上で移動させるように駆動するためのドライブアセンブリと、少なくとも2組の電極板と、を備え、そのうち、各組の前記電極板は、前記レンズアセンブリに設けられた第1電極板と、前記感光性コンポーネントに設けられた第2電極板とを備え、各組の前記電極板の前記第2電極板と、該組の電極板の前記第1電極板とは、前記レンズアセンブリの光軸方向に対向して設置され、前記レンズアセンブリの光軸に垂直な方向における前記感光性コンポーネントの移動に伴い大きさが変化する静電容量を形成しており、前記ドライブアセンブリは、前記静電容量の大きさに応じて前記感光性コンポーネントの移動を制御する。
【0006】
本発明の実施形態は、上記のカメラモジュールを備える電子機器をさらに提供する。
【0007】
本発明の実施形態は、従来技術に対して、小型化およびコストダウンに有利なカメラモジュールを提供しており、このカメラモジュールでは、ドライブアセンブリが感光性コンポーネントの移動を駆動して光学式手ブレ補正が達成されるとき、各組の電極板の第2電極板が感光性コンポーネントの移動に伴って移動し、これにより、各組の電極板における第1電極板と第2電極板とが対向設置されることによって形成される静電容量の大きさが変化し、少なくとも2組の電極板を設置することにより、感光性コンポーネントが所在する移動平面の2つの異なる方向での位置検出を実現することができ、ドライブアセンブリの設置により、静電容量の大きさに応じて感光性コンポーネントの移動を制御することができ、すなわち、ドライブアセンブリは感光性コンポーネントを駆動して移動させると同時に、検出された静電容量の大きさによって駆動過程を制御することにより、感光性コンポーネントを駆動して移動させる際に閉ループ制御を実現することができる。このように、本発明の実施形態によるカメラモジュールは、少なくとも2組の電極板を内蔵する必要があるだけであり、各組の電極板が第1電極板と第2電極板とを含み、第1電極板と第2電極板によって形成される静電容量の大きさを検出することで、感光性コンポーネントを駆動して移動させるときに感光性コンポーネントに対する位置検出を実現することができ、電極板は、占有スペースが少なく、安価であるため、カメラモジュールの内部空間を省いてカメラモジュールの小型化に有利にできるだけでなく、カメラモジュールのコスト低減にも有利である。
【0008】
また、前記少なくとも2組の電極板は、前記レンズアセンブリの光軸の周りに設けられている。このように、カメラモジュールの内部空間を利用して、レンズアセンブリの光軸を取り囲むようにより多くの組の電極板を設けることにより、複数の静電容量信号の検出データを得て、感光性コンポーネントの位置を検出する際の正確性を向上させることができる。
【0009】
また、各組の前記電極板のうち、同一の前記第1電極板に対向して設置された前記第2電極板が複数あり、または、同一の前記第2電極板に対向して設置された前記第1電極板が複数ある。このように、各組の電極板において複数の第2電極板を同一の第1電極板と対向させたり、複数の第1電極板を同一の第2電極板と対向させたりすることにより、同一の第1電極板に対向する複数の第2電極板、または同一の第2電極板に対向する複数の第1電極板によって形成された複数の静電容量信号から、静電容量信号の差分信号を得て、検出システムのロバスト性を高めることができる。
【0010】
また、前記レンズアセンブリは、前記台座に接続されたモーターホルダーと、前記モーターホルダーに接続されたレンズと、を備え、各組の前記電極板の前記第1電極板は、前記モーターホルダーに設けられた固定子金属板、または前記モーターホルダーにメッキされた導電性メッキ層である。
【0011】
また、前記感光性コンポーネントは、イメージセンサと、前記イメージセンサに接続された回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記台座に移動可能に設けられ、各組の前記電極板の前記第2電極板は、前記回路基板に設けられた可動子金属板、または前記回路基板にメッキされた導電性メッキ層である。
【0012】
また、前記ドライブアセンブリは、前記台座に設けられた磁性部材と、前記感光性コンポーネントに設けられ且つ前記磁性部材に対向して設けられた電磁コイルと、を備える。このように、電磁コイルに通電した後、電磁コイルと磁性部材との間に電磁的な付勢力を発生させて、感光性コンポーネントを台座上で移動させるように駆動することができる。
【0013】
また、前記ドライブアセンブリは複数あり、前記複数のドライブアセンブリは、前記レンズアセンブリの光軸の周りに設けられる。このように、複数のドライブアセンブリにより、感光性コンポーネントが受ける作用力をより均衡させることができる。
【0014】
また、前記台座に設けられ、前記感光性コンポーネントを支持する(受ける)複数のボールをさらに備える。
【0015】
また、前記台座と前記感光性コンポーネントとをそれぞれ接続する複数の弾性部材をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、添付の図面において同じ符号で示す部品は類似する部品であり、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係るカメラモジュールの平面構造を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のA―A方向に沿った断面構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1に係る4つの第1電極板の分布構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1に係る4つの第1電極板の他の分布構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1に係る2つの第1電極板の分布構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1に係る同一の第1電極板と2つの第2電極板とを対向配置した場合の構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1に係る静電容量信号検出の構造を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すカメラモジュールにボールを設置した時のB―B方向に沿った断面構造の概略図である。
【
図9】
図9は、
図1に示すカメラモジュールに弾性部材を設置した時のB―B方向に沿った断面構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、当業者にとっては、読者に本願をよりよく理解させるために、本発明の各実施形態において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施形態に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができると理解される。以下の各実施例の区分は、説明の便宜上のものであり、本発明の具体的な実施形態を制限するものではなく、各実施例は、矛盾の無い限り、相互に結合して引用しうるものである。
【0018】
本発明の実施例1は、一種のカメラモジュールに関する。このカメラモジュールは、
図1および
図2に示すように、台座10と、レンズアセンブリ20と、感光性コンポーネント30と、ドライブアセンブリ40(
図8および
図9に示す)と、少なくとも2組の電極板50と、を備える。そのうち、台座10は、カメラモジュールの固定ベースであり、レンズアセンブリ20は、台座10に設けられており、感光性コンポーネント30は、台座10に移動可能に設けられており、ドライブアセンブリ40は、台座10に設けられ、感光性コンポーネント30に接続され、感光性コンポーネント30を台座10上で移動させるように駆動するためのものであり、各組の電極板50は、レンズアセンブリ20に設けられた第1電極板51と、感光性コンポーネント30に設けられた第2電極板52とを備え、各組の電極板50の第2電極板52と、該組の電極板50の第1電極板51とは、レンズアセンブリ20の光軸S方向に対向して設置され、レンズアセンブリ20の光軸Sに垂直な方向における感光性コンポーネント30の移動に伴い大きさが変化する静電容量を形成しており、ドライブアセンブリ40は、静電容量の大きさに応じて、感光性コンポーネント30の移動を制御する。
【0019】
本発明の実施例1によるカメラモジュールは、従来技術に比べて、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30の移動を駆動して光学式手ブレ補正が達成されるとき、各組の電極板50の第2電極板52が感光性コンポーネント30の移動に伴って移動し、これにより、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52とが対向配置されることによって形成される静電容量の大きさが変化し、この静電容量の大きさと感光性コンポーネント30の移動位置との間に線形関係がある。少なくとも2組の電極板50を設置することにより、感光性コンポーネント30が所在する移動平面の2つの異なる方向(これら2つの異なる方向は、感光性コンポーネント30が所在する移動平面の2つの手ブレ補正方向)で位置検出を行い、少なくとも2組の静電静電容量信号を得ることができ、ドライブアセンブリ40は、静電容量の大きさに応じて感光性コンポーネント30の移動を制御することができ、すなわち、ドライブアセンブリ40は感光性コンポーネント30を駆動して移動させると同時に、検出された静電容量の大きさによって駆動過程を制御することにより、感光性コンポーネント30を駆動して移動させる際に閉ループ制御を実現することができる。このように、本発明の実施例1に係るカメラモジュールは、少なくとも2組の電極板50を内蔵する必要があるだけであり、各組の電極板50が第1電極板51と第2電極板52とを含み、第1電極板51と第2電極板52によって形成される静電容量の大きさを検出することで、感光性コンポーネント30を駆動して移動させるときに感光性コンポーネント30に対する位置検出を実現することができ、第1電極板51、第2電極板52は、占有スペースが少なく、安価であるため、カメラモジュールの内部空間を省いてカメラモジュールの小型化に有利にできるだけでなく、カメラモジュールのコスト低減にも有利である。
【0020】
同時に、従来技術における磁気誘導強度を検出する方式に比べて、本発明の実施例1に係るカメラモジュールは、静電容量を検出する方式を採用しており、外界磁界の干渉を受けにくくして、感光性コンポーネント30を移動させる際の閉ループ制御精度に影響を与えないようにすることができる。
【0021】
なお、ここでは、各組の電極板50の第2電極板52は、感光性コンポーネント30の移動に伴い位置変動するが、各組の電極板50の第1電極板51は、レンズアセンブリ20に固定されている。このように、各組の電極板50の第2電極板52は、位置が変動したときに、当該組の電極板50の第1電極板51との対向面積が相応的に変化して、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52によって形成される静電容量の大きさが変化する。例えば、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30をx軸に沿って予め定められた位置(この予め定められた位置は、手ブレ補正の目的を達成するために電子機器のコントローラにより得られる)まで移動させるように駆動して光学式手ブレ補正を達成するとき、各組の電極板50の第2電極板52は、同様にx軸に沿って位置変動し、これにより、当該組の電極板50の第1電極板51との対向面積を変化させ、対向面積が変化した各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52によって形成される静電容量を検出することにより、各組の電極板50の第2電極板52の位置変動のデータ(このデータは、静電容量と対向面積の間の線形関係により得られる)を得ることができる。各組の電極板50の第2電極板52は感光性コンポーネント30と同期して動くため、このデータは感光性コンポーネント30の位置移動の情報を同期に反映し、この情報に基づいて感光性コンポーネント30が予め定められた位置に移動したか否かを判断することができ、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30の移動を制御する際に感光性コンポーネント30の位置情報を検出することにより閉ループ制御を実現し、すなわち、感光性コンポーネント30の移動位置情報がドライブアセンブリ40の制御過程に補正の役割を果たし、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30を予め定められた位置まで移動させるように確実に制御できることを確保する。ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30をy軸に沿って移動させるように駆動して光学式手ブレ補正を達成する場合、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30をx軸に沿って移動させるように駆動して光学式手ブレ補正を達成することと同様であるため、ここで再び贅言しない。電極板50が2組である場合、一組の電極板50は、感光性コンポーネント30がx軸に沿って移動するときに、感光性コンポーネント30のx軸に沿った位置変動情報を反映した静電容量信号を形成し、もう一組の電極板50は、感光性コンポーネント30がy軸に沿って移動するときに、感光性コンポーネント30のy軸に沿った位置変動情報を反映した静電容量信号を形成することができ、このような少なくとも2組の電極板50が形成した静電容量信号を検出することにより、感光性コンポーネント30のx軸またはy軸における位置情報を得ることができ、さらに閉ループ制御を実現することができる。
【0022】
一つの可能な実施形態では、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52により形成される静電容量を検出する際の正確性を確保するために、カメラモジュール内に、より多くの組の電極板50を内蔵することも可能であり、そのうち、少なくとも2組の電極板50を、レンズアセンブリ20の光軸Sの周りに設置してもよい。このように、カメラモジュールの内部空間を利用して、レンズアセンブリ20の光軸Sの周りにより多くの組の電極板50を設けることで、検出された複数の静電容量信号を同時に収集し、これら複数の静電容量信号から感光性コンポーネント30の位置情報を総合的に判定することができ、判定方式は、これら複数の静電容量信号の平均値を求め、その後、静電容量信号と、対応する各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52の対向面積との線形関係によって、この平均値から各組の電極板50の第2電極板52の位置情報を得ること、すなわち感光性コンポーネント30の位置情報を得ることができる。平均値を求めて感光性コンポーネント30の位置情報を得る過程において、検出過程による誤差をある程度解消し、感光性コンポーネント30の位置を検出する際の正確性を確保することができる。他の可能な実施形態においても、静電容量信号毎に重みをつける、すなわち静電容量信号毎に異なる重み係数を加えることにより、検出精度の高い静電容量信号の方が大きい重みを与え、検出精度の低い静電容量信号の方が小さい重みを与えることもでき、同様に感光性コンポーネント30の位置を検出する際の正確性を向上させることができる。
【0023】
図3及び
図4に示すように、電極板50の数を4組に設計することができ、これにより、カメラモジュール内に4組のコンデンサを形成することができ、これら4組のコンデンサは、x、y軸の方向に沿って分布していてもよく、台座10(ここでは台座10は矩形であってもよい)の四隅に分布していてもよい。なお、ここでは、これら4組の電極板50のカメラモジュール内における分布位置を限定するものではなく、そのうちの2種類の具体例を挙げて説明する。このような4組の電極板50で形成される4組のコンデンサにより、各2組のコンデンサの間で静電容量信号の差分信号を得て、静電容量信号の差分処理を実現し、静電容量信号検出回路が存在するシステムのロバスト性(ロバスト性とは、制御システムが、その特性やパラメータが摂動しても、品質指標を一定に保つことができる性能をいう)を向上させる。同様に、このような電極板50も2組有してもよく、
図5に示すように、2組の電極板50を互いに直交する2方向に配置することができ、このような2組の電極板で形成される2組のコンデンサにより、静電容量信号の差分信号を得て、静電容量信号に対する差分処理を実現することができる。ここでの2組の電極板50も同じ方向に沿って配置することができ、同様に、このような2組のコンデンサによって静電容量信号の差分信号を得ることができる。
【0024】
また、各組の電極板50に第1電極板51または第2電極板52の数を増やすことで、静電容量信号の差分信号を得てもよい。具体的には、各組の電極板50のうち、同一の第1電極板51に対向して設けられた第2電極板52は複数あり、または、同一の第2電極板52に対向して設けられた第1電極板51は複数あり、これにより各組の電極板50における差分信号の検出を実現する。
図6に示すように、各組の電極板50のうち、同一の第一電極板51に対向して設けられた第二電極板52は2つあり、2つの第二電極板52と当該第一電極板51とが共にコンデンサを形成し、このように、当該組の電極板50における2つの第二電極板52と当該第一電極板51とが2つの静電容量信号を生成することにより、当該2つの静電容量信号から差分信号を得て、静電容量信号に対する差分処理を実現できる。
【0025】
ここで、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52の設置方式は多様であり、平行板コンデンサが形成されるように、カメラモジュール内に対向配置された金属板を内蔵してもよいし、カメラモジュール内部の金属導電領域を利用してコンデンサの設置を行ってもよい。第一種の可能な実施形態では、カメラモジュールに金属板を内蔵することでコンデンサを形成してもよく、具体的には、レンズアセンブリ20は、台座10に接続されたモーターホルダー21と、モーターホルダー21に接続されたレンズ22とを備え、各組の電極板50の第1電極板51は、モーターホルダー21に設けられた固定子金属板であり、感光性コンポーネント30は、イメージセンサ31と、イメージセンサ31に接続された回路基板32とを備え、回路基板32が台座10に移動可能に設置され、各組の電極板50の第2電極板52は、回路基板32に設置された可動子金属板であり、これにより、回路基板32上の可動子金属板とモーターホルダー21上の固定子金属板とでコンデンサを形成することができる。第二種の可能な実施形態において、各組の電極板50の第1電極板51は、モーターホルダー21にメツキされた導電性メツキ層であって、各組の電極板50の第2電極板52は、回路基板32にメツキされた導電性メツキ層であってもよく、同様にコンデンサを形成することができる。導電性メツキ層によりコンデンサを形成することで、カメラモジュールの内部空間をさらに節約することができ、カメラモジュールの小型化により一層有利となる。
【0026】
また、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52によって形成される静電容量の検出は、電子機器の検出回路によって実現可能であり、各組の電極板50の第1電極板51と検出回路との間、および、各組の電極板50の第2電極板52と検出回路との間に信号伝送路を設けることで、各組の電極板50における第1電極板51と第2電極板52によって形成される静電容量信号を検出回路に伝送する。
図7に示すように、各組の電極板50の第2電極板52は、回路基板32上に設けられているので、回路基板32の配線を介して静電容量信号の検出回路に直接接続することができ、各組の電極板50の第1電極板51は、モーター内部の回路を介してモーターピンに接続して、モーターピンを介して静電容量信号の検出回路に接続することができる。電子機器のコントローラがこの静電容量信号に基づいて各組の電極板50の第2電極板52の位置情報、すなわち感光性コンポーネント30の位置情報を取得して、ドライバアセンブリ40によって感光性コンポーネント30の移動を制御し、閉ループ制御の目的を達成する。
【0027】
図8に示すように、レンズアセンブリ20は、レンズ22を固定するレンズホルダー23をさらに備えてもよく、レンズホルダー23は、中間部品24を介してモーターホルダー21に接続され、モーターホルダー21はハウジング11に固定され、ハウジング11は台座10に接続されて一体化される。
【0028】
レンズアセンブリ20に設けられたドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30の台座10上での移動を駆動できるために、様々な形態があり得る。一つの可能な実施形態では、
図8に示すように、ドライブアセンブリ40は、台座10上に設けられる磁性部材41と、感光性コンポーネント30に設けられ且つ磁性部材41に対向して設けられる電磁コイル42と、を備えてもよく、電磁コイル42は、通電により磁性部材41と電磁力を発生し、感光性コンポーネント30を台座10上で移動させるように駆動する。ここで、磁性部材41は、台座10に接続されたモーターホルダー21に設置された磁石を使用でき、電磁コイル42は、感光性コンポーネント30の回路基板32に設置され、回路基板32上の回路に接続されることができ、電磁コイル42に給電すると、電磁コイル42と、対応する磁石とによって電磁力が生成され、回路基板32をレンズアセンブリ20の光軸Sに直交する方向に移動させる、すなわち感光性コンポーネント30をレンズアセンブリ20の光軸Sに垂直な方向に移動させる。他の可能な実施形態では、超音波モーターやメモリー変形などを推進力として、感光性コンポーネント30を動かしてもよい。
【0029】
一種の具体的な実施形態において、ドライブアセンブリ40は複数あり、かつ複数のドライブアセンブリ40はレンズアセンブリ20の光軸Sの周りに設けられてもよい。磁石及び対応するコイルは、台座10の曲がり角の近くに配置され、このような磁石及びコイルの数を4つとすることで、4つのドライブアセンブリ40を形成することができる。これら4つのドライブアセンブリ40により、感光性コンポーネント30が受ける駆動力をより均衡させることができ、感光性コンポーネント30の動きをより安定させることができる。
【0030】
また、感光性コンポーネント30と台座10との間に複数のボール60を設けてもよく、複数のボール60によって感光性コンポーネント30を支持してもよい。
図8に示すように、台座10上には複数のボール60が位置し、これら複数のボール60には、感光性コンポーネント30の回路基板32が圧着されており、感光性コンポーネント30は移動中にボール60との間で滑りを生じ、同時にボール60は台座10の平面上をスライドすることができ、このように、感光性コンポーネント30は、複数のボール60によって形成された平面上を移動することができる。ここで、ボール60の移動領域を規制するために、台座10に凹溝を開けることで実現可能なガイドレールを台座10に設けることができ、ボール60を凹溝内に置いておくことで、ボール60は、ベース10上を勝手に転動することがなくなるとともに、ベース10上での感光性コンポーネント30の移動を妨げることがない。また、感光性コンポーネント30を複数のボール60に圧着させるために、感光性コンポーネント30の回路基板32と台座10との間に変形可能な連結部材を設けてもよい。
【0031】
なお、ここでのカメラモジュールでは、感光性コンポーネント30をカメラモジュール内にフローティング設置することも可能である。
図9に示すように、感光性コンポーネント30の回路基板32と台座10との間に複数の弾性部材70を設けてもよく、弾性部材70は、逆L字型のバネ片とすることができ、各弾性部材70の一端は、感光性コンポーネント30の回路基板32に接続され、各弾性部材70の他端は、台座10に接続され、このように、感光性コンポーネント30がカメラモジュールにおいてフローティング状態となり、ドライブアセンブリ40が感光性コンポーネント30をレンズアセンブリ20の光軸Sに直交する方向に移動させるように駆動すると、各弾性部材70は変形し、ドライブアセンブリ40の駆動力がなくなると、各弾性部材70は変形状態から元の状態に自動的に戻るが、複数の弾性部材70が変形状態から戻る過程で、感光性コンポーネント30は移動するように動かされ、その結果、感光性コンポーネント30は同期して元の状態に戻る。
【0032】
本発明の実施例2は、一種の電子機器を提供している。この電子機器は、実施例1のカメラモジュールを備え、カメラモジュール内に少なくとも2組の電極板50(
図2に示す)が内蔵され、各組の電極板50が、対向設置される第1電極板51と第2電極板52を含むことで、感光性コンポーネント30の移動位置の検出を実現し、カメラモジュールの内部空間を省いてカメラモジュールの小型化に有利にできるだけでなく、カメラモジュールのコストを低減することもできる。ここでの電子機器は、携帯電話やタブレットコンピュータなどの持ち運びが容易な端末装置であってもよい。
【0033】
当業者であれば理解できるように、前記各実施形態は、本発明を実現する具体的な実施例であり、実用上では、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更を実施できる。
【要約】
【課題】本発明は、撮像製品の技術分野に関し、カメラモジュール及び電子機器を開示する。
【解決手段】カメラモジュールは、台座と、レンズアセンブリと、感光性コンポーネントと、ドライブアセンブリと、少なくとも2組の電極板とを備え、レンズアセンブリが台座に設けられ、感光性コンポーネントが台座に移動可能に設けられ、ドライブアセンブリが台座に設けられ、感光性コンポーネントに接続され、感光性コンポーネントを台座上で移動させるように駆動するためのものであり、各組の電極板が、レンズアセンブリに設けられた第1電極板と、感光性コンポーネントに設けられた第2電極板とを備え、各組の電極板の第2電極板と、該組の電極板の第1電極板とは、レンズアセンブリの光軸方向に対向して設置されて静電容量を形成する。本発明の実施例によるカメラモジュール及び電子機器は、カメラモジュールの内部空間を省いてカメラモジュールの小型化に有利にできるだけでなく、カメラモジュールのコスト低減にも有利である。
【選択図】
図2