(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】昇降圧コンバータ回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2018207288
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 秀和
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115085(JP,A)
【文献】特開2016-163451(JP,A)
【文献】特開2008-99385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降圧コンバータ回路であって、
リアクトルを介して直流電源の正極に接続される高電位入力配線と、
高電位出力配線と、
前記直流電源の負極に接続される低電位配線と、
前記高電位出力配線に接続された第1メイン高電位端子と、前記高電位入力配線に接続された第1メイン低電位端子と、第1メインゲート端子を備える第1メインスイッチング素子と、
前記高電位出力配線に接続された第1センス高電位端子と、第1センス抵抗を介して前記高電位入力配線に接続された第1センス低電位端子と、第1センスゲート端子を備える第1センススイッチング素子と、
前記高電位入力配線に接続された第2メイン高電位端子と、前記低電位配線に接続された第2メイン低電位端子と、第2メインゲート端子を備える第2メインスイッチング素子と、
前記高電位入力配線に接続された第2センス高電位端子と、第2センス抵抗を介して前記低電位配線に接続された第2センス低電位端子と、第2センスゲート端子を備える第2センススイッチング素子と、
カソードが前記高電位出力配線に接続されており、アノードが前記高電位入力配線に接続されている第1ダイオードと、
カソードが前記高電位入力配線に接続されており、アノードが前記低電位配線に接続されている第2ダイオードと、
前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子を制御する第1信号と、前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子を制御する第2信号を出力する制御装置と、
前記第1信号を第1絶縁素子を介して送信する第1信号配線と、
前記第2信号を第2絶縁素子を介して送信する第2信号配線と、
前記第1信号配線から前記第1信号を受信し、受信した前記第1信号に基づいて前記第1メインゲート端子の電位及び前記第1センスゲート端子の電位を制御する第1駆動回路と、
前記第2信号配線から前記第2信号を受信し、受信した前記第2信号に基づいて前記第2メインゲート端子の電位及び前記第2センスゲート端子の電位を制御する第2駆動回路と、
前記第1メインゲート端子の電位が第1基準値を超える第1タイミングを検出する第1センサと、
前記第2メインゲート端子の電位が第2基準値を超える第2タイミングを検出する第2センサと、
前記高電位入力配線の電位上昇に伴って前記第1センス抵抗の両端間の電位差が拡大する第3タイミングを検出する第3センサと、
前記高電位入力配線の電位低下に伴って前記第2センス抵抗の両端間の電位差が拡大する第4タイミングを検出する第4センサと、
前記第1タイミングと前記第3タイミングを示す信号を、第3絶縁素子を介して前記制御装置へ送信する第3信号配線と、
前記第2タイミングと前記第4タイミングを示す信号を、第4絶縁素子を介して前記制御装置へ送信する第4信号配線、
を有しており、
前記第1信号は、前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子をオンさせる第1オン電位と前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子をオフさせる第1オフ電位の間で繰り返し変化する信号であり、
前記第2信号は、前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子をオンさせる第2オン電位と前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子をオフさせる第2オフ電位の間で繰り返し変化する信号であり、
前記制御装置は、昇圧動作において、第1昇圧モードの後に第2昇圧モードを実施し、
前記第1昇圧モードでは、
・前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後第1デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力し、
・前記制御装置が、前記第3タイミングと前記第1タイミングの間の時間である第1オフセット時間を算出し、
・前記制御装置が、前記第1デッドタイムから前記第1オフセット時間を減算して第1補正デッドタイムを算出し、
前記第2昇圧モードでは、
・前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後前記第1補正デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力し、
前記制御装置は、降圧動作において、第1降圧モードの後に第2降圧モードを実施し、
前記第1降圧モードでは、
・前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後第2デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力し、
・前記制御装置が、前記第4タイミングと前記第2タイミングの間の時間である第2オフセット時間を算出し、
・前記制御装置が、前記第2デッドタイムから前記第2オフセット時間を減算して第2補正デッドタイムを算出し、
前記第2降圧モードでは、
・前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後前記第2補正デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力し、
前記制御装置は、ゼロクロス動作において、前記第1補正デッドタイム及び前記第2補正デッドタイムによるデッドタイムの補正をしない、
昇降圧コンバータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、昇降圧コンバータ回路に関する。
【0002】
高電位配線と低電位配線の間に2つのスイッチング素子が直列に接続されたコンバータ回路が知られている。コンバータ回路は、2つのスイッチング素子のスイッチングのタイミングを制御することにより、所望の出力電圧を得ることができる。このようなコンバータ回路では、2つのスイッチング素子が共にオン状態となると、2つのスイッチング素子を貫通する電流が流れ、高電位配線と低電位配線が短絡する。これを防止するために、2つのスイッチング素子が共にオフ状態となるデッドタイムが設けられている。デッドタイムの期間中は、同期整流素子として機能するスイッチング素子の寄生ダイオードに電流が流れる。このため、デッドタイムを長く設定すると損失が増大する。
【0003】
特許文献1には、降圧コンバータ回路が開示されている。
図12に特許文献1のコンバータ100の構成を模式的に示す。コンバータ100は、第1高電位配線112、第2高電位配線114、低電位配線116、第1スイッチング素子120、第2スイッチング素子122、第1ダイオード124、第2ダイオード126、制御装置128、第1配線130、第2配線132、第1駆動回路134、第2駆動回路136、ゲート電位センサ138、中点電位センサ140、第1出力装置142、第2出力装置144、第3配線146、及び第4配線148を有している。
【0004】
第1高電位配線112は、リアクトル150を介して負荷152の一端に接続されている。低電位配線116は、負荷152の他端に接続されている。第1スイッチング素子120は、第2高電位配線114と第1高電位配線112の間に接続されている。第2スイッチング素子122は、第1高電位配線112と低電位配線116の間に接続されている。第1ダイオード124のカソードが第2高電位配線114に接続されており、第1ダイオード124のアノードが第1高電位配線112に接続されている。第2ダイオード126のカソードが第1高電位配線112に接続されており、第2ダイオード126のアノードが低電位配線116に接続されている。制御装置128は、第1スイッチング素子120を制御する第1信号と、第2スイッチング素子122を制御する第2信号を出力する。第1配線130は、第1信号を第1絶縁素子154を介して送信する。第2配線132は、第2信号を第2絶縁素子156を介して送信する。第1駆動回路134は、第1配線130から第1信号を受信し、受信した第1信号に基づいて第1スイッチング素子120のゲートの電位を制御する。第2駆動回路136は、第2配線132から第2信号を受信し、受信した第2信号に基づいて第2スイッチング素子122のゲートの電位を制御する。ゲート電位センサ138は、第2スイッチング素子122のゲートの電位が第1所定基準値を超えるタイミングを検出する。中点電位センサ140は、第1高電位配線112の電位が第2所定基準値を下回るタイミングを検出する。第1出力装置142は、第2スイッチング素子122のゲートの電位が第1所定基準値を超えるタイミングと第1高電位配線112の電位が第2所定基準値を下回るタイミングの先後を示す第1タイミング信号を出力する。第2出力装置144は、第2スイッチング素子122のゲートの電位が第1所定基準値を超えるタイミングと第1高電位配線112の電位が第2所定基準値を下回るタイミング差が所定値内であるか否かを示す第2タイミング信号を出力する。第3配線146は、第1タイミング信号を第5絶縁素子158を介して制御装置128に送信する。第4配線148は、第2タイミング信号を第6絶縁素子160を介して制御装置128に送信する。
【0005】
上記のコンバータ100では、制御装置128が、受信した第1タイミング信号及び第2タイミング信号に基づいてデッドタイムを補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、第1タイミング信号が第5絶縁素子158を介して制御装置128に送信され、第2タイミング信号が第6絶縁素子160を介して制御装置128に送信される。各信号は、絶縁素子を介して送信されるため、各信号には絶縁素子の特性に応じた遅延が生じる。このように、制御装置128が複数のタイミング信号に基づいてデッドタイムを補正する制御を行う場合、各信号の遅延にばらつきが生じるため、正確にデッドタイムを補正することが難しい。本明細書では、精度良くデッドタイムを補正することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示する昇降圧コンバータ回路は、高電位入力配線と、高電位出力配線と、低電位配線と、第1メインスイッチング素子と、第1センススイッチング素子と、第2メインスイッチング素子と、第2センススイッチング素子と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、制御装置と、第1信号配線と、第2信号配線と、第1駆動回路と、第2駆動回路と、第1センサと、第2センサと、第3センサと、第4センサと、第3信号配線と、第4信号配線、を有する。前記高電位入力配線は、リアクトルを介して直流電源の正極に接続される前記低電位配線は、前記直流電源の負極に接続される。前記第1メインスイッチング素子は、前記高電位出力配線に接続された第1メイン高電位端子と、前記高電位入力配線に接続された第1メイン低電位端子と、第1メインゲート端子を備える。前記第1センススイッチング素子は、前記高電位出力配線に接続された第1センス高電位端子と、第1センス抵抗を介して前記高電位入力配線に接続された第1センス低電位端子と、第1センスゲート端子を備える。前記第2メインスイッチング素子は、前記高電位入力配線に接続された第2メイン高電位端子と、前記低電位配線に接続された第2メイン低電位端子と、第2メインゲート端子を備える。前記第2センススイッチング素子は、前記高電位入力配線に接続された第2センス高電位端子と、第2センス抵抗を介して前記低電位配線に接続された第2センス低電位端子と、第2センスゲート端子を備える。前記第1ダイオードは、カソードが前記高電位出力配線に接続されており、アノードが前記高電位入力配線に接続されている。前記第2ダイオードは、カソードが前記高電位入力配線に接続されており、アノードが前記低電位配線に接続されている。前記制御装置は、前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子を制御する第1信号と、前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子を制御する第2信号を出力する。前記第1信号配線は、前記第1信号を第1絶縁素子を介して送信する。前記第2信号配線は、前記第2信号を第2絶縁素子を介して送信する。前記第1駆動回路は、前記第1信号配線から前記第1信号を受信し、受信した前記第1信号に基づいて前記第1メインゲート端子の電位及び前記第1センスゲート端子の電位を制御する。前記第2駆動回路は、前記第2信号配線から前記第2信号を受信し、受信した前記第2信号に基づいて前記第2メインゲート端子の電位及び前記第2センスゲート端子の電位を制御する。前記第1センサは、前記第1メインゲート端子の電位が第1基準値を超える第1タイミングを検出する。前記第2センサは、前記第2メインゲート端子の電位が第2基準値を超える第2タイミングを検出する。前記第3センサは、前記高電位入力配線の電位上昇に伴って前記第1センス抵抗の両端間の電位差が拡大する第3タイミングを検出する。前記第4センサは、前記高電位入力配線の電位低下に伴って前記第2センス抵抗の両端間の電位差が拡大する第4タイミングを検出する。前記第3信号配線は、前記第1タイミングと前記第3タイミングを示す信号を、第3絶縁素子を介して前記制御装置へ送信する。前記第4信号配線は、前記第2タイミングと前記第4タイミングを示す信号を、第4絶縁素子を介して前記制御装置へ送信する。前記第1信号は、前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子をオンさせる第1オン電位と前記第1メインスイッチング素子及び前記第1センススイッチング素子をオフさせる第1オフ電位の間で繰り返し変化する信号である。前記第2信号は、前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子をオンさせる第2オン電位と前記第2メインスイッチング素子及び前記第2センススイッチング素子をオフさせる第2オフ電位の間で繰り返し変化する信号である。前記制御装置は、昇圧動作において、第1昇圧モードの後に第2昇圧モードを実施する。前記第1昇圧モードでは、前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後第1デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力する。前記制御装置が、前記第3タイミングと前記第1タイミングの間の時間である第1オフセット時間を算出する。前記制御装置が、前記第1デッドタイムから前記第1オフセット時間を減算して第1補正デッドタイムを算出する。前記第2昇圧モードでは、前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後前記第1補正デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力する。前記制御装置は、降圧動作において、第1降圧モードの後に第2降圧モードを実施する。前記第1降圧モードでは、前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後第2デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力する。前記制御装置が、前記第4タイミングと前記第2タイミングの間の時間である第2オフセット時間を算出する。前記制御装置が、前記第2デッドタイムから前記第2オフセット時間を減算して第2補正デッドタイムを算出する。前記第2降圧モードでは、前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後前記第2補正デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力する。前記制御装置は、ゼロクロス動作において、前記第1補正デッドタイム及び前記第2補正デッドタイムによるデッドタイムの補正をしない。
【0009】
本明細書が開示する昇降圧コンバータ回路の一例の構成を
図7に示す。
図7に示すように、コンバータ200は、高電位入力配線212、高電位出力配線214、低電位配線216、第1メインスイッチング素子220(以下、第1メイン素子220という。)、第1センススイッチング素子221(以下、第1センス素子221という。)、第2メインスイッチング素子222(以下、第2メイン素子222という。)、第2センススイッチング素子223(以下、第2センス素子223という。)、第1メインダイオード224a、第1センスダイオード224b、第2メインダイオード225a、第2センスダイオード225b、第1センス抵抗250、第2センス抵抗252、制御装置228、第1信号配線230、第2信号配線232、第1駆動回路234、第2駆動回路236、第1センサ237、第2センサ238、第3センサ239、第4センサ240、上アーム側出力装置242、下アーム側出力装置243、第3信号配線246、及び第4信号配線247を有している。
【0010】
上記のコンバータ200が昇圧動作を実行する場合、制御装置228は、第1昇圧モードと第2昇圧モードを実施する。
図8は、第1昇圧モードにおける各値の変化を示す図であり、
図9は、第2昇圧モードにおける各値の変化を示す図である。参照符号S2は、第2信号の値を示している。参照符号Vg2は、第2メイン素子222のゲート(すなわち、第2メインゲート端子)の電位を示している。参照符号Vxは、高電位入力配線212の電位を示している。参照符号Vrs1は、第1センス抵抗250の両端間の電位差を示している。参照符号S1は、第1信号の値を示している。参照符号Vg1は、第1メイン素子220のゲート(すなわち、第1メインゲート端子)の電位を示している。
【0011】
まず、第1昇圧モードについて説明する。
図8のタイミングT41においては、制御装置228が、第1信号S1として第1オフ電位Voff1を送信し、第2信号S2として第2オン電位Von2を送信している。このため、第1メイン素子220及び第1センス素子221はオフしており、第2メイン素子222及び第2センス素子223はオンしている。したがって、コンバータ200には、
図7において矢印で示す電流I1が流れている。
【0012】
その後、タイミングT42において、制御装置228が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。第2信号S2は第2絶縁素子256を介して第2駆動回路236に送信される。このため、タイミングT42から僅かに遅延したタイミングT43において、電位Vg2が下降し始める。その後、タイミングT44において、電位Vg2がゲート閾値を下回り、第2メイン素子222と第2センス素子223がオフする。すると、リアクトル260に電流I1が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線212の電位Vxが上昇する。すると、第1センス抵抗250の高電位入力配線212側の端子の電位が、第1センス抵抗250の第1センス素子221側の端子の電位に対して上昇する。したがって、第1センス抵抗250の両端間の電位差Vrs1が瞬間的に低下する。すると、第3センサ239は、高電位入力配線212の電位上昇に伴って第1センス抵抗250の両端間の電位差が拡大したことを検出し、タイミングT44を第3タイミングであると判断する。また、タイミングT44において、高電位入力配線212の電位Vxが高電位出力配線214の電位よりも高くなる。すると、第1メインダイオード224aが導通する。このため、
図7の矢印に示す電流I2が流れる。
【0013】
第1昇圧モードでは、第2オフ電位Voff2の出力を開始したタイミングT42から、第1デッドタイムΔt1が経過したタイミングT45において、制御装置228が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。第1信号S1は第1絶縁素子254を介して第1駆動回路234に送信される。このため、タイミングT45から僅かに遅延したタイミングT46において、電位Vg1が上昇し始めて、第1メイン素子220と第1センス素子221がオンする。これにより、電流I2が、第1メイン素子220、第1センス素子221、第1メインダイオード224a及び第1センスダイオード224bに分岐して流れる。タイミングT46以降では、第1センサ237は、電位Vg1が第1基準値を超えたことを検出し、タイミングT46を第1タイミングであると判断する。
【0014】
第1タイミング及び第3タイミングを示す信号は、第3信号配線246によって、第3絶縁素子258を介して制御装置228に送信される。第1昇圧モードでは、制御装置228が、第3タイミング(タイミングT44)と第1タイミング(タイミングT46)の間の時間を第1オフセット時間Δt2として算出する。そして、第1デッドタイムΔt1から第1オフセット時間Δt2を減算して、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。
【0015】
第1昇圧モードの後に、第2昇圧モードが実施される。
図9のタイミングT´41、は、
図8のタイミングT41と同様である。タイミングT´42において、信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化すると、それから僅かに遅延したタイミングT´43において電位Vg2が低下し始める。タイミングT´44において、電位Vg2がゲート閾値を下回り、第2メイン素子222と第2センス素子223がオフする。したがって、タイミングT´44以降に、高電位入力配線12の電位Vxが上昇し、電流I2が流れる。
【0016】
また、第2昇圧モードでは、制御装置228は、第2オフ電位Voff2を出力したタイミングT´42から第1補正デッドタイムΔt3(第1昇圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´43において、第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。したがって、タイミングT´43から僅かに遅延したタイミングT´44において、電位Vg1が上昇してゲート閾値を上回り、第1メイン素子220と第1センス素子221がオンする。
【0017】
上記のように、コンバータ200では、制御装置228は、第1昇圧モードにおいて、第3タイミングを、電流I2が流れ始めるタイミングとして検出する。また、第1タイミングを、第1メイン素子220及び第1センス素子221がオンするタイミングとして検出する。そして、検出した第3タイミング及び第1タイミングから、第1メインダイオード224aに電流が集中して流れている時間(第1オフセット時間Δt2)を算出する。そして、予め設定された第1デッドタイムΔt1と第1オフセット時間Δt2に基づいて、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。そして、制御装置228は、第2昇圧モードにおいて、第1補正デッドタイムΔt3を用いて第1メイン素子220と第1センス素子221のスイッチングを制御する。この結果、第2メイン素子222がオフしたタイミングT´44から短時間で、第1メイン素子220をオンさせることができる。このため、第1メイン素子220及び第1センス素子221がオンする期間を長くすることができ、第1メインダイオード224aに電流I2が集中して流れている時間を最小化することができる。したがって、第1メインダイオード224aに対する負荷が低減される。
【0018】
また、上記のコンバータ200では、昇圧動作時に、デッドタイムを補正するための第1タイミングと第3タイミングを示す信号が、共通の第3信号配線246によって送信される。すなわち、デッドタイムを補正するための単一の信号が制御装置228へ送信され、第1タイミングと第3タイミングとの間で信号の遅延にばらつきが生じ難い。したがって、精度良くデッドタイムを補正することができる。
【0019】
上記のコンバータ200が降圧動作を実行する場合、制御装置228は、第1降圧モードと第2降圧モードを実施する。
図10は、第1降圧モードにおける各値の変化を示す図であり、
図11は、第2降圧モードにおける各値の変化を示す図である。参照符号Vrs2は、第2センス抵抗252の両端間の電位差を示している。
【0020】
まず、第1降圧モードについて説明する。
図10のタイミングT51においては、制御装置228が、第1信号S1として第1オン電位Von1を送信し、第2信号S2として第2オフ電位Voff2を送信している。このため、第1メイン素子220はオンしており、第2メイン素子222はオフしている。したがって、コンバータ200には、
図7において矢印で示す電流I3が流れている。
【0021】
その後、タイミングT52において、制御装置228が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。第1信号S1は第1絶縁素子254を介して第1駆動回路234に送信される。このため、タイミングT52から僅かに遅延したタイミングT53において、電位Vg1が下降し始める。その後、タイミングT54において、電位Vg1がゲート閾値を下回り、第1メイン素子220及び第1センス素子221がオフする。すると、リアクトル260に電流I3が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線212の電位Vxが低下し、高電位入力配線212の電位Vxが低電位配線216の電位よりも低くなる。すると、第2メインダイオード225aが導通する。このため、
図7の矢印に示す電流I4が流れる。このとき、第2センス抵抗252の第2センス素子223側の端子の電位が、第2センス抵抗252の低電位配線216側の端子の電位に対して低下する。したがって、第2センス抵抗252の両端間の電位差Vrs2が瞬間的に低下する。すると、第4センサ240は、高電位入力配線212の電位低下に伴って第2センス抵抗252の両端間の電位差が拡大したことを検出し、タイミングT54を第4タイミングであると判断する。
【0022】
第1降圧モードでは、第1オフ電位Voff1の出力を開始したタイミングT52から、第2デッドタイムΔt4が経過したタイミングT55において、制御装置228が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。第2信号S2は第2絶縁素子256を介して第2駆動回路236に送信される。このため、タイミングT55から僅かに遅延したタイミングT56において、電位Vg2が上昇し始めて、第2メイン素子222と第2センス素子223がオンする。これにより、電流I4が、第2メイン素子222、第2センス素子223、第2メインダイオード225a及び第2センスダイオード225bに分岐して流れる。タイミングT56以降では、第2センサ238は、電位Vg2が第2基準値を超えたことを検出し、タイミングT56を第2タイミングであると判断する。
【0023】
第2タイミング及び第3タイミングを示す信号は、第4信号配線247によって、第4絶縁素子259を介して制御装置228に送信される。第1降圧モードでは、制御装置228が、第4タイミング(タイミングT55)と第2タイミング(タイミングT56)の間の時間を第2オフセット時間Δt5として算出し、第2デッドタイムΔt4から第2オフセット時間Δt5を減算して、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。
【0024】
第1降圧モードの後に、第2降圧モードが実施される。
図11のタイミングT´51は、
図10のタイミングT51と同様である。タイミングT´52において、信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化すると、それから僅かに遅延したタイミングT´53において電位Vg1が低下し始める。タイミングT´54において、電位Vg1がゲート閾値を下回り、第1メイン素子220と第1センス素子221がオフする。したがって、タイミングT´54以降に高電位入力配線12の電位Vxが低下し、電流I4が流れる。
【0025】
また、第2降圧モードでは、制御装置228は、第1オフ電位Voff1を出力したタイミングT´52から第2補正デッドタイムΔt6(第1降圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´53において、第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。したがって、タイミングT´53から僅かに遅延したタイミングT´54において、電位Vg2が上昇してゲート閾値を上回り、第2メイン素子222と第2センス素子223がオンする。
【0026】
上記のように、コンバータ200では、制御装置228は、第1降圧モードにおいて、第4タイミングを、電流I4が流れ始めるタイミングとして検出する。また、第2タイミングを、第2メイン素子222及び第2センス素子223がオンするタイミングとして検出する。そして、検出した第4タイミング及び第2タイミングから、第2メインダイオード225aに電流I4が集中して流れている時間(第2オフセット時間Δt5)を算出する。そして、予め設定された第2デッドタイムΔt4と第2オフセット時間Δt5に基づいて、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。そして、制御装置228は、第2降圧モードにおいて、第2補正デッドタイムΔt6を用いて第2メイン素子222と第2センス素子223のスイッチングを制御する。この結果、第1メイン素子220がオフしたタイミングT´54から短時間で、第2メイン素子222をオンさせることができる。このため、第2メイン素子222及び第2センス素子223がオンする期間を長くすることができ、第2メインダイオード225aに電流I4が集中して流れている時間を最小化することができる。したがって、第2メインダイオード225aに対する負荷が低減される。
【0027】
また、上記のコンバータ200では、降圧動作時に、デッドタイムを補正するための第2タイミングと第4タイミングを示す信号が、共通の第4信号配線247によって送信される。すなわち、デッドタイムを補正するための単一の信号が制御装置228へ送信され、第2タイミングと第4タイミングとの間で信号の遅延にばらつきが生じ難い。したがって、精度良くデッドタイムを補正することができる。
【0028】
また、上記のコンバータ200では、制御装置228は、ゼロクロス動作において、第1補正デッドタイムΔt3及び第2補正デッドタイムΔt6によるデッドタイムの補正をしない。ゼロクロス動作においては、電流の向きが複雑に変化するので、デッドタイムの補正を行わない。また、ゼロクロス動作においては、回路に流れる電流の絶対値が小さいので、デッドタイムの補正を行わなくても、第1メインダイオード224a及び第2メインダイオード225aで生じる損失は小さい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】第1昇圧モードにおける各値の変化を示す図。
【
図3】第2昇圧モードにおける各値の変化を示す図。
【
図5】第1降圧モードにおける各値の変化を示す図。
【
図6】第2降圧モードにおける各値の変化を示す図。
【
図7】本明細書が開示する昇降圧コンバータの構成の一例を示す回路図。
【
図8】本明細書が開示する昇降圧コンバータの第1昇圧モードの一例の各値の変化を示す図。
【
図9】本明細書が開示する昇降圧コンバータの第2昇圧モードの一例の各値の変化を示す図。
【
図10】本明細書が開示する昇降圧コンバータの第1降圧モードの一例の各値の変化を示す図。
【
図11】本明細書が開示する昇降圧コンバータの第2降圧モードの一例の各値の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、実施形態に係る昇降圧コンバータ10(以下、コンバータ10という。)の回路図を示している。コンバータ10は、車両に搭載されている。コンバータ10は、高電位入力配線12と、高電位出力配線14と、低電位配線16を有している。高電位入力配線12は、リアクトル50を介して直流電源52(例えば、バッテリ)の正極に接続されている。低電位配線16は、直流電源52の負極に接続されている。コンバータ10は、直流電源52の印加電圧(すなわち、高電位入力配線12と低電位配線16の間の電圧)を昇圧し、昇圧した電圧を高電位出力配線14と低電位配線16の間に印加する。図示していないが、高電位出力配線14と低電位配線16の間には、負荷(例えば、インバータや走行用モータ)が接続されている。したがって、昇圧された電圧が、負荷に供給される。また、コンバータ10は、負荷から供給された電圧(高電位出力配線14と低電位配線16の間に印加された電圧)を降圧し、降圧した電圧を直流電源52に供給する。
【0031】
コンバータ10は、第1メインスイッチング素子20(以下、第1メイン素子20という。)、第1センススイッチング素子21(以下、第1センス素子21という。)、第2メインスイッチング素子22(以下、第2メイン素子22という。)、第2センススイッチング素子23(以下、第2センス素子23という。)、第1センス抵抗40、第2センス抵抗41、第1メインダイオード24a、第1センスダイオード24b、第2メインダイオード26a、第2センスダイオード26b、制御装置28、第1信号配線30、第2信号配線32、第1駆動回路34、第2駆動回路36、第3信号配線46、第4信号配線47、電流センサ53、入力側平滑化コンデンサ90、及び、出力側平滑化コンデンサ92を有している。
【0032】
入力側平滑化コンデンサ90は、直流電源52の正極と負極の間に接続されている。
【0033】
第1メイン素子20は、nチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。第1メイン素子20は、ドレイン端子Md1と、ソース端子Ms1と、ゲート端子Mg1を有している。ドレイン端子Md1は、高電位出力配線14に接続されている。ソース端子Ms1は、高電位入力配線12に接続されている。第1センス素子21は、nチャネル型のMOSFETである。第1センス素子21は、ドレイン端子Sd1と、ソース端子Ss1と、ゲート端子Sg1を有している。ドレイン端子Sd1は、高電位出力配線14に接続されている。ソース端子Ss1は、第1センス抵抗40を介して高電位入力配線12に接続されている。すなわち、第1メイン素子20と第1センス素子21は、高電位出力配線14と高電位入力配線12の間に並列に接続されている。
【0034】
第2メイン素子22は、nチャネル型のMOSFETである。第2メイン素子22は、ドレイン端子Md2と、ソース端子Ms2と、ゲート端子Mg2を有している。ドレイン端子Md2は、高電位入力配線12に接続されている。ソース端子Ms2は、低電位配線16に接続されている。第2センス素子23は、nチャネル型のMOSFETである。第2センス素子23は、ドレイン端子Sd2と、ソース端子Ss2と、ゲート端子Sg2を有している。ドレイン端子Sd2は、高電位入力配線12に接続されている。ソース端子Ss2は、第2センス抵抗41を介して低電位配線16に接続されている。すなわち、第2メイン素子22と第2センス素子23は、高電位入力配線12と低電位配線16の間に並列に接続されている。
【0035】
第1メインダイオード24aのカソードは、ドレイン端子Md1に接続されている。第1メインダイオード24aのアノードは、ソース端子Ms1に接続されている。すなわち、第1メインダイオード24aは、第1メイン素子20に対して逆並列に接続されている。第1センスダイオード24bのカソードは、ドレイン端子Sd1に接続されている。第1センスダイオード24bのアノードは、ソース端子Ss1に接続されている。すなわち、第1センスダイオード24bは、第1センス素子21に対して逆並列に接続されている。
【0036】
第2メインダイオード26aのカソードは、ドレイン端子Md2に接続されている。第2メインダイオード26aのアノードは、ソース端子Ms2に接続されている。すなわち、第2メインダイオード26aは、第2メイン素子22に対して逆並列に接続されている。第2センスダイオード26bのカソードは、ドレイン端子Sd2に接続されている。第2センスダイオード26bのアノードは、ソース端子Ss2に接続されている。すなわち、第2センスダイオード26bは、第2センス素子23に対して逆並列に接続されている。
【0037】
出力側平滑化コンデンサ92は、高電位出力配線14と低電位配線16の間に接続されている。
【0038】
制御装置28は、第1メイン素子20及び第1センス素子21を制御する第1信号S1と、第2メイン素子22及び第2センス素子23を制御する第2信号S2を出力する。第1信号S1は、第1メイン素子20及び第1センス素子21をオンさせる第1オン電位Von1と、第1メイン素子20及び第1センス素子21をオフさせる第1オフ電位Voff1の間で繰り返し変化する信号である。第2信号S2は、第2メイン素子22及び第2センス素子23をオンさせる第2オン電位Von2と、第2メイン素子22及び第2センス素子23をオフさせる第2オフ電位Voff2の間で繰り返し変化する信号である。
【0039】
電流センサ53は、リアクトル50に流れる電流を検出する。電流センサ53は、検出した電流値を制御装置28へ送信する。制御装置28は、受信した電流値に基づいて、コンバータ10が、後述する昇圧動作、降圧動作及びゼロクロス動作のいずれの動作を実施しているのかを判断する。
【0040】
第1駆動回路34は、第1信号配線30によって制御装置28に接続されている。第1信号配線30には、第1フォトカプラ54が介装されている。第1信号配線30は、第1フォトカプラ54を介して第1信号S1を第1駆動回路34に送信する。第1駆動回路34は、第1メイン素子20のゲート端子Mg1及び第1センス素子21のゲート端子Sg1に接続されている。第1駆動回路34は、制御装置28から送信される第1信号S1を受信し、受信した第1信号S1に基づいて、ゲート端子Mg1及びゲート端子Sg1の充放電を行う。
【0041】
第2駆動回路36は、第2信号配線32によって制御装置28に接続されている。第2信号配線32には、第2フォトカプラ56が介装されている。第2信号配線32は、第2フォトカプラ56を介して第2信号S2を第2駆動回路36に送信する。第2駆動回路36は、第2メイン素子22のゲート端子Mg2及び第2センス素子23のゲート端子Sg2に接続されている。第2駆動回路36は、制御装置28から送信される第2信号S2を受信し、受信した第2信号S2に基づいて、ゲート端子Mg2及びゲート端子Sg2の充放電を行う。
【0042】
また、コンバータ10は、第1シュミットトリガインバータ60、第1バッファ62、第2シュミットトリガインバータ64、第2バッファ66、第1XOR回路68、第2XOR回路70、第1AND回路72、及び、第2AND回路74を有している。
【0043】
第1シュミットトリガインバータ60は、入力端子と出力端子を有している。第1シュミットトリガインバータ60の入力端子には、第1センス抵抗40のソース端子Ss1側の端子の電位が入力される。第1シュミットトリガインバータ60は高電位入力配線12の電位を基準に動作するので、第1シュミットトリガインバータ60には第1センス抵抗40の両端間の電位差が入力される。第1シュミットトリガインバータ60は、入力端子に印加される電位差に基づいて、出力端子に信号Fx1を出力する。第1シュミットトリガインバータ60は、負の値である第1閾値Vth1と、正の値である第2閾値Vth2を記憶している。第1シュミットトリガインバータ60は、入力端子に印加される電位差が第1閾値Vth1を下回ったときに信号Fx1をHIGHに制御し、入力端子に印加される電位差が第2閾値Vth2を超えたときに信号Fx1をLOWに制御する。第1シュミットトリガインバータ60は、入力端子に印加される電位差が第1閾値Vth1と第2閾値Vth2の間であるときは、信号Fx1を直前の値に保持する。
【0044】
第2シュミットトリガインバータ64は、入力端子と出力端子を有している。第2シュミットトリガインバータ64の入力端子には、第2センス抵抗41のソース端子Ss2側の端子の電位が入力される。第2シュミットトリガインバータ64は低電位配線16の電位を基準に動作するので、第2シュミットトリガインバータ64には第2センス抵抗41の両端間の電位差が入力される。第2シュミットトリガインバータ64は、入力端子に印加される電位差に基づいて、出力端子に信号Fx2を出力する。第2シュミットトリガインバータ64は、負の値である第3閾値Vth3と、正の値である第4閾値Vth4を記憶している。第2シュミットトリガインバータ64は、入力端子に印加される電位差が第3閾値Vth3を下回ったときに信号Fx2をHIGHに制御し、入力端子に印加される電位差が第4閾値Vth4を超えたときに信号Fx2をLOWに制御する。第2シュミットトリガインバータ64は、入力端子に印加される電位差が第3閾値Vth3と第4閾値Vth4の間であるときは、信号Fx2を直前の値に保持する。
【0045】
第1バッファ62は、入力端子と出力端子を有している。第1バッファ62には、第1メイン素子20のゲート端子Mg1の電位が入力される。第1バッファ62は、ゲート端子Mg1の電位に基づいて、出力端子に信号Fg1を出力する。第1バッファ62は、第5閾値Vth5を記憶している。第1バッファ62は、ゲート端子Mg1の電位が第5閾値Vth5よりも高い場合は信号Fg1をHIGHに制御し、ゲート端子Mg1の電位が第5閾値Vth5よりも低い場合は信号Fg1をLOWに制御する。なお、本実施形態では、第1メイン素子20と第1センス素子21のゲート閾値が、第5閾値Vth5に等しい。
【0046】
第2バッファ66は、入力端子と出力端子を有している。第2バッファ66には、第2メイン素子22のゲート端子Mg2の電位が入力される。第2バッファ66は、ゲート端子Mg2の電位に基づいて、出力端子に信号Fg2を出力する。第2バッファ66は、第6閾値Vth6を記憶している。第2バッファ66は、ゲート端子Mg2の電位が第6閾値Vth6よりも高い場合は信号Fg2をHIGHに制御し、ゲート端子Mg2の電位が第6閾値Vth6よりも低い場合は信号Fg2をLOWに制御する。なお、本実施形態では、第2メイン素子22と第2センス素子23のゲート閾値は、第6閾値Vth6に等しい。
【0047】
第1XOR回路68及び第2XOR回路70は、それぞれ2つの入力端子と1つの出力端子を有している。各XOR回路68、70は、各入力端子に入力された信号の排他的論理和を出力端子に出力する。各XOR回路68、70が出力する信号は、LOWまたはHIGHに制御される。
【0048】
第1XOR回路68の各入力端子には、第1シュミットトリガインバータ60から出力される信号Fx1及び第1バッファ62から出力される信号Fg1がそれぞれ入力される。第1XOR回路68は、入力された信号Fx1及び信号Fg1に基づいて、これらの排他的論理和である信号Ft1を出力端子に出力する。
【0049】
第2XOR回路70の各入力端子には、第2シュミットトリガインバータ64から出力される信号Fx2及び第2バッファ66から出力される信号Fg2がそれぞれ入力される。第2XOR回路70は、入力された信号Fx2及び信号Fg2に基づいて、これらの排他的論理和である信号Ft2を出力端子に出力する。
【0050】
第1AND回路72及び第2AND回路74は、それぞれ2つの入力端子と1つの出力端子を有している。各AND回路72、74は、各入力端子に入力された信号の論理積を出力端子に出力する。各AND回路72、74が出力する信号は、LOWまたはHIGHに制御される。
【0051】
第1AND回路72の各入力端子には、第1シュミットトリガインバータ60から出力される信号Fx1及び第1XOR回路68から出力される信号Ft1がそれぞれ入力される。第1AND回路72は、入力された信号Fx1及び信号Ft1に基づいて、これらの論理積である信号Fd1を出力端子に出力する。第1AND回路72から出力された信号Fd1は、第3信号配線46に出力される。第3信号配線46は、制御装置28に接続されている。第3信号配線46は、第3フォトカプラ58を介して制御装置28に信号Fd1を送信する。
【0052】
第2AND回路74の各入力端子には、第2シュミットトリガインバータ64から出力される信号Fx2及び第2XOR回路70から出力される信号Ft2がそれぞれ入力される。第2AND回路74は、入力された信号Fx2及び信号Ft2に基づいて、これらの論理積である信号Fd2を出力端子に出力する。第2AND回路74から出力された信号Fd2は、第4信号配線47に出力される。第4信号配線47は、制御装置28に接続されている。第4信号配線47は、第4フォトカプラ59を介して制御装置28に信号Fd2を送信する。
【0053】
次に、コンバータ10の動作について説明する。まず、コンバータ10の昇圧動作について説明する。昇圧動作では、直流電源52の電圧が昇圧され、昇圧された電圧が高電位出力配線14に出力される。昇圧動作では、リアクトル50に順方向(直流電源52から高電位入力配線12に向かう方向)に電流が流れる。コンバータ10が昇圧動作を実行する場合、制御装置28は、第1昇圧モードと、第1昇圧モードの後に実施される第2昇圧モードとを実施する。第1昇圧モードは、予め設定されたデッドタイムをから補正後のデッドタイムを算出するモードであり、第2昇圧モードは、算出した補正後のデッドタイムに一致するように第1メイン素子20を制御するモードである。なお、昇圧動作では、信号Fd2は制御装置28が行う制御に用いられない。したがって、昇圧動作に関する以下の説明では、信号Fd2と信号Fd2を生成する回路(すなわち、第2シュミットトリガインバータ64、第2バッファ66、第2XOR回路70及び第2AND回路74)についての説明を省略する。
【0054】
まず、第1昇圧モードについて説明する。
図2は、第1昇圧モードにおける各値の変化示す図である。参照符号Vg2は、第2メイン素子22のゲート端子Mg2の電位を示している。参照符号Vxは、高電位入力配線12の電位を示している。参照符号Vrs1は、第1センス抵抗40の両端間の電位差を示している。電位差Vrs1は、高電位入力配線12を基準とし、ソース端子Ss1側をプラスとして示している。参照符号Vg1は、第1メイン素子20のゲート端子Mg1の電位を示している。参照符号D1は、第1AND回路72から出力された信号Fd1が第3フォトカプラ58を通過した後の信号の値を示している。
【0055】
図2のタイミングT1においては、制御装置28が、第1信号S1として第1オフ電位Voff1を送信し、第2信号S2として第2オン電位Von2を送信している。このため、第1メイン素子20及び第1センス素子21はオフしており、第2メイン素子22及び第2センス素子23はオンしている。したがって、コンバータ10には、
図1において矢印で示す電流I1が流れている。この状態においては、第1シュミットトリガインバータ60は信号Fx1をLOWに維持している。また、第1メイン素子20のゲート端子Mg1の電位Vg1が第5閾値Vth5よりも低いため、第1バッファ62は信号Fg1をLOWに維持している。このため、信号Ft1、Fd1が共にLOWに維持されている。
【0056】
その後、タイミングT2において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。第2信号S2は第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングT2から僅かに遅延したタイミングT3において、電位Vg2が下降し始める。その後、タイミングT4において、電位Vg2が第6閾値Vth6を下回り、第2メイン素子22と第2センス素子23がオフする。すると、リアクトル50に電流I1が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線12の電位Vxが上昇する。すると、第1センス抵抗40の高電位入力配線12側の端子の電位が、第1センス抵抗40の第1センス素子21側の端子の電位に対して上昇する。したがって、第1センス抵抗40の両端間の電位差Vrs1が瞬間的に低下する。すると、タイミングT4において、電位差Vrs1が、第1シュミットトリガインバータ60が記憶する負の第1閾値Vth1を下回る。このため、タイミングT4において、第1シュミットトリガインバータ60が、信号Fx1をLOWからHIGHに上昇させる。第1バッファ62は、信号Fg1をLOWに維持しているため、信号Fx1と信号Fg1の排他的論理和を出力する第1XOR回路68は、信号Ft1をLOWからHIGHに上昇させる。また、信号Fx1と信号Ft1の論理積を出力する第1AND回路72は、信号Fd1をLOWからHIGHに上昇させる。
【0057】
また、タイミングT4では、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも高くなる。すると、第1メインダイオード24aが導通する。このため、タイミングT4以降、
図1の矢印に示す電流I2が流れ、出力側平滑化コンデンサ92が充電される。これによって、高電位出力配線14に高電位が出力される。このとき、第1センスダイオード24bには第1センス抵抗40が直列に接続されているので、電流I2は第1センスダイオード24bにはほとんど流れない。電流I2は、主に第1メインダイオード24aに流れる。このため、第1センス抵抗40の両端間の電位差Vrs1は、略ゼロとなる。
【0058】
第1昇圧モードでは、第2オフ電位Voff2の出力を開始したタイミングT2から第1デッドタイムΔt1が経過したタイミングT5において、制御装置28が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。第1信号S1は第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングT5から僅かに遅延したタイミングT6において、電位Vg1が上昇し始めて、第1メイン素子20と第1センス素子21がオンする。これにより、電流I2が、第1メイン素子20、第1センス素子21、第1メインダイオード24a及び第1センスダイオード24bに分岐して流れる。タイミングT6以降では、第1センス素子21にも電流が流れるため、第1センス抵抗40の両端間に僅かに電位差Vs1(負の電位差)が生じる。しかしながら、第1シュミットトリガインバータ60が記憶する第1閾値Vth1は、電位差Vs1よりも小さい値に設定されている。このため、第1シュミットトリガインバータ60は、出力する信号Fx1を直前に出力したHIGHに保持する。また、タイミングT6では、電位Vg1が、第1バッファ62が記憶する第5閾値Vth5よりも高くなる。このため、タイミングT6において、第1バッファ62は、信号Fg1をLOWからHIGHに上昇させる。すると、第1シュミットトリガインバータ60が出力する信号Fx1はHIGHを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をHIGHからLOWに下降させる。また、第1AND回路72は、信号Fd1をHIGHからLOWに下降させる。
【0059】
上述したように、信号D1は、信号Fd1を遅延した信号であり、信号Fd1と同じ波形を有する。制御装置28は、信号D1から、タイミングT4とタイミングT6の間の時間(以下、第1オフセット時間Δt2という)を算出する。そして、制御装置28が、第1デッドタイムΔt1から第1オフセット時間Δt2を減算して、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。
【0060】
第1昇圧モードでは、第2オフ電位Voff2の出力を開始したタイミングT2から所定の期間Δt11が経過したタイミングTs1において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。第1信号S1は、第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングTs1から僅かに遅延したタイミングT7において、電位Vg1が下降し始める。その後のタイミングT8で、電位Vg1が第5閾値Vth5を下回り、第1メイン素子20と第1センス素子21がオフする。このため、タイミングT8において、第1バッファ62は、信号Fg1をHIGHからLOWに下降させる。すると、第1シュミットトリガインバータ60が出力する信号Fx1はHIGHを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をLOWからHIGHに上昇させる。したがって、第1AND回路72は、信号Fd1をLOWからHIGHに上昇させる。タイミングT8以降は、第1メイン素子20と第1センス素子21に電流I2が流れず、第1メインダイオード24aに電流I2が流れる。
【0061】
第1昇圧モードでは、第1オフ電位Voff1の出力を開始したタイミングTs1から第3デッドタイムΔt7が経過したタイミングTs2において、制御装置28が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。タイミングTs2から僅かに遅延したタイミングT9において、電位Vg2が上昇し始めて、第6閾値Vth6を上回る。このため、タイミングT9において、第2メイン素子22と第2センス素子23がオンする。これにより、
図1に示す電流I1が流れる。また、タイミングT9では、高電位入力配線12の電位Vxが低下する。すると、第1センス抵抗40の高電位入力配線12側の端子の電位が、第1センス抵抗40の第1センス素子21側の端子の電位に対して低下する。このため、第1センス抵抗40の両端間の電位差Vrs1が瞬間的に上昇する。すると、タイミングT9において、電位差Vrs1が、第1シュミットトリガインバータ60が記憶する正の第2閾値Vth2を上回る。このため、タイミングT9において、第1シュミットトリガインバータ60が、信号Fx1をHIGHからLOWに下降させる。すると、第1バッファ62が出力する信号Fg1はLOWを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をHIGHからLOWに下降させる。したがって、第1AND回路72は、信号Fd1をHIGHからLOWに下降させる。
【0062】
上述したように、信号D1は、信号Fd1を遅延した信号であり、信号Fd1と同じ波形を有する。制御装置28は、信号D1から、タイミングT8とタイミングT9の間の時間(以下、第3オフセット時間Δt8という)を算出する。
【0063】
次に、第2昇圧モードについて説明する。なお、第2昇圧モードでは、第1シュミットトリガインバータ60、第1バッファ62、第1XOR回路68、第1AND回路72は実質的に機能しないので、これらの動作説明を省略する。
図3は、第2昇圧モードにおける各値の変化示す図である。
図3のタイミングT´1は、
図2のタイミングT1と同様である。タイミングT´2において、信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化すると、それから僅かに遅延したタイミングT´3において電位Vg2が低下し始める。タイミングT´4において、電位Vg2が第6閾値Vth6を下回り、第2メイン素子22と第2センス素子23がオフする。したがって、タイミングT´4以降に、高電位入力配線12の電位Vxが上昇し、電流I2が流れる。
【0064】
また、第2昇圧モードでは、制御装置28は、第2オフ電位Voff2を出力したタイミングT´2から第1補正デッドタイムΔt3(第1昇圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´3において、第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。したがって、タイミングT´3から僅かに遅延したタイミングT´4において、電位Vg1が上昇して第5閾値Vth5を上回り、第1メイン素子20と第1センス素子21がオンする。
【0065】
第1補正デッドタイムΔt3は、第1デッドタイムΔt1(第1昇圧モードのデッドタイム)から第1オフセット時間Δt2(第1昇圧モードで電流I2が流れ始めてから第1メイン素子20がオンするまでの時間)を減算した値である。したがって、第1メイン素子20と第1センス素子21がオンするタイミングは、電流I2が流れ始めるタイミングT´4と略一致する。したがって、電流I2が流れ始めるのと略同時に、電流I2は、第1メインダイオード24a、第1メイン素子20及び第1センス素子21に分岐して流れる。電流I2が第1メインダイオード24aのみに集中する時間がほとんどないので、第1メインダイオード24aに対する負荷が軽減される。
【0066】
第2昇圧モードでは、第1昇圧モードと同様に、制御装置28は、タイミングTs1から第3デッドタイムΔt7が経過したタイミングTs2において、第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。すると、タイミングTs2から僅かに遅延したタイミングT´9において、電位Vg2が上昇し始めて、第6閾値Vth6を上回る。したがって、タイミングT´9において、第2メイン素子22と第2センス素子23がオンする。したがって、タイミングT´9以降に、電流I2が停止し、電流I1が流れる。
【0067】
また、第2昇圧モードでは、タイミングTs1から第3オフセット時間Δt8(第1昇圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´8において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。タイミングT´8から僅かに遅延したタイミングTs2において電位Vg1が下降し始め、タイミングT´9において電位Vg1が第5閾値Vth5を下回る。したがって、タイミングT´9において、第1メイン素子20と第1センス素子21がオフする。
【0068】
第3オフセット時間Δt8は、第1昇圧モードで第1メイン素子20と第1センス素子21がオフしてから電流I2が停止するまでの時間である。第2昇圧モードでは、タイミングTs1から第3オフセット時間Δt8だけ第1メイン素子20と第1センス素子21がオフするタイミングを遅らせる。このため、第2昇圧モードでは、第1メイン素子20と第1センス素子21がオフするタイミングが、電流I2が停止するタイミングT´9と略一致する。すなわち、電流I2が停止する直前まで、第1メイン素子20と第1センス素子21に電流I2を流して、第1メインダイオード24aへの電流集中を抑制することができる。したがって、第1メインダイオード24aに負荷が軽減される。
【0069】
上記のように、コンバータ10は、第1昇圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxの上昇に伴って第1センス抵抗40の両端間の電位差が拡大するタイミングT4を、電流I2が流れ始めるタイミングとして検出する。そして、検出したタイミングT4から、第1メインダイオード24aに電流I2が集中して流れている時間(第1オフセット時間Δt2)を算出する。そして、第2昇圧モードでは、第1オフセット時間Δt2に基づいて補正した第1補正デッドタイムΔt3を用いて第1メイン素子20と第1センス素子21を制御する。このため、第1メインダイオード24aに電流I2が集中して流れている時間を最小化することができる。
【0070】
また、コンバータ10は、第1昇圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxの低下に伴って第1センス抵抗40の両端間の電位差が拡大するタイミングT9を、電流I2が停止するタイミングとして検出する。そして、検出したタイミングT9から、第1メインダイオード24aに電流I2が集中して流れている時間(第3オフセット時間Δt8)を算出する。そして、第2昇圧モードでは、第3オフセット時間Δt8だけ第1メイン素子20と第1センス素子21がオンするタイミングを遅らせる。このため、第1メインダイオード24aに電流I2が集中して流れている時間を最小化することができる。
【0071】
上記のように、本実施例のコンバータ10によれば、第1メイン素子20と第2メイン素子22を同時にオンさせないという規則の中で、第1メイン素子20がオンする期間を長くすることができる。これによって、第1メインダイオード24aで生じる損失を低減することができる。
【0072】
また、本実施例のコンバータ10では、昇圧動作時に、デッドタイムを補正するためのタイミングを示す信号D1が、共通の第3信号配線46によって送信される。このため、信号の遅延時間のばらつきによるデッドタイムの補正精度の低下が生じ難い。すなわち、デッドタイムを補正するために複数の信号を制御装置28へ送信すると、フォトカプラで生じる信号遅延が信号毎に異なるので、デッドタイムを正確に補正することができない。これに対し、本実施形態では、デッドタイムを補正するための単一の信号D1が用いられるので、精度良くデッドタイムを補正することができる。
【0073】
また、本実施形態のコンバータ10では、信号Fx1をLOWからHIGHに変化させるタイミングとして、第1センス抵抗40の両端間の電位差Vrs1が第1閾値を下回るタイミングを採用している。ここで、例えば、電位差Vrs1に代えて、
図4に示すように、コンパレータ270によって、第1メイン素子20のドレイン端子Md1とソース端子Ms1との間の電位の大小関係(すなわち、高電位出力配線14と高電位入力配線12の電位の大小関係)が反転するタイミングを信号Fx1の制御に用いるタイミングとして採用する構成が考えられる。このような構成では、コンパレータ270の入力端子に、昇圧された直流電源52の電位(約1000V)が直接印加される。したがって、コンパレータ270の入力端子に印加される高電圧を第1抵抗R1及び第2抵抗R2を用いて低電圧に変換する必要がある。
【0074】
例えば、第1抵抗R1=10MΩ、第2抵抗R2=25kΩとした場合、第1抵抗R1及び第2抵抗R2における消費電流は、1000V/10025kΩ≒0.1mAと抑制することができる。しかしながら、例えばコンパレータ270の入力容量を1nFとすると、RC回路の時定数が1nF×10MΩ=10msecとなり、コンパレータ270の立ち上がりに時間を要するため、正確なオフセット時間を示す信号を生成することが難しい。また例えば、第1抵抗R1=10Ω、第2抵抗R2=0.025Ωとすると、RC回路の時定数は、1nF×10Ω=10nsecとなり、正確なオフセット時間を示す信号を生成することが可能となるが、第1抵抗R1及び第2抵抗R2における消費電流が、1000V/10.025Ω≒100Aと大きくなるという問題が生じる。しかしながら、上述したように、本実施形態のコンバータ10では、第1シュミットトリガインバータ60の入力端子に印加される電位が、第1センス抵抗40の両端間の電位差Vrs1となる。また、第1バッファ62の入力端子に印加される電位が、第1メイン素子20のゲート端子Mg1の電位となる。このように、コンバータ10では、論理回路に入力される電位が比較的に小さい。このため、上記のように、第1シュミットトリガインバータ60及び第1バッファ62に印加される電圧を抵抗により分圧する必要がない。このため、コンバータ10では、簡易な構成としながら、正確にデッドタイムを補正することができる。
【0075】
続いて、コンバータ10の降圧動作について説明する。降圧動作では、高電位出力配線14の電圧が降圧され、降圧された電圧が直流電源52に出力される。降圧動作では、リアクトル50に逆方向(高電位入力配線12から直流電源52に向かう方向)に電流が流れる。コンバータ10が降圧動作を実行する場合、制御装置28は、第1降圧モードと、第1降圧モードの後に実施される第2降圧モードとを実施する。第1降圧モードは、予め設定されたデッドタイムから補正後のデッドタイムを算出するモードであり、第2降圧モードは、算出した補正後のデッドタイムに一致するように第2メイン素子22を制御するモードである。なお、降圧動作では、信号Fd1は制御装置28が行う制御に用いられない。したがって、降圧動作に関する以下の説明では、信号Fd1と信号Fd1を生成する回路(すなわち、第1シュミットトリガインバータ60、第1バッファ62、第1XOR回路68及び第1AND回路72)についての説明を省略する。
【0076】
まず、第1降圧モードについて説明する。
図5は、第1降圧モードにおける各値の変化示す図である。参照符号Vrs2は、第2センス抵抗41の両端間の電位差を示している。電位差Vrs2は、低電位配線16を基準とし、ソース端子Ss2側をプラスとして示している。参照符号D2は、第2AND回路74から出力された信号Fd2が第4フォトカプラ59を通過した後の信号の値を示している。
【0077】
図5のタイミングT21においては、制御装置28が、第1信号S1として第1オン電位Von1を送信し、第2信号S2として第2オフ電位Voff2を送信している。このため、第1メイン素子20及び第1センス素子21はオンしており、第2メイン素子22及び第2センス素子23はオフしている。したがって、コンバータ10には、
図1において矢印で示す電流I3が流れている。この状態においては、第2シュミットトリガインバータ64は信号Fx2をLOWに維持している。また、第2メイン素子22のゲート端子Mg2の電位Vg2が第6閾値Vth6よりも低いため、第2バッファ66は信号Fg2をLOWに維持している。このため、信号Ft2、Fd2が共にLOWに維持されている。
【0078】
その後、タイミングT22において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。第1信号S1は第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングT22から僅かに遅延したタイミングT23において、電位Vg1が下降し始める。その後、タイミングT24において、電位Vg1が第5閾値Vth5を下回り、第1メイン素子20と第1センス素子21がオフする。すると、リアクトル50に電流I3が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線12の電位Vxが低下し、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも低くなる。すると、第2メインダイオード26aが導通する。このため、
図1の矢印に示す電流I4が流れる。このとき、第2センス抵抗41の第2センス素子23側の端子の電位が、第2センス抵抗41の低電位配線16側の端子の電位に対して低下する。したがって、第2センス抵抗41の両端間の電位差Vrs2が瞬間的に低下する。すると、タイミングT24において、電位差Vrs2が、第2シュミットトリガインバータ64が記憶する負の第3閾値Vth3を下回る。このため、タイミングT24において、第2シュミットトリガインバータ64が、信号Fx2をLOWからHIGHに上昇させる。第2バッファ66は、信号Fg2をLOWに維持しているため、信号Fx2と信号Fg2の排他的論理和を出力する第2XOR回路70は、信号Ft2をLOWからHIGHに上昇させる。また、信号Fx2と信号Ft2の論理積を出力する第2AND回路74は、信号Fd2をLOWからHIGHに上昇させる。第2センスダイオード26bには第2センス抵抗41が直列に接続されている。したがって、タイミングT24以降は、電流I4は第2センスダイオード26bにはほとんど流れない。電流I4は、主に第2メインダイオード26aに流れる。このため、第2センス抵抗41の両端間の電位差Vrs2は、略ゼロとなる。
【0079】
第1降圧モードでは、第1オフ電位Voff1の出力を開始したタイミングT22から第2デッドタイムΔt4が経過したタイミングT25において、制御装置28が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。第2信号S2は第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングT25から僅かに遅延したタイミングT26において、電位Vg2が上昇し始めて、第2メイン素子22と第2センス素子23がオンする。これにより、電流I4が、第2メイン素子22、第2センス素子23、第2メインダイオード26a及び第2センスダイオード26bに分岐して流れる。タイミングT26以降では、第2センス素子23にも電流が流れるため、第2センス抵抗41の両端間に僅かに電位差Vs2(負の電位差)が生じる。しかしながら、第2シュミットトリガインバータ64が記憶する第3閾値Vth3は、電位差Vs2よりも小さい値に設定されている。このため、第2シュミットトリガインバータ64は、出力する信号Fx2を直前に出力したHIGHに保持する。また、タイミングT26では、電位Vg2が、第2バッファ66が記憶する第6閾値Vth6よりも高くなる。このため、タイミングT26において、第2バッファ66は、信号Fg2をLOWからHIGHに上昇させる。すると、第2シュミットトリガインバータ64が出力する信号Fx2はHIGHを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をHIGHからLOWに下降させる。また、第2AND回路74は、信号Fd2をHIGHからLOWに下降させる。
【0080】
上述したように、信号D2は、信号Fd2を遅延した信号であり、信号Fd2と同じ波形を有する。制御装置28は、信号D2から、タイミングT24とタイミングT26の間の時間(以下、第2オフセット時間Δt5という)を算出する。そして、制御装置28が、第2デッドタイムΔt4から第2オフセット時間Δt5を減算して、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。
【0081】
第1降圧モードでは、第1オフ電位Voff1の出力を開始したタイミングT22から所定の期間Δt12が経過したタイミングTs3において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。第2信号S2は、第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングTs3から僅かに遅延したタイミングT27において、電位Vg2が下降し始める。その後のタイミングT28で、電位Vg2が第6閾値Vth6を下回り、第2メイン素子22と第2センス素子23がオフする。このため、タイミングT28において、第2バッファ66は、信号Fg2をHIGHからLOWに下降させる。すると、第2シュミットトリガインバータ64が出力する信号Fx2はHIGHを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をLOWからHIGHに上昇させる。したがって、第2AND回路74は、信号Fd2をLOWからHIGHに上昇させる。タイミングT28以降は、第2メイン素子22と第2センス素子23に電流I4が流れず、第2メインダイオード26aに電流I4が流れる。
【0082】
第1降圧モードでは、第2オフ電位Voff2の出力を開始したタイミングTs3から第4デッドタイムΔt9が経過したタイミングTs4において、制御装置28が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。タイミングTs4から僅かに遅延したタイミングT29において、電位Vg1が上昇し始めて、第5閾値Vth5を上回る。このため、タイミングT29において、第1メイン素子20と第1センス素子21がオンする。これにより、
図1に示す電流I3が流れる。また、タイミングT29では、高電位入力配線12の電位Vxが上昇する。すると、第2センス抵抗41の第2センス素子23側の端子の電位が、第2センス抵抗41の低電位配線16側の端子の電位に対して上昇する。このため、第2センス抵抗41の両端間の電位差Vrs2が瞬間的に上昇する。すると、タイミングT29において、電位差Vrs2が、第2シュミットトリガインバータ64が記憶する正の第4閾値Vth4を上回る。このため、タイミングT29において、第2シュミットトリガインバータ64が、信号Fx2をHIGHからLOWに下降させる。すると、第2バッファ66が出力する信号Fg2はLOWを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をHIGHからLOWに下降させる。したがって、第2AND回路74は、信号Fd2をHIGHからLOWに下降させる。
【0083】
上述したように、信号D2は、信号Fd2を遅延した信号であり、信号Fd2と同じ波形を有する。制御装置28は、信号D2から、タイミングT28とタイミングT29の間の時間(以下、第4オフセット時間Δt10という)を算出する。
【0084】
次に、第2降圧モードについて説明する。なお、第2降圧モードでは、第2シュミットトリガインバータ64、第2バッファ66、第2XOR回路70、第2AND回路74は実質的に機能しないので、これらの動作説明を省略する。
図6は、第2降圧モードにおける各値の変化示す図である。
図6のタイミングT´21は、
図5のタイミングT21と同様である。タイミングT´22において、信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化すると、それから僅かに遅延したタイミングT´23において電位Vg1が低下し始める。タイミングT´24において、電位Vg1が第5閾値Vth5を下回り、第1メイン素子20と第1センス素子21がオフする。したがって、タイミングT´24以降に高電位入力配線12の電位Vxが低下し、電流I4が流れる。
【0085】
また、第2降圧モードでは、制御装置28は、第1オフ電位Voff1を出力したタイミングT´22から第2補正デッドタイムΔt6(第1降圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´23において、第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。したがって、タイミングT´23から僅かに遅延したタイミングT´24において、電位Vg2が上昇して第6閾値Vth6を上回り、第2メイン素子22と第2センス素子23がオンする。
【0086】
第2補正デッドタイムΔt6は、第2デッドタイムΔt4(第1降圧モードのデッドタイム)から第2オフセット時間Δt5(第1降圧モードで電流I4が流れ始めてから第2メイン素子22がオンするまでの時間)を減算した値である。したがって、第2メイン素子22と第2センス素子23がオンするタイミングは、電流I4が流れ始めるタイミングT´24と略一致する。したがって、電流I4が流れ始めるのと略同時に、電流I4は、第2メインダイオード26a、第2メイン素子22及び第2センス素子23に分岐して流れる。電流I4が第2メインダイオード26aのみに集中する時間がほとんどないので、第2メインダイオード26aに対する負荷が軽減される。
【0087】
第2降圧モードでは、第1降圧モードと同様に、制御装置28は、タイミングTs3から第4デッドタイムΔt9が経過したタイミングTs4において、第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。すると、タイミングTs4から僅かに遅延したタイミングT´30において、電位Vg1が上昇し始めて、第5閾値Vth5を上回る。したがって、タイミングT´30において、第1メイン素子20と第1センス素子21がオンする。したがって、タイミングT´30以降に、電流I4が停止し、電流I3が流れる。
【0088】
また、第2降圧モードでは、タイミングTs3から第4オフセット時間Δt10(第1降圧モードで算出した値)が経過したタイミングT´29において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。タイミングT´29から僅かに遅延したタイミングTs4において電位Vg2が下降し始め、タイミングT´30において電位Vg2が第6閾値Vth6を下回る。したがって、タイミングT´30において、第2メイン素子22と第2センス素子23がオフする。
【0089】
第4オフセット時間Δt10は、第1降圧モードで第2メイン素子22と第2センス素子23がオフしてから電流I4が停止するまでの時間である。第2降圧モードでは、タイミングTs3から第4オフセット時間Δt10だけ第2メイン素子22と第2センス素子23がオフするタイミングを遅らせる。このため、第2降圧モードでは、第2メイン素子22と第2センス素子23がオフするタイミングが、電流I4が停止するタイミングT´30と略一致する。すなわち、電流I4が停止する直前まで、第2メイン素子22と第2センス素子23に電流I4を流して、第2メインダイオード26aへの電流集中を抑制することができる。したがって、第2メインダイオード26aに負荷が軽減される。
【0090】
上記のように、コンバータ10は、第1降圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxの低下に伴って第2センス抵抗41の両端間の電位差が拡大するタイミングT24を、電流I4が流れ始めるタイミングとして検出する。そして、検出したタイミングT24から、第2メインダイオード26aに電流I4が集中して流れている時間(第2オフセット時間Δt5)を算出する。そして、第2降圧モードでは、第2オフセット時間Δt5に基づいて補正した第2補正デッドタイムΔt6を用いて第2メイン素子22と第2センス素子23を制御する。このため、第2メインダイオード26aに電流I4が集中して流れている時間を最小化することができる。
【0091】
また、コンバータ10は、第1降圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxの上昇に伴って第2センス抵抗41の両端間の電位差が拡大するタイミングT29を、電流I4が停止するタイミングとして検出する。そして、検出したタイミングT29から、第2メインダイオード26aに電流I4が集中して流れている時間(第4オフセット時間Δt10)を算出する。そして、第2降圧モードでは、第4オフセット時間Δt10だけ第2メイン素子22と第2センス素子23がオンするタイミングを遅らせる。このため、第2メインダイオード26aに電流I4が集中して流れている時間を最小化することができる。
【0092】
上記のように、本実施例のコンバータ10によれば、第1メイン素子20と第2メイン素子22を同時にオンさせないという規則の中で、第2メイン素子22がオンする期間を長くすることができる。これによって、第2メインダイオード26aで生じる損失を低減することができる。
【0093】
また、本実施例のコンバータ10では、降圧動作時に、デッドタイムを補正するためのタイミングを示す信号D2が、共通の第4信号配線47によって送信される。このため、信号の遅延時間のばらつきによるデッドタイムの補正精度の低下が生じ難い。すなわち、デッドタイムを補正するために複数の信号を制御装置28へ送信すると、フォトカプラで生じる信号遅延が信号毎に異なるので、デッドタイムを正確に補正することができない。これに対し、本実施形態では、デッドタイムを補正するための単一の信号D2が用いられるので、精度良くデッドタイムを補正することができる。
【0094】
続いて、コンバータ10のゼロクロス動作について説明する。ゼロクロス動作では、高電位出力配線14の電圧と直流電源52の電圧が略等しい状態における動作である。ゼロクロス動作では、信号S1、S2が変化する周期中において、リアクトル50に流れる電流が順方向と逆方向の間で変化する。制御装置28は、電流センサ53で検出される電流値からゼロクロス動作であることを検出すると、デッドタイムの補正を行わない。すなわち、制御装置28は、ゼロクロス動作において、第1補正デッドタイムΔt3、第3オフセット時間Δt8、第2補正デッドタイムΔt6、及び、第4オフセット時間Δt10によるデッドタイムの補正をしない。ゼロクロス動作においては、電流の向きが複雑に変化するので、デッドタイムの補正を行わない。また、ゼロクロス動作においては、回路に流れる電流の絶対値が小さいので、デッドタイムの補正を行わなくても、第1メインダイオード24a及び第2メインダイオード26aで生じる損失は小さい。
【0095】
(対応関係)
ドレイン端子Md1、ソース端子Ms1、ゲート端子Mg1が、それぞれ「第1メイン高電位端子」、「第1メイン低電位端子」、「第1メインゲート端子」の一例である。ドレイン端子Sd1、ソース端子Ss1、ゲート端子Sg1が、それぞれ「第1センス高電位端子」、「第1センス低電位端子」、「第1センスゲート端子」の一例である。ドレイン端子Md2、ソース端子Ms2、ゲート端子Mg2が、それぞれ「第2メイン高電位端子」、「第2メイン低電位端子」、「第2メインゲート端子」の一例である。ドレイン端子Sd2、ソース端子Ss2、ゲート端子Sg2が、それぞれ「第2センス高電位端子」、「第2センス低電位端子」、「第2センスゲート端子」の一例である。第1メインダイオード24a、第2メインダイオード26aが、それぞれ「第1ダイオード」、「第2ダイオード」の一例である。第1フォトカプラ54、第2フォトカプラ56、第3フォトカプラ58、第4フォトカプラ59が、それぞれ「第1絶縁素子」、「第2絶縁素子」、「第3絶縁素子」、「第4絶縁素子」の一例である。第1バッファ62、第2バッファ66、第1シュミットトリガインバータ60、第2シュミットトリガインバータ64が、それぞれ「第1センサ」、「第2センサ」、「第3センサ」、「第4センサ」の一例である。第5閾値Vth5、第6閾値Vth6が、それぞれ「第1基準値」、「第2基準値」の一例である。
図2のタイミングT6及び
図3のタイミングT´4が、「第1タイミング」の一例である。
図5のタイミングT26及び
図6のタイミングT´24が、「第2タイミング」の一例である。
図2のタイミングT4及び
図3のタイミングT´4が、「第3タイミング」の一例である。
図5のタイミングT24及び
図6のタイミングT´24が、「第4タイミング」の一例である。
【0096】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0097】
10:昇降圧コンバータ、12:高電位入力配線、14:高電位出力配線、16:低電位配線、20:第1メインスイッチング素子、21:第1センススイッチング素子、22:第2メインスイッチング素子、23:第2センススイッチング素子、24a:第1メインダイオード、24b:第1センスダイオード、26a:第2メインダイオード、26b:第2センスダイオード、28:制御装置、30:第1信号配線、32:第2信号配線、34:第1駆動回路、36:第2駆動回路、40:第1センス抵抗、41:第2センス抵抗、46:第3信号配線、47:第4信号配線、50:リアクトル、52:直流電源、53:電流センサ、54:第1フォトカプラ、56:第2フォトカプラ、58:第3フォトカプラ、59:第4フォトカプラ、60:第1シュミットトリガインバータ、62:第1バッファ、64:第2シュミットトリガインバータ、66:第2バッファ、68:第1XOR回路、70:第2XOR回路、72:第1AND回路、74:第2AND回路