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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】可塑化装置および三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/47 20190101AFI20221129BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20221129BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221129BHJP
【FI】
B29C48/47
B29C64/209
B33Y30/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018191602
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020059206
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秀嶋 保利
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523934(JP,A)
【文献】特開2018-079652(JP,A)
【文献】特開平10-230542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96,
B29C 64/00-64/40,
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化装置であって、
回転方向に沿った溝が形成され、中心軸に直交する径方向に対して中心軸周りの周方向にわたって傾斜している溝形成面を有するローターと、
前記周方向にわたって前記溝形成面に対して前記径方向に対面するように傾斜している対向面と、前記対向面と前記溝との間に供給される材料を加熱するヒーターと、前記ヒーターの熱で可塑化された前記材料が流通する連通孔と、を有する対面部と、
回転駆動力を発生する駆動モーターと、
前記ローターに対して前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に嵌合し、前記駆動モーターの回転軸と前記ローターとを連結して、前記駆動モーターの回転駆動力を前記ローターに伝達する連結部と、
前記ローターと前記連結部との間に配置された弾性部材と、
を備え
前記弾性部材の最も外側の部位は、前記ローターの中心に対してよりも、前記ローターの外周端に対して近い位置に配置されている、
可塑化装置。
【請求項2】
可塑化装置であって、
回転方向に沿った溝が形成され、中心軸に直交する径方向に対して中心軸周りの周方向にわたって傾斜している溝形成面を有するローターと、
前記周方向にわたって前記溝形成面に対して前記径方向に対面するように傾斜している対向面と、前記対向面と前記溝との間に供給される材料を加熱するヒーターと、前記ヒーターの熱で可塑化された前記材料が流通する連通孔と、を有する対面部と、
回転駆動力を発生する駆動モーターと、
前記ローターに対して前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に嵌合し、前記駆動モーターの回転軸と前記ローターとを連結して、前記駆動モーターの回転駆動力を前記ローターに伝達する連結部と、
前記ローターと前記連結部との間に配置された弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材は、前記ローターの外周に沿って配置されている、可塑化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の可塑化装置であって、
前記連結部と前記ローターのうちの一方は、前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に突起する嵌合凸部を有し、
前記連結部と前記ローターのうちの他方は、前記嵌合凸部が前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に挿入される嵌合凹部を有し、
前記弾性部材は、前記嵌合凹部内に配置されている、可塑化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記弾性部材は、前記ローターの中心軸を囲む円環状の部材である、可塑化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記連結部は、前記ローターと対向する面に、前記弾性部材を収容して固定する連結部側凹部を有している、可塑化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記ローターは、前記弾性部材を収容して固定するローター側凹部を有している、可塑化装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可塑化装置であって、
前記溝形成面と前記対向面との距離は、前記ローターの外周端から中心軸に近づくに従って小さくなる、可塑化装置。
【請求項8】
三次元造形装置であって、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の可塑化装置と、
前記可塑化装置によって可塑化された造形材料を吐出する吐出部と、
前記吐出部から吐出された前記造形材料が堆積される造形ステージと、
を備える、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可塑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形や射出成形に用いられる材料を、熱を加えて溶融して可塑化する可塑化装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、三次元造形装置である3Dプリンターに搭載されている可塑化装置が開示されている。特許文献1の可塑化装置は、ローターであるディスクを回転させて、材料を、ディスクと加熱プレートとの間に設けられた螺旋状の流路において可塑化させながら出口へと誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-523934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の可塑化装置では、螺旋状の流路内での材料の圧力を調整するために、ディスクは、その上面中央に取り付けられたばねによって、回転軸に沿った方向に変位可能に保持されている。こうした構成では、例えば流路内に材料が偏在するなどして、ばねが偏って伸縮した場合には、ディスクの回転軸が偏心して、ディスクの回転が不安定になってしまう可能性がある。特許文献1の可塑化装置に限らず、ローターを回転させ、ローターに設けられた溝内で材料を可塑化させる可塑化装置においては、材料を安定して可塑化させるためにも、ローターの回転を安定化させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術の一形態は、可塑化装置として提供される。この形態の可塑化装置は、回転方向に沿った溝が形成され、中心軸に直交する径方向に対して中心軸周りの周方向にわたって傾斜している溝形成面を有するローターと、前記周方向にわたって前記溝形成面に対して前記径方向に対面するように傾斜している対向面と、前記対向面と前記溝との間に供給される材料を加熱するヒーターと、前記ヒーターの熱で可塑化された前記材料が流通する連通孔と、を有する対面部と、回転駆動力を発生する駆動モーターと、前記ローターに対して前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に嵌合し、前記駆動モーターの回転軸と前記ローターとを連結して、前記駆動モーターの回転駆動力を前記ローターに伝達する連結部と、前記ローターと前記連結部との間に配置された弾性部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の可塑化装置を備える三次元造形装置の構成を示す概略図。
図2A】ローターの構成を示す概略斜視図。
図2B】ローターの他の構成例を示す概略斜視図。
図3】対面部の構成を示す概略平面図。
図4A】駆動機構とローターと対面部の概略断面図。
図4B】連結部と弾性部材の概略断面図。
図5】弾性部材の有無による造形材料の吐出状態の変化の検証結果を示す説明図。
図6A】第2実施形態の連結部の構成を示す概略断面図。
図6B】第2実施形態における弾性部材の配列構成を示す連結部の概略断面図。
図7】第3実施形態の連結部の構成を示す概略断面図。
図8A】第4実施形態の連結部およびローターの構成を示す概略断面図。
図8B】第4実施形態の連結部の構成を示す概略平面図。
図9】第5実施形態の連結部の構成を示す概略断面図。
図10】第6実施形態のローターの構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における可塑化装置10Aを備える三次元造形装置100の構成を示す概略図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。矢印Xが示す方向であるX方向および矢印Yが示す方向であるY方向は、水平面に平行であり、矢印Zが示すZ方向は、鉛直方向に一致する。鉛直方向は、重力方向と言い換えてもよい。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の参照図においても、図示の方向が図1と対応するように適宜、図示してある。
【0008】
三次元造形装置100は、可塑化装置10Aが可塑化させた造形材料を堆積させることによって三次元造形物を造形する。「可塑化」とは、熱可塑性を有する物質に熱が加わり溶融することを意味する。以下では、「三次元造形装置」を単に「造形装置」とも呼び、三次元造形物を単に「造形物」とも呼ぶ。「造形材料」については後述する。
【0009】
可塑化装置10Aは、造形材料に転化される前の原材料である材料MRを供給する供給部20と、材料MRを造形材料へと転化させる生成部30と、を備える。供給部20は、材料MRを貯蔵する材料供給源21と、材料供給源21の材料MRを生成部30に導出する接続管路22と、を備える。
【0010】
材料供給源21は、例えば、材料MRを収容するホッパーによって構成される。材料供給源21は、下方に排出口を有している。当該排出口は、接続管路22を介して、生成部30に接続されている。第1実施形態では、材料MRは、ペレットや粉末等の形態で材料供給源21に投入される。
【0011】
生成部30は、材料供給源21から供給された材料MRを溶融させることによって、可塑化して流動性を発現したペースト状の造形材料を生成し、吐出部60へと導く。生成部30は、ケース31と、駆動機構32と、ローター40と、対面部50と、を有する。
【0012】
ケース31は、下方に開口する凹部空間を有しており、当該凹部空間内に、後述する駆動機構32の連結部35とローター40とを収納する。ケース31の下方の開口は、対面部50によって閉塞される。上述した接続管路22は、ケース31内に設けられている。図示は省略するが、ケース31内には、接続管路22内の材料MRの昇温を抑制するための冷媒が流れる冷媒流路が、ローター40の外周を囲むように設けられている。
【0013】
駆動機構32は、ローター40をケース31内で回転させる。駆動機構32は、回転駆動力を発生する駆動モーター33と、駆動モーター33とローター40とを連結する連結部35と、を備える。駆動モーター33は、ケース31の上方に配置されている。駆動モーター33の回転軸34は、ケース31の天面部に設けられた貫通孔を通じて、連結部35の中心軸上において、連結部35に連結されている。
【0014】
連結部35は、ローター40の上面を覆うように、ローター40の上方に配置されている。連結部35とローター40とは、後述する嵌合凸部と嵌合凹部とが駆動モーター33の回転軸に沿った方向に嵌合することによって互いに連結される。連結部35は、駆動モーター33の回転軸34がローター40の中心軸CX上に位置するように、駆動モーター33とローター40とを連結する。第1実施形態では、連結部35は、内部に、図示していないギヤを有し、駆動モーター33の減速機としての機能を有する。図示は省略するが、連結部35は、Z方向において2分割された構成を有し、駆動モーター33側の部位がケース31に固定され、ローター40側の部位が駆動モーター33よりも減速された速度で、ローター40とともに回転する。なお、他の実施形態では、連結部35は、前記のように分割された構成を有していなくてもよく、連結部35全体が、内部の図示していないギヤによって駆動モーター33よりも減速された速度で、ローター40とともに回転する構成を有していてもよい。また、他の実施形態では、連結部35は、減速機として構成されていなくてもよく、可動部を有しない部材として構成されていてもよい。
【0015】
連結部35は、ローター40との間に、ローター40の中心軸CXを囲むように配置された弾性部材37Aを有する。弾性部材37Aは、ローター40の中心軸CXよりもローター40の外周端に近い位置に配置されている。第1実施形態では、弾性部材37Aは、ローター40の外周に沿って配置されている。また、第1実施形態では、弾性部材37Aは、円環状の弾性体によって構成されている。弾性部材37Aは、例えば、シリコーン樹脂や、テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂、ゴムなどの樹脂材料によって構成される。他の実施形態では、弾性部材37Aは、コイルばねや、円環状の板バネ、波ワッシャ、円環状のメタルガスケットなど、弾性変形するように成形された金属部材によって構成されてもよい。
【0016】
連結部35は、弾性部材37Aの弾性変形によって、駆動モーター33の回転軸34に対するローター40の姿勢変化を許容しながら、駆動モーター33の回転駆動力をローター40に伝達する。第1実施形態の可塑化装置10Aでは、ローター40が回転するときに、ローター40が、後述の対面部50の対向面52にガイドされた状態で、弾性部材37Aが弾性変形することにより、ローター40の回転が安定化される。弾性部材37Aを介した連結部35とローター40との連結構造の詳細および弾性部材37Aによるローター40の回転の安定化についての詳細は後述する。
【0017】
ローター40は、その中心軸CXがZ方向に平行になるように配置され、駆動機構32が発生させる回転駆動力によって、中心軸CXを回転軸として、ケース31内において周方向に回転する。ローター40は、回転方向に沿って形成された溝42を有しており、回転により材料MRを溝42内で混練しながら可塑化して送り出す。「混練」とは、材料を混ぜながら練り合わせることを意味する。
【0018】
第1実施形態では、ローター40は、いわゆるフラットスクリューとして構成されており、その中心軸に沿った方向である軸線方向における高さが直径よりも小さい略円柱状を有している。ローター40は、Z方向を向き、溝42が形成された溝形成面48を有している。溝形成面48は、ローター40の中心軸CXに直交する径方向に対して中心軸CX周りの周方向にわたってわずかに傾斜している。第1実施形態では、溝形成面48は、中心軸CX周りの周方向にわたって外周端から中心軸CXに向かう方向に向くように傾斜している。つまり、溝形成面48は、中心軸CXに向かって窪むように傾斜している。ローター40の中心軸CXに直交する径方向に対する溝形成面48の傾斜角は、例えば、1~10°程度としてよい。
【0019】
後に参照する図2Aにおいて図示されているように、溝42は、いわゆるスクロール溝として構成されており、外周側面41からローター40の中心軸CXが通る中央部46に向かって渦巻き状に形成されている。溝42はローター40の外周側面41まで形成されている。材料MRは、ローター40の外周側面41において開口している溝42の開口端部44を通じて、接続管路22から溝42内の空間へと導入される。以下では、溝42の開口端部44を「材料導入部44」とも呼ぶ。ローター40および溝42の具体的な構成については後述する。
【0020】
対面部50は、ローター40の溝形成面48と面する上面である対向面52を有する。対面部50は、バレルと呼んでもよい。対向面52は、ローター40の溝形成面48の傾斜に対応するように傾斜している。対向面52は、ローター40の中心軸CX周りの周方向にわたって、ローター40の径方向に溝形成面48と面するようにわずかに傾斜している。第1実施形態では、対向面52は、外周端から中心に向かってわずかに隆起しており、対向面52の中心は対向面52の外周端よりも上方に位置している。対向面52の中心と対向面52の外周端との間のZ方向における高低差は、例えば、2~3mm程度としてよい。第1実施形態では、溝形成面48と対向面52の傾斜角度は同じではなく、溝形成面48と対向面52との距離は、ローター40の外周端から中心軸CXに近づくに従って小さくなる。
【0021】
連結部35のケース31に対する配置位置は、ローター40の溝形成面48と対面部50の対向面52との間に、例えば、10μm以下の隙間が形成されるように、固定される。溝形成面48と対向面52の少なくとも一方は、例えば、DLCコーティングされていることが望ましい。
【0022】
ローター40の中心軸CXが通る対向面52の中心位置には、造形材料が流入する連通孔56が設けられている。また、対面部50には、対向面52の下方に、回転しているローター40の溝42内に供給された材料MRを加熱するヒーター58が埋め込まれている。生成部30における材料MRの可塑化は、ヒーター58による加熱と、ローター40の回転と、によって実現される。
【0023】
溝42内に供給された材料MRは、溝42内において混練され、溶融されながら、ローター40の回転によって溝42に沿って流動し、造形材料としてローター40の中央部46へと導かれる。中央部46に流入した可塑化された造形材料は、連通孔56を通じて生成部30から流出する。第1実施形態の可塑化装置10Aでは、Z方向に小型なサイズを有するローター40の採用によって、材料MRを溶融してノズル61まで導くための経路がZ方向に占める範囲が小さくなっている。
【0024】
なお、可塑化装置10Aでは、材料MRに含まれる全ての種類の物質が溶融によって可塑化されなくてもよい。可塑化装置10Aでは、材料MRは、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が溶融して可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。造形材料を構成する物質の具体例については、各実施形態の説明の後に説明する。
【0025】
造形装置100は、さらに、造形装置100を制御する制御部101と、可塑化装置10Aで生成された造形材料を吐出する吐出部60と、造形物の基台となる造形用のテーブル110と、造形材料の吐出位置を制御する移動機構130と、を備える。
【0026】
制御部101は、可塑化装置10Aと吐出部60と移動機構130とを制御して、造形物を造形する造形処理を実行する。第1実施形態では、制御部101は、少なくとも1つのプロセッサーと、主記憶装置と、を備えるコンピューターによって構成される。制御部101は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。他の実施形態では、制御部101の機能の少なくとも一部を、ハードウェア回路により実現するようにしてもよい。
【0027】
吐出部60は、制御部101の制御下において、可塑化装置10Aから供給された造形材料をテーブル110上の目標位置に吐出する。吐出部60は、造形材料を吐出する吐出口62を有するノズル61と、造形材料をノズル61に導く流路65と、を備える。
【0028】
ノズル61の吐出口62は、テーブル110の造形面111に向かって、Z方向に開口している。ノズル61は、流路65を通じて可塑化装置10Aの対面部50の連通孔56に接続されている。流路65には造形材料の流量を制御するための弁機構が設けられていてもよい。生成部30において生成された造形材料は、ノズル61の先端に設けられた吐出口62からテーブル110に向かって吐出される。
【0029】
テーブル110は、吐出部60の下方に配置されている。第1実施形態では、テーブル110の造形面111は、水平に、つまり、X,Y方向に平行に配置される。造形装置100は、造形データに従って予め決められたテーブル110の造形面111上の目標位置に造形材料を堆積させる処理を繰り返すことによって造形物を造形する。
【0030】
移動機構130は、テーブル110とノズル61との相対的な位置関係を変化させる。第1実施形態では、ノズル61の位置が固定されており、移動機構130は、テーブル110を移動させる。移動機構130は、3つのモーターMの駆動力によって、テーブル110をX,Y,Z方向の三方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。移動機構130は、制御部101の制御下において、ノズル61とテーブル110との相対的な位置関係を変更する。
【0031】
なお、他の実施形態では、移動機構130によってテーブル110を移動させる構成の代わりに、テーブル110の位置が固定された状態で、移動機構130がテーブル110に対してノズル61を移動させる構成が採用されてもよい。こうした構成であっても、テーブル110に対するノズル61の相対的な位置を変化させることができる。また、他の実施形態では、移動機構130が、テーブル110とノズル61とをそれぞれ移動させ、両者の相対的な位置を変化させる構成が採用されてもよい。
【0032】
図2Aは、第1実施形態におけるローター40の溝形成面48側の構成を示す概略斜視図である。図2Aには、ローター40の中心軸CXが一点鎖線で図示されている。また、図2Aには、生成部30においてローター40が回転する回転方向RDが図示されている。
【0033】
第1実施形態のローター40は、溝形成面48側に、1条の凸条部43と、1条の溝42と、中央部46と、を有する。凸条部43は、溝42の両側の側壁部を構成する壁部であり、ローター40の外周端から中心軸CXに向かって渦巻き状に延びている。ローター40の溝形成面48は、ローター40の凸条部43のZ方向に向く端面を含み、当該端面によって規定される。中央部46は、溝42の一端が接続され、凸条部43に囲まれている凹部として構成されている。中央部46は、図1および後に参照する図3に図示されている対面部50の連通孔56に対向する。中央部46は、中心軸CXと交差する。
【0034】
ローター40の溝42は、ローター40の外周側面41において開口している材料導入部44から、中心軸CXに向かって弧を描くように渦状に延びて、中央部46に接続されている。溝42は、螺旋状に延びるように構成されているとしてもよい。溝42は、溝42の流路断面積が、材料導入部44から中央部46に向かうにつれて小さくなるように構成されていることが望ましい。これにより、材料MRを可塑化する際の中央部46の圧力をより高めることができる。第1実施形態では、溝42の幅と深さとが、材料導入部44から中央部46に向かうにつれて小さくなっている。
【0035】
図2Bは、ローター40の他の構成例を示す概略図である。他の実施形態では、ローター40の溝42や凸条部43の数はそれぞれ1条に限定されない。他の実施形態では、ローター40は、図2Bに例示されているように、3条の溝42と、3条の凸条部43と、を有していてもよい。また、ローター40は、2条の溝42を有していてもよいし、4条以上の複数の溝42を有していてもよい。また、ローター40には、溝42の数に合わせて任意の条数の凸条部43が設けられてもよい。
【0036】
第1実施形態では、ローター40は、図2Aに図示されているように、外周側面41に材料導入部44が1箇所のみ設けられている。これに対して、他の実施形態では、図2Bに示すように、材料導入部44が3箇所に形成されていてもよい。ローター40に設けられる材料導入部44の数は、1箇所や3箇所に限定されない。ローター40には、材料導入部44が2箇所に設けられていてもよいし、4箇所以上の複数の箇所に設けられていてもよい。
【0037】
図3は、対面部50の対向面52をZ方向に見たときの概略平面図である。対向面52は、対面部50の中央に位置し、ローター40の溝形成面48とほぼ同径の円形形状を有している。図1を参照して説明したように、対面部50の対向面52には、ヒーター58が埋め込まれている。対向面52の中央には、上述した連通孔56は設けられており、連通孔56の周囲には、連通孔56から外周に向かって渦状に延びている複数の案内溝54が形成されている。複数の案内溝54は、ローター40の中央部46に面し、中央部46に流入した造形材料を連通孔56に導く。
【0038】
図1を参照する。第1実施形態の可塑化装置10Aでは、材料MRは、接続管路22を通じて、ローター40の径方向外方からローター40の外周側面41の開口端部44に供給されている。また、上述したように、第1実施形態の可塑化装置10Aでは、ローター40の外周を囲むように図示されていない冷媒流路が設けられている。そのため、材料MRが、溝42に入る前に、ローター40からの熱を受けてしまうことが抑制されるため、可塑化した材料MRによって開口端部44が閉塞されてしまうことが抑制される。
【0039】
図1および図2Aを参照する。ローター40が回転すると、材料MRは、可塑化されながら溝42に沿って中央部46に向かって移動し、中央部46に近づくほど昇温して溶融する。中央部46に集められた造形材料は、中央部46で生じている内圧により、連通孔56を通じてノズル61の流路65へと導かれ、吐出口62から吐出される。
【0040】
ローター40を用いている生成部30によれば、材料MRの可塑化の際に、溝42内の圧力が中央部46に近づくほど高くなるため、最終的に生成される造形材料の混練度が高められる。「混練度が高められる」とは、材料がより均一な状態になるように混練されることを意味する。また、材料MRの空隙に存在する空気が、溝42内に生じる圧力によって材料導入部44側へと押し出されるため、造形材料の脱気が促進される。
【0041】
造形装置100では、可塑化装置10Aにおいてローター40を利用していることによって、流動性を有する造形材料を生成し、ノズル61へと圧送する構成が簡易に実現されている。この構成によれば、ノズル61からの造形材料の吐出量の制御がローター40の回転数の制御によって可能であり、ノズル61からの造形材料の吐出量の制御が容易化される。
【0042】
図4Aおよび図4Bを参照して、弾性部材37Aを介した連結部35とローター40との連結構造と、弾性部材37Aを有する連結部35の機能を説明する。図4Aは、ローター40の中心軸CXを通る切断面における駆動機構32とローター40と対面部50の概略断面図である。図4Bは、図4Aに示す4B-4B切断における連結部35と弾性部材37Aの概略断面図である。
【0043】
連結部35は、Z方向の寸法が直径よりも小さい略円柱形状を有している。図4Aに示すように、連結部35のZ方向における寸法は、ローター40のZ方向における寸法よりも大きい。連結部35は、Z方向に向く底面の中央にローター40に向かって突起している嵌合凸部70を有している。嵌合凸部70は、円柱の側面の一部を切り欠いたような形状を有しており、図4Bに示すように、側面に、Z方向に平行な平面である係合面71を有している。
【0044】
図4Aに示すように、ローター40の上面側には、嵌合凸部70を収容する嵌合凹部75が設けられている。嵌合凸部70は、嵌合凹部75に対して、駆動モーター33の回転軸34に沿った方向、つまり、ローター40の中心軸CXに沿った方向に挿入される。嵌合凹部75の開口は、嵌合凸部70の外周に嵌合する形状を有している。図4Bには、嵌合凸部70が嵌合しているときの嵌合凹部75の開口を一点鎖線で模式的に示してある。
【0045】
嵌合凹部75の内壁面は、嵌合凸部70の係合面71に平行な、係合面71に対面する平面である被係合面76を含んでいる。駆動モーター33によって連結部35の嵌合凸部70が回転するときには、嵌合凸部70の係合面71と嵌合凹部75の被係合面76とが係合するため、ローター40は、嵌合凸部70とともに回転する。なお、他の実施形態では、係合面71および被係合面76は複数組が設けられていてもよい。
【0046】
図4Aおよび図4Bに示すように、連結部35の外周縁部には、嵌合凸部70を囲み、ローター40の中心軸CXに沿った方向に向く円環状の外周平面部72が形成されている。図4Aに示すように、ローター40の上面側の外周縁部には、嵌合凹部75を囲む円環状の外周平面部77が形成されている。連結部35の外周平面部72とローター40の外周平面部77とはZ方向に互いに対向する。第1実施形態では、連結部35の弾性部材37Aは、外周平面部72とローター40の外周平面部77との間に配置されている。弾性部材37Aは、連結部35の外周平面部72と、ローター40の外周平面部77とに接合されている。
【0047】
ここで、互いに対面する嵌合凸部70の側壁面と嵌合凹部75の側壁面との間には、例えば、数μm~数十μm程度の微小な隙間が形成されている。そのため、ローター40は、連結部35に対する駆動モーター33の回転軸34に沿った方向への移動や、駆動モーター33の回転軸34に対する1°未満のわずかな傾斜が許容されている。弾性部材37Aが弾性変形することによって、連結部35およびそれに連結されている駆動モーター33の回転軸34に対するローター40の位置や角度が変化する。
【0048】
図4Aを参照する。上述したように、ローター40の溝形成面48は、中心軸CX周りの周方向にわたって中心軸CXに直交する径方向に対して傾斜している。また、対面部50の対向面52は、中心軸CX周りの周方向にわたって溝形成面48と中心軸CXに直交する径方向に面するように傾斜している。この構成により、ローター40を高速回転させたときにローター40の中心軸CXが傾くと、2つの傾斜面48,52が接触し、ローター40の中心軸CXの角度を対向面52の中心軸に近づける方向の反力が発生する。そのローター40の中心軸CXの傾きを正す方向に働く反力によって、弾性部材37Aが弾性変形して、ローター40の傾きが補正される。このように、ローター40は、対向面52のガイドによって、溝形成面48と対向面52とが近づきすぎず、離れすぎないように、高速回転中の姿勢が適切に調整される。よって、ローター40の偏心によってローター40の回転が不安定になってしまうことが抑制され、溝42内において材料MRの可塑化が円滑におこなわれる。また、ローター40の中央部46での造形材料の圧力が安定化するため、連通孔56からの造形材料の吐出を安定して良好におこなうことができる。
【0049】
ローター40を回転させて溝42において材料MRを可塑化させているときには、ローター40の部位ごとに温度のばらつきが生じる場合がある。そのため、ローター40の部位ごとに熱膨張量の差が生じ、ローター40の溝形成面48と対面部50の対向面52との間の距離にばらつきが生じ、溝形成面48と対向面52とが接触する部位が生じる可能性がある。可塑化装置10Aでは、溝形成面48と対向面52との接触部位が生じても、弾性部材37Aが弾性収縮することによって、溝形成面48と対向面52との間に、ローター40の回転が停止されるほどの摩擦抵抗が生じることが抑制される。よって、溝形成面48と対向面52との接触によりローター40の回転が停止してしまい、材料MRの可塑化が滞ってしまうことが抑制される。
【0050】
可塑化装置10Aでは、ローター40が高速回転している間に、溝形成面48と対向面52とが接触すると、その衝撃によって弾性部材37Aが弾性変形して、溝形成面48と対向面52とが離れる方向にローター40の姿勢が変化する。そのため、溝形成面48と対向面52とが接触し続けることによるローター40および対面部50の摩耗が抑制される。また、溝形成面48と対向面52との接触によって生じる衝撃が弾性部材37Aの弾性変形によって吸収されるため、ローター40および対面部50の耐久性の劣化が抑制される。
【0051】
上述したように、可塑化装置10Aでは、弾性部材37Aは、ローター40の中心軸CXよりも外周端に近い位置に配置されている。そのため、弾性部材37Aが中心軸CXに近い中央位置のみに配置されている場合よりも連結部35に対する姿勢が安定する。よって、弾性部材37Aの弾性変形により、ローター40の回転軸の角度が、駆動モーター33の回転軸34に対して、過度に変動してしまうことが抑制される。特に、第1実施形態では、弾性部材37Aは、ローター40の外周に沿って配置されているため、ローター40の姿勢がより安定化される。
【0052】
第1実施形態の可塑化装置10Aでは、ローター40のZ方向における寸法は、少なくとも、連結部35のZ方向における寸法よりも小さい。そのため、ローター40のZ方向における寸法が連結部35のZ方向における寸法よりも大きい場合よりも、回転中のローター40の中心軸CXが傾いたときの連結部35の中心軸に対する溝形成面48の位置ずれ量が低減される。よって、ローター40の姿勢変化に対する溝形成面48の位置変動が抑制されるため、材料MRの可塑化を、より安定しておこなうことができる。
【0053】
可塑化装置10Aでは、ローター40の外周端から中心軸CXに近づくにつれて、ローター40の溝形成面48と対面部50の対向面52との間の距離が小さくなる。これによって、材料MRの可塑化が十分ではなく、材料MRの硬度が比較的高いローター40の外周端に近い領域では、溝形成面48と対向面52との間の距離が大きい方が、材料MRが移動しやすく、ローター40および対面部50の摩耗が抑制される。また、可塑化が進み、材料MRの流動性が高くなっている中心軸CXに近い領域では、溝形成面48と対向面52との間の距離が小さい方が、溶融した材料MRが溝形成面48と対面部50との間に入り込んでしまうことが抑制される。
【0054】
図5は、弾性部材37Aの有無による造形材料の吐出状態の変化を検証した実験の実験結果を示す説明図である。この実験では、弾性部材37Aを介して連結部35とローター40とを連結させた場合と、弾性部材37Aを省略して連結部35とローター40とを固定的に一体化した場合と、において、吐出部60からの造形材料の吐出量の変動係数を計測した。変動係数は、ローター40の回転数を、10rpm、20rpm、30rpmとしたときのそれぞれについて、造形材料を30秒間吐出させたときの吐出量を20回計測し、その計測値を用いて算出した。なお、材料MRとしては、平均粒径4μmのステンレス鋼の粉体と、熱可塑性を有する材料を含有するバインダーと、を混合してペレット状に成形したものを用いた。
【0055】
図5に示すように、この実験では、いずれの回転数においても、弾性部材37Aを用いた場合には、変動係数は、弾性部材37Aを用いなかった場合よりも著しく小さい値となった。このように、弾性部材37Aを用いて連結部35に対するローター40の姿勢変化を許容した状態で駆動モーター33の回転軸34とローター40とを連結することによって、造形材料の吐出量の変動が抑制された。これは、ローター40の回転が安定化され、溝42において造形材料の可塑化が円滑におこなわれ、吐出部60での吐出圧力が安定したためであると考えられる。
【0056】
以上のように、第1実施形態の可塑化装置10Aによれば、弾性部材37Aの弾性変形によって連結部35に対するローター40の姿勢の変動が許容されており、回転中のローター40の姿勢は、中心に向かって傾斜している対向面52にガイドされて補正される。よって、回転中のローター40の姿勢を安定化させることができ、材料MRの可塑化を円滑化できる。また、第1実施形態の可塑化装置10Aを備える三次元造形装置100によれば、吐出部60からの造形材料の吐出量を安定化させることができ、造形物の造形精度が高められる。その他に、第1実施形態の可塑化装置10Aおよび造形装置100によれば、本実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0057】
2.第2実施形態:
図6Aは、第2実施形態の可塑化装置10Bが備える連結部35の構成を示す概略断面図である。図6Bは、図6Aに示す6B-6B切断における連結部35の概略断面図であり、第2実施形態の弾性部材37Bの配列構成を示している。第2実施形態の可塑化装置10Bは、連結部35が、円環状の弾性部材37Aの代わりに、複数の弾性部材37Bを備えている点以外は、第1実施形態の可塑化装置10Aの構成とほぼ同じである。第2実施形態の可塑化装置10Bは、第1実施形態の可塑化装置10Aと同様に、第1実施形態で説明した図1に示す造形装置100に搭載される。
【0058】
第2実施形態の連結部35が備える複数の弾性部材37Bは、金属製のコイルばねによって構成される。なお、他の実施形態では、複数の弾性部材37Bは、Z方向に沿って配置される柱状の樹脂部材によって構成されてもよい。各弾性部材37Bは、図6Aに示すように、Z方向に平行な方向を伸縮方向として、連結部35の外周平面部72とローター40の外周平面部77とにZ方向に挟まれた状態で配置される。各弾性部材37Bは、図6Bに示すように、ローター40の中心軸CXを囲むように配列されている。第2実施形態の可塑化装置10Bによれば、各弾性部材37Bの弾性係数や各弾性部材37Bの配列間隔を調整することによって、駆動モーター33の回転軸34に対するローター40の姿勢変化を調整することができる。その他に、第2実施形態の可塑化装置10Bおよびそれを備える造形装置100によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0059】
3.第3実施形態:
図7は、第3実施形態の可塑化装置10Cが備える連結部35の構成を示す概略断面図である。第3実施形態の可塑化装置10Cは、連結部35が、弾性部材37Aの代わりに、弾性部材37Cを備えている点以外は、第1実施形態の可塑化装置10Aの構成とほぼ同じである。第3実施形態の可塑化装置10Cは、第1実施形態の可塑化装置10Aと同様に、第1実施形態で説明した図1に示す造形装置100に搭載される。
【0060】
第3実施形態の可塑化装置10Cが備える連結部35では、弾性部材37Cは、シート状の弾性部材によって構成される。弾性部材37Cは、ローター40の嵌合凹部75の底面に面する嵌合凸部70の端面73に設けられ、ローター40の嵌合凹部75内に配置される。弾性部材37Cは、嵌合凹部75内において、嵌合凹部75の底面を覆うように配置される。弾性部材37Cの外周端は、ローター40の中心軸CXより外周端に近い位置に位置する。つまり、弾性部材37Cの少なくとも一部は、ローター40の中心軸CXより外周端に近い位置に位置する。第3実施形態の可塑化装置10Cによれば、弾性部材37Cが嵌合凹部75内に配置されているため、連結部35からの弾性部材37の脱落が抑制される。また、弾性部材37がシート状に構成されているため、弾性部材37の配置姿勢が崩れてしまうことが抑制され、連結部35に対するローター40の姿勢をより安定させることができる。その他に、第3実施形態の可塑化装置10Cおよびそれを備える造形装置100によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0061】
4.第4実施形態:
図8Aは、第4実施形態の可塑化装置10Dが備える連結部35Dおよびローター40Dの構成を示す概略断面図である。図8Bは、第4実施形態の連結部35DをZ方向とは反対の方向に見たときの概略平面図である。図8Bには、嵌合凸部70Dに嵌合凹部75Dが嵌合しているときのローター40Dの中心軸CXと、嵌合凹部75Dの第1部位78aと第2部位78bの開口が一点鎖線で図示されている。また、図8Bでは、便宜上、弾性部材37Dにハッチングを付してある。
【0062】
第4実施形態の可塑化装置10Dは、連結部35およびローター40の代わりに、連結部35Dおよびローター40Dを備えている点以外は、第1実施形態の可塑化装置10Aの構成とほぼ同じである。第2実施形態の可塑化装置10Bは、第1実施形態の可塑化装置10Aと同様に、第1実施形態で説明した図1に示す造形装置100に搭載される。
【0063】
第4実施形態の連結部35Dの構成は、形状が異なる嵌合凸部70Dを備えている点と、配置位置が異なる弾性部材37Dを備えている点以外は、第1実施形態の連結部35とほぼ同じである。また、第4実施形態のローター40Dの構成は、嵌合凸部70Dに適合する嵌合凹部75Dを有している点以外は、第1実施形態のローター40とほほ同じである。
【0064】
図8Aに示すように、第4実施形態の連結部35Dでは、嵌合凸部70Dは、径が異なる円柱状の部位が、互いに中心軸が一致するようにZ方向に積層された形状を有している。嵌合凸部70Dは、径が大きい第1部位74aを駆動モーター33側に有しており、径が小さい第2部位74bをローター40D側に有している。第1部位74aは外周平面部72からZ方向に階段状に突出している。第2部位74bは、第1部位74aから階段状にZ方向に突出している。図8Bに示すように、係合面71は第2部位74bに設けられている。
【0065】
図8Aに示すように、第4実施形態のローター40Dでは、嵌合凹部75Dは、連結部35D側に嵌合凸部70Dの第1部位74aが嵌合する内径が大きい第1部位78aを有している。また、嵌合凹部75Dは、対面部50側に嵌合凸部70Dの第2部位74bが嵌合する内径が小さい第2部位78bを有している。図8Bに示すように、第2部位78bの内壁面は、嵌合凸部70Dの係合面71に面する被係合面76を含んでいる。
【0066】
第4実施形態の弾性部材37Dは、略円環形状を有するシート状の樹脂部材によって構成されている。樹脂部材としては、第1実施形態で例示したものでよい。弾性部材37Dは、図8Aに示すように、嵌合凸部70Dの第2部位74bの基端部を囲む連結部側平面81と、嵌合凹部75Dの第2部位78bの開口部を囲むローター側平面82と、の間に挟まれている。図8Bに示すように、弾性部材37Dは、ローター40Dの中心軸CXを囲むように配置されている。弾性部材37Dは、嵌合凹部75内において、ローター40Dの外周に沿って配置されている。弾性部材37Dの外周端は、ローター40Dの中心軸CXより外周端に近い位置に配置されている。弾性部材37Dの少なくとも一部は、ローター40Dの中心軸CXより外周端に近い位置に配置されている。
【0067】
なお、他の実施形態では、弾性部材37Dは、コイルばねや、円環状の板バネ、波ワッシャ、円環状のメタルガスケットなど、弾性変形するように成形された金属部材によって構成されてもよい。また、第2実施形態のように、ローター40Dの中心軸CXを囲むように配列された複数の弾性部材によって構成されてもよい。
【0068】
第4実施形態の可塑化装置10Dによれば、弾性部材37Dがローター40Dの嵌合凹部75D内に配置されているため、弾性部材37Dが規定の配置位置から脱落してしまうことが抑制される。また、第4実施形態の可塑化装置10Dによれば、嵌合凸部70Dと嵌合凹部75Dとがそれぞれの第1部位74a,78aと第2部位74b,78bにおいて嵌合するため、ローター40Dが連結部35Dからより一層脱落しにくくなっている。その他に、第4実施形態の可塑化装置10Dおよびそれを備える造形装置100によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0069】
5.第5実施形態:
図9は、第5実施形態の可塑化装置10Eが備える連結部35Eの構成を示す概略断面図である。第5実施形態の可塑化装置10Eは、連結部35Eに連結部側凹部85が設けられている点と、連結部35Eが連結部側凹部85内に一部が収容される弾性部材37Eを備えている点以外は、第1実施形態の可塑化装置10Aの構成とほぼ同じである。第5実施形態の可塑化装置10Eは、第1実施形態の可塑化装置10Aと同様に、第1実施形態で説明した図1に示す造形装置100に搭載される。
【0070】
第5実施形態の連結部35Eは、ローター40の嵌合凹部75の底面に面する嵌合凸部70の端面73に連結部側凹部85が設けられている。連結部側凹部85は、ローター40の中心軸CXを囲むように形成された円環状の溝部によって構成される。連結部側凹部85は、ローター40の中心軸CXよりも外周端に近い位置に設けられている。第5実施形態の弾性部材37Eは、連結部側凹部85内に配置されており、連結部側凹部85から突出して嵌合凹部75の底面に接している点以外は、第1実施形態の弾性部材37Aとほぼ同じである。第5実施形態の可塑化装置10Eによれば、弾性部材37Eの位置ずれが抑制されるため、弾性部材37Eの位置ずれに起因する回転中のローター40の偏心が抑制される。その他に、第5実施形態の可塑化装置10Eおよびそれを備える造形装置100によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0071】
6.第6実施形態:
図10は、第6実施形態の可塑化装置10Fが備えるローター40Fの構成を示す概略断面図である。第6実施形態の可塑化装置10Fは、ローター40Fにローター側凹部86が設けられている点と、連結部35がローター側凹部86内に一部が収容される弾性部材37Fを備えている点以外は、第1実施形態の可塑化装置10Aの構成とほぼ同じである。第6実施形態の可塑化装置10Fは、第1実施形態の可塑化装置10Aと同様に、第1実施形態で説明した図1に示す造形装置100に搭載される。
【0072】
第6実施形態のローター40Fは、嵌合凹部75の底面にローター側凹部86が設けられている。ローター側凹部86は、ローター40の中心軸CXを囲むように形成された円環状の溝部によって構成される。ローター側凹部86は、ローター40の中心軸CXよりも外周端に近い位置に設けられている。第6実施形態の弾性部材37Fは、ローター側凹部86内に配置されており、ローター側凹部86から突出して、連結部35の嵌合凸部70の端面73に接している点以外は、第1実施形態の弾性部材37Aとほぼ同じである。第6実施形態の可塑化装置10Fによれば、弾性部材37Fの位置ずれが抑制されるため、弾性部材37Fの位置ずれに起因する回転中のローター40の偏心が抑制される。その他に、第6実施形態の可塑化装置10Fおよびそれを備える造形装置100によれば、上記の第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0073】
7.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0074】
(1)他の実施形態1:
上記の各実施形態において、溝形成面48は、ローター40,40D,40Fの中心軸CX周りの周方向にわたって中心軸CXから外周端に向かう方向、つまり、径方向外側に向くように傾斜していてよい。この場合には、対向面52は、ローター40,40D,40Fの中心軸CX周りの周方向にわたって、外周端から中心軸CXに向かう方向、つまり、径方向内側に向くように傾斜する。
【0075】
(2)他の実施形態2:
上記の各実施形態においては、嵌合凸部70,70Dがローター40,40D,40Fに設けられ、嵌合凹部75,75Dが連結部35,35D,35Eに設けられている。これに対して、嵌合凸部70がローター40,40D,40Fに設けられ、嵌合凸部70,70Dが連結部35,35D,35Eに設けられていてもよい。つまり、ローター40,40D,40Fと連結部35,35D,35Eとのうちの一方に嵌合凸部70,70Dが設けられ、他方に、嵌合凸部70,70Dに対応する嵌合凹部75が設けられていればよい。なお、嵌合凸部70,70Dは略円柱形状でなくてもよく、例えば、多角柱形状を有していてもよい。
【0076】
(3)他の実施形態3:
上記の各実施形態においては、ローター40,40D,40Fの溝形成面48と対面部50の対向面52との間の距離は、ローター40の外周端から中心軸CXに近づくにつれて小さくなっている。これに対して、溝形成面48と対向面52との間の距離は、ローター40の径方向においてほぼ一定であるとしてもよい。あるいは、溝形成面48と対向面52との間の距離は、ローター40の外周端から中心軸CXに近づくにつれて大きくなってもよい。
【0077】
(4)他の実施形態4:
上記の第1実施形態や第2実施形態において、第5実施形態の連結部側凹部85や第6実施形態で説明したローター側凹部86に弾性部材37A,37Bが収容されてもよい。上記の第3実施形態において、弾性部材37Cの代わりに、第2実施形態で説明した複数の弾性部材37Bが、嵌合凹部75の底面の全体にわたって配列されていてもよい。
【0078】
(5)他の実施形態5:
上記の各実施形態の可塑化装置10A,10B,10C,10Dは、造形装置100に搭載されていなくてもよく、他の可塑化された材料を用いる装置に搭載されていてもよい。可塑化装置10A,10B,10C,10Dは、例えば、射出成形装置に搭載されてもよい。この場合には、対面部50の連通孔56は金型のキャビティに接続される。
【0079】
8.造形材料の例:
上記の各実施形態の造形装置100において用いられる造形材料の具体例について説明する。造形装置100では、例えば、熱可塑性を有する材料や、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料として造形物を造形することができる。ここで、「主材料」とは、可塑化装置10Aにおいて生成される造形材料の中心となる材料を意味し、当該造形材料において50重量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した造形材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0080】
主材料として熱可塑性を有する材料を用いる場合には、生成部30において、当該主材料が可塑化することによって造形材料が生成される。熱可塑性を有する材料としては、例えば、下記の熱可塑性樹脂材料を用いることができる。
<熱可塑性樹脂材料の例>
ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック。
【0081】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、生成部30において、ローター40の回転とヒーター58の加熱によって溶融し、可塑化した状態に転化される。熱可塑性を有する材料の溶融によって生成された造形材料は、ノズル61から吐出された後、温度の低下によって硬化する。
【0082】
熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル61から射出されることが望ましい。例えば、ABS樹脂は、ガラス転移点が約120℃であり、ノズル61からの吐出時には約200℃であることが望ましい。このように高温の状態で造形材料を吐出するために、ノズル61の周囲にはヒーターが設けられてもよい。
【0083】
造形装置100では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、以下の金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、下記の金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料の生成の際に溶融して可塑化する成分が混合されて、材料MRとして生成部30に供給されることが望ましい。
<金属材料の例>
マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくは、これらの金属を1つ以上含む合金。
<前記合金の例>
マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン鋼、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金。
【0084】
造形装置100においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックスや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスなどが使用可能である。主材料として、上述したような金属材料やセラミック材料を用いる場合には、テーブル110に配置された造形材料は焼結によって硬化されてもよい。
【0085】
材料供給源21に材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上で例示したような熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、生成部30において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0086】
材料供給源21に材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のような溶剤を添加することもできる。溶剤は、下記の中から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<溶剤の例>
水、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラアルキルアンモニウムアセテート類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤、テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等)、ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等。
【0087】
その他に、材料供給源21に材料MRとして投入される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、以下のようなバインダーを添加することもできる。
<バインダーの例>
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂又はPLA(ポリ乳酸)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)或いはその他の熱可塑性樹脂。
【0088】
9.形態例:
本開示の技術は、上述の各実施形態や実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態によって実現することができる。例えば、本開示の技術は以下の形態として実現可能である。以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する上記の各実施形態中の技術的特徴は、本開示の技術が達成すべき課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の技術が奏すべき効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中において必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0089】
(1)第1の形態は、可塑化装置として提供される。この形態の可塑化装置は、回転方向に沿った溝が形成され、中心軸に直交する径方向に対して中心軸周りの周方向にわたって傾斜している溝形成面を有するローターと、前記周方向にわたって前記溝形成面に対して前記径方向に対面するように傾斜している対向面と、前記対向面と前記溝との間に供給される材料を加熱するヒーターと、前記ヒーターの熱で可塑化された前記材料が流通する連通孔と、を有する対面部と、回転駆動力を発生する駆動モーターと、前記ローターに対して前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に嵌合し、前記駆動モーターの回転軸と前記ローターとを連結して、前記駆動モーターの回転駆動力を前記ローターに伝達する連結部と、前記ローターと前記連結部との間に配置された弾性部材と、を備える。
この形態の可塑化装置によれば、弾性部材の弾性変形によって、駆動モーターの回転軸に対するローターの姿勢変化が許容された状態で、駆動モーターの回転駆動力が連結部によってローターに伝達される。そのため、ローターの回転軸の偏心が改善されるように、ローターが回転している間の姿勢を、溝形成面に対面し、中心に向かって傾斜している対向面のガイドによって補正させることができる。よって、ローターの回転を安定化させることができ、ローターの溝内での材料の安定した可塑化を実現することができる。
【0090】
(2)上記形態の可塑化装置において、前記弾性部材の少なくとも一部は、前記ローターの中心より外周端に近い位置に配置されてよい。
この形態の可塑化装置によれば、弾性部材によってローターの姿勢が不安定になってしまうことが抑制されるため、ローターをより安定して回転させることができる。
【0091】
(3)上記形態の可塑化装置において、前記連結部と前記ローターのうちの一方は、前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に突起する嵌合凸部を有し、前記連結部と前記ローターのうちの他方は、前記嵌合凸部が前記駆動モーターの回転軸に沿った方向に挿入される嵌合凹部を有し、前記弾性部材は、前記嵌合凹部内に配置されてよい。
この形態の可塑化装置によれば、ローターと連結部との連結を嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合によって簡易に実現することができる。また、弾性部材が嵌合凹部内に配置されているため、弾性部材の連結部からの脱落が抑制される。
【0092】
(4)上記形態の可塑化装置において、前記弾性部材は、前記ローターの外周に沿って配置されてよい。
この形態の可塑化装置によれば、ローターの回転軸の偏心をより一層抑制することができる。
【0093】
(5)上記形態の可塑化装置において、前記弾性部材は、前記ローターの中心軸を囲む円環状の部材であってよい。
この形態の可塑化装置によれば、連結部の構成を簡素化できる。また、連結部における弾性部材の設置を容易化することができる。
【0094】
(6)上記形態の可塑化装置において、前記連結部は、前記ローターと対向する面に、前記弾性部材を収容して固定する連結部側凹部を有してよい。
この形態の可塑化装置によれば、弾性部材の位置ずれを抑制することができる。
【0095】
(7)上記形態の可塑化装置において、前記ローターは、前記弾性部材を収容して固定するローター側凹部を有してよい。
この形態の可塑化装置によれば、弾性部材の位置ずれを抑制することができる。
【0096】
(8)上記形態の可塑化装置において、前記溝形成面と前記対向面との距離は、前記ローターの外周端から中心軸に近づくに従って小さくなってよい。
この形態の可塑化装置によれば、可塑化し始めたばかりの材料によって、ローターおよび対面部の外周端側の部位が摩耗することが抑制される。
【0097】
(9)第2の形態は、三次元造形装置として提供される。この形態の三次元造形装置は、上記のいずれかの形態の可塑化装置と、前記可塑化装置によって可塑化された造形材料を吐出する吐出部と、前記吐出部から吐出された前記造形材料が堆積される造形ステージと、を備える。
この形態の三次元造形装置によれば、可塑化装置において安定して可塑化がおこなわれるため、吐出部からの造形材料の吐出を安定させることができ、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0098】
本開示の技術は、可塑化装置や三次元造形装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、材料を可塑化する可塑化方法や、可塑化装置を備えた射出成形装置などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0099】
10A…可塑化装置、10B…可塑化装置、10C…可塑化装置、10D…可塑化装置、10E…可塑化装置、10F…可塑化装置、20…供給部、21…材料供給源、22…接続管路、30…生成部、31…ケース、32…駆動機構、33…駆動モーター、34…回転軸、35…連結部、35D…連結部、35E…連結部、37A…弾性部材、37B…弾性部材、37C…弾性部材、37D…弾性部材、37E…弾性部材、37F…弾性部材、40…ローター、40D…ローター、40F…ローター、41…外周側面、42…溝、43…凸条部、44…材料導入部、46…中央部、48…溝形成面、50…対面部、52…対向面、54…案内溝、56…連通孔、58…ヒーター、60…吐出部、61…ノズル、62…吐出口、65…流路、70…嵌合凸部、70D…嵌合凸部、71…係合面、72…外周平面部、73…端面、74a…第1部位、74b…第2部位、75…嵌合凹部、75D…嵌合凹部、76…被係合面、77…外周平面部、78a…第1部位、78b…第2部位、81…連結部側平面、82…ローター側平面、85…連結部側凹部、86…ローター側凹部、100…三次元造形装置、101…制御部、110…テーブル、111…造形面、130…移動機構、CX…中心軸、M…モーター、MR…材料、RD…回転方向
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10