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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式給湯空調装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20221129BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20221129BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20221129BHJP
   F24F 11/84 20180101ALI20221129BHJP
   F24F 11/42 20180101ALI20221129BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20221129BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F25B1/00 304Z
F25B1/00 101Z
F25B39/04 B
F25B39/04 G
F24H4/02 A
F24F11/84
F24F11/42
F25B30/02 F
F25B6/02 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018170439
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020041770
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】深谷 昌春
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047375(JP,A)
【文献】特開2003-042582(JP,A)
【文献】特開2007-155296(JP,A)
【文献】実開昭55-057664(JP,U)
【文献】実開昭52-018454(JP,U)
【文献】特開2011-257135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 39/04
F24H 4/02
F24F 11/84
F24F 11/42
F25B 30/02
F25B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を吐出する圧縮機と、給湯用熱交換器と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、減圧手段とを含む冷媒回路を有し、
前記冷媒回路は、
前記圧縮機と、前記給湯用熱交換器と、前記室外熱交換器または前記室内熱交換器との間で冷媒を循環させる給湯用冷媒回路と、
前記圧縮機と、前記室外熱交換器と、前記室内熱交換器との間で冷媒を循環させる空調用冷媒回路と、を有し、
前記減圧手段は、前記空調用冷媒回路に設けられ、前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を減圧する
ヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記空調用冷媒回路は、前記圧縮機と前記室内熱交換器との間を接続するメイン流路と、前記室外熱交換器の一部の流路を介して前記圧縮機と前記室内熱交換器との間を接続するバイパス流路とを有し、前記メイン流路と前記バイパス流路とは選択的に切り替えられ、
前記減圧手段は、前記メイン流路に配置された第1の制御弁と、前記バイパス流路に配置された第2の制御弁とを含む
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記第1の制御弁および前記第2の制御弁は、開度が調整できる制御弁である
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記減圧手段は、冷媒を冷却する放熱部をさらに備える
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【請求項4】
請求項1に記載のヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記冷媒回路は、前記空調用冷媒回路を暖房用冷媒回路と冷房用冷媒回路のいずれか一方に切り替える第1の切替弁を有し、
前記第1の制御弁は、前記第1の切替弁と前記室内熱交換器との間に配置され
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【請求項5】
請求項4に記載のヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記冷媒回路は、前記暖房用冷媒回路を前記メイン流路と前記バイパス流路のいずれか一方に切り替える第2の切替弁をさらに有する
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【請求項6】
請求項3に記載のヒートポンプ式給湯空調装置であって、
前記放熱部は、前記室外熱交換器の底部の近傍に設けられ前記バイパス流路と接続される流路部を有する
ヒートポンプ式給湯空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯および空調の同時運転が可能なヒートポンプ式給湯空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプによって給湯と空調とを同時に行う技術が知られている。例えば特許文献1,2には、給湯と空調とを1つの冷媒回路で行う技術が開示されている。また、特許文献3,4には、空調用と給湯用の冷媒回路をそれぞれ設けて空調用と給湯用の2つの凝縮温度を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-218944号公報
【文献】特開2012-225619号公報
【文献】特開平4-263758号公報
【文献】特開2004-340533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の技術では、給湯と暖房の同時運転において、給湯用熱交換器(水-冷媒熱交換器)と暖房用熱交換器(室内熱交換器)の凝縮圧力が同じになるため、1つの凝縮温度しか生成できない。このため、凝縮圧力を給湯に合わせると、暖房に対して凝縮温度が高くなってしまう。その結果、室内機では負荷に関係なく吹き出し空気の温度が高い運転となる。逆に、凝縮圧力を暖房に合わせると、給湯に対して凝縮温度が低くなってしまう。その結果、給湯に十分な温度の温水が得られなくなるという課題がある。
【0005】
一方、例えば特許文献3,4の技術では、空調用および給湯用に2つの冷媒回路を設けているため、室外機の大型化やコストの上昇が避けられない。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、1つの冷媒回路で暖房運転に適切な温度の吹き出し空気と給湯に十分な温度の温水を得ることができるヒートポンプ式給湯空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るヒートポンプ式給湯空調装置は、冷媒を吐出する圧縮機と、給湯用熱交換器と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、減圧手段とを含む冷媒回路を有する。
前記冷媒回路は、給湯用冷媒回路と、空調用冷媒回路とを有する。前記給湯用冷媒回路は、前記圧縮機と、前記給湯用熱交換器と、前記室外熱交換器または前記室内熱交換器との間で冷媒を循環させる。前記空調用冷媒回路は、前記圧縮機と、前記室外熱交換器と、前記室内熱交換器との間で冷媒を循環させる。
前記減圧手段は、前記空調用冷媒回路に設けられ、前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を減圧する。
【0008】
前記減圧手段は、開度が調整できる制御弁であってもよい。
【0009】
前記減圧手段は、前記制御弁に加えて、冷媒を冷却する放熱部を備えてもよい。
【0010】
前記冷媒回路は、前記空調用冷媒回路を暖房用冷媒回路と冷房用冷媒回路のいずれか一方に切り替える第1の切替弁を有してもよい。前記減圧手段は、前記第1の切替弁と前記室内熱交換器との間に配置された開度が調整できる第1の制御弁を含んでもよい。
【0011】
前記暖房用冷媒回路は、前記第1の切替弁と前記室内熱交換器との間を接続し前記第1の制御弁が配置されたメイン流路と、前記室外熱交換器の一部の流路を介して前記第1の切替弁と前記室内熱交換器との間を接続するバイパス流路とを有してもよい。前記減圧手段は、前記バイパス流路に配置された開度が調整できる第2の制御弁をさらに含んでもよい。
【0012】
前記冷媒回路は、前記暖房用冷媒回路を前記メイン流路と前記バイパス流路のいずれか一方に切り替える第2の切替弁をさらに有してもよい。
【0013】
前記放熱部は、前記室外熱交換器の底部の近傍に設けられ前記バイパス流路と接続される流路部を有してもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、1つの冷媒回路で暖房運転に適切な温度の吹き出し空気と給湯に十分な温度の温水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るヒートポンプ式給湯空調装置を示す系統図である。
図2】給湯装置の一構成例を示す系統図である。
図3】暖房と給湯モードにおける冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
図4】冷房と給湯モードにおける冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るヒートポンプ式給湯空調装置を示す系統図である。
図6】バイパス流路の一例を説明する室外熱交換器の模式図である。
図7】バイパス流路の他の一例を説明する室外熱交換器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るヒートポンプ式給湯空調装置100を示す系統図である。
【0018】
[ヒートポンプ式給湯空調装置の構成]
本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置100は、図1に示す冷媒回路110と図2に示す給湯装置500を備える。冷媒回路110は、室外機E1と、室内機E2とを有し、給湯と空調とを制御する。冷媒回路110は、室外機E1に備えられた圧縮機11、給湯用熱交換器12および室外熱交換器13と、室内機E2に備えられた室内熱交換器14と、これらを接続する配管とを備える。ヒートポンプ式給湯空調装置100はさらに、ヒートポンプ式給湯空調装置100の運転を制御する制御部60を備える。
【0019】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒を吐出する。冷媒の種類は特に限定されず、典型的には、不燃性、低毒性のHFC(ハイドロフルオロカーボン)系の冷媒が用いられ、例えば、R410Aが採用される。また、二酸化炭素などの自然冷媒であってもよい。圧縮機11の種類も特に限定されず、例えば、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動される運転容量可変の圧縮機が採用される。
【0020】
給湯用熱交換器12は、圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒と図2に示す給湯装置500を循環する水(水道水などの市水)を熱交換させる熱交換器である。給湯用熱交換器12は、冷媒回路110と給湯装置500で共用される。
【0021】
図2は、給湯装置500の一構成例を示す系統図である。給湯装置500は、貯湯タンク501と、貯湯タンク501へ市水を導入する水道管502と、貯湯タンク501と給湯用熱交換器12の間で水を循環させるポンプPを含む水循環回路503と、貯湯タンク501内の温水を外部へ供給する給湯管504とを有する。給湯管504には、貯湯タンク501から導出した温水を水道管502内の水と混合するための混合弁Vが設けられる。
【0022】
給湯用熱交換器12は水と冷媒の間の熱交換ができる、例えばプレート型熱交換器、二重管式熱交換器や多管式熱交換器などの種々の型式の熱交換器が採用できる。また、室外熱交換器13および室内熱交換器14は、その種類は特に限定されず、例えば空気と冷媒の間の熱交換ができるパラレルフロー型熱交換器、フィンチューブ型熱交換器、プレートフィン型熱交換器などの種々の型式の熱交換器が採用できる。室外機E1および室内機E2にはそれぞれ図示せずとも、室外熱交換器13および室内熱交換器14の近傍にそれぞれ送風用のファンが配置される。
【0023】
図1を参照して、冷媒回路110は、給湯用冷媒回路151と、空調用冷媒回路152と、第1の切替弁としての四方弁21とを有する。
【0024】
給湯用冷媒回路151は、2つの冷媒回路を有する。一方の冷媒回路は、圧縮機11、配管91、給湯用熱交換器12、配管92、室外熱交換器13、配管93、四方弁21および配管94の順で冷媒を循環させる。他方の冷媒回路は、圧縮機11、配管91、給湯用熱交換器12、配管92、配管98、接続配管95、室内熱交換器14、接続配管96、配管97、四方弁21および配管94の順で冷媒を循環させる。
【0025】
配管91には、圧縮機11から吐出されるガス冷媒の流路を2つに分岐させる分岐点153を有し、一方の流路は給湯用熱交換器12に接続され、他方の流路は四方弁21の第1ポートA1に接続される。接続配管95,96は、室外機E1と室内機E2とを相互に接続する配管であり、室外機E1および室内機E2に操作弁41,42を介してそれぞれ接続される。配管98は接続配管95が接続された操作弁41と配管92を接続する。配管98と配管92は、配管92が有する接続点154で接続される。接続点154は、配管92上の後述する第1の膨張弁31と第2の膨張弁32の間に設けられている。
【0026】
四方弁21は、配管91が接続される第1ポートA1と、配管97が接続される第2ポートB1と、配管93が接続される第3ポートC1と、配管94が接続される第4ポートD1とを有する。四方弁21は、第1ポートA1と第2ポートB1とを相互に連通させ、かつ第3ポートC1と第4ポートD1とを相互に連通させる第1の状態と、第1ポートA1と第3ポートC1とを相互に連通させ、かつ第2ポートB1と第4ポートD1とを相互に連通させる第2の状態とを有する。四方弁21は、制御部60からの指令に基づき、第1の状態と第2の状態とが選択的に切り替えられる。
【0027】
四方弁21は、空調用冷媒回路152を暖房用冷媒回路と冷房用冷媒回路のいずれか一方に切り替えることができる。空調用冷媒回路152は、四方弁21が第1の状態をとることで、暖房用冷媒回路として機能し、四方弁21が第2の状態をとることで、冷房用冷媒回路として機能する。
【0028】
暖房用冷媒回路は、圧縮機11、配管91、第1の状態にある四方弁21、配管97、接続配管96、室内熱交換器14、接続配管95、配管92、室外熱交換器13、配管93、第1の状態にある四方弁21および配管94の順で冷媒を循環させる。冷房用冷媒回路は、圧縮機11、配管91、第2の状態にある四方弁21、配管93、室外熱交換器13、配管92、接続配管95、室内熱交換器14、接続配管96、配管97、第2の状態にある四方弁21および配管94の順で冷媒を循環させる。
【0029】
冷媒回路110は、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および開閉弁33を有する。
【0030】
第1の膨張弁31および第2の膨張弁32は配管92に設けられ、第1の膨張弁31は、給湯用熱交換器12と第2の膨張弁32との間に配置される。第1の膨張弁31は、給湯運転において給湯用熱交換器12から流出する冷媒を減圧する機能を有する。第2の膨張弁32は、冷房運転において室外熱交換器13から流出する冷媒を減圧する機能を有する。第1の膨張弁31および第2の膨張弁32は、制御部60からの指令に基づいて、全閉を含む任意の開度に調整できる電子膨張弁である。
【0031】
開閉弁33は、配管98に設けられ、後述するように運転モードに応じて制御部60からの指令に基づき、配管92と接続配管95とを接続する流路を遮断する。なお、後述するように開閉弁33は必ずしも必要ではない。
【0032】
そして、本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置100は、圧縮機11と室内熱交換器14の間を流れる冷媒を減圧する減圧手段としての制御弁71(第1の制御弁)を備える。制御弁71は、配管97に設けられ、圧縮機11から吐出された冷媒を減圧する。制御弁71は、制御部60からの指令に基づいて、全閉を含む任意の開度に調整することができる電子膨張弁である。
【0033】
制御部60は、CPU、メモリ等を含むマイクロコンピュータであり、メモリに格納された制御プログラムに従って、ヒートポンプ式給湯空調装置100の動作を制御する。制御部60は、圧縮機11の駆動、四方弁21の切り替え、そして、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、開閉弁33の開閉および制御弁71の開度を制御する。
【0034】
[ヒートポンプ式給湯空調装置の動作]
続いて、ヒートポンプ式給湯空調装置100の動作を説明する。本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置100は、表1に示す6つの運転モードを実行することができる。
【0035】
【表1】
【0036】
(1-1:暖房と給湯モード)
「暖房と給湯モード」は暖房と給湯を同時に行う運転モードである。この運転モードでは、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に切り替えられるとともに、開閉弁33が開とされ、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および制御弁71がそれぞれ、所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13は、給湯用冷媒回路151および空調用冷媒回路152における蒸発器として動作し、室内熱交換器14は空調用冷媒回路152における凝縮器として動作する。
【0037】
圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、配管91の分岐点153で分岐し、給湯用冷媒回路151と空調用冷媒回路152(暖房用冷媒回路)を循環する。
【0038】
図3は、「暖房と給湯モード」における冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。図中、横軸は比エンタルピー、縦軸は圧力、二点鎖線は飽和液線および飽和蒸気線である。図中、P1は圧縮機11から吐出された冷媒の状態、P2は給湯用熱交換器12から流出した冷媒の状態、P3は制御弁71から流出した冷媒の状態、P3'は室内熱交換器14に流入する冷媒の状態、P4は室内熱交換器14から流出した冷媒の状態、P5は室外熱交換器13に流入する冷媒の状態、そして、P6は圧縮機11に吸入される冷媒の状態をそれぞれ示している。
【0039】
配管91の分岐点153で分岐され給湯用冷媒回路151に流入した高温・高圧のガス冷媒は、給湯用熱交換器12へ流入し、貯湯タンク501からポンプPによって送出された水と熱交換して凝縮する。貯湯タンク501内の水は、給湯用熱交換器12において冷媒と熱交換を繰り返して加温され、所定温度の温水となる(図2参照)。給湯用熱交換器12から流出した高温・高圧の液冷媒は、第1の膨張弁31および第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入し、外気との熱交換により蒸発する。室外熱交換器13から流出した低温・低圧のガス冷媒は、第1の状態(C1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0040】
一方、配管91の分岐点153で分岐され空調用冷媒回路152に流入した高温・高圧のガス冷媒は、第1の状態(A1-B1連通)にある四方弁21および制御弁71を経て室内熱交換器14へ流入し、室内空気と熱交換して凝縮する。これにより、室内機E2が設置された部屋の暖房が行われる。室内熱交換器14から流出した冷媒は、開閉弁33を経て給湯用熱交換器12から流出した冷媒と合流する。その後、上述と同様に、第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入して外気との熱交換により蒸発し、四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0041】
以上のような「給湯と暖房モード」では、圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒を制御弁71で減圧し、室内熱交換器14に流入させることで暖房用の凝縮圧力が得られる。一方で、給湯用熱交換器12には圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒がそのまま流入するため、暖房用の凝縮圧力より高い給湯用の凝縮圧力が得られる。このように冷媒が給湯用熱交換器12および室内熱交換器14に並列に流れ、それぞれの用途に適した異なる2つの凝縮圧力が得られる。つまり、それぞれの用途に適した異なる2つの凝縮温度が得られる。これにより、1つの冷媒回路で暖房運転に適切な温度の吹き出し空気と給湯に十分な温度の温水を同時に得ることが可能となる。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、空調用および給湯用の異なる2つの温度を1つの冷媒回路で同時に得ることできるため、給湯用および空調用の2つの冷媒回路を必要とすることなく、給湯用途および空調用途にそれぞれ適した最適な冷媒凝縮温度を実現することができる。また、給湯と暖房を実現する上で、室外機の大型化やコストの増加を抑えることができる。
【0043】
なお、制御弁71は、「暖房と給湯モード」において圧縮機11から室内熱交換器14へ流入する冷媒の圧力を減圧することで、給湯用熱交換器12における冷媒凝縮温度よりも室内熱交換器14における冷媒凝縮温度を低くするために設けられる。したがって制御弁71は、四方弁21と室内熱交換器14との間の冷媒流路であれば任意の位置に配置されてよい。
【0044】
(1-2:冷房と給湯モード(第1モード))
「冷房と給湯モード」は冷房と給湯を同時に行う運転モードである。この運転モードでは、四方弁21は第2の状態(A1―C1連通、B1-D1連通)に切り替えられるとともに、開閉弁33は開、制御弁71は全開とされる。当該運転モードでは、第1の膨張弁31および第2の膨張弁32がそれぞれ所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される第1モードと、第1の膨張弁31が上記所定の開度に制御され、第2の膨張弁32が全閉とされる第2モードとを有する。第2モードについては後述する。
【0045】
第1モードでは、給湯用熱交換器12および室外熱交換器13が凝縮器として動作し、室内熱交換器14が蒸発器として動作する。
【0046】
圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、配管91の分岐点153で分岐し、給湯用冷媒回路151と空調用冷媒回路152(冷房用冷媒回路)を循環する。図4は、当該運転モードにおける冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。図中、横軸は比エンタルピー、縦軸は圧力、二点鎖線は飽和液線および飽和蒸気線である。図中、P1は圧縮機11から吐出された冷媒の状態、P2は給湯用熱交換器12から流出した冷媒の状態、P5は室外熱交換器13から流出した冷媒の状態、P4は室内熱交換器14に流入する冷媒の状態、P3'は室内熱交換器14から流出した冷媒の状態、そして、P6は圧縮機11に吸入される冷媒の状態をそれぞれ示している。
【0047】
配管91の分岐点153で分岐され給湯用冷媒回路151に流入した高温・高圧のガス冷媒は、給湯用熱交換器12へ流入し、貯湯タンク501からポンプPによって送出された水と熱交換して凝縮し、温水を生成する。給湯用熱交換器12から流出した冷媒は、第1の膨張弁31で減圧される。一方、配管91の分岐点153で分岐され空調用冷媒回路152に流入し、第2の状態(A1-C1連通)にある四方弁21を経て室外熱交換器13へ流入した高温・高圧のガス冷媒は、外気と熱交換して凝縮する。室外熱交換器13から流出した冷媒は第2の膨張弁32で減圧され、配管92と接続配管95との接続点154で、第1の膨張弁31から流出した給湯用冷媒回路の冷媒と合流し、開状態にある開閉弁33を経て室内熱交換器14へ流入する。室内熱交換器14に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発し、室内機E2が設置された部屋の冷房を行う。室内熱交換器14から流出した低温・低圧のガス冷媒は、全開状態にある制御弁71および第2の状態(C1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0048】
(1-3:冷房と給湯モード(第2モード))
「冷房の給湯モード」の第2モードでは、給湯用熱交換器12のみが凝縮器として動作し、室内熱交換器14が蒸発器として動作する。
【0049】
圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、配管91の分岐点153で分岐し、給湯用冷媒回路151と空調用冷媒回路152(冷房用冷媒回路)を循環する。図4は、当該運転モードにおける冷媒の状態変化を示すモリエル線図である。
【0050】
配管91の分岐点153で分岐され給湯用冷媒回路151に流入した高温・高圧のガス冷媒は、給湯用熱交換器12へ流入し、貯湯タンク501からポンプPによって送出された水と熱交換して凝縮し、温水を生成する。給湯用熱交換器12から流出した冷媒は、第1の膨張弁31で減圧され、開状態にある開閉弁33を経て室内熱交換器14へ流入する。室内熱交換器14に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発し、室内機E2が設置された部屋の冷房を行う。室内熱交換器14から流出した低温・低圧のガス冷媒は、全開状態にある制御弁71および第2の状態(C1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0051】
当該第2モードでは、第2の膨張弁32が全閉状態あるため、室外熱交換器13は凝縮器として動作せず、給湯用熱交換器12のみが、給湯用冷媒回路151および空調用冷媒回路において共通の凝縮器として機能する。
【0052】
以上のようにして、本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置100によれば、冷房と給湯の同時運転が可能となる。第1モードおよび第2モードはいずれが採用されてもよく、例えば、冷房能力を大きくしたいときは第1モードが選択される。第2モードが選択される場合では、冷房運転時に室外熱交換器13のみを凝縮器として用いると排熱されるだけであった熱を、給湯用熱交換器12で温水を生成するために利用するので排熱回収ができる。なお、第1モードおよび第2モードの双方を選択できるように構成する例に限られず、いずれか一方のみが固定的に採用されてもよい。
【0053】
(1-4:給湯モード)
「給湯モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に切り替えられるとともに、第2の膨張弁32が全開、開閉弁33が閉、制御弁71が全閉とされ、さらに、第1の膨張弁31が所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13は給湯用冷媒回路151における蒸発器として動作する。また、開閉弁33が閉、制御弁71が全閉とされるため、室内熱交換器14には冷媒が流れず、空調用冷媒回路152は遮断される。なお、制御弁71が全閉とされるため、通常、開閉弁33はなくてよい。室内熱交換器14側への冷媒の滞留が給湯モードの運転に影響を与える場合のみ、開閉弁33を設けるとよい。
【0054】
圧縮機11から給湯用熱交換器12へ流入した高温・高圧のガス冷媒は、貯湯タンク501からポンプPによって送出された水と熱交換して凝縮し、温水を生成する。給湯用熱交換器12から流出した冷媒は、第1の膨張弁31で減圧されて室外熱交換器13へ流入し、外気との熱交換により蒸発する。室外熱交換器13から流出した低温・低圧のガス冷媒は、第1の状態(C1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0055】
(1-5:冷房モード)
「冷房モード」では、四方弁21は第2の状態(A1-C1連通、B1-D1連通)に切り替えられるとともに、開閉弁33が閉、制御弁71が全開、第1の膨張弁31が全閉とされ、さらに、第2の膨張弁32が所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13は空調用冷媒回路152における凝縮器として、室内熱交換器14は空調用冷媒回路152における蒸発器としてそれぞれ動作する。また、第1の膨張弁31が全閉とされるため、給湯用冷媒回路151は遮断される。
【0056】
圧縮機11から第2の状態(A1-C1連通)にある四方弁21を経て室外熱交換器13へ流入した高温・高圧のガス冷媒は、外気と熱交換して凝縮する。室外熱交換器13から流出した冷媒は第2の膨張弁32で減圧され、開状態にある開閉弁33を経て室内熱交換器14へ流入する。室内熱交換器14に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発し、室内機E2が設置された部屋の冷房を行う。室内熱交換器14から流出した低温・低圧のガス冷媒は、全開状態にある制御弁71および第2の状態(B1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0057】
(1-6:暖房モード)
「暖房モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に切り替えられるとともに、開閉弁33が開、制御弁71が全開、第1の膨張弁31が全閉とされ、第2の膨張弁32が所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13は空調用冷媒回路152における蒸発器として、室内熱交換器14は空調用冷媒回路152における凝縮器としてそれぞれ動作する。また、第1の膨張弁31が全閉とされるため、給湯用冷媒回路151は遮断される。
【0058】
圧縮機11から第1の状態(A1-B1連通)にある四方弁21および全開状態にある制御弁71を経て室内熱交換器14へ流入した高温・高圧のガス冷媒は、室内空気と熱交換して凝縮し、室内機E2が設置された部屋の暖房を行う。室内熱交換器14から流出した冷媒は、第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入して外気との熱交換により蒸発し、第1の状態(C1-D1連通)にある四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0059】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係るヒートポンプ式給湯空調装置200を示す系統図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0060】
本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置200は、四方弁21と室内熱交換器14との間に配管97とは並列的に接続されたバイパス配管98を有するバイパス回路16を備える点と、それにともない第1の実施形態で説明した冷媒回路110のかわりに冷媒回路120を備える点で、第1の実施形態と相違する。その他の構成については上述の第1の実施形態と共通であるため、その説明は省略する。
【0061】
バイパス回路16は、空調用冷媒回路152(特に、暖房用冷媒回路)に設けられ、四方弁21(第1の切替弁)と室内熱交換器14との間を接続するメイン流路(配管97)と、室外熱交換器13の一部の流路を介して四方弁21と室内熱交換器14との間を接続するバイパス流路(配管98)とを有し、メイン流路とバイパス流路とを選択的に切り替えることができる。
【0062】
より具体的に、バイパス回路16は、圧縮機11から吐出された冷媒ガスをメイン流路またはバイパス流路に流す第2の切替弁としての三方弁22を有する。三方弁22は、四方弁21の第2ポートB1と接続される第1ポートA2と、配管97に接続される第2ポートB2と、配管98に接続される第3ポートC2とを有する。そして、三方弁22は、制御部60からの指令に基づき、第1ポートA2と第2ポートB2との間を連通させる第1の状態(A2-B2連通)と、第1ポートA2と第3ポートC2との間を連通させる第2の状態(A2-C2連通)とを選択的に切り替える。
【0063】
本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置200は、第1の実施形態と同様に、圧縮機11と室内熱交換器14との間に冷媒を減圧する減圧手段を備える。当該減圧手段として、本実施形態においては、三方弁22と室内熱交換器14との間の配管97上に第1の制御弁71が配置されるとともに、三方弁22と室外熱交換器13との間の配管98上に第2の制御弁72が配置される。配管98は、第1の制御弁71をバイパスするように配管97に接続される。
【0064】
第1の制御弁71は、第1の実施形態で説明した制御弁71に相当する。第1の制御弁71および第2の制御弁72は、制御部60からの指令に基づいて、全閉を含む任意の開度に調整することができる電子膨張弁である。なお、減圧手段として、冷媒の減圧機構(絞り機構など)を備える三方弁が採用されてもよく、この場合は各制御弁71,72の設置を不要とすることができる。
【0065】
バイパス流路(配管98)は室外熱交換器13の近傍に配置される放熱部17に接続される。この放熱部17は、例えば、図6に示すように熱交換器本体131を支持するベース部132の熱交換器本体131(室外熱交換器13)の近傍に当該バイパス流路が接続される流路部133として設けられてもよいし、図7に示すように熱交換器本体131の下部に当該バイパス流路と接続される流路部134として設けられてもよい。流路部133,134にはバイパス流路(配管98)を流れる高温の冷媒が流入し、この高温の冷媒が放熱することでベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)の下部着氷を除去あるいは防止することができる。例えば、図6に示すように流路部133がベース部132の熱交換器本体131(室外熱交換器13)の近傍に設けられる場合は、ベース部132上の氷を溶かすことができ、図7に示すように熱交換器本体131(室外熱交換器13)の下部に流路部134が設けられる場合は、ベース部132上および熱交換器本体131(室外熱交換器13)への着氷を未然に防ぐことができる。特に熱交換器本体131(室外熱交換器13)への着氷や着霜は、その下部に発生することが多いため、図7に示すように熱交換器本体131(室外熱交換器13)の下部に流路部134を設けることが有効である。
【0066】
続いて、ヒートポンプ式給湯空調装置200の動作について説明する。本実施形態のヒートポンプ式給湯空調装置200は、表2に示す8つの運転モードを実行することができる。
【0067】
【表2】
【0068】
(2-1:暖房と給湯モード(メイン流路使用))
バイパス回路16のメイン流路を使用する「暖房と給湯モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に、三方弁22も第1の状態(A2-B2連通)にそれぞれ切り替えられる。また、開閉弁33は開とされ、第2の制御弁72は全閉とされ、さらに、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および第1の制御弁71はそれぞれ、所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-1:暖房と給湯モード)と同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
(2-2:暖房と給湯モード(バイパス流路使用))
バイパス回路16のバイパス流路を使用する「暖房と給湯モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に、三方弁22は第2の状態(A2-C2連通)にそれぞれ切り替えられる。また、開閉弁33は開とされ、第1の制御弁71は全閉とされ、さらに、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32および第2の制御弁72はそれぞれ、所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13は、給湯用冷媒回路151および空調用冷媒回路152における蒸発器として動作し、室内熱交換器14は空調用冷媒回路152における凝縮器として動作する。
【0070】
圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、配管91の分岐点153で分岐し、給湯用冷媒回路151と空調用冷媒回路152(暖房用冷媒回路)を循環する。当該運転モードにおける冷媒の状態変化は、図3を示したモリエル線図に対応する。
【0071】
給湯用熱交換器12へ流入した高温・高圧のガス冷媒は、貯湯タンク501からポンプPによって送出された水と熱交換して凝縮し、温水を生成する。給湯用熱交換器12から流出した冷媒は、第1の膨張弁31および第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入し、外気との熱交換により蒸発する。室外熱交換器13から流出した低温・低圧のガス冷媒は、第1の状態にある四方弁21(C1-D1連通)を経て圧縮機11へ戻る。
【0072】
一方、第1の状態(A1-B1連通)にある四方弁21および第2の状態(A2-C2連通)にある三方弁22を経てバイパス流路に流入した高温・高圧のガス冷媒は、第2の制御弁72で減圧されるとともに、流路部133によりベース部132を加熱する、または流路部134により熱交換器本体131(室外熱交換器13)の下部を加熱する(図6図7参照)。ベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)が着氷するような環境下では、この冷媒による加熱によって、ベース部132または熱交換器131(室外熱交換器13)の着氷や着霜を抑制することができる。また、既にベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)が着氷や着霜している場合には、氷や霜を融解させることができる。
【0073】
放熱部17(流路部133または流路部134)から流出した冷媒は、室内熱交換器14へ流入し、室内空気と熱交換して凝縮する。これにより、室内機E2が設置された部屋の暖房が行われる。室内熱交換器14から流出した冷媒は、開閉弁33を経て給湯用熱交換器12から流出した冷媒と合流する。その後、上述と同様に、第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入して外気との熱交換により蒸発し、四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0074】
暖房と給湯を同時に運転する運転モードでは、圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒を第2の制御弁71で減圧および放熱部17である流路部133または流路部134で放熱させることで、室内熱交換器14における暖房用の凝縮圧力が得られる。一方で、給湯用熱交換器12には圧縮機11から吐出された高温・高圧のガス冷媒がそのまま流入するため、給湯用熱交換器12における給湯用の凝縮圧力が得られる。このように冷媒が給湯用熱交換器12および室内熱交換器14に並列に流れ、それぞれの用途に適した2つの凝縮温度が得られる。これにより、1つの冷媒回路で暖房運転に適切な温度の吹き出し空気と給湯に十分な温度の温水を同時に得ることが可能となり、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
(2-3:冷房と給湯モード(第1モード))
「冷房と給湯モード」では、四方弁21は第2の状態(A1―C1連通、B1-D1連通)に、三方弁22は第1の状態(A2-B2連通)に切り替えられる。また、開閉弁33は開、第1の制御弁71は全開とされ、第2の制御弁72は全閉とされる。当該運転モードでは、第1の膨張弁31および第2の膨張弁32がそれぞれ所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される第1モードと、第1の膨張弁31が上記任意の開度に制御され、第2の膨張弁32が全閉とされる第2モードとを有する。第2モードについては後述する。
【0076】
第1モードでは、給湯用熱交換器12および室外熱交換器13が凝縮器として動作し、室内熱交換器14が蒸発器として動作する。第1モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-2:冷房と給湯モード(第1モード))と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
(2-4:冷房と給湯モード(第2モード))
「冷房の給湯モード」の第2モードでは、給湯用熱交換器12のみが凝縮器として動作し、室内熱交換器14が蒸発器として動作する。第2モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-3:冷房と給湯モード(第2モード))と同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
(2-5:給湯モード)
「給湯モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に切り替えられるとともに、第2の膨張弁32が全開に、開閉弁33が開、第1の制御弁71および第2の制御弁72がそれぞれ全閉とされ、さらに、第1の膨張弁31が所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。なお、第1の制御弁71および第2の制御弁72のいずれもが全閉とされるため、三方弁22は第1の状態(A2-B2連通)および第2の状態(A2-C2連通)のいずれであってもよい。当該運転モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-3:給湯モード)と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
(2-6:冷房モード)
「冷房モード」では、四方弁21は第2の状態(A1-C1連通、B1-D1連通)に、三方弁22は第1の状態(A2-B2連通)にそれぞれ切り替えられる。また、開閉弁33は開、第1の制御弁71は全開に、第1の膨張弁31および第2の制御弁72はそれぞれ全閉とされ、さらに、第2の膨張弁32は所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-4:冷房モード)と同様であるため、その説明を省略する。
【0080】
(2-7:暖房モード(メイン流路使用))
バイパス回路16のメイン流路を使用する「暖房モード」では、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に、三方弁22も第1の状態(A2-B2連通)にそれぞれ切り替えられる。また、開閉弁33は開、第1の制御弁71は全開とされ、第1の膨張弁31および第2の制御弁72はそれぞれ全閉とされ、第2の膨張弁32は所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードにおける冷媒の循環経路およびその作用効果は、第1の実施形態において説明した運転モード(1-5:暖房モード)と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
(2-8:暖房モード(バイパス流路使用))
バイパス回路16のバイパス流路を使用する暖房モードでは、四方弁21は第1の状態(A1-B1連通、C1-D1連通)に、三方弁22は第2の状態(A2-C2連通)にそれぞれ切り替えられる。また、開閉弁33は開、第2の制御弁72は全開とされ、第1の膨張弁31および第1の制御弁71はそれぞれ全閉とされ、第2の膨張弁32は所定の圧力に冷媒を減圧する任意の開度に制御される。当該運転モードでは、室外熱交換器13および室内熱交換器14は空調用冷媒回路152における蒸発器および凝縮器としてそれぞれ動作する。また、第1の膨張弁31が全閉とされるため、給湯用冷媒回路151は遮断される。
【0082】
圧縮機11から第1の状態(A1-B1連通)にある四方弁21および第2の状態(A2-C2連通)にある三方弁22を経てバイパス流路に流入した高温・高圧のガス冷媒は、流路部133によりベース部132を加熱する、または流路部134により熱交換器本体(室外熱交換器13)の下部を加熱する(図6図7参照)。ベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)が着氷するような環境下では、この冷媒による加熱によって、ベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)の着氷を抑制することができる。また、既にベース部132または熱交換器本体131(室外熱交換器13)が着氷や着霜している場合には、氷や霜を融解させることができる。
【0083】
流路部133または流路部134から流出した冷媒は、室内熱交換器14へ流入し、室内空気と熱交換して凝縮する。これにより、室内機E2が設置された部屋の暖房が行われる。室内熱交換器14から流出した冷媒は、開閉弁33を経て第2の膨張弁32で減圧されて室外熱交換器13へ流入して外気との熱交換により蒸発し、四方弁21を経て圧縮機11へ戻る。
【0084】
当該運転モードは、上述のように室外熱交換器13のベース部132の着氷防止を図ることができるが、通常はメイン流路を使用した暖房運転を実行し、定期的に三方弁22を切り替えることで、ベース部132に着氷した氷の融解を行うような制御が実行されてもよい。あるいは、外気温度を検出する温度センサを室外機に設置し、その検出温度に応じてバイパス流路を使用した暖房運転に切り替えられてもよい。
【0085】
<第2の実施形態の変形例>
第2の実施形態の変形例として、(2-2:暖房と給湯モード(バイパス流路使用))、(2-8:暖房モード(バイパス流路使用))において、バイパス流路に加えてメイン流路にも冷媒を流すことも考えられる。
【0086】
(2-2:暖房と給湯モード(バイパス流路使用))においてバイパス流路とメイン流路のそれぞれに冷媒を流すには、表2の第1制御弁(71)の制御態様を「全閉」から「制御」に変更する。また、(2-8:暖房モード(バイパス流路使用))においてバイパス流路とメイン流路のそれぞれに冷媒を流すには、表2の第1制御弁(71)の制御態様を「全閉」から「制御」に、第2制御弁(72)の制御態様を「全開」から「制御」にそれぞれ変更する。
【0087】
このように、(2-2:暖房と給湯モード(バイパス流路使用))および(2-8:暖房モード(バイパス流路使用))において、バイパス流路とメイン流路にパラレルに冷媒を流すことにより、室内側の暖房負荷と室外熱交換器の着霜量や室外機のベース部132の着氷量に応じてメイン流路とバイパス流路の冷媒流量をそれぞれ調整できるため、効率的な運転が可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0089】
例えば以上の実施形態では、放熱部の一例として室外熱交換器13の下部の近傍に設けた流路部133または流路部134を説明したが、放熱手段として設けられた専用の熱交換器が採用されてもよい。
【0090】
さらに運転モードに制限を伴うが、減圧手段として、キャピラリーチューブ等の固定絞りが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
11…圧縮機
12…給湯用熱交換器
13…室外熱交換器
14…室内熱交換器
16…バイパス回路
17…放熱部
21…四方弁(第1の切替弁)
22…三方弁(第2の切替弁)
31…第1の膨張弁
32…第2の膨張弁
33…開閉弁
60…制御部
71…第1の制御弁(減圧手段)
72…第2の制御弁(減圧手段)
100,200…ヒートポンプ式給湯空調装置
110,120…冷媒回路
132…ベース部
133,134…流路部
151…給湯用冷媒回路
152…空調用冷媒回路
500…給湯装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7