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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】インク供給容器
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B41J2/175 167
B41J2/175 133
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018177407
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020044818
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 人志
(72)【発明者】
【氏名】田中 良一
(72)【発明者】
【氏名】石澤 卓
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222152(JP,A)
【文献】特開2006-263960(JP,A)
【文献】特開2008-221803(JP,A)
【文献】特開2004-175114(JP,A)
【文献】米国特許第05293913(US,A)
【文献】特開2017-205895(JP,A)
【文献】特開2009-132113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インクを受け入れる第1インク受容ユニットに対応して設けられた第1凹部と、
前記第1インクとは異なる第2インクを受け入れる第2インク受容ユニットに対応して設けられた第2凹部と、
前記第1インクおよび前記第2インクとは異なる第3インクを受け入れる第3インク受容ユニットに対応して設けられた第3凹部と、
を備えたインク受容体に、インクジェット印刷用のインクを供給するインク供給容器であって、
前記第1インクを供給するインク出口部と、
前記インク出口部から前記第1インク受容ユニットに前記第1インクを供給する前に前記第1凹部に挿入可能な凸部と、
を備え、
前記凸部は、前記第2凹部に挿入されるときに前記第2凹部に設けられた接触部と接触する総面積より、前記第3凹部に挿入されるときに前記第3凹部に設けられた接触部と接触する総面積が大きくなる接触面を備え、
前記第1インクと前記第2インクと前記第3インクとの組み合わせは、
前記第1インクおよび前記第2インクが染料を有するインクであり、前記第3インクが顔料を有するインクの組み合わせ、または、
前記第1インクおよび前記第2インクが顔料を有するインクであり、前記第3インクが染料を有するインクの組み合わせ、であり、
前記第1凹部と前記第2凹部とは隣り合って配置され、前記第2凹部は前記第1凹部と前記第3凹部との間に配置される、
インク供給容器。
【請求項2】
請求項1に記載のインク供給容器であって、
前記第1インクおよび前記第2インクは非同系色のインクであり、前記第1インクおよび前記第3インクは、同系色のインクである、インク供給容器。
【請求項3】
請求項1に記載のインク供給容器であって、
前記第1インクおよび前記第2インクは同系色のインクであり、前記第1インクおよび前記第3インクは、非同系色のインクである、インク供給容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインク供給容器であって、
前記接触面は、前記凸部が前記第1凹部に挿入される方向と直交する面である、インク供給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インク供給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンターに設けられたインク受容体としてのインクタンクに、インク供給容器としてのインク補給容器からインクを補給するインク補給システムが開示されている。このインク補給システムでは、インク受容体に設けられた凹部に、インク供給容器に設けられた凸部を嵌合させると共に、その凹部の内面の第1凹凸部に凸部の外面の第2凹凸部を係合させることにより、インク受容体に対して適合したインク供給容器が接続されたことをユーザーに認識させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-222152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したインク補給システムでは、インク受容体の第1凹凸部とインク供給容器の第2凹凸部とが係合しない場合であっても、ユーザーが間違いに気付かず、これらの凹凸部を変形または破損させてインク供給容器をインク受容体に装着する場合が想定される。そのような場合、適合しないインクがインク受容体を経由してインク噴射ヘッドに供給されて、印刷に悪影響が及ぶ可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、第1インクを受け入れる第1インク受容ユニットに対応して設けられた第1凹部と、前記第1インクとは異なる第2インクを受け入れる第2インク受容ユニットに対応して設けられた第2凹部と、前記第1インクおよび前記第2インクとは異なる第3インクを受け入れる第3インク受容ユニットに対応して設けられた第3凹部と、を備えたインク受容体に、インクジェット印刷用のインクを供給するインク供給容器が提供される。このインク供給容器は、前記第1インクを供給するインク出口部と、前記インク出口部から前記第1インク受容ユニットに前記第1インクを供給する前に前記第1凹部に挿入可能な凸部と、を備え、前記凸部は、前記第2凹部に挿入されるときに前記第2凹部に設けられた接触部と接触する総面積より、前記第3凹部に挿入されるときに前記第3凹部に設けられた接触部と接触する総面積が大きくなる接触面を備え、前記第1インクと前記第2インクと前記第3インクとの組み合わせは、前記第1インクおよび前記第2インクが染料を有するインクであり、前記第3インクが顔料を有するインクの組み合わせ、または、前記第1インクおよび前記第2インクが顔料を有するインクであり、前記第3インクが染料を有するインクの組み合わせ、であり、前記第1凹部と前記第2凹部とは隣り合って配置され、前記第2凹部は前記第1凹部と前記第3凹部との間に配置されている
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】複合機の斜視図である。
図2】インクを供給する様子を示す斜視図である。
図3】複合機の正面図である。
図4】インク受容体の斜視図である。
図5】インク受容体の上面図である。
図6】第1識別構造の構成を説明する図である。
図7】インク供給容器の斜視図である。
図8】インク供給容器の先端部の平面図である。
図9】他のインク供給容器の斜視図である。
図10】他のインク供給容器の先端部の平面図である。
図11】第1識別構造と第2識別構造との適合関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるプリンター12を備える複合機11の斜視図である。図2は、複合機11に備えられたインク受容ユニット18にインクを供給する様子を示す斜視図である。複合機11は、プリンター12と画像読取装置13とを備える。画像読取装置13は、プリンター12上に配置されてプリンター12の上側を覆っている。複合機11は、全体として略直方体をなしている。なお、複合機11を、広義のプリンターとして捉えることもできる。
【0008】
本実施形態では、反重力方向を上方向というと共に、重力方向を下方向という。そして、複合機11が使用状態において水平面上に置かれているものとして上方向と下方向に沿う方向を鉛直方向Zとし、水平面に沿う方向を幅方向X及び奥行方向Yとして図示する。幅方向X、奥行方向Y、及び鉛直方向Zは、相互に直交する。奥行方向Yにおける一端側を前面側もしくは前側、一端側とは反対の他端側を背面側もしくは後側といい、前面側から見た幅方向Xの一端側を右側、他端側を左側ということもある。
【0009】
プリンター12は、用紙などの媒体に対してインクを噴射することにより媒体に文字や画像を印刷するインクジェットプリンターである。プリンター12は、筐体20を備えている。筐体20の前面側には操作パネル17と受容体ユニット19とが設けられている。操作パネル17は、操作部15と表示部16とを有する。操作部15は、複合機11の各種の操作を行うためのボタンを備える。表示部16は、プリンター12や複合機11の各種の情報を表示する。操作パネル17と表示部16とは、タッチパネルとして一体的に構成されてもよい。
【0010】
受容体ユニット19は、インク受容体180を収容する。インク受容体180は、インクを受け入れ、内部にインクを保持する。インク受容体180は、複数のインク受容ユニット18を備える。インク受容ユニット18のことを、「インクタンク」ともいう。受容体ユニット19の前面99には、各インク受容ユニット18と対応する位置に窓部21が形成されている。本実施形態において、窓部21は、筐体20を貫く貫通孔として構成されている。インク受容体180は、複合機11の外部に設けられてもよい。
【0011】
窓部21からは、インク受容ユニット18に備えられたインク視認部61を視認可能である。インク視認部61は、インク受容ユニット18を構成する壁の少なくとも一部が、透明または半透明に形成された部分であり、インク受容ユニット18内のインクを外部から視認可能な部分である。インク視認部61は、インク受容ユニット18におけるインク量の上限の目安を示す上限標識63を備えている。本実施形態では、インク視認部61は、上限標識63に加えて、下限標識62を備えている。図1に示すように、下限標識62と上限標識63との間には、1または複数の目盛89が備えられてもよい。目盛89を複数設ける場合には、上限標識63と下限標識62とを含めて目盛89を等間隔に設けることが好ましい。なお、図2以降の図では、上限標識63、下限標識62、目盛89の全部または一部を省略する場合がある。
【0012】
筐体20内には、印刷部23が収容されている。印刷部23は、媒体にインクジェット印刷用のインクを付着させて印刷を行う。印刷部23は、供給部24とインク噴射ヘッド25とキャリッジ26とを含む。供給部24は、インク受容ユニット18に収容されたインクを印刷部23に供給するためのチューブを有する。インク噴射ヘッド25は、供給部24を通じてインク受容ユニット18から供給されたインクを、インク噴射ヘッド25の下面に設けられたノズルから噴射する。キャリッジ26は、インク噴射ヘッド25を保持して幅方向Xに沿って往復移動する。このように、インク受容ユニット18は、インク噴射ヘッド25に連通しており、印刷部23は、供給部24を通じてインク受容ユニット18から供給されたインクを、移動するインク噴射ヘッド25から媒体に向かって噴射することにより媒体に印刷を行う。なお、本実施形態において、供給部24は、各インク受容ユニット18と個別に対応するように複数設けられているが、図1では図の簡略化のために1つだけ示している。
【0013】
図2に示すように、画像読取装置13は、背面側に設けられたヒンジなどの回転機構28を介して筐体20に取り付けられている。画像読取装置13は、プリンター12に対して開閉可能であり、図1に示す閉位置と、図2に示す開位置との間で回動する。そして、画像読取装置13を開位置に位置させると、受容体ユニット19のカバー29及びインク受容ユニット18に取り付けられたキャップ30が開閉可能となる。
【0014】
インク受容ユニット18にインクを補給または供給する場合には、図2に示すように、画像読取装置13、カバー29、及びキャップ30を開位置に位置させ、供給用のインクを収容したインク供給容器31をインク受容ユニット18に接続する。インク供給容器31のことを、インクボトルともいう。なお、「インクを補給」あるいは「インクを供給」とは、空のインク受容ユニット18に初めてインク供給容器31からインクを供給すること、インク受容ユニット18内のインクが下限標識62に達したときにインクを供給すること、インク受容ユニット18の残量が下限標識62より上であっても途中で継ぎ足すこと、を含む。また、「インクを補給」あるいは「インクを供給」とは、必ずしも、インク受容ユニット18の上限標識63まで供給する必要はなく、インク受容ユニット18内のインクの残量を増やすことを含む。
【0015】
図3は、複合機11の正面図である。図3には、受容体ユニット19の前面99および後述するインク供給用アダプターの図示を省略している。受容体ユニット19は、インク受容ユニット18を取り付け可能な取付部33を備えている。取付部33には、複数、本実施形態では5つ、のインク受容ユニット18が、幅方向Xに並んで取り付けられている。各インク受容ユニット18は、内部にインク室40を備えており、インク室40内に、それぞれ異なる色あるいは種類のインクが収容される。本実施形態では、複数のインク受容ユニット18のうち、最も操作パネル17側のインク受容ユニット18は、他のインク受容ユニット18よりも、X方向に沿った幅が大きく、インクの収容量が大きい。各インク受容ユニット18には、インク供給容器31が接続されてインクが供給されるインク入口部39が設けられている。インク入口部39は、鉛直方向Zに沿った中心軸を有する円筒形状を有している。インク入口部39は、その上端に、インク受容ユニット18内のインク室40に連通する開口39aを備えている。
【0016】
図4は、インク受容体180の斜視図である。図5は、インク受容体180の上面図である。インク受容体180は、上述したように、インク受容ユニット18を備える。また、インク受容体180は、各インク受容ユニット18の上部に共通して配置されたインク供給用アダプター47を備える。インク供給用アダプター47は、インク受容ユニット18と同数の凹部70を備える。各凹部70の中央からは、各インク受容ユニット18のインク入口部39が上方に向けて突出する。本実施形態では、凹部70は、少なくとも、第1凹部701、第2凹部702、第3凹部703を含む。
【0017】
第1凹部701は、第1インクを受け入れる第1インク受容ユニット181に対応して設けられている。第2凹部702は、第1インクとは異なる第2インクを受け入れる第2インク受容ユニット182に対応して設けられている。第3凹部703は、第1インクおよび第2インクとは異なる第3インクを受け入れる第3インク受容ユニット183に対応して設けられている。本実施形態では、第1凹部701の幅方向Xの中心位置は、第1インク受容ユニット181の幅方向Xの位置の範囲内に含まれる。第2凹部702の幅方向Xの中心位置は、第2インク受容ユニット182の幅方向Xの位置の範囲内に含まれる。第3凹部703の幅方向Xの中心位置は、第3インク受容ユニット183の幅方向Xの位置の範囲内に含まれる。
【0018】
本実施形態において、第1インク受容ユニット181に収容される第1インクは、染料を有するブラックインクである。第2インク受容ユニット182に収容される第2インクは、染料を有するイエローインクである。第3インク受容ユニット183に収容される第3インクは、顔料を有するブラックインクである。つまり、第1インクと第2インクと第3インクとの組み合わせは、本実施形態では、第1インクおよび第2インクが染料を有するインクであり、第3インクが顔料を有するインクの組み合わせである。本実施形態では、第1インクと第3インクとは、含有する色材の種類が異なるものの、同系色のインクである。また、第1インクと第2インクとは、含有する色材の種類が同じであるものの、非同系色のインクである。なお、第1インク受容ユニット181、第2インク受容ユニット182、および、第3インク受容ユニット183を除く2つのインク受容ユニット18のうちの一方は、染料を有するシアンインクを収容し、他方は、染料を有するマゼンタインクを収容する。
【0019】
図5に示すように、各凹部70は、インク入口部39が配置される円形部分71と、円形部分71を奥行方向Yに沿って挟むように配置された第1矩形部分72および第2矩形部分73を含む。本実施形態では、円形部分71と第1矩形部分72と第2矩形部分73とは、連続した窪みとして構成されている。なお、円形部分71と第1矩形部分72と第2矩形部分73とは、分離した窪みとして構成されてもよい。
【0020】
各凹部70の第1矩形部分72および第2矩形部分73には、凹凸状の第1識別構造74が形成されている。第1識別構造74は、凹部70ごと、すなわち、インク受容ユニット18ごとに異なる凹凸形状を有する。本実施形態では、第1矩形部分72と第2矩形部分73とに形成された第1識別構造74は、円形部分71の中心を中心とした点対称の形状となっている。第1識別構造74は、凸状の第1部分741と凹状の第2部分742とから形成される。凹状の第2部分742は、凸状の第1部分741よりも、鉛直方向Zにおける高さが低い。換言すれば、凸状の第1部分741は、凹状の第2部分742よりも、鉛直方向Zにおける高さが高い。本実施形態では、第1部分741および第2部分742は、凹部70の奥行方向Yに沿った内側面に沿って形成されている。そのため、凹部70の内側面から凹部70の内側に向けて突出した部分を第1部分741、窪んだ部分を第2部分742として捉えることも可能である。
【0021】
図6は、第1識別構造74の構成を説明する図である。本実施形態では、第1矩形部分72は、6つの区画を有し、第2矩形部分73も、6つの区画を有する。本実施形態では、それぞれの6つの区画のうち、3つの区画に第1部分741が形成され、残りの3つの区画に第2部分742が形成される。第1矩形部分72に形成された第1識別構造74と第2矩形部分73に形成された第1識別構造74とは、点対称の構造であるため、本実施形態では、組み合わせの式である下記式(1)により、第1識別構造74として、20通りの異なる形状が採用可能である。
【0022】
=20 ・・・(1)
【0023】
第1矩形部分72に形成された第1識別構造74と第2矩形部分73に形成された第1識別構造74とが対称性を有しない形状の場合、第1矩形部分72と第2矩形部分73とで併せて12区画のうち、6区画に第1部分741、残りの6区画に第2部分742を形成するものとすれば、下記式(2)により、第1識別構造74として、924通りの異なる形状が採用可能となる。
【0024】
12=924 ・・・(2)
【0025】
図7は、インク供給容器31の斜視図である。図8は、インク供給容器31の先端部の平面図である。インク供給容器31は、底面を有する円筒状の容器本体部311と、インク出口部312と、凸部313とを備える。容器本体部311には、インクが収容される。以下の説明では、インク供給容器31において、インク出口部312が設けられた側を、「先端側」といい、容器本体部311が設けられた側を、「後端側」という。
【0026】
インク出口部312は、容器本体部311の先端側に突出して設けられている。インク出口部312は円筒径状を有し、その径は、容器本体部311の径よりも小さい。インク出口部312は、インク受容体180の凹部70の円形部分71に嵌まる。インク出口部312は、容器本体部311内のインクをインク受容ユニット18に供給する。インク出口部312の中心には、容器本体部311の内部に連通する連通孔315が形成されている。連通孔315の先端付近には、弁314が備えられている。弁314は、連通孔315を開閉可能に封止する。弁314は、例えば、シリコン膜等の弾性部材によって構成される。インク受容体180にインクを補充あるいは供給する際には、インク出口部312の連通孔315内にインク入口部39が入り込み、弁314がインク入口部39によって押し開かれることにより、容器本体部311内からインクがインク入口部39内に流出する。
【0027】
凸部313は、インク出口部312からインク受容ユニット18にインクを供給するよりも前に、インク受容体180の凹部70に挿入可能な部分である。凸部313の少なくとも一部は、インク入口部39が、インク出口部312に設けられた弁314を押し開く前に、インク受容体180の凹部70に挿入される。凸部313は、容器本体部311側から先端側に向けて、インク出口部312の中心軸に沿って突出している。本実施形態では、凸部313の先端は、インク出口部312の先端よりも先端側に突出している。なお、凸部313の先端は、インク出口部312の先端よりも突出していなくてもよい。
【0028】
本実施形態では、凸部313は、インク出口部312の周囲に配置されている。より具体的には、凸部313は、インク供給容器31を先端側から見た場合に、インク出口部312の外周と、容器本体部311の外周との間に配置されている。凸部313は、インク供給容器31を先端側から見た場合に、インク出口部312の中心軸に交差する方向に配置されている。本実施形態では、2つの凸部313が、インク出口部312を、インク出口部312の外周側から挟む位置に配置されている。2つの凸部313のうちの一方は、インク受容体180の凹部70の第1矩形部分72に嵌まり、他方は、凹部70の第2矩形部分73に嵌まる。本実施形態では、インク出口部312の先端付近と凸部313の先端付近とは、インク出口部312の径方向において離間している。ただし、インク出口部312と凸部313とは、インク出口部312の径方向において接していてもよい。インク供給容器31に形成される凸部313の数は、インク受容体180側に形成された凹部70の形態に応じて、1つ、または、3つ以上であってもよい。
【0029】
凸部313は、インク受容体180の凹部70に形成された第1識別構造74に対応する凹凸状の第2識別構造316を有する。第2識別構造316は、インク供給容器31の種類毎に異なる凹凸形状を有する。第2識別構造316は、凸状の第3部分743と凹状の第4部分744とから形成される。凸状の第3部分743の先端面は、凹状の第4部分744の先端面よりも、先端側に位置する。換言すれば、凹状の第4部分744の先端面は、凸状の第3部分743の先端面よりも、後端側に位置する。凸状の第3部分743の先端面は、凸部313の先端面を構成する。例えば、図7,8に示した第2識別構造316は、図5に示した第3凹部703の第1識別構造74に適合する。本実施形態では、第3部分743および第4部分744は、凸部313において、インク出口部312の中心軸に交差する方向に沿った外側面に沿って形成されている。そのため、凸部313の外側面から外側に向けて突出した部分を第3部分743、窪んだ部分を第4部分744として捉えることも可能である。
【0030】
インク供給容器31は、容器本体部311と凸部313との間に、ネジ山を有する螺合部319を有している。インク供給容器31の保管時には、インク出口部312と凸部313とが、有底筒状の蓋317により覆われる。蓋317の内周面には、図示していないネジ溝が形成されており、このネジ溝が螺合部319に螺合することによって、蓋317は、インク供給容器31に対して取り付けられる。
【0031】
図9は、他のインク供給容器31Aの斜視図である。図10は、他のインク供給容器31Aの先端部の平面図である。図7,8に示したインク供給容器31の第2識別構造316は、図5に示した第3凹部703の第1識別構造74に適合するのに対して、図9,10に示した他のインク供給容器31Aの第2識別構造316は、図5に示した第3凹部703の第1識別構造74には適合しない。そのため、図9,10に示した他のインク供給容器31Aは、第2識別構造316あるいは第1識別構造74を変形あるいは破損させない限り、図5に示した第3凹部703には挿入できない。
【0032】
図11は、本実施形態における凹部70の第1識別構造74と凸部313の第2識別構造316との適合関係の例を説明する図である。図11では、凹部70については、上面視した形状を示している。また、凸部313については、インク供給容器31の先端側から見た形状を示している。図11に示した凸部313は、第1凹部701に挿入可能であるものとする。つまり、凸部313の凸状の第3部分743は、第1凹部701の凹状の第2部分742に鉛直方向Zに沿って嵌まり、第1凹部701の凸状の第1部分741は、凸部313の凹状の第4部分744に鉛直方向Zに沿って嵌まる。本実施形態では、凸部313の先端面のことを接触面318ともいう。また、本実施形態では、凹部70の第1部分741の上端面のことを接触部CPともいう。第1凹部701に適合した凸部313が第1凹部701に挿入されるとき、接触面318の、接触部CPに対する接触面積は、ゼロである。本実施形態では、凸部313の接触面318は、凸部313が、各凹部70に挿入される方向と直交する面として構成されている。
【0033】
図11中、黒色で塗りつぶした接触部CPが、第2凹部702および第3凹部703において、それぞれ接触面318に接触する面積を表す。本実施形態において、第1凹部701に挿入可能な凸部313の接触面318は、第2凹部702に挿入されるときに第2凹部702に設けられた接触部CPと接触する総面積より、第3凹部703に挿入されるときに第3凹部703内に設けられた接触部CPと接触する総面積が大きい。接触面318が接触部CPに接触する総面積が大きいとは、図6において、接触面318に対向する、凹部70内に第1部分741が形成された区画の数が多いことをいう。また、接触面積が大きいということは、挿入時における抵抗が大きくなるというであり、また、破壊荷重が大きいということでもある。
【0034】
図11に示すように、本実施形態では、第2凹部702に設けられた接触部CPの3分の1が接触面318に接触し、第3凹部703に設けられた接触部CPの100%が接触面318に接触する。そのため、第1凹部701に挿入可能な凸部313は、第2凹部702に挿入するよりも第3凹部703に挿入することが困難である。この結果、凸部313を有するインク供給容器31に収容された第1インクが、第3凹部703に対応した第3インク受容ユニット183に供給される可能性を、第2凹部702に対応した第2インク受容ユニット182に供給される可能性よりも低くできる。つまり、本実施形態によれば、第1インク受容ユニット181に供給するための染料ブラックインクが、顔料ブラックインク用の第3インク受容ユニット183に供給される可能性を、染料イエローインク用の第2インク受容ユニット182に供給される可能性よりも低くできる。
【0035】
一般的に、顔料インクは固化しやすく、染料インクと顔料インクとが混ざり合うと増粘してゲル化することが知られている。そのため、インク受容ユニット18内で染料インクと顔料インクとが混ざり合うと、供給部24内やインク噴射ヘッド25内にゲル化したインクが付着して詰まりが生じやすくなる。従って、染料ブラックインクを、染料イエローインク用の第2インク受容ユニット182に供給するよりも、顔料ブラックインク用の第3インク受容ユニット183に供給したときに印刷に悪影響が及ぶと考えることが可能である。しかし、本実施形態では、インク受容体180側の凹部70に形成された第1識別構造74と、インク供給容器31側に形成された第2識別構造316との適合関係によって、インク供給容器31の凹部70への誤挿入を抑制できるばかりか、誤挿入されたとしても、染料ブラックインクが、顔料ブラックインク用の第3インク受容ユニット183に供給される可能性を、染料イエローインク用の第2インク受容ユニット182に供給される可能性よりも低くできる。従って、上記のような悪影響を小さくできる。また、凸部313が第3インク受容ユニット183の凹部70に誤挿入されようとしても、凸部313の接触面318と凹部70の接触部CPとの接触面積が最大になるため、凹部70の第1識別構造74が変形あるいは損傷する可能性を低減できる。なお、染料ブラックインクが、染料イエローインク用の第2インク受容ユニット182に供給されたとしても、適切にクリーニングを行うことにより、比較的容易に印刷に対する影響を解消させることが可能である。
【0036】
また、本実施形態では、接触面318が、凸部313が各凹部70に挿入される方向と直交する面である。そのため、凸部313と各凹部70とが適合しない場合に、接触面318の一部が凹部70に入り込むことが抑制され、凸部313と凹部70との接触を確実に行わせることができる。従って、インク供給容器31が各凹部70に対して誤挿入される可能性を低減できる。
【0037】
なお、本実施形態では、第2インク受容ユニット182には、染料を有するイエローインクが収容されるものとした。しかし、第2インク受容ユニット182には、染料を有するシアンインク、あるいは、染料を有するマゼンタインクが収容されてもよい。
【0038】
ここで、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各色を定義する。本明細書では、Lab表色系の色度図に基づいて各色を定義する。Lab表色系の色度図において、赤方向を0度として、反時計方向すなわちプラス方向の角度を色相角とする。Lab表色系の色度図によれば、0度から360度の範囲の色相角であらゆる色が規定される。そして、色相角で92度±30度の範囲内にある色をイエローと定義する。また、色相角で234度±30度の範囲内にある色をシアンと定義し、色相角で349度±30度の範囲内にある色をマゼンタと定義する。なお、色相角の360度は、色相角の0度と等しい。従って、マゼンタの範囲における色相角の379度は、色相角の19度に等しい。また、各色の範囲には、+30度の色、及び-30度の色が含まれる。従って、色相角で62度の色、及び122度の色は、イエローである。シアン、及びマゼンタについても同様である。なお、色相角で92度±30度の範囲内にある色は、イエローの同系色とも表現される。また、色相角で234度±30度の範囲内にある色はシアンの同系色とも表現され、色相角で349度±30度の範囲内にある色はマゼンタの同系色とも表現される。同系色ではない色は、非同系色である。本実施形態において、インクの色は、媒体にインクで印刷を実施した結果に基づいて判定される。詳述すると、インクの色は、インクによって媒体に描画された画像を測色器で測定した結果に基づいて判定される。これに基づき、測色器で測定した結果が色相角で92度±30度の範囲内にある色がインクのイエローである。同様に、測色器で測定した結果が色相角で234度±30度の範囲内にある色がインクのシアンであり、測色器で測定した結果が色相角で349度±30度の範囲内にある色がインクのマゼンタである。上記の測定では、媒体として、セイコーエプソン(株)社製の光沢写真用紙が採用される。また、印刷の条件として、幅方向Xの解像度を720dpiとし、奥行方向Yに沿った解像度を720dpiとする。また、単位面積当たりに占めるドットの面積比であるデューティー比を50%とする。測色器として、大塚電子社製の分光光度計であるMCPD-9800が採用される。測定条件として、光源をD-50とし、2度視野角での測定を採用する。
【0039】
B.他の実施形態:
(B-1)上記実施形態では、第1インクと第2インクと第3インクとの組み合わせは、第1インクおよび第2インクが染料を有するインクであり、第3インクが顔料を有するインクの組み合わせである。これに対して、第1インクと第2インクと第3インクとの組み合わせは、第1インクおよび第2インクが顔料を有するインクであり、第3インクが染料を有するインクの組み合わせであってもよい。
【0040】
(B-2)上記実施形態では、第1インクおよび第2インクは染料を有するインクであり、第3インクは顔料を有するインクであるものとした。これに対して、第1インク、第2インク、第3インクは、全てが染料インク、あるいは、全てが顔料インクでもよい。この場合、第1インクおよび第2インクは非同系色のインクであり、第1インクおよび第3インクは、同系色のインクであってもよい。第1インクおよび第3インクが同系色であっても、染料インクと顔料インクの組み合わせのように、それぞれの成分が異なる場合が有り、それらが混ざることにより、インクジェット印刷において、インクを正常に噴射できなくなり、強力なクリーニングや修理が必要になる可能性がある。しかし、上記実施形態によれば、第1インクが、第3インク用の第3インク受容ユニット183に供給されることを抑制できるので、そのような悪影響が生じる可能性を低減できる。また、一般に、同系色のインクは見分けが付きにくく、これから供給しようとするインクが、そのインクと非同系色のインクを収容するインク受容ユニット18に対して供給されるよりも、同系色のインクを収容するインク受容ユニット18に対して供給される可能性が高い。しかし、第1インクおよび第2インクを非同系色のインクとし、第1インクおよび第3インクを同系色のインクとすれば、同系色のインクが収容される第3インク受容ユニット183に対して第1インクが供給される可能性を、非同系色のインクが収容される第2インク受容ユニット182に対して第1インクが供給される可能性よりも小さくできる。そのため、同系色のインクが誤ってインク受容体180に供給されることを抑制できる。同系色のインクとは、例えば、ライトシアンインクに対してシアンインク、ライトマゼンタに対してマゼンタインク、グレーインクに対してブラックインクなど、あるいはそれらの逆の関係となるインクである。
【0041】
(B-3)上記実施形態において、第1インクおよび第2インクは同系色のインクであり、第1インクおよび第3インクは、非同系色のインクであってもよい。上記実施形態によれば、このようなインクの組み合わせにおいて、非同系色のインク同士の混色を抑制できるので、非同系色インクの混色による印刷品質の低下や、混色したインクを排出するためのクリーニングによるインク消費を、抑制することができる。非同系色のインクとは、例えば、イエローインクに対してブラックインク、イエローインクに対してシアンインクなど、あるいはそれらの逆の関係となるインクである。
【0042】
(B-4)上記実施形態では、インク供給容器31が各凹部70は、インク供給用アダプター47に設けられている。これに対して、各凹部70は、各インク受容ユニット18に、直接的に設けられていてもよい。
【0043】
(B-5)上記実施形態では、インク供給容器31が挿入される各凹部70は、各インク受容ユニット18の上部に配置されたインク供給用アダプター47に設けられている。これに対して、各凹部70は、各インク受容ユニット18に対応して設けられていればよく、インク受容ユニット18とは離れた場所に設けられてもよい。離れた場所とは、プリンター12あるいは複合機11の他の場所であってもよいし、複合機11から離れた別の場所でもよい。この場合、各凹部70と、各インク受容ユニット18とは、チューブなどの流路部材によって、インクが流通可能に接続される。
【0044】
(B-6)上記実施形態では、インク受容体180は、複数のインク受容ユニット18を含む。これに対して、インク受容体180は、複数のインク室40を含む1つのタンクとして構成されてもよい。つまり、インク受容体180は、各インク室40を区画する壁を内部に備えていてもよい。
【0045】
(B-7)上記実施形態では、凸部313の接触面318は、各凹部70に挿入される方向と直交する面である。これに対して、凸部313の接触面318は、各凹部70に挿入される方向に対して傾斜した面であってもよい。
【0046】
(B-8)上記実施形態では、インク受容体180は、画像読取装置13を備える複合機11のプリンター12に備えられているが、インク受容体180は、画像読取装置13を備えていないプリンターに備えられていてもよい。
【0047】
(B-9)本開示は、プリンター及びそのインク供給容器に限らず、インク以外の他の液体を消費する任意の液体噴射装置及びそれらの液体噴射装置に用いられる液体供給容器にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置に用いられる液体供給容器として本開示は適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置。
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置。
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置。
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置。
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置。
(6)潤滑油の噴射装置。
(7)樹脂液の噴射装置。
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置。
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置。
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置。
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体消費ヘッドを備える液体噴射装置。
【0048】
なお、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が消費できるような材料であればよい。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0049】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0050】
(1)本開示の一形態によれば、第1インクを受け入れる第1インク受容ユニットに対応して設けられた第1凹部と、前記第1インクとは異なる第2インクを受け入れる第2インク受容ユニットに対応して設けられた第2凹部と、前記第1インクおよび第2インクとは異なる第3インクを受け入れる第3インク受容ユニットに対応して設けられた第3凹部と、を備えたインク受容体に、インクジェット印刷用のインクを供給するインク供給容器が提供される。このインク供給容器は、前記第1インクを供給するインク出口部と、前記インク出口部から前記第1インク受容ユニットに前記第1インクを供給する前に前記第1凹部に挿入可能な凸部と、を備え、前記凸部は、前記第2凹部に挿入されるときに前記第2凹部に設けられた接触部と接触する総面積より、前記第3凹部に挿入されるときに前記第3凹部に設けられた接触部と接触する総面積が大きくなる接触面を備える。
【0051】
このような形態のインク供給容器であれば、第1インクが第3インク受容ユニットに供給される可能性を、第1インクが第2インク受容ユニットに供給される可能性よりも低くできる。そのため、第1インクを第2インク受容ユニットに供給するより、第3インク受容ユニットに供給したときに印刷に悪影響が及ぶ場合、その悪影響を小さくできる。
【0052】
(2)上記形態のインク供給容器において、前記第1インクと前記第2インクと前記第3インクとの組み合わせは、前記第1インクおよび前記第2インクが染料を有するインクであり、前記第3インクが顔料を有するインクの組み合わせ、または、前記第1インクおよび前記第2インクが顔料を有するインクであり、前記第3インクが染料を有するインクの組み合わせ、でもよい。インクジェット印刷においては、顔料インクと染料インクとが混ざることにより、インクを正常に噴射できなくなり、強力なクリーニングや修理が必要になる可能性がある。しかし、上記形態によれば、顔料インクと染料インクとが混ざる可能性を低減できる。
【0053】
(3)上記形態のインク供給容器において、前記第1インクおよび前記第2インクは非同系色のインクであり、前記第1インクおよび前記第3インクは、同系色のインクでもよい。同系色のインクであっても、染料インクと顔料インクのように成分が異なる場合があり、それらが混ざることにより、インクジェット印刷においてインクを正常に噴射できなくなり、強力なクリーニングや修理が必要になる可能性がある。しかし、上記形態によれば、同系色インク同士が混ざる可能性を低減できる。
【0054】
(4)上記形態のインク供給容器において、前記第1インクおよび前記第2インクは同系色のインクであり、前記第1インクおよび前記第3インクは、非同系色のインクでもよい。このような形態であれば、非同系色のインクの混色による印刷品質の低下や、混色したインクを排出するためのクリーニングによるインク消費を、抑制することができる。
【0055】
(5)上記形態のインク供給容器において、前記接触面は、前記凸部が前記第1凹部に挿入される方向と直交する面でもよい。このような形態であれば、インク供給容器が凹部に誤挿入されることを抑制できる。
【0056】
本開示は、上述したインク供給容器としての形態に限らず、インク供給容器とプリンターとを備えるインク供給システムやインク供給方法など、種々の形態として実現可能である。
【符号の説明】
【0057】
11…複合機、12…プリンター、13…画像読取装置、15…操作部、16…表示部、17…操作パネル、18…インク受容ユニット、19…受容体ユニット、20…筐体、21…窓部、23…印刷部、24…供給部、25…インク噴射ヘッド、26…キャリッジ、28…回転機構、29…カバー、30…キャップ、31,31A…インク供給容器、33…取付部、39…インク入口部、39a…開口、40…インク室、47…インク供給用アダプター、61…インク視認部、62…下限標識、63…上限標識、70…凹部、71…円形部分、72…第1矩形部分、73…第2矩形部分、74…第1識別構造、89…目盛、99…前面、180…インク受容体、181…第1インク受容ユニット、182…第2インク受容ユニット、183…第3インク受容ユニット、311…容器本体部、312…インク出口部、313…凸部、314…弁、315…連通孔、316…第2識別構造、317…蓋、318…接触面、319…螺合部、701…第1凹部、702…第2凹部、703…第3凹部、741…第1部分、742…第2部分、743…第3部分、744…第4部分
図1
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