(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】エアロゾル供給装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20221129BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20221129BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2021521039
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 GB2019052944
(87)【国際公開番号】W WO2020079426
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-19
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ジェレミー
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/083635(WO,A1)
【文献】特表2013-524835(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051150(WO,A1)
【文献】特表2008-535530(JP,A)
【文献】特開2017-225357(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107536100(CN,A)
【文献】実開昭54-004787(JP,U)
【文献】国際公開第2018/007627(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/208536(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子エアロゾル供給装置であって、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、前記ハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、当該装置は、エアロゾルが前記空気入口を出るときに前記エアロゾルの温度の低下を誘起するように構成されて
おり、前記空気入口が、少なくとも1つの固定障害物を有する開口を備え、前記少なくとも1つの固定障害物は、前記開口を通る空気流を完全に妨げることなく前記開口を少なくとも部分的に横切って延びている、電子エアロゾル供給装置。
【請求項2】
前記空気入口と前記エアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路が存在する、請求項1に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項3】
前記空気入口と前記エアロゾル出口との間の前記通路内に、エアロゾル生成部品を受容するためのチャンバが形成されている、請求項2に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項4】
前記エアロゾル出口がマウスピースの一部を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定障害物が、前記開口の縁上の取り付け点から延びている、請求項
1~4のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの固定障害物が、前記開口の縁上の取り付け点から前記開口の縁上の別の取り付け点まで延びている、請求項
5に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの固定障害物の取り付け点の数がPnによって表され、ここで、nは、1、2、3、4、5、6またはより大きな数から選択される、請求項
5に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項8】
単一の固定障害物が存在する、請求項
5~
7のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項9】
nが3である、請求項
7または
8に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項10】
前記空気入口を出るエアロゾルの温度を、約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、または約50℃以上低下させるように構成されている請求項1~
9のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項11】
前記空気入口を出るエアロゾルの温度を、約140℃未満、約135℃未満、約130℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約115℃未満、約110℃未満、約105℃未満、約100℃未満、約95℃未満、約90℃未満、約85℃未満、または約80℃未満に低下させるように構成されている請求項1~
10のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項12】
前記空気入口が前記ハウジングの遠位端にあり、前記エアロゾル出口が前記ハウジングの近位端にあり、前記空気入口と前記エアロゾル出口との間の流路の長さと、当該装置の全長との比が、約1:2~約1:1である、請求項1~
11のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項13】
前記比が、約1:2~1:1、約2:3~1:1、約3:4~1:1、または約4:5~1:1である、請求項
12に記載の電子エアロゾル供給装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給装置と、エアロゾル生成部品とを備える電子エアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記エアロゾル生成部品がエアロゾル生成基材を備える、請求項
14に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記基材が液体である、請求項
15に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記エアロゾル生成部品が空気入口およびエアロゾル出口を備える、請求項
14~
16のいずれか一項に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記エアロゾル生成部品が、前記電子エアロゾル供給装置の前記空気入口と前記エアロゾル出口との間に配置される、請求項
17に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記エアロゾル生成部品の前記空気入口が、前記電子エアロゾル供給装置上の前記空気入口と接続し、前記エアロゾル生成部品の前記エアロゾル出口が、前記電子エアロゾル供給装置上の前記エアロゾル出口と接続して、当該電子エアロゾル供給システムの空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路を設ける、請求項
18に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記エアロゾル生成
部品が、前記電子エアロゾル供給装置の前記エアロゾル出口に係合される、請求項
17に記載の電子エアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記エアロゾル生成部品の前記空気入口が、前記エアロゾル生成部品の前記エアロゾル出口が当該電子エアロゾル供給システムのためのエアロゾル出口として機能するように、前記電子エアロゾル供給装置上の前記エアロゾル出口と接続して、当該電子エアロゾル供給システムの空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路の存在をもたらす、請求項
20に記載の電子エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子エアロゾル供給装置および該装置を備える電子エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が吸入するためのエアロゾルを生成する電子エアロゾル供給システム(例えば、電子タバコ)は、当該技術分野において周知である。そのようなシステムは、一般に、電池駆動式であり、電池およびエアロゾル供給部品を備えるエアロゾル供給装置を含む。ここで、エアロゾル供給部品は、エアロゾルを生成するようにエアロゾル供給装置と係合させることが可能である。エアロゾルは、様々な方法で生成することができる。例えば、エアロゾルは、基材を加熱して蒸気を形成し、その後、この蒸気が通過空気中で凝縮して、凝縮エアロゾルを形成することによって生成することができる。あるいは、エアロゾルは、基材が通過空気中に分散してエアロゾルを形成するように機械的手段や振動などによって生成することもできる。
【0003】
様々な種類のエアロゾル供給システムがより普及するにつれて、それらが消費者にとって人間工学的に許容可能であることを保証する必要がある。例えば、消費者は、一般に、より小型のシステムを好む。これは、小型のシステムは、容易に保持できることを意味するからである。更に、このような小型のシステムの保管は、一般に、より容易である。しかしながら、本発明者らは、小型のエアロゾル供給システムを開発することにより特定の問題が生じうることを見出した。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一側面では、電子エアロゾル供給装置が提供される。この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備える。この装置は、エアロゾルが空気入口を出るときにエアロゾルの温度の低下を誘起するように構成されている。
【0005】
本開示の更なる側面では、電子エアロゾル供給装置が提供され、この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、この空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路が、存在する。
【0006】
本開示の更なる側面では、電子エアロゾル供給装置が提供され、この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、この空気入口は、少なくとも1つの固定障害物を有する開口を備え、この少なくとも1つの固定障害物は、開口を通る空気流を完全に妨げることなく開口を少なくとも部分的に横切って延びている。
【0007】
本開示の更なる側面では、電子エアロゾル供給装置が提供され、この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、空気入口が装置ハウジングの遠位端にあり、エアロゾル出口が装置ハウジングの近位端にあり、空気入口とエアロゾル出口との間の流路の長さと、当該装置の全長との比が1:2~1:1である。
【0008】
上記側面のいずれかの一実施形態では、空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路が存在する。
【0009】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、空気入口とエアロゾル出口との間の前記通路内に、エアロゾル生成部品を受容するためのチャンバが形成されている。
【0010】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル出口がマウスピースの一部を形成する。
【0011】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、空気入口が、少なくとも1つの固定障害物を有する開口を備え、この固定障害物は、開口を通る空気流を完全に妨げることなく開口を少なくとも部分的に横切って延びている。
【0012】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、前記少なくとも1つの固定障害物が、開口の縁上の取り付け点から延びている。
【0013】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、前記少なくとも1つの固定障害物が、開口の縁上の取り付け点から開口の縁上の別の取り付け点まで延びている。
【0014】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、前記少なくとも1つの固定障害物の取り付け点の数がPnによって表され、ここで、nは、1、2、3、4、5、6またはより大きな数から選択される。
【0015】
上記側面のいずれかの一実施形態では、単一の固定障害物が存在する。
【0016】
上記側面のいずれかの一実施形態では、空気入口を出るエアロゾルの温度を、約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、または約50℃以上低下させるように装置が構成されている。
【0017】
上記側面のいずれかの一実施形態では、空気入口を出るエアロゾルの温度を、約140℃未満、約135℃未満、約130℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約115℃未満、約110℃未満、約105℃未満、約100℃未満、約95℃未満、約90℃未満、約85℃未満、または約80℃未満に低下させるように装置が構成されている。
【0018】
上記側面のいずれかの一実施形態では、空気入口が装置ハウジングの遠位端にあり、エアロゾル出口が装置ハウジングの近位端にあり、空気入口とエアロゾル出口との間の流路の長さと、装置の全長との比が、約1:2~約1:1である。この比は、約1:2~1:1、約2:3~1:1、約3:4~1:1、または約4:5~1:1であってもよい。
【0019】
更なる側面では、本書に記載の電子エアロゾル供給装置と、エアロゾル生成部品とを備える電子エアロゾル供給システムも提供される。
【0020】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品がエアロゾル生成基材を備える。
【0021】
上記側面のいずれかの一実施形態では、前記基材が液体である。
【0022】
上記側面のいずれかの一実施形態では、前記基材が固体、例えばタバコ、を備える。
【0023】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品が空気入口およびエアロゾル出口を備える。
【0024】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品が、電子エアロゾル供給装置の空気入口とエアロゾル出口との間に配置される。
【0025】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品の空気入口が、電子エアロゾル供給装置上の空気入口と接続し、エアロゾル生成部品のエアロゾル出口が、電子エアロゾル供給装置上のエアロゾル出口と接続して、電子エアロゾル供給システムの空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路を設ける。
【0026】
上記側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品が、電子エアロゾル供給装置のエアロゾル出口に係合される。
【0027】
上記の側面のいずれかの一実施形態では、エアロゾル生成部品の空気入口が、エアロゾル生成部品のエアロゾル出口が電子エアロゾル供給システムのためのエアロゾル出口として機能するように、電子エアロゾル供給装置上のエアロゾル出口と接続して、電子エアロゾル供給システムの空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路の存在をもたらす。
【0028】
別の側面では、エアロゾル供給装置の空気入口を出るエアロゾルの温度を低下させる方法が提供される。この方法は、空気入口を少なくとも部分的に横切って延びる固定障害物を用いて、空気入口を通過するエアロゾルの温度を低下させることを含む。
【0029】
本開示の別の側面では、電子エアロゾル供給装置が提供され、この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、当該装置は、エアロゾルが空気入口を出るときにエアロゾルの温度の低下を誘起するように構成されており、当該装置は、空気入口に、または空気入口の近傍に温度低下手段を備える。
【0030】
以下の説明から明らかなこれらおよび他の側面は、本開示の一部を形成する。1つの側面の説明は、1つ以上の他の側面と組み合わせることができるのであって、以下の説明を、互いに組み合わせることができない別個の項目の集合とみなすべきでないことを明言しておく。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来技術に係るエアロゾル供給装置の概略図である。
【
図2】本開示に係る例示的なエアロゾル供給装置を示す図である。
【
図5a】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5b】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5c】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5d】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5e】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5f】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5g】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5h】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図5i】従来の空気入口から出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6a】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6b】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6c】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6d】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6e】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6f】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6g】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6h】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【
図6i】本開示に係る空気入口を出るエアロゾルの温度測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本項では、特定の例および実施形態の様々な側面や特徴が議論/説明される。特定の例および実施形態のいくつかの側面や特徴は、従来通りに実施することができ、簡潔さのため、これらを詳細には議論/説明しない。したがって、本項で議論される装置および方法のうち詳細に説明されていない側面や特徴は、そのような側面や特徴を実施するための任意の従来の技法に従って実施できることが理解されるであろう。
【0033】
上述のように、本開示は、電子タバコなどのエアロゾル供給システムに関する。以下の説明を通して、「電子タバコ」という用語が時々使用されるが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給システムと交換可能に使用することができる。更に、エアロゾル供給システムは、液体ソース材料、固体ソース材料、および/または半固体ソース材料、例えばゲル、からエアロゾルを生成することを意図したシステムを含んでもよい。本開示の特定の実施形態は、本項では、いくつかの例示的な電子タバコ構成に関連して(例えば、特定の全体的な外観および基礎となる蒸気生成技術の観点から)記載される。しかしながら、同じ原理を、異なる全体構成を有する(例えば、異なる全体外観、構造、および/または蒸気生成技術を有する)エアロゾル送達システムに等しく適用できることが理解されるであろう。
【0034】
図1は、従来技術のエアロゾル/蒸気供給システムの概略図である(縮尺は均一ではない)。従来技術の電子タバコ10は、破線LAで示される長手方向軸に沿って延びる略円筒形の形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち本体20(装置部分)およびカトマイザ30(エアロゾル供給部品)を備える。カトマイザは、エアロゾルの生成源である調合液を含むソース液体のリザーバを収容する内部チャンバと、加熱要素と、ソース液体を加熱要素の近傍に輸送するための液体輸送要素(この例ではウィッキング要素)とを含む。本開示の実施形態に係るエアロゾル供給部品のいくつかの実装例では、加熱要素自体が液体輸送機能を提供してもよい。例えば、加熱要素と、液体輸送機能を提供する要素とは、エアロゾル生成器/エアロゾル生成部材/気化器/霧化器/蒸留器と総称されることがある。カトマイザ30は、開口部を有するマウスピース35を更に含んでおり、使用者は、この開口部を通じてエアロゾル生成器からエアロゾルを吸入することができる。ソース液体は、電子タバコで使用される従来の種類のものであってもよく、例えば、グリセロール、水、および/またはプロピレングリコールを含む溶媒に溶解した0~5%のニコチンを含む。ソース液体は香味料を含んでもよい。ソース液体のためのリザーバは、エアロゾル生成器/気化器に送達される必要があるときまでソース液体を保持するために、ハウジング内に多孔質マトリックスまたは任意の他の構造を備えてもよい。いくつかの例では、リザーバは、自由液体を収容するチャンバを画定するハウジングを備えていてもよい(すなわち、多孔質マトリックスがなくてもよい)。
【0035】
以下で更に論じるように、本体20は、電子タバコ10に電力を供給するための再充電可能なセルまたはバッテリーと、電子タバコを全体的に制御するための制御回路を含む回路基板とを含む。能動的な使用時に、すなわち、加熱素子が制御回路によって制御されるように電池から電力を受け取るとき、加熱素子は、加熱素子の近傍のソース液体を気化させてエアロゾルを生成する。エアロゾルは、マウスピースの開口部を通して使用者によって吸入される。使用者吸入の間、エアロゾルは、エアロゾル源(ソース)からマウスピース開口部まで、それらの間を接続する空気チャネルに沿って運ばれる。
【0036】
従来技術の例では、本体20およびカトマイザ30は、
図1に示すように、長手方向軸LAに平行な方向に分離させることによって相互に取り外し可能であるが、装置10の使用時には、本体20とカトマイザ30との間に機械的および電気的な接続をもたらすために、
図1に25Aおよび25Bとして概略的に示す接続部によって接合される。カトマイザに接続するために使用される本体20上の電気コネクタは、本体がカトマイザ30から取り外されているときに充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。充電装置の他端は、電子タバコの本体20内のセル/バッテリーを充電または再充電するために、外部電源、例えばUSBソケットに差し込むことができる。他の実装形態では、本体上の電気コネクタと外部電源との間の直接接続のためにケーブルが設けられてもよく、および/または装置が、別個の充電ポート、たとえばUSBフォーマットのうちの1つに準拠するポートを備えてもよい。
【0037】
電子タバコ10には、空気入口としての1つ以上の孔(
図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は、電子タバコ10を通ってマウスピース35まで延びる空気通路(空気流路)に接続する。典型的には、そのような装置を通る空気経路は、様々な構成要素を通過させなければならず、かつ/または電子タバコに入った後に何度も転回しなければならないという点で、比較的複雑である。この空気通路は、エアロゾル源の周囲の領域と、エアロゾル源からマウスピース内の開口部に接続する空気チャネルを備える部分とを含む。
【0038】
使用者がマウスピース35を介して吸い込むと、電子タバコの外面に適切に配置された1つ以上の空気入口孔を通して空気がこの空気通路に引き込まれる。この空気流(または関連する圧力変化)は、空気流センサ215、この例では圧力センサ、によって検出される。空気流センサ215は、電子タバコ10内の空気流を検出し、対応する空気流検出信号を制御回路に出力するものである。電子タバコを通る空気の流れが存在する時点(例えば、使用者がマウスピースに対して吸入または吐出を行う時点)を示す空気流検出信号を生成するために電子タバコ内に空気流センサ560をどのように配置するかに関して、空気流センサ560は、従来の技術に従って動作することができる。
【0039】
使用者が使用時にマウスピースを吸入(吸引/パフ)すると、空気流は、電子たばこを通る空気通路(空気流路)を通過し、エアロゾル源の周囲の領域内の蒸気と混合して、エアロゾルを生成する。結果として生じる空気流と蒸気との混合は、エアロゾル源から、使用者による吸入のためのマウスピースにつながる空気流路に沿って続く。カトマイザ30は、ソース液体の供給が尽きたときに、本体20から取り外して廃棄してもよい(そして、希望する場合は、別のカトマイザと交換してもよい)。あるいは、カトマイザは再充填可能であってもよい。
【0040】
本開示のいくつかの例示的な実施形態によれば、エアロゾル供給システムの動作は、例示的な従来技術の装置に関して上述した動作、例えば、エアロゾルを通過空気流に同伴させて吸入させるようにソース材料を気化させるためのヒータの作動、と概ね一致して機能しうるが、本開示のいくつかの例示的な実施形態のエアロゾル供給システムの構成は、従来技術の装置とは異なる。
【0041】
この点に関して、ある電子エアロゾル供給装置が提供される。この装置は、エアロゾル生成部品を受容するためのハウジングを備え、このハウジングは、空気入口およびエアロゾル出口を備え、この装置は、エアロゾルが空気入口を出るときにエアロゾルの温度の低下を誘起するように構成されている。例えば、
図2を参照すると、前記ハウジングは、一般に、シャーシ部およびハッチ部から形成される。ここで、ハッチ部は、シャーシ部に接続され、エアロゾル生成のためにエアロゾル生成部品が配置される包囲空間をシャーシ部とハッチ部が共同で画定する第1の位置と、シャーシ部とハッチ部がその空間へのアクセスを提供するように離間する第2の位置との間で移動可能である。
図2は、本開示の一実施形態に係る例示的な装置100の図である。配線やより複雑な造形など、本体の様々な構成要素や詳細が、明確さのために
図2から省略されていることに留意されたい。装置100は、シャーシ部210およびハッチ部220によって形成されるハウジング200を備える。シャーシ部210は、単一の材料片の形態をとってもよく、または適切な継ぎ目(図示せず)に沿って接合された2つの別個の材料片210a、210bから形成されてもよい。シャーシ部210およびハッチ部220は、エアロゾル生成のためにエアロゾル生成部品(図示せず)が配置される包囲空間250をシャーシ部210とハッチ部220が共同で画定する第1の位置と、シャーシ部210とハッチ部220が空間250へのアクセスを提供するように離間する第2の位置との間で、ハッチ部220がシャーシ部210に対して移動可能であるように接続される。
図2は、空間250にアクセス可能な第2の位置にあるシャーシ部210およびハッチ部220を示す。
図2にも見られるように、いくつかの実施形態では、ハッチ部220は、ハッチ部220の内壁に取り付けられたスリーブ230を備え、このスリーブが空間250に向かって突出するようになっていてもよい。スリーブ230は、エアロゾル生成部品(図示せず)を収容することができる略長手方向の凹部を画定する。より具体的には、エアロゾル生成部品は、スリーブ230内に挿入することができる。スリーブ230は、以下で更に詳細に説明するが、
図2の実施形態との関連では、ハッチ部220が、シャーシ部210と共同で包囲空間250を形成するように第1の位置に移動させられると、スリーブ230(および存在する場合は、エアロゾル生成部品)が空間250を占めることは明らかである。
【0042】
図2に示す装置100のハッチ部220は、エアロゾル出口を画定するマウスピース260を備えていてもよい。更に、装置100は、一般に、空間250への空気の流入を容易にする空気入口240を含む。入口240、空間250、および出口260は共に、空気が装置の外側から空間250を通ってマウスピースのエアロゾル出口から流出するための流体接続通路を形成する。エアロゾル生成部品が空間250内に存在するとき、空気流がエアロゾル生成部品を通り抜けて(または、そばを通過して)運ばれ、それによって空気流路内におけるエアロゾルの同伴が促進される。
【0043】
従来技術の装置に関して上述したように、本開示のいくつかの例示的な実施形態の装置100は、任意の適切な手段によって起動させることができる。そのような適切な起動手段には、ボタン起動、またはセンサ(タッチセンサ、気流センサ、圧力センサ、サーミスタなど)を介した起動が含まれる。起動とは、蒸気がソース材料から作られるようにエアロゾル生成部品のエアロゾル生成器に通電できることを意味する。この点において、起動は、作動とは別であると考えることができる。作動によって、装置100は、本質的に休止した状態またはオフ状態から、装置上で1つまたは複数の機能を実行することができる、および/または装置を起動に適しうるモードに置くことができる状態に移行する。
【0044】
この点に関して、ハウジング200は、一般に、エアロゾル生成部品のエアロゾル生成器に電力を供給する電源(
図2には図示せず)を備える。エアロゾル生成部品と電源との間の接続は有線でも無線でもよいことに留意されたい。例えば、接続が有線接続である場合、ハッチ部220が第1の位置にあり、したがってエアロゾル生成部品が空間250内にあるときに、ハウジング200内、例えばシャーシ部分210上、の接点450が、エアロゾル生成部品の対応する電極と接触してもよい。このような接触の確立については、以下で更に説明する。あるいは、ハウジング200内に存在し、電源に接続された駆動コイル(図示せず)を、磁場が生成されるように通電することができるという意味で、電源とエアロゾル生成部品との間の接続を無線にすることが可能である。その場合、エアロゾル生成部品は、磁場が侵入させられるサセプタを備え、そのサセプタ内に渦電流が誘起されて、サセプタが加熱されるようになっていてもよい。
【0045】
本発明者らによる広範な調査の後、電子タバコなどの電子エアロゾル供給システムの使用者は、時々、システム内に息を吐き戻すことがわかった。呼気が、熱生成された蒸気の凝縮から形成されたエアロゾルを含む場合、この「吐き出されたエアロゾル」は、依然として比較的高温である可能性がある。更に、これも依然として比較的高温の可能性があるシステム内に、残留「システムエアロゾル」が存在する可能性がある。システムの設計によっては、吐き出されたエアロゾル、システムエアロゾル、またはその2つの混合物が、流入空気が最初に引き込まれた空気入口から押し出されることが起こりうる。この外出エアロゾルの比較的高い温度のために、それが使用者の皮膚に衝突して不快なものとなる可能性がある。これは、空気入口が、システム上において、使用者がシステムを保持する位置(「保持位置」)に隣接させて配置される場合に特に当てはまるかもしれない。より大型のエアロゾル供給システムでは、空気入口は、保持位置から離れた位置に配置される可能性が高い(あるいは、少なくとも使用者が装置をどこで保持できるかに関してより多くの自由度が存在しうる)。しかしながら、より小型のエアロゾル供給システムでは、空気入口を配置する位置がより少ない。その結果、高温の外出エアロゾルが使用者に衝突して不快感を引き起こす可能性がより高くなる。本発明者らは、この問題を認識し、それに応じて本発明を考案した。
【0046】
本開示の文脈において、「吐出エアロゾル」は、エアロゾル供給システムによって生成され、使用者によって吸入/消費され、その後システム内に吐き出されたエアロゾルと考えられる。
【0047】
本開示の文脈において、「システムエアロゾル」は、エアロゾル供給システムによって生成され、システムを離れなかったエアロゾルと考えられる。
【0048】
本開示の文脈において、「外出エアロゾル」は、空気入口を通して押し出されたエアロゾルと考えられる。外出エアロゾルは、吐出エアロゾル、システムエアロゾル、またはそれらの混合物でありうる。
【0049】
本開示の文脈において、エアロゾル供給システムは、エアロゾル供給装置およびエアロゾル生成部品を備えるシステムである。エアロゾル供給装置は、典型的には、バッテリーなどの電源と、エアロゾルを生成できるように作動信号に従ってエアロゾル生成部品に電力が送達されるようにする制御電子部品とを含む。いくつかの実施形態では、エアロゾル供給装置およびエアロゾル生成部品は、単一の構成要素として形成される。いくつかの実施形態では、エアロゾル供給装置およびエアロゾル生成部品は、エアロゾル生成を促進するように係合させることの可能な別個の構成要素である。
【0050】
エアロゾル供給システムは、ヒータなどのエアロゾル生成手段を備える。エアロゾル生成手段は、エアロゾル供給装置またはエアロゾル生成部品のいずれかに配置することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成手段をエアロゾル供給装置およびエアロゾル生成部品の双方に配置することができる。
【0051】
エアロゾル生成部品は、エアロゾルを生じさせることの可能な基材を備えるか、またはそのような基材を受容するための領域を含む。例えば、エアロゾル生成部品は、基材を受容するための領域を備える「タンク」、「カトマイザ」、または「ポッド」の形態をとることができる。基材を受容するための領域は、使い果たした基材を補充するために使用者がアクセス可能であってもよい。あるいは、このような基材の受容のための領域は、エアロゾル生成部品を破壊することなく使用者がアクセスすることのできないものであってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成部品は、エアロゾル生成手段を備えなくてもよい。これらの実施形態では、エアロゾル生成手段は、一般に、装置上に存在し、エアロゾル生成部品とエアロゾル供給装置との係合の際に、エアロゾル生成手段は、基材を適切にエアロゾルに変換できるように、基材と十分に近接させられる。
【0053】
本開示の実施形態の重要な点ではないが、以下では、空間250内に配置するのに適したエアロゾル生成部品を一般的に説明する。このエアロゾル生成部品は、エアロゾル生成部品の略長手方向の軸に沿って延びる空気通路内に配置されたエアロゾル生成器を含む。このエアロゾル生成器は、ウィッキング要素(液体輸送要素)に隣接する抵抗加熱要素を備えてもよく、ここで、ウィッキング要素は、エアロゾル生成部品内のソース液体のリザーバからソース液体を、加熱のために、加熱要素の近傍に輸送するように配置される。この例におけるソース液体のリザーバは、空気通路に隣接しており、例えば、ソース液体に浸漬された綿または発泡体を提供することによって実装することができる。ウィッキング要素の端部は、ソース液体がウィッキング要素に沿って、加熱要素の区域に隣接する位置まで引き出されるように、リザーバ内のソース液体と接触している。ウィッキング要素および加熱要素の一般的な構成は、従来技術に従ってもよい。例えば、いくつかの実装形態では、ウィッキング要素および加熱要素は、別個の要素を構成してもよく、その例は、円筒形のウィックの周りに巻かれた/その上に巻き付けられた金属の加熱用ワイヤであって、ここで、ウィックは、例えば、ガラス繊維の束、糸、またはヤーンからなる。他の実施形態では、ウィッキング要素および加熱要素の機能は、単一の要素によって提供されてもよい。すなわち、加熱要素自体がウィッキング機能を提供してもよい。したがって、様々な例示的な実施態様では、加熱要素/ウィッキング要素は、金属複合構造体(例えば、Bekaert社製の多孔質焼結金属繊維媒体(Bekipor(登録商標)ST))、金属発泡構造体(例えば、三菱マテリアルから入手可能な種類のもの)、多層焼結金属ワイヤメッシュもしくは折畳み単層金属ワイヤメッシュ(例えば、Bopp社製のもの)、金属ひも、または金属ワイヤと絡み合わせたガラス繊維もしくは炭素繊維組織のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。「金属」は、バッテリーと接続して/組み合わせて使用される適切な電気抵抗率を有する任意の金属材料であってよい。結果として生じる加熱素子の電気抵抗は、典型的には、0.5~5オームの範囲である。0.5オーム未満の値を使用することも可能であるが、潜在的にバッテリーに過剰なストレスを与える可能性がある。「金属」は、例えば、NiCr合金(例えば、NiCr8020)またはFeCrAl合金(例えば、「Kanthal」)またはステンレス鋼(例えば、AISI 304またはAISI 316)とすることができる。
【0054】
次に、本実施形態の空気入口240についてより詳細に説明する。
図2aは、従来の空気入口240を示す。空気入口240は、概して、装置のハウジングにおける従来の円形開口である。空気入口240は、エアロゾル出口260に接続し、装置を通る流路を提供する。典型的には、エアロゾル生成部品は空気入口240とエアロゾル出口260との間に配置され、空気入口240を通って装置内に流入する空気がエアロゾル生成部品に到達するようになっている。エアロゾル生成部品から生成されたエアロゾルは、その後、エアロゾル出口260に向かって流れ、使用者は、その箇所でエアロゾルを吸入することができる。
図2bは、本実施形態に係る空気入口270を示す。空気入口270は、開口271を備えており、少なくとも1つの固定障害物280が、この開口271を通る空気流を完全に妨げることなく、開口271を少なくとも部分的に横切って延びている。
【0055】
図3aは、装置100の遠位端の拡大図であって、空気入口270を示している。空気入口270の開口271は、円形として示されているが、任意の形状、例えば、円形、三角形、四角形、または多角形をとることができる。開口271は、ある最大開口幅を有する。最大開口幅は、開口の縁上の2点間の最大直線長さである。一実施形態では、開口271は、エアロゾル出口260の最大開口幅よりも小さい最大開口幅を有する。
【0056】
少なくとも1つの固定障害物280は、開口271の縁上の点P1から開口271内に延びる柱の形態をとることができる。一実施形態において、少なくとも1つの固定障害物280は、開口271の縁上の点P1から開口の縁上の別の点P2まで延び、開口271を横切る障害物を形成する。固定障害物280は、開口271の縁への取り付け点Pの数に応じて様々な形態をとりうることが理解されよう。この点に関して、取り付け点の数は、Pnによって表すことができ、ここで、nは、開口271の縁上の別個の取り付け点の数である。Pnは、1、2、3、4、5、6またはより大きな数から選択することができる。更に、固定障害物の数もFzで表すことができ、z=1の場合、1つの固定障害物がある。Fzは、1、2、3、4またはより大きな数から選択することができる。一実施形態では、zは1であり、nは1、2、3、4または5である。
【0057】
一実施形態では、
図3bに示すように、zは1であり、nは3である。理解されるように、zが1であり、nが3である場合、単一の固定障害物が、開口271に広がるが、開口271の縁に3点で取り付けられることになる。この実施形態では、固定障害物は、3つの接続アーム281a、b、cおよび1つの接続領域282を備えると考えることができる。したがって、接続アームの数は一般にnに対応する。接続領域282は、固定障害物のうち各取り付け点Pから概ね等距離にある領域である。結果として、3以上の取り付け点がある場合、接続領域282は、概ね開口271の中心に位置する。接続領域は、任意の形状、例えば、円形、三角形、四角形、または多角形をとることができる。一実施形態では、接続領域は、開口271と同様の形状をとる。接続領域282のサイズは、一般に、開口271が固定障害物によって覆われる程度を異ならせるように、システムごとに変えることができる。この点に関して、固定障害物が複数の取り付け点で取り付けられる場合、複数の出口領域271a、b、cが生成される。取り付け点の数および接続領域のサイズを変えることによって、出口領域271a、b、cのサイズを変えることが可能であり、同様に、外出エアロゾルが経験する衝突の面積を変えることが可能である。例えば、
図4a~
図4dに示されるように、外出エアロゾルの温度が低下する程度を調整するように、様々な数およびサイズの出口領域を作成することができる。
図4aは、
図4bに示すものと比較して比較的小さいサイズの4つの出口領域を有する空気入口270を示す。
図4cは、開口271を2つの領域271aおよび271bに分割する固定障害物を備える空気入口270を示す。
図4dは、開口271を部分的に横切って延びる4つの別個の固定障害物を有する空気入口270の例を示す。
【0058】
固定障害物280が開口271を少なくとも部分的に横切って延びる結果、外出エアロゾルは、装置を出る際に、妨害を受けながら提供される。この観点に束縛されるものではないが、この妨害は、外出エアロゾルが装置を離れるときに外出エアロゾルのエネルギーを減少させる働きをする。その結果、エアロゾルの温度が低下するので、不快なほど高い温度のエアロゾルの衝突を使用者が受ける可能性が低減される。
【0059】
一実施形態では、少なくとも1つの固定障害物が、外出エアロゾルの温度を約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、または約50℃以上低下させるように構成される。一実施形態では、少なくとも1つの固定障害物が、外出エアロゾルの温度を約140℃未満、約135℃未満、約130℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約115℃未満、約110℃未満、約105℃未満、約100℃未満、約95℃未満、約90℃未満、約85℃未満、または約80℃未満に低下させるように構成される。
【0060】
少なくとも1つの固定障害物の使用は、一般に、ある範囲のエアロゾル供給システムにわたって適用可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、空気入口とエアロゾル出口との間に途切れのない直線的な通路が存在する。この観点に束縛されるものではないが、これらの実施形態では、吐出エアロゾルおよびシステムエアロゾル(またはその双方)の少なくとも一部は、妨害を受けずにエアロゾル出口から空気入口に移動することが可能となりうるので、そのようなエアロゾルは、空気入口に到達するために曲がりくねった経路を経なければならない吐出エアロゾル/システムエアロゾルよりも比較的高いエネルギーを有しうる。したがって、これらの実施形態では、エアロゾル冷却の必要性がより大きくなりうる。エアロゾル生成部品が装置の空気入口とエアロゾル出口との間に配置される場合、エアロゾル生成部品は、装置上の空気入口と接続する、対応する空気入口と、装置上のエアロゾル出口と接続する、対応するエアロゾル出口とを有し、空気入口とエアロゾル出口との間の途切れのない直線的な通路の存在を維持/提供する。エアロゾル生成部品が装置内のエアロゾル出口に係合される場合、エアロゾル生成部品は、エアロゾル生成部品のエアロゾル出口がシステムのエアロゾル出口として機能するように、装置上のエアロゾル出口と接続する空気入口を有することになる。そのような実施形態では、エアロゾル生成部品上の空気入口およびエアロゾル出口が、システムの空気入口とエアロゾル出口との間の途切れのない直線的な通路の存在を維持する。エアロゾル生成部品のヒータを空気流路内に配置することが可能であり、それでもなお、システムの空気入口とエアロゾル出口との間に、途切れのない直線的な通路が存在することが理解されよう。例えば、システムの空気入口とエアロゾル出口との間の途切れのない直線的な通路は、加熱器と並行してもよい。
【0061】
更なる実施形態では、エアロゾル供給システム内に配置されたヒータの最遠位部分と空気入口との間に、途切れのない直線的な通路が存在する。
【0062】
更に、いくつかの実施形態では、装置ハウジングが空気入口およびエアロゾル出口を備え、空気入口が、装置ハウジングの遠位端にあり、エアロゾル出口が、装置ハウジングの近位端にあり、空気入口とエアロゾル出口との間の流路の長さと、システムの全長との比が1:2~1:1である。この観点に束縛されるものではないが、これらの実施形態では、空気入口とエアロゾル出口との間の流路がシステムの全長の少なくとも半分を占めるので、吐出エアロゾル/システムエアロゾルが装置から放出されるまでに移動する距離が、比較的短くなりうる。その結果、そのようなエアロゾルは、空気入口に到達するまでの時間では、それほど冷却されないかもしれない。したがって、これらの実施形態では、エアロゾル冷却の必要性がより大きくなりうる。
【0063】
一実施形態では、空気入口とエアロゾル出口との間の流路の長さと、システムの全長との比は、1:2~1:1、2:3~1:1、3:4~1:1、または4:5~1:1である。
【0064】
以下の非限定的な実施例を参照しながら、本開示を更に説明する。
【0065】
実施例
電子エアロゾル供給装置およびエアロゾル生成部品を備えるエアロゾル送達システムを使用して、空気入口から出るエアロゾル(吐出エアロゾル)の温度を評価した。
図2aに示すように、比較用の装置は、開口を少なくとも部分的に横切って延びる固定障害物がない空気入口(直径2.1mm)を利用するものであった。空気入口を出るエアロゾルの温度は、約140℃であることがわかった(直線流路内において開口から約1cmにサーミスタを配置することによって測定した)。
【0066】
図2bは、空気入口が、少なくとも部分的に開口を横切って延びる固定障害物を含むように変更されたことを除いて、
図2aで使用されたものと同じシステムを示す。
【0067】
液晶サーモクロミックフィルムを有する真鍮シートを使用すると、使用者の皮膚が開口に並んで配置された場合に使用者が皮膚上で感じうる代表的な温度を視覚化することが可能である。液晶サーモクロミックフィルムを有する真鍮シートは、40℃(赤)~45℃(青)の温度範囲を有する。これを超える温度は黒色に戻る。
図5a~
図5iは、経時的な温度変化を示す(
図5aは0秒の時点での温度を表し、
図5bは0.25秒の時点での温度を表し、
図5cは0.5秒の時点での温度を表し、
図5dは0.75秒の時点での温度を表し、
図5eは1.0秒の時点での温度を表し、
図5fは1.25秒の時点での温度を表し、
図5gは1.5秒の時点での温度を表し、
図5hは1.75秒の時点での温度を表し、
図5iは2秒の時点での温度を表す)。
【0068】
図5a~
図5iの画像から分かるように、従来の空気入口を出て真鍮シートに衝突するエアロゾルから生じる温度変化は急速であり、1.0秒以内に45℃を超える(サーモクロミックフィルムが黒色から赤色を経て青色に移行し、次いで黒色に戻るという事実によって示される)。対照的に、本発明に係る空気入口の使用を除いて同一の条件を使用した場合、
図6a~
図6iは、温度変化がはるかに遅いことを示す。実際、温度は、1.25秒まで40℃を超えて上昇せず、サーモクロミックフィルムの暗色化を最初に検出することができる1.75秒を超えるまで45℃を超えて上昇しない(
図6aは0秒の時点での温度を表し、
図6bは0.25秒の時点での温度を表し、
図6cは0.5秒の時点での温度を表し、
図6dは0.75秒の時点での温度を表し、
図6eは1.0秒の時点での温度を表し、
図6fは1.25秒の時点での温度を表し、
図6gは1.5秒の時点での温度を表し、
図6hは1.75秒の時点での温度を表し、
図6iは2秒の時点での温度を表す)。
【0069】
これは、本開示に係る空気入口が、装置の空気入口から出るエアロゾルの温度を低下させることが可能であることを示している。したがって、本開示に係る空気入口は、比較的高温のエアロゾルが使用者の皮膚に衝突するせいで使用者が不快な経験をする可能性を低減することができる。
【0070】
温度変化を測定することに加えて、高温噴流の直接経路内で熱電対を使用して、各外出エアロゾルのピーク温度も試験した。従来の空気入口は約140℃でピークに達した。本開示に係る空気入口は、約85℃でピークに達した。これは著しい減少である。
【0071】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示は、特許請求される発明が実施されうる様々な実施形態を例示として示す。本開示の利点および特徴は、実施形態の代表的なサンプルにすぎず、網羅的および/または排他的ではない。これらは、特許請求の範囲に記載された発明の理解を助け、教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、特許請求の範囲によって規定される本開示に対する限定または特許請求の範囲の均等物に対する限定とみなされるべきではなく、他の実施形態を利用することが可能であり、また、特許請求の範囲から逸脱することなく修正を加えることが可能なことを理解されたい。様々な実施形態は、本書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、部材、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えるか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることができ、したがって、引用形式の請求項の特徴は、請求項に明示的に記載されたもの以外の組合せで、独立形式の請求項の特徴と組み合わせうることが理解されるだろう。本開示は、現在は特許を請求していないが、将来請求するかもしれない他の発明を含む可能性がある。