(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B65G1/137 F
(21)【出願番号】P 2018152129
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 謙二
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-152304(JP,A)
【文献】実開昭50-080380(JP,U)
【文献】実開昭54-098190(JP,U)
【文献】特開平06-004031(JP,A)
【文献】特開2016-222426(JP,A)
【文献】特開2006-298560(JP,A)
【文献】特開2007-284238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングシステムにおいてピッキングすべき物品が複数載置される物品棚と、
前記物品棚から前記ピッキングすべき物品の近傍で、かつ前記ピッキングすべき物品と対応関係にある位置に配置された複数の表示器と、
作業者がピッキングすべき物品に対応する表示器を点灯又は点滅させる制御手段と、を備え
前記複数の表示器
の各々表示器は、
前記ピッキングすべき物品の数量を示すためのLEDの数字部分と前記作業者が押圧するための照光式スイッチとを備え、フラットな表面を有
し、前記LEDの数字部分及び前記照光式スイッチの前記フラットな表面の上面の全体が光の透過を低減する光透過低減手段で被覆されていることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記LEDの数字部分は7セグメントLEDによってなることを特徴とする請求項1記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記光透過低減手段は、表面につや消し加工が施されていることを特徴する請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記表示器は、前記光透過低減手段によって被覆されている少なくとも1つの発光部品を有し、前記光透過低減手段は、消灯中の前記発光部品を光学的に遮断し、かつ点灯又は点滅中の前記発光部品の発光を透過することを特徴とする2又は3に記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの物品を収容する収容手段において、収容された物品をピッキングするピッキングシステムに関し、特にピッキングシステムに使用する表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
物流におけるピッキングシステムは、物品の格納手段として物品棚を備えている。ピッキングシステムにおいて、物品棚には通常複数の保管箱が載置され、各保管箱に同一種類の物品が1つ以上収容されている。ピッキング作業者は、ピッキングシステムを管理する制御手段の指令に従って必要な物品を取り出して、コンベヤ上の集品箱等に入れ、出荷ラインに移送する。例えば、物品棚を多数横に配列し、それに沿うようにコンベヤによる搬送ラインを設け、ピッキング作業者は棚からピッキングすべき商品を取り出してから搬送ラインに流れている集品箱に投入する。
【0003】
この場合において、複数の保管箱の中から取り出すべき物品の保管箱をピッキング作業者が識別できるように、物品棚の前面に表示器が配置されている。表示器は、例えば7セグメントLEDで構成され、取り出すべき物品の数量を表示できるようになっている。
【0004】
表示器を使用するピッキングシステムとして、下記の特許文献1が知られている。特許文献1においては、防水性や防塵性に優れ、かつ光透過が良好であるうえに、押動時の誤動作を低減できる押動スイッチとこの押動スイッチを適用したピッキング用表示装置を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】登録実用新案第3003364号公報
【文献】特開2016-222426号公報
【0006】
特許文献1においては、
図1に示すように、複雑な構成要素で組み立てられた表示装置は、
図3にしめすように、表面がフラットではない。さらに、
図3では省略されているが、
図2に示す補助スイッチを含めると、消灯している時も表示器その物の存在感が目立つ構成になっている。
【0007】
特許文献2には、ピッキングシステムや表示器の基本的な説明が開示されている。
【0008】
図4は、特許文献1の表示装置を含む従来の表示器40を示す図であり、表示器4は、照光式スイッチ42、7セグメントLED43を含む構成になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の表示器は、ボタン部や数量表示部を明確にしていたため、消灯している時も表示器その物の存在感が目立ってしまう。
【0010】
表示器はその性質上、点灯時の視認性が、最優先される性能とされることになる。そこで、本発明は、物品棚に多数設置された表示器の内、点灯していない表示器を目立なくすることで、点灯中表示器の視認性をさらに向上させることを可能とするピッキングシステムを提供することを目的とする。
【0011】
従って、本発明は、表示器をフラットな表面にし、かつ目立たない色にして、消灯時の存在感をなくし、点灯している表示器のみが目立つ様にして操作すべきボタンの位置を認識しやすくできるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するに当たって、本発明者は、点灯中の視認性能が現状最大ならば、非点灯状態で目立たなくする機能を持たせることによって、点灯中視認性能をより向上することが可能となる点に着眼した。
【0013】
これを踏まえて、本発明は、上記目的を達成するために、ピッキングシステムにおいてピッキングすべき物品が複数載置される物品棚と、上記物品棚から上記ピッキングすべき物品の近傍で、かつ上記ピッキングすべき物品と対応関係にある位置に配置された複数の表示器と、作業者がピッキングすべき物品の保管箱に対応する表示器を点灯又は点滅させる制御手段と、を備え、上記複数の表示器は、フラットな表面を有することを特徴とする。
【0014】
この場合において、上記表示器は、上面が光の透過を低減する光透過低減手段で被覆されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、上記光透過低減手段は、表面につや消し加工が施されていることを特徴する。
【0016】
さらにまた、上記表示器は、上記光透過低減手段によって被覆されている少なくとも1つの発光部品を有し、上記光透過低減手段は、消灯中の上記発光部品を光学的に遮断し、かつ点灯又は点滅中の上記発光部品の発光を透過することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表示器をフラットな表面にし、かつ目立たない色にして、消灯時の存在感をなくし、点灯している表示器のみが目立つ様にして操作すべきボタンの位置を認識しやすくできるピッキングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による一実施形態のピッキングシステムにおいて物品を収容する保管箱から作業者が物品を取り出す様子を示す図である。
【
図3】本実施形態における表示器を示し、(A)はその平面図、(B)は(A)のX-X線に沿った断面図、(C)は(B)のフィルムシートを除いた状態の平面図、(D)は照光式スイッチ42及び7セグメントLED43の数字部分を点灯した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、図面に示した実施形態を用いてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0020】
図1は、本発明による一実施形態のピッキングシステムにおいて物品を収容する保管箱から作業者が物品
を取り出す様子を示す図である。
図1において、作業者6は、表示部4の指示状態41に基づいて、7セグメントLED43に示された数量の物品を保管箱2から取り出し、スイッチ42を押圧してオン操作を行い、取り出し完了を入力する。なお、物品棚においては、小間に区切り、保管箱を省略できる構成にしてもよい。
【0021】
なお、
図1に示した物品棚1は、一人の作業者に割り当てられた作業ゾーンであり、実際には、複数の作業者に対してその熟練度に応じて、より大きな又はより小さな物品棚のピッキングの作業ゾーンが割り当てられている。
【0022】
図2は、
図1の物品棚の正面図である。物品棚の複数の保管棚2にはそれぞれ複数の保管箱3が載置されている。各保管箱3の近傍の対応する位置に、表示器4が設けられている。
【0023】
図3は、本実施形態における表示器4を示し、(A)はその平面図、(B)は(A)のx-x線に沿った断面図、(C)は(B)のフィルムシートを除いた状態の平面図、(D)は照光式スイッチ42及び7セグメントLED43の数字部分を点灯した状態の平面図である。
図3(B)において、表示器4は、照光式スイッチ42及び7セグメントLED43が基板44に搭載され、全体がフィルムシート45で被膜されている。
【0024】
図3(A)において、表示器4の上面のフィルムシート45は、光の透過を低減する光透過低減手段である黒っぽいグレースモークのフィルムシートである。
図3(C)は、フィルムシート45を除いた状態の表示器4の平面図である。すなわち、照光式スイッチ42及び又は7セグメントLED43が点灯もしくは点滅していないときは、
図3(A)に示すように、フィルムシート45によって照光式スイッチ42及び7セグメントLED43が作業者からはうっすらとしか見えない。なお、フィルムシート45は、光透過低減手段であればよく、本実施形態の構成には限定されない。
【0025】
一方、照光式スイッチ42が点灯又は点滅したときは、
図3(D)に示すように、指示状態41によって取り出すべき物品の保管箱3に対応する表示器4を明確に視認できる。
【0026】
したがって、表示器4の上面がフラットな形状のフィルムシート45で被覆されることから、点灯又は点滅していない照光式スイッチ42及び7セグメントLED43が目立たないので、表示器4の位置を認識しやすくできる。
【0027】
この場合において、フィルムシート45は、表面につや消し加工が施されているので、工場内の照明が反射する恐れがない。したがって、点灯中又は点滅中の表示器4の視認性を向上させ、さらに消灯中の表示器4の存在を目立たなくしている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、表示器をフラットな表面にし、かつ目立たない色にして、消灯時の存在感をなくし、点灯している表示器のみが目立つ様にして操作すべきボタンの位置を認識しやすくできるので、産業上の利用価値を高めることができる。
【符号の説明】
【0029】
2 物品棚
3 保管箱
4 表示器
41 表示器の指示状態
42 照光式スイッチ
43 7セグメントLED
44 基板
45 フィルムシート