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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】マルチチップパッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/18 20060101AFI20221129BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20221129BHJP
   H01L 23/32 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 23/52 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L23/32 D
H01L23/52 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018200222
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020068296
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】根立 貴章
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185648(JP,A)
【文献】国際公開第2017/064791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/00
H01L23/32
H01L23/52
H01L23/538
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板と第二の基板とが互いに隣接するように、取り付け面側に取リ付けられたベース基板と、
前記第一の基板の外形を成す複数の面のうち、前記第二の基板に隣接する面に、電気信号を入力あるいは出力可能な第一の信号入出力部が形成された前記第一の基板と、
前記第二の基板の外形を成す複数の面のうち、前記第一の基板に隣接する面に、前記電気信号を入力あるいは出力可能な第二の信号入出力部が形成された前記第二の基板と、
前記第一の信号入出力部と前記第二の信号入出力部とを、前記ベース基板を介することなく前記電気信号を伝送可能に接続する接続部と、
を備え
前記接続部は、誘電体材料を用いることによって、前記第一の信号入出力部と前記第二の信号入出力部とを容量結合する、
マルチチップパッケージ。
【請求項2】
前記接続部は、前記誘電体材料を含むコンデンサと、
導電材料により構成され、かつ、収縮可能な構造を備えることによって、前記コンデンサと、前記第一の信号入出力部あるいは前記第二の信号入出力部とを導電可能に接続する電極と、
を備える、請求項に記載のマルチチップパッケージ。
【請求項3】
前記電極は、ばね構造を備える金属である、
請求項に記載のマルチチップパッケージ。
【請求項4】
前記第一の基板及び前記第二の基板の少なくともいずれかは、第三の基板を介して、前記ベース基板に取り付けられている、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマルチチップパッケージ。
【請求項5】
前記第一の基板及び前記第二の基板は、前記第一の基板及び前記第二の基板に取り付けられた部品に供給する電源信号、及び、前記部品を共通に制御する信号を、前記ベース基板から供給される、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマルチチップパッケージ。
【請求項6】
前記第一の基板及び前記第二の基板は、集積回路、あるいはコネクタ、あるいはケーブル、あるいは光部品が取り付けられている、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマルチチップパッケージ。
【請求項7】
前記電気信号は差動信号である、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマルチチップパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ベース基板に複数の基板が取り付けられたマルチチップパッケージにおいて、当該基板間に跨って信号を伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高度に情報化された現代社会を支える情報処理システムに対する性能や信頼性に対する要求レベルは、年々高くなっていている。これにともない、情報処理システムを構成する装置において、高密度に実装された電子回路における信号の伝送を、より高速かつ高品質に行うことを実現する技術への期待が高まってきている。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、機能が異なる複数の半導体チップと、当該複数の半導体チップを支持し、それぞれに貫通孔内配線が形成された複数のチップ支持基板と、当該複数のチップ支持基板を支持する配線基板と、その配線基板に設けられた複数の外部端子と、を有する半導体装置が開示されている。この装置における複数のチップ支持基板には、シリコンからなるシリコン基板と、ガラスからなるガラス基板とが混在している。そして、この装置では、複数の半導体チップのうちの1つは、当該シリコン基板と当該ガラス基板とに電気的に接続されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数のLSIチップが積層され、LSIチップ間の信号の伝達がコイルを介して行われる半導体装置が開示されている。この装置におけるLSIチップのコイルの内側には、当該LSIチップを貫いて貫通孔が形成され、その貫通孔に磁性材料を含む磁性体ピンが挿入されている。
【0005】
また、特許文献3には、種々の配線を長距離配線と短距離配線とに分け、長距離配線モジュールと短距離配線モジュールとが別々に形成された半導体装置が開示されている。この装置において、長距離配線モジュール内には信号線とグランド層が配設され、短距離配線モジュール内には素子等が形成される。そしてこの装置では、長距離配線モジュールのパッドと短距離配線モジュールのパッドとが張り合わされ、それぞれのモジュール内の電極が接続されて一体化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6159820号公報
【文献】特許第5136056号公報
【文献】特開2002-026230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子回路を高密度に実装する技術の一つとして、ベースとなる基板(ベース基板)に複数の中間基板を実装する(取り付ける)マルチチップパッケージ(マルチチップモジュール)がある。例えば、メモリチップHBM(High Bandwidth Memory)を、CPU(Central Processing Unit)を構成するLSI(Large Scale Integration)と同じ中間基板の上に実装し、当該中間基板をさらにベース基板に実装する(2.5次元実装する)ことによって、CPUとメモリとの間において高いデータ転送性能を備えるモジュールを構成することができる。
【0008】
マルチチップパッケージでは、上述した中間基板により多くの集積回路(LSI等)を実装することによって、中間基板に実装された集積回路間におけるデータ転送性能を高めることが期待できる。しかしながら、中間基板に実装する集積回路を多くすればするほど、中間基板のサイズは大きくなるので、その製造コストは高くなる。即ち、このような製造コストの観点から、1つの中間基板に実装可能な集積回路の量には制限があるので、マルチチップパッケージは、通常、ベース基板に複数の中間基板を実装した構成を備えている。
【0009】
このようなベース基板に複数の中間基板を実装した構成では、当該中間基板を跨るデータ転送の性能を高めることが課題である。上述した特許文献1乃至3が示す技術は、この課題を解決するのには十分であるとは言えない。本願発明の主たる目的は、この課題を解決するマルチチップパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の一態様に係るマルチチップパッケージは、第一の基板と第二の基板とが互いに隣接するように、取り付け面側に取リ付けられたベース基板と、前記第一の基板の外形を成す複数の面のうち、前記第二の基板に隣接する面に、電気信号を入力あるいは出力可能な第一の信号入出力部が形成された前記第一の基板と、前記第二の基板の外形を成す複数の面のうち、前記第一の基板に隣接する面に、前記電気信号を入力あるいは出力可能な第二の信号入出力部が形成された前記第二の基板と、前記第一の信号入出力部と前記第二の信号入出力部とを、前記ベース基板を介することなく前記電気信号を伝送可能に接続する接続部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、ベース基板に複数の基板が取り付けられたマルチチップパッケージにおいて、当該基板を跨るデータ転送の性能を高めることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願発明の第1の実施形態に係るマルチチップパッケージ1を側面側から俯瞰した平面図である。
図2】本願発明の第1の実施形態に係るマルチチップパッケージ1を上面側から俯瞰した平面図である。
図3】本願発明の第1の実施形態に係るマルチチップパッケージ1における差動信号を伝送する回路の等価回路を表す図である。
図4】本願発明の第2の実施形態に係るマルチチップパッケージ2を側面側から俯瞰した平面図である。
図5】一般的なマルチチップパッケージ3を側面側から俯瞰した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、図面中に3次元(X-Y-Z)座標空間を適宜示して説明するとことする。そして以下に説明する各実施形態では、Y軸の正方向に俯瞰することを「側面側から俯瞰する」と定義し、Z軸の負方向に俯瞰することを「上面側から俯瞰する」と定義することとする。
【0014】
<第1の実施形態>
図1及び図2を参照して、本願発明の第1の実施形態に係るマルチチップパッケージ1について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1を側面側から俯瞰した平面図(XZ平面図)である。図2は、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1を上面側から俯瞰した平面図(XY平面図)である。尚、図2においては、説明の便宜上、後述するベース基板10、基板14、及び、基板15の記載を省略することとする。
【0016】
図1に示す通り、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、ベース基板10、基板(中間基板、第一の基板)11、基板(中間基板、第二の基板)12、接続部13、基板(中間基板)14、及び、基板(中間基板)15を備える。但し、ベース基板10、基板11、基板12、基板14、及び、基板15は、信号線が配線されたプリント基板である。
【0017】
ベース基板10の取り付け面(実装面)側には、基板11と基板12とが、X軸方向に互いに隣接するように取リ付けられている。但し、当該取り付け面は、XY平面に平行あるいは略平行な面である。尚、本願では以降、「平行あるいは略平行」であることを、単に「平行」と略記し、「XY平面に平行あるいは略平行な面」を、単に「XY平面」と略記する場合がある。そして、XZ平面やYZ平面に関する記載も、上述したXY平面に関する記載に従うこととする。
【0018】
ベース基板10には、基板11及び基板12以外の部品(例えば、他の基板、あるいはLSI等の集積回路、あるいは光部品、あるいはコネクタやケーブル等の部品など)が取り付けられていてもよい。尚、図1において、ベース基板10と、基板11あるいは基板12との間などに記載された「○」は、はんだボールを表す。
【0019】
基板11の外形を成す面のうち、ベース基板10の取り付け面側とは反対側のXY平面には、基板14が取り付けられている。尚、基板11には、基板14以外の部品が取り付けられていてもよい。
【0020】
基板14の外形を成す面のうち、基板11に取り付けられた面側とは反対側のXY平面には、搭載部品140が取り付けられている。搭載部品140は、例えば、LSI等の集積回路、あるいは光部品(光信号と電気信号とを変換する回路を含む)、あるいはコネクタやケーブル等の部品などである。
【0021】
基板12に関しても基板11と同様に、その外形を成す面のうち、ベース基板10の取り付け面側とは反対側のXY平面に、基板15が取り付けられている。そして、基板15には基板14と同様に、搭載部品150が取り付けられている。搭載部品150も、搭載部品140と同様の部品である。
【0022】
基板11の外形を成す面のうち、基板12と隣接するYZ平面には、電気信号(本願では以降、単に「信号」と略記する場合がある)を入力あるいは出力可能な信号入出力部(第一の信号入出力部)110が形成されている。信号入出力部110は、基板11における配線111と電気的に(即ち信号を伝送可能に)接続された電極(端子)であり、電極を形成する一般的な技術によって形成可能である。尚、配線111(後述する配線121も同様)の配線幅は、基板11(基板12)が一般的な有機基板である場合、例えば100μm(マイクロメートル)程度以下であり、基板11(基板12)がシリコン基板である場合、例えば10μm程度以下である。
【0023】
基板12の外形を成す面のうち、基板11と隣接するYZ平面には、信号を入力あるいは出力可能な信号入出力部(第二の信号入出力部)120が形成されている。信号入出力部120は、基板12における配線121と電気的に接続された、電極(端子)である。
【0024】
図2に例示するように、基板11において、1以上の信号入出力部110が、Y軸方向に並んで形成されている。そして、基板12においても同様に、1以上の信号入出力部120が、Y軸方向に並んで形成されている。
【0025】
図1及び図2に例示する通り、基板11と基板12とが隣接する部分(即ち、基板11の外形を成す面のうち基板12と隣接するYZ平面と、基板12の外形を成す面のうち基板11と隣接するYZ平面とによって挟まれた部分)には、接続部13が配置されている。接続部13は、信号入出力部110と信号入出力部120とを、ベース基板10を介することなく、信号を伝送可能に接続する機能を有する。
【0026】
接続部13は、図1における楕円で囲まれた部分の拡大図、及び、図2に例示する通り、コンデンサ130、ばね構造電極134、及び、ばね構造電極135を備えている。
【0027】
コンデンサ130は、電極131、電極132、及び、誘電体133を有し、電極131と電極132とによって、誘電体133を挟んだ構造を有する。誘電体133は、例えば、接着硬化するシート状の材料であることが好ましい。コンデンサ130は、例えば積層セラミックチップコンデンサであり、例えば、0.1μF(マイクロファラド)程度の静電容量を備えている。コンデンサ130は、多連型のコンデンサなどでもよい。
【0028】
ばね構造電極134は、弾性特性を有する金属等の導電材料により構成され、かつ、例えばばねのような収縮可能な構造を備えることによって、電極131と信号入出力部110とを導電可能に接続する。ばね構造電極135もまた、ばね構造電極134と同様に、弾性特性を有する金属等の導電材料により構成され、かつ、例えばばねのような収縮可能な構造を備えることによって、電極132と信号入出力部120とを導電可能に接続する。
【0029】
接続部13は、図2に例示するように、1以上のコンデンサ130と、1以上のばね構造電極134及び135とが、Y軸方向に並んで配置された構造を有する。
【0030】
本実施形態に係るマルチチップパッケージ1が、接続部13を介して、基板11と基板12との間で伝送する対象とする信号は、例えば、搭載部品140と搭載部品150との間における高いデータ転送性能が要求される信号である。マルチチップパッケージ1は、このような信号を除く、例えば、電源信号や、搭載部品140と搭載部品150とを共通に制御する信号(例えばクロック信号等)を、ベース基板10から基板11及び基板12に対して供給する構成を備えればよい。
【0031】
上述した高いデータ転送性能が要求される信号の一例として、コンピュータのバスなどにおいて、シリアル転送とパラレル転送とを相互に変換する技術であるSerDes(Serializer/Deserializer)を用いて伝送される信号がある。尚、SerDesは周知の技術であるので、本願ではその詳細な説明を省略する。このような信号は、ノイズに対する耐性が高い、2本の信号線を用いた一対の信号として伝送される差動信号であることが多い。
【0032】
図3は、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1における差動信号を伝送する回路の等価回路を例示する図である。搭載部品140における送信バッファ141から出力された一対の差動信号は、基板14、基板11、接続部13、基板12、基板15を順に介して、搭載部品150における受信バッファ152へ入力される。同様に、搭載部品150における送信バッファ151から出力された一対の差動信号は、基板15、基板12、接続部13、基板11、基板14を順に介して、搭載部品140における受信バッファ142へ入力される。
【0033】
本実施形態に係る接続部13は、コンデンサ130を備えることによって、基板11における信号入出力部110と、基板12における信号入出力部120とを容量結合(容量性カップリング)している。即ち、接続部13は、基板11と基板12との間において伝送する信号に含まれる直流成分を遮断することによって、その伝送する信号に含まれる交流成分を伝送する。
【0034】
本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、ベース基板に複数の基板が取り付けられたマルチチップパッケージにおいて、当該基板を跨るデータ転送の性能を高めることができる。その理由は、マルチチップパッケージ1では、基板11における基板12に隣接する面、及び基板12における基板11に隣接する面に、信号入出力部110及び120が形成され、接続部13が、信号入出力部110と信号入出力部120とを、ベース基板10を介することなく信号を伝送可能に接続するからである。
【0035】
以下に、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0036】
電子回路を高密度に実装する技術の一つとして、ベース基板に複数の中間基板を実装するマルチチップパッケージがある。マルチチップパッケージでは、上述した中間基板により多くの集積回路を実装することによって、中間基板に実装された集積回路間におけるデータ転送性能を高めることが期待できる。しかしながら、中間基板に実装する集積回路を多くすればするほど、中間基板のサイズは大きくなるので、その製造コストは高くなる。即ち、このような製造コストの観点から、1つの中間基板に実装可能な集積回路の量には制限があるので、マルチチップパッケージは、通常、ベース基板に複数の中間基板を実装した構成を備えている。そして、このようなベース基板に複数の中間基板を実装した構成では、中間基板を跨るデータ転送の性能を高めることが課題である。
【0037】
このような課題に対して、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、ベース基板10と、基板11と、基板12と、接続部13と、を備え、例えば図1乃至図3を参照して上述した通りの機能を有する。即ち、ベース基板10は、基板11と基板12とが互いに隣接するように、取り付け面側に取リ付けられている。基板11は、その外形を成す複数の面のうち、基板12に隣接する面に、電気信号を入力あるいは出力可能な信号入出力部110が形成されている。基板12は、その外形を成す複数の面のうち、基板11に隣接する面に、電気信号を入力あるいは出力可能な信号入出力部120が形成されている。そして接続部13は、信号入出力部110と信号入出力部120とを、ベース基板10を介することなく電気信号を伝送可能に接続する。
【0038】
図5は、一般的なマルチチップパッケージ3を側面側から俯瞰した平面図である。一般的なマルチチップパッケージ3は、図5に例示する通り、基板31と基板32とを跨る信号を、ベース基板30に配線された配線300を介して伝送する。図1及び図5に示す通り、ベース基板に取り付けられた基板を跨る信号が通る配線の長さは、一般的なマルチチップパッケージ3よりも、本実施形態にかかるマルチチップパッケージ1の方が短くなる。したがって、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、ベース基板に複数の基板が取り付けられたマルチチップパッケージにおいて、当該基板を跨るデータ転送の性能を高めることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る接続部13は、誘電体133を用いることによって、信号入出力部110と信号入出力部120とを容量結合する。即ち、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、基板11と基板12との間において伝送する信号に含まれる直流成分を遮断することによって、その伝送する信号に含まれる交流成分を伝送するので、高周波領域において安定したデータ転送性能を得ることができる。
【0040】
尚、高周波領域において安定したデータ転送性能を得るために、例えば、コンデンサ130に相当する構成をベース基板10における配線の中に形成する(埋め込む)ことは困難である。本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、コンデンサ130を含む接続部13を備えることによって、上述した効果を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る接続部13は、コンデンサ130を備えず、信号入出力部110と信号入出力部120とを単に導電可能に接続する、より簡易な構成を備えてもよい。
【0042】
また、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、ばね構造電極134及び135によって、信号入出力部110及び120と、コンデンサ130とを、導電可能に接続する。これにより、マルチチップパッケージ1は、例えば、その製造過程において発生した信号入出力部110と信号入出力部120との距離に関する固体差を簡易な構成によって吸収し、信号入出力部110及び120と、コンデンサ130とを、確実に接続することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る基板11及び基板12は、搭載部品140及び搭載部品150に供給する電源信号、及び、搭載部品140及び搭載部品150を共通に制御する信号(クロック信号等)を、ベース基板10から供給される。これらの電源信号、及び、搭載部品140及び搭載部品150を共通に制御する信号に関しては、接続部13を介さずに、ベース基板10から搭載部品140及び搭載部品150に直接供給した方が、信号が通る配線の長さが短くなる。即ち、本実施形態に係るマルチチップパッケージ1は、伝送する信号の伝送先(用途)に応じた適切な伝送経路を介して信号を伝送する構成を備えるので、高いデータ転送性能を安定して得ることができる。
【0044】
また、上述した本実施形態に係るマルチチップパッケージ1では、基板11と基板12とを接続部13によって接続するが、接続部13によって接続する対象は、基板11及び基板12に限定されない。マルチチップパッケージ1は、例えば、信号入出力部110及び120に相当する構成を有する基板14と基板15とを、接続部13に相当する構成によって接続してもよい。言い換えれば、マルチチップパッケージ1は、接続部13に相当する構成によって接続される第一の基板及び第二の基板の少なくともいずれかが、第三の基板を介して、ベース基板10に取り付けられている構成を備えるようにしてもよい。
【0045】
<第2の実施形態>
図4は、本願発明の第2の実施形態に係るマルチチップパッケージ2を側面側から俯瞰した平面図である。
【0046】
本実施形態に係るマルチチップパッケージ2は、ベース基板20、第一の基板21、第二の基板22、及び、接続部23を備えている。
【0047】
ベース基板20には、第一の基板21と第二の基板22とが互いに(X軸方向に)隣接するように、取り付け面側(XY平面)に取リ付けられている。
【0048】
第一の基板21は、第一の基板21の外形を成す複数の面のうち、第二の基板22に隣接する面(YZ平面)に、電気信号200を入力あるいは出力可能な第一の信号入出力部210が形成されている。
【0049】
第二の基板22は、第二の基板22の外形を成す複数の面のうち、前記第一の基板21に隣接する面(YZ平面)に、電気信号200を入力あるいは出力可能な第二の信号入出力部220が形成されている。
【0050】
接続部23は、第一の信号入出力部210と第二の信号入出力部220とを、ベース基板20を介することなく電気信号200を伝送可能に接続する。
【0051】
本実施形態に係るマルチチップパッケージ2は、ベース基板に複数の基板が取り付けられたマルチチップパッケージにおいて、当該基板を跨るデータ転送の性能を高めることができる。その理由は、マルチチップパッケージ2では、第一の基板21における第二の基板22に隣接する面、及び第二の基板22における第一の基板21に隣接する面に、第一の信号入出力部210及び第二の信号入出力部220が形成され、接続部23が、第一の信号入出力部210と第二の信号入出力部220とを、ベース基板20を介することなく電気信号200を伝送可能に接続するからである。
【0052】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本願発明を説明した。しかしながら、本願発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本願発明は、本願発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 マルチチップパッケージ
10 ベース基板
11 基板
110 信号入出力部
111 配線
12 基板
120 信号入出力部
121 配線
13 接続部
130 コンデンサ
131 電極
132 電極
133 誘電体
134 ばね構造電極
135 ばね構造電極
14 基板
140 搭載部品
141 送信バッファ
142 受信バッファ
15 基板
150 搭載部品
151 送信バッファ
152 受信バッファ
2 マルチチップパッケージ
20 ベース基板
200 電気信号
21 第一の基板
210 第一の信号入出力部
22 第二の基板
220 第二の信号入出力部
23 接続部
3 マルチチップパッケージ
30 ベース基板
300 配線
31 基板
32 基板
図1
図2
図3
図4
図5