(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】作業機械のアタッチメント
(51)【国際特許分類】
E02F 3/38 20060101AFI20221129BHJP
B66C 23/82 20060101ALN20221129BHJP
【FI】
E02F3/38 A
E02F3/38 B
B66C23/82 B
(21)【出願番号】P 2018132723
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】山下 慎二
(72)【発明者】
【氏名】和田 一朗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 嗣人
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040155(JP,A)
【文献】特開2013-096171(JP,A)
【文献】特開平11-193542(JP,A)
【文献】特開2013-023905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0074811(US,A1)
【文献】国際公開第97/033049(WO,A1)
【文献】特開2009-293262(JP,A)
【文献】特開2018-021434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
B66C 23/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメントの構成要素である第1部材と、
前記アタッチメントの構成要素であり、前記第1部材に連結可能な第2部材と、
を備える作業機械のアタッチメントであって、
前記第1部材は、左右一対の第1左右側板と、前記第2部材に連結される側の端部において前記第1左右側板の間を接続する第1接続板とを有し、
前記第1左右側板は、前記第1接続板から前記第2部材の側に張り出した第1左右張出部を有し、
前記第1左右張出部には、固定ピンの胴部を嵌合可能な第1切り欠きがそれぞれ形成されており、
前記第2部材は、左右一対の第2左右側板と、前記第1部材に連結される側の端部において前記第2左右側板の間を接続する第2接続板とを有し、
前記第2左右側板は、前記第2接続板から前記第1部材の側に張り出した第2左右張出部を有し、
前記第2左右張出部には、前記固定ピンを挿通するための挿通孔がそれぞれ形成されており、
前記挿通孔には、前記固定ピンの両端側の一部が前記第2左右張出部から外側に突出するように前記固定ピンが挿通されており、
前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1左右張出部が前記第2左右張出部の外側に配置され、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部から外側に突出した部分が前記第1切り欠きに嵌合
し、
前記第1接続板には、前記第1左右張出部の内側において前記第1左右張出部と略平行に前記第2部材の側に張り出す一対の張出板がそれぞれ設けられており、
前記一対の張出板には、前記固定ピンの胴部を嵌合可能な第2切り欠きがそれぞれ形成されており、
前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1左右張出部は前記第2左右張出部の外側に配置される一方、前記一対の張出板は前記第2左右張出部の内側に配置され、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部から突出した部分は前記第1切り欠きに嵌合し、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部の内側の部分が前記第2切り欠きに嵌合することを特徴とする作業機械のアタッチメント。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1部材が基端側に配置され、前記第2部材が先端側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の作業機械のアタッチメント。
【請求項3】
前記固定ピンには、前記挿通孔における挿通位置を保持する保持部材が設けられていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の作業機械のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立作業における労力低減が可能な作業機械のアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のブーム体を備えるアタッチメントにおいて、一方のブーム体の側壁を他方のブーム体に結合させるための構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、特許文献1の
図7,8に示されるように、インサートブーム(6c1)の後端部に固定ピン(24)が設けられ、インサートブーム(6c2)の側壁(22)には切り欠き(32)が形成されている。そして、インサートブーム(6c1)とインサートブーム(6c2)との組み立て時には、特許文献1の
図10に示されるように、固定ピン(24)が切り欠き(32)に係合する。これにより、その後に行われるピン(50)の抜き差し作業等(特許文献1の
図11,12)の労力が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明では、インサートブーム(6c2)の側壁(22)の幅がインサートブーム(6c1)の後方側壁(23)の幅よりも狭くなっている(特許文献1の
図8)。そのため、インサートブーム(6c1)とインサートブーム(6c2)との組み立て時に、インサートブーム(6c2)の側壁(22)がインサートブーム(6c1)の後方側壁(23)の内側に入り込み、固定ピン(24)と切欠き(32)との係合状況を側方から視認し難い。したがって、切欠き(32)と固定ピン(24)とを素早く係合できず、インサートブーム(6c1)とインサートブーム(6c2)とを迅速に連結できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、複数の構成要素を迅速かつ容易に連結することが可能な作業機械のアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、アタッチメントの構成要素である第1部材と、前記アタッチメントの構成要素であり、前記第1部材に連結可能な第2部材と、を備える作業機械のアタッチメントであって、前記第1部材は、左右一対の第1左右側板と、前記第2部材に連結される側の端部において前記第1左右側板の間を接続する第1接続板とを有し、前記第1左右側板は、前記第1接続板から前記第2部材の側に張り出した第1左右張出部を有し、前記第1左右張出部には、固定ピンの胴部を嵌合可能な第1切り欠きがそれぞれ形成されており、前記第2部材は、左右一対の第2左右側板と、前記第1部材に連結される側の端部において前記第2左右側板の間を接続する第2接続板とを有し、前記第2左右側板は、前記第2接続板から前記第1部材の側に張り出した第2左右張出部を有し、前記第2左右張出部には、前記固定ピンを挿通するための挿通孔がそれぞれ形成されており、前記挿通孔には、前記固定ピンの両端側の一部が前記第2左右張出部から外側に突出するように前記固定ピンが挿通されており、前記第1左右側板の左右幅は、前記第2左右側板の左右幅より広く、前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1左右張出部が前記第2左右張出部の外側に配置され、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部から外側に突出した部分が前記第1切り欠きに嵌合することを特徴とする作業機械のアタッチメントを提供している。
【0008】
ここで、前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1部材が基端側に配置され、前記第2部材が先端側に配置されるのが好ましい。
【0009】
また、前記第1接続板には、前記第1左右張出部の内側において前記第1左右張出部と略平行に前記第2部材の側に張り出す一対の張出板がそれぞれ設けられており、前記一対の張出板には、前記固定ピンの胴部を嵌合可能な第2切り欠きがそれぞれ形成されており、前記第1部材と前記第2部材との連結時において、前記第1左右張出部は前記第2左右張出部の外側に配置される一方、前記一対の張出板は前記第2左右側板の張出部分の内側に配置され、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部から突出した部分は前記第1切り欠きに嵌合し、前記固定ピンの胴部のうち前記第2左右張出部の内側の部分が前記第2切り欠きに嵌合するのが好ましい。
【0010】
更に、前記固定ピンには、前記挿通孔における挿通位置を保持する保持部材が設けられているのが好ましい。
【0011】
また、前記保持部材は、前記固定ピンの左右両端に当接した状態で前記固定ピンの軸方向に締結されるボルトにより固定される一対のプレートと、前記第2左右張出部の外側を向く面に取り付けられ、前記一対のプレートを固定可能な一対のブラケットと、を備えるのが好ましい。
【0012】
更に、前記保持部材は、断面U字状の曲板として構成され、前記曲板のうち、U字対向面の一方は前記固定ピンの端部の側方に配置された状態で前記固定ピンに対してボルトで固定され、前記U字対向面の他方は前記第2左右張出部の内側の面に近接する位置に配置されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の作業機械のアタッチメントによれば、固定ピンと第1切り欠きとの嵌合状況を側方から視認できるため、固定ピンを第1切り欠きに対して容易に嵌合すること可能である。よって、アタッチメントの構成要素である第1部材及び第2部材を迅速かつ容易に連結することが可能である。
【0014】
請求項2に記載の作業機械のアタッチメントによれば、第2部材よりも幅広な第1部材が基端側に配置されるため、アタッチメント全体の重心が機械本体に近くなり、アタッチメントをより安全に持ち上げることが可能である。
【0015】
請求項3に記載の作業機械のアタッチメントによれば、固定ピンの胴部が第1の切り欠き及び第2の切り欠きの双方で支持される。そのため、固定ピンの胴部が第1の切り欠き単独で支持される場合に比べて、当該固定ピンに生じる曲げモーメントが低減される。その結果、固定ピンのピン径を細くして軽量化したり、固定ピンの材質を安価な材料に変更したりすることが可能である。
【0016】
請求項4に記載の作業機械のアタッチメントによれば、作業時における固定ピンの挿通孔における位置を固定することが可能である。
【0017】
請求項5に記載の作業機械のアタッチメントによれば、一対のプレートと一対のブラケットによる簡易な構成によって固定ピンの挿通孔における位置を固定することが可能である。
【0018】
請求項6に記載の作業機械のアタッチメントによれば、保持部材として用いられる曲板を取り付けるためのブラケット等を設けずに済み、部品数が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態による作業機械のアタッチメントの一部を示す側面図。
【
図3】基端側に配置されるメインブームを示す斜視図。
【
図4】先端側に配置されるインサートブームの一部を示す斜視図。
【
図5】先端側に配置されるインサートブームを示す側面図。
【
図7】メインブームとインサートブームとを連結する様子を示す側面図。
【
図9】第2実施形態によるメインブームの一部を示す斜視図。
【
図10】メインブームとインサートブームとを連結する様子を示す上面図。
【
図11】変形例による保持部材を説明するための斜視図。
【
図13】別の変形例による保持部材を説明するための斜視図。
【
図15】更に別の変形例による保持部材を説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<1.第1実施形態>
本発明の第1実施形態による作業機械のアタッチメントについて、
図1から
図8に基づいて説明する。アタッチメントの構成要素である第1部材の一例として
図1に示すメインブーム1を例示し、第2部材の一例として
図1に示すインサートブーム2を例示する。なお、アタッチメントの構成要素としては、公知のアームやバケット等、
図1に示すメインブーム1及びインサートブーム2以外にも存在するが、ここでは説明を省略する。
【0021】
図1に示されるように、作業機械のアタッチメント組立作業において、メインブーム1は、インサートブーム2よりも基端側(作業機械の機械本体側)に配置される。また、インサートブーム2は、メインブーム1の先端側(作業機械の機械本体から離れる側)に配置される。
【0022】
まず、メインブーム1について説明する。
図1及び
図2に示されるように、メインブーム1は、上板11と、下板12と、左側板13と、右側板14とを備えて構成される。
【0023】
左側板13は、上板11の左端と下板12の左端とを上下方向に接続する部材である。右側板14は、上板11の右端と下板12の右端とを上下方向に接続する部材である。以下では、左側板13及び右側板14を総称して左右側板13,14とも称する。
【0024】
図3に示されるように、メインブーム1のうち、インサートブーム2に連結される側(先端側)の端部には、左側板13と右側板14との間を左右方向(幅方向)に接続し且つ上板11と下板12とを上下方向に接続する接続板15が設けられている。
【0025】
また、左側板13は、接続板15からインサートブーム2の側(インサートブーム2に接続される側)に張り出した左張出部130を有している。同様に、右側板14は、接続板15からインサートブーム2の側に張り出した右張出部140を有している。以下では、左張出部130及び右張出部140を総称して左右張出部130,140とも称する。
【0026】
左右張出部130,140の張出側端部には、後述の固定ピン5(
図4参照)の胴部を嵌合可能な切り欠き131,141がそれぞれ形成されている。また、左右張出部130,140には、メインブーム1とインサートブーム2とを連結する連結ピン(図示せず)を挿通するための挿通孔133,143がそれぞれ形成されている。
【0027】
次に、インサートブーム2について説明する。
図1及び
図2に示されるように、インサートブーム2は、上板21と、下板22と、左側板23と、右側板24とを備えて構成される。
【0028】
左側板23は、上板21の左端と下板22の左端とを上下方向に接続する部材である。右側板24は、上板21の右端と下板22の右端とを上下方向に接続する部材である。以下では、左側板23及び右側板24を総称して左右側板23,24とも称する。
【0029】
なお、インサートブーム2の左右側板23,24の左右幅W2(
図4参照)は、メインブーム1の左右側板13,14の左右幅W1(
図3参照)よりも狭い。すなわち、メインブーム1の左右側板13,14は、インサートブーム2の左右側板23,24よりも左右幅広に構成されている。
【0030】
図4に示されるように、インサートブーム2は、メインブーム1に連結される側(基端側)の端部において左側板23と右側板24との間を左右方向(幅方向)に接続し且つ上板21と下板22とを上下方向に接続する接続板25を備えている。
【0031】
左側板23は、接続板25からメインブーム1の側(メインブーム1に接続される側)に張り出した左張出部230を有している。また、右側板24は、接続板25からメインブーム1の側に張り出した右張出部240を有している。以下では、左張出部230及び右張出部240を総称して左右張出部230,240とも称する。
【0032】
左右張出部230,240には、固定ピン5を挿通するための挿通孔231,241が上部にそれぞれ形成されている。また、左右張出部230,240には、メインブーム1とインサートブーム2とを連結する連結ピン(図示せず)を挿通するための挿通孔233,243が下部にそれぞれ形成されている。
【0033】
固定ピン5は挿通孔231,241に挿通され、後述の保持部材7によって固定されている。かかる状態において、固定ピン5の左端側の一部が左張出部230から外側(左側)に突出しており、固定ピン5の右端側の一部が右張出部240から外側(右側)に突出している。なお、以下では、固定ピン5のうち、左張出部230から左側に突出した部分を突出部53、右端側の一部が右張出部240から右側に突出した部分を突出部54とも称する。
【0034】
固定ピン5には、
図4~
図6に示されるように、挿通孔231,241における挿通位置を保持するための保持部材7(7a,7b)が設けられている。
【0035】
保持部材7aは、ブラケット71aと、ブラケット71aに固定されるプレート73aとを備えて構成される。同様に、保持部材7bは、ブラケット71bと、ブラケット71bに固定されるプレート73bとを備えて構成される。
【0036】
ブラケット71aは左張出部230の外側(左側)を向く面に装着されており、ブラケット71bは右張出部240の外側(右側)を向く面に装着されている。
【0037】
プレート73aの一端側は、4本のボルト72a(
図4)によりブラケット71aに接続されて取り付けられている。また、プレート73aの他端側は、固定ピン5の左端に当接した状態でボルト74aにより接続されている。なお、ボルト74aは、固定ピン5の軸方向に締結されている。
【0038】
同様に,プレート73bの一端側は、4本のボルト72bによりブラケット71bに接続されて取り付けられている。また、プレート73bの他端側は、固定ピン5の右端に当接した状態でボルト74bにより接続されている。なお、ボルト74bは、固定ピン5の軸方向に締結される。
【0039】
図7及び
図8に示されるように、メインブーム1とインサートブーム2との連結時において、メインブーム1の左右張出部130,140がインサートブーム2の左右張出部230,240の外側に配置される。
【0040】
また、固定ピン5が切り欠き131,141に嵌合する。詳細には、固定ピン5のうち、左張出部230から外側(左側)に突出した突出部53が切り欠き131に嵌合し、右張出部240から外側(右側)に突出した突出部54が切り欠き141に嵌合する。
【0041】
固定ピン5の突出部53,54を切り欠き131,141にそれぞれ嵌合させた後、今度は、メインブーム1の挿通孔133,143(
図3参照)とインサートブーム2の挿通孔233,243(
図4参照)とを位置合わせし、図示しない連結ピンを挿通する。これにより、メインブーム1とインサートブーム2とが連結される。
【0042】
以上のように、第1実施形態では、メインブーム1とインサートブーム2とを連結する際に、まず、固定ピン5を切り欠き131,141に嵌合させて大まかな位置合わせを行う。この後、図示しない連結ピンを挿通すべく、メインブーム1の挿通孔133,143とインサートブーム2の挿通孔233,243との位置合わせを行う。よって、メインブーム1とインサートブーム2とを迅速に連結するためには、固定ピン5を切り欠き131,141に対して速やかに嵌合できることが好ましい。
【0043】
この点、上述した第1実施形態によれば、メインブーム1の左右張出部130,140がインサートブーム2の左右張出部230,240の外側に配置される。また、固定ピン5のうち、左張出部230から外側(左側)に突出した突出部53が切り欠き131に嵌合し、右張出部240から外側(右側)に突出した突出部54が切り欠き141に嵌合する。そのため、固定ピン5と切り欠き131,141との嵌合状況を側方から視認しつつ作業を行うことができ、固定ピン5を切り欠き131,141に対して容易に嵌合すること可能である。よって、アタッチメントの構成要素であるメインブーム1及びインサートブーム2を迅速かつ容易に連結することが可能である。
【0044】
また、上述した第1実施形態によれば、メインブーム1の左右側板13,14の左右幅W1(
図3参照)がインサートブーム2の左右側板23,24の左右幅W2(
図4参照)よりも広く構成されている。よって、先端側に配置されるインサートブーム2が軽く、基端側に配置されるメインブーム1が重くなる。そのため、アタッチメント全体の重心が機械本体に近くなり、アタッチメントをより安全に持ち上げることが可能である。
【0045】
また、上述した第1実施形態によれば、保持部材7が一対のプレート73a,73bと一対のブラケット71a,71bとによって構成される。そのため、比較的簡易な構成により固定ピン5の挿通孔における挿通位置を固定することが可能である。
【0046】
<2.第2実施形態>
続いて、
図9及び
図10を参照しつつ、本発明の第2実施形態による作業機械のアタッチメントについて説明する。
【0047】
上記第1実施形態では、2つの切り欠き131,141に固定ピン5を嵌合させる場合を例示した。他方、この第2実施形態では、2つの切り欠き131,141に後述する2つ切り欠き331,341(
図9)を加えた4つの切り欠き131,141,331,341に固定ピン5を嵌合させる場合を例示する。
【0048】
第2実施形態では、
図9に示されるように、メインブーム1の接続板15に対して、インサートブーム2に接続される側に張り出した一対の張出板330,340が設けられている。一対の張出板330,340は、左右張出部130,140の内側において当該左右張出部130,140と略平行に設けられている。
【0049】
一対の張出板330,340には、固定ピン5の胴部を嵌合可能な切り欠き331,341がそれぞれ形成されている。
【0050】
図10に示されるように、メインブーム1とインサートブーム2との連結時において、メインブーム1の左右張出部130,140は、第1実施形態と同様に、インサートブーム2の左右張出部230,240の外側にそれぞれ配置される。一方で、一対の張出板330,340は、インサートブーム2の左右張出部230,240の内側にそれぞれ配置される。
【0051】
そして、固定ピン5のうち、左張出部230から外側(左側)に突出した突出部53が切り欠き131に嵌合し、右張出部240から外側(右側)に突出した突出部54が切り欠き141に嵌合する。この点については第1実施形態と同様である。
【0052】
他方、固定ピン5のうち、左右張出部230,240の内側の2箇所が、一対の張出板330,340に形成された切り欠き331,341に嵌合する。
【0053】
なお、上記以外の構成については、第1実施形態と同一であるから、ここでは説明を省略する。
【0054】
上述した第2実施形態によれば、
図10に示されるように、固定ピン5の胴部が切り欠き131,141のみならず、切り欠き331,341にも嵌合して支持される。すなわち、固定ピン5の胴部が4つの切り欠き131,141,331,341によって支持される。よって、固定ピン5の胴部が2つの切り欠き131,141によって支持される第1実施形態に場合に比べて、固定ピン5に生じる曲げモーメントが低減される。その結果、固定ピン5のピン径を細くして軽量化したり、固定ピン5の材質を安価な材料に変更したりすることが可能である。
【0055】
<3.変形例>
本発明による作業機械のアタッチメントは上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、
図4~
図6に示される保持部材7によって固定ピン5を固定する場合を例示したが、これに限定されず、
図11及び
図12に示される保持部材8によって固定ピン5を固定するようにしてもよい。なお、当該変形例に係る固定ピン5の胴部には、周方向に溝部(凹部)が2箇所に形成されているものとする。
【0057】
具体的には、
図11及び
図12に示されるように、保持部材8は、ブラケット81と、ブラケット81に設けられるU字ロック部材83とを備えて構成される。
【0058】
ブラケット81は、接続板25から固定ピン5に向けて屈曲しながら延伸する2枚の縦板を有する部材である。
【0059】
U字ロック部材83は、ブラケット81を構成する2枚の縦板に対し、それぞれ取り付けられる部材である。U字ロック部材83は、固定ピン5の胴部に形成された2箇所の溝部にそれぞれ係合(嵌合)し、固定ピン5の軸方向の移動を阻止する。
【0060】
また、別の変形例として、
図13及び
図14に示される保持部材9によって固定ピン5を固定するようにしてもよい。
【0061】
具体的には、
図14に示されるように、保持部材9は、ブラケット91と、ブラケット91に設けられる断面コの字状の挟持部材93と、抜け止めピン95とを備えて構成される。なお、当該変形例に係る固定ピン5には、胴部を貫通する貫通孔が2箇所形成されているものとする。
【0062】
ブラケット91は、接続板25から固定ピン5に向けて屈曲しながら延伸する部材である。ブラケット91の延伸先には、後述の挟持部材93が固定される。
【0063】
挟持部材93は、対向面の内側に固定ピン5を挟持するように配置される部材である。当該対向面には、固定ピン5を挟持した場合に、固定ピン5の胴部に形成された貫通孔に一致する挿通孔が形成されている。
【0064】
抜け止めピン95は、挟持部材93の対向面に形成された挿通孔、及び、固定ピン5に形成された貫通孔に挿通し、固定ピン5の軸方向の移動を阻止する。なお、抜け止めピン95はボルト等で挟持部材9に固定されている。
【0065】
なお、当該変形例では、
図13に示されるように、保持部材9が2箇所に設けられている。
【0066】
更に別の変形例として、
図15に示される保持部材6によって固定ピン5を固定するようにしてもよい。
【0067】
図15に示されるように、保持部材6は断面U字状の曲板として構成される。保持部材6のうち、U字対向面の一方の板部材61は、固定ピン5の左右端部の側方に配置された状態(詳細には左右端面に当接した状態)で固定ピン5に対しボルト65で固定される。一方、U字対向面の他方の板部材63は、左右張出部230,240の内側の面に近接位置に配置される。
【0068】
そのため、固定ピン5が軸方向に移動しようとしても、保持部材6を構成する板部材63が左右張出部230,240の内側の面に当接し、固定ピン5の軸方向の移動が阻止される。
【0069】
上述した保持部材6を用いれば、上記実施形態や上記各変形例とは異なり、インサートブーム2に別途のブラケット等を装着する必要がなく、トータルの部品数が低減される。
【0070】
また、上述した実施形態では、本発明に係る第1部材及び第2部材の一例としてメインブーム1及びインサートブーム2を例示したが、これに限定されない。例えば、第1部材及び第2部材の組み合わせとしては、アーム同士の組み合わせであってよく、あるいは、ブーム及びアームの組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 メインブーム、2 インサートブーム、5 固定ピン、6~9 保持部材、
11 上板、12 下板、13,14 左右側板、15 接続板、21 上板、
22 下板、23,24 左右側板、25 接続板、53,54 突出部、
130,140 左右張出部、133,143 挿通孔、230,240 左右張出部、
231,241 挿通孔、233,243 挿通孔、330,340 張出板、
W1,W2 左右幅