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特許7183605印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41M 7/00 20060101AFI20221129BHJP
   B44C 1/17 20060101ALI20221129BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B41M7/00
B44C1/17 G
B44C1/17 H
B41J29/38
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018139163
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020015210
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山室 達郎
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-238733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0104336(US,A1)
【文献】特開2000-168155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00-7/02
B41J 2/01-2/215
B41J 29/00-29/70
B44C 1/16-1/175
G03G 13/01
G03G 13/34
G03G 15/00-15/01
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、前記トナー層又は前記インク層の上に箔押しする箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、
箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、
前記印刷装置は、前記印刷データに基づいて、前記用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成
前記印刷装置は、粒子径又は発泡量が異なる複数種類のトナー又はインクを備え、
前記印刷データ生成部は、前記箔押しされる箇所内で、使用する前記トナー又は前記インクの種類を変化させた前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする印刷物箔押しシステム。
【請求項2】
印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、前記トナー層又は前記インク層の上に箔押しする箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、
箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、
前記印刷装置は、前記印刷データに基づいて、前記用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成
前記印刷データ生成部は、複数ページの前記印刷データを生成し、
前記印刷装置は、前記複数ページの印刷データに基づいて前記トナー層又は前記インク層を順次形成して積層する、
ことを特徴とする印刷物箔押しシステム。
【請求項3】
印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、前記トナー層又は前記インク層の上に箔押しする箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、
箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、
前記印刷装置は、前記印刷データに基づいて、前記用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成
前記印刷装置又は前記制御装置は、更に、
前記トナー層又は前記インク層の形状に応じた効果を指定する印刷条件指定部を備え、
前記印刷データ生成部は、指定された前記効果に基づいて前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする印刷物箔押しシステム。
【請求項4】
前記印刷データ生成部は、前記箔押しされる箇所の端部側と中央部側とで、前記トナー層又は前記インク層の層厚を変化させる前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項5】
前記印刷データ生成部は、前記箔押しされる箇所内で、トナー又はインクの塗布量を変化させた前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項6】
前記印刷データ生成部は、ページ毎に、前記トナー又は前記インクの塗布量の分布、又は、使用する前記トナー又は前記インクの種類の分布を変化させた前記複数ページの印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項7】
前記印刷装置は、前記用紙を機内で循環させる機構を備え、指定された回数、前記トナー層又は前記インク層を連続して形成する、
ことを特徴とする請求項又は6に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項8】
前記印刷データ生成部は、少なくとも最上層に形成する前記トナー又は前記インクの色を、箔の色に応じた色に指定した前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項2、6、及び7のいずれか一に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項9】
前記印刷物箔押しシステムは、複数の前記印刷装置を含み、
各々の前記印刷装置は、同じ色の前記トナー又は前記インクを複数備え、
箔の色に応じた色の前記トナー又は前記インクを備える前記印刷装置が、前記トナー層又は前記インク層を連続して形成する、
ことを特徴とする請求項2、6、及び7のいずれか一に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項10】
前記効果は、エンボス効果を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の印刷物箔押しシステム。
【請求項11】
トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置の箔押し印刷制御方法であって、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置が、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行し、
前記印刷装置が、前記印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成する印刷処理を実行
前記印刷装置は、粒子径又は発泡量が異なる複数種類のトナー又はインクを備え、
前記印刷データ生成処理では、前記箔押しされる箇所内で、使用する前記トナー又は前記インクの種類を変化させた前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする箔押し印刷制御方法。
【請求項12】
トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置の箔押し印刷制御方法であって、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置が、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行し、
前記印刷装置が、前記印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成する印刷処理を実行
前記印刷データ生成処理では、複数ページの前記印刷データを生成し、
前記印刷処理では、前記複数ページの印刷データに基づいて前記トナー層又は前記インク層を順次形成して積層する、
ことを特徴とする箔押し印刷制御方法。
【請求項13】
トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置の箔押し印刷制御方法であって、
前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置が、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行し、
前記印刷装置が、前記印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成する印刷処理を実行
前記印刷装置又は前記制御装置が、更に、前記トナー層又は前記インク層の形状に応じた効果を指定する印刷条件指定処理を実行し、
前記印刷データ生成処理では、指定された前記効果に基づいて前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする箔押し印刷制御方法。
【請求項14】
前記印刷データ生成処理では、前記箔押しされる箇所の端部側と中央部側とで、前記トナー層又は前記インク層の層厚を変化させる前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項11~13のいずれか一に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項15】
前記印刷データ生成処理では、前記箔押しされる箇所内で、トナー又はインクの塗布量を変化させた前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項11~14のいずれか一に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項16】
前記印刷データ生成処理では、ページ毎に、前記トナー又は前記インクの塗布量の分布、又は、使用する前記トナー又は前記インクの種類の分布を変化させた前記複数ページの印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項12に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項17】
前記印刷装置は、前記用紙を機内で循環させる機構を備え、
前記印刷処理では、指定された回数、前記トナー層又は前記インク層を連続して形成する、
ことを特徴とする請求項12又は16に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項18】
前記印刷データ生成処理では、少なくとも最上層に形成する前記トナー又は前記インクの色を、箔の色に応じた色に指定した前記印刷データを生成する、
ことを特徴とする請求項12、16、及び17のいずれか一に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項19】
数の前記印刷装置の前記箔押し印刷制御方法であって
各々の前記印刷装置は、同じ色の前記トナー又は前記インクを複数備え、
前記印刷処理では、箔の色に応じた色の前記トナー又は前記インクを備える前記印刷装置が、前記トナー層又は前記インク層を連続して形成する、
ことを特徴とする請求項12、16、及び17のいずれか一に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項20】
前記効果は、エンボス効果を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の箔押し印刷制御方法。
【請求項21】
トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置で動作する箔押し印刷制御プログラムであって、
前記印刷装置又は前記制御装置に、
前記トナー層又は前記インク層の形状に応じた効果を指定する印刷条件指定処理、
指定された前記効果に基づいて、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理、を実行させる、
ことを特徴とする箔押し印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムに関し、特に、用紙にトナー層やインク層を形成する印刷装置とトナー層やインク層の上に箔押しを行う箔押し装置とを含む印刷物箔押しシステム、箔押し用のトナー層やインク層の形成を制御する箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般的な印刷だけではなく、様々な付加価値を有する印刷物を作成する傾向が強まっている。例えば、厚盛印刷効果を与えるニスコーティングを行ったり、トナーやインクでは表現できないホットフォイルの箔押しを行ったりする手法が知られている。特に、金箔や銀箔は、付加することによって印刷物の見た目がきらびやかになるため、お祝い事の印刷物等に使用されるケースが多い。
【0003】
上述した手法では、事前にニスコーティングを行う位置を黒色としたビットマップ画像を作成し、箔押し装置に設定する必要があるため、手間がかかる。また、箔押しはニスコーティングが施された部分に箔版で箔を圧着するため、装置が大がかりになる。このように、箔押し印刷物を作成するためには相応の手間がかかり、箔版を用いた箔押し装置は高価であることから、専業社に発注することが一般的であるが、最近は箔押し印刷物を安価かつ容易に作成するために、下地層としてトナー層やインク層を設け、その上に箔押しを行うシステムが検討されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、箔押しにより印字をすべき文字等の電子画像信号を形成する文字画像形成部と、電子画像信号により形成した文字等に基づいて本の表紙となる素材上にトナーによる文字等を印刷する文字印刷部と、前記文字等を印刷した表紙素材に、トナーとの接着性に優れた箔のシートを重ねてこれらを加熱押圧する箔接着部と、を備える印字装置が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、熱可塑性樹脂を含むトナーを用いて電子写真法によって画像支持体上に加熱定着された箔接着用トナー層上に、箔を接触させ、サーマルヘッドによって当該箔の選択された領域を加熱することにより、前記箔接着用トナー層上に箔を接着させて箔画像を形成する箔画像形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-015944号公報
【文献】特許第5691909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1、2のように、下地層としてトナー層を設け、トナー層に箔を接着することにより、箔押し印刷物を安価かつ容易に作成することができるが、一般的にトナー層やインク層は平坦であるため、その上に接着する箔の表面も平坦になり、箔版を用いて箔を圧着する場合のように箔に凹凸を形成することができない。そのため、単に下地層としてトナー層やインク層を設けるだけでは、箔版を用いた箔押し装置と同等の質感を出すことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、印刷物の任意の位置に金箔や銀箔等の箔押しをするシステムにおいて、下地層であるトナー層やインク層の上に箔押しを行う場合においても、箔版を用いた箔押し装置で作成した箔と同等の質感を得ることができる印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、前記トナー層又は前記インク層の上に箔押しする箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成部を備え、前記印刷装置は、前記印刷データに基づいて、前記用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置の箔押し印刷制御方法であって、前記印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置が、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行し、前記印刷装置が、前記印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する前記トナー層又は前記インク層を形成する印刷処理を実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面は、トナー層又はインク層の上に箔押しする箔押し装置が接続される印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置で動作する箔押し印刷制御プログラムであって、前記印刷装置又は前記制御装置に、前記トナー層又は前記インク層の形状に応じた効果を指定する印刷条件指定処理、指定された前記効果に基づいて、箔押しされる箇所内で、前記トナー層又は前記インク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成する印刷データ生成処理、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムによれば、印刷物の任意の位置に金箔や銀箔等の箔押しをするシステムにおいて、下地層であるトナー層やインク層の上に箔押しを行う場合においても、箔版を用いた箔押し装置で作成した箔と同等の質感を得ることができる。
【0013】
その理由は、印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、トナー層又はインク層の上に箔押しを行う箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、箔押しされる箇所内で、トナー層又はインク層の層厚を相対的に厚くする部分と層厚を相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成し、印刷装置は、印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有するトナー層又はインク層を形成するからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の箔押し方法(箔版を用いて箔押しする方法)を説明する模式図である。
図2】従来の箔押し方法(トナー層の上に箔押しする方法)を説明する模式図である。
図3】箔押し方法(厚いトナー層の上に箔押しする方法)を説明する模式図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る箔押し方法(厚みを変化させたトナー層の上に箔押しする方法)を説明する模式図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施例に係るジョブ作成装置の構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施例に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施例に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第1の実施例に係る箔押し装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第1の実施例に係る印刷物箔押しシステムの概略動作を示す模式図である。
図11】本発明の第1の実施例に係る印刷物箔押しシステムの動作を示すフローチャート図である。
図12】本発明の第1の実施例に係るトナー層の構造のバリエーションを示す模式図である。
図13】本発明の第2の実施例に係る印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
図14】本発明の第2の実施例に係るコントローラの動作を示すフローチャート図である。
図15】本発明の第3の実施例に係る印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
図16】本発明の第3の実施例に係るコントローラの動作を示すフローチャート図である。
図17】本発明の第4の実施例に係る印刷装置の構造を示す模式図である。
図18】本発明の第5の実施例に係る印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
図19】本発明の第6の実施例に係る印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、付加価値を有する印刷物を作成する方法として、ニスコーティングを行ったり箔押しを行ったりする手法が知られている。この手法では、箔押し印刷物を作成するために相応の手間がかかり、箔版を用いた箔押し装置は高価であることから、専業社に発注することが一般的であるが、最近は箔押し印刷物を安価かつ容易に作成するために、下地層としてトナー層やインク層を設け、その上に箔押しを行うシステムが検討されている。
【0016】
しかしながら、一般的にトナー層やインク層は平坦であるため、その上に接着する箔の表面も平坦になり、箔版を用いて箔を圧着する場合のように箔に凹凸を形成することができない。そのため、単に下地層としてトナー層やインク層を設けるだけでは、箔版を用いた箔押し装置と同等の質感を出すことができないという問題があった。この問題について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、箔版を用いた従来の箔押し方法を説明する模式図である。この方法では、ニスコーティングを施した用紙の上に金箔や銀箔などの箔を置き、その上から箔画像が凸状になった箔版を熱や圧力を加えて押し付けた後、箔を引き剥がすことにより、箔が箔版の形状で抜き取られて用紙上に転写される。この箔押し装置では箔を箔版で押し付けるため、箔部分の断面形状は、端部から徐々に厚くなり、中央部がやや窪んだ形状になり、質感のある箔が形成される。
【0018】
図2は、トナー層の上に箔押しする従来の箔押し方法を説明する模式図である。この方法では、印刷装置を用いて箔を残したい部分にトナー層を形成し、その上に箔を重ねて押し当てた後、箔を引き剥がすことにより、箔がトナー層の形状で抜き取られて用紙上に転写される。しかしながら、この方法では、薄くかつ平坦なトナー層の上に箔が接着されるため、箔部分の断面形状も平坦になり、質感のない箔しか形成することができない。
【0019】
この問題に対して、図3に示すように、印刷装置を用いて箔を残したい部分にトナー層を重ねて印刷してトナー層を厚くする方法が考えられる。この方法では、厚塗りしたトナー層の上に箔を重ねて押し当てた後、箔を引きはがすことにより、箔がトナー層の形状で抜き取られて用紙上に転写される。しかしながら、この方法でも、平坦なトナー層の上に箔が接着されるため、箔部分の断面形状も平坦になり、やはり質感のない箔しか形成することができない。
【0020】
そこで、本発明の一実施の形態では、印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層を形成する印刷装置と、トナー層又はインク層の上に箔押しを行う箔押し装置と、を含む印刷物箔押しシステムにおいて、印刷装置又は当該印刷装置を制御する制御装置は、箔押しされる領域内で、トナー層又はインク層の層厚を相対的に厚くする部分と相対的に薄くする部分とを形成可能な印刷データを生成し、印刷装置は、印刷データに基づいて、用紙に、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有するトナー層又はインク層を形成する。例えば、均一な濃度画像であってもトナー層又はインク層の層厚を均一にしない(画像濃度が同じであってもトナー層又はインク層の層厚が異なるようにする)ために、その均一な濃度に相当する層厚に比べて層厚が厚い部分を形成する。具体的には、図4に示すように、下地層であるトナー層を重ねて印刷する際に、トナー層の形成領域を層毎に変化させるなどして、トナー層の層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とが形成されるようにする。
【0021】
この方法では、層厚が相対的に厚い部分と層厚が相対的に薄い部分とを有する(凹凸のある)トナー層又はインク層の上に箔が接着されるため、箔部分の断面形状もトナー層の凹凸を反映した形状となり、質感のある箔を形成することができる。なお、トナー層の凹凸の程度は求める質感に応じて適宜変更可能であるが、一般的に凹部を100%とした場合に、凸部を凹部の150%~500%の範囲で制御することによって質感に違いを出すことができる。また、端部が一度盛り上がり中央部に窪みが生じる形状とすることによって、箔版を用いた箔押し装置で作成した場合に近い質感を出すことができる。
【実施例1】
【0022】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図5乃至図12を参照して説明する。図5は、本実施例の印刷物箔押しシステムの構成例を示す図であり、図4乃至図9は、各々、ジョブ作成装置、コントローラ、印刷装置、箔押し装置の構成を示すブロック図である。また、図10は、本実施例の印刷物箔押しシステムの概略動作を示す模式図であり、図11は、本実施例の印刷物箔押しシステムの動作を示すフローチャート図である。また、図12は、本実施例のトナー層の構造のバリエーションを示す模式図である。
【0023】
図5に示すように、本実施例の印刷物箔押しシステムは、ジョブを生成して送信するジョブ作成装置10と、ジョブを処理して印刷データを生成するコントローラ20と、印刷データに基づいて用紙にトナー層又はインク層(本実施例ではトナー層とする。)を形成する印刷装置30と、トナー層の上に箔押しを行う箔押し装置40と、で構成される。ジョブ作成装置10とコントローラ20と印刷装置30と必要に応じて箔押し装置40とは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク50によって接続されている。
【0024】
なお、コントローラ20と印刷装置30とは、PCI(Peripheral Component Interconnect)などの専用線で接続される構成としてもよい。また、図5では、印刷物箔押しシステムを、ジョブ作成装置10とコントローラ20と印刷装置30と箔押し装置40とで構成したが、コントローラ20の機能を、ジョブ作成装置10や印刷装置30で実現可能であれば、コントローラ20を省略することができる。以下、図5の構成を前提にして、各装置について詳細に説明する。
【0025】
[ジョブ作成装置]
ジョブ作成装置10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置(クライアント装置)であり、ジョブを生成してコントローラ20に送信する。このジョブ作成装置10は、図6(a)に示すように、制御部11、記憶部15、ネットワークI/F部16、表示部17、操作部18などで構成される。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12とROM(Read Only Memory)13やRAM(Random Access Memory)14などのメモリとで構成され、CPU12は、ROM13や記憶部15に記憶した制御プログラムをRAM14に展開して実行することにより、ジョブ作成装置10全体の動作を制御する。上記制御部11は、図6(b)に示すように、画像作成部11a、ジョブ生成部11bなどとして機能する。
【0027】
画像作成部11aは、箔押しによって形成する箔画像を作成するアプリケーションである。
【0028】
ジョブ生成部11bは、箔画像に応じたトナー層を形成する指示を行うPDF(Portable Document Format)データ等のジョブを生成し、生成したジョブをコントローラ20に出力する。
【0029】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU12が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、ジョブなどを記憶する。
【0030】
ネットワークI/F部16は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、ジョブ作成装置10を通信ネットワーク50に接続し、コントローラ20にジョブを送信する。
【0031】
表示部17は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、上記アプリケーションの画面やジョブの画面などを表示する。
【0032】
操作部18は、マウスやキーボードなどで構成され、箔画像の作成、ジョブの生成/送信などの操作を可能にする。
【0033】
[コントローラ]
コントローラ20は、プリンタコントローラやプリンタサーバなどであり、ジョブ作成装置10からジョブを受信し、印刷装置30に印刷データを送信する。このコントローラ20は、図7(a)に示すように、制御部21、記憶部25、ネットワークI/F部26、画像処理部27、表示部28、操作部29などで構成される。
【0034】
制御部21は、CPU22とROM23やRAM24などのメモリとで構成され、CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶した制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、コントローラ20全体の動作を制御する。上記制御部21は、図7(b)に示すように、印刷条件指定部21a、印刷データ生成部21bなどとして機能する。
【0035】
印刷条件指定部21aは、トナー層を重ねて印刷する重ね印刷を行うかどうかを指定する重ね印刷指定、トナー層の形状に応じた効果を指定する適用効果指定を可能にする。
【0036】
印刷データ生成部21bは、箔押しされる箇所内で、トナー層の層厚を相対的に厚くする部分と相対的に薄くする部分とが形成可能な印刷データを生成する。具体的には、ジョブの箔画像に、指定された効果に対応する効果データを適用して、箔押しされる箇所の端部側と中央部側とで、トナー層の層厚を変化させる印刷データ(重ね印刷用データと呼ぶ。)を生成する。例えば、箔押しされる箇所内で、トナーの塗布量を変化させた重ね印刷用データを生成したり、トナーの塗布量の分布を変化させた複数頁の重ね印刷用データを生成したりする。
【0037】
なお、印刷条件指定部21a及び印刷データ生成部21bはハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を印刷条件指定部21a及び印刷データ生成部21bとして機能させる箔押し印刷制御プログラムとして構成し、当該箔押し印刷制御プログラムをCPU22に実行させるようにしてもよい。
【0038】
記憶部25は、HDDやSSDなどで構成され、CPU22が各部を制御するためのプログラム、ジョブ作成装置10から受信したジョブ、印刷データ生成部21bが生成した印刷データ、適用効果と効果データとを対応付ける適用効果ライブラリなどを保存する。
【0039】
ネットワークI/F部26は、NICやモデムなどで構成され、コントローラ20を通信ネットワーク50に接続し、ジョブ作成装置10からジョブを受信したり、印刷装置30に印刷データを送信したりする。
【0040】
画像処理部27は、RIP部(Raster Image Processor)として機能し、ジョブを翻訳して中間データを生成し、レンダリングを行ってビットマップ形式の印刷データを生成する(この一連の処理をRIP処理と呼ぶ。)。また、画像処理部27は、必要に応じて、この印刷データに対して、スクリーン処理、階調補正、濃度バランス調整、細線化、網点処理などを行う。
【0041】
表示部28は、液晶表示装置や有機EL表示装置などで構成され、印刷条件指定部21aの指示に従って、重ね印刷指定や適用効果指定を行うための画面などを表示する。
【0042】
操作部29は、マウスやキーボードなどで構成され、上述した画面における重ね印刷の指定や適用効果の指定などの操作を可能にする。
【0043】
[印刷装置]
印刷装置30は、トナーの重ね印刷が可能なMFP(Multi-Functional Peripherals)などであり、コントローラ20から受信した印刷データ(重ね印刷用データ)に基づいて印刷処理を実行する。この印刷装置30は、図8に示すように、制御部31、記憶部35、ネットワークI/F部36、表示操作部37、印刷処理部38などで構成される。
【0044】
制御部31は、CPU32とROM33やRAM34などのメモリとで構成され、CPU32は、ROM33や記憶部35に記憶した制御プログラムをRAM34に展開して実行することにより、印刷装置30全体の動作を制御する。本実施例では、重ね印刷が指定された時に、指定された適用効果が得られるまで印刷を繰り返すために、制御部31は印刷回数をカウントする。
【0045】
記憶部35は、HDDやSSDなどで構成され、CPU32が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、コントローラ20から受信した重ね印刷用データなどを記憶する。
【0046】
ネットワークI/F部36は、NICやモデムなどで構成され、印刷装置30を通信ネットワーク50に接続し、コントローラ20から重ね印刷用データを受信したり、箔押し装置40に重ね印刷が完了した旨の情報(重ね印刷完了情報)を送信したりする。
【0047】
表示操作部37は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面を表示し、印刷処理に関する各種操作を可能にする。
【0048】
印刷処理部38は、印刷データ(重ね印刷用データ)に基づいてトナー層を順次形成する。この印刷処理部38は、例えば、印刷データに基づいてレーザ光を照射して露光する露光部とCMYKの各色のトナーが装填されたトナーボトルと感光体ドラムと現像部と帯電部と感光体クリーニング部と1次転写ローラとを備え、CMYKの各色のトナー像を形成する画像形成部と、ローラによって回転され、画像形成部で形成されたトナー像を用紙に搬送する中間転写体として機能する中間ベルトと、中間ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する2次転写ローラと、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部と、用紙を供給する給紙トレイと、用紙を排出する排紙トレイと、用紙を搬送する給紙ローラやレジストローラ、ループローラ、反転ローラ、排紙ローラ等の搬送部などで構成される。
【0049】
なお、本実施例で使用するトナーは、トナー層の上に箔を接着するための接着剤としての作用が発現されるトナーとすることが好ましく、熱可塑性樹脂を含む結着樹脂を含有する構成などとすることができる。上記熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などの公知の熱可塑性樹脂を使用することができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
[箔押し装置]
箔押し装置40は、印刷装置30が出力した用紙に対して箔押しを実施する。この箔押し装置40は、図9に示すように、制御部41、記憶部45、ネットワークI/F部46、表示操作部47、ニス形成部48、箔押し部49などで構成される。
【0051】
制御部41は、CPU42とROM43やRAM44などのメモリとで構成され、CPU42は、ROM43や記憶部45に記憶した制御プログラムをRAM44に展開して実行することにより、箔押し装置40全体の動作を制御する。
【0052】
記憶部45は、HDDやSSDなどで構成され、CPU42が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報などを記憶する。
【0053】
ネットワークI/F部46は、NICやモデムなどで構成され、箔押し装置40を通信ネットワーク50に接続し、印刷装置30から重ね印刷完了情報を受信する。
【0054】
表示操作部47は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、箔押し処理に関する各種画面を表示し、箔押し処理に関する各種操作を可能にする。
【0055】
ニス形成部48は、印刷装置30が印刷出力した用紙に対して、必要に応じて、印刷データで規定される領域にニスなどの接着材を塗布する。
【0056】
箔押し部49は、用紙の通紙方向に直交する方向を軸として、1又は複数の箔ロールが装填可能な装填手段を備え、箔ロールから供給される箔を用紙に形成されたトナー層に接着した後、引き剥がすことにより、用紙上にトナー層の形状の箔を転写する。
【0057】
なお、図5乃至図9は、本実施例の印刷物箔押しシステムの一例であり、各装置の構成や制御は適宜変更可能である。
【0058】
例えば、図5では、コントローラ20と印刷装置30と箔押し装置40とを別々の装置としたが、コントローラ20と印刷装置30と箔押し装置40、コントローラ20と印刷装置30、印刷装置30と箔押し装置40などを1つの装置としてもよい。
【0059】
また、図7では、コントローラ20の制御部21を印刷条件指定部21a及び印刷データ生成部21bとして機能させる(コントローラ20のCPU22に箔押し印刷制御プログラムを実行させる)構成としたが、印刷装置30の制御部31を印刷条件指定部及び印刷データ生成部として機能させる(印刷装置30のCPU32に箔押し印刷制御プログラムを実行させる)構成としてもよい。
【0060】
次に、上記構成の印刷物箔押しシステムの概略動作について、図10の模式図を参照して説明する。
【0061】
ジョブ作成装置10では、制御部11(ジョブ生成部11b)は、PDFデータ等のジョブを作成し、このジョブをコントローラ20に送信する(図10の(1)、(2)参照)。
【0062】
コントローラ20では、制御部21(印刷条件指定部21a)は、重ね印刷の指定、質感の強弱、エンボス加工等の適用効果の指定を受け付ける(図10の(3a)、(3b)参照)。なお、質感強弱は150%~500%の範囲で制御できることが好ましい。例えば、「質感強」とした場合は、中央部を凹、端部を凸とし、凹と凸の層厚の比率を1:5などとする。また、「質感弱」とした場合は、中央部を凹、端部を凸とし、凹と凸の層厚の比率を1:1.5などとする。
【0063】
次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、ジョブ作成装置10から重ね印刷用のジョブを取得し、指定された適用効果に基づいて印刷データ(重ね印刷用データ)を生成する(図10の(3c)、(3d)参照)。例えば、20回印刷する場合は、塗布位置画像を変化させた20頁分の重ね印刷用データを作成する。そして、生成した重ね印刷用データを印刷装置30に送信する(図10の(4)参照)。
【0064】
印刷装置30では、印刷処理部38は、重ね印刷用データに基づいて用紙上にトナー層を形成する(図10の(5a)参照)。例えば、1回目は1頁目の重ね印刷用データを使用し、2回目は2頁目の重ね印刷用データを使用する。そして、印刷処理部38は、必要回数の印刷が完了したかを判断し、必要回数の印刷が完了したら、オペレータは印刷物を箔押し装置40に運ぶ(図10の(5b)、(5c)参照)。
【0065】
箔押し装置40では、箔押し部49は、トナー層に箔押しできる場合は、そのまま箔押しを実施し、事前にニス塗りが必要な場合は、ニス形成部48は、印刷データで規定される領域にニス等の接着材を塗布した後、箔押し部49は、箔押しを実施する(図10の(6)参照)。
【0066】
次に、本実施例の印刷物箔押しシステムの詳細動作について説明する。コントローラ20のCPU22は、ROM23又は記憶部25に記憶した箔押し印刷制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、図11のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0067】
まず、コントローラ20では、制御部21(印刷条件指定部21a)は、重ね印刷の指定を受け付け(S101)、質感の強弱、エンボス加工等の適用効果の指定を受け付ける(S102)。上述したように、「質感強」とした場合は、中央部を凹、端部を凸とし、凹と凸の層厚の比率を1:5などとし、「質感弱」とした場合は、中央部を凹、端部を凸とし、凹と凸の層厚の比率を1:1.5などとする。なお、ここでは、中央部側と端部側とで層厚を変化させる適用効果を例示したが、縦や横、右上対角線などの任意の適用効果を指定することができる。また、予め定めた効果を適用する場合は、S102を省略することができる。そして、適用効果ライブラリなどから、指定された適用効果に対応する効果データを読み込む(S103)。
【0068】
次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、ジョブ作成装置10から受信したジョブに基づいて画像処理部27が生成した印刷データ(単頁データ)を読み込み(S104)、S103で読み込んだ効果データを用いて重ね印刷用データ(複数頁データ)を生成する(S105)。例えば、適用効果として「質感強」を選択した時は、端部が100%、中央部が20%のデータを20頁分作成することにより、端部を中央部の500%の厚みとする重ね印刷用データを生成することができる。その後、制御部21(印刷データ生成部21b)は、生成した重ね印刷用データを印刷装置30に送信する(S106)。
【0069】
印刷装置30では、コントローラ20から重ね印刷用データを受信したら(S107)、制御部31は、出力回数(X)を1に設定し(S108)、印刷処理部38に重ね印刷用データのX頁目の印刷を指示する(S109)。次に、制御部31は、Xが最終頁であるかを判断し(S110)、Xが最終頁でなければ(S110のNo)、出力回数(X)に1を加算した後(S111)、S109に戻って印刷処理部38にX頁目の印刷を指示する。そして、制御部31は、Xが最終頁になったら(S110のYes)、箔押し装置40に重ね印刷完了情報を送信する(S112)。
【0070】
図12は、重ね印刷されたトナー層の構造の一例である。例えば、図12(a)は、層毎に、トナーを塗布する部分と塗布しない部分の構成を変化させた場合の例である。また、図12(b)は、全ての層で、トナーの塗布量の分布を同じにした場合の例である。また、図12(c)は、層毎に、トナーの塗布量の分布を徐々に変化させた場合の例である。
【0071】
箔押し装置40では、印刷装置30から重ね印刷完了情報を受信したら(S113)、印刷装置30で重ね印刷を行った印刷物をセットする(S114)。その際、必要に応じて、ニス形成部48は、印刷データで規定される領域にニス等の接着材を塗布する。そして、箔押し部49は、トナー層に箔押しを行って最終印刷物を作成する(S115)。
【0072】
このように、箔押しされる領域内で、トナー層の層厚を変化させる(トナー層の層厚が相対的に厚い部分と相対的に薄い部分とを形成する)ことにより、箔部分の断面形状をトナー層の凹凸を反映した形状とすることができ、箔版を用いた箔押し装置で作成した場合に近い質感を出すことができる。
【実施例2】
【0073】
次に、本発明の第2の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図13及び図14を参照して説明する。図13は、本実施例の印刷物箔押しシステムの構成例を示す図であり、図14は、本実施例のコントローラの動作を示すフローチャート図である。
【0074】
前記した第1の実施例では、トナーの塗布量を調整することにより、トナー層の層厚を変化させたが、粒子径の異なるトナーを用いることによってもトナー層の層厚を変化させることができる。
【0075】
具体的には、図13に示すように、CMYKのトナーボトルに粒子径の異なるトナーを装填し、複数種類のトナーを使用してトナー層を形成する。例えば、粒子径がC>M>Y>Kの場合、中央部から端部に向かって、順にK、Y、M、Cのトナーを指定する重ね印刷用データを用いて、複数回、印刷処理を行うことによって、中央部が凹、端部側が凸のトナー層を作成することができる。
【0076】
この場合、印刷物箔押しシステムの構成は第1の実施例と同様であるが、コントローラ20の印刷データ生成部21bは、印刷装置30に装填されているトナーの粒子径が異なる場合(例えば、4つのトナーボトルに異なる粒子径のトナーが装填されている場合)は、印刷装置30からトナー粒子径情報を取得し、トナー粒子径情報を用いて、箔押しされる箇所内で、使用するトナーの種類を変化させた重ね印刷用データを生成する。
【0077】
以下、コントローラ20の詳細動作について説明する。コントローラ20のCPU22は、ROM23又は記憶部25に記憶した箔押し印刷制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、図14のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、印刷装置30及び箔押し装置40の動作は第1の実施例の図11のフローチャート図と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
まず、制御部21(印刷条件指定部21a)は、重ね印刷の指定を受け付け(S201)、質感の強弱、エンボス加工等の適用効果の指定を受け付け(S202)、適用効果ライブラリなどから、指定された適用効果に対応する効果データを読み込む(S203)。なお、予め定めた効果を適用する場合は、S202を省略することができる。
【0079】
次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、印刷装置30から各色トナーの粒子径情報を取得する(S204)。例えば、C:20μm、M:12μm、Y:8μm、K:4μmといったトナー粒子径情報を取得する。次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、ジョブ作成装置10から受信したジョブに基づいて画像処理部27が生成した印刷データ(単頁データ)を読み込み(S205)、S203で読み込んだ効果データとS204で取得したトナー粒子径情報とを用いて重ね印刷用データ(複数頁データ)を生成する(S206)。例えば、適用効果として「質感強」を選択した時は、端部がC100%、中央部がK100%のデータを20頁分作成することにより端部を中央部の500%の厚みとする重ね印刷用データを生成することができる。その後、制御部21(印刷データ生成部21b)は、生成した重ね印刷用データを印刷装置30に送信する(S207)。
【0080】
このように、粒子径の異なる複数種類のトナーを用いることによっても、トナー層の層厚を変化させる(トナー層の層厚が相対的に厚い部分と相対的に薄い部分とを形成する)ことができ、箔版を用いた箔押し装置で作成した場合に近い質感を出すことができる。なお、ここでは複数頁分の重ね印刷用データを生成したが、1回の印刷でトナー層の層厚を十分に変化させることができる場合は、1頁分の重ね印刷用データを生成すればよい。
【実施例3】
【0081】
次に、本発明の第3の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図15及び図16を参照して説明する。図15は、本実施例の印刷物箔押しシステムの構成例を示す図であり、図16は、本実施例のコントローラの動作を示すフローチャート図である。
【0082】
前記した第2の実施例では、粒子径の異なる複数種類のトナーを用いる場合について記載したが、発泡量の異なる複数種類のトナー(例えば、点字印刷で使用されるトナーなど)を用いることによってもトナー層の層厚を変化させることができる。
【0083】
具体的には、図15に示すように、CMYKのトナーボトルに発泡量の異なるトナーを装填し、複数種類のトナーを使用してトナー層を形成する。例えば、発泡量がC>M>Y>Kの場合、中央部から端部に向かって、順にK、Y、M、Cのトナーを指定する重ね印刷用データを用いて、1回、印刷処理を行うことによって、中央部が凹、端部側が凸のトナー層を作成することができる。
【0084】
この場合、印刷物箔押しシステムの構成は第1の実施例と同様であるが、コントローラ20の印刷データ生成部21bは、印刷装置30に装填されているトナーの発泡量が異なる場合(例えば、4つのトナーボトルに異なる発泡量の発泡トナーが装填されている場合)は、印刷装置30からトナー発泡量情報を取得し、トナー発泡量情報を用いて、箔押しされる箇所内で、使用するトナーの種類を変化させた重ね印刷用データを生成する。
【0085】
以下、コントローラ20の詳細動作について説明する。コントローラ20のCPU22は、ROM23又は記憶部25に記憶した箔押し印刷制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、図16のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、印刷装置30及び箔押し装置40の動作は第1の実施例の図11のフローチャート図と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
まず、制御部21(印刷条件指定部21a)は、重ね印刷の指定を受け付け(S301)、質感の強弱、エンボス加工等の適用効果の指定を受け付け(S302)、適用効果ライブラリなどから、指定された適用効果に対応する効果データを読み込む(S303)。なお、予め定めた効果を適用する場合は、S302を省略することができる。
【0087】
次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、印刷装置30から各色トナーの発泡量情報を取得する(S304)。例えば、C:5mm、M:4mm、Y:2mm、K:1mmといったトナー発泡量情報を取得する。次に、制御部21(印刷データ生成部21b)は、ジョブ作成装置10から受信したジョブに基づいて画像処理部27が生成した印刷データ(単頁データ)を読み込み(S305)、S303で読み込んだ効果データとS304で取得したトナー発泡量情報とを用いて重ね印刷用データ(1又は複数頁データ)を生成する(S306)。例えば、適用効果として「質感強」を選択した時は、端部がC100%、中央部がK100%のデータを1頁分作成することにより端部を中央部の500%の厚みとする重ね印刷用データを生成することができる。その後、制御部21(印刷データ生成部21b)は、生成した重ね印刷用データを印刷装置30に送信する(S307)。
【0088】
このように、発泡量の異なる複数種類のトナーを用いることによっても、トナー層の層厚を変化させる(トナー層の層厚が相対的に厚い部分と相対的に薄い部分とを形成する)ことができ、箔版を用いた箔押し装置で作成した場合に近い質感を出すことができる。また、発泡性のトナーを用いる場合、1回の印刷でトナー層の層厚を十分に確保することができるため、印刷処理の時間を短縮することができる。
【実施例4】
【0089】
次に、本発明の第4の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図17を参照して説明する。図17は、本実施例の印刷装置の構造を示す模式図である。
【0090】
複数回、印刷を繰り返し実施する場合、ユーザは排紙トレイに排出された用紙を給紙トレイに装填する処理を何度も行わなければならず、手間がかかる。そこで、本実施例では、印刷処理部38に、指定回数分、機内で用紙を循環させて重ね印刷を行う機構を設け、人手を介さないで印刷物を作成できるようにする。
【0091】
図17は、機内で用紙を循環させる機構の一例を示す模式図である。一般的に両面印刷時には用紙の反転機構を経由するが、本実施例では、用紙の同じ面にトナーを重ね印刷するため、用紙の反転機構を経由せずに、循環機構(PH1から搬送される用紙をそのままPH2に戻すように搬送路に切り替える手段)を用いて用紙を循環させる。これにより、用紙の同じ面に指定回数分の重ね印刷を自動的に行うことができるため、ユーザの手間を軽減することができる。
【実施例5】
【0092】
次に、本発明の第5の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図18を参照して説明する。図18は、本実施例の印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
【0093】
前記した第1の実施例では、各色(例えば、CMYKの4色)のトナーを使用してトナー層の層厚を変化させたが、使用する箔が決まっている場合は、箔が剥がれた場合でも目立たないようにするために、箔の色に応じて使用するトナーの色を指定することが好ましい。
【0094】
この場合、図18に示すように、印刷物箔押しシステムに、互いに異なる色のトナーを備える複数の印刷装置30(例えば、Yのトナーのみを備える印刷装置30とKのトナーのみを備える印刷装置30)を配置し、コントローラ20の印刷データ生成部21bは、箔が剥がれた時に目立たないようにするために、箔の色に応じた色のトナー(箔の色に近い色のトナー、例えば金箔の場合はYのトナー、銀箔の場合はKのトナー)を指定した印刷データを生成し、生成した印刷データを指定した色のトナーを備える印刷装置30に送信し、印刷装置30は、指定された色の複数のトナーを用いて連続してトナー層を形成する。
【0095】
このように、4つのトナーボトルに同じ色のトナーを装填した場合、この4つのトナーボトルを用いて4回分のトナー層の形成を連続して行うことができるため、トナー層の作成時間を短縮することができる。
【0096】
なお、通常の印刷装置30(CMYKの4色のトナーを備える印刷装置30)に印刷データを送信し、この印刷装置30では印刷データで指定された色のトナーのみを用いてトナー層を形成してもよい。また、第1乃至第3の実施例において、印刷データ生成部21bは、少なくとも最上層に形成するトナーの色を、箔の色に応じた色に指定した印刷データを生成し、少なくとも最上層に指定された色のトナー層を形成することによって、箔が剥がれた時に目立たないようにすることができる。
【実施例6】
【0097】
次に、本発明の第6の実施例に係る印刷物箔押しシステム、箔押し印刷制御方法及び箔押し印刷制御プログラムについて、図19を参照して説明する。図19は、本実施例の印刷物箔押しシステムの構成例を示す図である。
【0098】
第1の実施例では、予め定めた適用効果の中からユーザが所望の適用効果を指定するようにしたが、適用効果は任意に作成して指定することができる。
【0099】
この場合、印刷物箔押しシステムの構成は第1の実施例と同様であるが、ジョブ作成装置10の制御部11(画像作成部11a)は、DTP(Desktop publishing)アプリケーションを用いて、任意の模様のグレー画像(TIFF(Tagged Image File Format)画像)を生成してコントローラ20に送信し、コントローラ20の制御部21(印刷条件指定部21a)は、そのTIFF画像を適用効果ライブラリに登録することにより、任意の模様の凹凸を適用してトナー層を作成することが可能となる。例えば、適用効果としてエンボス効果も指定することが可能となる。
【0100】
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0101】
例えば、上記実施例では、電子写真方式を用いてトナー層を形成する場合について記載したが、インクジェット方式を用いてインク層を形成する場合においても、本発明の箔押し印刷制御方法を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、用紙にトナー層やインク層を形成する印刷装置とトナー層やインク層の上に箔押しを行う箔押し装置とを含む印刷物箔押しシステム、箔押し用のトナー層やインク層の形成を制御する箔押し印刷制御方法、箔押し印刷制御プログラム及び当該箔押し印刷制御プログラムを記録した記録媒体に利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
10 ジョブ作成装置
11 制御部
11a 画像作成部
11b ジョブ生成部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 記憶部
16 ネットワークI/F部
17 表示部
18 操作部
20 コントローラ
21 制御部
21a 印刷条件指定部
21b 印刷データ生成部
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 記憶部
26 ネットワークI/F部
27 画像処理部
28 表示部
29 操作部
30 印刷装置
31 制御部
32 CPU
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 ネットワークI/F部
37 表示操作部
38 印刷処理部
40 箔押し装置
41 制御部
42 CPU
43 ROM
44 RAM
45 記憶部
46 ネットワークI/F部
47 表示操作部
48 ニス形成部
49 箔押し部
50 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19