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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】フェイシャルティシュ製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221129BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20221129BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20221129BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/20 A
A47K10/42 A
A47K10/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017254965
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019119482
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196645
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 創
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067348(JP,A)
【文献】特開2017-113223(JP,A)
【文献】特開2008-183034(JP,A)
【文献】特開2009-126549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0034534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライのシートからなるティシュペーパーの積層体と、前記積層体を収納するフィルムパックを備えた略直方体のフェイシャルティシュ製品であって、
前記フィルムパックは、頂面に、前記頂面の長辺に平行するミシン目を有しており、
前記フィルムパックの長辺の寸法は160mm以上190mm以下であり、
前記フィルムパックの短辺の寸法は105mm以上135mm以下であり、
前記フィルムパックの高さは65mm以上110mm以下であり、
前記ティシュペーパーの、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ乾燥時の横方向の引張強さ幾何平均である幾何平均DGMTは、132.4gf/25mm以上207gf/25mm以下であり、
前記フィルムパックに収納されたティシュペーパーは、200組以上280組以下であり、
前記フィルムパックの側面のうち、前記短辺と前記高さ方向の辺で構成される短側面の、ISO-2493に記載された方法に準じて測定される高さ方向の曲げ抵抗値は53.6mN以上103.1mN以下である、フェイシャルティシュ製品。
【請求項2】
前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さは、30μm以上150μm以下である、請求項1に記載のフェイシャルティシュ製品。
【請求項3】
前記フィルムパックを構成するフィルムは、単層で形成され、前記フィルムの材質が梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成される、請求項1又は2に記載のフェイシャルティシュ製品。
【請求項4】
前記フィルムパックを構成するフィルムは、複層で形成され、前記フィルムパックの最表層及び/又は最裏層における前記フィルムの材質が、梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成される、請求項1又は2に記載のフェイシャルティシュ製品。
【請求項5】
前記ティシュペーパーの1プライあたりの坪量は、12.0g/m以上22.0g/m以下であり、
前記ティシュペーパーの紙厚は、0.50mm/10プライ以上0.90mm/10プライ以下である、請求項1から4のいずれに記載のフェイシャルティシュ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度の低いティシュペーパーの積層体と、収納したフィルムパックと、を備えるフェイシャルティシュ製品において、残り枚数が少なくなっても、型崩れが起こりづらくフィルムパックの美粧性が良好に維持され、かつ、収納されたティシュペーパーの取り出しやすさが損なわれない、フェイシャルティシュ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュペーパー、キッチンペーパー、ペーパーハンドタオル、ペーパー布巾及びワイパーなどの衛生用紙は、一般的に、紙製カートンに積層して収納されることが多い。紙製カートンは、一般的には、坪量の高い板紙で作製されるため製品重量が大きくなる傾向にあり、また、収納された衛生用紙の積層体よりも紙製カートンを大きめに作製するため、紙製カートン内にデッドスペースが発生し、輸送効率が低下しやすい傾向にあった。また、上記のデッドスペースにより、紙製カートンが潰れやすいという問題もあった。したがって、紙製カートンに収納される衛生用紙製品は、特に、比較的少量の輸送を対象とする宅配等の輸送手段に対して、輸送効率や品質の観点から適応しがたいという問題があった。
【0003】
そこで、紙製カートンではなく、フィルムパックに衛生用紙の積層体を収納した衛生用紙製品の検討もなされている(例えば、特許文献1を参照)。紙製カートンではなく、フィルムパックに収納することにより、生産者の視点においては、軽量化やコンパクト化による輸送コストの削減、輸送時の箱潰れ防止等のメリットがあり、また、消費者においては、軽量化による商品購入後の携帯しやすさ、コンパクト化による家での保管スペースの削減等のメリットがある。
【0004】
しかし、このようなフィルムパックを用いた場合、収納された衛生用紙の使用が進むにつれて、フィルムパック内に空間ができ、フィルムパックの型を維持することが難しく、保型性を持たせるため、収納された衛生用紙自体の強度を高くするか、又は、安価でコシが強いフィルムを使用する場合が多かった。
【0005】
一方で、近年、消費者は、肌触りがよくコシの弱い美粧性の高いフィルム、例えば、梨地ポリエチレン等を素材とするフィルムパックを好む傾向にあり、かつ、中身の衛生用紙もローションが塗布されたティシュペーパー等の強度が低い、換言すると、柔らかく、コシのないティシュペーパー等が好まれる傾向にある。よって、従来のフィルムパックを用いた場合、ティシュペーパー等の使用が進むにつれて、フィルムパックの型が崩れることにより美粧性が保てず、さらに、収納されたティシュペーパーが柔らかい場合には、フィルムパックの開口部が乱れ、ティシュペーパーが取り出しづらい等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-183034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、強度の低いティシュペーパーの積層体と、収納したフィルムパックと、を備えるフェイシャルティシュ製品において、残り枚数が少なくなっても、型崩れが起こりづらくフィルムパックの美粧性が良好に維持され、かつ、収納されたティシュペーパーの取り出しやすさが損なわれない、フェイシャルティシュ製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、フェイシャルティシュ製品の寸法と、乾燥時の縦方向引張り強さ及び横方向引張り強さの幾何平均DGMTと、フィルムパック短側面の、高さ方向の曲げ抵抗値を調整することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、2プライのシートからなるティシュペーパーの積層体と、前記積層体を収納するフィルムパックを備えた略直方体のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックは、頂面に、前記頂面の長辺に平行するミシン目を有しており、前記フィルムパックの長辺の寸法は150mm以上200mm以下であり、前記フィルムパックの短辺の寸法は100mm以上140mm以下であり、前記フィルムパックの高さは60mm以上120mm以下であり、前記ティシュペーパーの、乾燥時の縦方向引張り強さ及び横方向引張り強さの幾何平均DGMTは、110gf/25mm以上230gf/25mm以下であり、前記フィルムパックに収納されたティシュペーパーは、180組以上300組以下であり、前記フィルムパックの側面のうち、前記短辺と前記高さ方向の辺で構成される短側面の、高さ方向の曲げ抵抗値は40mN以上120mN以下である、フェイシャルティシュ製品である。
【0010】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックを構成するフィルムの厚さは、30μm以上150μm以下であることを特徴とするものである。
【0011】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックを構成するフィルムは、単層で形成され、前記フィルムの材質が梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成されることを特徴とするものである。
【0012】
(4)本発明の第4の態様は、(1)又は(2)に記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記フィルムパックを構成するフィルムは、複層で形成され、前記フィルムパックの最表層及び/又は最裏層における前記フィルムの材質が、梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、前記フィルムパックは、キャラメル包装で形成されることを特徴とするものである。
【0013】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載のフェイシャルティシュ製品であって、前記ティシュペーパーの1プライあたりの坪量は、12.0g/m以上22.0g/m以下であり、前記ティシュペーパーの紙厚は、0.50mm/10プライ以上0.90mm/10プライ以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、強度の低いティシュペーパーの積層体と、収納したフィルムパックと、を備えるフェイシャルティシュ製品において、残り枚数が少なくなっても、型崩れが起こりづらくフィルムパックの美粧性が良好に維持され、かつ、収納されたティシュペーパーの取り出しやすさが損なわれない、フェイシャルティシュ製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のフェイシャルティシュ製品を示す斜視図である。
図2】(a)は、本発明のフェイシャルティシュ製品を示す概略斜視図、(b)は、(a)の線Aと線A′との間に囲まれた部分を抽出したフィルムパックのテストピースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。本実施形態におけるフェイシャルティシュ製品1は略直方体であり、2プライのシートからなるティシュペーパーの積層体5と、積層体5を収納するフィルムパック20を備える。
【0017】
図1に示すように、積層体5を収納した状態において、フィルムパック20は、長辺、短辺、及び高さ方向Hの辺からなる略直方体の形状を有している。さらに、フィルムパック20は、長辺と短辺で構成された頂面3に長辺と平行しているミシン目21を有する。また、本明細書において、頂面3と対向する面を底面4、短辺と高さ方向Hの辺で構成される面を短側面2、とする。
【0018】
<ティシュペーパー>
図1は、本発明のフェイシャルティシュ製品1の斜視図である。本実施形態において収納されたティシュペーパーは、2プライのシートから構成され、原紙にカレンダー処理がなされたものである。本実施形態に係るティシュペーパーは、図1に示すように、後述の取り出し口としてのミシン目21を有するフィルムパック20に収納される。フィルムパック20に収容されるティシュペーパーの入り数は、2プライで180組以上300組以下であって、2プライで190組以上290組以下であることが好ましく、2プライで210組以上270組以下であることが更に好ましい。ティシュペーパーの入り数を上記の範囲に調整することにより、フェイシャルティシュ製品の保形性を良くし、交換頻度を低くすることができる。
【0019】
(ティシュペーパー原料)
ティシュペーパーを構成する2プライのシートは、パルプを主成分とするものであり、好ましくは、50質量%以上のパルプを含有する。ティシュペーパーの製造に使用できるパルプとしては、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプが挙げられるが、本実施形態のティシュペーパーは、パルプとして木材パルプ100%から成るものであってもよく、木材パルプの他に、古紙パルプや非木材パルプを含んでいてもよい。パルプ以外の成分としては、填料、合成繊維、天然繊維等を挙げることができる。目標とする品質を得るためには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%以上50質量%以下と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50質量%以上80質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることが好ましく、NBKP:25質量%以上45質量%以下と、LBKP:55質量%以上75質量%以下とからなる木材パルプを原料とすることがより好ましい。
【0020】
(紙厚、坪量)
本実施形態のティシュペーパーにおける、紙厚は、0.50mm/10プライ以上0.90mm/10プライ以下であることが好ましく、0.60mm/10プライ以上0.80mm/10プライ以下であることがより好ましく、0.65mm/10プライ以上0.75mm/10プライ以下であることが更に好ましい。なお、上記の紙厚は、1プライのシートを10枚重ねたときの紙厚を示す。また、本実施形態のティシュペーパーにおける、1プライあたりの坪量は、12.0g/m以上22.0g/m以下であることが好ましく、13.5g/m以上20.5g/m以下であることがより好ましく、15.0g/m以上19.0g/m以下であることが更に好ましい。ティシュペーパーの紙厚や1プライあたりの坪量を上記の範囲内のものとすることにより、柔らかさとボリューム感とが両立可能なものとなる。また、本発明のフェイシャルティシュ製品1において、ティシュぺーパーにはローション薬液が塗工されなくてもよいし、塗工されてもよいが、原紙質量に対して、グリセリン、ソルビトール等を含むローション薬液を、5%以上40%以下の範囲で塗工することが好ましい。上記の範囲でローション薬液を塗工することにより、ティシュペーパーが柔らかく、滑らかになり、フィルムパックからのティシュペーパーの取出し性が良好となる。
【0021】
(DGMT)
本実施形態のティシュペーパーは、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さ(引張り速度300mm/分で測定)DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)と、乾燥時の横方向の引張強さ(引張り速度300mm/分で測定)DCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)の幾何平均(DMDT×DCDT)1/2で表されるDGMT(Dry Geometric Tensile strength)が110gf/25mm以上230gf/25mm以下であることが好ましく、125gf/25mm以上215gf/25mm以下であることがより好ましく、140gf/25mm以上200gf/25mm以下であることが更に好ましい。ティシュペーパーのDGMTが上記の範囲にあることにより、低強度でありながら、丈夫さがあり、かつ、使用感及びボリューム感に優れるティシュペーパーとなる。
【0022】
(ティシュペーパーの寸法)
フィルムパック20に収納される前のティシュペーパーの短辺の寸法は、150mm以上200mm以下であることが好ましく、160mm以上195mm以下であることがより好ましく、170mm以上190mm以下であることが更に好ましい。また、フィルムパック20に収納される前のティシュペーパーを広げた状態における長辺の寸法は、170mm以上260mm以下であることが好ましく、180mm以上250mm以下であることがより好ましく、200mm以上230mm以下であることが更に好ましい。なお、ティシュペーパーがフィルムパック20に収納される際には、ティシュペーパーの上記長辺が折り畳まれ、折り畳まれたティシュペーパーの辺が、フィルムパックの短辺に沿って収納される。また、フィルムパック20に収納される前のティシュペーパーの積層体5の寸法が、フィルムパック20の寸法より5mm程度大きくても、ティシュペーパーの積層体5の伸縮性とフィルムの柔軟性により、問題なく収納することができる。ティシュペーパーの寸法は、後述するフィルムパック20の寸法や性質に合わせて適合させればよく、特にこれに限定されるものではない。
【0023】
<フィルムパック>
本実施形態のティシュペーパーは、取り出し口としてのミシン目21を有するフィルムパック20に収容される。
【0024】
(フィルムパックの包装形態)
フィルムパック20の包装形態は公知の方法を用い、特に限定されないが、ピロー包装、又はキャラメル包装、又はガゼット包装を用いることが好ましく、美粧性を持たせる観点から、図1に示すようにキャラメル包装を用いることがより好ましい。
【0025】
フィルムパック20を構成するフィルムは、単層で形成されてもよく複層で形成されてもよい。フィルムの材質は特に限定されないが、単層で形成される場合、フィルムの材質が梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、フィルムパック20の包装形態はキャラメル包装で形成されることが好ましく、フィルムパック20を構成するフィルムが複層で形成される場合、フィルムパック20の最表層及び/又は最裏層におけるフィルムの材質が、梨地ポリエチレン、乳白ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレンから選択されるいずれか一種であり、フィルムパック20の包装形態はキャラメル包装で形成されることが好ましい。フィルムパック20を構成するフィルムの材質を上記の材質にすることにより、美粧性を向上させることができる。
【0026】
(フィルムパックの寸法)
フィルムパック20の頂面3又は底面4における、長辺の寸法は、150mm以上200mm以下、短辺の寸法は、100mm以上140mm以下、フィルムパック20の高さは、60mm以上で120mm以下である。フィルムパックの長辺及び短辺の寸法、高さを上記の範囲にすることにより、フィルムパック20の美粧性及び保型性が良好になる。同様の観点から、フィルムパック20の頂面3又は底面4における、長辺の寸法は、155mm以上195mm以下、短辺の寸法は、105mm以上135mm以下、フィルムパック20の高さは、65mm以上110mm以下であることが好ましい。更に美粧性及び保型性を向上させる観点から、フィルムパック20の頂面3又は底面4における、長辺の寸法は、165mm以上185mm以下、短辺の寸法は、110mm以上130mm以下、フィルムパック20の高さは、70mm以上100mm以下であることが更に好ましい。
【0027】
(フィルムパックの短側面の高さ方向の曲げ抵抗値)
フィルムパック20の側面のうち、短辺と高さ方向Hの辺で構成される短側面2の、高さ方向Hの曲げ抵抗値は、40mN以上120mN以下であり、50mN以上110mN以下であることがより好ましく、60mN以上100mN以下であることが更に好ましい。フィルムパック20の短側面2の、高さ方向Hの曲げ抵抗値を上記の範囲に調整することにより、残り枚数が少なくなっても、型崩れが起こりづらくフィルムパックの美粧性が良好に維持することができる。
【0028】
フィルムパックの短側面の高さ方向Hの曲げ抵抗値は、ISO-2493に記載された方法に準じ、L&W Bending Tester(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定した。まず、図2(a)に示すようにフィルムパック20の短側面2の上述した短辺方向におけるA-A‘で示される中央部分3.8cmを高さ方向Hに沿ってカットして得た図2(b)に示すテストピースを得た。その後、フィルムパック20の高さ方向Hの中央部分3cmの範囲において、曲げ長を10mmとし、曲げ角度15°とし、フィルムを内側方向(ティシュペーパーが当たっている面方向に)に曲げたときの値を測定し、同様の測定を5回測定して得た平均値を短側面2の高さ方向Hの曲げ抵抗値とした。
【0029】
(フィルムパックのフィルムの厚さ)
フィルムパック20に使用されるフィルムの厚さは、30μm以上150μm以下であることが好ましく、50μm以上130μm以下であることがより好ましく、70μm以上110μm以下であることが更に好ましい。フィルムの厚さを上記の範囲に調整することにより、輸送時に必要なフィルムの強度を確保することができるとともに、良好な手触りを維持することができる。
【0030】
(ミシン目)
図1に示すように、フィルムパック20は、頂面3に、頂面3の長辺に平行するミシン目21を有しており、ミシン目21の長さL2は、フィルムパック20の頂面3の長辺の長さL1の30%以上70%以下であり、好ましくは40%以上65%以下であり、更に好ましくは50%以上60%以下である。ミシン目21の長辺方向における寸法を上記のような範囲に規定することで、ティシュペーパーをより取り出しやすくすることができ、取り出した際のティシュペーパーの破れ、ドロップバックも低減される。なお、ミシン目を開封した後に形成される取出し口の端部を裂けにくくするために、ミシン目は、フィルムの流れ方向(短辺方向)に対して垂直に入れることが好ましい。
【0031】
図1に示すようにミシン目21の非カット部Pの合計の長さは、ミシン目21の長さL2の15%以上50%以下であり、好ましくは20%以上45%以下であり、更に好ましくは25%以上40%以下である。また、各ミシン目のピッチは、3.0mm以上6.0mm以下であり、好ましくは3.5mm以上5.5mm以下、更に好ましくは4.0mm以上5.0mm以下である。これにより、使用者はミシン目21をスムーズに開封することができる。
【0032】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
<実施例>
【0033】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0034】
<実施例1から21、比較例1から10>
表1から表3に示すようにフェイシャルティシュ製品の特性を巡って、モニター20人で5段階評価を行った。従来品と同等なものを「3」とし、これよりやや優れているものを「4」、優れているものを「5」とした。同様に、「3」より劣っているものを「2」、著しく劣っているものを「1」とした。フェイシャルティシュ製品の特性として挙げているのは、フィルムパックの長辺、短辺の寸法及び高さ、フィルムパックの短側面の高さ方向曲げ抵抗値、ティシュペーパーのDGMT、ティシュペーパーの入り枚数(組)、フィルムパックのフィルムの厚さ、フィルムの材質、ティシュペーパー1プライあたりの坪量、ティシュペーパー紙厚である。なお、フィルムパックの構成はいずれも単層とした。
【0035】
ティシュペーパーの坪量:JIS P 8124に基づいて測定し、シート1枚当たりに換算した。
【0036】
ティシュペーパーの紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は1プライのシートを10枚重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
【0037】
フィルムの厚さ:JIS Z 1702に基づいて測定した。
【0038】
フィルムパックの短側面の高さ方向曲げ抵抗値は、前述した方法で測定した値である。
【0039】
なお、上記の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持した後に行った。
【0040】
モニターによる評価項目は、製品の高級感、フィルム保型性、フィルムパックの短側面の割れにくさ、ティシュペーパーの柔らかさ、フェイシャルティシュ製品の交換頻度の低さ、輸送時のフィルム破れにくさ、フィルムパックの手触りの良さ、ティシュペーパーの使用感、ティシュペーパーのボリューム感である。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【符号の説明】
【0044】
1 フェイシャルティシュ製品
2 短側面
3 頂面
4 底面
5 ティシュペーパーの積層体
20 フィルムパック20
21 ミシン目
P 非カット部
H フィルムパックの高さ方向
L1 長辺の長さ
L2 ミシン目の長さ
図1
図2