(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221129BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221129BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20221129BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G06T1/00 330Z
B60R1/00
(21)【出願番号】P 2018071529
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 欣司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一矢
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福島 いつ子
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-141490(JP,A)
【文献】特開2007-141098(JP,A)
【文献】特開2008-28521(JP,A)
【文献】特開2014-110627(JP,A)
【文献】特開2009-017020(JP,A)
【文献】特開2008-79248(JP,A)
【文献】特開2007-274377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 1/00
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の撮像部で、前記車両の周辺状況として撮像された、被撮像領域が一部重複する複数の画像情報を取得する取得部と、
前記車両を挟んで離間する一対の前記被撮像領域のうち一方である第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する一対の前記被撮像領域のうち一方である第二の被撮像領域とが重なる第一の重複領域
を含んで前記第一の重複領域よりも狭い第一の関心領域の輝度を補正する第一の補正値と、前記第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の前記被撮像領域である第三の被撮像領域とが重なる第二の重複領域
を含んで前記第二の重複領域よりも狭い第二の関心領域の輝度を補正する第二の補正値と、を所定の値によって設定する第一の設定部と、
前記第一の補正値と前記第二の補正値を用いて、前記第一の被撮像領域における前記第一の関心領域と前記第二の関心領域との間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する第二の設定部と、
を含
み、
前記第一の関心領域および前記第二の関心領域は、前記車両の外周領域に接するように設定される、画像処理装置。
【請求項2】
前記第一の設定部は、前記第一の関心領域の輝度と前記第二の関心領域の輝度が、前記所定の値として定めた目標輝度になるような前記第一の補正値と前記第二の補正値で補正する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第一の設定部は、前記第一の関心領域の輝度と前記第二の関心領域の輝度との少なくとも一方に基づいて決定した前記第一の関心領域の第一の補正値と前記第二の関心領域の第二の補正値のそれぞれに、前記所定の値として定めた調整値を加算する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第二の設定部は、前記個別補正値を、前記第一の補正値と前記第二の補正値との間を線形補間する補間式に基づいて算出する場合、前記補間式の傾きが大きい程、当該傾きを減少させるように設定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第二の設定部は、前記個別補正値に対して補正上限値を設定し、輝度の補正量が増加するのに伴い、当該補正量が前記補正上限値に収束するように前記個別補正値を設定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第二の設定部は、前記個別補正値を、前記第一の補正値と前記第二の補正値とを含む直線補間式により算出した補正値にしたがい設定する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第二の設定部は、第一の関心領域の輝度に対して第一の目標輝度となる曲線式として算出された第一のγ曲線の第一の係数と、第二の関心領域の輝度に対して第二の目標輝度となる曲線式として算出された第二のγ曲線の第二の係数と、に基づく直線補間式により算出した補正値にしたがい前記個別補正値を設定する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた複数の撮像部(カメラ)により車両周囲の状況をそれぞれ異なる方向で撮像し、撮像した複数の画像の画像処理(例えば視点変換)を行うとともに、各画像を繋げて周辺画像(例えば俯瞰画像)を生成する画像処理装置が知られている。このような画像処理装置においては、撮像部の取付位置や撮像(撮影)方向、撮影時間帯、前照灯の点灯の有無、撮像部ごとの絞り調整の程度差等により各撮像部で撮像される画像に明るさ(輝度)にずれが生じる場合がある。その結果、繋ぎ合わせて生成した周辺画像が方向によって明るさが異なり、繋ぎ合わせた位置で輝度差が目立ち、違和感のある画像になってしまう場合があった。そこで、複数の画像の平均輝度に基づき全画面の輝度を補正したり、前方の画像について四箇所の輝度平均値を算出して他の画像の輝度を調整したり、前後の画像の輝度平均値を用いて側方の画像の輝度を補正したりする等の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5464741号公報
【文献】特許第5684144号公報
【文献】特許第6115104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術においては、基準とする画像が暗すぎたり、逆に明るすぎたりする場合、その影響が他の画像の輝度の補正量に影響し、例えば、全体が暗い画像に補正されたり、全体が明る過ぎる画像に補正されたりする場合がある。いずれの場合も、本来表示される画像内容(例えば、物体や区画線等)が認識し難くなり、また違和感が残り適切な周辺画像の表示ができない場合があった。したがって、複数の画像を繋ぎ合わせて周辺画像を表示する場合に、画像内容の認識がしやすく、画像を繋いでいることによる違和感を軽減できる画像処理装置が提供できれば有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置は、例えば、車両に設けられた複数の撮像部で、上記車両の周辺状況として撮像された、被撮像領域が一部重複する複数の画像情報を取得する取得部と、上記車両を挟んで離間する一対の上記被撮像領域のうち一方である第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する一対の上記被撮像領域のうち一方である第二の被撮像領域とが重なる第一の重複領域を含んで前記第一の重複領域よりも狭い第一の関心領域の輝度を補正する第一の補正値と、上記第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の上記被撮像領域である第三の被撮像領域とが重なる第二の重複領域を含んで前記第二の重複領域よりも狭い第二の関心領域の輝度を補正する第二の補正値と、を所定の値によって設定する第一の設定部と、上記第一の補正値と上記第二の補正値を用いて、上記第一の被撮像領域における上記第一の関心領域と上記第二の関心領域との間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する第二の設定部と、を含み、上記第一の関心領域および上記第二の関心領域は、上記車両の外周領域に接するように設定される。この構成によれば、例えば、第一の被撮像領域と繋ぎ合わせられる第二の被撮像領域および第三の被撮像領域とが、所定の値によって同様に補正される。したがって、第一の被撮像領域に対して、第二の被撮像領域と第三の被撮像領域とが同様な態様で輝度調整される。その結果、第一の被撮像領域に対して第二の被撮像領域および第三の被撮像領域が滑らかに繋ぎ合わせられる。また、第一の重複部分と第二の重複部分との間の輝度を各重複部分の輝度の補正値(第一の補正値、第二の補正値)に基づき設定するので、その間の部分(中間部分)の輝度変化が滑らかになり、極端に暗い部分や極端に明るい部分の発生が抑制できる。その結果、複数の画像を繋ぎ合わせた場合でも認識しやすい周辺画像を生成することができる。
【0006】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第一の設定部は、例えば、上記第一の関心領域の輝度と上記第二の関心領域の輝度が、上記所定の値として定めた目標輝度になるような上記第一の補正値と上記第二の補正値で補正してもよい。この構成によれば、例えば、各画像が繋ぎ合わせられる重複領域の輝度が、予め定められた目標輝度になるため、各画像の繋ぎ合わせが滑らかになるとともに、各画像の中間部分の輝度が目標輝度から徐々に変化し、また同じ目標輝度に戻るように変化する。したがって、中間部分の輝度が目標輝度から大きく乖離することが抑制できる。その結果、明るすぎたり、逆に暗すぎたりする補正が抑制され、全体として認識しやすい周辺画像を生成することができる。
【0007】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第一の設定部は、例えば、上記第一の関心領域の輝度と上記第二の関心領域の輝度との少なくとも一方に基づいて決定した上記第一の関心領域の第一の補正値と上記第二の関心領域の第二の補正値のそれぞれに、上記所定の値として定めた調整値を加算してもよい。この構成によれば、例えば、決定した補正値(第一の補正値や第二の補正値)による補正後の輝度が暗すぎて、画像全体が暗くなってしまう場合、所定の値としての調整値を用いて、輝度を一括増加する(底上げする)ことができる。その結果、周辺画像が全体として暗くなってしまう(暗すぎる)ことが抑制できる。
【0008】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第二の設定部は、例えば、上記個別補正値を、上記第一の補正値と上記第二の補正値との間を線形補間する補間式に基づいて算出する場合、上記補間式の傾きが大きい程、当該傾きを減少させるように設定してもよい。この構成によれば、例えば、輝度が極端に大きく修正されることが抑制され、不自然に明るくなりすぎたり、暗くなりすぎたりすることが防止され、認識しやすい周辺画像の生成ができる。
【0009】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第二の設定部は、例えば、上記個別補正値に対して補正上限値を設定し、輝度の補正量が増加するのに伴い、当該補正量が上記補正上限値に収束するように上記個別補正値を設定してもよい。この構成によれば、例えば、輝度が極端に大きく修正されることが抑制され、不自然に明るくなりすぎたり、暗くなりすぎたりすることが防止され、認識しやすい周辺画像の生成ができる。
【0010】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第二の設定部は、例えば、上記個別補正値を、上記第一の補正値と上記第二の補正値とを含む直線補間式により算出した補正値にしたがい設定してもよい。この構成によれば、輝度補正処理の負荷を軽減することができる。
【0011】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置の上記第二の設定部は、例えば、第一の関心領域の輝度に対して第一の目標輝度となる曲線式として算出された第一のγ曲線の第一の係数と、第二の関心領域の輝度に対して第二の目標輝度となる曲線式として算出された第二のγ曲線の第二の係数と、に基づく直線補間式により算出した補正値にしたがい上記個別補正値を設定してもよい。この構成によれば、例えば、γ曲線式は、輝度を256階調で表現した場合の最低輝度値「0」と最高輝度値「255」を必ず含む曲線であるため、γ曲線の係数を用いることにより、輝度の補正は最低輝度値と最高輝度値との間に行われ、画像が黒つぶれ(暗すぎる補正)や白飛び(明るすぎる補正)が抑制できる。その結果、黒つぶれや白飛び等の情報欠如の抑制が可能で、認識しやすい周辺画像の生成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる画像処理装置を搭載可能な車両の一例を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システムの構成の例示的なブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる画像処理装置のCPUの構成の例示的なブロック図である。
【
図4】
図4は、各撮像部により撮像される被撮像領域とその重複領域を説明する俯瞰的な模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる画像処理装置で処理対象とする元画像の輝度分布と関心領域(ROI:Region of Interest)の設定位置の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる画像処理装置において、固定の目標輝度を用いて輝度修正を行う場合の処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる像処理装置の処理の一部を例示的に説明する図であり、車両の前方の被撮像領域の関心領域の輝度を固定の目標輝度に補正し、その補正に対応する直線補間式を示す模式図である。
【
図8】
図8は、
図7の直線補間式により設定された輝度による補正が実行される場合を説明する図であり、車両の前方の被撮像領域の補正前後の輝度状態の変化例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる画像処理装置の処理の一部を例示的に説明する図であり、車両の側方の被撮像領域の関心領域の輝度を固定の目標輝度に補正し、その補正に対応する直線補間式を示す模式図である。
【
図10】
図10は、車両の周囲の被撮像領域に対して輝度補正を行った場合に生成される周辺画像の輝度状態の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる画像処理装置において、輝度の補正を行う場合に用いる直線補間式の傾きが大きすぎる例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施形態にかかる画像処理装置において、輝度の補正を行うとき補正量が大きすぎる場合に、補正上限値に基づき補正量の制限を行う例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、γ曲線の係数を用いた輝度の線形補間を説明する場合の入力輝度と出力輝度の関係の一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、γ曲線の係数を用いた輝度の線形補間を説明する場合の入力輝度と出力輝度の他の関係の例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、実施形態にかかる画像処理装置において、所定の値(固定値)を用いて、直線補間式の補正(底上げ補正)を行い、輝度補正を行う場合の処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図18】
図18は、
図17に示す画像処理を行う際に、補正前の直線補間式の例を説明する図であり、車両の前方の被撮像領域の関心領域の目標輝度を一対の関心領域の平均値を用いて決定する場合を説明する模式図である。
【
図19】
図19は、
図18に示す直線補間式を所定の値(調整値)によって補正(底上げ補正)する例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、
図19に示す補正後の直線補間式による前方の被撮像領域の輝度設定および同様な方法による後方の被撮像領域の輝度設定の後に、側方の被撮像領域の輝度設定を行う例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、本実施形態の画像処理装置が搭載される車両10の模式的な平面図である。車両10は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両10における車輪12(前輪12F、後輪12R)の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0015】
図1に例示されるように、車両10には、複数の撮像部14として、例えば四つの撮像部14a~14dが設けられている。撮像部14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部14は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像データ、画像情報)を出力することができる。撮像部14は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~220°の範囲(被撮像領域)を撮影することができる。また、撮像部14の光軸は斜め下方に向けて設定され得る。よって、撮像部14は、車両10が移動可能な路面や路面に付されたマーク(矢印や区画線、駐車スペースを示す線、車線分離線等を含む)や物体(例えば、歩行者、車両等)を含む車両10の外部の周辺状況を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0016】
撮像部14は、車両10の外周部に設けられている。撮像部14aは、例えば、車両10の前側、すなわち車両前後方向の前方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばフロントバンパ10aやフロントグリル等に設けられて、車両10の前端部(例えばフロントバンパ10a)を含む前方画像(前方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14bは、例えば、車両10の左側の端部、例えば左側のドアミラー10bに設けられて、車両10の左側方を中心とする領域(例えば左前方から左後方の領域)を含む左側方画像(左側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14cは、例えば、車両10の右側の端部、例えば右側のドアミラー10cに設けられて、車両10の右側方を中心とする領域(例えば右前方から右後方の領域)を含む右側方画像(右側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14dは、車両10の後側、すなわち車両前後方向の後方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばリヤバンパ10dの上方位置に設けられて、車両10の後端部(例えばリヤバンパ10d)を含む後方画像(後方の被撮像領域)を撮像可能である。
【0017】
本実施形態の画像処理装置は、複数の撮像部14で得られた撮像画像データに基づいて、演算処理や画像処理を実行することで、より広い視野角の画像を生成したり、車両10を上方や前方、側方等から見た仮想的な画像(俯瞰画像(平面画像)や側方視画像、正面視画像等)を生成したりすることができる。なお、各撮像部14が撮像する撮像画像データ(画像)には、互いに重複する重複領域が設けられ、画像を繋ぎ合わせるときに欠落領域が生じないようにしている。例えば、撮像部14aの撮像した撮像画像データの車幅方向左側の端部領域と撮像部14bが撮像した撮像画像データの車両前後方向のうち前方側の端部領域とが重複する。そして、二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。同様に、前方画像と右側方画像、左側方画像と後方画像、後方画像と右側方画像についても重複領域が設けられて二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。
【0018】
図2は、車両10に搭載される画像処理装置を含む画像処理システム100の構成の例示的なブロック図である。車両10の車室内には、表示装置16や、音声出力装置18が設けられている。表示装置16は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置18は、例えば、スピーカである。また、表示装置16は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部20で覆われている。乗員(例えば、運転者)は、操作入力部20を介して表示装置16の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置16の表示画面に表示される画像に対応した位置で、手指等で操作入力部20を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置16や、音声出力装置18、操作入力部20等は、例えば、車両10のダッシュボードの車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置22に設けられている。モニタ装置22は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。モニタ装置22は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0019】
また、
図2に例示されるように、画像処理システム100(画像処理装置)は、撮像部14(14a~14d)やモニタ装置22に加え、ECU24(electronic control unit)が含まれる。画像処理システム100(画像処理装置)では、ECU24やモニタ装置22は、電気通信回線としての車内ネットワーク26を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク26は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU24は、車内ネットワーク26を通じて制御信号を送ることで、各種システムの制御が実行できる。また、ECU24は、車内ネットワーク26を介して、操作入力部20や各種スイッチの操作信号等や図示を省略している各種センサの検出信号等を、受け取ることができる。
【0020】
ECU24は、撮像部14から取得した撮像画像データに基づいて生成した周辺画像や音声に関するデータをモニタ装置22へ送信する。ECU24は、例えば、CPU24a(central processing unit)や、ROM24b(read only memory)、RAM24c(random access memory)、表示制御部24d、音声制御部24e、SSD24f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。
【0021】
CPU24aは、ROM24b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムに従って演算処理を実行する。ROM24bは、各プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。CPU24aは、例えば、
図3に示すような各種モジュールを備え、表示装置16で表示される画像に関連した処理を実行する。例えば、CPU24aは、処理の一例として、撮像部14が撮像した撮像画像データに補正処理や演算処理、画像処理等を実行して、複数の画像を繋ぎ合わせた周辺画像(例えば、俯瞰画像)を生成する。CPU24aの詳細は後述する。
【0022】
RAM24cは、CPU24aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部24dは、ECU24での演算処理のうち、主として、表示装置16で表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。また、音声制御部24eは、ECU24での演算処理のうち、主として、音声出力装置18で出力される音声データの処理を実行する。SSD24fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU24の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU24aや、ROM24b、RAM24c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU24は、CPU24aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD24fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD24fやHDDは、ECU24とは別に設けられてもよい。
【0023】
本実施形態では、ECU24は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、表示装置16に表示する画像の画像生成処理を司る。ECU24は、撮像部14が撮像した撮像画像データ(画像)に画像処理、例えば視点変換処理等を施して表示装置16に表示させる際に、画像の輝度補正を行う。ECU24は、前後左右の画像を繋ぎ合わせた場合に、輝度差による画像間の連続性が低下する不都合や部分的または全体的に画像が明るくなりすぎたり、逆に暗すぎたりすることを抑制し、画像全体(繋ぎ合わせることで生成する周辺画像、俯瞰画像)の視認性が低下することを抑制する。
【0024】
図3は、ECU24に含まれるCPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実現するための構成の例示的なブロック図である。なお、CPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実行する以外の構成は図示を省略している。CPU24aは、上述したような輝度補正を含む画像処理を実行するための各種モジュールを備える。各種モジュールは、CPU24aがROM24b等の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現される。例えば、CPU24aは、
図3に示されるように、取得部28、関心領域設定部30、第1設定部32(第一の設定部)、第2設定部34(第二の設定部)等を備える。また、第1設定部32は、固定値設定部32a、固定値加算設定部32b等を含む。また、第2設定部34は、線形補間部34a、傾き設定部34b、γ曲線係数算出部34c、輝度設定部34d等を含む。
【0025】
取得部28は、各撮像部14が撮像した画像を表示制御部24dを介して取得する。各撮像部14(14a~14d)は、
図4に示すような被撮像領域36を撮像可能である。そして、各被撮像領域36は、前述したように隣接する被撮像領域36とそれぞれ一部が重なった重複領域38を含む。被撮像領域36のうち車両10の前方の被撮像領域36Fの車幅方向左側と車両10の左側方の被撮像領域36SLの車両前方側とは、重複領域38FLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36SLの車両後方側と車両10の後方の被撮像領域36Rの車幅方向左側とは、重複領域38RLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36Rの車幅方向右側と車両10の右側方の被撮像領域36SRの車両後方側とは、重複領域38RRを形成する。そして、被撮像領域36のうち被撮像領域36SRの車両前方側と被撮像領域36Fの車幅方向右側とは、重複領域38FRを形成する。各撮像部14は、撮像した撮像画像データに撮像部14ごとの識別符号を添付して取得部28に出力してもよいし、取得部28側で取得した撮像画像データごとに出力元を識別する識別符号を添付するようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施形態において、例えば、被撮像領域36Fに直目した処理を行う場合、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方(例えば被撮像領域36F)を第一の被撮像領域と称する場合がある。また、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち一方を第二の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SL)と称する場合がある。そして、第一被撮像領域と第二被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FL)を第一の重複領域と称する場合がある。同様に、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち他方を第三の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SR)と称する場合がある。そして、第一被撮像領域と第三被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FR)を第二の重複領域と称する場合がある。なお、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36を例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SRとすることもできる。この場合、第二の被撮像領域は、被撮像領域36Fと被撮像領域36Rとのいずれか一方、第三の被撮像領域が他方となる。
【0027】
関心領域設定部30は、
図5に示すように、取得部28が取得した被撮像領域36の重複領域38ごとに、輝度調整を行う際に参照する関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)を設定する。関心領域40は、車両10の車幅方向および前後方向に所定の長さを持つ、例えば矩形の領域で、関心領域40の輝度とは、関心領域40に含まれる各画素の輝度の例えば平均値である。また、本実施形態において関心領域40の位置を特定する場合、その位置は、例えば関心領域40の中心位置(車幅方向および前後方向の中点)とする。
【0028】
なお、各撮像部14は、撮像時に自動的に絞り調整(ゲイン調整)が行われ、各被撮像領域36の明るさ調整(輝度調整)が成される。その結果、被撮像領域36に明るい領域が多く存在する場合、絞り値が大きくなり、明るさが抑えられた暗めの画像が撮像される。逆に被撮像領域36に暗い領域が多く存在する場合、絞り値が小さくなり、明るさが向上された明るめの画像が撮像される。したがって、
図5に示すように、例えば重複領域38FLに含まれる関心領域40FLにおいて、被撮像領域36F側の関心領域40FLに対応する部分と被撮像領域36SL側の関心領域40FLに対応する部分で、明るさ(輝度)が異なる場合がある。例えば、
図5において、輝度を0~255の256階調(「0」が暗く、「255」が明るい)で表した場合、例えば、重複領域38FLに含まれる関心領域40FLの場合、被撮像領域36F側の輝度は、「250」で明るく、被撮像領域36SL側の輝度は、「100」で被撮像領域36F側より暗い。なお、
図5において、「100」等で標記された数字が輝度を示す。また、別の図においては、関心領域40の中に標記された数字が輝度を表す場合もある。なお、関心領域設定部30は、関心領域40の設定位置を予め定めた位置に設定してもよいし、被撮像領域36の輝度分布に応じて設定位置を変更するようにしてもよい。
【0029】
第1設定部32は、関心領域40の輝度を所定の値によって補正する。例えば、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方である第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)を考える。第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と、当該第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36のうち一方である第二の被撮像領域(例えば被撮像領域36SL)と、が重なる第一の重複領域(例えば重複領域38FL)に含まれる第一の関心領域(例えば関心領域40FL)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の被撮像領域36である第三の被撮像領域(例えば被撮像領域36SR)とが重なる第二の重複領域(例えば重複領域38FR)に含まれる第二の関心領域(関心領域40FR)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、関心領域40RLおよび関心領域40RRの輝度を補正する。
【0030】
本実施形態の場合、第1設定部32は関心領域40の輝度を所定の値によって補正する場合、例えば二種類の方法によって行うことができる。例えば、固定値設定部32aは、所定の値として定めた目標輝度になるような補正値を決定して、輝度の補正を行う。固定値設定部32aは、例えば、予め実験等で導き出した、周囲の明暗環境に拘わらず、最も視認性がよいとされる目標輝度(例えば、256階調の「200」)に関心領域40の輝度がなるような補正値を用いて補正を行う。
【0031】
また、第1設定部32に含まれる固定値加算設定部32bは、被撮像領域36に含まれる関心領域40の輝度を補正するための目標輝度を算出した場合、目標輝度に所定の値として定めた調整値を加算することで、被撮像領域36の輝度を一律に底上げ補正する。例えば、被撮像領域36Fの場合、車幅方向左側の関心領域40FLの輝度が「150」と車幅方向右側の関心領域40FRの輝度が「100」であった場合、少なくとも一方の輝度を用いて、目標輝度を決める。例えば、関心領域40FLと関心領域40FRとの平均の輝度「125」を目標輝度とする。この目標輝度で補正を行った場合、被撮像領域36F全体の明るさが足りないと判定した場合には、所定の値として定めた調整値を加算する。例えば、予め実験等により定めた調整値である「調整輝度値=50」を加算して、被撮像領域36F全体の明るさを一律に底上げする。なお、固定値設定部32a、固定値加算設定部32bによる補正の具体的な例は後述する。
【0032】
第2設定部34は、隣り合う関心領域40のそれぞれの補正値に基づいて、その間の輝度を設定する。例えば、被撮像領域36Fの車幅方向左側の関心領域40FLを第一の関心領域とした場合、例えば、固定値設定部32aによって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第一の補正値とする。同様に、被撮像領域36Fの車幅方向右側の関心領域40FRを第二の関心領域とした場合、例えば、固定値設定部32aによって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第二の補正値とする。この場合、線形補間部34aは、第一の補正値と第二の補正値とを用いて、線形補間を行うための例えば直線補間式(第一の補正値と第二の補正値とを結ぶ直線)を生成する。そして、生成した線形補間式(例えば直線補間式)に基づいて、二つの関心領域40の間領域の輝度を補正する。
【0033】
傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きが所定の制限値以上の場合に、直線補間式の傾きを補正する。例えば、隣接する関心領域40の一方の輝度が固定値設定部32aで設定した目標輝度から大きく乖離していた場合、線形補間部34aが生成する直線補間式の傾きは大きくなる。その結果、例えば関心領域40の周辺で、関心領域40より暗い部分も関心領域40の輝度の補正の影響を受けてより明るい方向に補正されてしまうことがある。その結果、必要以上に輝度が高くなるような補正が行われ、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きを予め設定した曲線によって補正する。この曲線は、例えば、線形補間式の傾きが制限値より小さい場合は補正なしとし、傾きが所定以上の場合に傾きを減少補正するような特性を備える。なお、この曲線は、傾きが制限値よりさらに大きな限界値以上になった場合、傾きが予め設定した所定の値(固定値)となるような特性を備えてもよい。
【0034】
線形補間部34aは、一例として、隣接する二つの関心領域40に対する補正値を直線で結ぶことで、直線補間式を生成する。この場合、補正値によっては、中間部分の輝度補正において、補正量が小さすぎて画像の「黒つぶれ」が生じたり、逆に補正量が大きすぎたりして画像の「白飛び」が生じてしまう場合がる。そこで、γ曲線係数算出部34cは、第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)の輝度に対して第一の目標輝度となる曲線式として算出された第一のγ曲線の第一の係数を算出する。同様に、γ曲線係数算出部34cは、第二の関心領域(例えば(関心領域40FR)の輝度に対して第二の目標輝度となる曲線式として算出された第二のγ曲線の第二の係数を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、算出した第一の係数と第二の係数に基づく線形補間式(直線補間式)を生成し、この線形補間式により算出した補正値(γ曲線係数)にしたがい第一の関心領域と第二の関心領域との間の領域の輝度を設定する。この場合、γ曲線式は、輝度を256階調で表す場合の最低輝度値「0」と最高輝度値「255」を必ず含む曲線であるため、γ曲線の係数を用いることにより、画像の黒つぶれ(暗すぎる補正)や白飛び(明るすぎる補正)を発生しにくくすることができる。その結果、黒つぶれや白飛び等の情報欠如の抑制が可能で、認識しやすい周辺画像の生成ができる。
【0035】
輝度設定部34dは、線形補間部34aで生成された線形補間式(例えば、直線補間式)に基づき、第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)と第二の関心領域(例えば、関心領域40FR)の間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する。輝度設定部34dは、線形補間部34aで生成された線形補間式が、車両10の前方の被撮像領域36Fに関する線形補間式である場合、この線形補間式にしたがい、被撮像領域36Fにおける車両前後方向の領域に関しても同様に輝度補正を行う。したがって、被撮像領域36Fの場合、車両前後方向の領域は、同様な補正値(補正量)で輝度の補正が実行される。
【0036】
図3のCPU24aの構成は、一例であり、例えば、第1設定部32において、所定の値による補正(固定値設定部32aや固定値加算設定部32b)は、いずれか一方を選択できるようにしてもよい。また、いずれか一方を固定で利用する場合は、固定値設定部32aと固定値加算設定部32bのいずれか一方を省略した構成としてもよい。また、第2設定部34において、線形補間部34aが関心領域40の補正値によってのみ線形補間式を形成する場合には、γ曲線係数算出部34cを省略した構成としてもよい。
【0037】
このように構成される画像処理システム100(画像処理装置)の処理の一例について、
図6のフローチャートおよび
図1~
図5に加え
図7~
図16を用いて説明する。
【0038】
図6のフローチャートを用いて、固定値設定部32aにより所定の値として、予め設定された目標輝度が設定される場合に実行される輝度補正について説明する。
【0039】
まず、CPU24aは、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S100)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定となる。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S100のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S102)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S100のNo)、一旦、
図6のフローを終了する。
【0040】
続いて、関心領域設定部30は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S104)。各被撮像領域36の関心領域40における輝度が例えば、
図5で示すような場合、固定値設定部32aは、各関心領域40に対して、所定の値として定めた目標輝度(例えば、256階調で「200」)を設定するとともに(S106)、関心領域40の輝度が目標輝度(例えば「200」)になるように補正するための補正値を設定する(S108)。
図7は、車両10の前方の被撮像領域36Fの輝度を補正する例である。被撮像領域36Fの場合、車幅方向(X軸方向)左側の関心領域40FLの輝度が256階調で「250」であり、車幅方向右側の関心領域40FRの輝度が256階調で「150」となっている例である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FLは、輝度値Mとして「-50」の補正値が設定され、関心領域40FRは、「+50」の補正値が設定される。
【0041】
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=-50)と、関心領域40FRの補正値(N=+50)を用いて、直線補間式42(42F)を生成する(S110)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。そして、輝度設定部34dは、生成された直線補間式42Fで算出される補正値(個別補正値)に基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度を補正(設定)する。同様に、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正値で設定(補正)する(S112)。その結果、
図8に示すように、補正前の被撮像領域36Fは、車幅方向左側(関心領域40FLの部分)の輝度が例えば「250」から「200」に暗くなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40FRの部分)の輝度が例えば「150」から「200」に明るくなるように補正される。
【0042】
CPU24aは、上述のような補正処理が全画面に対して完了したか否かを監視する(S114)。そして、補正処理が完了していない場合(S114のNo)、S102に戻り、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、上述した処理を、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRに対して実行する。
【0043】
例えば、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、車両10の後方の被撮像領域36Rに対して上述と同様な処理を実行する。その結果、補正前の被撮像領域36Rは、車幅方向左側(関心領域40RLの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40RRの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正される。
【0044】
同様に、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、
図9に示すように、車両10の左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRについても同様な補正を行う。例えば、被撮像領域36SLの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FLの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RLの輝度が256階調で「50」である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FLは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RLは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=+100)と、関心領域40RLの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Lを生成する。同様に、被撮像領域36SRの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FRの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RRの輝度が256階調で「50」である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FRは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RRは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FRの補正値(N=+100)と、関心領域40RRの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Rを生成する。
【0045】
その結果、被撮像領域36SLにおける関心領域40FLと関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示され、被撮像領域36SRにおける関心領域40FRと関心領域40RRとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の個別補正量が直線補間式42Rによって示される。そして、輝度設定部34dは、直線補間式42Lに基づき、関心領域40FLと関心領域40RLの間の領域の輝度および、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。また、輝度設定部34dは、直線補間式42Rに基づき、関心領域40FRと関心領域40RRの間の領域の輝度および、被撮像領域36SRにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。
【0046】
CPU24aは、全ての画像(被撮像領域36F、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの画像)に対して補正処理が完了すると(S114のYes)、表示制御部24dを用いて、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成して、表示装置16に表示させて(S116)、次の処理周期でS100からの処理を繰り返すことで周辺画像の更新を行う。この場合、
図10に示すように、各関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)の輝度が256階調で「200」となり、各被撮像領域36(36F,36SL,36R,36SR)を繋ぎ合わせが滑らかに行われた周辺画像44を生成することができる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42によって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像44のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。
【0047】
ところで、隣接する関心領域40の輝度差が元々大きい場合がある。例えば、
図11に示すように、屋外で日差しが強い場合に、車両10の周囲の一部に自車の濃い影46が存在する場合がある。この場合、影46に含まれない関心領域40RLの輝度(例えば、256階調で「180」)と影46に含まれる関心領域40RRの輝度(例えば、256階調で「操作入力部20」)とで輝度の差が大きい場合がある。このような場合に、上述した場合と同様に、固定値設定部32aが目標輝度を「200」に設定すると、関心領域40RLに対する補正値は「+20」となるのに対して、関心領域40RRに対する補正値は「+180」となる。その結果、線形補間部34aが直線補間式42を生成すると、
図11に示すように、傾きが大きな直線補間式42が生成されてしまう場合がある。この場合、関心領域40RRの周辺で、関心領域40RRより明るい領域48も関心領域40RRの輝度の補正の影響を受けてより明るい方向に補正されてしまうことがある。その結果、関心領域40RRより明るい領域48が、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。そこで、傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した直線補間式42の傾きを、
図12に示すような予め設定した曲線50によって補正する。この曲線50は、例えば、直線補間式42の傾きが所定の制限値未満の場合は、「通常ゾーン」とし傾き補正なしとし、傾きが所定の制限値以上の場合は、「制限ゾーン」として、傾きを減少補正する。また、曲線50は、傾きが制限値より大きな所定の限界値以上になった場合には、補正後の傾きが予め設定した所定の値(固定値)となるような補正を行う。
【0048】
直線補間式42の傾きが所定の制限値以上の場合に、その傾きを曲線50によって補正することで、関心領域40RRより明るい領域48に対する輝度補正が緩和され、「白飛び」を抑制することができる。また、傾きを限界値(固定値)で補正することにより、それ以上の輝度増加が生じないようにすることができる。なお、この場合、本来明るく補正されることで、滑らかな輝度変化を実現しているものに対して、補正の制限を加えることになるので、輝度変化の滑らかさが低減するが、「白飛び」が抑制できるので、画像内容の認識性向上に寄与できる。なお、曲線50の形状や制限値や限界値(固定値)は、予め実験等により周囲の輝度とのバランス等を考慮し適宜決定することができる。また、曲線50は、周囲の輝度とのバランス等を考慮して、線形補間部34aで算出するようにしてもよい。
【0049】
また、別の実施形態においては、輝度設定部34dは、直線補間式42に基づいて関心領域40RLと関心領域40RRの間の領域の輝度を補正する補正値(個別補正値)を設定する場合、補正値に制限を加えてもよい。例えば、
図13に示すように、補正値に対して補正上限値Maxを設定し、直線補間式42にしたがい、輝度の補正量が増加するのに伴い、設定する個別補正量が補正上限値Maxに収束するようにする。この場合も、関心領域40RRより明るい領域48に対する輝度補正が緩和され、「白飛び」を抑制することができる。なお、補正上限値Maxは、予め固定値で設定してもよいし、算出した直線補間式42の傾きに応じて、設定してもよい。
【0050】
また、上述したように、固定値設定部32a等で設定された目標輝度によって、隣接する二つの関心領域40の補正値を直線で結んで直線補間式42を生成する場合、処理負荷を増大させることなく、輝度修正を行うことができるというメリットがある反面、補正値によっては、中間部分の輝度補正において、補正量が小さすぎる場合に画像の「黒つぶれ」が生じた入り、逆に大きすぎる場合に、画像の「白飛び」が生じてしまう場合がる。そこで、本実施形態の場合、輝度の補正の際にγ補正を利用するようにし得る。例えば、車両10の前方の被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FL(第一の関心領域)と、関心領域40FR(第二の関心領域)を考える。関心領域40FLの輝度(領域内の平均輝度)が256階調の「150」であり、関心領域40FRの輝度が「100」であり、固定値設定部32aにより設定された目標輝度が256階調で「125」であったとする。この場合、目標輝度にするためには、関心領域40FLは、「-25」の補正値が必要で、関心領域40FRは、「+25」の補正値が必要となる。
【0051】
そこで、γ曲線係数算出部34cは、関心領域40FLについて、
図14に示すように、横軸を入力輝度Y
0、縦軸を出力輝度Y
1Lとした場合の第一のγ曲線52Lを算出する。この場合、γ曲線係数算出部34cは、第一のγ曲線52Lとして、最低値(最低輝度)の座標p=(0,0)と、最高値(最高輝度)の座標q=(255,255)と、を通るととともに、入力輝度Y
0に対して出力輝度Y
1Lが「-25」となる座標rとの三点を通る曲線(Y
1L=Y
0
1/γ1)を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、第一の係数として、「γ1」を算出する。この場合、第一のγ曲線52Lは、出力輝度Y
1L=入力輝度Y
0となる直線54に対して下に凸の曲線となる。同様に、γ曲線係数算出部34cは、関心領域40FRについて、
図15に示すように、第二のγ曲線52Rとして、最低値(最低輝度)の座標p=(0,0)と、最高値(最高輝度)の座標q=(255,255)と、を通るととともに、入力輝度Y
0に対して出力輝度Y
1Rが「+25」となる座標sとの三点を通る曲線(Y
1R=Y
0
1/γ2)を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、第二の係数として、「γ2」を算出する。この場合、第二のγ曲線52Rは、出力輝度Y
1R=入力輝度Y
0となる直線54に対して上に凸の曲線となる。
【0052】
線形補間部34aは、γ曲線係数算出部34cが算出したγ曲線係数γ1およびγ2を用いて、直線補間式56を生成する。
図16は、縦軸をγ曲線係数、横軸を車幅方向の輝度補正対象の位置座標とした図であり、関心領域40FLの中心座標をX1として場合にγ曲線係数が「γ1」となり、関心領域40FRの中心座標をX2として場合に、γ曲線係数が「γ2」となる場合の、直線補間式56(γ=aX+b)である。したがって、輝度設定部34dは、直線補間式56に基づき関心領域40FLと関心領域40FRの間の位置の補正対象の位置に対応するγ曲線係数を算出し、入力輝度Y
0(元画像の輝度)と出力輝度Y
1との関係を示すY
1=Y
0
1/γに、算出したγ曲線係数と補正対象の位置の輝度(元画像の輝度値、入力輝度Y
0)を代入する。その結果、一対の関心領域40の間の領域の補正後の輝度(出力輝度Y
1)を算出することができる。このような補正を他の画像においても実行することにより、画像が黒つぶれ(暗すぎる補正)や白飛び(明るすぎる補正)を発生しにくい、情報欠如の抑制が可能で、認識しやすい周辺画像を生成できる。
【0053】
次に、画像処理システム100(画像処理装置)の処理の他の例について、
図17のフローチャートおよび
図18~
図20を用いて説明する。
【0054】
図17のフローチャートを用いて、固定値加算設定部32bにより、線形補間式の補正を所定の値により行い、輝度補正(輝度の底上げ補正)を実行する場合について説明する。
【0055】
まず、CPU24aは、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S200)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定とある。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S200のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S202)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S200のNo)、一旦、
図17のフローを終了する。
【0056】
続いて、関心領域設定部30は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S204)。続いて、固定値加算設定部32bは、例えば、車両10の前方の被撮像領域36Fについて、設定された車幅方向の二つの関心領域40(関心領域40FLと関心領域40FR)の輝度(関心領域40内の平均輝度)の平均値を算出し被撮像領域36Fの目標輝度とする(S206)。例えば、
図18に示すように、被撮像領域36Fの車幅方向(X軸方向)左側の関心領域40FLの輝度が256階調の「150」であり、右側の関心領域40FRの輝度が256階調で「100」であるとする。この場合、固定値加算設定部32bは、「125」を目標輝度に設定し、関心領域40FLおよび関心領域40FRの輝度が目標輝度(例えば「125」)になるように補正するための補正値を設定する(S208)。
図18の場合、被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FLは、輝度値Mとして「-25」の補正値が設定され、関心領域40FRは、「+25」の補正値が設定される。
【0057】
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=-25)と、関心領域40FRの補正値(N=+25)を用いて、直線補間式42を生成する(S210)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。
【0058】
ところで、この例の場合、目標輝度は、補正対象の被撮像領域36に含まれる二箇所の関心領域40(例えば、関心領域40FLと関心領域40FR)の輝度の平均値により決定され、直線補間式42が生成されている。そのため、目標輝度が低すぎる、つまり、輝度補正処理を実行したにも拘わらず、補正後の画像が十分に明るくない場合がある。そこで、固定値加算設定部32bは、直線補間式42によって補正される輝度が予め設定された輝度(下限輝度)より低く、増加調整が必要であると判定した場合(S212のYes)、固定値加算設定部32bは所定の値(調整値)による補正を実行する(S214)。例えば、S208で設定した補正値に予め定めた調整値(例えば、調整輝度値=50)を加算する。すなわち、
図19に示すように、関心領域40FLの輝度と関心領域40FRの輝度の平均値によって定められた目標輝度(例えば「125」)になるような補正値(「-25」および「+25」)のそれぞれに、調整輝度値=50を加算する。言い換えれば、直線補間式42をそのまま輝度値+50となるように増加方向にシフトして、直線補間式42aを生成する。輝度設定部34dは、直線補間式42aに基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度および、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正量で設定(補正)する(S216)。この場合、被撮像領域36Fの輝度は、一律に「+50」だけ底上げされ、明るい画像となる。なお、S212において、直線補間式42によって補正される輝度が予め設定された輝度(下限輝度)以上の場合、増加調整の必要はないと判定し(S212のNo)、S214の処理をスキップする。
【0059】
第1設定部32は、車両10の前方の被撮像領域36Fおよび後方の被撮像領域36Rの輝度補正が完了したか否かの監視を行い(S218)、完了していない場合(S218のNo)、S204に戻り、同様な処理を実行する。一方、車両10の前方の被撮像領域36Fおよび後方の被撮像領域36Rの輝度補正が完了している場合(S218のYes)、第1設定部32は、車両10の側方の被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの輝度補正のために、関心領域40の設定を行う(S220)。そして、第1設定部32は、被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの関心領域40の輝度を既に輝度補正が完了している被撮像領域36Fおよび被撮像領域36Rの関心領域40の輝度を目標輝度として設定する(S222)。
【0060】
例えば、
図20に示されるように、被撮像領域36Fにおける関心領域40FLの補正後の輝度が「175」で、被撮像領域36SLの関心領域40FLの補正前(撮像時の輝度)が「100」の場合、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40FLの目標輝度を「175」に設定する(S222)。つまり、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40FLの補正値として「+75」を設定する(S224)。一方、被撮像領域36Rにおける関心領域40RLの補正後の輝度が「100」で、被撮像領域36SLの関心領域40RLの補正前(撮像時の輝度)が「50」の場合、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40RLの目標輝度を「100」に設定する(S222)。つまり、被撮像領域36SLの関心領域40RLの補正値は「+50」となる(S224)。
【0061】
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=+75)と、関心領域40RLの補正値(N=+50)を用いて、直線補間式42Lを生成する(S226)。その結果、関心領域40FLとの関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示される。そして、輝度設定部34dは、直線補間式42Lに基づき、関心領域40FLと関心領域40RLとの間の領域の輝度および、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な補正量で設定(補正)する(S228)。
【0062】
第1設定部32は、車両10の左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRの輝度補正が完了したか否かの監視を行い(S230)、完了していない場合(S230のNo)、S220に戻り、同様な処理で被撮像領域36SRに関する直線補間式42Rを生成して、右側方の輝度補正処理を実行する。一方、左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRの輝度補正が完了している場合(S230のYes)、CPU24aは、表示制御部24dを用いて、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成して、表示装置16に表示させて(S232)、次の処理周期でS200からの処理を繰り返すことで、周辺画像の更新を行う。この場合、
図20に示すように、関心領域40FLが含まれる被撮像領域36Fと被撮像領域36SLとは、輝度「175」で統一され滑らかに繋がる。同様に、関心領域40RLが含まれる被撮像領域36SLと被撮像領域36Rとは、輝度「100」で統一され滑らかに繋がる。また、関心領域40RRが含まれる被撮像領域36Rと被撮像領域36SRとは、輝度「100」で統一され滑らかに繋がる。関心領域40FRが含まれる被撮像領域36SRと被撮像領域36Fとは、輝度「175」で統一され滑らかに繋がる。つまり、生成される周辺画像は、各画像の繋ぎ合わせ部分に輝度の格差がなく滑らかに繋がった違和感のない見やすい画像となる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42a,42L,直線補間式42Rによって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。なお、
図17の処理においても、前述したような、線形補間式の傾きの補正や、γ曲線係数を用いた線形補間式の算出を適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0063】
上述した実施形態において、固定値設定部32aの設定する目標輝度や、固定値加算設定部32bが設定する調整値は、車両10の周囲の状況に拘わらず所定の値として説明した。例えば、夜間は、表示装置16の周囲が暗いので、表示装置16に表示する画像の輝度を全体として落としても、違和感はなく画像内容を認識することができる場合がある。逆に、昼間は周囲が明るいので、表示装置16の輝度をさらに高めた方が画像内容を認識しやすい場合がある。したがって、別の実施形態においては、例えば、昼夜等車両10の周囲の明るさ状態、または、表示装置16の明るさ設定に応じて所定の値を変更するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態の場合、撮像部14bは左のドアミラー10bに固定され、撮像部14cは右のドアミラー10cに固定されている。この場合、車両10のドアが閉まっている状態で撮影された画像を用いることで、撮像部14aや撮像部14dが撮像した画像との繋ぎ合わせが正確にできる。したがって。表示制御部24dは、ドアが開いている場合は、画像のつなぎ合わせが正確にできない。そのためCPU24aは、上述したような輝度の補正処理を実行せずに、参考としての周辺画像を生成するようにしてもよい。
【0065】
本実施形態のCPU24aで実行される画像処理のためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0066】
さらに、画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0067】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10…車両、14,14a,14b,14c,14d…撮像部、16…表示装置、24…ECU、24a…CPU、24d…表示制御部、28…取得部、30…関心領域設定部、32…第1設定部(第一の設定部)、32a…固定値設定部、32b…固定値加算設定部、34…第2設定部(第二の設定部)、34a…線形補間部、34b…傾き設定部、34c…γ曲線係数算出部、34d…輝度設定部、36,36F,36SL,36SR,36R…被撮像領域、38,38FL,38FR,38RL,38RR…重複領域、40、40FL,40FR,40RL,40RR…関心領域、42,42a,42L,42R,56…直線補間式、44…周辺画像、50…曲線、52L…第一のγ曲線、52R…第二のγ曲線、54…直線、100…画像処理システム。