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特許7183496電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20221129BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20221129BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
B60L53/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020519398
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 DE2018100795
(87)【国際公開番号】W WO2019068280
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】102017123208.7
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディエドヴィック, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ソンネンシャイン, ティム
(72)【発明者】
【氏名】シュラブス, ヴィンフリード
(72)【発明者】
【氏名】トップファー, クローズ
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156827(JP,A)
【文献】特開2013-074702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0280086(US,A1)
【文献】特開2014-120421(JP,A)
【文献】特開平08-162208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0137286(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03203592(EP,A2)
【文献】米国特許第08172599(US,B2)
【文献】特表2013-533399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置であって、充電プラグソケット(3)と充電プラグ(4)と前記充電プラグ(4)を前記充電プラグソケット(3)内に解放可能にロックするための可動ロック要素(6)とを備えるとともに、前記ロック要素(6)を動かすための駆動装置を備え、前記駆動装置が電気モータ(8)および前記ロック要素()に作用するための多段変速機を有する、電気接続装置において、前記多段変速機が個々のシャフト(9、10、11)を有し、前記個々のシャフト(9、10、11)がそれぞれ、前記個々のシャフト(9、10、11)のうちの前記駆動装置の電気モータ(8)の出力シャフト(9)に平行に配置され、異なる歯車装置の少なくとも2つの係合手段(18、19)を備えた出力シャフト(11)が設けられ、前記出力シャフト(11)の第1の係合手段(18)が入力側シャフト(10)への連結を行い、前記出力シャフト(11)の第2の係合手段(19)が緊急ロック解除機構への連結を行い、前記緊急ロック解除機構が、別個のシャフト(21)に手動で作動可能なクランク(20)を備え、前記緊急ロック解除機構の前記別個のシャフト(21)が、前記電気モータ(8)に対して横方向に重ね合わされて延び、前記第2のシャフト(10)と略同じ延長部を有することを特徴とする、電気接続装置。
【請求項2】
第1のシャフト(9)としての前記駆動装置の前記電気モータ(8)の前記出力シャフト(9)及び別のシャフト(10)が、部分的に互いに対して横方向に重ね合わせて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電気接続装置。
【請求項3】
前記個々のシャフト(9、10、11)のうちの第3のシャフト(11)が、前記第2のシャフト(10)および前記電気モータ(8)に対して横方向に重ね合わされて延びることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気接続装置。
【請求項4】
前記出力シャフト(11)がカム(11’)を備え、前記カム(11’)が、第3の係合手段として前記ロック要素(6)と相互作用することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電気接続装置。
【請求項5】
前記個々のシャフト(9、10、11)の間の前記係合手段(18、19)が、平歯車装置および/またはかさ歯車装置および/またはエボロイド歯車装置、ならびにそれらを組み合わせたものとして設計されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置に関し、前記電気接続装置は、充電プラグソケットおよび充電プラグを備え、充電プラグは、可動ロック要素を使用して充電プラグソケット内に解放可能に固定され、ロック要素に作用するための多段変速機を有する駆動装置が設けられる。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド自動車の電池は、電気エネルギーの定期的供給を必要とする。これは、通常は充電ステーション(charging stations)を含む充電インフラストラクチャにアクセスすることにより可能となる。電気エネルギーの充電を容易にするために、充電プラグは、自動車の充電プラグソケットに略結合され解放可能にロックされる。ここには高電圧が略かかっているため、健康ハザード(health hazards)を回避するためにロックが必要である。
【0003】
また、このロックは、例えば、前もって識別されたユーザが充電ステーションによって利用可能となる電気エネルギーを正しく引き抜くこと、および、誤った使用が回避されることを確実にする。国際公開第2010/149426号パンフレットに記載されているものなど、これに関する既知の解決策では、ユーザの許可を検証するとともに、ユーザが引き出された電気エネルギーに対しても支払うことを確実にするために、通信リンクが識別信号を使用してセットアップされる。
【0004】
ロック要素を駆動するためのさまざまな解決策が従来技術に記載されている。例えば、独国特許出願公開第1020142017696号明細書は、この目的のためにロック要素に予張力をかけるための圧縮ばねを設けることを開示している。
【0005】
中国実用新案出願第2020695855号明細書による包括的な解決策は、これを達成するためにロック要素用の電気機械駆動装置に依存している。電気機械駆動装置は、電気モータおよび出力側の多段変速機で構成される。多段変速機は、カムを介してロック要素に作用する。
【0006】
既知の教示では、この目的で、カムを使用してロック要素に作用をもたらすために電気モータの出力シャフトの回転運動が変速機に伝達される。これは、例えば、充電プラグが充電プラグソケット内に解放可能にロックされるときに充電プラグに力が加えられると、ロック要素に高い横力が作用し得るという点で運動学的に好ましくない。これに関して、ますますコンパクトな駆動装置がここで必要になり、これらの駆動装置は、同時に、ロック要素に作用するための高出力トルクも与えなければならない。以前の解決策はこれをすることができない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の根底にある問題は、そのような電気接続装置を改良して、充電プラグに係合しロック要素に作用する大きな力でさえ吸収され、同時に駆動装置の設計をコンパクトに保つことができるようにすることである。
【0008】
この技術的問題を解決するために、特に電気自動車またはハイブリッド自動車用の包括的な電気接続装置は、多段変速機が個々のシャフトを備え、個々のシャフトがそれぞれ、駆動装置の電気モータの出力シャフトに平行に配置されることを特徴とする。
【0009】
したがって、本発明では、駆動装置、特に多段変速機の特別なトポロジーレイアウトが追求される。実際、駆動装置、すなわち電気機械駆動装置は、電気モータを利用するだけでなく、モータが出力側に作用する多段変速機も利用する。このプロセスでは、変速機は全3段階で設計することができ、これに関してこのレイアウトは特に有効であることが証明されている。
【0010】
また、このレイアウトは、駆動装置の電気モータの出力シャフトが第1のシャフトとして配置され、別の第2のシャフトが、第1のシャフトに対して大部分が横方向に重ね合わせて配置されるように、さらに好適に構成される。このようにして、実用的な目的のために、電気モータと出力シャフトとの複合長さは、電気機械駆動装置全体を収容するように、関連する駆動装置ハウジングの延長された長さを画定する。さらに、通常は、さらに第3のシャフトが設けられ、その結果として多段変速機が3段階で作られ、このことが有効であることは事実である。ここで、レイアウトはさらに、当該の第3のシャフトが、第2のシャフトおよび電気モータに対して横方向に重ね合わされて延びるようなものである。このようにして、電気モータと電気モータの出力シャフトとの複合長さは、駆動装置ハウジングの延長された長さを画定する。駆動装置ハウジングの横方向延長部は、電気モータの出力シャフト、第2のシャフトおよび第3のシャフトの互いに対するそれぞれの平行位置に基づいてサイズを定められる。いずれにせよ、このようにして、駆動装置のコンパクトな全体レイアウト、およびコンパクトな駆動装置ハウジングが提供される。
【0011】
さらに、多段変速機は、異なる歯車装置の少なくとも2つの係合手段を有する出力側のシャフトを備えることが特に有効であることが示されている。多段変速機が好適には3段で設計される場合、出力側のシャフトは、第3のシャフトに対して重ね合わされる。既に前述したように、第3のシャフトは、第2のシャフトおよび電気モータに対して横方向に重ね合わされて延びる。
【0012】
前記第3のシャフトは、異なる歯車装置の少なくとも2つの係合手段を備える。出力側のシャフトの第1の係合手段は、入力側のシャフトに連結するために設けられる。この場合、このシャフトは通常、第2のシャフトである。出力側のシャフト上の第2の係合手段は略、緊急ロック解除機構に連結するために設けられる。
【0013】
一般に、緊急ロック解除機構は、手動で作動可能なクランクを有する。クランクは、別個のシャフト上に設けられる。緊急ロック解除機構の別個のシャフトは一般に、駆動装置ハウジングの内側に電気モータ上に横方向に重ね合わせて配置され、第2のシャフトと略同じ延長部を有する。
【0014】
最後に、出力側のシャフト、すなわち第3のシャフトはカムも備えることができる。一般に、カムは、第3の係合手段としてロック要素と相互作用する。このプロセスでは、レイアウトには、個々のシャフトの間の係合手段が、平歯車装置および/またははすば歯車装置および/またはエボロイド歯車装置として実装されるという詳細がさらに含まれる。もちろん、他の組み合わせも可能である。
【0015】
これに関するエボロイド歯車装置には、結果として特に高いギヤ速度伝達比が可能になるという利点がある。これは重要である、というのは、このようにして、ロック要素に作用するために所望される高いトルクが電気モータの出力側で、したがって電気機械駆動装置の出力側で利用可能になるからである。
【0016】
さらに、この種のエボロイド歯車装置は、特に低い変速機騒音および高効率を生むのに役立つ。最後に、この種のエボロイド歯車装置に依存することにより、特にコンパクトな変速機設計が可能になり、これは本発明に関して非常に重要である。これらは実質的な利点である。
(項目1)
電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置であって、充電プラグソケット(3)と充電プラグ(4)と前記充電プラグ(4)を前記充電プラグソケット(3)内に解放可能にロックするための可動ロック要素(6)とを備えるとともに、前記ロック要素(6)を動かすための駆動装置を備え、前記駆動装置が電気モータ(8)および前記ロック要素(8)に作用するための多段変速機を有する、電気接続装置において、前記多段変速機が個々のシャフト(9、10、11)を有し、前記個々のシャフト(9、10、11)がそれぞれ、前記駆動装置の電気モータ(8)の前記出力シャフト(9)に平行に配置されることを特徴とする、電気接続装置。
(項目2)
第1のシャフト(9)としての前記駆動装置の前記電気モータ(8)の前記出力シャフト(9)及び別のシャフト(10)が、大部分が互いに対して横方向に重ね合わせて配置されることを特徴とする、項目1に記載の電気接続装置。
(項目3)
第3のシャフト(11)が、前記第2のシャフト(10)および前記電気モータ(8)に対して横方向に重ね合わされて延びることを特徴とする、項目1または2に記載の電気接続装置。
(項目4)
異なる歯車装置の少なくとも2つの係合手段(18、19)を備えた出力シャフト(11)が設けられることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の電気接続装置。
(項目5)
前記出力シャフト(11)の第1の係合手段(18)が入力側シャフト(10)への連結を行うことを特徴とする、項目4に記載の電気接続装置。
(項目6)
前記出力側シャフト(11)の第2の係合手段(19)が緊急ロック解除機構への連結を行うことを特徴とする、項目4または5に記載の電気接続装置。
(項目7)
前記緊急ロック解除機構が、別個のシャフト(21)に手動で作動可能なクランク(20)を備えることを特徴とする、項目6に記載の電気接続装置。
(項目8)
前記緊急ロック解除機構の前記別個のシャフト(21)が、前記電気モータ(8)に対して横方向に重ね合わされて延び、前記第2のシャフト(10)と略同じ延長部を有することを特徴とする、項目7に記載の電気接続装置。
(項目9)
前記出力側シャフト(11)がカム(11’)を備え、前記カム(11’)が、第3の係合手段として前記ロック要素(6)と相互作用することを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載の電気接続装置。
(項目10)
前記個々のシャフト(9、10、11)の間の前記係合手段(18、19)が、平歯車装置および/またはかさ歯車装置および/またはエボロイド歯車装置、ならびにそれらを組み合わせたものとして設計されることを特徴とする、項目8または9に記載の電気接続装置。
【0017】
以下、本発明について、好ましい例示的な実施形態を表す図面を使用してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による電気接続装置の上面図である。
図2A】第1の機能状態での充電プラグソケットと充電プラグとの間の接触を示す断面図である。
図2B】第2の機能状態での充電プラグソケットと充電プラグとの間の接触を示す断面図である。
図2C】第3の機能状態での充電プラグソケットと充電プラグとの間の接触を示す断面図である。
図3】開放状態での駆動装置ハウジングの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置が上記の図に示されている。図2A図2Cによる概観図面には、当該の電気自動車またはハイブリッド自動車のシャーシ1が部分的に示されている。シャーシ1は凹部2を備える。凹部2には、充電プラグソケット3がある。充電プラグソケット3は、充電プラグ4に電気的にかつ解放可能にロックする態様で結合することができ、充電プラグは、この目的のためにシャーシ1の凹部2の中に導入され、充電プラグソケット3に解放可能にロックする態様で結合される。
【0020】
この目的のために、充電プラグ4は、図1にのみ示されているプラグ接点5を有し、プラグ接点5は、充電プラグソケット3の内側の関連するレセプタクル5’内に係合する。もちろん、逆の手順を使用することができる。この場合、充電プラグソケット3は、充電プラグ4の関連するレセプタクル5’内に解放可能に係合するプラグ接点5を備えるが、これは図示されていない。
【0021】
充電プラグ4を充電プラグソケット3に解放可能にロックするために、可動ロック要素が設けられる。可動ロック要素6は、例示的な実施形態でのロックピンまたはロックプランジャ、すなわち、全体としてプラスチックで作られた円筒形ロック要素6である。別の実施形態では、ロック要素6は金属で作ることもできる。充電プラグソケット3に対して充電プラグ4を解放可能にロックするために、ロック要素6は、充電プラグ4の関連するカットアウト7に到達する。さらに、図2Cによるロック状態にあるとき、ロック要素6は、充電プラグソケット3の別のカットアウト7’にも到達する。
【0022】
ロック要素6は、充電プラグ4と充電プラグソケット3との間のロックを実施または解除するために、2つのカットアウト7、7’に対して移動することができる。ロック解除状態は、図2Aによる表現に対応する。一方、図2Bはロックするプロセスを示しているのに対して、図2Cは最終ロック状態を反映している。図1に二重矢印で示されているロック要素6の縦方向のロック要素6動きは、これらの状態に対応する。ロック要素6の制御動作は、例示的な実施形態による電気機械駆動装置によって行われる。ロック要素6の縦方向は、駆動装置のシャフト9、10、および11が配置される平面に対して垂直に延びる。
【0023】
駆動装置は、電気モータ8、第1のシャフト9、第2のシャフト10、第3のシャフト11、およびロックレバー119を備え、ロック要素6はロックレバー119に当接する。ロックレバー119は、電気モータ8およびシャフト9~11を使用して動き出し、その後すぐにロック要素6が動かされる。ロックレバー19は、シャフト9~11が配置される平面に対して垂直に動かされる。例示的な実施形態では、ロックレバー119およびロック要素6はともに一体に設計される。
【0024】
ロック要素6は、突出部127を有する段階的構成を有し、したがって、ロック要素6は、より高いレベルにある突出部127上の第1の支持面129とより低いレベルにある第2の支持面128とを有する。相対的指標の「より高いレベル」および「より低いレベル」は、ハウジング側のロック要素6の端部に対する距離を指す。2つの支持面128、129は、充電プラグ4が充電プラグソケット3内に十分深く導入されているかどうかを検出するために使用され得る。このことは、通常動作で、言い換えれば充電プラグ4が充電プラグソケット3内に十分深く導入されたときに、ロックを達成するために、ロック要素6が充電プラグ4の貫通カットアウト7に到達し、充電プラグソケットのカットアウト7’内にも到達する範囲で利用される。カットアウト7、7’のサイズおよび配置は、通常動作でロック要素6が充電プラグ4のカットアウト7に挿通され、突出部127によって充電プラグソケット3のカットアウト7’内に導入されるように選択されるが、第2の支持面128は、充電プラグ3の表面に当接した状態になり、それによりロック要素6の移動を停止する。加えて、ロック要素6が停止する前に、例えば、シャフト9~10のうちの1つの回転数を監視することにより、または電気モータ8の消費電力を監視することにより、駆動装置の電気モータ8が運転されていた時間の長さが監視される。これにより、通常動作が有効であるかどうかを判断することができる。充電プラグ3が十分に深く挿入されない場合、突出部127上の第1の支持面129は、最初に充電プラグ3に当座した状態になり、ロック要素6は事前に既に停止している。また、第3の状況、すなわち、充電プラグ3が破損しているために、導入が十分深いときでも確実なロックが確保されない場合が決定され得る。この場合、ロック要素6は、通常動作の場合よりも深く挿入され得る。
【0025】
電気機械駆動装置の第1のシャフト9は、電気モータ8の出力シャフトを構成し、歯車装置122によって第2のシャフト10と噛み合い、歯車装置122は、エボロイド歯車装置として設計されることが好ましい。第2のシャフト10もまた歯車装置123を有し、第2のシャフト10は、歯車装置123によって第3のシャフト11と噛み合う。第2のシャフト10の歯車装置123は、エボロイド歯車装置として設計することもできる。エボロイド歯車装置は、比較的コンパクトな空間要件がある場合、例えば1:30、1:80、1:140、または1:320という高いギヤ速度伝達比から非常に高いギヤ速度伝達比を提供する。
【0026】
第3のシャフト11は、第2のシャフトの歯車装置123と噛み合う第1の歯車装置124に加えて、第2の歯車装置125を有し、第2の歯車装置125は、第1の歯車装置124の反対側にある第3のシャフト11の端部に配置される。第2の歯車装置125は、マイクロスイッチとして設計されたセンサ16を作動させるためのスイッチアクチュエータ130を駆動するために使用される。マイクロスイッチの作動は、第3のシャフト11の正常な回転を意味する。したがって、マイクロスイッチは、第3のシャフト11がどれだけ回転しているか、および駆動装置がどのくらいの時間動作したか決定する。
【0027】
電気機械駆動装置は専用の駆動装置ハウジング13内に収容され、全体として駆動装置ハウジング13によって収納され、したがって、駆動装置は、シャーシ1内の適切な場所にモジュール方式で充電プラグソケット3とは独立して配置および設置され得る。駆動装置ハウジング13の外側に設けられたロック要素6の領域のシール12により、ロック要素6は、駆動装置ハウジング13に対して封止されながら前後に動くことができる。さらに、ロック要素6は駆動装置ハウジング13内に取り付けられるので、これは全体として、すぐに設置できる組立体または設置モジュールを提供する。もちろん、本発明に該当する解決策には、駆動装置および充電プラグソケット3が共通のハウジング内に収容される解決策も含まれるが、この解決策は示されていない。
【0028】
駆動装置を用いて、ロック要素6はガイド14、15に対して移動する。例示的な実施形態によれば、ガイド14、15は2つの部分で設計され、一方はガイド構成要素14として、本質的に駆動装置ハウジング13内の固定ハウジングガイド14で構成され、他方はガイド構成要素15として、可動支持体15として構成される。
【0029】
駆動装置変速機は全体として多段式であり、3つの変速段を備える。本発明によれば、例示的な実施形態による関連するシャフト9、10、および11はそれぞれ、駆動装置の電気モータ8の出力シャフト9と平行に配置される。また、シャフト9、10、および11ならびに関連するギヤは、全体がプラスチックで製作されるが、それに限定されるものではない。同じことが駆動装置ハウジング13にも当てはまる。
【0030】
実際、図3に示されている設計は、駆動装置の電気モータ8の出力シャフト(第1のシャフト9として)および第2のシャフト10が、大部分が互いに対して横方向に重ね合わされているようなものである。第2のシャフト10は、第1のシャフト9と同様の縦方向延長部を有し、両方のシャフト9、10は横方向に互いに重なり合い、その結果、最終的な効果は横方向の張り出しがないことである。さらに、第3のシャフト11は、駆動装置ハウジング13の内側に配置され、第2のシャフト10および電気モータ8に対して横方向に重ね合わされて延びる。もちろん、第3のシャフト11はまた第2のシャフト10と平行に配置され、第2のシャフト10は第1のシャフト9と平行に配置される。
【0031】
平行シャフト9、10、11および平行シャフト9、10、11の横方向重ね合わせを備えたこの特別な特徴により、駆動装置ハウジング13を全体的に非常にコンパクトに構成することが可能になり、それにより小型駆動ユニットの設計が可能になる。これは、電気モータ8と第1のシャフト9の複合長さが駆動装置ハウジング13の縦方向の範囲を規定するためである。さらに、第2のシャフト10と第3のシャフト11を重ね合わせた横方向配置は、駆動装置ハウジング13の横方向範囲を本質的に画定する。第3のシャフト、すなわち出力側のシャフト11の湾曲形状のカム11’もここに含まれなければならない。
【0032】
さらに、駆動装置ハウジング13のコンパクト設計の結果として、変速機の位置を使用してロック要素6の位置を走査し、この位置を遠隔制御ユニットに送信するためのセンサ16のための空間が内部にある。センサ16は、スイッチアクチュエータ130によって作動されるマイクロスイッチとして設計される。カム、すなわち湾曲部11’を使用すると、上述したように、ロック要素6には、駆動装置8~11を使用してロック要素6の縦方向に作用される。
【0033】
出力側のシャフト、すなわちシャフト11は、少なくとも2つの係合手段18、19を有する。加えて、第1のシャフト9と第2のシャフト10との間に別の係合手段17が実装される。例示的な実施形態では、係合手段19は、1つのカムまたは2つの相互作用するカムである。
【0034】
例示的な実施形態では、入力側の係合手段17は、出力シャフト9または第1のシャフト9上に実装されるエボロイド歯車装置として設計されるが、これに限定されるものではない。エボロイド歯車装置または係合手段17は、この場合は第2のシャフト10のかさ歯車装置と噛み合い、このようにして、例えば、少なくとも5、特に10の速度伝達比を提供する。第2の係合手段18はまた、第2のシャフト10の出力側に配置された、入力かさ歯車を備えるエボロイド歯車装置に戻る。これに関して、エボロイド歯車装置は、第3のシャフト上のかさ歯車装置と噛み合い、それにより、少なくとも5、好ましくは10の速度伝達比が再び提供または実施され得る。
【0035】
例示的な実施形態では、シャフト11の第2の係合手段19は、既に上述したカム、または2つのカムであり、2つのカムの一方は第3のシャフト11上に配置され、他方は、クランク20を備える緊急ロック解除機構の別の追加の別個のシャフト21上に配置される。緊急ロック解除機構またはクランクには、この別個のシャフト21が装備される。緊急ロック解除機構の別個のシャフト21は、電気モータ8に対して横方向に重ね合わされて延び、特に図3の表現に見られるように、第2のシャフト10と略同じ延長部を有する。
【0036】
出力側のシャフト、すなわち第3のシャフト11上の第2の係合手段19は、別個のシャフト21上のカムと相互作用するか、または相互作用することができる既に論じたカムである。このプロセスでは、クランク20の回転動作により、別個のシャフト21も回転運動をし始め、これらの回転は、係合手段19によって第3のシャフト11に伝達される。これにより、電気モータ8が故障した場合に、クランク20はロック要素を代替的に、すなわち緊急時にロック解除することが可能になる。クランク20は、緊急ロック解除する目的でクランク20がユーザによってアクセスされ作動され得るように車両内に配置され、車両内の配置は、クランク20にアクセスするために、例えば蓋などの部品が最初に開放されなければならないようなものとすることができる。
図1
図2A)】
図2B)】
図2C)】
図3