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特許7183521経路候補設定システム及び経路候補設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】経路候補設定システム及び経路候補設定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221129BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/34
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018224934
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020087267
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英輝
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特許第6562386(JP,B2)
【文献】国際公開第2018/131090(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/061612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の経路候補を設定する経路候補設定システムであって、
走行路に関する走行路情報を取得する走行路情報取得装置と、
走行路上の障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得装置と、
前記走行路情報及び前記障害物情報に基づいて前記経路候補を設定するための演算を実行する演算装置と、を備え、
前記走行路が延びる方向をx方向と定義し、前記走行路の幅方向をy方向と定義したとき、
前記演算装置は、
格子状に配列された複数のグリッド点を走行路上に設定し、
演算実行時の車両の位置を始点とするとともに車両の進行方向前方の前記グリッド点を終点として延びる第1曲線であって、y座標がx座標を変数とする第1関数で表わされる前記第1曲線と、
前記第1曲線の終点を始点とするとともに該始点よりも車両から進行方向前方に離間した位置に設定されている他の前記グリッド点を終点として延びる第2曲線であって、y座標がx座標を変数とし前記第1関数よりも次数が低い第2関数で表わされる前記第2曲線と、を規定し、
前記第1曲線及び前記第2曲線を前記経路候補として設定するように構成され、
さらに、前記演算装置は、前記障害物情報取得装置が障害物を検出している場合は、該障害物よりも車両から進行方向前方に離間した位置に設定されている前記グリッド点を終点とする前記第1曲線と、該グリッド点を始点とする前記第2曲線と、を規定しない、
ことを特徴とする経路候補設定システム。
【請求項2】
前記演算装置は、前記障害物情報取得装置が障害物を検出している場合は、該障害物近傍の前記グリッド点を終点とする前記第1曲線と、該グリッド点を始点とする前記第2曲線と、のみを規定する、請求項1に記載の経路候補設定システム。
【請求項3】
前記第1関数は、x座標を変数とする5次関数である、請求項2に記載の経路候補設定システム。
【請求項4】
前記第2関数は、x座標を変数とする3次関数である、請求項3に記載の経路候補設定システム。
【請求項5】
車両の経路候補を設定する経路候補設定方法であって、
走行路に関する走行路情報を取得するステップと
走行路上の障害物に関する障害物情報を取得するステップと
前記走行路情報及び前記障害物情報に基づいて前記経路候補を設定するための演算を実行するステップと、を有し
前記走行路が延びる方向をx方向と定義し、前記走行路の幅方向をy方向と定義したとき、
前記演算において、
走行路上に複数のグリッド点を設定するステップと
演算実行時の車両の位置を始点とするとともに前記グリッド点を終点として延びる第1曲線であって、y座標がx座標を変数とする第1関数で表わされる前記第1曲線を規定するステップと、
前記第1曲線の終点を始点とするとともに該始点よりも車両から離間した位置に設定されている前記グリッド点を終点として延びる第2曲線であって、y座標がx座標を変数とし前記第1関数よりも次数が低い第2関数で表わされる前記第2曲線を規定するステップと
前記第1曲線及び前記第2曲線を前記経路候補として設定するステップと、を有し
さらに、前記演算において、障害物を検出している場合は、該障害物よりも車両から離間した位置に設定されている前記グリッド点を終点とする前記第1曲線を規定するステップと、該グリッド点を始点とする前記第2曲線を規定するステップと、を実行しない、
ことを特徴とする経路候補設定方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路候補設定システム及び経路候補設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の経路候補(つまり、実際に車両を走行させる目標経路となり得る候補)の設定に用いられるアルゴリズムとして、ポテンシャル法、スプライン補間関数、Aスター(A*)、RRT、ステートラティス法等が知られている。また、このようなアルゴリズムを用いた運転支援システムも提案されている。
【0003】
ステートラティス法では、走行路に多数のグリッド点が設定され、各グリッド点に対して経路候補が設定される。各経路候補は障害物回避等の観点から経路コストを評価され、当該評価の結果、適切と判断された1つの経路候補が目標経路として選択される。例えば、特許文献1には、グリッドマップ上に複数の経路候補を設定し、これらから移動コストに基づいて1つの経路候補を選択する運転支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/051081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数のグリッド点を用いるステートラティス法は、多様な経路候補を設定できる点で有利である。しかしながら、その演算負荷は大きく、障害物回避の際など迅速な演算が必要とされる状況への適用にあたっては改善が求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、多様な経路候補を設定しつつ、その演算負荷を軽減することが可能な経路候補設定システム及び経路候補設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の経路候補を設定する経路候補設定システムであって、走行路に関する走行路情報を取得する走行路情報取得装置と、走行路上の障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得装置と、走行路情報及び障害物情報に基づいて経路候補を設定するための演算を実行する演算装置と、を備え、走行路が延びる方向をx方向と定義し、走行路の幅方向をy方向と定義したとき、演算装置は、格子状に配列された複数のグリッド点を走行路上に設定し、演算実行時の車両の位置を始点とするとともに車両の進行方向前方のグリッド点を終点として延びる第1曲線であって、y座標がx座標を変数とする第1関数で表わされる第1曲線と、第1曲線の終点を始点とするとともに当該始点よりも車両から進行方向前方に離間した位置に設定されている他のグリッド点を終点として延びる第2曲線であって、y座標がx座標を変数とし第1関数よりも次数が低い第2関数で表わされる第2曲線と、を規定し、第1曲線及び第2曲線を経路候補として設定するように構成され、さらに、演算装置は、障害物情報取得装置が障害物を検出している場合は、当該障害物よりも車両から離間した位置に設定されているグリッド点を終点とする第1曲線と、当該グリッド点を始点とする第2曲線と、を規定しない、ことを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、演算装置は、車両に比較的近い範囲における経路候補を第1曲線により設定し、それ以遠の範囲における経路候補を第2曲線により設定する。比較的次数が高い第1関数で表される第1曲線は、多くの要件を満たす精緻な経路候補を設定することが可能であるが、規定する際の演算負荷は大きい。一方、比較的次数が低い第2関数で表される第2曲線は、満たし得る要件は第1曲線よりも少ないものの、規定する際の演算負荷は小さい。演算装置は、第2曲線を経路候補の一部として設定することにより、経路候補を設定する際の演算負荷を軽減することができる。
【0009】
ところで、走行路上に障害物が存在する場合、車両から障害物までの範囲における経路候補は、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等、種々の要求を満たすように、第1曲線により精緻に設定することが望ましい。一方、障害物以遠の範囲における経路候補については、車両から障害物までの範囲における経路候補ほどの精緻さは求められない。
【0010】
そこで、上記構成によれば、演算装置は、障害物情報取得装置が障害物を検出している場合は、当該障害物よりも車両から離間した位置に設定されているグリッド点を終点とする第1曲線と、当該グリッド点を始点とする第2曲線と、を規定しない。これにより、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等の要求を満たしつつ、経路候補を設定する際の演算負荷を軽減することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、演算装置は、障害物情報取得装置が障害物を検出している場合は、当該障害物近傍のグリッド点を終点とする第1曲線と、当該グリッド点を始点とする第2曲線と、のみを規定する。
この構成によれば、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等の要求を満たしつつ、経路候補を設定する際の演算負荷をさらに軽減することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、第1関数は、x座標を変数とする5次関数である。
この構成によれば、5次関数をx座標で1回~3回微分することにより、車両のヨー角、ヨー角速度、及びヨー角加速度と相関がある関係式を得ることができる。当該関係式により、車両のヨー角、ヨー角速度、及びヨー角加速度を評価することが可能になる。この結果、ヨー方向における車両の挙動を考慮し、乗員に与える不快感を軽減する経路候補を設定することが可能になる。
【0013】
本発明において、好ましくは、第2関数は、x座標を変数とする3次関数である。
この構成によれば、3関数をx座標で1回~2回微分することにより、車両のヨー角及びヨー角速度と相関がある関係式を得ることができる。当該関係式により、車両のヨー角及びヨー角速度を評価することが可能になる。この結果、ヨー方向における車両の挙動を考慮し、乗員に与える不快感を軽減する経路候補を設定することが可能になる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、車両の経路候補を設定する経路候補設定方法であって、走行路に関する走行路情報を取得するステップと、走行路上の障害物に関する障害物情報を取得するステップと、走行路情報及び障害物情報に基づいて経路候補を設定するための演算を実行するステップと、を有し、走行路が延びる方向をx方向と定義し、走行路の幅方向をy方向と定義したとき、演算において、走行路上に複数のグリッド点を設定するステップと、演算実行時の車両の位置を始点とするとともにグリッド点を終点として延びる第1曲線であって、y座標がx座標を変数とする第1関数で表わされる第1曲線を規定するステップと、第1曲線の終点を始点とするとともに当該始点よりも車両から離間した位置に設定されているグリッド点を終点として延びる第2曲線であって、y座標がx座標を変数とし第1関数よりも次数が低い第2関数で表わされる第2曲線を規定するステップと、第1曲線及び第2曲線を経路候補として設定するステップと、を有し、さらに、演算において、障害物を検出している場合は、当該障害物よりも車両から離間した位置に設定されているグリッド点を終点とする第1曲線を規定するステップと、当該グリッド点を始点とする第2曲線を規定するステップと、を実行しない、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多様な経路候補を設定しつつ、その演算負荷を軽減することが可能な経路候補設定システム及び経路候補設定方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る運転支援システムの構成図である。
図2】経路候補の説明図である。
図3】経路候補の説明図である。
図4】経路候補の説明図である。
図5図1のECUが実行する演算を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明に係る経路候補設定システムの一例である運転支援システム100の概要について説明する。図1は、運転支援システム100の構成図である。図2は、経路候補RCの説明図である。
【0019】
運転支援システム100は、車両1に搭載され、車両1を目標経路に沿って走行させる運転支援制御を提供する。図1に示されるように、運転支援システム100は、ECU(電子制御装置)10と、複数のセンサ類と、複数の制御システムと、を備えている。複数のセンサ類には、カメラ21、レーダ22や、車両1の挙動や乗員による運転操作を検出するための車速センサ23、加速度センサ24、ヨーレートセンサ25、操舵角センサ26、アクセルセンサ27、ブレーキセンサ28が含まれている。さらに、複数のセンサ類には、車両1の位置を検出するための測位システム29、ナビゲーションシステム30が含まれている。複数の制御システムには、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、ステアリング制御システム33が含まれている。
【0020】
また、他のセンサ類として、車両1に対する周辺構造物の距離及び位置を測定する周辺ソナー、車両1の4箇所の角部における周辺構造物の接近を測定するコーナーレーダや、車両1の車室内を撮影するインナーカメラが含まれていてもよい。
【0021】
ECU10は、本発明に係る演算装置の一例である。ECU10は、CPU、各種プログラムを記憶するメモリ、入出力装置等を備えたコンピュータにより構成される。ECU10は、複数のセンサ類から受け取った信号に基づいて種々の演算を実行し、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、ステアリング制御システム33に対して、それぞれエンジンシステム、ブレーキシステム、ステアリングシステムを適宜に作動させるための制御信号を送信する。
【0022】
ECU10は、走行路情報に基づいて、走行路上の位置を特定するための演算を行う。走行路情報は、車両1が走行している走行路に関する情報であり、カメラ21、レーダ22、ナビゲーションシステム30等により取得される。走行路情報は、例えば、走行路の形状(直線、カーブ、カーブ曲率)、走行路幅、車線数、車線幅等に関する情報を含んでいる。
【0023】
図2は、車両1が走行路5上を走行している様子を示している。ECU10は、走行路情報に基づく演算により、車両1の進行方向前方に存在する走行路5上に、仮想の複数のグリッド点Gn(n=1,2,・・・N)を設定する。走行路5が延びる方向をx方向と定義し、走行路5の幅方向をy方向と定義した場合に、グリッド点Gnは、x方向及びy方向に沿って格子状に配列されている。
【0024】
ECU10がグリッド点Gnを設定する範囲は、走行路5に沿って、距離Lだけ車両1の前方に亘っている。距離Lは、演算実行時の車両1の速度に基づいて計算される。本実施形態では、距離Lは、演算実行時の速度(V)で所定の固定時間t(例えば、3秒)に走行すると予想される距離である(L=V×t)。しかしながら、距離Lは、所定の固定距離(例えば、100m)であってもよいし、速度(及び加速度)の関数であってもよい。また、グリッド点Gnが設定される範囲の幅Wは、走行路5の幅と略等しい値に設定される。このような複数のグリッド点Gnの設定により、走行路5上の位置を特定することが可能になる。
【0025】
なお、図2に示される走行路5は直線区間であるため、グリッド点Gnは矩形状に配置されている。しかしながら、グリッド点Gnは走行路が延びる方向に沿って配置されるため、走行路がカーブ区間を含んでいる場合は、グリッド点Gnはカーブ区間の湾曲に沿って配置される。
【0026】
また、ECU10は、走行路情報と障害物情報に基づいて、経路候補RC(つまり、実際に車両1を走行させる目標経路となり得る候補)を設定するための演算を実行する。障害物情報は、車両1の進行方向の走行路5上の障害物(例えば、先行車両、駐車車両、歩行者、落下物等)の有無や、その移動方向、移動速度等に関する情報であり、カメラ21及びレーダ22により取得される。
【0027】
また、ECU10は、ステートラティス法を用いた経路探索により、複数の経路候補RCを設定する。ステートラティス法によれば、車両1の位置から、車両1の進行方向に存在するグリッド点Gnに向かって枝分かれするように、複数の経路候補RCが設定される。図2は、ECU10が設定する複数の経路候補RCの一部を示している。
【0028】
また、ECU10は、所定条件に基づいて、複数の経路候補RCの中から経路コストが最小である1つの経路候補RCを選択する。具体的には、まず、ECU10は、図2に示されるように、各経路候補RCに沿って複数のサンプリング点SPを設定するとともに、各サンプリング点SPにおける経路コストを計算する。次に、ECU10は、経路コストが最小である経路候補RCを選択し、目標経路として設定する。
【0029】
また、ECU10は、設定した目標経路に沿って車両1が走行するように、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、ステアリング制御システム33に対して制御信号を送信する。
【0030】
カメラ21は、本発明に係る走行路情報取得装置の一例であり、障害物情報取得装置の一例でもある。カメラ21は、車両1の周囲を撮影し、画像データを出力する。ECU10は、カメラ21から受信した画像データに基づいて、対象物(例えば、先行車両、駐車車両、歩行者、走行路、区画線(車線境界線、白線、黄線)、交通信号、交通標識、停止線、交差点、障害物等)を特定する。なお、ECU10は、交通インフラや車々間通信等により、外部から対象物の情報を取得してもよい。これにより、対象物の種類、相対位置、移動方向等が特定される。
【0031】
レーダ22は、本発明に係る走行路情報取得装置の一例であり、障害物情報取得装置の一例でもある。レーダ22は、対象物(特に、先行車両、駐車車両、歩行者、走行路5上の落下物等)の位置及び速度を測定する。レーダ22として、例えばミリ波レーダを用いることができる。レーダ22は、車両1の進行方向に電波を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や、車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、本実施形態において、レーダ22に代えて、レーザレーダや超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定してもよい。また、複数のセンサ類を用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。
【0032】
車速センサ23は、車両1の絶対速度を検出する。
加速度センサ24は、車両1の加速度(前後方向の縦加減速度、横方向の横加減速度)を検出する。
ヨーレートセンサ25は、車両1のヨーレートを検出する。
操舵角センサ26は、車両1のステアリングホイールの回転角度(操舵角)を検出する。ECU10は、車速センサ23が検出した絶対速度、及び、操舵角センサ26が検出した操舵角に基づいて所定の演算を実行することにより、車両1のヨー角(つまり、後述するx軸に対して車両1の前後方向が成す角度)を取得することができる。
アクセルセンサ27は、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。
ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。
【0033】
測位システム29は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。
ナビゲーションシステム30は、内部に地図情報を格納しており、ECU10に地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物等を特定する。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。
【0034】
エンジン制御システム31は、車両1のエンジンを制御する。ECU10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御システム31に対して、エンジン出力を変更するために制御信号を送信する。
【0035】
ブレーキ制御システム32は、車両1のブレーキ装置を制御する。ECU10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御システム32に対して、制動力を発生させるために制御信号を送信する。
【0036】
ステアリング制御システム33は、車両1のステアリング装置を制御する。ECU10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御システム33に対して、操舵方向を変更するために制御信号を送信する。
【0037】
次に、図2図4を参照しながら、経路候補RCを設定するための演算について説明する。図3及び図4は、経路候補RCの説明図である。図2は、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在しない場合における、経路候補RCを示している。図4は、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在する場合における、経路候補RCを示している。
【0038】
図2図4に示されるように、経路候補RCは、第1部分RC1及び第2部分RC2から成る。
【0039】
第1部分RC1は、始点P1sから終点P1eまで延びている。始点P1sは、演算実行時の車両1の位置である。始点P1sの座標は(x1s,y1s)で表される。図2図4に示される例では、車両1はxy座標の原点に位置しているため、始点P1sの座標は(0,0)である。終点P1eは、複数のグリッド点Gnのうち、後述する第2部分RC2の終点P2eを除いたグリッド点Gnである。終点P1eの座標は(x1e,y1e)で表される。
【0040】
第2部分RC2は、終点P1eにおいて第1部分RC1と連続しており、終点P2eまで延びている。つまり、第1部分RC1の終点P1eは、第2部分RC2の始点でもある。終点P2eは、複数のグリッド点Gnのうち、x方向において車両1から最も離間している複数のグリッド点Gnである。終点P2eの座標は(x2e,y2e)で表される。
【0041】
[障害物が存在しない場合]
まず、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在しない場合における、経路候補RCについて説明する。この場合、ECU10は、複数のグリッド点Gnのうち、x方向において車両1から最も離間している複数のグリッド点Gnを除くグリッド点Gnの全てを、終点P1eとして設定する。そして、ECU10は、始点P1sから終点P1eまで延びる第1部分RC1を設定する。
【0042】
次に、ECU10は、x方向において車両1から最も離間している複数のグリッド点Gnを終点P2eとして、各終点P1eから各終点P2eまで延びる第2部分RC2を設定する。そして、ECU10は、第1部分RC1及び第2部分RC2からなる曲線を、経路候補RCとして設定する。
【0043】
<第1部分RC1の設定>
ECU10は、第1部分RC1として設定する曲線として、式f1で示されるように、y座標がx座標を変数とする5次関数を暫定的に規定する。式f1は、本発明に係る第1関数の一例である。また、式f1に基づいてxy座標に描画される曲線は、本発明に係る第1曲線の一例である。
【数1】
【0044】
1~f1は未知の係数である。始点P1sから終点P1eまで延びる曲線を具体的に規定するためには、少なくとも6つの関係式を解いて、係数a1~f1を定める必要がある。そこで、ECU10は、式f1をxで1回~3回微分した式f2~f4を用意する。
【数2】
【0045】
始点P1sの座標(x1s,y1s)と、終点P1eの座標(x1e,y1e)は、それぞれ式f1の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f5,f6を得ることができる。
【数3】
【0046】
また、以下の説明では、図3に示されるように、車両1の前後方向に沿って延びる直線1Lがx軸に対して成す角度を「ヨー角」という。さらに、始点P1sにおけるヨー角をH1sとし、終点P1eにおけるヨー角をH1eとする。ヨー角H1s,H1eの単位は、いずれもラジアンである。
【0047】
始点P1sのx座標(x1s)と、始点P1sにおけるヨー角H1sの正接は、式f2の関係を満たす。また、終点P1eのx座標(x1e)と、終点P1eにおけるヨー角H1eの正接も、式f2の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f7,f8を得ることができる。
【数4】
【0048】
式f3は、xに対するy’の変化率を示すものであるから、ヨー角速度と相関がある。これより、始点P1sのx座標(x1s)と、始点P1sにおけるヨー角速度K1sは、概ね式f3の関係を満たす。また、終点P1eのx座標(x1e)と、終点P1eにおけるヨー角速度K1eも、概ね式f3の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f9,f10を得ることができる。
【数5】
【0049】
また、式f4は、xに対するy’’の変化率を示すものであるから、ヨー角加速度と相関がある。これより、始点P1sのx座標(x1s)と、始点P1sにおけるヨー角加速度K1s’は、概ね式f4の関係を満たす。また、終点P1eのx座標(x1e)と、ヨー角加速度K1e’も、概ね式f4の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f11,f12を得ることができる。
【数6】
【0050】
ECU10は、始点P1s及び終点P1eのそれぞれにおける車両1の状態(つまり、座標、ヨー角、ヨー角速度、ヨー角加速度)を示す複数の境界条件を適宜設定する。ECU10は、当該境界条件を適用して、8つの関係式f5~f12のうち少なくとも6つの関係式を解くことにより、係数a1~f1を定める。これにより、ECU10は、始点P1sから終点P1eまで延び、第1部分RC1として設定される曲線を、具体的に規定することができる。
【0051】
<第2部分RC2の設定>
ECU10は、第2部分RC2として設定する曲線として、式f13で示されるように、y座標がx座標を変数とする3次関数を暫定的に規定する。式f13は、本発明に係る第2関数の一例である。また、式f13に基づいてxy座標に描画される曲線は、本発明に係る第2曲線の一例である。
【数7】
【0052】
2~d2は未知の係数である。終点P1eから終点P2eまで延びる曲線を具体的に規定するためには、少なくとも4つの関係式を解いて、係数a2~d2を定める必要がある。そこで、ECU10は、式f13をxで1回~2回微分した式f14,f15を用意する。
【数8】
【0053】
終点P1eの座標(x1e,y1e)と、終点P2eの座標(x2e,y2e)は、それぞれ式f13の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f16,f17を得ることができる。
【数9】
【0054】
また、終点P1eのx座標(x1e)と、終点P1eにおけるヨー角H1eの正接は、式f14の関係を満たす。また、終点P2eのx座標(x2e)と、終点P2eにおけるヨー角H2eの正接も、式f14の関係を満たす。ヨー角H1e,H2eの単位は、いずれもラジアンである。したがって、ECU10は、関係式f18,f19を得ることができる。
【数10】
【0055】
また、式f15は、xに対するy’の変化率を示すものであるから、ヨー角速度と相関がある。これより、終点P1eのx座標(x1e)と、終点P1eにおけるヨー角速度K1eは、概ね式f15の関係を満たす。また、終点P2eのx座標(x2e)と、終点P2eにおけるヨー角速度K2eも、概ね式f15の関係を満たす。したがって、ECU10は、関係式f20,f21を得ることができる。
【数11】
【0056】
ECU10は、終点P1e及び終点P2eのそれぞれにおける車両1の状態(つまり、座標、ヨー角、ヨー角速度)を示す複数の境界条件を適宜設定する。ECU10は、当該境界条件を適用して、6つの関係式f16~f21のうち少なくとも4つの関係式を解くことにより、係数a2~d2を定める。これにより、ECU10は、終点P1eから終点P2eまで延び、第2部分RC2として設定される曲線を、具体的に規定することができる。
【0057】
[障害物が存在する場合]
次に、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在する場合における、経路候補RCについて説明する。図4は、車両1の進行方向の走行路5上に、障害物である先行車両1Aが存在する場合を示している。
【0058】
この場合でも、経路候補RCが、5次関数を用いて設定される第1部分RC1、及び、3次関数を用いて設定される第2部分RC2から成る点は、上述した障害物が存在しない場合と同様である。しかしながら、障害物が存在する場合は、第1部分RC1の終点P1eとして設定されるグリッド点Gnが限定される点で、障害物が存在しない場合と異なる。
【0059】
具体的には、図4に示されるように、グリッド点Gnが設定されている範囲に先行車両1Aが存在する場合、ECU10は、先行車両1Aよりも車両1から離間した位置に設定されているグリッド点Gnを終点P1eとする曲線と、当該グリッド点Gnを始点とする曲線と、規定しない。このため、先行車両1Aよりも車両1から離間した位置に設定されているグリッド点Gnを終点P1eとする第1部分RC1と、当該グリッド点Gnを始点とする第2部分RC2と、から成る経路候補RCは設定されない。
【0060】
より具体的には、グリッド点Gnが設定されている範囲に先行車両1Aが存在する場合、ECU10は、先行車両1A近傍のグリッド点Gnを終点P1eとする曲線と、当該グリッド点Gnを始点とする曲線と、のみを規定する。このため、先行車両1A近傍のグリッド点Gnを終点P1eとする第1部分RC1と、当該グリッド点Gnを始点とする第2部分RC2と、から成る経路候補RCのみが設定される。
【0061】
次に、図5を参照して、ECU10が運転支援制御を提供する際に実行する演算について説明する。図5は、ECU10が実行する演算を示すフローチャートである。ECU10は、図5に示される演算を繰返し実行する(例えば、0.05~0.2秒毎)。
【0062】
まず、ステップS1で、ECU10は、カメラ21、レーダ22、及びナビゲーションシステム30から走行路情報を取得する。
【0063】
次に、ステップS2で、ECU10は、走行路情報に基づいて、走行路5の形状(例えば、走行路5が延びる方向、走行路5の幅等)を特定するとともに、走行路5上に複数のグリッド点Gn(n=1,2,・・・N)を設定する。ECU10は、例えば、x方向に10m毎、y方向に0.875m毎にグリッド点Gnを設定する。
【0064】
次に、ステップS3で、ECU10は、カメラ21及びレーダ22から障害物情報を取得する。すなわち、ECU10は、車両1の進行方向の走行路5上の障害物の有無や、障害物の移動方向、移動速度等に関する情報を取得する。
【0065】
次に、ステップS4で、ECU10は、車両1の進行方向の走行路5上に障害物があるか否かを判定する。具体的には、ECU10は、ステップS3で取得した障害物情報に基づき、グリッド点Gnを設定した範囲に、先行車両や、駐車車両、歩行者等が存在するか否かを判定する。車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在しないと判定した場合(S4:NO)、ECU10は、ステップS5に進む。
【0066】
次に、ステップS5で、ECU10は、経路候補RCの第1部分RC1の終点P1eとして設定するグリッド点Gnを限定しないことを決定する。つまり、ECU10は、図2に示されるように、複数のグリッド点Gnのうち、x方向において車両1から最も離間している複数のグリッド点Gnを除いたものを、終点P1eとして設定する。
【0067】
ステップS7は、経路候補RCの設定(ステップS7a,S7b)と、サンプリング点SPの設定(ステップS7c)と、各経路候補RCの経路コストの計算(ステップS7d)と、を含んでいる。
【0068】
ステップ7aで、ECU10は、始点P1sから、終点P1eとして設定された全てのグリッド点Gnまで延びる第1部分RC1を設定する。上述したように、始点P1sは演算実行時の車両1の位置である。
【0069】
次に、ステップ7bで、ECU10は、第1部分RC1の終点P1eから、終点P2eとして設定された全てのグリッド点Gnまで延びる第部分RC 2 を設定する。上述したように、終点P2eは、複数のグリッド点Gnのうち、x方向において車両1から最も離間している複数のグリッド点Gnである。
【0070】
ステップ7aにより、複数の第1部分RC1が設定され、ステップ7bにより、第1部分RC1と連続する複数の第2部分RC2が設定される。複数の第1部分RC1及び第2部分RC2が設定されることにより、走行路5上に多数の経路候補RCが設定される。
【0071】
次に、ステップS7cで、ECU10は、複数のサンプリング点SP(図2参照)を設定する。サンプリング点SPは、ステップS7a,7により設定された各経路候補RCに沿って、x方向に等間隔(例えば、0.2m毎)に設定される。
【0072】
次に、ステップS7dで、ECU10は、各経路候補RCの各サンプリング点SPにおける経路コストを計算する。経路コストには、速度、加速度、横加速度、経路変化率、障害物等に関するコストが含まれる。これらのコストは適宜設定することができる。概略的には、経路コストは、移動コストと安全コストを含む。例えば、直線経路を走行する場合は、移動距離が短いため移動コストが小さくなるが、障害物等を回避する経路を走行する場合は、移動距離が長くなるため移動コストが大きくなる。また、横加速度が大きくなるほど移動コストは増大する。
【0073】
ECU10は、各経路候補RCの各サンプリング点SPに対して計算した経路コストのうち、最も大きな経路コストを、当該経路候補RCの経路コストとして、不図示のメモリに格納する。
【0074】
ECU10は、このようなステップS7の演算を、ステップS5において終点P1eとして設定した複数のグリッド点Gnの全てを対象として実行する。
【0075】
次に、ステップS8で、ECU10は、目標経路を設定する。具体的には、ECU10は、経路コストが最小の経路候補RCを選択し、当該経路候補RCを目標経路に設定する。
【0076】
次に、ステップS9で、ECU10は、目標経路に沿って車両1が走行するように、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、及びステアリング制御システム33に対して制御信号を送信する。
【0077】
これに対し、ステップS4で、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在すると判定した場合(S4:YES)、ECU10は、ステップS6に進む。
【0078】
ステップS6で、ECU10は、経路候補RCの第1部分RC1の終点P1eとして設定するグリッド点Gnを限定することを決定する。つまり、ECU10は、図4に示されるように、複数のグリッド点Gnのうち、障害物である先行車両1A近傍のグリッド点Gnのみを終点P1eとして設定する。
【0079】
この場合、ECU10は、次のステップS7の演算を、ステップS6において終点P1eとして設定した複数のグリッド点Gnの全てに対して実行する。このときステップ7a,7bにより設定される経路候補RCの総数は、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在しない場合(S4:NO)の経路候補RCの総数よりも少ない。これにより、ECU10の演算負荷が軽減される。
【0080】
また、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在すると判定した場合(S4:YES)、ステップ7cにより設定されるサンプリング点SPの総数も、車両1の進行方向の走行路5上に障害物が存在しない場合(S4:NO)の経路候補RCの総数よりも少ない。このため、次のステップ7dにおける経路コストを計算する際の負荷も軽減される。
【0081】
次に、本実施形態の運転支援システム100の作用について説明する。
【0082】
この構成によれば、演算装置であるECU10は、車両1に比較的近い範囲における経路候補RCを第1曲線により設定し、それ以遠の範囲における経路候補RCを第2曲線により設定する。5次関数で表される第1曲線は、多くの要件を満たす精緻な経路候補RCを設定することが可能であるが、規定する際の演算負荷は大きい。一方、3次関数で表される第2曲線は、満たし得る要件は第1曲線よりも少ないものの、規定する際の演算負荷は小さい。ECU10は、第2曲線を経路候補RCの一部として設定することにより、経路候補RCを設定する際の演算負荷を軽減することができる。
【0083】
ところで、走行路5上に障害物が存在する場合、車両1から障害物までの範囲における経路候補RCは、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等、種々の要求を満たすように、第1曲線により精緻に設定することが望ましい。一方、障害物以遠の範囲における経路候補RCについては、車両1から障害物までの範囲における経路候補RCほどの精緻さは求められない。
【0084】
そこで、上記構成によれば、ECU10は、カメラ21及びレーダ22が障害物を検出している場合は、当該障害物よりも車両1から離間した位置に設定されているグリッド点Gnを終点P1eとする第1曲線と、当該グリッド点Gnを始点とする第2曲線と、を規定しない。これにより、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等の要求を満たしつつ、経路候補RCを設定する際の演算負荷を軽減することができる。
【0085】
また、ECU10は、カメラ21及びレーダ22が障害物を検出している場合は、当該障害物近傍のグリッド点Gnを終点P1eとする第1曲線と、当該グリッド点Gnを始点とする第2曲線と、のみを規定する。
この構成によれば、障害物との衝突回避や、衝突回避の際に乗員に与える不快感の軽減等の要件を満たしつつ、経路候補RCを設定する際の演算負荷をさらに軽減することができる。
【0086】
また、第1関数は、x座標を変数とする5次関数である。
この構成によれば、5次関数をx座標で1回~3回微分することにより、車両1のヨー角、ヨー角速度、及びヨー角加速度と相関がある関係式を得ることができる。当該関係式により、車両1のヨー角、ヨー角速度、及びヨー角加速度を評価することが可能になる。この結果、ヨー方向における車両1の挙動を考慮し、乗員に与える不快感を軽減する経路候補RCを設定することが可能になる。
【0087】
また、第2関数は、x座標を変数とする3次関数である。
この構成によれば、3関数をx座標で1回~2回微分することにより、車両1のヨー角及びヨー角速度と相関がある関係式を得ることができる。当該関係式により、車両1のヨー角及びヨー角速度を評価することが可能になる。この結果、ヨー方向における車両1の挙動を考慮し、乗員に与える不快感を軽減する経路候補を設定することが可能になる。
【0088】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0089】
1 車両
1A 先行車両(障害物)
10 ECU(演算装置)
21 カメラ(走行路情報取得装置、障害物情報取得装置)
22 レーダ(走行路情報取得装置、障害物情報取得装置)
30 ナビゲーションシステム(走行路情報取得装置)
100 運転支援システム(経路候補設定システム)
n グリッド点
RC 経路候補
図1
図2
図3
図4
図5