(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車両用可動サイドステップ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 3/02 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B60R3/02
(21)【出願番号】P 2018160581
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 修平
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 幸秀
(72)【発明者】
【氏名】山口 弥
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-119611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264057(US,A1)
【文献】米国特許第09975490(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータによって駆動されるリンク機構と、
前記リンク機構に連結され、前記車体の側方に位置する使用位置と前記車体の下方に位置する不使用位置との間を移動可能に設けられた、サイドステップと、
前記サイドステップに連結され、前記サイドステップの下方に位置する格納位置と前記サイドステップの側方に位置する展開位置との間を回動可能に設けられた整流板とを備え、
前記サイドステップが前記使用位置に位置しているとき、前記整流板は前記格納位置に位置しており、
前記サイドステップが前記不使用位置に位置しているとき、前記整流板は前記展開位置に位置して
おり、
前記整流板は、前記アクチュエータの駆動による前記サイドステップの移動によって回動させられる、車両用可動サイドステップ装置。
【請求項2】
前記車体および前記整流板の各々に対して回動可能に接続され、前記車体と前記整流板とを互いに連結するアーム部をさらに備え、
前記リンク機構は、前記アーム部より上方の位置で4リンク機構を構成しており、
前記アーム部は、前記車体に支持された車体側回動軸を中心に回動可能に前記車体と連結されており、かつ、前記整流板に支持された整流板側回動軸を中心に回動可能に前記整流板と連結されており、
前記整流板は、前記サイドステップに支持されたサイドステップ側回動軸を中心に回動可能に前記サイドステップと連結されており、
前記アクチュエータの駆動によって、前記リンク機構が前記車体の幅方向の外側に向けて回動した状態において、前記車体側回動軸と前記サイドステップ側回動軸との軸心間距離は、前記車体側回動軸と前記整流板側回動軸との軸心間距離より長く、
前記アクチュエータの駆動によって、前記リンク機構が前記車体の幅方向の内側に向けて回動した状態において、前記車体側回動軸と前記サイドステップ側回動軸との軸心間距離は、前記車体側回動軸と前記整流板側回動軸との軸心間距離より短い、請求項
1に記載の車両用可動サイドステップ装置。
【請求項3】
前記整流板として、前方整流板と、該前方整流板から車体前後方向における後方に離間して配置される後方整流板とを備え、
前記整流板が前記展開位置に位置しているとき、前記前方整流板は、前輪の後方に発生する空気の渦を整流するように配置され、前記後方整流板は、後輪による空気の巻き上げによって前記後輪の前方に発生する前記空気の流れを整流するように配置される、請求項1
または請求項
2に記載の車両用可動サイドステップ装置。
【請求項4】
前記整流板は、ひれ状の形状を有しており、
前記整流板が前記展開位置に位置しているとき、前記整流板は前記車体の幅方向の外側に向かって斜め下方に傾斜している、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の車両用可動サイドステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用可動サイドステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用可動サイドステップ装置の構成を開示した先行文献として、米国特許出願公開2016/0347240号(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたランニングボードは、乗客ドアの下方に位置しており、フットパッド表面を有している。ランニングボードは、上昇した格納位置と下降した展開位置との間で変位することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0347240号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された車両用可動サイドステップ装置においては、車両の走行中、サイドステップは不使用位置に格納されているが、不使用位置に格納されたサイドステップの空力特性については考慮されていない。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、サイドステップが格納された状態おいては、走行中の車両の空力特性を向上でき、サイドステップが展開された状態においては、容易に乗り降り可能である、車両用可動サイドステップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく車両用可動サイドステップ装置は、アクチュエータと、リンク機構と、サイドステップと、整流板とを備えている。アクチュエータは、車体に設けられている。リンク機構は、アクチュエータによって駆動される。サイドステップは、リンク機構に連結され、車体の側方に位置する使用位置と車体の下方に位置する不使用位置との間を移動可能に設けられている。整流板は、サイドステップに連結され、サイドステップの下方に位置する格納位置とサイドステップの側方に位置する展開位置との間を回動可能に設けられている。サイドステップが使用位置に位置しているとき、整流板は格納位置に位置している。サイドステップが不使用位置に位置しているとき、整流板は展開位置に位置している。
【0007】
本発明の一形態においては、整流板は、アクチュエータの駆動によるサイドステップの移動によって回動させられる。
【0008】
本発明の一形態においては、車両用可動サイドステップ装置は、アーム部をさらに備えている。アーム部は、車体および整流板の各々に対して回動可能に接続され、車体と整流板とを互いに連結する。リンク機構は、アーム部より上方の位置で4リンク機構を構成している。アーム部は、車体に支持された車体側回動軸を中心に回動可能に車体と連結されており、かつ、整流板に支持された整流板側回動軸を中心に回動可能に整流板と連結されている。整流板は、サイドステップに支持されたサイドステップ側回動軸を中心に回動可能にサイドステップと連結されている。アクチュエータの駆動によって、リンク機構が車体の幅方向の外側に向けて回動した状態において、車体側回動軸とサイドステップ側回動軸との軸心間距離は、車体側回動軸と整流板側回動軸との軸心間距離より長い。アクチュエータの駆動によって、リンク機構が車体の幅方向の内側に向けて回動した状態において、車体側回動軸とサイドステップ側回動軸との軸心間距離は、車体側回動軸と整流板側回動軸との軸心間距離より短い。
【0009】
本発明の一形態においては、車両用可動サイドステップ装置は、整流板として、前方整流板と、前方整流板から車体前後方向における後方に離間して配置される後方整流板とを備えている。整流板が展開位置に位置しているとき、前方整流板は、前輪の後方に発生する空気の渦を整流するように配置され、後方整流板は、後輪による空気の巻き上げによって後輪の前方に発生する空気の流れを整流するように配置される。
【0010】
本発明の一形態においては、整流板は、ひれ状の形状を有している。整流板が展開位置に位置しているとき、整流板は車体の幅方向の外側に向かって斜め下方に傾斜している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイドステップが格納された状態おいては、走行中の車両の空力特性を向上でき、サイドステップが展開された状態においては、容易に乗り降り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置が組み付けられた車両においてサイドステップが展開した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置が組み付けられた車両においてサイドステップが格納された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の状態の車両用可動サイドステップ装置をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】
図3に示す車両用可動サイドステップ装置の各構成の位置関係を車両の前後方向から見て示す透視図である。
【
図5】
図2の状態の車両用可動サイドステップ装置をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】
図5に示す車両用可動サイドステップ装置の各構成の位置関係を車両の前後方向から見て示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
なお、図面においては、車両外方および車両内方をそれぞれ矢印X1および矢印X2で示し、車両前方および車両後方をそれぞれ矢印Y1および矢印Y2で示し、車両上方および車両下方をそれぞれ矢印Z1および矢印Z2で示している。車体に取り付けられる前の状態の車両用可動サイドステップ装置に対して、また、車体に取り付けられた後の状態の車両用可動サイドステップ装置に対して、これらの方向を適用することができる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置が組み付けられた車両においてサイドステップが展開した状態を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置が組み付けられた車両においてサイドステップが格納された状態を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100は、車両10の車体11に取り付けられるものである。具体的には、車両用可動サイドステップ装置100は、車両10の前後方向に沿って車体11の下部に取り付けられる。車両用可動サイドステップ装置100は、車両10の前後方向において、前輪14Aと後輪14Bとの間の領域に配置される。
【0017】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100は、リンク機構120と、サイドステップ140と、整流板160と、アーム部180とを備えている。
【0018】
本実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、サイドステップ140は、リンク機構120に連結されている。これにより、サイドステップ140は、車体11の側方に位置する使用位置Pa1と車体11の下方に位置する不使用位置Pa2との間を移動可能に設けられている。リンク機構120の詳細については後述する。
【0019】
図1に示す状態の車両用可動サイドステップ装置100においては、サイドステップ140が使用位置Pa1に位置している。
図2に示す状態の車両用可動サイドステップ装置100においては、サイドステップ140が不使用位置Pa2に位置している。
【0020】
サイドステップ140には、整流板160が連結されている。
図1に示すように、サイドステップ140が使用位置Pa1に位置しているとき、整流板160は、サイドステップ140の下方に位置する格納位置Pb1に位置する。
【0021】
図2に示すように、整流板160は、ひれ状の形状を有している。整流板160は、サイドステップ140が不使用位置Pa2に位置しているとき、整流板160は、サイドステップ140の側方に位置する展開位置Pb2に位置する。具体的には、整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、整流板160は車体11の幅方向の外側である車両外方X1側に向かって斜め下方に傾斜している。また、後述するように、整流板160は、サイドステップ140の下方に位置する格納位置Pb1とサイドステップ140の側方に位置する展開位置Pb2との間を回動可能に設けられている。
【0022】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100は、整流板160として、前方整流板160Aと、前方整流板160Aから車体前後方向における後方に離間して配置される後方整流板160Bとを備えている。前方整流板160Aおよび後方整流板160Bの各々は、車体11の幅方向の外側である車両外方X1側に向かって斜め下方に傾斜している。
【0023】
本実施形態においては、整流板160は、
図2に示すように展開位置Pb2に位置しているとき、車両の前輪14Aの後方に発生する空気の渦を整流するように配置されている。具体的には、整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、前方整流板160Aが、前輪14Aの後方に発生する空気の渦を整流するように配置されている。整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、後方整流板160Bは、後輪14Bによる空気の巻き上げによって後輪14Bの前方に発生する空気の流れを整流するように配置されている。
【0024】
このように、本実施形態においては、2つの整流板160が、車両の前後方向において互いに間隔をあけて配置されている。車両の前後方向において、整流板160同士の間に、2つのリンク機構120が配置されている。2つの整流板160の各々は、サイドステップ140の下面に連結されている。なお、1つのサイドステップ140に対して整流板160が1つのみ設けられていてもよい。
【0025】
本実施形態においては、2つのアーム部180が、車両の前後方向において互いに間隔をあけて配置されている。2つのアーム部180の各々は、車体11と整流板160とを互いに連結する。なお、1つのサイドステップ140に対してアーム部180が1つのみ設けられていてもよい。
【0026】
以下、車両用可動サイドステップ装置100の構成の詳細について説明する。
図3は、
図3の状態の車両用可動サイドステップ装置をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図4は、
図3に示す車両用可動サイドステップ装置の各構成の位置関係を車両の前後方向から見て示す透視図である。
図5は、
図6の状態の車両用可動サイドステップ装置をV-V線矢印方向から見た断面図である。
図6は、
図5に示す車両用可動サイドステップ装置の各構成の位置関係を車両の前後方向から見て示す透視図である。
【0027】
図4および
図6に示すように、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100は、車体11に設けられたアクチュエータ110をさらに備えている。アクチュエータ110は、車体11の下方に配置されている。アクチュエータ110は、駆動軸111を有している。駆動軸111は、車両10の前後方向に沿って延在している。
【0028】
図3~
図6に示すように、リンク機構120は、駆動軸111に連結されている。本実施形態においては、2つのリンク機構120のうちの一方のリンク機構120が駆動軸111に連結されており、他方のリンク機構120は駆動軸111には連結されていない。
【0029】
アクチュエータ110が駆動して駆動軸111が一方向に回転することにより、一方のリンク機構120が車体11の幅方向の外側に回動することにより展開する。アクチュエータ110が駆動して駆動軸111が他方向に回転することにより、一方のリンク機構120が車体11の幅方向の内側に回動することにより折り畳まれる。このように、リンク機構120は、アクチュエータ110によって駆動される。
【0030】
また、本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、2つのリンク機構120が、車両の前後方向において互いに間隔をあけて配置されている。上記のように、2つのリンク機構120は、
図3~
図6に示す第1連結軸123によって互いに接続されていることにより同期して動作する。すなわち、
図1に示すように、一方のリンク機構120が車体11の幅方向の外側に回動することにより展開するとき、同時に、他方のリンク機構120も車体11の幅方向の外側に回動することにより展開する。
図2に示すように、一方のリンク機構120が車体11の幅方向の内側に回動することにより折り畳まれるとき、同時に、他方のリンク機構120も車体11の幅方向の内側に回動することにより折り畳まれる。
【0031】
本実施形態においては、車両の前後方向において、2つのリンク機構120の外側に、アクチュエータ110が配置されている。2つのリンク機構120の各々は、サイドステップ140と連結されている。なお、1つのサイドステップ140に対してリンク機構120が1つのみ設けられていてもよい。
【0032】
図4および
図6に示すように、一方のリンク機構120において、第1リンク部121は車体11とサイドステップ140とを互いに連結し、第2リンク部122はサイドステップ140と駆動軸111とを互いに連結している。
【0033】
リンク機構120の各々は、第1リンク部121および第2リンク部122を含み、アーム部180より上方の位置で4リンク機構を構成している。すなわち、リンク機構120においては、車体11と、第1リンク部121と、第2リンク部122と、サイドステップ140とが、互いに回動可能に連結されることにより、4リンク機構を構成している。
【0034】
以下、本実施形態に係る4リンク機構の構成について詳細に説明する。
図3~
図6に示すように、車体11と第1リンク部121とは、第1連結軸123によって互いに回動可能に連結されている。第1リンク部121とサイドステップ140とは、第2連結軸124によって互いに回動可能に連結されている。サイドステップ140と第2リンク部122とは、第3連結軸125によって互いに回動可能に連結されている。第2リンク部122と車体11とは、駆動軸111によって互いに回動可能に連結されている。
【0035】
第1連結軸123、第2連結軸124および第3連結軸125の各々は、車両10の前後方向に沿って延在している。第1連結軸123は、駆動軸111に対して、車両外方X1側に位置している。第2連結軸124は、第3連結軸125に対して、車両外方X1側に位置している。第1連結軸123および駆動軸111は、第2連結軸124および第3連結軸125に対して、車両上方Z1側に位置している。第2連結軸124は、第3連結軸125に対して、車両下方Z2側に位置している。
【0036】
第1連結軸123および第2連結軸124の各々は、第1リンク部121に固定されている。駆動軸111および第3連結軸125の各々は、第2リンク部122に固定されている。これにより、アクチュエータ110の駆動軸111が回転することにより、第2リンク部122が回動する。
【0037】
車体11の下部に、リンク支持部12が設けられている。リンク支持部12は、板状の外形を有している。リンク支持部12の板面が車両前後方向に対して略垂直になるように、リンク支持部12が配置されている。
【0038】
リンク支持部12は、第1連結軸123によって第1リンク部121と回動可能に連結されている。リンク支持部12は、駆動軸111によって第2リンク部122と回動可能に連結されている。
【0039】
サイドステップ140は、ステップ支持部141とステップ部142とを有している。ステップ支持部141は、ステップ部142の車両内方X2側の端部に設けられている。
図3~
図6に示すように、ステップ支持部141は、ステップ部142の車両内方X2側の端部から車両内方X2かつ車両上方Z1に向けて延出している。
【0040】
図3および
図4に示すように、サイドステップ140が使用位置Pa1に位置しているとき、ステップ部142の上面143は、車両上方Z1を向いている。
【0041】
図3~
図6に示すように、サイドステップ140の下面144に、整流板支持部145が設けられている。整流板支持部145は、サイドステップ側回動軸P3を支持している。サイドステップ側回動軸P3は、車両10の前後方向に沿って延在している。
【0042】
整流板160は、整流板支持部145に支持されたサイドステップ側回動軸P3を中心に回動可能にサイドステップ140と連結されている。このようにして、整流板160は、サイドステップ140に連結されている。
【0043】
整流板160は、互いに反対側に位置する第1面161と第2面162とを有している。
図3および
図4に示すように、整流板160が格納位置Pb1に位置しているとき、第1面161は車両下方Z2に向いており、第2面162は車両上方Z1を向いている。
【0044】
図5および
図6に示すように、整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、第1面161は車両外方X1かつ車両上方Z1を向いており、第2面162は車両内方X2かつ車両下方Z2を向いている。
【0045】
整流板160は、第2面162側においてサイドステップ140と連結されている。整流板160は、第2面162側において、整流板側回動軸P2を支持している。整流板側回動軸P2は、車両10の前後方向に沿って延在している。
【0046】
図3~
図6に示すように、アーム支持部13は、リンク支持部12より下方の位置にて、車体側回動軸P1を支持している。車体側回動軸P1は、車両10の前後方向に沿って延在している。
図3および
図5に示すように、車体側回動軸P1の先端に、ねじ部が設けられており、このねじ部はナットと締結されている。
【0047】
図3~
図6に示すように、アーム部180は、車体11に支持された車体側回動軸P1を中心に回動可能に車体11と連結されており、かつ、整流板160に支持された整流板側回動軸P2を中心に回動可能に整流板160と連結されている。このように、アーム部180は、車体11および整流板160の各々に対して回動可能に接続され、車体11と整流板160とを互いに連結している。
【0048】
さらに、本実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、整流板160は、アクチュエータ110の駆動によるサイドステップ140の移動によって回動させられる。すなわち、サイドステップ140および整流板160の各々は、1つのアクチュエータによって駆動される。以下、サイドステップ140の使用位置Pa1から不使用位置Pa2への移動に伴って回動する整流板160の動作について、
図3~
図6を参照して説明する。
【0049】
図3および
図4に示す車両用可動サイドステップ装置100は、アクチュエータ110の駆動によって、リンク機構120が車体11の幅方向の外側に向けて回動した状態となっている。このとき、リンク機構120に連結されたサイドステップ140も車体11の幅方向の外側である車両外方X1側に向けて移動した状態となっている。サイドステップ側回動軸P3は、整流板側回動軸P2より車体11の幅方向の外側である車両外方X1側に位置している。
【0050】
したがって、
図3および
図4に示すように、リンク機構120が車体11の幅方向の外側に向けて回動した状態においては、車体側回動軸P1とサイドステップ側回動軸P3との軸心間距離Lxは、車体側回動軸P1と整流板側回動軸P2との軸心間距離Laより長い。
【0051】
図5および
図6に示す車両用可動サイドステップ装置100は、アクチュエータ110の駆動によって、リンク機構120が車体11の幅方向の内側である車両内方X2側に向けて回動した状態になっている。このとき、リンク機構120に連結されたサイドステップ140も車体11の幅方向内側である車両内方X2側に向けて移動した状態となっている。サイドステップ側回動軸P3は、整流板側回動軸P2より車体11の幅方向の内側である車両内方X2側に位置している。
【0052】
したがって、
図5および
図6に示すように、リンク機構120が車体11の幅方向の内側に向けて回動した状態においては、車体側回動軸P1とサイドステップ側回動軸P3との軸心間距離Lxは、車体側回動軸P1と整流板側回動軸P2との軸心間距離Laより短い。
【0053】
このように、軸心間距離Lxと軸心間距離Laとの大小関係は、サイドステップ140が使用位置Pa1と不使用位置Pa2との間を移動する間に変化する。整流板160は、軸心間距離Lxと軸心間距離Laとの大小関係に対応して、サイドステップ側回動軸P3を中心に回動する。その結果、
図4に示すように、Lx>Laのときは、整流板160は格納位置Pb1に位置する。
図6に示すように、Lx<Laのときは、整流板160は展開位置Pb2に位置する。
【0054】
上記のように、本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、サイドステップ140が使用位置Pa1に位置しているとき、整流板160は格納位置Pb1に位置しており、サイドステップ140が不使用位置Pa2に位置しているとき、整流板160は展開位置Pb2に位置している。
【0055】
これにより、サイドステップ140が格納された状態おいては、整流板160によって走行中の車両の空力特性を向上でき、サイドステップ140が展開された状態においては、整流板160が格納されているため容易に乗り降りすることが可能である。
【0056】
本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、整流板160は、アクチュエータ110の駆動によるサイドステップ140の移動によって回動させられる。
【0057】
これにより、サイドステップ140を作動させるアクチュエータ110とは別に、整流板160を作動させるアクチュエータを設ける必要性がなくなるため、車両用可動サイドステップ装置100の構成を簡易にすることができる。なお、整流板160は、アクチュエータ110とは異なる他のアクチュエータによって作動させられてもよい。他のアクチュエータは、たとえばサイドステップ140の下面に設けられる。
【0058】
本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、リンク機構120およびアーム部180を用いて、サイドステップ140および整流板160の各々を作動させている。
【0059】
これにより、車両用可動サイドステップ装置100の構成を簡易にすることができる。なお、サイドステップ140および整流板160の各々が、別々の駆動機構によって作動させられていてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、前方整流板160Aは、前輪14Aの後方に発生する空気の渦を整流するように配置され、後方整流板160Bは、後輪14Bによる空気の巻き上げによって後輪14Bの前方に発生する空気の流れを整流するように配置される。
【0061】
これにより、前方整流板160Aおよび後方整流板160Bの各々により走行抵抗を低減して走行中の車両の空力特性を向上できるとともに、必要な場所のみ整流板を配置することにより車両重量が増大することを抑制できる。なお、車両用可動サイドステップ装置100は、1つの整流板160のみを備えていてもよい。この場合、整流板160は、前方整流板160Aおよび後方整流板160Bのいずれか一方であってもよい。
【0062】
本発明の一実施形態に係る車両用可動サイドステップ装置100においては、整流板160は、ひれ状の形状を有しており、整流板160が展開位置Pb2に位置しているとき、整流板160は車体11の幅方向の外側に向かって斜め下方に傾斜している。
【0063】
これにより、走行中の車両の走行抵抗を増す空気の流れを効果的に遮って、走行中の車両の空力特性を向上することができる。なお、整流板160が展開位置Pb2に位置しているときの整流板160の姿勢は、上記に限定されない。整流板160が展開位置Pb2に位置しているときの整流板160の姿勢は、車体11の幅方向の内側に向かって斜め下方に傾斜していてもよいし、鉛直方向に沿って位置していてもよい。
【0064】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10 車両、11 車体、12 リンク支持部、13 アーム支持部、14A 前輪、14B 後輪、100 車両用可動サイドステップ装置、110 アクチュエータ、111 駆動軸、120 リンク機構、121 第1リンク部、122 第2リンク部、123 第1連結軸、124 第2連結軸、125 第3連結軸、140 サイドステップ、141 ステップ支持部、142 ステップ部、143 上面、144 下面、145 整流板支持部、160 整流板、160A 前方整流板、160B 後方整流板、161 第1面、162 第2面、180 アーム部。