(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20221129BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20221129BHJP
H01M 50/267 20210101ALI20221129BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/289 101
H01M50/267
(21)【出願番号】P 2017245480
(22)【出願日】2017-12-21
【審査請求日】2020-10-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 稔
(72)【発明者】
【氏名】岩嶋 泰行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-162390(JP,A)
【文献】特開2017-103159(JP,A)
【文献】特開2007-048750(JP,A)
【文献】国際公開第2012/117681(WO,A1)
【文献】特開2013-016441(JP,A)
【文献】特開2016-184470(JP,A)
【文献】特開2016-178085(JP,A)
【文献】中国実用新案第203760590(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365554(US,A1)
【文献】特開2014-182941(JP,A)
【文献】特開2014-182946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一蓄電素子と、第二蓄電素子と、前記第一蓄電素子の側方に配置される第一スペーサと、前記第二蓄電素子の側方に配置される第二スペーサとを備える蓄電装置であって、
前記第一蓄電素子は、第一電極端子と、前記第一電極端子が配置される第一面及び前記第一面に対向する第二面を有する第一容器と、を有し、
前記第二蓄電素子は、第二電極端子と、前記第二電極端子が配置される第三面及び前記第三面に対向する第四面を有する第二容器と、を有し、
前記第二スペーサは、
第一方向において前記第一蓄電素子及び前記第二蓄電素子の間に配置される本体部と、
前記本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において、前記第一面及び前記第二面と対向することなく前記第三面及び前記第四面の少なくとも一方と対向する位置に配置される突出部と、を有し、
前記本体部と前記突出部とは、一体的に形成され、
前記第一蓄電素子及び前記第一スペーサの少なくとも一方と前記本体部とは、互いに接着、溶着、溶接、または、ボルト締結されて接合されて
おり、
前記第一蓄電素子と前記本体部とが接合される場合、前記第一蓄電素子と前記本体部とは、互いに対向する面が互いに接合される
蓄電装置。
【請求項2】
前記第二蓄電素子と前記
本体部とは、
互いに対向する面が互いに接合されている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
さらに、前記第一蓄電素子とで前記第二蓄電素子を挟む第三蓄電素子と、第三スペーサとを備え、
前記第三蓄電素子は、第三電極端子と、前記第三電極端子が配置される第五面及び前記第五面に対向する第六面を有する第三容器と、を有し、
前記第三スペーサは、
前記第二蓄電素子及び前記第三蓄電素子の間に配置される本体部と、
前記第三スペーサの本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において、前記第三面及び前記第四面と対向することなく前記第五面及び前記第六面の少なくとも一方と対向する位置に配置される突出部と、を有し、
前記第二蓄電素子及び前記第二スペーサの少なくとも一方と前記第三スペーサの本体部とは、互いに接合されている
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第一電極端子の表面と前記第二電極端子の表面とは同一平面上に配置されており、
前記第一スペーサと前記第二スペーサとは、前記第二方向において、異なる位置に配置されている
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第一電極端子の表面と前記第二電極端子の表面とは同一平面上に配置されており、
前記第一面及び前記第三面は異なる平面上に配置されている、または、前記第二面及び前記第四面は異なる平面上に配置されている
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子と複数のスペーサとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子と複数のスペーサとを備える蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、複数の蓄電素子(電池セル)と複数のスペーサとを備え、それぞれのスペーサが、当該スペーサを挟む両側の蓄電素子の上面、側面及び底面に沿って突出する上壁部、側壁部及び底壁部を有する構成の蓄電装置(電池モジュール)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の蓄電装置では、製造が困難になる場合があるという問題がある。つまり、上記従来の蓄電装置においては、スペーサが、当該スペーサを挟む両側の蓄電素子の上面や底面に沿って突出する上壁部や底壁部を有しているため、当該両側の蓄電素子における相対的な高さ方向の移動が規制されてしまう。このため、例えば、蓄電素子の寸法精度のばらつき等によって当該両側の蓄電素子が有する電極端子の表面の高さが揃っていない場合に、当該電極端子の表面の高さを揃えるのが困難になり、当該電極端子とバスバーとの接合作業等の蓄電装置を製造する作業が困難になってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、製造を容易にすることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一蓄電素子と、第二蓄電素子と、前記第一蓄電素子の側方に配置される第一スペーサと、前記第二蓄電素子の側方に配置される第二スペーサとを備える蓄電装置であって、前記第一蓄電素子は、第一電極端子と、前記第一電極端子が配置される第一面及び前記第一面に対向する第二面を有する第一容器と、を有し、前記第二蓄電素子は、第二電極端子と、前記第二電極端子が配置される第三面及び前記第三面に対向する第四面を有する第二容器と、を有し、前記第二スペーサは、第一方向において前記第一蓄電素子及び前記第二蓄電素子の間に配置される本体部と、前記本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第一方向と交差する第二方向において、前記第一面及び前記第二面と対向することなく前記第三面及び前記第四面の少なくとも一方と対向する位置に配置される突出部と、を有し、前記第一蓄電素子及び前記第一スペーサの少なくとも一方と前記本体部とは、互いに接合されている。
【0007】
これによれば、蓄電装置は、第一蓄電素子と、第二蓄電素子と、第一蓄電素子の側方の第一スペーサと、第二蓄電素子の側方の第二スペーサとを備えている。そして、第二スペーサは、第一蓄電素子及び第二蓄電素子の間の本体部と、第一蓄電素子の電極端子側の第一面及びそれに対向する第二面と対向することなく、第二蓄電素子の電極端子側の第三面及びそれに対向する第四面の少なくとも一方と対向する突出部とを有している。さらに、第一蓄電素子及び第一スペーサの少なくとも一方と、第二スペーサの本体部とは、互いに接合されている。このように、第二スペーサが、本体部から第一蓄電素子側に突出することなく第二蓄電素子側に突出する突出部を有しているため、第二スペーサ及び第二蓄電素子を、第一蓄電素子とは独立して移動させることができる。このため、第二スペーサ及び第二蓄電素子を適切な位置に移動させて、第一蓄電素子及び第一スペーサの少なくとも一方と第二スペーサの本体部とを接合することで、第二蓄電素子を第一蓄電素子に対して適切な位置に固定することができる。例えば、第一蓄電素子及び第二蓄電素子において電極端子の高さ、または、容器の高さが異なることで、電極端子の表面の高さが揃っていないような場合には、電極端子の表面の高さが揃った状態で、第二蓄電素子を第一蓄電素子に対して固定することができる。これにより、蓄電装置の製造を容易にすることができる。
【0008】
また、前記第二蓄電素子と前記第二スペーサとは、互いに接合されていることにしてもよい。
【0009】
これによれば、蓄電装置において、第二蓄電素子と第二スペーサとが接合されていることで、第二蓄電素子と第二スペーサとが一体で動く。このため、第一蓄電素子及び第一スペーサの少なくとも一方と第二スペーサの本体部とを接合することで、第二蓄電素子を第一蓄電素子に対して適切な位置に容易に固定することができる。これにより、蓄電装置の製造を容易にすることができる。
【0010】
また、さらに、前記第一蓄電素子とで前記第二蓄電素子を挟む第三蓄電素子と、第三スペーサとを備え、前記第三蓄電素子は、第三電極端子と、前記第三電極端子が配置される第五面及び前記第五面に対向する第六面を有する第三容器と、を有し、前記第三スペーサは、前記第二蓄電素子及び前記第三蓄電素子の間に配置される本体部と、前記第三スペーサの本体部から前記第一方向に突出し、かつ、前記第二方向において、前記第三面及び前記第四面と対向することなく前記第五面及び前記第六面の少なくとも一方と対向する位置に配置される突出部と、を有し、前記第二蓄電素子及び前記第二スペーサの少なくとも一方と前記第三スペーサの本体部とは、互いに接合されていることにしてもよい。
【0011】
これによれば、蓄電装置は、第三蓄電素子と第三スペーサとをさらに備えている。そして、第三スペーサは、第二蓄電素子及び第三蓄電素子の間の本体部と、第二蓄電素子の電極端子側の第三面及びそれに対向する第四面と対向することなく、第三蓄電素子の電極端子側の第五面及びそれに対向する第六面の少なくとも一方と対向する突出部とを有している。さらに、第二蓄電素子及び第二スペーサの少なくとも一方と、第三スペーサの本体部とは、互いに接合されている。このように、第三スペーサが、本体部から第二蓄電素子側に突出することなく第三蓄電素子側に突出する突出部を有しているため、第三スペーサ及び第三蓄電素子を、第二蓄電素子とは独立して移動させることができる。このため、第三スペーサ及び第三蓄電素子を適切な位置に移動させて、第二蓄電素子及び第二スペーサの少なくとも一方と第三スペーサの本体部とを接合することで、第三蓄電素子を第二蓄電素子に対して適切な位置に固定することができる。また、第二蓄電素子を、第一蓄電素子及び第三蓄電素子の間で、第一蓄電素子及び第三蓄電素子に対して適切な位置にしっかりと固定することもできる。これにより、蓄電装置の製造を容易にすることができる。
【0012】
また、前記第一電極端子の表面と前記第二電極端子の表面とは同一平面上に配置されており、前記第一スペーサと前記第二スペーサとは、前記第二方向において、異なる位置に配置されていることにしてもよい。
【0013】
これによれば、蓄電装置において、第一蓄電素子の電極端子の表面と第二蓄電素子の電極端子の表面とが同一平面上に配置されており、第一スペーサと第二スペーサとは、高さ方向において、異なる位置に配置されている。このように、例えば、第一蓄電素子及び第二蓄電素子において電極端子の高さ、または、容器の高さが異なることで、電極端子の表面の高さが揃っていないような場合でも、第一スペーサと第二スペーサとが配置される高さを異ならせることで、電極端子の表面の高さを揃えることができる。これにより、蓄電装置の製造を容易にすることができる。
【0014】
また、前記第一電極端子の表面と前記第二電極端子の表面とは同一平面上に配置されており、前記第一面及び前記第三面は異なる平面上に配置されている、または、前記第二面及び前記第四面は異なる平面上に配置されていることにしてもよい。
【0015】
これによれば、蓄電装置において、第一蓄電素子の電極端子の表面と第二蓄電素子の電極端子の表面とが同一平面上に配置されており、第一蓄電素子の第一面または第二面と、第二蓄電素子の第三面または第四面とは、異なる平面上に配置されている。このように、例えば、第一蓄電素子及び第二蓄電素子において電極端子の高さ、または、容器の高さが異なることで、電極端子の表面の高さが揃っていないような場合でも、第一蓄電素子の第一面または第二面と第二蓄電素子の第三面または第四面との高さを異ならせることで、電極端子の表面の高さを揃えることができる。これにより、蓄電装置の製造を容易にすることができる。
【0016】
なお、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える蓄電素子及びスペーサとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るスペーサの外観を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る蓄電素子とスペーサとの位置関係を示す側面図である。
【
図5】実施の形態に係る蓄電素子の電極端子の高さが異なる場合の蓄電素子の製造方法を説明する図である。
【
図6】実施の形態に係る蓄電素子の容器の高さが異なる場合の蓄電素子の製造方法を説明する図である。
【
図7】実施の形態の変形例に係る蓄電素子とスペーサとの位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における電極端子(つまり、正極端子及び負極端子)の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、蓄電素子及びスペーサの並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、当該容器の厚さ方向、または、スペーサの厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体本体と蓋との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、蓄電素子の容器の短側面の長手方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0021】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。なお、同図は、蓄電装置10の外装体400を点線で示して外装体400を透視し、蓄電装置10の内部を示した図となっている。
【0022】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0023】
図1に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200と、複数の蓄電素子100を電気的に接続する複数のバスバー300と、当該複数の蓄電素子100等を収容する外装体400とを備えている。なお、蓄電装置10は、バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム、蓄電素子100を拘束する拘束部材やエンドプレート、蓄電素子100の充電状態や放電状態を監視するための回路基板やリレー等の電気機器なども備えていてもよいが、これらの図示は省略し、詳細な説明も省略する。
【0024】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、4個の蓄電素子100(第一蓄電素子100a~第四蓄電素子100d)がY軸方向に配列されて、直列に接続されている。
【0025】
なお、蓄電素子100の個数は4個に限定されず、4個以外の複数個数であってもよい。また、本実施の形態では、直方体形状(角型)の蓄電素子100を図示しているが、蓄電素子100の形状は、直方体形状には限定されず、長円柱形状や円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。また、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。この蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0026】
スペーサ200は、それぞれの蓄電素子100の側方(Y軸方向プラス側)に配置される、当該蓄電素子100と他の部材とを絶縁する板状部材である。つまり、スペーサ200は、Y軸方向に並べられて隣り合う2つの蓄電素子100の間等に配置され、当該2つの蓄電素子100間等を絶縁する。本実施の形態では、4個の蓄電素子100のそれぞれの側方に、4つのスペーサ200(第一スペーサ200a~第四スペーサ200d)が配置されている。これにより、蓄電素子100とスペーサ200とが、Y軸方向に交互に配列された構成となっている。
【0027】
また、スペーサ200は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性部材、マイカ片を集積し結合することで構成されるダンマ材等の断熱性部材、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、カゼイン樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性(及び耐熱性)部材、または、セラミックス等の耐熱性部材などで形成することができる。なお、スペーサ200は、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもよく、また、全てが同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサ200が異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。このスペーサ200の構成の詳細な説明については、後述する。
【0028】
バスバー300は、複数の蓄電素子100の上方に配置される部材である。バスバー300は、導電性の矩形状かつ平板状の部材であり、複数の蓄電素子100同士を電気的に接続する。具体的には、バスバー300は、隣接する蓄電素子100において、一の蓄電素子100の正極端子または負極端子と、他の蓄電素子100の負極端子または正極端子とを電気的に接続する。ここで、バスバー300は、アルミニウムなどの溶接可能な金属製の部材で形成されている。
【0029】
つまり、例えば、バスバー300は、一端が第一蓄電素子100aの正極端子に溶接により接合され、他端が第二蓄電素子100bの負極端子に溶接により接合されることで、第一蓄電素子100aの正極端子と第二蓄電素子100bの負極端子とを電気的に接続する。また、同様に、バスバー300は、一端が第二蓄電素子100bの正極端子に溶接により接合され、他端が第三蓄電素子100cの負極端子に溶接により接合されることで、第二蓄電素子100bの正極端子と第三蓄電素子100cの負極端子とを電気的に接続する。このようにして、バスバー300は、複数の蓄電素子100を直列に接続する。
【0030】
なお、バスバー300は、複数の蓄電素子100を並列に接続するように配置されていてもかまわない。また、バスバー300の材質は、アルミニウムには限定されず、アルミニウム合金、銅、銅合金やステンレス鋼など溶接可能な金属であればよい。また、バスバー300は、単一の金属ではなく、複合金属からなるバスバーであってもよく、例えば、アルミニウムと銅とがクラッド接合されたバスバーでもよい。この場合、例えば、蓄電素子100の電極端子のうちのアルミニウム製の正極端子とバスバー300のアルミニウム部分とを溶接し、銅製の負極端子とバスバー300の銅部分とを溶接すればよい。また、バスバー300は、金属にも限定されず、溶接可能な導電性の部材であればよい。また、バスバー300の形状は、矩形状かつ平板状には限定されず、溶接可能な形状であればよい。
【0031】
外装体400は、蓄電装置10の外装体を構成する略直方体形状(箱型)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体400は、複数の蓄電素子100、複数のスペーサ200及び複数のバスバー300等の外方に配置され、これら蓄電素子100等を所定の位置に配置し、衝撃などから保護する。また、外装体400は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。外装体400は、これにより、蓄電素子100等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0032】
具体的には、外装体400は、箱型の本体部分と蓋部分(図示せず)とを有しており、外装体400内に、複数の蓄電素子100、複数のスペーサ200及び複数のバスバー300等が収容される。また、外装体400には、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電するための外部接続端子(正極側及び負極側の外部接続端子)が設けられているが、図示及び詳細な説明は省略する。なお、蓄電装置10は、この外部接続端子と、複数の蓄電素子100のうちの端部の蓄電素子100の電極端子(バスバー300と接続されていない方の電極端子)とを接続するバスバーも備えているが、この図示及び詳細な説明も省略する。なお、外装体400の形状及び材質は、特に限定されない。
【0033】
[2 蓄電素子100の詳細な説明]
次に、蓄電素子100(第一蓄電素子100a~第四蓄電素子100d)の構成について、詳細に説明する。なお、第一蓄電素子100a~第四蓄電素子100dは、全て同様の構成を有するため、以下では、蓄電素子100として説明する。
図2は、本実施の形態に係る蓄電素子100の外観を示す斜視図である。
【0034】
図2に示すように、蓄電素子100は、容器110と、2つの電極端子120(正極端子及び負極端子)とを備えている。また、容器110の内方には、電極体、集電体(正極集電体及び負極集電体)、及び電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0035】
容器110は、蓋体111と、蓋体111に閉塞される開口が形成された容器本体112とを有する直方体形状(角型)の容器である。蓋体111は、容器110の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体112のZ軸方向プラス側に配置されている。また、容器本体112は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸方向両側の側面に2つの長側面部113及び114、X軸方向両側の側面に2つの短側面部115及び116、並びに、Z軸方向マイナス側に底面部117を有している。長側面部113及び114は、容器110の長側面を形成する矩形状かつ板状の部位であり、短側面部115及び116は、容器110の短側面を形成する矩形状かつ板状の部位であり、底面部117は、容器110の底面を形成する矩形状かつ板状の部位である。
【0036】
具体的には、容器110は、電極体等を容器本体112の内方に収容後、蓋体111と容器本体112とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。なお、容器110(蓋体111及び容器本体112)の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。また、蓋体111には、容器110内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁118が設けられている。また、蓋体111には、電解液を注液する注液部等も設けられていてもよいし、容器110を覆う絶縁シートが配置されていてもよい。
【0037】
電極端子120は、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続される端子(正極端子及び負極端子)である。つまり、電極端子120は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。具体的には、電極端子120は、かしめ等によって、集電体とともに蓋体111に取り付けられて固定されている。なお、電極端子120は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または、銅合金などで形成されている。
【0038】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。ここで、電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極板は、銅または銅合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。また、集電体は、電極端子120と電極体とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0039】
なお、以下では、第一蓄電素子100a~第四蓄電素子100dが有する容器110及び電極端子120を、それぞれ、第一容器110a~第四容器110d及び第一電極端子120a~第四電極端子120dとも呼ぶこととする。また、第一容器110a~第四容器110dが有する蓋体111、長側面部113、114及び底面部117を、それぞれ、第一蓋体111a~第四蓋体111d、第一長側面部113a、114a~第四長側面部113d、114d及び第一底面部117a~第四底面部117dとも呼ぶこととする。
【0040】
また、第一蓋体111aの表面(外面、上面、つまり、Z軸方向プラス側の面)を第一面とも呼び、第一底面部117aの表面(外面、下面、つまり、Z軸方向マイナス側の面)を第二面とも呼ぶこととする。つまり、第一面は、第一電極端子120aが配置されている面であり、第二面は、第一面に対向する面である。また、第二蓋体111bの表面(外面、上面、つまり、Z軸方向プラス側の面)を第三面とも呼び、第二底面部117bの表面(外面、下面、つまり、Z軸方向マイナス側の面)を第四面とも呼ぶこととする。つまり、第三面は、第二電極端子120bが配置されている面であり、第四面は、第三面に対向する面である。また、第三蓋体111cの表面(外面、上面、つまり、Z軸方向プラス側の面)を第五面とも呼び、第三底面部117cの表面(外面、下面、つまり、Z軸方向マイナス側の面)を第六面とも呼ぶこととする。つまり、第五面は、第三電極端子120cが配置されている面であり、第六面は、第五面に対向する面である。
【0041】
[3 スペーサ200の詳細な説明]
次に、スペーサ200(第一スペーサ200a~第四スペーサ200d)の構成について、詳細に説明する。なお、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dは、全て同様の構成を有するため、以下では、スペーサ200として説明する。
図3は、本実施の形態に係るスペーサ200の外観を示す斜視図である。
【0042】
図3に示すように、スペーサ200は、スペーサ200の本体部を構成するスペーサ本体部210と、スペーサ本体部210の上部からY軸方向(以下、第一方向ともいう)に突出する上部突出部220と、スペーサ本体部210の下部からY軸方向(第一方向)に突出する下部突出部230とを備えている。スペーサ本体部210は、X軸方向及びZ軸方向に延設された、XZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位である。具体的には、スペーサ本体部210は、蓄電素子100の容器110の長側面部113及び114と略同じ大きさ及び形状を有している。これにより、スペーサ本体部210は、蓄電素子100の容器110の長側面部113の側方(Y軸方向プラス側)において、長側面部113の表面(Y軸方向プラス側の面)のほぼ全面に対向して配置される。
【0043】
上部突出部220は、スペーサ本体部210の上端縁からY軸方向マイナス側に突出して延びるXY平面に平行な矩形状かつ平板状の部位であり、本実施の形態では、2つの上部突出部220がX軸方向に並んで配置されている。具体的には、上部突出部220は、X軸方向においては、電極端子120とガス排出弁118との間に配置され、かつ、Y軸方向においては、蓋体111の一端縁から他端縁まで延設された形状を有している。これにより、上部突出部220は、蓄電素子100の容器110の蓋体111の上方(Z軸方向プラス側)において、蓋体111の表面(Z軸方向プラス側の面)のうちの電極端子120とガス排出弁118との間の領域に対向して配置される。
【0044】
下部突出部230は、スペーサ本体部210の下端縁からY軸方向マイナス側に突出して延び、かつ、X軸方向に延設された、XY平面に平行な矩形状かつ平板状の部位である。具体的には、下部突出部230は、蓄電素子100の容器110の底面部117と略同じ大きさ及び形状を有している。これにより、下部突出部230は、蓄電素子100の容器110の底面部117の下方(Z軸方向マイナス側)において、底面部117の表面(Z軸方向マイナス側の面)のほぼ全面に対向して配置される。
【0045】
以下では、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dが有するスペーサ本体部210を、それぞれ、第一スペーサ本体部210a~第四スペーサ本体部210dとも呼ぶこととする。また、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dが有する上部突出部220及び下部突出部230を、それぞれ、第一上部突出部220a~第四上部突出部220d及び第一下部突出部230a~第四下部突出部230dとも呼ぶこととする。なお、第一スペーサ本体部210a~第四スペーサ本体部210dは、それぞれ、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dの本体部の一例である。また、第一上部突出部220a~第四上部突出部220dは、それぞれ、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dの突出部の一例であり、第一下部突出部230a~第四下部突出部230dについても、それぞれ、第一スペーサ200a~第四スペーサ200dの突出部の一例である。
【0046】
[4 蓄電素子100とスペーサ200との位置関係の説明]
次に、蓄電素子100とスペーサ200との位置関係について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る蓄電素子100とスペーサ200との位置関係を示す側面図である。なお、同図では、説明の便宜のため、第一蓄電素子100a~第三蓄電素子100c及び第一スペーサ200a~第三スペーサ200cのみ図示している。
【0047】
図4に示すように、第一蓄電素子100aとで第二蓄電素子100bを挟むように、第三蓄電素子100cが配置されている。また、第一蓄電素子100aの側方(Y軸方向プラス側)に第一スペーサ200aが配置され、第二蓄電素子100bの側方(Y軸方向プラス側)に第二スペーサ200bが配置され、第三蓄電素子100cの側方(Y軸方向プラス側)に第三スペーサ200cが配置されている。
【0048】
このような構成において、第一スペーサ200aの第一スペーサ本体部210aは、第一方向(Y軸方向)において、第一蓄電素子100aの側方(Y軸方向プラス側)に配置されている。また、第一スペーサ200aの第一上部突出部220a及び第一下部突出部230aは、第一スペーサ本体部210aから第一方向に突出し、かつ、第一方向と交差する第二方向(Z軸方向)において、第一面及び第二面の少なくとも一方と対向する位置に配置されている。つまり、第一上部突出部220aは、第一面(第一蓋体111aの表面)と対向する位置に配置され、第一下部突出部230aは、第二面(第一底面部117aの表面)と対向する位置に配置されている。
【0049】
また、第二スペーサ200bの第二スペーサ本体部210bは、第一方向(Y軸方向)において、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bの間に配置されている。また、第二スペーサ200bの第二上部突出部220b及び第二下部突出部230bは、第二スペーサ本体部210bから第一方向に突出し、かつ、第二方向(Z軸方向)において、第一面及び第二面と対向することなく、第三面及び第四面の少なくとも一方と対向する位置に配置されている。つまり、第二上部突出部220bは、第一面(第一蓋体111aの表面)と対向することなく、第三面(第二蓋体111bの表面)と対向する位置に配置されている。また、第二下部突出部230bは、第二面(第一底面部117aの表面)と対向することなく、第四面(第二底面部117bの表面)と対向する位置に配置されている。
【0050】
また、第三スペーサ200cの第三スペーサ本体部210cは、第一方向(Y軸方向)において、第二蓄電素子100b及び第三蓄電素子100cの間に配置されている。また、第三スペーサ200cの第三上部突出部220c及び第三下部突出部230cは、第三スペーサ本体部210cから第一方向に突出し、かつ、第二方向(Z軸方向)において、第三面及び第四面と対向することなく、第五面及び第六面の少なくとも一方と対向する位置に配置されている。つまり、第三上部突出部220cは、第三面(第二蓋体111bの表面)と対向することなく、第五面(第三蓋体111cの表面)と対向する位置に配置されている。また、第三下部突出部230cは、第四面(第二底面部117bの表面)と対向することなく、第六面(第三底面部117cの表面)と対向する位置に配置されている。
【0051】
さらに、第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとは、互いに接合されている。つまり、第一蓄電素子100aと、第一スペーサ200aの第一スペーサ本体部210a、第一上部突出部220a及び第一下部突出部230aのうちの少なくとも1つとが接合されている。本実施の形態では、第一容器110aの第一長側面部113aと第一スペーサ本体部210aとが接合されている。なお、当該接合に加えて、または、当該接合に代えて、第一蓋体111aと第一スペーサ本体部210aとが接合されていることにしてもよいし、これらの接合に加えて、または、これらの接合に代えて、第一底面部117aと第一下部突出部230aとが接合されていることにしてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとは、接着剤による接着によって接合されている。なお、当該接合の方法は、接着剤による接着には限定されず、両面テープによる接着(粘着)、マジックテープ(登録商標)またはベルクロ(登録商標)テープ等の面ファスナー構造による接着、溶着(熱溶着)、溶接、ボルト締結等の方法によって接合されることにしてもよい。または、第一スペーサ200aの内面にリブを設けて第一蓄電素子100aを第一スペーサ200aに圧入する等によって、第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとを嵌合することにより接合することにしてもよい。
【0053】
また、第一蓄電素子100a及び第一スペーサ200aの少なくとも一方と、第二スペーサ200bの第二スペーサ本体部210bとは、互いに接合されている。本実施の形態では、第一蓄電素子100aの第一容器110aの第一長側面部114aと、第二スペーサ本体部210bとが接合されている。なお、当該接合に加えて、または、当該接合に代えて、第一スペーサ200aの第一上部突出部220a及び第一下部突出部230aの少なくとも一方と、第二スペーサ本体部210bとが接合されていることにしてもよい。当該接合の方法は、第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとの接合の場合と同様である。
【0054】
また、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとは、互いに接合されている。なお、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとの接合は、上述の第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとの接合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
また、第二蓄電素子100b及び第二スペーサ200bの少なくとも一方と、第三スペーサ200cの第三スペーサ本体部210cとは、互いに接合されている。なお、この接合については、上述の第一蓄電素子100a及び第一スペーサ200aの少なくとも一方と、第二スペーサ200bの第二スペーサ本体部210bとの接合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
さらに、第三蓄電素子100cと第三スペーサ200cとも、互いに接合されているが、これについても、上述の第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとの接合等と同様であるため、詳細な説明は省略する。その他、第三蓄電素子100c及び第三スペーサ200cと第四スペーサ200dとの接合や、第四蓄電素子100dと第四スペーサ200dとの接合についても、同様である。
【0057】
[5 蓄電素子100の製造方法の説明]
次に、蓄電素子100の製造方法について、詳細に説明する。具体的には、蓄電素子100の高さが揃っていない場合において、電極端子120の表面の高さを揃える方法について、説明する。
図5は、本実施の形態に係る蓄電素子100の電極端子120の高さが異なる場合の蓄電素子100の製造方法を説明する図である。また、
図6は、本実施の形態に係る蓄電素子100の容器110の高さが異なる場合の蓄電素子100の製造方法を説明する図である。なお、これらの図は、
図4に対応する図であり、説明の便宜のため、第一蓄電素子100a~第三蓄電素子100c及び第一スペーサ200a~第三スペーサ200cのみ図示している。
【0058】
図5に示すように、第二蓄電素子100bの第二電極端子120bの高さが、第一蓄電素子100aの第一電極端子120aの高さ、及び、第三蓄電素子100cの第三電極端子120cの高さよりも大きいものとする。この場合、1つの蓄電素子100と1つのスペーサ200とが一体化されたユニットを、ユニット単位でスペーサ200の下方から押圧して、電極端子120の高さを揃え、ユニット同士を接合する。
【0059】
具体的には、まず、第一蓄電素子100aと第一スペーサ200aとを接合してユニット化し、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとを接合してユニット化し、第三蓄電素子100cと第三スペーサ200cとを接合してユニット化し、Y軸方向に並べる。そして、第一スペーサ200aの第一下部突出部230a、第二スペーサ200bの第二下部突出部230b、及び、第三スペーサ200cの第三下部突出部230cを下方から押して、第一電極端子120a、第二電極端子120b及び第三電極端子120cの表面の高さを揃える。そして、第一蓄電素子100aと第二スペーサ200bとを接合し、第二蓄電素子100bと第三スペーサ200cとを接合する。
【0060】
これによって、第一電極端子120aの表面と、第二電極端子120bの表面と、第三電極端子120cの表面とは、同一平面P1上に配置されることとなる。また、第一蓋体111aの表面及び第三蓋体111cの表面は、平面P2上に配置され、第二蓋体111bの表面は、平面P3上に配置されるため、第一面(第一蓋体111aの表面)及び第三面(第二蓋体111bの表面)は、異なる平面上に配置されることとなる。また、第一底面部117aの表面及び第三底面部117cの表面は、平面P4上に配置され、第二底面部117bの表面は、平面P5上に配置されるため、第二面(第一底面部117aの表面)及び第四面(第二底面部117bの表面)は、異なる平面上に配置されることとなる。さらに、第一スペーサ200a及び第三スペーサ200cと第二スペーサ200bとは、第二方向(Z軸方向)において、異なる位置に配置されることとなる。
【0061】
また、
図6に示すように、第二蓄電素子100bの第二容器110bの高さが、第一蓄電素子100aの第一容器110aの高さ、及び、第三蓄電素子100cの第三容器110cの高さよりも小さいものとする。この場合においても、蓄電素子100とスペーサ200とが一体化されたユニットを、ユニット単位でスペーサ200の下方から押圧して、電極端子120の高さを揃え、ユニット同士を接合する。具体的な方法は、
図5における方法と同様である。
【0062】
これによって、第一電極端子120aの表面と、第二電極端子120bの表面と、第三電極端子120cの表面とは、同一平面P1上に配置される。また、第一蓋体111aの表面、第三蓋体111cの表面、及び、第二蓋体111bの表面は、平面P2上に配置される。また、第一底面部117aの表面及び第三底面部117cの表面は、平面P4上に配置され、第二底面部117bの表面は、平面P6上に配置されるため、第二面(第一底面部117aの表面)及び第四面(第二底面部117bの表面)は、異なる平面上に配置される。さらに、第一スペーサ200a及び第三スペーサ200cと第二スペーサ200bとは、第二方向(Z軸方向)において、異なる位置に配置される。なお、第二蓋体111bと第二上部突出部220bとを当接させた状態で、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとを接合した場合には、第一スペーサ200a、第二スペーサ200b及び第三スペーサ200cは、第二方向(Z軸方向)において、同じ位置に配置されることとなる。
【0063】
なお、上記の同一平面上とは、完全に同一であることには限定されず、実質的に同一であればよい。例えば、バスバー300と電極端子120とを溶接する際に、溶接不良を起こさない程度の差(例えばZ軸方向において0.3mm程度以内の差)は許容される。
【0064】
[6 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、第二スペーサ200bは、第二スペーサ本体部210bと、第一蓄電素子100aの第一面及び第二面と対向することなく第二蓄電素子100bの第三面及び第四面の少なくとも一方と対向する突出部(第二上部突出部220b及び第二下部突出部230b)とを有している。さらに、第一蓄電素子100a及び第一スペーサ200aの少なくとも一方と、第二スペーサ本体部210bとは、互いに接合されている。このように、第二スペーサ200bが、第二スペーサ本体部210bから第一蓄電素子100a側に突出することなく第二蓄電素子100b側に突出する突出部を有しているため、第二スペーサ200b及び第二蓄電素子100bを、第一蓄電素子100aとは独立して移動させることができる。このため、第二スペーサ200b及び第二蓄電素子100bを適切な位置に移動させて、第一蓄電素子100a及び第一スペーサ200aの少なくとも一方と第二スペーサ本体部210bとを接合することで、第二蓄電素子100bを第一蓄電素子100aに対して適切な位置に固定することができる。例えば、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bにおいて電極端子120の高さ、または、容器110の高さが異なることで、電極端子120の表面の高さが揃っていないような場合には、電極端子120の表面の高さが揃った状態で、第二蓄電素子100bを第一蓄電素子100aに対して固定することができる。これにより、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0065】
例えば、蓄電素子100の電極端子120の表面の高さを揃えることができれば、電極端子120とバスバー300とを抵抗溶接等の溶接にて接合する場合に、溶接作業が容易になり、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。なお、電極端子120とバスバー300との接合は、抵抗溶接には限定されず、レーザ溶接、超音波接合、かしめ接合等の接合であってもよい。
【0066】
また、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとが接合されていることで、第二蓄電素子100bと第二スペーサ200bとが一体で動く。このため、第一蓄電素子100a及び第一スペーサ200aの少なくとも一方と第二スペーサ本体部210bとを接合することで、第二蓄電素子100bを第一蓄電素子100aに対して適切な位置に容易に固定することができる。これにより、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0067】
また、第三スペーサ200cは、第三スペーサ本体部210cと、第二蓄電素子100bの第三面及び第四面と対向することなく第三蓄電素子100cの第五面及び第六面の少なくとも一方と対向する突出部(第三上部突出部220c及び第三下部突出部230c)とを有している。さらに、第二蓄電素子100b及び第二スペーサ200bの少なくとも一方と、第三スペーサ本体部210cとは、互いに接合されている。このように、第三スペーサ200cが、第三スペーサ本体部210cから第二蓄電素子100b側に突出することなく第三蓄電素子100c側に突出する突出部を有しているため、第三スペーサ200c及び第三蓄電素子100cを、第二蓄電素子100bとは独立して移動させることができる。このため、第三スペーサ200c及び第三蓄電素子100cを適切な位置に移動させて、第二蓄電素子100b及び第二スペーサ200bの少なくとも一方と第三スペーサ本体部210cとを接合することで、第三蓄電素子100cを第二蓄電素子100bに対して適切な位置に固定することができる。また、第二蓄電素子100bを、第一蓄電素子100a及び第三蓄電素子100cの間で、第一蓄電素子100a及び第三蓄電素子100cに対して適切な位置にしっかりと固定することもできる。これにより、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0068】
また、蓄電素子100の高さが異なる場合には、第一蓄電素子100aの第一電極端子120aの表面と第二蓄電素子100bの第二電極端子120bの表面とが同一平面上に配置され、第一スペーサ200aと第二スペーサ200bとは、高さ方向において、異なる位置に配置される。このように、例えば、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bにおいて電極端子120の高さ、または、容器110の高さが異なることで、電極端子120の表面の高さが揃っていないような場合でも、第一スペーサ200aと第二スペーサ200bとが配置される高さを異ならせることで、電極端子120の表面の高さを揃えることができる。これにより、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0069】
また、蓄電素子100の高さが異なる場合には、第一蓄電素子100aの第一電極端子120aの表面と第二蓄電素子100bの第二電極端子120bの表面とが同一平面上に配置され、第一蓄電素子100aの第一面または第二面と、第二蓄電素子100bの第三面または第四面とは、異なる平面上に配置される。このように、例えば、第一蓄電素子100a及び第二蓄電素子100bにおいて電極端子120の高さ、または、容器110の高さが異なることで、電極端子120の表面の高さが揃っていないような場合でも、第一蓄電素子100aの第一面または第二面と第二蓄電素子100bの第三面または第四面との高さを異ならせることで、電極端子120の表面の高さを揃えることができる。これにより、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0070】
なお、上記では、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のうちの第一蓄電素子100a~第三蓄電素子100c及び第一スペーサ200a~第三スペーサ200cの関係について説明したが、その他の蓄電素子100及びスペーサ200の関係についても同様である。
【0071】
[7 変形例の説明]
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。
図7は、本実施の形態の変形例に係る蓄電素子100とスペーサ200との位置関係を示す側面図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図4に対応する図である。
【0072】
図7に示すように、本変形例では、スペーサ200として、上記実施の形態の第一スペーサ200a~第三スペーサ200cに代えて、第一スペーサ200e~第三スペーサ200gが配置されている。ここで、本変形例における第一スペーサ200e~第三スペーサ200gは、上記実施の形態における第一下部突出部230a~第三下部突出部230cを有していない。つまり、第一スペーサ200e~第三スペーサ200gは、上記実施の形態における第一スペーサ200a~第三スペーサ200cから、第一下部突出部230a~第三下部突出部230cを取り除いたような形状を有している。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0073】
このような構成においても、蓄電素子100とスペーサ200とが一体化されたユニットを、ユニット単位で蓄電素子100の下方から押圧して、電極端子120の高さを揃え、ユニット同士を接合する。これにより、それぞれの蓄電素子100の電極端子120の高さが揃った状態で、固定することができる。
【0074】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、第一スペーサ200e~第三スペーサ200gは、第一下部突出部230a~第三下部突出部230cを有していないため、構成を簡素化することができ、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。また、蓄電装置の下方に水冷等の冷却装置を配置する場合には、当該冷却装置と蓄電素子100とを近付けるために、第一下部突出部230a~第三下部突出部230cを有していない本変形例の構成が好ましい。
【0075】
なお、第一スペーサ200e~第三スペーサ200gは、上記実施の形態における第一下部突出部230a~第三下部突出部230cではなくて、第一上部突出部220a~第三上部突出部220cを有していないことにしてもよい。これによっても、構成を簡素化することができ、蓄電装置10の製造を容易にすることができる。
【0076】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0077】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、全ての蓄電素子100及びスペーサ200が上記の構成を有していることとした。しかし、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のうちの少なくとも2組の蓄電素子100及びスペーサ200が、上記の第一蓄電素子100a、第二蓄電素子100b、第一スペーサ及び第二スペーサの構成を有していればよい。
【0078】
また、上記実施の形態及びその変形例では、スペーサ200は、蓄電素子100の容器110の短側面部115及び116に対向する突出部は有していないこととした。しかし、スペーサ200は、当該短側面部115及び116に対向する、Y軸方向マイナス側に突出する突出部を有していることにしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態及びその変形例において、スペーサ200は、上述の効果を奏することができる形状であれば、どのような形状であってもかまわない。例えば、スペーサ本体部210は、容器110の長側面部113の全面ではなく一部しか覆っていない構成でもよいし、長側面部113よりもX軸方向またはZ軸方向に長くてもよいし、矩形状ではなく、矩形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。また、上部突出部220は、容器110の蓋体111の端縁まで延設されていなくてもよいし、1つの上部突出部220しか設けられていないことにしてもよいし、矩形状ではなく、矩形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。また、下部突出部230は、容器110の底面部117の全面ではなく一部しか覆っていない構成でもよいし、底面部117よりもX軸方向に長くてもよいし、矩形状ではなく、矩形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。
【0080】
また、上記実施の形態及びその変形例では、第一蓄電素子100aと第一スペーサとは接合されていることとした。しかし、第一蓄電素子100aと第一スペーサとは接合されていなくてもよい。第二蓄電素子100bと第二スペーサ、及び、第三蓄電素子100cと第三スペーサ等についても同様である。
【0081】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0082】
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える蓄電素子100及びスペーサ200としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0084】
10 蓄電装置
100 蓄電素子
100a 第一蓄電素子
100b 第二蓄電素子
100c 第三蓄電素子
110 容器
110a 第一容器
110b 第二容器
110c 第三容器
117 底面部
117a 第一底面部
117b 第二底面部
117c 第三底面部
120 電極端子
120a 第一電極端子
120b 第二電極端子
120c 第三電極端子
200 スペーサ
200a、200e 第一スペーサ
200b、200f 第二スペーサ
200c、200g 第三スペーサ
210 スペーサ本体部
210a 第一スペーサ本体部
210b 第二スペーサ本体部
210c 第三スペーサ本体部
220 上部突出部
220a 第一上部突出部
220b 第二上部突出部
220c 第三上部突出部
230 下部突出部
230a 第一下部突出部
230b 第二下部突出部
230c 第三下部突出部