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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ゲーム支援装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/792 20140101AFI20221129BHJP
   A63F 13/30 20140101ALI20221129BHJP
   A63F 13/75 20140101ALI20221129BHJP
   A63F 9/00 20060101ALI20221129BHJP
   G06Q 20/24 20120101ALI20221129BHJP
【FI】
A63F13/792
A63F13/30
A63F13/75
A63F9/00 513
G06Q20/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018034356
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2018171432
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2017066776
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】本池 哲
(72)【発明者】
【氏名】石川 伸
(72)【発明者】
【氏名】郡司 英夫
(72)【発明者】
【氏名】岡林 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】松下 佳樹
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-214281(JP,A)
【文献】特開2008-009667(JP,A)
【文献】特開2002-015259(JP,A)
【文献】特開2005-210734(JP,A)
【文献】特開2013-251635(JP,A)
【文献】特開2016-123561(JP,A)
【文献】特開2010-136888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00-13/98
G06Q 20/00-20/42
40/00-40/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードによりプレイ料金を支払可能なゲーム装置と通信ネットワークを介して接続され、
前記ゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する利用要求受信部と、
前記利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、前記ゲーム装置のプレイヤに対して、前記プレイヤIDに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額であって前記プレイヤの属性情報に基づく与信枠を設定する与信部と、
前記クレジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する決済要求部と、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に収まるとき、前記決済要求部による決済要求を実行せずに前記ゲーム装置の利用を許可するプレイ許可部と、を備え
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に達したとき、前記決済要求部は、前記決済を要求し、前記与信部は、前記クレジットカードの利用限度額のうちの未利用額が前記与信枠以上であることを条件として、前記プレイヤに対して前記与信枠を再設定することを特徴とするゲーム支援装置。
【請求項2】
前記与信部は、前記与信枠を設定するとき、前記クレジットカードに対応づけられる口座を対象として前記与信枠に相当する金額の引出権を確保することを特徴とする請求項1に記載のゲーム支援装置。
【請求項3】
前記与信部は、前記クレジットカードが有効であることを条件として、前記与信枠を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム支援装置。
【請求項4】
前記決済装置から決済可否通知を受信する決済受信部、を更に備え、
前記プレイ許可部は、前記決済装置により未決済利用額の決済が許可されたとき、前記ゲーム装置の利用を許可することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のゲーム支援装置。
【請求項5】
前記プレイ許可部は、前記ゲーム装置の不正利用が検出されたときには、前記ゲーム装置のゲームデータを無効化することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のゲーム支援装置。
【請求項6】
クレジットカードにより決済可能なメダル装置と通信ネットワークを介して接続され、
前記メダル装置から、ゲームにおいて利用可能なポイントであるメダルの貸出要求を受信する貸出要求受信部と、
前記貸出要求が受信されたとき、前記メダル装置のユーザに対して、前記ユーザに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額であって前記ユーザの属性情報に基づく貸出枠を設定する与信部と、
前記貸出枠の範囲内にて、前記ユーザにメダルの貸出を許可する貸出部と、
前記メダル装置から、メダルの預入要求を受信する預入要求受信部と、
前記預入要求が受信されたとき、前記ユーザに対するメダルの貸出量と預入量を相殺して決済を実行する決済処理部と、を備え
前記ユーザに対するメダルの前記貸出量が前記貸出枠に達したとき、前記決済処理部は、前記貸出量の決済を実行し、前記与信部は、前記クレジットカードの利用限度額のうちの未利用額が前記貸出枠以上であることを条件として、前記ユーザに対して前記貸出枠を再設定することを特徴とするゲーム支援装置。
【請求項7】
前記決済処理部は、前記ユーザに対するメダルの貸出量よりも預入量が超過するときには、超過分のメダルを前記ユーザに対応付けて保存することを特徴とする請求項に記載のゲーム支援装置。
【請求項8】
ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続され、
前記ゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する利用要求受信部と、
前記利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、前記ゲーム装置のプレイヤに対して前記プレイヤの属性情報に基づく与信枠を設定する与信部と、
レジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する決済要求部と、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に収まるとき、前記決済要求部による決済要求を実行せずに前記ゲーム装置の利用を許可するプレイ許可部と、を備え、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に達したとき、前記決済要求部は、前記決済を要求し、前記与信部は、所定の再設定条件が満たされていれば前記与信枠を再設定することを特徴とするゲーム支援装置。
【請求項9】
クレジットカードによりプレイ料金を支払可能なゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する機能と、
前記利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、前記ゲーム装置のプレイヤに対して、前記プレイヤIDに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額であって前記プレイヤの属性情報に基づく与信枠を前記ゲーム装置のプレイヤに対して設定する機能と、
前記クレジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する機能と
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に収まることを条件として、前記ゲーム装置の利用を許可する機能と、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に達したとき、前記決済を要求し、前記クレジットカードの利用限度額のうちの未利用額が前記与信枠以上であることを条件として、前記プレイヤに対して前記与信枠を再設定する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするゲーム支援プログラム。
【請求項10】
クレジットカードにより決済可能なメダル装置から、ゲームにおいて利用可能なポイントであるメダルの貸出要求を受信する機能と、
前記貸出要求が受信されたとき、前記メダル装置のユーザに対して、前記ユーザに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額であって前記ユーザの属性情報に基づく貸出枠を設定する機能と、
前記貸出枠の範囲内にて、前記ユーザにメダルの貸出を許可する機能と、
前記メダル装置から、メダルの預入要求を受信する機能と、
前記預入要求が受信されたとき、前記ユーザに対するメダルの貸出量と預入量を相殺して決済を実行する機能と、
前記ユーザに対するメダルの前記貸出量が前記貸出枠に達したとき、前記貸出量の決済を実行し、前記クレジットカードの利用限度額のうちの未利用額が前記貸出枠以上であることを条件として、前記ユーザに対して前記貸出枠を再設定する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするゲーム支援プログラム。
【請求項11】
ゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する機能と、
前記利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、前記ゲーム装置のプレイヤに対して前記プレイヤの属性情報に基づく与信枠を設定する機能と、
レジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する機能と、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に収まることを条件として、前記ゲーム装置の利用を許可する機能と、
前記プレイヤの未決済利用額の累計が前記与信枠に達したとき、前記決済を要求し、所定の再設定条件が満たされていれば前記与信枠を再設定する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするゲーム支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータゲームの料金徴収技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンプレイごとに料金を徴収するアーケードゲーム機(業務用ゲーム装置)は、40年以上の歴史を誇る。アーケードゲーム市場は縮小傾向にあるともいわれるが、2014年で約4000億円もの規模を有する。
【0003】
近年のアーケードゲーム機においては、電子マネーによる料金徴収方法が普及している(特許文献1参照)。プレイヤは、まとまった現金を支払うことでIC(Integrated Circuit)カードに電子マネーをチャージし(プリチャージ)、ICカードをゲーム機にかざす。ゲーム機は、ICカードからプレイ料金分の電子マネーを減算する。プレイヤは、チャージした金額内であればプレイを継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4631705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の料金徴収方法では、ICカードにチャージされている電子マネーがなくなってしまうと、プレイヤは再度のチャージが必要となる。したがって、ゲーム中に再チャージが必要となるとゲームプレイを中断せざるを得なくなり、ゲームの興趣が削がれてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、ゲーム機のプレイ料金徴収において、電子マネー等の料金決済の利便性を高めること、にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様におけるゲーム支援装置は、クレジットカードによりプレイ料金を支払可能なゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される。
この装置は、ゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する利用要求受信部と、利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、プレイヤIDに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額の与信枠をゲーム装置のプレイヤに対して設定する与信部と、クレジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する決済要求部と、プレイヤの未決済利用額の累計が与信枠に収まるとき、前記決済要求部による決済要求を実行せずにゲーム装置の利用を許可するプレイ許可部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様におけるゲーム支援装置は、クレジットカードにより決済可能なメダル装置と通信ネットワークを介して接続される。
この装置は、メダル装置から、ゲームにおいて利用可能なポイントであるメダルの貸出要求を受信する貸出要求受信部と、貸出要求が受信されたとき、メダル装置のユーザに対して、ユーザに対応づけられるクレジットカードの利用限度額よりも少額の貸出枠を設定する与信部と、貸出枠の範囲内にて、ユーザにメダルの貸出を許可する貸出部と、メダル装置から、メダルの預入要求を受信する預入要求受信部と、預入要求が受信されたとき、ユーザに対するメダルの貸出量と預入量を相殺して決済を実行する決済処理部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様におけるゲーム支援装置は、ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続される。
この装置は、ゲーム装置から、プレイヤIDを含む利用要求を受信する利用要求受信部と、利用要求が受信されたとき、プレイヤIDに対して与信枠を示す情報を対応づけることにより、ゲーム装置のプレイヤに対して与信枠を設定する与信部と、クレジットカードを指定して、外部の決済装置に未決済利用額の決済を要求する決済要求部と、プレイヤの未決済利用額の累計が与信枠に収まるとき、前記決済要求部による決済要求を実行せずにゲーム装置の利用を許可するプレイ許可部と、を備える。
与信部は、未決済利用額の累計が与信枠に達したとき、所定の再設定条件が満たされていれば与信枠を再設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゲーム機のプレイ料金を電子マネー等により徴収する際の利便性を高めやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ゲームシステムのハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態におけるゲーム支援装置の機能ブロック図である。
図3】与信情報のデータ構造図である。
図4】生体情報テーブルのデータ構造図である。
図5】料金テーブルのデータ構造図である。
図6】口座テーブルのデータ構造図である。
図7】第1実施形態におけるゲームプレイ開始過程を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態におけるゲーム支援装置の機能ブロック図である。
図9】メダル情報のデータ構造図である。
図10】第2実施形態におけるメダル貸出処理過程を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態におけるメダル預入処理過程を示すフローチャートである。
図12】第3実施形態における与信情報のデータ構造図である。
図13】第4実施形態におけるメダル情報のデータ構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1実施形態から第4実施形態の4つの実施形態に分けて本発明の実施態様について説明する。以下、「本実施形態」という用語は「第1実施形態」「第2実施形態」「第3実施形態」「第4実施形態」を特に区別しない意味で使用する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、ゲームシステム100のハードウェア構成図である。
ゲームシステム100においては、ゲーム支援装置102に対して、複数の店舗108a、108b・・・108n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「店舗108」と総称する)と、複数の携帯端末104a、104b、・・・104n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「携帯端末104」と総称する)がインターネット106を介して接続される。また、ゲーム支援装置102は決済装置114とも接続される。決済装置114は、クレジットカード会社または銀行が運営するサーバである。
【0014】
本実施形態における携帯端末104は、スマートフォンを想定している。携帯端末104は、タブレット端末やラップトップPCであってもよい。携帯端末104とインターネット106は無線接続されるが、有線接続されてもよい。
【0015】
店舗108は、遊園地やゲームセンターなどが想定される。店舗108においては、複数のゲーム装置110a~110f(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ゲーム装置110」と総称する)と中継装置112が専用回線により接続される。ゲーム装置110は「サテライト」とよばれる業務用ゲーム装置、いわゆる、アーケードゲーム機である。中継装置112は「ターミナル」とよばれ、1以上のゲーム装置110のゲームプレイの支援・補助を行うための装置である。中継装置112とインターネット106は有線接続されるが、無線接続されてもよい。
なお、中継装置112は、ルータ等を介して他の種類のゲーム装置と共通に用いられ、店舗外との通信を行う店舗サーバ装置として機能してもよい。
【0016】
中継装置112は、ゲーム装置110におけるゲームプレイ結果をリプレイ(動画再生)する、複数のゲームプレイの結果からランキングを作成する、ゲームにおいて使用可能なカード(アイテム)を提供する、などの既知の支援機能を有する。一般的には、中継装置112は、ゲームの演出や分析などゲーム装置110におけるゲームプレイの興趣をいっそう高めるための処理として支援処理を実行する。
【0017】
中継装置112には、更に、メダル装置116が接続される。メダル装置116は、ゲームにおいて利用可能なポイントである「メダル」を管理する。プレイヤには、プレイヤID(以下、「PID」ともよぶ)が割り当てられており、プレイヤIDにメダル数が対応づけられる。プレイヤIDはゲームカードに記録される。プレイヤIDは、プレイヤの保有する携帯端末104に記録されてもよい。プレイヤIDはプレイヤを一意に識別可能な情報であればよい。
メダル装置116については第2実施形態および第4実施形態に関連して詳述する。
【0018】
ゲーム支援装置102(ゲーム支援システム)は、決済装置114との間でゲーム装置110の利用料金およびメダル装置116のメダル料金の決済を行う。
【0019】
ゲームシステム100の利用にあたっては、プレイヤは事前に決済装置114に対してクレジットカードを契約し、ゲーム支援装置102にプレイヤIDと口座番号を登録しておく必要がある。ゲーム支援装置102は、プレイヤごとにプレイヤIDと口座番号を対応づけてリスト化しておく。また、プレイヤは、ゲーム支援装置102にプレイヤIDおよび生体情報を登録しておく。生体情報は、顔画像(顔特徴情報)、指紋、虹彩、静脈、声紋、筆跡、掌形、DNA(遺伝子情報)など、人間の身体的・行動的特徴を表す情報であればよい。本実施形態においては、顔画像を対象として説明する。
【0020】
より具体的には、ゲーム支援装置102にプレイヤ登録をするとき、プレイヤは携帯端末104等を介して口座番号もしくはクレジットカード番号をゲーム支援装置102に登録する。ゲーム支援装置102はプレイヤIDを登録されたゲームカードの発行を中継装置112に指示するあるいは、プレイヤの携帯端末104にプレイヤIDを登録してもよい。
【0021】
プレイヤは、プレイヤIDを取得後、携帯端末104にて顔画像を撮影し、顔画像をゲーム支援装置102に送信する。以上の登録処理により、ゲーム支援装置102においては、プレイヤID、口座番号、顔画像等が対応づけられる。
【0022】
プレイヤは、ゲームをプレイするときには、ゲームカードをゲーム装置110にかざす。このとき、NFC規格(Near Field Communication)などの既知の近距離通信技術にて、ゲーム装置110はゲームカードからプレイヤIDを読み取る。ゲーム装置110はカメラを備えており、プレイヤの顔画像を撮像する。ゲーム装置110は、中継装置112を介してゲーム支援装置102にゲームを識別するためのIDであるゲームID(以下、「GID」ともよぶ)とともに、プレイヤIDおよび顔画像を送信する。また、携帯端末104に媒体IDが記録されている場合、携帯端末104とゲーム装置110間でWi-Fiやブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)などの近距離無線通信を用いて媒体IDをゲーム装置110に送信してもよい。ゲーム支援装置102は、受信した顔画像と登録済みの顔画像を照合して顔認証を実行する。顔認証および決済の詳細は後述する。
【0023】
図2は、第1実施形態におけるゲーム支援装置102の機能ブロック図である。
ゲーム支援装置102の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0024】
ゲーム支援装置102は、通信部120、データ処理部118およびデータ格納部122を含む。
通信部120は、インターネット106を介して携帯端末104、店舗108との通信処理を担当する。また、通信部120は専用回線を介して決済装置114との通信処理を行う。データ格納部122は各種データを格納する。データ処理部118は、通信部120により取得されたデータおよびデータ格納部122に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部118は、通信部120およびデータ格納部122のインタフェースとしても機能する。データ格納部122は、ゲームID、プレイヤID、顔画像情報等の各種情報を格納する(詳細後述)。
【0025】
データ処理部118は、与信部136、決済処理部138および認証部140を含む。与信部136は、プレイヤごとに与信枠(詳細後述)を設定する。決済処理部138は、決済装置114と連携して決済処理を実行する。認証部140は、顔認証を実行する。
【0026】
通信部120は、ID取得部124、利用要求受信部126、生体情報取得部128、決済要求部130、決済受信部132およびプレイ許可部134を含む。
プレイヤがゲームプレイ開始時においてゲームカードをゲーム装置110にかざすと、ゲーム装置110はゲームカードからプレイヤIDを読み取り、プレイヤIDをゲーム支援装置102に送信する。ID取得部124は、ゲーム装置110からプレイヤIDを受信する。また、ゲーム開始時およびゲームの再実行(いわゆるコンティニュー)に際して、ゲーム装置110はゲームIDを含む利用要求をゲーム支援装置102に送信し、利用要求受信部126は利用要求を受信する。
【0027】
生体情報取得部128は、ゲームプレイ開始時に、ゲーム装置110が撮影したプレイヤの顔画像を受信する。決済要求部130は、決済装置114に対して利用料金の決済を要求する。決済受信部132は、決済装置114から決済可否通知を受信する。プレイ許可部134は、後述の利用条件が成立したとき、ゲーム装置110におけるゲームプレイを許可する。
【0028】
図3は、与信情報142のデータ構造図である。
与信情報142は、データ格納部122に格納される。与信情報142は、プレイヤID(PID)と与信枠、未決済利用額を対応付ける。与信枠は、ゲーム支援装置102からプレイヤごとに割り当てられる。プレイヤは与信枠の範囲内であれば、後払い(ポストペイ)にてゲームを楽しむことができる。詳細は図7に関連して後述するが、与信部136は、与信情報142を参照して、プレイヤに与信枠を設定する。第1実施形態においては、ゲーム支援装置102の運営者によって、プレイヤごとの与信枠の大きさが設定されるものとして説明する。与信枠の大きさは任意であるが、ワンプレイあたりの利用料金の20~30倍程度が目安となる。
【0029】
未決済利用額とは、プレイヤがゲーム装置110のプレイによって発生した利用料金の累計額であり、かつ、決済が完了していない金額を意味する。未決済利用額が与信枠を超えるときに電子マネー決済が実行される。たとえば、プレイヤID=P01のプレイヤ(以下、「プレイヤ(P01)」のように表記する)は、3,000円の与信枠を与えられており、未決済利用額は2,200円である。したがって、あと800円分は、利用料金を支払わなくてもゲームプレイを楽しむことができる。プレイヤ(P04)には15,000円の与信枠が与えられ、未決済利用額は12,600円であるから、あと2,400円分のゲームプレイを支払いなく、いいかえれば、ツケで楽しむことができる。未決済利用額が与信枠に到達したとき、電子マネー決済が実行される。すなわち、与信枠の範囲内であれば未払いのままゲームを楽しむことができ、未払い分が与信枠を超えるときにまとめて電子マネー決済が実行される。なお、この電子マネー決済には、クレジットカード決済も含まれる。これにより、ゲーム支援装置102と決済装置114との間で実行される決済処理における通信トラフィックを削減できる。
【0030】
図4は、生体情報テーブル158のデータ構造図である。
生体情報テーブル158は、データ格納部122に格納される。生体情報テーブル158においては、プレイヤID(PID)および顔画像(生体情報)のIDである生体情報ID(以下、「BID」ともよぶ)が対応づけられる。BIDごとに顔画像が対応づけられる。
【0031】
データ処理部118は、プレイヤ登録時において、プレイヤIDおよび顔画像等の生体情報IDを対応づけて生体情報テーブル158に登録する。図4においては、プレイヤ(P01)は、顔画像(B01)を登録している。プレイヤ(P01)は、ゲームプレイを開始するとき、ゲーム装置110にプレイヤIDが登録されたゲームカードを読み取らせ、ゲーム装置110のカメラに対して自らの顔を撮影させる。認証部140は、PID=P01に対応づけられる顔画像(B01)と取得された顔画像を既知の画像認証技術により比較し、顔認証を実行する。顔認証に失敗したときには、プレイ許可部134はプレイを許可しない。なお、顔画像のかわりに指紋や網膜などの他の生体情報を生体認証に用いても良い。
【0032】
図5は、料金テーブル160のデータ構造図である。
料金テーブル160は、データ格納部122に格納される。料金テーブル160は、ゲームのワンプレイあたりの利用料金を登録する。料金テーブル160は、ゲーム装置110の新規導入時において、ゲーム支援装置102の運営者により設定される。料金テーブル160においては、ゲームIDとプレイ料金が1対1にて対応づけられる。ゲームプレイの開始時においては、ゲーム装置110はプレイヤID、顔情報とともにゲームIDもゲーム支援装置102に送信する。認証部140が顔認証に成功すると、決済処理部138は料金テーブル160を参照して利用料金を特定する。
【0033】
一般的には、ゲーム装置110の利用料金は店舗108のオペレータにより決められる。このため、同じゲームであっても、店舗108によって利用料金がばらつくことが多い。利用料金のばらつきはプレイヤの不公平感につながりやすい。本実施形態においては、料金テーブル160においてゲームごとの利用料金を統一管理している。このため、いわば「一物一価」が維持されることになり、どの店舗108でプレイしても同じ利用料金にてゲームを楽しむことができる。なお、複数の店舗の運営者が同じ場合など、各店舗での利用料金を意図的に変更したい場合もある、その場合には、ゲームID(GID)のほかに店舗IDを別途設定し、この店舗IDごとに料金テーブル160を設けるようにしてもよい。
【0034】
また、店舗108によっては、集客のために利用料金を戦略的に抑制することがある。大規模の店舗108が利用料金を下げると、近隣の店舗108においても利用料金を下げざるを得なくなり、特に小規模の店舗108は経営が圧迫されてしまう。本実施形態においては、ゲーム支援装置102が統一価格を設定するため、小規模の店舗108の疲弊を防ぎやすくなる。
【0035】
図6は、口座テーブル162のデータ構造図である。
口座テーブル162は、データ格納部122に格納される。口座テーブル162は、プレイヤIDと口座番号(クレジットカード番号を含んでもよい)を対応づける。口座テーブル162の口座番号は、ゲームシステム100にプレイヤ登録するときにプレイヤからの申告に基づいて登録される。決済時においては、決済処理部138は、口座テーブル162を参照し、プレイヤIDに対応する口座番号を特定する。決済要求部130は、口座番号と決済額を指定して決済装置114に対して利用料金の決済を要求する。決済装置114は、決済可否情報をゲーム支援装置102に送信する。決済に失敗したときには、プレイ許可部134はゲーム装置110のゲームプレイを許可しない。
【0036】
図7は、第1実施形態におけるゲームプレイ開始過程を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、ゲームシステム100に登録済みのプレイヤがゲームプレイを開始するときに実行される。まず、ゲームプレイの開始に際しては、上述したように顔認証(生体認証)が実行される。認証の結果、顔画像が適合しなかった(以下、認証に失敗した)ときには図7に示す処理は実行されず、ゲームプレイも許可されない。図7は、利用要求受信部126がゲーム装置110からの利用要求を受信し、顔画像が適合した(以下、認証が成功した)あとに実行される。利用要求に際しては、ゲーム装置110はプレイヤID、ゲームID、顔情報をゲーム支援装置102に送信する。
【0037】
まず、与信部136は、利用要求をしたプレイヤに対応する与信枠を設定済であるか否かを判定する(S10)。与信枠が未設定のときには(S10のN)、処理はS18にスキップする。与信枠を設定済みであって(S10のY)、未決済利用額が与信枠を超過するときには(S12のY)、決済処理部138は決済処理を実行する(S14)。すなわち、ゲーム支援装置102から決済装置114に与信枠をキャンセルして決済処理を指示する。なお、ここでいう未決済利用額とは、既存の未決済利用額に新たな利用料金を加算した金額である。決済処理の実行後、与信部136は与信枠をいったんリセットする(S16)。
【0038】
具体的には、決済処理部138は、料金テーブル160を参照して利用料金を求め、既存の未決済利用額に新たな利用料金を加算した金額が与信枠を超えるときに決済処理を実行する。決済処理部138は決済要求部130に指示し、決済要求部130は決済に必要な口座番号等を指定して決済装置114から未決済利用額の引き落としを指示する。決済装置114は、決済の成否を示す決済可否情報を返信する。決済受信部132は決済可否情報を受信する。プレイ許可部134は、決済が不可となったときにはゲームプレイを許可しない。なお、クレジットカードの場合、与信枠が数千円から数万円程度の少額に設定されていれば、未決済利用額が与信枠を超過するまでの間にクレジットが利用停止にならない限り、決済装置114において決済が不可になることはほとんどない。以下においては、決済は成功したものとして説明する。
【0039】
与信部136は、与信枠の再設定が可能か否かを判定する(S18)。具体的には、与信部136は決済装置114に問い合わせて、与信枠分の口座残高があれば与信枠を再設定する。与信枠の設定が不可能であれば(S18のN)、プレイ許可部134はゲーム開始を許可しない(S20)。プレイ許可部134は拒否信号をゲーム装置110に送信し、ゲーム装置110は銀行口座の残高が足りないため、電子マネーによるゲームプレイができない旨、もしくはクレジットカードが有効でない旨を画面表示させる。与信枠を設定可能であれば(S18のY)、与信部136は新たに与信枠を設定する(S22)。
【0040】
未決済利用額が与信枠に収まるとき(S12のN)、または、決済後に与信枠の再設定ができたときには(S18のY、S22)、決済処理部138は与信情報142の未決済利用額を更新し(S24)、プレイ許可部134はゲームプレイを許可する。たとえば、図3に示すプレイヤ(P01)が、利用料金が200円のゲームのプレイをするときには、既存の未利用決済額は2,200円であるから、新たな未決済利用額は合計2,400円(=2,200+200)となる。これは与信枠3,000円以内であるから、決済処理部138は与信情報142の2,200円を2,400円に書き換え、プレイ許可部134はゲーム装置110に許可信号を送信する。ゲーム装置110は、許可信号を受信すると、ゲームの実行を開始する。
以上のように、顔認証に成功し、かつ、未決済利用額が与信枠に収まっているとき、利用条件が成立し、決済処理部138が決済処理を実行することなくゲーム装置110はゲームを実行可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、与信枠の範囲内でゲームプレイを許可し、未決済利用額が与信枠を超えるときにまとめて電子マネー決済を実行するとして説明した。第2実施形態は、メダル装置116においてメダルに貸出枠を設定する決済方法に関する。メダルは、上述したように、ゲームにおいて利用可能なポイントであり、ゲームにおける一種の仮想通貨である。メダルは物理メダルと電子メダルがあるが、以下においては特に断らない限り電子メダルを対象として説明する。また、貸出枠はプレイヤに応じてゲーム支援装置102の運営者により設定されるとして説明する。
【0042】
第2実施形態のメダルには、1枚100円のように単価が設定されている。現金を支払うことでメダルを購入できるが、メダルを現金に変えることはできない。ゲーム装置110のゲームにおいては、アイテムの購入やキャラクタの育成などさまざまなゲーム行動のコストとしてメダルが消費される。また、敵の撃破やレースの勝利などさまざまなゲーム成果に応じてメダルが加増される。詳細は後述するが、第2実施形態におけるゲームシステム100のハードウェア構成は、第1実施形態におけるゲームシステム100のハードウェア構成と同様である。
【0043】
図8は、第2実施形態におけるゲーム支援装置102の機能ブロック図である。
図8において、図2の同一の符号を付された機能ブロックの役割は、図2に関連して説明したものと同様である。第2実施形態のゲーム支援装置102の通信部120には、貸出要求受信部144および預入要求受信部146が追加される。データ処理部118には貸出部148が追加される。
【0044】
貸出要求受信部144は、メダル装置116からメダルの貸出要求を受信する。プレイヤ(ユーザ)はメダルを現金で購入してもよいし、貸出要求によりゲーム支援装置102からメダルを借りることもできる。貸出部148は、後述の貸出条件が成立したときに、メダルの貸出を許可する。貸出処理の詳細は図10に関連して後述する。預入要求受信部146は、メダルの預入要求を受信する。プレイヤは、メダルを購入するか借りた上で、ゲームをプレイする。プレイ後、余ったメダルはメダル装置116に預けられる。預入に際して、メダル装置116はゲーム支援装置102に預入要求を送信する。預入処理の詳細は図11に関連して後述する。
【0045】
図9は、メダル情報150のデータ構造図である。
メダル情報150は、データ格納部122に格納される。メダル情報150は、プレイヤID、預入メダル数および貸出メダル数を対応付ける。貸出メダルは、ゲーム支援装置102により後述の方法にてプレイヤに貸し出されているメダルである。プレイヤは、貸出枠の範囲内にてメダルを借りることができる。いわば、プレイヤのゲームにおける負債である。預入メダルは、プレイヤがメダル装置116に預け入れているメダルである。いわば、プレイヤのゲームにおける資産である。プレイヤは、購入、あるいは、ゲームで増加させたメダルをメダル装置116に預け入れる。
【0046】
図9においては、プレイヤ(P01)は、300枚のメダルを預け入れる一方、メダルは1枚も借りていない。いわば、貯金超過の状態であり、プレイヤ(P01)は新たにメダルの借り受けや購入をしなくてもメダル300枚分のゲームを実行できる。プレイヤ(P02)は、4,200枚のメダルを預け入れ、7,200枚のメダルを借りている。プレイヤ(P02)は11,400枚(=4,200+7,200)分のメダルを利用可能な状態にあるが、3,000枚分(=7,200-4,200)の債務超過状態でもある。プレイヤ(P04)は、1,200枚のメダルを預け入れ、ゲームシステム100枚のメダルを借りている。プレイヤ(P04)は1,300枚(=1,200+100)分のメダルを利用可能な状態にある。預入枚数の方が貸出枚数よりも多いため、プレイヤ(P04)は貯蓄超過状態にある。
【0047】
メダルを借りたときには後述の方法によりいずれ電子マネーで決済をしなくてはならない。プレイヤ(P02)は、3,000枚(=7,200-4,200)の債務超過であるから、3,000枚分の決済がいずれ必要となる。一方、プレイヤ(P04)は、メダルを借りているもののそれ以上に預け入れメダルがあるため、1,100枚(=1,200-100)の余裕がある。このため、100枚の借り受け分は預け入れ分により相殺される。
【0048】
図10は、第2実施形態におけるメダル貸出処理過程を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、ゲームシステム100に登録済みのプレイヤが決済装置114からメダルを借り受けるときに実行される。貸出に際しては、第1実施形態と同様の方法により、顔認証(生体認証)が実行される。顔認証に失敗したときには図10に示す処理は実行されず、メダルの貸出も許可されない。図10は、貸出要求受信部144がメダル装置116からの貸出要求を受信し、顔認証が成功したあとに実行される。貸出要求に際しては、メダル装置116はプレイヤIDと顔情報、貸出を希望するメダルの枚数をゲーム支援装置102に送信する。
【0049】
まず、与信部136は、貸出要求をしたプレイヤに貸出枠を設定済であるか否かを判定する(S40)。貸出枠が未設定のときには(S40のN)、処理はS48にスキップする。貸出枠を設定済みであって(S40のY)、貸出メダル数が貸出枠を超過するときには(S42のY)、決済処理部138は決済処理を実行する(S44)。決済処理の実行後、与信部136は与信枠をいったんリセットする(S46)。
【0050】
ここでいう貸出メダル数とは、既に貸し出されているメダル数に新たに貸出要求をされたメダル数を加算した累計枚数である。決済処理部138は、累計の貸出メダル数が貸出枠を超えるときに決済処理を実行する。決済処理部138は決済要求部130に指示し、決済要求部130は口座番号を指定して決済装置114から貸出メダル数分の代金の引き落としを指示する。メダル装置116は、決済の成否を示す決済可否情報を返信する。決済受信部132は決済可否情報を受信する。貸出部148は、決済に失敗したときにはメダル貸出を許可しない。与信枠と同様、決済装置114において決済に失敗することはほとんどない。以下においては、決済は成功したものとして説明する。
【0051】
与信部136は、貸出枠の再設定が可能か否かを判定する(S48)。具体的には、与信部136は決済装置114に問い合わせて、貸出枠分の口座残高があれば貸出枠を再設定する。貸出枠の設定が不可能であれば(S48のN)、貸出部148はメダル貸出を許可しない(S50)。貸出部148は通信部120から拒否信号をメダル装置116に送信させ、メダル装置116は銀行口座の残高が足りないため、電子マネーによるメダル貸出をできない旨を表示する。貸出枠を設定可能であれば(S48のY)、与信部136は新たに貸出枠を設定する(S52)。
【0052】
貸出メダル数が貸出枠に収まるとき(S42のN)、または、決済後に貸出枠の再設定ができたときには(S48のY、S52)、決済処理部138はメダル情報150の貸出メダル数を更新し(S54)、貸出部148はメダル貸出を許可する(S56)。たとえば、図9に示すプレイヤ(P03)が、貸出枠として3,000枚が設定されているとき、1,500枚のメダル貸出を要求するときには、貸出メダル数は合計2,900枚(=1,400+1,500)となる。これは貸出枠3,000枚以内であるから、決済処理部138はメダル情報150の1,400枚を2,900枚に書き換え、貸出部148はメダル装置116に貸出の許可信号を送信する。メダル装置116は、許可信号を受信すると、メダルの貸出を実行する。プレイヤ(P03)は、メダル装置116にあるメダルの範囲内にてゲーム装置110にてゲームを楽しむことができる。
【0053】
図11は、第2実施形態におけるメダル預入処理過程を示すフローチャートである。
プレイヤがゲームを終了するとき、ゲーム装置110に残存するメダルはメダル装置116に送信され、メダル装置116からゲーム支援装置102に預入枚数を指定する預入要求が送信される。また、プレイヤがメダル装置116においてメダルを購入したときには、メダル装置116からゲーム支援装置102に購入枚数が伝えられ、決済処理部138はメダル情報150の預入メダル数を加算する。図11に示す預入処理は、ゲーム終了時におけるメダルの預け入れにともなって実行される。
【0054】
まず、貸出枠が設定済みであれば(S60のY)、与信部136は貸出枠をリセットする(S62)。貸出枠が設定済みでなければ(S60のN)、S62の処理はスキップされる。決済処理部138は、預入枚数が貸出枚数以上のときには(S64のY)、決済処理部138は超過分だけ預入枚数を加算する(S66)。たとえば、1,000枚のメダルを借りたプレイヤがゲーム終了時において1,500を預け入れるときには、増加分の500枚がメダル情報150の預入メダル数に加算される。
【0055】
貸出枚数が預入枚数よりも少ないときには(S64のN)、決済処理部138は不足分だけ預入枚数を減算する(S68)。たとえば、1,000枚のメダルを借りたプレイヤがゲーム終了時において800を預け入れるときには、貸出と預入を相殺し、減少分の200枚がメダル情報150の預入メダル数から減算される。
【0056】
減算により、預入メダルがマイナスになるときには(S70のY)、決済処理部138は不足分の決済処理を実行する(S72)。不足がなければ(S70のN)、S72の処理はスキップされる。
【0057】
たとえば、図9に示したプレイヤ(P02)は、4,200枚の預入メダルを保有し、7,200枚のメダルを借りている。プレイヤ(P02)が7,200枚のメダルを4,000枚まで減らしたときには(3,200枚の消費)、預入メダル数は1,000枚(=4,200-3,200)に減る。資産としての預入メダル数は減少するが、電子マネーによる決済は不要である。一方、プレイヤ(P02)が7,200枚のメダルを1,600枚まで減らしたときには(5,600枚の消費)、1,400枚(=4,200-5,600)の不足となる。この場合には、預入メダル数はゼロとなり、足りない1,400枚分のメダルの対価が電子マネー決済される。
なお、メダル預入処理は、ゲームの終了後に限らず、営業時間終了時など任意のタイミングで実行されてもよい。
以上のように、顔認証に成功し、かつ、貸出メダル数が貸出枠に収まっているとき、貸出条件が成立し、ゲーム装置110はゲームを実行可能となる。また、預入メダルが0以下となったときに電子マネー決済が実行される。
【0058】
以上、実施形態に基づいてゲームシステム100を説明した。
本実施形態によれば、電子マネー決済のためにあらかじめたっぷりと現金をICカードにチャージしておく必要はない。チャージのための中断をされることなく、プレイヤはゲーム装置110においてゲームプレイを継続できる。与信枠の範囲内でゲームプレイを実行し、必要に応じて後払いとなるため、プレイヤの金銭的負担が軽減されるメリットもある。
【0059】
第1実施形態においては、与信枠の範囲内であればプレイヤは現金不要で遊ぶことができる。未決済利用額が与信枠を超えるときにまとめて電子マネー決済を行うため、少額で決済回数の多いアーケードゲームに向いている。1分10円のようなタイムチャージによる料金徴収を実現しやすい方式でもある。
【0060】
ゲーム支援装置102の運営負担も軽減される。ICカードにチャージする方式の場合、ICカードに記録されるチャージ金額(残高)は「預託金」であるため、運営者はこれを厳密に管理する義務が生じる。第1実施形態においては、プレイヤに対して信用を供与し、後払いにて決済を実行する方式であるため、預託金管理にともなう負担からゲーム運営者が解放されるというメリットもある。
【0061】
第2実施形態においても、プレイヤは貸出枠の範囲内であればメダルを借りることができる。ゲームでメダルを増やすことができれば決済が実行されない(図11のS70参照)。メダルを借りる段階では支払いが不要であり、ゲームの結果によっては決済不要となる可能性もあるため、プレイヤはメダルゲームにチャレンジしやすくなる。
【0062】
また、顔画像を撮影し、顔認証を実行することにより、プレイヤID(ゲームカード)の窃取にともなう不正利用を抑止している。実際に顔認証を実行しなくても、ゲーム装置110において顔画像などの生体情報を取得されることは犯罪抑止に大いに寄与すると考えられる。不正利用が生じたとしても、ゲーム支援装置102またはゲーム装置110において、プレイヤIDと顔画像とプレイ履歴を対応づけて登録しておけば、後日、不正利用者を割り出しやすくなる。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0064】
携帯端末104とゲーム支援装置102、中継装置112、ゲーム装置110およびメダル装置116によりゲームシステム100が構成されるとして説明したが、ゲーム支援装置102の機能の一部はゲーム装置110や中継装置112により実現されてもよいし、ゲーム装置110や中継装置112の機能の一部がゲーム支援装置102に割り当てられてもよい。また、ゲーム支援装置102やゲーム装置110、中継装置112以外の第3の装置が、これらの装置の機能の一部を担ってもよい。
【0065】
図2図8において説明したゲーム装置110、中継装置112およびゲーム支援装置102の各機能の集合体は大局的には1つの「情報処理装置」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やゲームシステム100に求められる仕様等に鑑みて決定されればよい。
【0066】
本実施形態においては、与信枠や貸出枠の大きさはゲーム支援装置102の運営者が決めるとして説明した。変形例として、与信部136は、プレイヤの資力、年齢、プレイ経験など、プレイヤの属性情報に基づいて、与信枠(貸出枠)の大きさを設定してもよい。たとえば、プレイヤが未成年のときには与信枠として2,000円を設定し、成年のときには与信枠として10,000円を設定してもよい。あるいは、決済回数や決済の成功回数などの信用情報に基づいて与信枠(貸出枠)の大きさを決めてもよい。
【0067】
本実施形態においては、与信枠(貸出枠)は、枠に相当する現金が口座残高にあることを条件として設定されるとして説明した。変形例として、与信部136には「引き落とし制限額」が設定されてもよい。たとえば、親がゲームカードを子どもに渡すとき、1日あたりの引き落とし制限額を3,000円に設定すれば、子どもは3,000円の範囲でキャッシュレスにてゲームを楽しむことができる。子どもが無制限にゲームプレイをするのを禁止できるだけでなく、子どもに現金をもたせなくていいため、親にとってもメリットがある。
【0068】
与信枠分の口座残高がないとき、あるいは、口座残高が所定レベル以下となったときには、ゲーム支援装置102の報知部(図示せず)はメダル装置116に対してその旨を通知してもよい。生体認証はゲーム開始時に実行されてもよいし、与信枠(貸出枠)の設定時に実行されてもよい。また、与信枠(貸出枠)には有効期間を設けてもよい。たとえば、与信部136は与信枠(貸出枠)を設定してから、所定期間、たとえば、1日が経過したときには与信枠(貸出枠)をいったんリセットしてもよい。リセット時に、決済処理部138は決済処理を実行してもよい。
【0069】
ゲーム装置110の不正利用が検出されたときには、プレイ許可部134はゲーム装置110のゲームデータを無効化してもよい。ここでいう不正利用とは、ゲームカードの偽造や窃取、生体認証の失敗、乱暴行為などの禁止行為などである。店舗108が不正発見をゲーム支援装置102に通知したときには、プレイ許可部134は無効化処理を実行する。無効化とは、ゲーム結果を示すゲームデータの消去、利用停止、変更など、ゲームデータを正常かつ継続的に利用できない状態に変更するものであればよい。ゲーム支援装置102がゲームデータを管理してもよい。ゲームデータをいわば「人質」とすることで、不正行為を抑止しやすくなる。同様にして、決済装置114において不正利用が検出されたときにも、貸出部148はメダル装置116において貸し出したメダルの使用を停止させてもよい。
【0070】
預入メダルに利子をつけてもよい。また、貸し出されたメダルをゲームで増やすことができたときには、決済処理部138は増加分のメダルをアイテムや商品券などの有価値物に変換してプレイヤに供与してもよい。このような制御方法によれば、メダルの増加にともなうメリットをプレイヤに与えつつ、メダルの代金を徴収する機会(収益機会)を確保しやすくなる。
【0071】
本実施形態においては、ゲーム支援装置102が利用料金の決済を代行している。ゲーム支援装置102が徴収した利用料金は各店舗108の売上として配賦される。変形例として、ゲーム支援装置102が徴収した利用料金の一部をゲーム支援装置102の運営費に充ててもよい。たとえば、ゲーム装置110のメーカーがゲーム支援装置102を運営する場合には、利用料金の一部を自らの収益とする代わりにゲーム装置110の筐体価格を抑制してもよい。このような料金徴収方法によれば、店舗108はゲーム装置110を導入するときの固定費を抑制できる。ゲーム装置110が人気ゲームとなれば運営費を支払いが多くなり、不人気であれば運営費の支払いが少なくなる。ゲーム装置110の売上は、ゲームがヒットするか否かによって大きく変化する。この売上のリスクをゲーム支援装置102の運営者が引き受けることにより、店舗108は新型のゲーム装置110を導入しやすくなる。
【0072】
ゲーム装置110が入力情報をゲーム支援装置102に送信するとき、中継装置112は店舗IDを送信してもよい。また、料金テーブル160においては、ゲームごとに限らず、店舗108ごとに利用料金を設定してもよい。たとえば、同一のゲームであっても、最新のゲーム装置110を導入したばかりの店舗108においては利用料金を高めに設定し、古いゲーム装置110に対しては利用料金を抑制して設定してもよい。あるいは、天候不順時の集客力を高めるため、天候不順地域に位置する店舗108の利用料金を一括して抑制することも可能である。
【0073】
本実施形態においては、アーケードゲームを対象として説明した。しかし、ゲームシステム100は、家庭用ゲーム機やスマートフォン、パーソナルコンピュータなどを対象として実現されてもよい。
【0074】
本発明の決済方式は、アーケードゲームのように、少額かつ頻繁に発生する電子マネー等の決済に有効である。また、本発明は、ゲーム以外への応用も可能である。ゲーム支援装置102は、ゲーム支援に限らず、決済支援装置として構成されることも可能である。たとえば、コンビニエンスストアなどの小売店における少額決済のほか博物館や雀荘、美術館、映画館などの施設利用費、競馬、競輪、カジノ、パチンコなどの公営賭博における賭け金などにおいても、決済支援装置は、与信枠を設定したあとに後払いにて電子マネーやクレジットカードで決済を実行してもよい。
【0075】
以下、第1実施形態および第2実施形態に関連して、第3実施形態および第4実施形態として本発明の別実施態様を説明する。
【0076】
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態と同様、プレイヤは与信枠に基づいてゲームをポストペイ方式にてプレイする。第3実施形態においては、プレイヤは、クレジットカードによりアーケードゲームをプレイする。プレイヤが保有するゲームカードにはプレイヤIDが記憶されるが、クレジットカード番号は記憶されていない。ゲーム開始に際し、プレイヤはゲームカードをゲーム装置110に読み込ませ、ゲーム装置110はゲームカードからプレイヤIDを取得する。
【0077】
ゲーム支援装置102のデータ格納部122には、プレイヤIDとクレジットカード番号を対応づける与信情報200が記憶される(第3実施形態の与信情報200については後述)。与信部136は、ゲーム装置110からプレイヤIDを取得し、与信情報200を参照することにより、プレイヤのクレジットカード番号を特定する。クレジットカードにはあらかじめ利用限度額が設定されており、利用限度額の範囲内にて与信部136は与信枠を設定する。
【0078】
図12は、第3実施形態における与信情報200のデータ構造図である。
与信情報200は、プレイヤIDとクレジットカード番号、利用限度額、与信枠および累計利用額を対応づける。クレジットカードについては、有効期限などクレジットカードの有効性に関する情報、クレジットカードの発行元等の各種情報が対応づけられてもよい。
【0079】
プレイヤは、ゲームシステム100にプレイヤ登録するとき、クレジットカードに関する各種情報をゲーム支援装置102に登録する。ゲーム支援装置102の決済要求部130は、クレジットカードの発行元(クレジットカード会社)に対して適宜問い合わせることにより、クレジットカードの有効期限、利用停止状態か否か、など、クレジットカードに関する各種情報を取得する。
【0080】
利用限度額は、プレイヤごと、クレジットカードごとに設定される単位期間あたりの利用可能金額、たとえば、1ヶ月あたりの利用限度を示す金額である。図12によれば、プレイヤ(P01)の利用限度額は10万円であり、プレイヤ(P02)の利用限度額は100万円である。利用限度額は、プレイヤ自らが引き落とし限度額として登録してもよいし、クレジットカード会社が設定してもよい。決済要求部130は、クレジットカード会社に問い合わせることで利用限度額を確認してもよい。以下、クレジットカード会社が利用限度額を設定するものとして説明する。
【0081】
与信枠は、プレイヤごとに設定される。累計利用額は単位期間、たとえば、1ヶ月あたりのクレジットカードの利用金額の累計値である。累計利用額が利用限度額に達するとクレジットカードは翌月まで使えなくなる。
【0082】
与信部136は、プレイヤ(P01)に与信枠(3,000円)を設定するとき、プレイヤ(P01)のクレジットカードに対応する銀行口座から3,000円分の引出権を確保する。より具体的には、与信部136は、クレジットカード会社に与信枠の設定を通知し、クレジットカード会社は与信枠分の引出権を銀行口座に設定する。与信部136は、累計利用額に与信枠分を加算する。
【0083】
たとえば、プレイヤ(P01)の口座残高が50,000円であるとする。ここで、プレイヤ(P01)に3,000円分の与信枠が設定されたとき、同口座から他のユーザ、たとえば、プレイヤ(P01)の家族が引き出し可能な金額は、実際に3,000円分の利用がなされていなくても、47,000円(=50,000円-3,000円)に減少する。与信枠が実際に使用されていない段階から、与信枠分の金額を引き出す権利がプレイヤ(P01)に設定される。いいかえれば、プレイヤ(P01)は、与信枠分のプレイが保証される。
【0084】
第1実施形態と同様、プレイ料金の未決済利用額が与信枠に達したとき、決済処理部138は決済を実行する。利用限度額に与信枠分の余裕が残っていれば、与信部136は新たな与信枠を設定する。
【0085】
具体例として、与信部136は、プレイヤ(P01)に1回目の与信枠を設定したとする。設定前の累計利用額が60,000円(既に決済済であるとする)であるとき、与信枠の設定により累計利用額は63,000円(=60,000+3,000)となる。プレイヤ(P01)がゲームをプレイし、その未決済利用額が与信枠(3,000円)に達したとき、決済処理部138は与信枠分の決済を実行する。上記の例の場合、新たに3,000円の決済が実行されるため、合計63,000円分の決済が完了する。
【0086】
また、与信部136は、プレイヤ(P01)の利用限度額(100,000円)から累計利用額(63,000円)を減算し、利用限度額までの余裕分(100,000円-63,000円=37,000円)を算出する。利用限度額の余裕分(未利用額)が与信枠以上あるため、与信部136は新たに与信枠(3,000円)を設定する。与信枠の設定後、与信部136は、累計利用額を66,000円(63,000円+3,000円)に更新する。この段階では、66,000円のうち、63,000円分は上述の通り決済済みであり、残り3,000円分は改めて確保された与信枠(未利用・未決済)である。このように、累計利用額が利用限度額に到達しない限り、与信部136は与信枠を何度でも再設定できる。与信枠は、利用制限をするための枠ではなく、決済の実行タイミングを定義するための枠である。
【0087】
決済処理部138は、未利用決済額の合計が与信枠に達したときに決済を実行する。あるいは、与信枠を所定回数、たとえば、3回設定するごとに決済を実行するとしてもよい。与信枠への未利用決済額の到達を契機として決済を実行するため、ワンプレイごとに決済を実行するよりも決済回数、いいかえれば、決済処理にともなう処理負荷を抑制できる。
【0088】
第3実施形態において設定される与信枠は、利用限度額未満に制限される。たとえば、利用限度額が10万円のクレジットカードを対象として10万円の与信枠を設定した場合、与信枠を1度設定しただけでそのクレジットカードは使用不能となってしまう。一例として、3人のプレイヤP1、P2、P3(3人は家族であるとする)が、1枚のクレジットカードに対応づけられる場合を想定する。このとき、プレイヤP1に10万円の大きな与信枠を設定してしまうと、プレイヤP2、P3に与信枠を設定できなくなってしまう。これに対して、比較的少額の3,000円分の与信枠を設定する場合には、プレイヤP1が与信枠の設定を受けたあとでも、プレイヤP2、P3は同一のクレジットカードを対象としてそれぞれ与信枠の設定を受けることができる。このような理由により、与信枠は、少なくとも利用限度額未満に設定される必要があり、利用限度額の10分の1以下に制限されることが更に望ましい。上述したように、与信枠はゲームのワンプレイあたりの利用料金の20~30倍程度が適切であると考えられる。
【0089】
また、単一の銀行口座に対して複数のクレジットカードが対応づけられる場合においても、いずれか1つのクレジットカードに大きな与信枠を設定してしまうと、他のクレジットカードの利用が大きく制限されてしまう。このような観点からも、与信枠は利用限度額未満に制限されることが望ましい。
【0090】
与信部136は、クレジットカードが有効であることを確認した上で、与信枠を設定する。具体的には、与信部136は、クレジットカードの有効期限が切れていないか、クレジットカードが利用停止中になっていないか、をクレジットカード会社(決済装置114)に問い合わせて有効性を確認する。第1実施形態において説明した生体認証等の各種機能は、第3実施形態における通信部120においても適用可能である。
【0091】
以上、第3実施形態においても、アーケードゲームをポストペイ方式により楽しむことができる。また、与信枠を設定することで決済回数を抑制できる。ワンプレイごとに決済する場合、決済回数の増加にともなう処理負荷の増加により、ゲームのスムーズなプレイが阻害される可能性もある。一方、利用限度額と同額以上の与信枠を設定するとすれば、決済回数を抑制できるものの、上述の理由により他のユーザに不便を強いる可能性がある。そこで、利用限度額よりも少額の適正サイズの与信枠を設定し、必要に応じて与信枠を再設定することにより、ポストペイの利便性と決済回数の低減を両立させている。
【0092】
[第4実施形態]
第4実施形態は、第2実施形態と同様、プレイヤはゲーム支援装置102により設定される貸出枠に基づいてメダル装置116からメダルを借りる。第4実施形態においては、プレイヤは、クレジットカードによりメダルを借り受ける。ゲーム支援装置102のデータ格納部122には、プレイヤIDとクレジットカード番号を対応づけるメダル情報202が記憶される(第4実施形態のメダル情報202については後述)。与信部136は、メダル装置116からプレイヤIDを取得し、メダル情報202を参照することにより、プレイヤのクレジットカード番号を特定する。クレジットカードには利用限度額が設定されており、利用限度額の範囲内にて与信部136は貸出枠を設定する。
【0093】
図13は、第4実施形態におけるメダル情報202のデータ構造図である。
メダル情報202は、プレイヤIDとクレジットカード番号、利用限度額、貸出枠、預入メダル数および貸出メダル数を対応づける。メダル情報202にも、クレジットカード番号のほか、有効期限など有効性に関する情報、クレジットカードの発行元等の各種情報が対応づけられてもよい。第4実施形態においては、メダルは1枚10円であるとして説明する。
【0094】
第3実施形態と同様、与信部136は、利用限度額よりも少額の貸出枠を設定し、貸出枠の範囲内においてメダルの貸出を許可する。また、メダルの預入があったときには、貸出メダルと預入メダルを相殺し、第3実施形態と同様にして、残額を必要に応じて決済する。このように、メダル装置116を対象としたメダルの貸出しに際しても、貸出枠の範囲内においていわば「信用貸し」をすることにより、決済処理回数を抑制できる。第4実施形態においても、正味の貸出メダル数が貸出枠を越えたときには、利用限度額と累計利用額の差分が貸出枠以上であることを条件として、与信部136は新たな貸出枠を設定する。
【0095】
図13によれば、プレイヤ(P02)の貸出枠は30,000円(3,000枚)であり、預入メダルは4,200枚、貸出メダルは7,200枚である。預入枚数と貸出枚数を相殺すると、プレイヤ(P02)は合計3,000枚の貸出しを受けているため、更なる貸出を受けるためには、与信部136は貸出枠を再設定する必要がある。
【0096】
第3実施形態および第4実施形態のいずれの場合においても、プレイヤは、プレイヤIDが登録されたゲームカードにより、クレジットカードによるポストペイ方式の決済を利用できる。プレイヤは店舗108にクレジットカードを持参する必要がない。クレジットカードに対して利用限度額あるいは与信枠を任意に設定することにより、子どものプレイヤに対してもクレジットカードの利便性を安全に提供できる。仮にゲームカードを紛失したとしても、ゲームカードの利用対象はアーケードゲームに限られるため、汎用的なクレジットカードを紛失するよりもリスクが小さい。いわば、ゲームカードを「子どもでも使用できるゲーム専用のクレジットカード」として機能させることができる。生体認証等の他の認証手段と組み合わせることにより、セキュリティをいっそう高めることができる。
【0097】
与信部136は、クレジットカード決済であるか否かに関わらず、プレイヤIDに対して与信枠を設定し、未利用決済額が与信枠に達したとき、所定の再設定条件が成立していれば新たな与信枠を設定するとしてもよい。ここでいう再設定条件は、上述したように、累計利用額(未決済利用額の累計)が利用限度額以内であることであってもよいし、単位時間あたりの与信枠の設定回数が所定回数以内であることとしてもよい。あるいは、所定時刻、たとえば、16:00までであれば与信枠の再設定を可能とすることにより、プレイヤが夜遅くまで店舗108に滞在するのを抑制してもよい。このほかにも、与信枠の設定から所定時間以上が経過したこと、与信枠の設定からの経過時間が所定時間以内であること、前回の与信枠においてプレイされたゲームとは異なるゲームをプレイすることなど、再設定条件としては、利用目的に応じてさまざまな条件を設定してもよい。いずれの場合においても、与信枠を設定することにより与信枠分の金銭の引出権を確保することにより、ポストペイの便利さと決済回数の抑制を実現できる。利用限度額は、クレジットカード会社が所有者の信用に基づいて設定する枠である。あるいは、利用限度額は、ゲームのために利用可能な金額としてユーザにより設定される上限として設定されてもよい。いずれにしても、利用限度額は、単位期間において使用可能な金銭の上限値として設定されればよい。これに対して与信枠は、決済不要でゲームをプレイできる「枠」であり、与信枠自体がゲームのプレイ回数を制限する必要はない。与信枠は、使用可能な金銭の上限値ではなく、決済のタイミングをコントロールする値であり、この点において利用限度額とは役割が異なる。
【0098】
なお、第2実施形態および第4実施形態におけるメダルの貸し出しや預け入れは、メダル装置116による物理的処理に限定されるものではない。メダルは、金属等で構成される円盤状の物理的媒体として構成されてもよいし、電子メダルや仮想メダルと呼ばれる電子媒体を用いて電子的に管理されてもよい。メダル装置116は、物理的なメダルそのものを格納するほか、格納しているメダルに関する情報を電子的に記録する。メダルゲームによっては、実際のメダルを投入する必要のあるもののほか、物理メダルを要することなく電子メダルのみを投入することでプレイできるゲームもある。電子メダルを用いる場合は、メダル装置116ではなく、インターネット106を介して、メダル装置116と接続されているゲーム装置110にて直接電子メダルの貸し出しおよび預け入れをしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 ゲームシステム、102 ゲーム支援装置、104 携帯端末、106 インターネット、108 店舗、110 ゲーム装置、112 中継装置、114 決済装置、116 メダル装置、118 データ処理部、120 通信部、122 データ格納部、124 ID取得部、126 利用要求受信部、128 生体情報取得部、130 決済要求部、132 決済受信部、134 プレイ許可部、136 与信部、138 決済処理部、140 認証部、142 与信情報、144 貸出要求受信部、146 預入要求受信部、148 貸出部、150 メダル情報、158 生体情報テーブル、160 料金テーブル、162 口座テーブル、200 与信情報、202 メダル情報
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