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特許7183622通信装置及び通信装置のためのコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】通信装置及び通信装置のためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20221129BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20221129BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20221129BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221129BHJP
【FI】
H04W48/16 110
H04W48/10
H04W16/14
H04W84/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018151896
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020028019
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】的場 健司
(72)【発明者】
【氏名】大橋 勉
(72)【発明者】
【氏名】野田 真裕
(72)【発明者】
【氏名】榊原 伸一
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0039181(US,A1)
【文献】特開2017-063408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
DFS(Dynamic Frequency Selectionの略)チャネルを含む2個以上の第1のチャネルと、DFSチャネルを含まない2個以上の第2のチャネルと、を利用可能な無線インターフェースと、
前記無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、第1の通常の待機処理と、第2の通常の待機処理と、を含み、前記第1の通常の待機処理は、前記2個以上の第1のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントであ前記第2の通常の待機処理は、前記2個以上の第2のチャネルのそれぞれを第3の時間に亘って順次利用して、前記対象アクセスポイントから信号を受信することを待機する処理である、前記通常待機部と、
前記第1の通常の待機処理において、前記2個以上の第1のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記第1の通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であ前記第2の通常の待機処理に対しては、前記異なるアクセスポイントからの信号を受信する場合に前記第3の時間に亘る待機に加えてさらに前記対象アクセスポイントから信号を受信することを待機する処理が実行されない、前記追加待機部と、
前記第1の通常の待機処理、前記第2の通常の待機処理、又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントから信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
通信装置であって、
2個以上のチャネルを利用可能な無線インターフェースと、
対象アクセスポイントと特定の無線接続が確立されている状況において、前記対象アクセスポイントから切替信号が受信される場合に、前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であるのか否かを判断する判断部であって、前記切替信号は、前記特定の無線接続に利用されているチャネルとは異なるチャネルに切り替えることを前記通信装置に通知する信号である、前記判断部と、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であると判断される場合に、前記無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、前記2個以上のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントである、前記通常待機部と、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であると判断される場合に、前記通常の待機処理において、前記2個以上のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信されるときに、前記通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理である、前記追加待機部と、
前記通常の待機処理又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
を備え、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中でないと判断される場合に、前記通常待機部が、前記通常の待機処理を実行する一方で、前記追加待機部による前記追加の待機処理は実行されない、
通信装置。
【請求項3】
前記2個以上のチャネルは、DFS(Dynamic Frequency Selectionの略)チャネルを含む、請求項に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、さらに、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、所定情報をメモリに記憶する記憶制御部であって、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信されなかったと判断される場合に、前記所定情報は前記メモリに記憶されない、前記記憶制御部を備え、
前記追加待機部は、前記所定情報が前記メモリに記憶されている場合に、前記追加の待機処理を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通常待機部は、前記通常の待機処理を繰り返し実行し、
前記追加待機部は、K回目(前記Kは1以上の整数)の前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記K回目の通常の待機処理が終了した後に、(K+1)回目の前記通常の待機処理に加えて前記追加の待機処理を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記追加待機部は、前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルが前記第1の時間に亘って利用される間に、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記特定のチャネルが前記第1の時間に亘って利用された後に、前記第1の時間に亘った利用に連続して、前記特定のチャネルを前記第2の時間に亘って利用する前記追加の待機処理を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記追加待機部は、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、所定の閾値未満の個数の前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、第1の値を前記第2の時間として決定し、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記所定の閾値以上の個数の前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記第1の値より大きい第2の値を前記第2の時間として決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記対象アクセスポイントから受信されるビーコン信号は、前記対象アクセスポイントを特定するための特定情報を含み、
前記追加待機部は、前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントから前記特定情報を含まないビーコン信号が受信される場合に、前記追加の待機処理を実行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、
DFS(Dynamic Frequency Selectionの略)チャネルを含む2個以上の第1のチャネルと、DFSチャネルを含まない2個以上の第2のチャネルと、を利用可能な無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、第1の通常の待機処理と、第2の通常の待機処理と、を含み、前記第1の通常の待機処理は、前記2個以上の第1のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントであ前記第2の通常の待機処理は、前記2個以上の第2のチャネルのそれぞれを第3の時間に亘って順次利用して、前記対象アクセスポイントから信号を受信することを待機する処理である、前記通常待機部と、
前記第1の通常の待機処理において、前記2個以上の第1のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記第1の通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であ前記第2の通常の待機処理に対しては、前記異なるアクセスポイントからの信号を受信する場合に前記第3の時間に亘る待機に加えてさらに前記対象アクセスポイントから信号を受信することを待機する処理が実行されない、前記追加待機部と、
前記第1の通常の待機処理、前記第2の通常の待機処理、又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントから信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項10】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、
対象アクセスポイントと特定の無線接続が確立されている状況において、前記対象アクセスポイントから切替信号が受信される場合に、前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であるのか否かを判断する判断部であって、前記切替信号は、前記特定の無線接続に利用されているチャネルとは異なるチャネルに切り替えることを前記通信装置に通知する信号である、前記判断部と、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であると判断される場合に、2個以上のチャネルを利用可能な無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、前記2個以上のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントである、前記通常待機部と、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であると判断される場合に、前記通常の待機処理において、前記2個以上のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信されるときに、前記通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理である、前記追加待機部と、
前記通常の待機処理又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
として機能させ、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中でないと判断される場合に、前記通常待機部が、前記通常の待機処理を実行する一方で、前記追加待機部による前記追加の待機処理は実行されない、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、アクセスポイントと無線接続を確立する通信装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、DFS(Dynamic Frequency Selectionの略)チャネルを利用可能なアクセスポイントが開示されている。アクセスポイントは、スタートアップの際に、DFSチャネルを利用してCAC(Channel Availability Checkの略)を実行し、当該DFSチャネルを利用してレーダを受信するのか否かを監視する。CACを実行することは、規格によって定められている。アクセスポイントは、CACにおいてレーダを受信しない場合に、ビーコンを送信する。クライアントは、チャネルを順次切り替えながら、アクセスポイントから送信されるビーコンを待ち受けることによって、DFSチャネルのパッシブスキャンを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-63408号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE Standards 802.11h 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術では、クライアントの周辺に複数個のアクセスポイントが存在する状況が想定されていない。このような状況では、複数個のアクセスポイントのそれぞれが同じチャネルを利用してビーコンを送信し得る。この場合、クライアントは、無線接続を確立すべき対象アクセスポイントからビーコンを受信することができない可能性があり、この結果、対象アクセスポイントと無線接続を確立することができない可能性がある。本実施例では、通信装置が対象アクセスポイントと無線接続を適切に確立するための技術を提供する。
【0006】
本明細書で開示する通信装置は、2個以上のチャネルを利用可能な無線インターフェースと、前記無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、前記2個以上のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントである、前記通常待機部と、前記通常の待機処理において、前記2個以上のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理である、前記追加待機部と、前記通常の待機処理又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、通信装置は、通常の待機処理において、特定のチャネルを利用して、対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号を受信する場合に、追加の待機処理を実行する。このために、通信装置は、通常の待機処理に加えて追加の待機処理においても、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機することできる。これにより、通常の待機処理のみを実行する構成と比較して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信する確率を高めることができ、この結果、対象アクセスポイントからビーコン信号を適切に受信することができ、対象アクセスポイントと無線接続を適切に確立することができる。
【0008】
上記の通信装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記録媒体も新規で有用である。また、上記の通信装置によって実行される方法も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】通信システムの構成を示す。
図2】接続処理のフローチャートを示す。
図3】W52のアクティブスキャンのフローチャートを示す。
図4】W53の第1のパッシブスキャンのフローチャートを示す。
図5】第1実施例に係るW53の第2のパッシブスキャンのフローチャートを示す。
図6】第1実施例の具体的なケースのシーケンス図を示す。
図7】第2実施例に係るW53の第2のパッシブスキャンのフローチャートを示す。
図8】第2実施例の具体的なケースのシーケンス図を示す。
図9】第3実施例に係るW53の第2のパッシブスキャンのフローチャートを示す。
図10】第3実施例の具体的なケースのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(通信システム2の構成;図1
図1に示されるように、通信システム2は、プリンタ10と、2個のアクセスポイント100、200と、端末装置500と、を備える。各装置10、100、200、500は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行可能である。なお、以下では、「アクセスポイント」のことを「AP(Access Pointの略)」と記載する。端末装置500は、デスクトップPC(Personal Computerの略)、ノートPC、タブレットPC、携帯端末等の装置である。
【0011】
(AP100、200の構成)
AP100は、無線AP、無線LANルータ等と呼ばれる通常のAPである。AP100は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行する。Wi-Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。特に、AP100は、IEEE Standards 802.11hの規格によって定められているDFS(Dynamic Frequency Selectionの略)に関する処理を実行可能である。これにより、AP100は、5.0GHzの周波数を有する搬送波、特に、気象レーダ、軍事レーダ等に利用されている周波数と同じ周波数を有する搬送波を利用可能である。
【0012】
5.0GHzの周波数は、複数個の周波数帯域に分類される。各周波数帯域は、一般に、「チャネル」と呼ばれる。例えば、5.150GHzから5.250GHzの周波数は、36チャネルから48チャネルの4個のチャネルに分類される。以下、「チャネル」を「ch(Channelの略)」と記載する場合がある。また、5.250GHzから5.350GHzの周波数は、52chから64chの4個のチャネルに分類される。ここで、36chから48chは「W52」と、52chから64chは「W53」と、呼ばれる。
【0013】
W53として分類される周波数帯(即ちチャネル)は、気象レーダ等に利用されている周波数を含む。AP100は、W53のチャネルを利用する際に、DFSの規格に従ったCAC(Channel Availability Checkの略)を実行する。CACにおいて、AP100は、利用すべきチャネルとしてW53のチャネルが決定される場合に、決定済みのチャネルに含まれる周波数を有するレーダを検出するのか否かを60秒間に亘って監視する。そして、AP100は、レーダが60秒間に亘って検出されなかった場合に、決定済みのチャネルを利用したビーコン信号をブロードキャストに送信する。これにより、レーダと搬送波との干渉を避けつつ、W53のチャネルを利用して、ビーコン信号を受信した通信装置(例えば、プリンタ10)との間に無線LAN接続を確立し、当該通信装置をAP100によって形成される無線ネットワークに参加させることができる。一方、AP100は、決定済みのチャネルを利用したレーダが検出された場合には、利用すべきチャネルとして他のチャネルを決定し、CACを再び実行する。
【0014】
W52として分類される周波数帯(即ちチャネル)は、気象レーダ等に利用されない。このため、AP100は、W52のチャネルを利用する際に、CACを実行しない。以下、W53として分類されるチャネルを「DFSチャネル」と呼び、W52として分類されるチャネルを「非DFSチャネル」と呼ぶ。
【0015】
また、AP100は、或るDFSチャネルを利用した無線LAN接続を通信装置と確立している状況において、利用中のDFSチャネルに含まれる周波数と同じ周波数を有するレーダを検出する場合に、DFSの規格に従って、利用中のDFSチャネルの利用を停止する。そして、AP100は、利用中のDFSチャネルの利用を停止する場合に、切替信号を通信装置に送信し、利用中のDFSチャネルとは異なるチャネルに切り替えるための切替処理を開始する。切替信号は、利用中のDFSのチャネルから異なるチャネルに切り替えることを通信装置に通知するための信号である。なお、切替信号は、AP100が利用しているチャネルと同じチャネルを利用している他のAPがAP100の周辺に存在している場合にも送信される。具体的には、AP100は、複数個の他のAPがビーコン信号を送信していることに起因して、閾値以上の個数のビーコン信号がAP100に受信される場合に、切替信号をプリンタ10に送信し、利用中のチャネルとは異なるチャネルに切り替えるための切替処理を開始する。異なるチャネルに切り替えられることにより、AP100が実行している無線通信と他のAPが実行している無線通信との干渉(即ち、回線の混雑)を避けることができる。
【0016】
切替後のチャネルがDFSチャネルである場合において、切替後のチャネルを利用したビーコン信号が送信されるタイミングは、AP100の性能により異なる。例えば、AP100が無線通信とCACを同時に実行不可能なAPである場合には、AP100は切替信号の送信後にCACを実行する。そして、AP100は、CACの後に切替処理を実行して、ビーコン信号を送信する。このため、ビーコン信号は、切替信号の送信から少なくとも60秒が経過した後に送信される。一方、AP100が無線通信とCACを同時に実行可能なAPである場合には、AP100はレーダの検出前に切替後のチャネルを利用したCACを実行可能である。このため、AP100は、切替信号の送信から60秒が経過する前にビーコン信号を送信し得る。
【0017】
また、AP100は、AP100によって形成される無線ネットワークを識別するためのSSID(Service Set Identifierの略)「XXX」を記憶する。同様に、AP200は、SSID「YYY」を記憶する。
【0018】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、印刷機能を実行可能な周辺装置(即ち端末装置500等の周辺装置)である。プリンタ10は、無線LANインターフェース14と、制御部20と、を備える。各部14~20は、バス線(符号省略)に接続されている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0019】
無線LANI/F14は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。無線LANI/F14は、W52とW53のチャネルを利用した無線通信を実行可能である。図1に示すように、プリンタ10は、無線LANI/F14を介して、AP100との間に無線LAN接続を確立し、AP100が形成している無線ネットワークに参加している。また、端末装置500もAP100が形成している無線ネットワークに参加している。これにより、プリンタ10は、AP100を介して、無線ネットワークに参加している端末装置500から印刷データを受信し、当該印刷データに従った印刷を実行することができる。
【0020】
制御部20は、CPU22とメモリ24とを備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラム30に従って、様々な処理を実行する。メモリ24は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ24は、さらに、フラグテーブル32とAP情報34を記憶する。AP情報34は、プリンタ10が現在参加している無線ネットワークを識別するためのSSID「XXX」と、当該無線ネットワークに参加するためのパスワードと、を含む。
【0021】
フラグテーブル32は、W53の4個のチャネルのそれぞれについて、当該チャネルを示すチャネル番号と、フラグと、個数情報と、を対応付けて記憶するテーブルである。フラグは、AP情報34内のSSID「XXX」と異なるSSIDを含むビーコン信号が受信されたことを示す「1」と、当該異なるSSIDを含むビーコン信号が受信されなかったことを示す「0」と、のうちのいずれかの値を示す。フラグの初期値は「0」である。フラグは、後述する第2のW53のパッシブスキャン(図5参照)において、AP情報34内のSSID「XXX」と異なるSSIDを含む他のビーコン信号が受信される場合に「0」から「1」に変更される。フラグは、後述する図2の接続処理が終了すると「0」にリセットされる。個数情報は、上記の他のビーコン信号の個数を示す。
【0022】
(接続処理;図2
図2を参照して、プリンタ10のCPU22が実行する接続処理の内容について説明する。接続処理は、プリンタ10がAP100によって形成されている無線ネットワークに参加している状況において、AP100から切替信号が受信されることをトリガとして開始される。
【0023】
S10では、CPU22は、AP100との間に確立されている無線LAN接続を利用して、AP100を介して、端末装置500から印刷データを受信中であるのか否かを判断する。例えば、CPU22は、AP100から印刷データの一部(例えばパケット)が受信され、残りの一部が受信されていない場合に、印刷データを受信中であると判断する。CPU22は、印刷データを受信中でないと判断する場合(S10でNO)に、S12に進む。
【0024】
S12では、CPU22は、後述するW52のアクティブスキャン(図3参照)を実行する。CPU22は、W52のアクティブスキャンにおいて、無線LAN接続が確立されなかった場合に、S14に進み、無線LAN接続が確立された場合に、図2の処理を終了する。
【0025】
S14では、CPU22は、後述するW53の第1のパッシブスキャン(図4参照)を実行する。CPU22は、W53の第1のパッシブスキャンにおいて、無線LAN接続が確立されなかった場合に、S16に進み、無線LAN接続が確立された場合に、図2の処理を終了する。
【0026】
S16では、CPU22は、切替信号を受信してから所定時間(例えば、90秒)が経過したのか否かを判断する。CPU22は、所定時間が経過していないと判断する場合(S16でNO)に、S12に戻る。別言すれば、CPU22は、所定時間が経過するまで、S12、S14の処理を繰り返し実行する。一方、CPU22は、W52のアクティブスキャン及びW53の第1のパッシブスキャンのいずれにおいても無線LAN接続が確立されずに、所定時間が経過したと判断する場合(S16でNO)に、S30に進む。
【0027】
S30では、CPU22は、エラー画面をプリンタ10の表示部(図示省略)に表示させる。エラー画面は、AP100との間に無線LAN接続を確立不可能であることを示す画面である。S30が終了すると、図2の処理が終了する。
【0028】
また、CPU22は、印刷データを受信中であると判断する場合(S10でYES)に、S20に進む。S20は、S12と同様である。CPU22は、S20において、無線LAN接続が確立されなかった場合に、S22に進み、無線LAN接続が確立された場合に、図2の処理を終了する。
【0029】
S22では、CPU22は、後述するW53の第2のパッシブスキャン(図5参照)を実行する。CPU22は、W53の第2のパッシブスキャンにおいて、無線LAN接続が確立されなかった場合に、S24に進み、無線LAN接続が確立された場合に、図2の処理を終了する。S24は、S16と同様である。CPU22は、W52のアクティブスキャン及びW53の第2のパッシブスキャンのいずれにおいても無線LAN接続が確立されずに、所定時間が経過したと判断する場合(S24でYES)に、S30に進む。
【0030】
(W52のアクティブスキャン;図3
図3を参照して、W52のアクティブスキャンの内容について説明する。S50では、CPU22は、W52の4個のチャネル(即ち、36ch、40ch、44ch、48ch)の中から、スキャンの対象であるチャネル(以下、「スキャンチャネル」と記載)として36chを決定する。
【0031】
S52では、CPU22は、無線LANI/F14を介して、スキャンチャネルを利用して、AP情報34内のSSID「XXX」を含むプローブ要求をAP100に送信する。S54では、CPU22は、AP100からプローブ要求に対するプローブ応答を受信したのか否かを判断する。CPU22は、AP100からプローブ応答を受信したと判断する場合(S54でYES)に、S60に進む。例えば、AP100がスキャンチャネルを利用してプローブ要求が受信されることを待機している場合に、プリンタ10は、AP100からプローブ応答を受信する。
【0032】
S60では、CPU22は、AP100と無線LAN接続を確立するための様々な信号(例えば、Authentication信号、Association信号、4-way handshake等)の通信をAP100と実行する。上記の様々な信号の通信の過程で、AP情報34内のパスワードを利用した認証がAP100とプリンタ10との間で実行される。これにより、CPU22は、AP100との無線LAN接続を確立する。S60が終了すると、図3の処理が終了するとともに図2の処理が終了する。
【0033】
また、AP100からプローブ応答が受信されずに所定時間(例えば、数十msec)が経過したと判断する場合(S54でNO)に、S56に進む。例えば、AP100がスキャンチャネルとは異なるチャネルを利用してプローブ要求が受信されることを待機している場合に、プリンタ10は、AP100からプローブ応答を受信することができない。S56では、CPU22は、W52の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたのか否かを判断する。CPU22は、W52の4個のチャネルの中にスキャンチャネルとして利用されていないチャネルが存在すると判断する場合(S56でNO)に、S58に進む。
【0034】
S58では、CPU22は、スキャンチャネルを36chから40chに変更する。CPU22は、W52の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されるまで、スキャンチャネルを順次に変更して、S52、S54の処理を繰り返す。CPU22は、W52の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたと判断する場合(S56でYES)に、図3の処理を終了して、図2のS14又はS22へ進む。
【0035】
(W53の第1のパッシブスキャン;図4
図4を参照して、W53の第1のパッシブスキャンの内容について説明する。S70では、CPU22は、W53の4個のチャネル(即ち、52ch、56ch、60ch、64ch)の中から、スキャンチャネルとして52chを決定する。
【0036】
S74では、CPU22は、無線LANI/F14を介して、スキャンチャネルを待機時間(例えば、100msec)に亘って利用してAP100からビーコン信号が受信されることを待機する。別言すれば、CPU22は、スキャンチャネルを待機時間に亘って利用して、AP(例えば、100)がブロードキャストに送信するビーコン信号を受信することを待機する待機処理を実行する。そして、CPU22は、待機処理の実行中に1個以上のビーコン信号が受信される場合において、受信済みの1個以上のビーコン信号の中に、AP情報34内のSSID「XXX」と一致するSSIDを含むビーコン信号が存在する場合に、AP100からビーコン信号が受信されたと判断し、それ以外の場合に、AP100からビーコン信号が受信されなかったと判断する。CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されたと判断する場合(S74でYES)に、S80に進む。
【0037】
S80では、CPU22は、スキャンチャネルを利用して、無線LANI/F14を介して、SSID「XXX」を含むプローブ要求をAP100に送信する。そして、CPU22は、プローブ要求に対するプローブ応答をAP100から受信すると、無線LAN接続を確立するための様々な信号(例えば、Authentication信号、Association信号、4-way handshake等)の通信をAP100と実行する。これにより、CPU22は、AP100との無線LAN接続を確立する。S80が終了すると、図4の処理が終了するとともに図2の処理が終了する。
【0038】
また、CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されなかったと判断する場合(S74でNO)に、S76において、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたのか否かを判断する。CPU22は、W53の4個のチャネルの中にスキャンチャネルとして利用されていないチャネルが存在すると判断する場合(S76でNO)に、S78に進む。
【0039】
S78では、CPU22は、スキャンチャネルを52chから56chに変更する。CPU22は、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されるまで、スキャンチャネルを順次に変更して、S74の処理を繰り返す。CPU22は、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたと判断する場合(S76でYES)に、図4の処理を終了して、図2のS16へ進む。
【0040】
(W53の第2のパッシブスキャン;図5
図5を参照して、W53の第2のパッシブスキャンの内容について説明する。W53の第2のパッシブスキャンは、後述するS102~S106、S122、S124の処理を図4のW53の第1のパッシブスキャンに追加したものに相当する。
【0041】
S100は、図4のS70と同様である。S102では、CPU22は、フラグテーブル32の中からスキャンチャネルに対応する情報(即ち、フラグと個数情報)を特定する。そして、CPU22は、特定済みのフラグが「1」を示すのか否かを判断する。CPU22は、特定済みのフラグが「0」を示すと判断する場合(S102でNO)に、S104において、待機時間を100msecに決定する。待機時間は、後述するS120において、ビーコン信号の受信を待機する時間である。
【0042】
また、CPU22は、特定済みのフラグが「1」を示すと判断する場合(S102でYES)に、S106において、待機時間を200msec又は300msecに決定する。CPU22は、特定済みの個数情報によって示される個数が閾値である2個未満(即ち、1個)である場合に、待機時間を200msecに決定し、特定済みの個数情報によって示される個数が2個以上である場合に、待機時間を300msecに決定する。なお、変形例では、閾値は、3個以上の個数を示す値でもよい。
【0043】
S120は、S102~S106の処理に応じた待機時間に亘ってスキャンチャネルが利用される点を除いて、図4のS74と同様である。CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されたと判断する場合(S120でYES)に、S150に進む。S150は、図4のS80と同様である。S150が終了すると、図5の処理が終了するとともに図2の処理が終了する。
【0044】
CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されることなく待機時間が経過した場合(S120でNO)に、S122において、スキャンチャネルを利用してAP100とは異なるAP(例えばAP200)からビーコン信号が受信されたのか否かを判断する。具体的には、CPU22は、S120の処理において、1個以上のビーコン信号が受信される場合において、受信済みの1個以上のビーコン信号の中にAP情報34内のSSID「XXX」と一致しないSSIDを含むビーコン信号が存在する場合に、異なるAPからビーコン信号が受信されたと判断する。一方、CPU22は、S120においてビーコン信号が1個も受信されなかった場合に、異なるAPからビーコン信号が受信されなかったと判断する。CPU22は、スキャンチャネルを利用して異なるAPからビーコン信号が受信されなかったと判断する場合(S122でNO)に、S124をスキップして、S126に進む。一方、CPU22は、スキャンチャネルを利用して異なるAPからビーコン信号が受信されたと判断する場合(S120でYES)に、S124に進む。
【0045】
S124では、CPU22は、フラグテーブル32のうちのスキャンチャネルに対応するフラグを「0」から「1」に変更する。なお、対応するフラグが「1」を示す場合には、フラグは「1」に維持される。また、CPU22は、S120で受信された1個以上のビーコン信号の個数をスキャンチャネルに対応する個数情報としてフラグテーブル32に記憶する。
【0046】
S126、S128は、図4のS76、S78と同様である。CPU22は、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたと判断する場合(S126でYES)に、図5の処理を終了して、図2のS24へ進む。
【0047】
(具体的なケース;図6
図6を参照して、図5のW53の第2のパッシブスキャンによって実現される具体的なケースを説明する。本ケースでは、プリンタ10とAP100の間に52chを利用した無線LAN接続が確立されている。また、端末装置500とAP100との間にも52chを利用した無線LAN接続が確立されている。
【0048】
T100では、プリンタ10は、AP100を介して、端末装置500から印刷データを受信する。ここで、AP100は、端末装置500から受信した印刷データのプリンタ10への送信中に、52chに含まれる周波数と同じ周波数を有するレーダを検出する。この場合、AP100は、T102において、切替信号をプリンタ10に送信し、その後、52chの利用を停止する。これにより、プリンタ10とAP100との間の無線LAN接続が切断される。なお、切替信号は端末装置500にも送信され、端末装置500とAP100との間の無線LAN接続も切断される。
【0049】
T104では、AP100は、52chから60chに切り替えるための切替処理を開始する。本ケースでは、AP100は、レーダの検出前に60chを利用したCACを実行済みである。AP100は、T106において、60chへの切替を完了し、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。
【0050】
また、プリンタ10は、T102において、印刷データの受信中にAP100から切替信号を受信すると、印刷データの受信中であると判断し(図2のS10でYES)、W53のアクティブスキャン(図3参照)とW53の第2のパッシブスキャン(図5参照)を繰り返し実行する(図2のS20、S22)。
【0051】
図6に示すように、プリンタ10は、繰り返しの処理のうちの1回目の処理において、W52の4個のチャネル、W53の4個のチャネル(即ち、52ch、56ch、60ch、64ch)の順にスキャンを実行する。なお、図6では、W52の4個のチャネルのそれぞれの処理の図示を省略している。1回目の処理において、W53の各チャネルに対応する各フラグは「0」を示すので、W53の各チャネルの待機時間は100msecである(図5のS102でNO、S104)。また、1回目の処理において、AP100、200は、ビーコン信号のブロードキャスト送信を実行していない。プリンタ10は、1回目の処理においてAP100からビーコン信号を受信できないので(図5のS120でNO、S126でYES)、2回目の処理を実行する(図2のS24でNO)。
【0052】
2回目の処理が実行されている間に、AP200は、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。このため、プリンタ10は、2回目の処理内の60chを利用した待機処理において、AP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信する。また、2回目の処理が実行されている間に、AP100は、T106において、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。しかし、プリンタ10は、AP200からビーコン信号を受信したことに起因して、60chを利用した待機処理においてAP100からビーコン信号を受信することを失敗する(図5のS120でNO)。
【0053】
プリンタ10は、2回目の処理内の60chを利用した待機処理において、AP情報34内のSSID「XXX」と一致しないSSID「YYY」を含むビーコン信号が受信されたので、異なるAP200からビーコン信号が受信されたと判断する(図5のS122でYES)。そして、プリンタ10は、60chに対応するフラグを「1」に変更する(S124)。上記のように、プリンタ10は、2回目の処理においてAP100からビーコン信号を受信できないので(図5のS120でNO、S126でYES)、3回目の処理を実行する(図2のS24でNO)。
【0054】
3回目の処理において、プリンタ10は、スキャンチャネルとして60chを決定すると(図5のS128)、60chに対応するフラグが「1」を示すので、待機時間を200msecに決定する(S102でYES、S106)。そして、プリンタ10は、60chを200msecに亘って利用してAP100からビーコン信号が受信されることを待機する。別言すれば、プリンタ10は、3回目の処理において、60chを100msecに亘って利用してAP100からビーコン信号が受信されることを待機する待機処理に加えて60chをさらに100msecに亘って利用してAP100からビーコン信号が受信されることを待機する追加の待機処理を実行する。
【0055】
本ケースでは、プリンタ10は、先の待機処理においてAP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信し、追加の待機処理においてAP100からSSID「XXX」を含むビーコン信号を受信する。このため、プリンタ10は、3回目の処理において、AP100からビーコン信号が受信されたと判断し(図5のS120でYES)、T120において、AP100との間に60chを利用した無線LAN接続を確立する(S150)。なお、端末装置500は、切替信号を受信した後に、W52とW53を利用したスキャンを実行する。端末装置500は、AP100から60chを利用したビーコン信号を受信する場合に、AP100との間に60chを利用した無線LAN接続を確立する。
【0056】
プリンタ10は、プリンタ10とAP100との間、及び、端末装置500とAP100との間に60chを利用した無線LAN接続が確立されると、AP100を介して、端末装置500から印刷データを再び受信する。これにより、プリンタ10は、印刷データに従った印刷を実行することができる。
【0057】
(本実施例の効果)
上記の構成によれば、プリンタ10は、2回目の処理内において、異なるAP200からビーコン信号が受信される場合に、3回目の処理において、60chを200msecに亘って利用する待機処理を実行する。別言すれば、プリンタ10は、60chを100msecに亘って利用する先の待機処理に加えて、60chを100msecに亘って利用する追加の待機処理を実行する。このため、プリンタ10は、先の待機処理のみを実行する構成と比較して、AP100からビーコン信号を受信する確率を高めることができる。ビーコン信号を受信する確率を高めることにより、AP100との無線LAN接続を早期に確立することができる。上記のケースでは、プリンタ10は、追加の待機処理において、AP100から60chを利用したビーコン信号を受信することができ、AP100との間に60chを利用した無線LAN接続を早期に確立することができる(T120)。
【0058】
また、例えば、3回目の処理において、60chを100msecに亘って利用する先の待機処理、64chを100msecに亘って利用する別の待機処理、及び、60chを100msecに亘って利用する追加の待機処理をこの順に実行する比較例が想定される。この比較例では、追加の待機処理の実行までにチャネルを2回変更する。これに対して、本実施例の構成によれば、3回目の処理において、先の待機処理が実行された後に、先の待機処理に連続して、追加の待機処理が実行される。即ち、チャネルを変更する必要がない。従って、上記の比較例と比較して、チャネルを変更する回数を削減することができ、プリンタ10のCPU22の負荷を低減することができる。
【0059】
また、本実施例の構成によれば、プリンタ10は、端末装置500から印刷データを受信中である場合に、W53の第2のパッシブスキャンを実行し(図2のS22)、端末装置500から印刷データを受信中でない場合に、W53の第1のパッシブスキャンを実行する(S14)。即ち、プリンタ10は、端末装置500から印刷データを受信中でない場合に、追加の待機処理を実行するための各処理(即ち、図5のS102~S106、S122、124)を実行しない。端末装置500から印刷データを受信中でない状況では、AP100との無線LAN接続を早期に確立する必要性が低い。本実施例の構成によれば、図2のS10の処理が実行されず、S20~S30の処理のみが実行される構成と比較して、印刷データの受信中でない状況を考慮して、プリンタ10のCPU22の負荷を低減することができる。
【0060】
また、本実施例の構成によれば、プリンタ10は、個数情報によって示される個数が2個以上である場合に、待機時間を200msecより長い300msecに決定する(図5のS106)。AP100と異なるAPの個数が増えて、異なるAPが送信するビーコン信号の個数が増えるほど、AP100からビーコン信号を受信する確率が低くなる。上記の構成によれば、ビーコン信号の個数が増えるほど待機時間が長くなるので、AP100からビーコン信号を受信する確率が低下することを抑制することができる。
【0061】
(対応関係)
プリンタ10、無線LANI/F14、メモリ24が、それぞれ、「通信装置」、「無線インターフェース」、「メモリ」の一例である。AP100、AP200が、それぞれ、「対象アクセスポイント」、「異なるアクセスポイント」の一例である。W53の4個のチャネルが、「2個以上のチャネル」の一例である。図6の2回目の処理のうちの60chを利用した待機処理が、「通常の待機処理(及びK回目の通常の待機処理)」の一例である。図6の3回目の処理のうちの60chを利用した先の待機処理、3回目の処理のうちの60chを利用した追加の待機処理が、それぞれ、「(K+1)回目の通常の待機処理」、「追加の待機処理」の一例である。100msecが、「第1の時間(及び第2の時間)」の一例である。フラグ「1」が、「所定情報」の一例である。図6の52chを利用した無線LAN接続が、「特定の無線接続」の一例である。図5のS106の2個、200msec、300msecが、それぞれ、「所定の閾値」、「第1の値」、「第2の値」の一例である。SSID「XXX」が、「特定情報」の一例である。
【0062】
待機時間が100msecである場合における図5のS120が、「通常待機部」によって実現される処理の一例である。待機時間が200msecである場合における図5のS120が、「追加待機部」によって実現される処理の一例である。図5のS150が、「確立部」によって実現される処理の一例である。
【0063】
(第2実施例)
(W53の第2のパッシブスキャン;図7
第2実施例は、W53の第2のパッシブスキャンの一部が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。図7を参照して、本実施例のW53の第2のパッシブスキャンについて説明する。
【0064】
S200は、図5のS100と同様である。S220は、待機時間が100msecである点を除いて、図5のS120と同様である。S222は、図5のS122と同様である。CPU22は、スキャンチャネルを利用して異なるAPからビーコン信号が受信されなかったと判断する場合(S222でNO)に、S224をスキップして、S226に進む。一方、CPU22は、スキャンチャネルを利用して異なるAPからビーコン信号が受信されたと判断する場合(S220でYES)に、S224に進む。S224は、S220と同様である。別言すれば、CPU22は、スキャンチャネルを利用して異なるAPからビーコン信号が受信される場合に、S220の待機処理に加えてS224の追加の待機処理を実行する。
【0065】
S226、S228は、図5のS126、S128と同様である。CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されたと判断する場合(S220でYES、又は、S224でYES)に、S250に進む。S250は、図5のS150と同様である。S250が終了すると、図7の処理が終了するとともに図2の処理が終了する。
【0066】
(具体的なケース;図8
図8を参照して、図7のW53の第2のパッシブスキャンによって実現される具体的なケースを説明する。本ケースでは、図6のケースと同様に、プリンタ10とAP100の間と、端末装置500とAP100との間に52chを利用した無線LAN接続が確立されている。
【0067】
T200~T206は、図6のT100~T106と同様である。プリンタ10は、T202において、印刷データの受信中にAP100から切替信号を受信すると、印刷データの受信中であると判断し(図2のS10でYES)、W53のアクティブスキャン(図3参照)とW53の第2のパッシブスキャン(図7参照)を繰り返し実行する(図2のS20、S22)。
【0068】
本ケースの1回目の処理は、図6のケースの1回目の処理と同様である。プリンタ10は、1回目の処理においてAP100からビーコン信号を受信できないので(図7のS220でNO、S226でYES)、2回目の処理を実行する(図2のS24でNO)。
【0069】
2回目の処理が実行されている間に、AP200は、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。このため、プリンタ10は、2回目の処理内の60chを利用した先の待機処理において、AP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信する。また、2回目の処理が実行されている間に、AP100は、T206において、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。しかし、プリンタ10は、先の待機処理においてAP200からビーコン信号を受信したことに起因して、先の待機処理においてAP100からビーコン信号を受信することを失敗する(図7のS220でNO)。
【0070】
本ケースでは、プリンタ10は、先の待機処理において、AP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信するので、異なるAP200からビーコン信号が受信されたと判断する(図7のS222でYES)。そして、プリンタ10は、60chを利用した追加の待機処理を実行する(S224)。本ケースでは、プリンタ10は、追加の待機処理においてAP100からSSID「XXX」を含むビーコン信号を受信する。このため、プリンタ10は、追加の待機処理において、AP100からビーコン信号が受信されたと判断し(S224でYES)、T220において、AP100との間に60chを利用した無線LAN接続を確立する(S250)。
【0071】
本実施例の構成によれば、プリンタ10は、2回目の処理において、異なるAP200から60chを利用したビーコン信号が受信される場合に、2回目の処理において、60chを100msecに亘って利用する追加の待機処理を実行する。これにより、第1実施例と同様に、AP100からビーコン信号を受信する確率を高めることができる。
【0072】
また、例えば、2回目の処理において、60chを100msecに亘って利用する先の待機処理、64chを100msecに亘って利用する別の待機処理、及び、60chを100msecに亘って利用する追加の待機処理をこの順に実行する比較例が想定される。この比較例では、追加の待機処理の実行までにチャネルを2回変更する。これに対して、本実施例の構成によれば、2回目の処理において、先の待機処理が実行された後に、先の待機処理に連続して、追加の待機処理が実行される。即ち、チャネルを変更する必要がない。従って、上記の比較例と比較して、チャネルを変更する回数を削減することができ、プリンタ10の処理負荷を低減することができる。
【0073】
(対応関係)
図8の2回目の処理のうちの60chを利用した先の待機処理が、「通常の待機処理」の一例である。図8の2回目の処理のうちの60chを利用した追加の待機処理が、「追加の待機処理」の一例である。
【0074】
(第3実施例)
(W53の第2のパッシブスキャン;図9
第3実施例は、W53の第2のパッシブスキャンの一部が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。図9を参照して、本実施例のW53の第2のパッシブスキャンについて説明する。
【0075】
S300は、図5のS100と同様である。S320は、待機時間が100msecである点を除いて、図5のS120と同様である。S322は、図5のS122と同様である。S324では、CPU22は、フラグテーブル32のうちのスキャンチャネルに対応するフラグを「0」から「1」に変更する。なお、本実施例では、フラグは、図9の処理が終了すると「0」にリセットされる。
【0076】
S326、S328は、図5のS126、S128と同様である。CPU22は、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたと判断する場合(S326でYES)に、S330に進む。
【0077】
S330は、S300と同様である。S332では、フラグテーブル32の中からスキャンチャネルに対応するフラグを特定し、特定済みのフラグが「1」を示すのか否かを判断する。CPU22は、特定済みのフラグが「0」を示すと判断する場合(S332でNO)に、S340をスキップして、S346に進む。一方、CPU22は、特定済みのフラグが「1」を示すと判断する場合(S332でYES)に、S340に進む。S340は、S320と同様である。CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されたと判断する場合(S340でYES)に、S350に進む。なお、S350の処理は、S320でYESと判断される場合にも、実行される。S350は、図5のS150と同様である。S350が終了すると、図9の処理が終了するとともに図2の処理が終了する。
【0078】
また、CPU22は、スキャンチャネルを利用してAP100からビーコン信号が受信されなかったと判断する場合(S340でNO)に、S346に進む。S346、S348は、S326、S328と同様である。CPU22は、W53の4個のチャネルの全てがスキャンチャネルとして利用されたと判断する場合(S346でYES)に、図9の処理を終了して、図3のS24へ進む。
【0079】
(具体的なケース;図10
図10を参照して、図9のW53の第2のパッシブスキャンによって実現される具体的なケースを説明する。本ケースでは、図6のケースと同様に、プリンタ10とAP100の間と、端末装置500とAP100との間に52chを利用した無線LAN接続が確立されている。
【0080】
T300~T306は、図6のT100~T106と同様である。プリンタ10は、T302において、印刷データの受信中にAP100から切替信号を受信すると、印刷データの受信中であると判断し(図2のS10でYES)、W53のアクティブスキャン(図3参照)とW53の第2のパッシブスキャン(図9参照)を繰り返し実行する(図2のS20、S22)。
【0081】
本ケースの1回目の処理は、図6のケースの1回目の処理と同様である。プリンタ10は、1回目の処理においてAP100及び異なるAP(例えばAP200)からビーコン信号を受信できないので(図9のS320でNO、S326でYES、S340でNO、S346でYES)、2回目の処理を実行する(図2のS24でNO)。
【0082】
2回目の処理が実行されている間に、AP200は、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。このため、プリンタ10は、2回目の処理内の60chを利用した先の待機処理において、AP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信する。また、2回目の処理が実行されている間に、AP100は、T306において、60chを利用したビーコン信号のブロードキャスト送信を開始する。しかし、プリンタ10は、先の待機処理においてAP200からビーコン信号を受信したことに起因して、先の待機処理においてAP100からビーコン信号を受信することを失敗する(図9のS320でNO)。
【0083】
本ケースでは、プリンタ10は、先の待機処理において、AP200からSSID「YYY」を含むビーコン信号を受信するので、異なるAP200からビーコン信号が受信されたと判断する(図9のS322でYES)。プリンタ10は、60chに対応するフラグを「1」に変更する(図9のS324)。そして、プリンタ10は、W53の4個のチャネルの全てをスキャンチャネルとして利用した後(図9のS326でYES)に、60chをスキャンチャネルとして決定する(図9のS330)。CPU22は、60chに対応するフラグが「1」を示すので(図9のS332でYES)、60chを利用した追加の待機処理を実行する(図9のS340)。本ケースでは、プリンタ10は、追加の待機処理においてAP100からSSID「XXX」を含むビーコン信号を受信する。このため、プリンタ10は、追加の待機処理において、AP100からビーコン信号が受信されたと判断し(図5のS340でYES)、T320において、AP100との間に60chを利用した無線LAN接続を確立する(S350)。
【0084】
本実施例の構成によれば、プリンタ10は、2回目の処理において、異なるAP200から60chを利用したビーコン信号が受信される場合に、2回目の処理において、60chを100msecに亘って利用する追加の待機処理を実行する。これにより、第1実施例と同様に、AP100からビーコン信号を受信する確率を高めることができる。
【0085】
(対応関係)
図10の2回目の処理のうちの60chを利用した先の待機処理が、「通常の待機処理」の一例である。図10の2回目の処理のうちの60chを利用した追加の待機処理が、「追加の待機処理」の一例である。
【0086】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0087】
(変形例1)「通信装置」は、プリンタ10でなくてもよく、例えば、スキャナ、多機能機、サーバ、端末装置500とは異なる他の端末装置であってもよい。
【0088】
(変形例2)上記の各実施例では、無線LANI/F14は、W53を利用した無線通信を実行可能である。これに代えて、無線LANI/F14は、他のDFSチャネル(例えば、W56)を利用した無線通信を実行可能でもよい。W56は、100chから140chの11個のチャネルであり、100chから140chのチャネルは、5.470GHzから5.725GHzの周波数を分類したチャネルである。本変形例では、100chから140chが、「2個以上のチャネル」の一例である。また、無線LANI/F14は、W53及びW56を利用した無線通信を実行可能であってもよい。本変形例では、W53の4個のチャネル及びW56の11個のチャネルが、「2個以上のチャネル」の一例である。
【0089】
(変形例3)上記の各実施例では、60chを100msecに亘って利用する待機処理が追加の待機処理として実行される(図6参照)。これに代えて、60chを100msecとは異なる時間(例えば、100msecより長い時間、100msecより短い時間)に亘って利用する待機処理が追加の待機処理として実行されてもよい。一般的に言えば、「第2の時間」は、第1の時間と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0090】
(変形例4)上記の第1実施例では、プリンタ10は、個数情報によって示される個数が2個以上である場合に、待機時間を200msecより長い300msecに決定する(図5のS106)。これに限らず、プリンタ10は、個数情報によって示される個数がM個以上である場合に、待機時間を300msecに決定してもよい。上記のMは、例えば、3以上の値である。本変形例では、上記のMが、「所定の閾値」の一例である。
【0091】
(変形例5)ビーコン信号は、SSID「XXX」に限らず、例えば、AP100を識別するための特定のMACアドレスを含んでいてもよい。そして、プリンタ10は、特定のMACアドレスと一致しないMACアドレス含むビーコン信号が受信される場合に、異なるAPからビーコン信号が受信されたと判断してもよい(図5のS122参照)。本変形例では、特定のMACアドレスが、「特定情報」の一例である。
【0092】
(変形例6)上記の各実施例では、AP100から切替信号が受信される場合に、図2のS20~S24の処理が実行される。これに代えて、AP100のSSID「XXX」及びパスワードがプリンタ10の操作パネルを介してユーザによって入力される場合に、S20~S24の処理が実行されてもよい。一般的に言えば、「通信装置」は、「切替信号」を受信しなくてもよい。
【0093】
(変形例7)図2のS10の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「判断部」を省略可能である。
【0094】
(変形例8)メモリ24は、フラグテーブル32を記憶していなくてもよい。そして、プリンタ10は、図5のS106において、受信したビーコン信号の個数にかかわらず、待機時間を200msecに決定してもよい。本変形例では、「所定の閾値」を省略可能である。
【0095】
(変形例9)上記の各実施例では、図2のS12及びS20において、W52のアクティブスキャンが実行される。これに代えて、S12及びS20において、W52のパッシブスキャンが実行されてもよい。
【0096】
(変形例10)上記のように、「切替信号」は、AP100が利用しているチャネルと同じチャネルを利用している複数個のAPがAP100の周辺に存在している場合にも送信される。そして、プリンタ10は、上記の理由に起因する切替信号が受信される場合に、図2の処理を実行してもよい。
【0097】
(変形例11)「2個以上のチャネル」は、DFSチャネルに限らず、例えば、非DFSチャネルであるW52でもよいし、2.4GHzの周波数の搬送波を利用するためのチャネル(例えば、1ch~14ch)でもよい。例えば、上記のように、AP100が回線の混在に起因して切替信号を送信する構成において、プリンタ10は、非DFSチャネルであるW52について、第2のパッシブスキャン(図2のS22参照)を実行してもよい。
【0098】
(変形例12)上記の各実施例では、プリンタ10のCPU22がプログラム30(即ちソフトウェア)を実行することによって、図2図10の各処理が実現される。これに代えて、いずれかの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
以下に、本明細書で開示する技術の特徴を列挙する。
(項目1)
通信装置であって、
2個以上のチャネルを利用可能な無線インターフェースと、
前記無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、前記2個以上のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントである、前記通常待機部と、
前記通常の待機処理において、前記2個以上のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理である、前記追加待機部と、
前記通常の待機処理又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
を備える通信装置。
(項目2)
前記通信装置は、さらに、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、所定情報をメモリに記憶する記憶制御部であって、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信されなかったと判断される場合に、前記所定情報は前記メモリに記憶されない、前記記憶制御部を備え、
前記追加待機部は、前記所定情報が前記メモリに記憶されている場合に、前記追加の待機処理を実行する、項目1に記載の通信装置。
(項目3)
前記通常待機部は、前記通常の待機処理を繰り返し実行し、
前記追加待機部は、K回目(前記Kは1以上の整数)の前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記K回目の通常の待機処理が終了した後に、(K+1)回目の前記通常の待機処理に加えて前記追加の待機処理を実行する、項目1又は2に記載の通信装置。
(項目4)
前記追加待機部は、前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルが前記第1の時間に亘って利用される間に、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記特定のチャネルが前記第1の時間に亘って利用された後に、前記第1の時間に亘った利用に連続して、前記特定のチャネルを前記第2の時間に亘って利用する前記追加の待機処理を実行する、項目1に記載の通信装置。
(項目5)
前記通常待機部は、前記対象アクセスポイントと特定の無線接続が確立されている状況において、前記対象アクセスポイントから切替信号が受信される場合に、前記通常の待機処理を実行し、
前記切替信号は、前記特定の無線接続に利用されているチャネルとは異なるチャネルに切り替えることを前記通信装置に通知する信号である、項目1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目6)
前記通信装置は、さらに、
前記対象アクセスポイントから前記切替信号が受信される場合に、前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であるのか否かを判断する判断部を備え、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中であると判断される場合に、
前記通常待機部は、前記通常の待機処理を実行し、
前記追加待機部は、前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記追加の待機処理を実行し、
前記特定の無線接続を利用した通信を実行中でないと判断される場合に、
前記通常待機部は、前記通常の待機処理を実行し、
前記追加待機部は、前記追加の待機処理を実行しない、項目5に記載の通信装置。
(項目7)
前記追加待機部は、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、所定の閾値未満の個数の前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、第1の値を前記第2の時間として決定し、
前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記所定の閾値以上の個数の前記異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記第1の値より大きい第2の値を前記第2の時間として決定する、項目1から6のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目8)
前記対象アクセスポイントから受信されるビーコン信号は、前記対象アクセスポイントを特定するための特定情報を含み、
前記追加待機部は、前記通常の待機処理において、前記特定のチャネルを利用して、前記異なるアクセスポイントから前記特定情報を含まないビーコン信号が受信される場合に、前記追加の待機処理を実行する、項目1から7のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目9)
前記2個以上のチャネルは、DFS(Dynamic Frequency Selectionの略)チャネルを含む、項目1から8のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目10)
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置のコンピュータを、以下の各部、即ち、
2個以上のチャネルを利用可能な無線インターフェースを介して、通常の待機処理を実行する通常待機部であって、前記通常の待機処理は、前記2個以上のチャネルのそれぞれを第1の時間に亘って順次利用して、対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理であり、前記対象アクセスポイントは、前記通信装置が無線接続を確立すべき対象のアクセスポイントである、前記通常待機部と、
前記通常の待機処理において、前記2個以上のチャネルのうちの特定のチャネルを利用して、前記対象アクセスポイントとは異なるアクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記通常の待機処理に加えて追加の待機処理を実行する追加待機部であって、前記追加の待機処理は、前記特定のチャネルを第2の時間に亘って利用して、前記対象アクセスポイントからビーコン信号を受信することを待機する処理である、前記追加待機部と、
前記通常の待機処理又は前記追加の待機処理において、前記対象アクセスポイントからビーコン信号が受信される場合に、前記無線インターフェースを介して、前記対象アクセスポイントと無線接続を確立する確立部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0099】
2:通信システム、10:プリンタ、14:無線LANI/F、20:制御部、22:CPU、24:メモリ、30:プログラム、32:フラグテーブル、34:AP情報、100:アクセスポイント、200:アクセスポイント、500:端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10