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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ドアミラー制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/074 20060101AFI20221129BHJP
   B60R 1/06 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60R1/074
B60R1/06 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018188356
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020055471
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】湊 裕史
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博史
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-266983(JP,A)
【文献】特開平05-221266(JP,A)
【文献】特開2007-128828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/074
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグニッションスイッチがオフされるのに同期して自動的にドアミラーが格納される、ドアミラーの自動格納機能を有し、かつ、複数のスイッチを有する集中操作パネルを運転席側のドアに備えた車両のドアミラー制御装置であって、
前記スイッチが操作を受けたときに当該操作に対応した制御を実行する制御部を備え、
前記複数のスイッチは、ドアミラーを作動させる際に操作を受ける第1種スイッチと、ドアミラー以外の対象物を作動させる際に押し操作又は引き操作を受ける複数の第2種スイッチとを含み、
前記制御部は、複数の前記第2種スイッチのうち、予め特定された第2種スイッチである複数の特定スイッチが同期して押し操作又は引き操作を受けたときに、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする制御を実行する、ことを特徴とするドアミラー制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドアミラー制御装置において、
複数の前記特定スイッチは、複数の前記第2種スイッチのうち、運転者の手が届く最も遠い位置の第2種スイッチから優先的に定められている、ことを特徴とするドアミラー制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のドアミラー制御装置において、
前記複数の特定スイッチは、互いに車両前後方向に隣接して並ぶ2つの第2種スイッチと、当該2つの第2種スイッチのうち、車両前後方向における後側の第2種スイッチの車幅方向内側に隣接して並ぶ1つの第2種スイッチとを含む、合計3つの第2種スイッチである、ことを特徴とするドアミラー制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のドアミラー制御装置において、
前記複数の第2種スイッチは、運転席のウインドウを昇降させる第1ウインドウスイッチと、助手席のウインドウを昇降させる第2ウインドウスイッチと、運転席側の後部席のウインドウを昇降させる第3ウインドウスイッチと、助手席側の後部席のウインドウを昇降させる第4ウインドウスイッチとを含み、
複数の前記特定スイッチは、第1、第3、第4ウインドウスイッチである、ことを特徴とするドアミラー制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のドアミラー制御装置において、
前記制御部は、複数の前記特定スイッチが同期して押し操作のみを受けたときに、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする制御を実行する、ことを特徴とするドアミラー制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアミラーを自動的に格納する機能を備えた車両のドアミラー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、イグニッションスイッチがオフされるのに同期して、自動的にドアミラーが格納される機能を備えたものがある。ところが、寒冷地などでは、格納したドアミラーがサイドガラスに凍り付き、再作動させるのに手間がかかる場合がある。
【0003】
このような不都合を回避するためには、ドアミラーの自動格納機能を意図的にオンオフするための切替スイッチを備えることが望ましい。その場合、運転席側のドアのアームレスト(肘掛け)には、ドアミラーの角度調整やパワーウインドウの開閉を行うためのスイッチを配置した集中操作パネルが設けられるため、この集中操作パネルに切替スイッチを配置するのが操作性の点から都合がよい。しかし、国によっては、集中操作パネルに配置すべきスイッチの種類が法規上定められている場合があり、定められたスイッチ類を配備した上でさらに前記切替スイッチを配備する場合には、集中操作パネルが大型化することが予想される。このような集中操作パネルの大型化は、スペース的に、或いはデザイン制約上難しい場合があり、また、実質的なアームレストの縮小となるため、運転時の快適性を損なう原因にもなる。
【0004】
なお、特許文献1には、左右のドアミラーの何れかの選択と、ドアミラーの傾斜方向の指示と、開閉させるパワーウインドウの位置の選択と、ドアミラーの格納操作とを行うための傾倒可能なダイヤル式スイッチ(多方向レバースイッチ)を設け、これにより、スイッチ類の配置スペースを小さくした集中操作パネルが開示されている。特許文献1には、ドアミラーの自動格納機能をオンオフするための切替スイッチについての言及は無いが、当該切替スイッチの機能を前記ダイヤル式スイッチに担わせることによって、集中操作パネルの大型化を抑制することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-128828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
切替スイッチの機能をダイヤル式スイッチに担わせる場合の具体的な操作としては、例えば、ダイヤル式スイッチを回転させてドアミラーの自動格納機能をオンオフするためのポジションを選択し、このポジションでダイヤル式スイッチを傾倒させることが考えられる。しかし、ダイヤル式スイッチを回転させて、多数あるポジションの中から所望のジションを選択するのは些か煩雑である。特に、大柄で手が大きい乗員の場合には、このような細かな操作は面倒で必ずしも操作性が良いとは言えない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであって、集中操作パネルの大型化を伴うことなく、簡単な操作で、集中操作パネルにおいてドアミラーの自動格納機能をオンオフ可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るドアミラー制御装置は、イグニッションスイッチがオフされるのに同期して自動的にドアミラーが格納される、ドアミラーの自動格納機能を有し、かつ、複数のスイッチを有する集中操作パネルを運転席側のドアに備えた車両のドアミラー制御装置であって、前記スイッチが操作を受けたときに当該操作に対応した制御を実行する制御部を備え、前記複数のスイッチは、ドアミラーを作動させる際に操作を受ける第1種スイッチと、ドアミラー以外の対象物を作動させる際に押し操作又は引き操作を受ける複数の第2種スイッチとを含み、前記制御部は、複数の前記第2種スイッチのうち、予め特定された第2種スイッチである複数の特定スイッチが同期して押し操作又は引き操作を受けたときに、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする制御を実行するものである。
【0009】
このドアミラー制御装置では、ドアミラーとは無関係の複数の第2種スイッチ(複数の特定スイッチ)が同期して押し操作又は引き操作を受けることで、ドアミラーの自動格納機能がオンオフされる。つまり、複数の第2種スイッチが、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする切替スイッチとして兼用される。そのため、集中操作パネルの大型化を伴うことなく、ドアミラーの自動格納機能のオンオフを集中操作パネルで行うことが可能となる。また、複数の第2種スイッチを同期して押し操作又は引き操作するだけの簡単な操作で済むため、速やかにドアミラーの自動格納機能をオンオフすることが可能となる。
【0010】
前記ドアミラー制御装置において、複数の前記特定スイッチは、複数の前記第2種スイッチのうち、運転者の手が届く最も遠い位置の第2種スイッチから優先的に定められているのが好適である。
【0011】
この構成によれば、運転者の手が比較的届き難い位置に特定スイッチがあるため、運転者が意図せず特定スイッチを操作することが抑制される。
【0012】
より具体的に、前記複数の特定スイッチは、互いに車両前後方向に隣接して並ぶ2つの第2種スイッチと、当該2つの第2種スイッチのうち、車両前後方向における後側の第2種スイッチの車幅方向内側に隣接して並ぶ1つの第2種スイッチとを含む、合計3つの第2種スイッチである。
【0013】
この構成によれば、複数の特定スイッチを片手で操作する場合、運転者は、人差し指、中指及び薬指で特定スイッチを操作することになる。そのため、運転者は、特定スイッチの操作に集中する必要があり、その結果、運転者が意図しない操作をすることが抑制される。
【0014】
なお、前記複数の第2種スイッチが、運転席のウインドウを昇降させる第1ウインドウスイッチと、助手席のウインドウを昇降させる第2ウインドウスイッチと、運転席側の後部席のウインドウを昇降させる第3ウインドウスイッチと、助手席側の後部席のウインドウを昇降させる第4ウインドウスイッチとを含む場合には、複数の前記特定スイッチは、第1、第3、第4ウインドウスイッチであるのが好適である。
【0015】
この構成では、ウインドウを昇降させるスイッチが、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする切替スイッチとして兼用される。この構成によれば、ウインドウを昇降させるスイッチを利用して上記の作用効果を享受することが可能となる。
【0016】
なお、上記の各態様において、前記制御部は、複数の前記特定スイッチが同期して押し操作のみを受けたときに、ドアミラーの自動格納機能をオンオフする制御を実行するのが好適である。
【0017】
この構成によれば、簡単な押し操作だけで、ドアミラーの自動格納機能をオンオフすることができるため、大柄で手が大きい乗員の場合でも、操作が煩雑にならず、また、運転者が意図しない操作を行う可能性も低くなる。
【発明の効果】
【0018】
上記の各態様に係るドアミラー制御装置によれば、集中操作パネルの大型化を伴うことなく、簡単な操作で、集中操作パネルにおいてドアミラーの自動格納機能をオンオフすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のドアミラー制御装置が適用された車両の平面図である。
図2】車両の運転席を示す図である。
図3】集中操作パネルの斜視図である。
図4】ダイヤル式スイッチの平面図である。
図5】車両(ドアミラー及びパワーウインドウ等)の制御系を示すブロック図である。
図6】ドアミラーの自動格納機能のオンオフ制御の一例(第1実施形態)を示すフローチャートである。
図7】集中操作パネルの各スイッチと運転者との位置関係を示す平面模式図である。
図8】ドアミラーの自動格納機能のオンオフ制御の他の一例(第2実施形態)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
[車両の構成]
図1は、本発明のドアミラー制御装置が適用された車両の平面図である。なお、以下の説明で使用する「方向」に関する用語(前後左右など)は、特に言及する場合を除き、車両を基準とする。
【0022】
同図に示す車両1は、左ハンドル(後記ステアリングホイール14)を有する乗用車である。より詳しくは、車両1は、運転席ドア2A、助手席ドア2B、左後ドア2C、右後ドア2D及びバックドア2Eを備えハッチバックタイプの車両であり、前後2列のシートを備えた定員5名の車両、或いは、前後に3列のシートを備えた定員7名(又は8名)の車両である。
【0023】
各ドア2A~2Eには、ウインドウ4A~4E(運転席ウインドウ4A、助手席ウインドウ4B、左後ウインドウ4C、右後ウインドウ4D、バックドアウインドウ4E)が設けられている。バックドアウインドウ4E以外の各ウインドウ4A~4Dは、いわゆるパワーウインドウであり、乗員のスイッチ操作に応じて、各々、モータ52~58(図5参照)の駆動により昇降(開閉)する。
【0024】
運転席及び助手席の各ドア2A、2Bには、後方視認のためのドアミラー6A、6Bが配置されている。運転席側のドアミラー6A(左側ドアミラー6A)は、運転席ドア2Aの外側面であって運転席ウインドウ4Aの前端近傍の位置に配置されており、助手席側のドアミラー6B(右側ドアミラー6B)は、助手席ドア2Bの外側面であって助手席ウインドウ4Bの前端近傍の位置に配置されている。
【0025】
各ドアミラー6A、6Bは、車両1から車幅方向外向きに飛び出した展開位置P1(実線で示す位置)と、各ドア2A、2Bに沿って配置された格納位置P2(二点鎖線で示す位置)とに亘って揺動可能とされ、ミラー展開/格納モータ42a、42b(図5参照)により駆動される。車両1を走行させるときには、各ドアミラー6A、6Bは、展開位置P1に配置される。
【0026】
各ドアミラー6A、6Bは、乗員による後記ダイヤルSW20の操作に応じて展開位置P1と格納位置P2とに亘って変位する他、車両1を起動させるためのイグニッションSW(スイッチ)38(図5参照)のオフに応じて、自動的に展開位置P1から格納位置P2に変位する。このようにイグニッションSW38のオフに同期してドアミラー6A、6Bが格納される(展開位置P1から格納位置P2に変位する)機能を、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能と称す。
【0027】
図2は、車両1の運転席を示す図であり、運転席を後方から視た状態を示している。車室の前端部には、フロントウィンドウ3(図1参照)の下辺部に沿って車幅方向に延在するインストルメントパネル10が設けられている。インストルメントパネル10には、スピードメータ等を備えた計器ユニット12が配置され、その後方には、運転者により操舵されるステアリングホイール14が配置されている。
【0028】
運転席ドア2Aの内側面にはアームレスト16が突設され、このアームレスト16の上面16aには、複数のスイッチを備えた集中操作パネル18が設けられている。図3に示すように、集中操作パネル18の最前部には、ドアミラー6A、6Bを操作するためのダイヤルSW(スイッチ)20が設けられ、このダイヤルSW20の後側に、パワーウインドウのウインドウロックSW(スイッチ)22及びドアロックSW(スイッチ)24が設けられ、これらスイッチ22,24の後側に、各ウインドウ4A~4Dを開閉するためのウインドウSW26(26a~26d)が設けられている。
【0029】
ダイヤルSW20(本発明の第1種スイッチの一例)は、乗員が、各ドアミラー6A、6Bの調整、すなわち、各ドアミラー6A、6Bに備えられる図外のミラー本体(後方が写るミラー)の向きの調整と、ドアミラー6A、6Bの展開及び格納とを行うためのスイッチである。このダイヤルSW20は、回転操作および前後左右への傾倒操作が可能な多方向スイッチである。
【0030】
図4に示すように、ダイヤルSW20の周囲には、回転方向におけるダイヤルSW20のホームポジションを示すHPマーク30と、運転席側(左側)を選択するための運転席側マーク(「L」)32と、助手席側(右側)を選択するための助手席側マーク(「R」)34とを備えたダイヤルパネル28が設けられている。一方、ダイヤルSW20の上面には、その回転位置を示すポジションマーク20aが設けられている。
【0031】
ダイヤルSW20は、通常(ドアミラー6A、6Bの調整時以外のとき)、HPマーク30にセットされている(図4の状態)。すなわち、ポジションマーク20aがHPマーク30に対向する位置にダイヤルSW20がセットされている。
【0032】
左側ドアミラー6Aを調整する際には、ダイヤルSW20を矢印Ltの方向(左回り)に回転させて、ダイヤルSW20を運転席側マーク32の位置にセットし、この状態で、矢印36F、36B、36L、36Rで示す各方向(前後左右)のうち、所望の方向にダイヤルSW20を傾倒する。このようにすると、左側ドアミラー6Aのミラー本体が、ダイヤルSW20の傾倒方向に揺動し、これにより、左側ドアミラー6Aのミラー本体の向きを調整することができる。
【0033】
一方、右側ドアミラー6Bを調整する際には、ダイヤルSW20を矢印Rtの方向(右回り)に回転させて、ダイヤルSW20を助手席側マーク34の位置にセットし、左側ドアミラー6Aの場合と同様に、この状態で、ダイヤルSW20を所望の方向に傾倒する。これにより、右側ドアミラー6Bのミラー本体の向きを調整することができる。
【0034】
ドアミラー6A、6Bの展開及び格納を行う際には、ダイヤルSW20をHPマーク30にセットした状態で、ダイヤルSW20を矢印36Bの方向、すなわち後側に倒す。この操作により、各ドアミラー6A、6Bが展開位置P1にセットされている場合には、格納位置P2に各ドアミラー6A、6Bが変位する一方、各ドアミラー6A、6Bが格納位置P2にセットされている場合には、展開位置P1に各ドアミラー6A、6Bが変位する。これにより、乗員が意図的に各ドアミラー6A、6Bを展開又は格納することが可能となっている。
【0035】
なお、ダイヤルSW20は、その回転方向の操作については、変更後の位置が保持される方式(ステーショナリ方式)が採用され、傾倒方向の操作については、操作を行った後にダイヤルSW20から手を放すと、ダイヤルSW20が中立位置(図4に示す位置)に復帰する方式が採用された複合方式のスイッチである。
【0036】
前記ウインドウロックSW22(本発明の第2種スイッチの一例)は、各ドア2A~2Dのウインドウ4A~4Dの開閉動作を統括的にロックするものである。また、前記ドアロックSW24は、各ドア2A~2Eを統括的にロックするものである。これらのスイッチ22、24は、ウインドウロックSW22の内側(右側)にドアロックSW24が位置するように、車幅方向に隣接して配置されている。
【0037】
ウインドウロックSW22は、オルタネート方式のスイッチである。すなわち、一度押すとウインドウ4A~4Dがロックされ、手を離してもロック状態が保持され、ロック解除するには、もう一度ウインドウロックSW22を押す方式のスイッチである。ドアロックSW24も同じオルタネート方式のスイッチである。
【0038】
前記ウインドウSW26(本発明の第2種スイッチの一例)は、ウインドウ4A~4Dを個別に開閉するための4つのスイッチを含む。具体的には、運転席ウインドウ4Aを開閉する運転席ウインドウSW(スイッチ)26aと、助手席ウインドウ4Bを開閉する助手席ウインドウSW(スイッチ)26bと、左後ウインドウ4Cを開閉する左後ウインドウSW(スイッチ)26cと、右後ウインドウ4Dを開閉する右後ウインドウSW(スイッチ)26dと、を含む。
【0039】
なお、以下の説明では、便宜上、運転席ウインドウSW26aを第1ウインドウSW26a(本発明の特定スイッチの一例)、助手席ウインドウSW26bを第2ウインドウSW26b、左後ウインドウSW26cを第3ウインドウSW26c(本発明の特定スイッチの一例)、右後ウインドウSW26dを第4ウインドウSW26d(本発明の特定スイッチの一例)と称す。
【0040】
これらのウインドウSW26a~26dは、対応するウインドウ4A~4Dの配置に一致するように、前後二列に分けて各列2個ずつ配置されている。具体的には、前列の外側(左側)に第1ウインドウSW26aが配置され、その内側(右側)に隣接して第2ウインドウSW26bが配置されている。また、後列の外側に第3ウインドウSW26cが配置され、その内側に隣接して第4ウインドウSW26dが配置されている。
【0041】
各ウインドウSW26a~26dは、押し操作(図3中のD1方向の操作)と引き操作(図3中のD2方向の操作)とが可能であり、ウインドウSW26a~26dから手を放すと中立位置(図3に示す位置)に復帰する方式のスイッチである。なお、各ウインドウSW26a~26dは、集中操作パネル18に形成された凹部27内に配置されており、運転者は、この凹部27に指先を挿入することで、ウインドウSW26a~26dの引き操作が可能となる。
【0042】
各ウインドウ4A~4Dは、ウインドウSW26a~26dのうち、対応するウインドウSWが押し操作を受けると下降し(開き)、引き操作を受けると上昇(閉じる)する。この際、各ウインドウ4A~4Dは、ウインドウSW26a~26dが押し操作又は引き操作を受けている間だけ作動し、ウインドウSW26a~26dから手が放されると、その時の位置で停止する。
【0043】
前記ウインドウSW26a~26dのうち、運転席ウインドウ4Aに対応する第1ウインドウSW26aは、半押し位置とそれよりも深い押し込み位置とに亘って押し操作可能に構成されている。半押し位置は、上記のように、押し操作中だけ運転席ウインドウ4Aを作動(下降)させるポジションである。一方、押し込み位置は、運転席ウインドウ4Aを自動的に全開させるためのポジションであり、押し込み位置まで第1ウインドウSW26aが押し操作を受けると、その後、第1ウインドウSW26aから手を放しても、運転席ウインドウ4Aは、自動的に全開位置まで下降する。
【0044】
なお、この車両1では、上述したウインドウSW26a~26dのうちの一部、具体的には、第1ウインドウSW26a、第3ウインドウSW26c及び第4ウインドウSW26dが、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフするための切替スイッチとして兼用されており、これらウインドウSW26a、26c、26dが同期して押し操作を受けると、後記制御部40の制御により、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能がオンオフされる。すなわち、当例では、集中操作パネル18及び制御部40により本発明の「ドアミラー制御装置」が構成されている。
【0045】
ドアミラー6A、6Bの自動格納機能がオフされると、イグニッションSW38がオフされても、ドアミラー6A、6Bは格納位置P2へは変位せず、展開位置P1に保持される。このドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ制御については、後に詳述する。
【0046】
図5に示すように、上記車両1は、ドアミラー6A、6B及びウインドウ4A~4D等の動作を統括的に制御するための制御部40を備えている。
【0047】
この制御部40は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であり、中央演算処理装置(CPU)と、例えばROMやRAM等かなるメモリと、電気信号の入出力のための入出力(I/O)バスと、各種ドライバとを備えている。
【0048】
制御部40には、上記各スイッチ20、22、24、26(26a~26d)、38かが接続されるとともに、ドアミラー6A、6B及びウインドウ4A~4Dを作動させるための各種アクチュエータが接続されている。具体的には、車両1には、ドアミラー6A、6Bを展開/格納させるための左右のミラー展開/格納モータ42a、42bと、各ドアミラー6A、6Bのミラー本体の向きを調整するための左右のミラー調整用モータ44a、44bと、各ドア2A~2Eを統括的にロックするためのドアロックモータ46と、各ウインドウ4A~4Dを作動させるための第1~第4のウインドウモータ52~58(運転席ウインドウモータ52、助手席ウインドウモータ54、左後ウインドウモータ56、右後ウインドウモータ58)とが備えられており、これらモータ42a、42b、44a、44b、46、52~58が各々制御部40に接続されている。
【0049】
つまり、制御部40は、ダイヤルSW20が操作されると、このダイヤルSW20から出力される信号に基づいて左右のミラー調整用モータ44a、44bを制御し、これにより各ドアミラー6A、6Bのミラー本体を揺動させるとともに、左右のミラー展開/格納モータ42a、42bを制御し、これにより各ドアミラー6A、6Bを展開又は格納する。また、制御部40は、ドアロックSW24から出力される信号に基づいてドアロックモータ46を制御し、これにより各ドア2A~2Eの統括的なロック又はロック解除を実行する。また、制御部40は、各ウインドウSW26a~26dから出力される信号に基づいてウインドウモータ52~58を制御し、これにより各ウインドウ4A~4Dの開閉を行うとともに、ウインドウロックSW22から出力される信号に基づき、このような各ウインドウ4A~4Dの開閉動作のロック又はロック解除を実行する。
【0050】
また、制御部40は、イグニッションSW38から出力される信号(オフ信号)に基づいて左右のミラー展開/格納モータ42a、42bを制御し、これにより各ドアミラー6A、6Bを自動的に格納する。つまり、制御部40は、ドアミラー6A、6Bの自動格納動作を実行する。一方、制御部40は、ウインドウSW26a~26dのうちの一部、具体的には、第1ウインドウSW26a、第3ウインドウSW26c及び第4ウインドウSW26dから同期して押し操作信号が出力された場合には、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフする制御を実行する。以下、制御部40によるドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ制御について説明する。
【0051】
[ドアミラーの自動格納機能のオンオフ制御]
図6は、制御部40によるドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ制御の一例(第1実施形態)を示すフローチャートである。この制御は、イグニッションSW38がオン、又は図外のアクセサ(ACC)リスイッチがオンされるとスタートする。
【0052】
制御部40は、先ず、第1~第4のウインドウSW26a~26dの何れかがオン(ON)された否か(当例では、押し操作を受けたか否か)を判定し(ステップS1)、Yesの場合には、さらに、オンされたウインドウSWに第2ウインドウSW26bが含まれているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、Yesの場合には、制御部40は、オンされた全てのウインドウSWに対応するウインドウを作動(下降)させて(ステップS5)、処理をステップS1にリターンする。
【0053】
一方、オンされたウインドウSWに第2ウインドウSW26bが含まれていない場合(ステップS3でNo)には、制御部40は、図外のタイマをオンした後(ステップS7)、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dが全てオンされているか否かを判定する(ステップS9)。ここで、Noの場合には、制御部40は、タイマの設定時間Tが経過したか否かをさらに判定し(ステップS11)、Noの場合にはステップS9に処理をリターンする。この設定時間Tは、例えば0.8~1.2Sであり、感覚的に第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dを同時にオンしたと言えるごく短い時間に設定されている。
【0054】
ステップS11でNoの場合、すなわち、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dの何れかがオンされることなく、設定時間Tが経過した場合は、制御部40は、処理をステップS5に移行し、オンされている全てのウインドウSWに対応するウインドウを作動(下降)させる。
【0055】
一方、ステップS9でYesの場合、すなわち、設定時間T内に、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dが全てオンされた場合には、制御部40は、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ設定を切り替えて(ステップS13)、ステップS1に処理をリターンする。つまり、制御部40は、現在の自動格納機能の設定がオフの場合には、当該設定をオフに切り替え、現在の設定がオンの場合には、当該設定をオフに切り替える。この際、制御部40は、第1、第3、第4の各ウインドウ4A、4C、4Dを作動させることなく、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ設定の切り替えのみを実行する。
【0056】
この車両1では、上記のように、4つのウインドウSW26a~26dのうち、第2ウインドウSW26bを除いた残りのウインドウSW26a、26c、26dが同時に(同期して)オンされた場合は、第1、第3、第4の各ウインドウ4A、4C、4Dの作動が規制され、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ設定が切り替えられる。これにより、第1、第2、第3のウインドウSW26a、26c、26dが、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフするための切替スイッチとして兼用されている。
【0057】
[第1実施形態の作用効果等]
上述した車両1(ドアミラー制御装置)では、ドアミラー6A、6Bとは無関係の複数のウインドウSW26a、26c、26dが同時に押し操作を受けることで、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能がオンオフされる。つまり、これら複数のウインドウSW26a、26c、26dがドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフする切替スイッチとして兼用されている。このような構成によれば、集中操作パネル18の大型化を伴うことなく、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフを当該集中操作パネル18で行うことが可能となる。また、複数のウインドウSW26a、26c、26dを同時に押し操作するだけの簡単な操作で済むため、運転者が意図しない操作を行うことが抑制され、大柄で手が大きい運転者であっても、難なくドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフすることができる。
【0058】
従って、この車両1によれば、集中操作パネル18の大型化を伴うことなく、簡単な操作で、集中操作パネル18においてドアミラー6A、6Bの自動格納機能をオンオフすることが可能となる。
【0059】
特に、図7に模式的に示すように、第1、第3、第4のウインドウSW26a、26c、26dは、ドアミラー6A、6Bとは無関係の複数のスイッチ、つまり、ウインドウロックSW22、ドアロックSW24、ウインドウSW26(26a~26d)のうち、運転者Drの手が届く最も遠い位置のスイッチから優先的に定められたものである(図7中の2つの破線円の間の領域が、通常の運転姿勢で、運転者Drの手が届く最も遠い領域を示す)。換言すれば、第1、第3、第4のウインドウSW26a、26c、26dは、運転者の手が比較的届き難い位置にある。そのため、運転者が意図せずこれら複数のウインドウSW26a、26c、26dを同時に操作して、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能が意図せずオンオフされるようなことが抑制される。
【0060】
また、第1、第3、第4のウインドウSW26a、26c、26dを片手で操作しようとした場合、運転者は、人差し指、中指及び薬指で特定スイッチを操作することになる。そのため、運転者は、当該ウインドウSW26a、26c、26dの操作に集中する必要があり、この点でも運転者が意図しない操作を行うことが抑制される。
【0061】
[ドアミラーの自動格納機能のオンオフ制御の他の例]
図8は、制御部40によるドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ制御の第2実施形態を示すフローチャートである。この制御も、第1実施形態と同様に、イグニッションSW38がオン、又は図外のアクセサリ(ACC)スイッチがオンされるとスタートする。
【0062】
制御部40は、先ず、ウインドウロックSW22がオンか否か、すなわちウインドウ4A~4Dがロック状態にあるか否かを判断する(ステップS21)。ここで、Yesの場合には、制御部40は、第1、第2、第4のウインドウSW26a、26c、26dの何れかがオンされたか否かを判定し(ステップS23)、Yesの場合には、図外のタイマをオンした後(ステップS25)、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dが全てオンされているか否かを判定する(ステップS27)。ここで、Noの場合には、制御部40は、タイマの設定時間Tが経過したか否かをさらに判定し(ステップS29)、Noの場合にはステップS27に処理をリターンする。
【0063】
一方、ステップS27でYesの場合、すなわち、設定時間T内に、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dが全てオンされた場合には、制御部40は、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフ設定を切り替えて(ステップS31)、ステップS1に処理をリターンする。
【0064】
[第2実施形態の作用効果等]
第2実施形態では、ウインドウロックSW22がオンされた状態で、第1、第3、第4のウインドウSW26a、26c、26dが同時に押し操作を受けることで、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能がオンオフされる。つまり、ウインドウロックSW22がオンされていることが条件となる。
【0065】
このような第2実施形態の構成によれば、次のような利点がある。すなわち、第1実施形態では、第1、第3、第4の各ウインドウSW26a、26c、26dのうち、例えば第1ウインドウSW26aがオンされて、残りのウインドウSW(第3、第4の各ウインドウSW26c、26d)がオンされなかった場合(ステップS9でNo)には、設定時間Tが経過した後(ステップS11でYes)に、運転席ウインドウ4Aが開くこととなる(ステップS5)。つまり、第1ウインドウSW26aがオンされてから実際に運転席ウインドウ4Aが開き始めるまで、上記設定時間Tだけタイムラグは生じることとなる。このタイムラグは、上記の通り僅か0.8~1.2Sであるが、運転者によっては、違和感を覚えることが考えられる。これに対して、第2実施形態によれば、ウインドウ4A~4Dをロックしておくこと(ステップS21でYes)が前提であるため、運転者が上記のような違和感を覚える余地がない、という利点がある。
【0066】
[変形例等]
上述した車両1は、本発明に係るドアミラー制御装置が搭載された車両1の好ましい実施形態の例示であって、車両1やこれに搭載されるドアミラー制御装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、実施形態では、ウインドウSW26のうち、第1、第3、第4のウインドウSW26a、26c、26dを同時に(同期して)押し操作することにより、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフが切り替えられる。しかし、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフを切り替えるために操作するウインドウSWの数、操作方法、位置はこれに限定されるものではない。すなわち、操作するスイッチの数は2個又は4個であってもよい。また、操作方法は、引き操作でもよい。勿論、一部のスイッチを押し操作し、残りのスイッチを引き操作するようにしてもよい。また、操作するスイッチを、実施形態とは異なり、例えば第1、第2、第3のウインドウSW26a~26dとしてもよい。
【0068】
また、ドアミラー6A、6Bの自動格納機能のオンオフを切り替えるために操作するスイッチの種類は、ウインドウSW26に限られるものではない。集中操作パネル18に備えられるスイッチであって、ドアミラー6A、6Bの作動に関係の無い複数のスイッチであればよい。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
6A 左側ドアミラー
6B 右側ドアミラー
18 集中操作パネル
20 ダイヤルSW20(第1種スイッチ)
22 ウインドウロックSW(第2種スイッチ)
24 ドアロックSW(第2種スイッチ)
26 ウインドウSW(第2種スイッチ)
26a 運転席(第1)ウインドウSW(第2種スイッチ/特定スイッチ)
26b 助手席(第2)ウインドウSW(第2種スイッチ)
26c 左後(第3)ウインドウSW(第2種スイッチ/特定スイッチ)
26d 右後(第4)ウインドウSW(第2種スイッチ/特定スイッチ)
40 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8