(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20221129BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221129BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20221129BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20221129BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J2/01 203
B41J2/01 451
B41J2/01 301
B41J2/01 109
B41J3/407
B05C5/00 101
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2018243347
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】林 陽
(72)【発明者】
【氏名】高木 正明
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-121344(JP,A)
【文献】特開2018-000280(JP,A)
【文献】特表2018-508298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
B41J 2/01
B41J 3/407
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移動可能に構成され、印刷対象物にインクを塗布するインクヘッドと、
前記印刷対象物が載置される
載置面に水平方向を位置合わせする目印が設けられた載置部と、
前記載置部近傍に設けられ、前記印刷対象物の上下方向の位置合わせを行うための基準となる位置基準と、
側方視において上下方向の位置が前記位置基準および前記印刷対象物に重なるように、前記載置部に対して側方に離間した側方位置に配置され、前記印刷対象物の側面および前記位置基準から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が前記位置基準よりも上方かつ下端が前記位置基準よりも下方に位置するように構成されるか、または、平面視において水平方向の位置が前記印刷対象物に重なるように、前記載置部に対して上方に離間した上方位置に配置され、前記印刷対象物の上面から到達する光を反射するように構成された、第1反射部材と、を備える、プリンタ。
【請求項2】
前記第1反射部材は、前記側方位置に配置されている場合、平面視において前記インクヘッドが移動可能な領域と重ならない位置に配置されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1反射部材が前記側方位置に配置されている場合、前記位置基準よりも下方の位置で、かつ、前記載置部に対して側方に離間した位置に配置され、前記第1反射部材により反射された光を上方に反射する第2反射部材をさらに備える、請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第1反射部材が前記側方位置に配置されている場合、前記印刷対象物の上面、側面および前記位置基準を上方から視認可能または撮像可能に構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第1反射部材は、前記上方位置に配置されている場合、上下方向の位置は前記インクヘッドの上端よりも上方の位置に配置されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記第1反射部材が前記上方位置に配置されている場合、上下方向の位置は前記位置基準よりも下方の位置で、かつ、前記載置部に対して側方に離間した位置に配置され、前記第1反射部材により反射された光を側方に反射する第3反射部材をさらに備える、請求項1または5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記第1反射部材が前記上方位置に配置されている場合、前記印刷対象物の上面、側面および前記位置基準を側方から視認可能または撮像可能に構成されている、請求項5~6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記インクヘッドと、前記載置部と、前記位置基準と、前記第1反射部材とを覆う筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記印刷対象物に照明光を照射する照明部と、
前記印刷対象物への印刷を行うための操作に基づいて、前記照明部の照明光の点灯および消灯の制御を行う制御部と、をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記印刷対象物の上面、側面および前記位置基準を上方から撮像可能に構成されるか、または、前記印刷対象物の上面、側面および前記位置基準を側方から撮像可能に構成される撮像部をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記第1反射部材により光が反射される前記印刷対象物は、指の爪である、請求項1~9のいずれか1項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、指の爪に印刷を行うインクジェット方式のプリントヘッドと、指が挿入される指挿入部と、指挿入部の上方に設けられた開口部と、開口部の淵にレーザ光を照射するレーザ照射部と、レーザ光を反射するミラーと、開口部の上方に設けられ、指挿入部に挿入された指の位置を撮像する撮像部と、撮像部による撮像結果に基づいて、指挿入部の指の位置を判定する判定部と、を備えたプリント装置(プリンタ)が開示されている。上記特許文献1に記載のプリント装置では、ミラーは、所定の高さ位置にレーザ光を水平に反射するように構成されている。また、判定部は、開口部の上方から撮像した撮像結果に基づいて水平位置において指の爪が正しい位置にあるか否かを判定している。また、判定部は、開口部の上方から撮像した撮像結果に基づいて指や爪の色がレーザ光の色に変化した場合には、レーザ光が指や爪に当たっており、指の爪が所定の高さ位置よりも上方にあると判定し、指や爪の色がレーザ光の色に変化していない場合には、レーザ光が指や爪に当たっておらず、指の爪が所定の高さ位置よりも下方にあると判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のプリント装置では、判定部は、開口部の上方から撮像した撮像結果に基づいて指挿入部内の水平位置において指の爪が正しい位置にあるか否かを判定しているため、水平方向においては、指の爪を正しい位置に容易に誘導することができる。しかしながら、判定部は、爪の高さ位置に関しては、指の爪の高さ位置が所定の高さ位置よりも高いか低いかの判定のみを行っている。その結果、爪の高さ位置と所定の高さ位置とを視認または撮像して比較することができず、爪の高さ位置と所定の高さ位置との距離の確認ができない。そのため、上下方向について、どの程度指を動かせば、爪を所定の高さ位置に合わせることができるのか分からないという不都合がある。その結果、指の爪(印刷対象物)の位置合わせを行うことが容易ではないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印刷対象物の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるプリンタは、水平方向に移動可能に構成され、印刷対象物にインクを塗布するインクヘッドと、印刷対象物が載置される載置面に水平方向を位置合わせする目印が設けられた載置部と、載置部近傍に設けられ、印刷対象物の上下方向の位置合わせを行うための基準となる位置基準と、側方視において上下方向の位置が位置基準および印刷対象物に重なるように、載置部に対して側方に離間した側方位置に配置され、印刷対象物の側面および位置基準から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が位置基準よりも上方かつ下端が位置基準よりも下方に位置するように構成されるか、または、平面視において水平方向の位置が印刷対象物に重なるように、載置部に対して上方に離間した上方位置に配置され、印刷対象物の上面から到達する光を反射するように構成された、第1反射部材と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面によるプリンタでは、側方視において上下方向の位置が位置基準および印刷対象物に重なるように、載置部に対して側方に離間した側方位置に配置され、印刷対象物の側面および位置基準から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が位置基準よりも上方かつ下端が位置基準よりも下方に位置する第1反射部材を設けた場合、第1反射部材が上記側方位置に配置されることによって、第1反射部材により、印刷対象物の側面および位置基準から到達する光が反射されるので、反射させた方向から印刷対象物の側面および位置基準を視認または撮像することができる。また、第1反射部材が上記側方位置に配置されることによって、印刷対象物の上方には、第1反射部材が配置されないので、上方から印刷対象物の上面を視認または撮像することができる。これらの結果、反射させた印刷対象物の側面および位置基準から到達する光を上方に導くことにより、上方から印刷対象物の上面および側面を同時に視認または撮像することができる。また、第1反射部材が側方視において上下方向の位置が位置基準および印刷対象物に重なるように配置されることによって、位置基準を真正面(真横)から視認または撮像することができるので、位置基準に対して、視差による誤差が生じにくくなり、位置合わせを容易に行うことができる。また、光を反射する第1反射部材の反射面の上端が、位置基準よりも上方にあり、反射面の下端が、位置基準よりも下方にあることによって、第1反射部材により視認または撮像可能な範囲が位置基準を挟んで上下方向に広くすることができるので、印刷対象物が位置基準に重ならない位置にあっても、印刷対象物を容易に視認または撮像することができる。これらにより、上記側方位置に第1反射部材を設けた場合、印刷対象物の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0009】
また、平面視において水平方向の位置が印刷対象物に重なるように、載置部に対して上方に離間した上方位置に配置され、印刷対象物の上面から到達する光を反射する第1反射部材を設けた場合、第1反射部材が上記上方位置に配置されることによって、第1反射部材により印刷対象物の上面から到達する光が反射されるので、反射させた方向から印刷対象物の上面を視認または撮像することができる。また、第1反射部材が上記上方位置に配置されることによって、印刷対象物の側方には、第1反射部材が配置されないので、側方から印刷対象物の側面および位置基準を視認または撮像することができる。これらの結果、反射させた印刷対象物の上面から到達する光を側方に導くことにより、側方から印刷対象物の上面および側面を同時に視認または撮像することができる。また、第1反射部材が上記上方位置に配置されることによって、印刷対象物の側方には、第1反射部材が配置されず、印刷対象物の側面および位置基準を真正面(真横)から視認または撮像することができるので、位置基準に対して、視差による誤差が生じにくくなり、位置合わせを容易に行うことができる。これらにより、上記上方位置に第1反射部材を設けた場合、印刷対象物の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0010】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材は、側方位置に配置されている場合、平面視においてインクヘッドが移動可能な領域と重ならない位置に配置されている。このように構成すれば、第1反射部材の大きさがインクヘッドの下端の位置に制限されなくなり、第1反射部材の大きさを大きくすることができるため、印刷対象物と位置基準とを同時に映し出せる範囲が広がる。その結果、印刷対象物の位置と位置基準の位置とを比較できる範囲が広がるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0011】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材が側方位置に配置されている場合、位置基準よりも下方の位置で、かつ、載置部に対して側方に離間した位置に配置され、第1反射部材により反射された光を上方に反射する第2反射部材をさらに備える。このように構成すれば、第2反射部材はインクヘッドの配置に制限されないため、第1反射部材に比べて、第2反射部材を印刷対象物に近づけることが可能になる。これにより、印刷対象物により近い位置で印刷対象物の側面および位置基準が視認または撮像可能になる。その結果、より狭い視野角において印刷対象物の上面、側面および位置基準を同時に視認または撮像可能になるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0012】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材が側方位置に配置されている場合、印刷対象物の上面、側面および位置基準を上方から視認可能または撮像可能に構成されている。このように、印刷対象物の上面、側面および位置基準を上方から視認可能に構成した場合、印刷対象物の上下方向および水平方向の位置合わせを上方から視認することにより行うことができる。その結果、上下方向および水平方向の位置合わせにおいて、上方および側方の両方から印刷対象物の上面、側面および位置基準を視認して行う場合に比べて、位置合わせのための手順(作業負担)が増加するのを抑制することができる。また、印刷対象物の上面、側面および位置基準を上方から撮像可能に構成した場合、撮像部を上方に設けることにより、印刷対象物の上下方向および水平方向の位置合わせを行うことができる。その結果、上下方向および水平方向の位置合わせのために、上方および側方の両方に撮像部を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材は、上方位置に配置されている場合、上下方向の位置はインクヘッドの上端よりも上方の位置に配置されている。このように構成すれば、第1反射部材を印刷対象部の真上に配置することができるので、水平方向の位置合わせの際に、視差による誤差が生じにくくなる。その結果、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0014】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材が上方位置に配置されている場合、上下方向の位置は位置基準よりも下方の位置で、かつ、載置部に対して側方に離間した位置に配置され、第1反射部材により反射された光を側方に反射する第3反射部材をさらに備える。このように構成すれば、第3反射部材はインクヘッドの配置に制限されないため、第1反射部材に比べて、第3反射部材を印刷対象物に近づけることが可能になる。これにより、印刷対象物により近い位置で印刷対象物の上面が視認または撮像可能になる。その結果、より狭い視野角で印刷対象物の上面、側面および位置基準を同時に視認または撮像可能になるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0015】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材が上方位置に配置されている場合、印刷対象物の上面、側面および位置基準を側方から視認可能または撮像可能に構成されている。このように、印刷対象物の上面、側面および位置基準を側方から視認可能に構成した場合、印刷対象物の上下方向および水平方向の位置合わせを側方から視認することにより行うことができる。その結果、上下方向および水平方向の位置合わせにおいて、上方および側方の両方から印刷対象物の上面、側面および位置基準を視認して行う場合に比べて、位置合わせのための手順(作業負担)が増加するのを抑制することができる。また、印刷対象物の上面、側面および位置基準を側方から撮像可能に構成した場合、撮像部を側方に設けることで、印刷対象物の上下方向および水平方向の位置合わせを行うことができる。その結果、上下方向および水平方向の位置合わせのために、上方および側方の両方に撮像部を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0016】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、インクヘッドと、載置部と、位置基準と、第1反射部材とを覆う筐体と、筐体内に設けられ、印刷対象物に照明光を照射する照明部と、印刷対象物への印刷を行うための操作に基づいて、照明部の照明光の点灯および消灯の制御を行う制御部と、をさらに備える。このように構成すれば、ユーザの操作により、照明光を点灯および消灯を切り替えることができる。たとえば、ユーザが、印刷する画像の選択操作を行い、印刷対象物の位置合わせが行える状態になると照明光を点灯させるように構成すると、照明光の点灯および消灯によりプリンタの状態を示すことができる。これにより、ユーザは、印刷対象物を位置合わせできる状態になったことを容易に確認できるので、印刷対象物の載置および位置合わせを誘導することができる。その結果、操作性を向上させることができる。
【0017】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、印刷対象物の上面、側面および位置基準を上方から撮像可能に構成されるか、または、印刷対象物の上面、側面および位置基準を側方から撮像可能に構成される撮像部をさらに備える。このように構成すれば、撮像した画像に対して、画像処理などを行うことで印刷対象部の位置と形状を正確に把握することができる。その結果、印刷対象物の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことができるとともに、印刷精度を向上させることができる。
【0018】
上記一の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、第1反射部材により光が反射される印刷対象物は、指の爪である。このように構成すれば、指の爪の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことが可能なネイルプリンタを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、印刷対象物の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態によるプリンタの外観図である。
【
図2】第1実施形態によるプリンタ内部の第1のミラーと第2のミラーの配置を示した図である。
【
図3】第1実施形態によるプリンタの窓部から視認した指の爪の上面、側面および位置基準の一例である。
【
図4】第1実施形態によるプリンタの制御的な構成を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態によるプリンタ内部の第1のミラーの配置を示した図である。
【
図6】第3実施形態によるプリンタ内部の第1のミラー、第2のミラーおよびカメラの配置を示した図である。
【
図7】第3実施形態によるプリンタの制御的な構成を示すブロック図である。
【
図8】第4実施形態によるプリンタ内部の第1のミラーと第3のミラーの配置を示した図である。
【
図9】第5実施形態によるプリンタ内部の第1のミラーの配置を示した図である。
【
図10】第6実施形態によるプリンタ内部の第1のミラー、第3のミラーおよびカメラの配置を示した図である。
【
図11】第1~6実施形態の第1変形例によるプリンタの窓部から視認した指の爪の上面、側面および位置基準の一例である。
【
図12】第3実施形態の第2変形例によるプリンタの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態による構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、プリンタ100の筐体7には、窓部71、操作部72、メンテナンス用扉73、が設けられている。また、筐体7には、筐体7内に指を挿入するための穴が設けられている。ユーザは、筐体7に設けられた穴から指を挿入し、指を載置するために設けられた載置部2に指を載置する。
【0024】
窓部71は、挿入された指の爪200を上方から視認するために筐体7に設けられた窓である。窓部71は、筐体7に設けられた開口である。開口内には透光性の部材を設けてもよい。なお、指の爪200は、特許請求の範囲の「印刷対象物」の一例である。
【0025】
操作部72は、印刷を行いたい画像やデザインなどを選択するための操作や印刷開始の操作などの操作を行うために筐体7に設けられた物理ボタンである。
【0026】
メンテナンス用扉73は、後述する
図2に示す第1のミラ-4および第2のミラー5のメンテナンス用に筐体7に設けられた開閉可能な扉である。第1のミラ-4および第2のミラー5の反射面には、指の爪200への印刷の際にインクが付着したり、汚れが付着したりする場合がある。そのため、視認性を保つためには、第1のミラ-4および第2のミラー5の反射面の清掃作業や第1のミラ-4および第2のミラー5の交換作業などのメンテナンス作業が必要となる。メンテナンス用扉73は、そのようなメンテナンス作業を行えるように開閉可能に構成されている。
【0027】
第1実施形態における筐体7内部のインクヘッド1、載置部2、規制部材30、位置基準3、第1のミラー4、第2のミラー5、照明部8、窓部71および指の爪200の配置を
図2に示す。なお、第1のミラー4は、特許請求の範囲の「第1反射部材」の一例であり、第2のミラー5は、特許請求の範囲の「第2反射部材」の一例である。
【0028】
インクヘッド1は、印刷対象物である指の爪200の表面に、インクを塗布することで、画像やデザインなどを印刷するネイルプリントを行う。インクヘッド1は、移動機構11(
図4参照)により、水平方向(XY方向)に移動することができる。なお、移動機構11は、モータなどにより構成されている。インクヘッド1は、指の爪200の位置合わせを行う際には、
図2に示すように、平面視において、載置部2や窓部71と重ならない位置に配置されている。また、インクヘッド1は、印刷の際には、移動機構11により、指の爪200の上方に移動させられ、指の爪200表面に印刷を行う。
【0029】
載置部2には、筐体7に設けられた穴より挿入された指の爪200が載置される。載置部2は、指の爪200の高さ方向の位置合わせを行うために、上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。また、載置部2の上方および側方には、規制部材30が設けられている。規制部材30は、指の上方向への移動を規制する部材である。
【0030】
位置基準3は、印刷対象物である指の爪200の上下方向(Z方向)の位置合わせ行うための基準であり、指の爪200に近い位置に配置するのがよい。第1実施形態では、載置部2の近傍に配置された規制部材30に位置基準3を設ける。また、指の上方向への移動を規制する規制部材30には、
図3に示すように、水平方向(XY方向)を位置合わせする目印31も設けられている。規制部材30は、筐体7などに固定された部材であり、位置合わせの際に指を動かしても移動することはない。また、規制部材30は、印刷対象物である指の爪200に近い位置に配置するため、位置基準3や目印31などの位置合わせための基準および印を設けるのに適している。また、第1実施形態では、位置基準3を一本の基準線で示しているが、位置基準3は、基準線に限らなくてもよい。位置基準3は、指の爪200がインクヘッド1と接触しないように、少なくともインクヘッド1の下端より下方に配置する。好ましくは、位置基準3は、最も鮮明に印刷対象に印刷が行える位置(たとえば、インクヘッド1の下端から1mm以上3mm以下下方)に配置される。
【0031】
第1のミラー4は、載置部2に載置された指の爪200の側面および位置基準3から到達する光を
図2中の破線で示すように反射する鏡である。つまり、第1のミラー4の反射面は位置基準3の側を向くように配置されている。第1のミラー4は、側方視において上下方向(Z方向)の位置が位置基準3および載置部2に載置された指の爪200に重なるように、載置部2に対して側方に離間した側方位置に配置されている。
【0032】
さらに、第1のミラー4は、印刷対象物である指の爪200が位置基準に重ならない下方の位置にあっても、視認可能になるように構成される。具体的には、第1のミラー4の大きさを大きくするか、上下方向の配置を調整する、もしくはその両方を行うことで、光を反射する反射面の上端が位置基準3よりも上方かつ反射面の下端が位置基準3よりも下方になるように構成する。また、第1のミラー4は、平面視においてインクヘッド1の移動可能な領域と重ならないような位置に配置されている。
図2の2点鎖線の矢印および線で示される領域がインクヘッド1の移動範囲である。第1のミラー4は、この移動範囲の外側に配置されている。このように配置すれば、インクヘッド1の下端の位置により、第1のミラー4の大きさが制限されなくなる。これにより、第1のミラー4を大きくすることができるので、印刷対象物である指の爪200と位置基準3とを同時に映し出せる範囲(視認可能な範囲)を広げることができる。
【0033】
第2のミラー5は、第1のミラー4により反射された光を
図2中の破線で示すように上方の窓部71に向かって反射させる鏡である。つまり、第2のミラー5の反射面は、第1のミラー4の反射面の側を向くように配置されている。第2のミラー5は、上下方向(Z方向)においては、位置基準3よりも下方の位置に配置されている。また、第2のミラー5は、水平方向(XY方向)においては、載置部2に対して側方に離間した、第1のミラー4と載置部2の間に配置されている。
【0034】
第1のミラー4および第2のミラー5は、可動可能に構成してもよいし、メンテナンスのために取り外し可能に構成してもよい。また、印刷対象物である指の爪200の上面視と、ミラーに映し出される側面視との光路長の違いよる見た目のサイズの違いを調整するために、第1のミラー4および第2のミラー5は、拡大ミラーとしてもよい。
【0035】
照明部8は、筐体7の内部を照らすために設置された白色LEDなどの照明である。照明部8は、後述する制御部9の制御によって、点灯および消灯を行う。照明部8により、筐体7内部が暗い場合でも、照明光を点灯することで筐体7内部を視認しやすくなる。
【0036】
窓部71は、筐体7の上方に設けられている。窓部71は、印刷対象物である指の爪200の上面を真上から視認可能かつ第2のミラー5の反射面が視認可能な位置に設けられている。また、窓部71の第2のミラー5から反射される光が入射する部分に拡大レンズを配置してもよい。拡大レンズを配置すると、第2のミラー5の反射面に映し出される指の爪200および位置基準3の側面視と、指の爪200の上面視と、の光路長の違いによる見た目の違いを調整することができる。
【0037】
筐体7の上方に設けられた窓部71から視認される指の爪200の上面と、第2のミラー5に映し出された、指の爪200の側面および位置基準3の一例を
図3に示す。
【0038】
第1のミラー4および第2のミラー5を上記のような配置にしたことで、印刷対象物である指の爪200の上面と、指の爪200の側面および位置基準3と、を上方から同時に視認することができる。また、載置部2に設けられた目印21と規制部材30に設けられた目印31も同時に視認することができる。目印21と目印31は水平方向(XY方向)の位置合わせを行うための目印である。これにより、上方からの視認のみで、水平方向(XY方向)の位置合わせを行うための目印21および目印31と、上下方向(Z方向)の位置合わせ行うための基準である位置基準3とを、同時に確認できる。その結果、印刷対象物である指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを上方からの視認のみで行うことができる。
【0039】
第1実施形態におけるプリンタ100の制御構成を示すブロック図を
図4に示す。
【0040】
制御部9は、操作部72による操作を受け付け、操作に応じた制御を行う。また、制御部9は、モータなどにより構成された移動機構11の制御を行うことで、インクヘッド1を水平方向(XY方向)に移動させる。さらに、制御部9は、印刷対象物である指の爪200への印刷を行うための操作に基づいて、照明部8の照明光の点灯および消灯の制御を行う。
【0041】
操作部72の操作により画像データの中から指の爪200に印刷する画像および印刷サイズなどが選択される。画像データは、印刷する画像およびデザインのデータである。画像データは、プリンタ100にあらかじめ記憶されたデータ、もしくは、無線または有線の通信により外部端末からプリンタ100に送信されたデータなどである。制御部9は、操作部72の操作を受け付け、選択された印刷サイズで選択された画像の印刷を行う。
【0042】
画像および印刷サイズの選択が完了後、制御部9の制御により、筐体7内に設けられた照明部8の照明を点灯させる。これにより、指を挿入するために設けられた筐体7の穴から照明光が漏れ出すので、ユーザは、指の挿入および位置合わせを行える状態になったことを容易に認識することができる。そして、ユーザは、指の爪200が上面になるように筐体7の穴に指を挿入し、載置部2に指を置く。その後、ユーザは、窓部71から視認した、指の爪200と、位置基準3、目印21および目印31を基準にして、位置合わせを行う。この際、ユーザは、自らの指を動かすことで指の爪200の位置合わせを行う。
【0043】
位置合わせが完了すると、ユーザは、操作部72の印刷開始のためのボタンを押下する。制御部9は、印刷開始のためのボタンの押下を受け付け、指の爪200への印刷を開始させる。まず、制御部9は、移動機構11の動きを制御することで、インクヘッド1を、指の爪200の上方に移動させる。そして、制御部9は、移動機構11およびインクヘッド1を制御し、インクヘッド1を水平方向(XY方向)に移動させながら、指の爪200の表面にインクを塗布させていく。制御部9は、指の爪200への印刷が終了すると、インクヘッド1を平面視において、載置部2や窓部71と重ならない位置に移動させる。そして、制御部9の制御により、筐体7内に設けられた照明部8の照明を消灯させる。なお、指の爪200への印刷が終了した後、他の指に対しても、上記の処理を繰り返すことで、複数の指の爪200に印刷が行える。
【0044】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0045】
第1実施形態では、上記のように、側方視において上下方向(Z方向)の位置が位置基準3および指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して側方に離間した側方位置に配置され、指の爪200の側面および位置基準3から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が位置基準3よりも上方かつ反射面の下端が位置基準3よりも下方に位置する第1のミラー4(第1のミラー4)を設ける。これにより、第1のミラー4が上記側方位置に配置されることによって、第1のミラー4により、指の爪200の側面および位置基準から到達する光が反射されるので、反射させた方向から指の爪200の側面および位置基準を視認または撮像することができる。また、第1のミラー4が上記側方位置に配置されることによって、指の爪200の上方には、第1のミラー4が配置されないので、上方から指の爪200の上面を視認または撮像することができる。これらの結果、反射させた指の爪200の側面および位置基準から到達する光を上方に導くことにより、上方から指の爪200の上面および側面を同時に視認または撮像することができる。また、第1のミラー4が側方視において上下方向(Z方向)の位置が位置基準および指の爪200に重なるように配置されることによって、位置基準を真正面(真横)から視認または撮像することができるので、位置基準に対して、視差による誤差が生じにくくなり、位置合わせを容易に行うことができる。また、光を反射する第1のミラー4の反射面の上端が、位置基準よりも上方にあり、反射面の下端が、位置基準よりも下方にあることによって、第1のミラー4により視認または撮像可能な範囲が位置基準を挟んで上下方向(Z方向)に広くすることができるので、指の爪200が位置基準に重ならない位置にあっても、指の爪200を容易に視認または撮像することができる。これらにより、上記側方位置に第1のミラー4を設けた場合、指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0046】
また、第1の実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)は、側方位置に配置されており、平面視においてインクヘッド1が移動可能な領域と重ならない位置に配置されている。これにより、第1のミラー4の大きさがインクヘッド1の下端の位置に制限されなくなり、第1のミラー4の大きさを大きくすることができるため、指の爪200(印刷対象物)と位置基準3とを同時に映し出せる範囲が広がる。その結果、指の爪200の位置と位置基準3の位置とを比較できる範囲が広がるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0047】
また、第1の実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)が側方位置に配置されており、位置基準3よりも下方の位置で、かつ、載置部2に対して側方に離間した位置に配置され、第1のミラー4により反射された光を上方に反射する第2のミラー5(第2反射部材)を設ける。これにより、第2のミラー5は、インクヘッド1の配置に制限されないため、第1のミラー4に比べて、第2のミラー5を指の爪200(印刷対象物)に近づけることが可能になるので、指の爪200により近い位置で指の爪200の側面および位置基準3が視認可能になる。その結果、より狭い視野角において指の爪200の上面、側面および位置基準3を同時に視認可能になるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0048】
また、第1の実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)が側方位置に配置されており、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を上方から視認することができる。これにより、指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを上方から視認することにより行うことができる。その結果、上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせにおいて、上方および側方の両方から指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を視認して行う場合に比べて、位置合わせのための手順(作業負担)が増加するのを抑制することができる。
【0049】
また、第1の実施形態では、上記のように、インクヘッド1と、載置部2と、位置基準3と、第1のミラー4(第1反射部材)とを覆う筐体7と、筐体7内に設けられ、指の爪200(印刷対象物)に照明光を照射する照明部8と、指の爪200への印刷を行うための操作に基づいて、照明部8の照明光の点灯および消灯の制御を行う制御部9と、を設ける。これにより、ユーザにより、印刷画像および印刷サイズの選択が完了し、指の爪200の位置合わせが行える状態になると照明光を点灯させることができるので、照明光が点灯すると、指を挿入するために設けられた筐体7の穴から照明光が漏れ出す。その結果、ユーザは、指の挿入および位置合わせを行える状態になったことを容易に認識することができるので、指の挿入および位置合わせを誘導することができ、操作性を向上させることができる。
【0050】
また、第1の実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)により光が反射される印刷対象物は、指の爪200である。このように構成すれば、上方からの視認により、指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができるネイルプリンタを提供することができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、
図5を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第2のミラー5(第2反射部材)を設けた上記第1実施形態と異なり、第2のミラー5(第2反射部材)を介さずに、第1のミラー4(第1反射部材)のみで、指の爪200の側面および位置基準から到達する光を上方に反射している。
【0052】
第2実施形態では、
図5に示すように、第1のミラー4は、指の爪200の側面および位置基準から到達する光を上方に反射している。また、窓部71は、第1のミラー4が反射した光を視認できるようにX方向に広く構成するのが好ましい。
【0053】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、側方視において上下方向(Z方向)の位置が位置基準3および指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して側方に離間した側方位置に配置され、指の爪200の側面および位置基準3から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が位置基準3よりも上方かつ反射面の下端が位置基準3よりも下方に位置する第1のミラー4(第1反射部材)を設ける。これにより、印刷対象物である指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0056】
また、第2実施形態では、上記のように、第2のミラー5(第2反射部材)を介さずに、第1のミラー4(第1反射部材)のみで、指の爪200の側面および位置基準から到達する光を上方に反射している。これにより、第2のミラー5(第2反射部材)を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0057】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0058】
[第3実施形態]
次に、
図6および
図7を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、筐体7の上部に窓部71を設けて、視認可能とした上記第1実施形態と異なり、
図6に示すように、窓部71の代わりにカメラ10を設けることで、撮像可能に構成している。なお、カメラ10は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0059】
第3実施形態では、上記第1実施形態の窓部71が配置されていた箇所に、カメラ10が配置されている。つまり、カメラ10は、印刷対象物である指の爪200の上面および側面と位置基準3を上方から同時に撮像可能な位置に配置されている。カメラ10により同時に撮像された指の爪200の上面および側面の画像は、制御部9に送られる。なお、第3実施形態におけるプリンタ100の制御構成を示すブロック図を
図7に示す。
【0060】
制御部9は、撮像された画像を元に爪の形状、爪の位置を検出する。さらに、制御部9は、検出された爪の形状および位置に基づいて、印刷サイズの調整など画像データに対する補正処理を行う。そして、制御部9は、補正処理された画像データにしたがって、印刷の制御(インクヘッド1および移動機構11の制御)を行う。
【0061】
また、撮像された画像のデータは、有線または無線の通信により、プリンタ100とは、別個の表示装置もしくは、表示装置に接続された機器に送信される。たとえば、ディスプレイ、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどに送信される。これにより、ユーザは、カメラ10により撮像された画像を表示装置によって、確認することができる。ユーザは、この表示装置に表示された画像により指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを行うことができる。
【0062】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0063】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、側方視において上下方向(Z方向)の位置が位置基準3および指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して側方に離間した側方位置に配置され、指の爪200の側面および位置基準3から到達する光を反射し、光を反射する反射面の上端が位置基準3よりも上方かつ反射面の下端が位置基準3よりも下方に位置する第1のミラー4(第1反射部材)を設ける。これにより、印刷対象物である指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0065】
また、第3実施形態では、上記のように、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を上方から同時に撮像することができる。これにより、上方から撮像することで、指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを行うことができる。その結果、上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせのために、上方および側方の両方にカメラ10を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0066】
また、第3実施形態では、上記のように、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準を上方から撮像可能に構成されるカメラ10を設ける。これにより、撮像した画像に対して、画像処理などを行うことで指の爪200の位置と形状を正確に把握することができる。その結果、指の爪200の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことができるとともに、印刷精度を向上させることができる。
【0067】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
[第4実施形態]
次に、
図8を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を上方から視認可能に構成した上記第1実施形態と異なり、側方から指の爪200の上面、側面および位置基準3を視認可能に構成している。
【0069】
第4実施形態では、
図8に示すように、第1のミラー4は、載置部2に載置された指の爪200の上面から到達する光を
図8中の破線で示すように反射する鏡である。つまり、第1のミラー4の反射面が下方になるように配置されている。第1のミラー4は、平面視において水平方向(XY方向)の位置が指の爪200に重なるように、載置部2に対して上方に離間した上方位置に配置されている。また、第1のミラー4は、インクヘッド1の上端よりも上方の印刷対象物である指の爪200の真上に配置されている。これにより、水平方向(XY方向)の位置合わせの際に、視差による誤差が生じにくくなる。
【0070】
第3のミラー6は、第1のミラー4により反射された光を
図8中の破線で示すように側方の窓部71に向かって反射させる鏡である。つまり、第3のミラー6の反射面は、第1のミラー4の反射面の側を向くように配置されている。なお、第3のミラー6は、特許請求の範囲の「第3反射部材」の一例である。第3のミラー6は、上下方向(Z方向)においては、位置基準3よりも下方の位置に配置されている。また、第3のミラー6は、水平方向(XY方向)においては、載置部2に対して側方に離間した、第1のミラー4と窓部71との間に配置されている。
【0071】
第1のミラー4および第3のミラー6は、可動可能に構成してもよいし、メンテナンスのために取り外し可能に構成してもよい。また、印刷対象物である指の爪200の側面視と、ミラーに映し出される上面視との光路長の違いよる見た目のサイズの違いを調整するために、第1のミラー4および第3のミラー6は、拡大ミラーとしてもよい。
【0072】
窓部71は、筐体7の側方に設けられている。窓部71は、印刷対象物である指の爪200の側面および位置基準を真正面(真横)から視認可能かつ第3のミラー6の反射面が視認可能な位置に設けられている。また、窓部71の第3のミラー6から反射面される光が入射する部分に拡大レンズを配置してもよい。拡大レンズを配置すると、ミラーの反射面に映し出される指の爪200の上面視と、指の爪200および位置基準3の側面視と、の光路長の違いによる見た目の違いを調整することができる。
【0073】
第1のミラー4および第3のミラー6を上記のような配置にしたことで、印刷対象物である指の爪200の上面と、指の爪200の側面および位置基準3と、を側方から同時に視認することができる。また、第1実施形態と同様に、載置部2に設けられた目印21と規制部材30に設けられた目印31も同時に視認することができる。これにより、側方からの視認のみで、水平方向(XY方向)の位置合わせを行うための目印21および目印31と、上下方向(Z方向)の位置合わせ行うための基準である位置基準3とを、同時に確認できる。その結果、印刷対象物である指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを側方からの視認のみで行うことができる。
【0074】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
第4実施形態では、上記のように、平面視において水平方向(Z方向)の位置が指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して上方に離間した上方位置に配置され、指の爪200の上面から到達する光を反射する第1のミラー4(第1反射部材)を設ける。これにより、第1のミラー4が上記上方位置に配置されることによって、第1のミラー4により、指の爪200の上面から到達する光が反射されるので、反射させた方向から指の爪200の上面を視認または撮像することができる。また、第1のミラー4が上記上方位置に配置されることによって、指の爪200の側方には、第1のミラー4が配置されないので、側方から指の爪200の側面および位置基準を視認または撮像することができる。これらの結果、反射させた指の爪200の上面から到達する光を側方に導くことにより、側方から指の爪200の上面および側面を同時に視認または撮像することができる。また、第1のミラー4が上記上方位置に配置されることによって、指の爪200の側方には、第1のミラー4が配置されず、指の爪200の側面および位置基準を真正面(真横)から視認または撮像することができるので、位置基準に対して、視差による誤差が生じにくくなり、位置合わせを容易に行うことができる。これらにより、上記上方位置に第1のミラー4を設けた場合、指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0077】
また、第4実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)は、上方位置に配置されており、上下方向(Z方向)の位置はインクヘッド1の上端よりも上方の位置に配置されている。これにより、第1のミラー4を指の爪200の真上に配置することができるので、水平方向(XY方向)の位置合わせの際に、視差による誤差が生じにくくなる。その結果、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0078】
また、第4実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)の上下方向(Z方向)の位置は位置基準3よりも下方の位置で、かつ、載置部2に対して側方に離間した位置に配置され、第1のミラー4により反射された光を側方に反射する第3のミラー6(第3反射部材)を設ける。これにより、第3のミラー6は、インクヘッド1の配置に制限されないため、第1のミラー4に比べて、第3のミラー6を指の爪200に近づけることが可能になるので、指の爪200により近い位置で指の爪200の上面が視認可能になる。その結果、より狭い視野角で指の爪200の上面、側面および位置基準を同時に視認または撮像可能になるので、位置合わせをより容易に行うことができる。
【0079】
また、第4実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)が上方位置に配置され、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を側方から視認することができる。これにより、指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを側方から視認することにより行うことができる。その結果、上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせにおいて、上方および側方の両方から指の爪200の上面、側面および位置基準を視認して行う場合に比べて、位置合わせのための手順(作業負担)が増加するのを抑制することができる。
【0080】
また、第4の実施形態では、上記のように、インクヘッド1と、載置部2と、位置基準3と、第1のミラー4(第1反射部材)とを覆う筐体7と、筐体7内に設けられ、指の爪200(印刷対象物)に照明光を照射する照明部8と、指の爪200への印刷を行うための操作に基づいて、照明部8の照明光の点灯および消灯の制御を行う制御部9と、を設ける。これにより、ユーザにより、印刷画像および印刷サイズの選択が完了し、指の爪200の位置合わせが行える状態になると照明光を点灯させることができるので、照明光が点灯すると、指を挿入するために設けられた筐体7の穴から照明光が漏れ出す。その結果、ユーザは、指の挿入および位置合わせを行える状態になったことを容易に認識することができるので、指の挿入および位置合わせを誘導することができ、操作性を向上させることができる。
【0081】
また、第4の実施形態では、上記のように、第1のミラー4(第1反射部材)により光が反射される印刷対象物は、指の爪200である。このように構成すれば、上方からの視認により、指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができるネイルプリンタを提供することができる。
【0082】
[第5実施形態]
次に、
図9を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、第3のミラー6(第3反射部材)を設けた上記第4実施形態と異なり、第3のミラー6(第3反射部材)を介さずに、第1のミラー4(第1反射部材)のみで、指の爪200の上面から到達する光を側方に反射している。
【0083】
第5実施形態では、
図9に示すように、第1のミラー4は、指の爪200の上面から到達する光を側方に反射している。また、窓部71は、第1のミラー4が反射した光を視認できるようにZ方向に広く構成するのが好ましい。
【0084】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
第5実施形態では、上記第4実施形態と同様に、平面視において水平方向(Z方向)の位置が指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して上方に離間した上方位置に配置され、指の爪200の上面から到達する光を反射する第1のミラー4(第1反射部材)を設ける。これにより、印刷対象物である指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0086】
第5実施形態では、上記のように、第3のミラー6(第3反射部材)を介さずに、第1のミラー4(第1反射部材)のみで、指の爪200の上面から到達する光を側方に反射している。これにより、第3のミラー6(第3反射部材)を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0087】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0088】
[第6実施形態]
次に、
図10を参照して、第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、筐体7の側面に窓部71を設けて、視認可能とした上記第4実施形態と異なり、窓部71の代わりにカメラ10を設けることで、撮像可能に構成している。
【0089】
第6実施形態では、
図10に示すように、上記第4実施形態の窓部71が配置されていた箇所に、カメラ10が配置されている。つまり、カメラ10は、印刷対象物である指の爪200の上面および側面を側方から同時に撮像可能な位置に配置されている。カメラ10により同時に撮像された指の爪200の上面および側面の画像は、制御部9に送られる。
【0090】
制御部9は、撮像された画像を元に爪の形状、爪の位置を検出する。さらに、制御部9は、検出された爪の形状および位置に基づいて、印刷サイズの調整など画像データに対する補正処理を行う。そして、制御部9は、補正処理された画像データにしたがって、印刷の制御(インクヘッド1および移動機構11の制御)を行う。
【0091】
また、撮像された画像のデータは、有線または無線の通信により、プリンタ100とは別個の表示装置もしくは、表示装置に接続された機器に送信される。たとえば、ディスプレイ、スマートフォンまたはパーソナルコンピュータなどに送信される。これにより、ユーザは、カメラ10により撮像された画像を表示装置によって、確認することができる。ユーザは、この表示装置に表示された画像により指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを行うことができる。
【0092】
なお、第6実施形態のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
【0093】
(第6実施形態の効果)
第6実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
第6実施形態では、上記第4実施形態と同様に、平面視において水平方向(Z方向)の位置が指の爪200(印刷対象物)に重なるように、載置部2に対して上方に離間した上方位置に配置され、指の爪200の上面から到達する光を反射する第1のミラー4(第1反射部材)を設ける。これにより、印刷対象物である指の爪200の水平方向(XY方向)および上下方向(Z方向)の位置合わせを容易に行うことができる。
【0095】
また、第6実施形態では、上記のように、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準3を側方から撮像することができる。これにより、側方から撮像することで、指の爪200の上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせを行うことができる。その結果、上下方向(Z方向)および水平方向(XY方向)の位置合わせのために、上方および側方の両方にカメラ10を設ける場合に比べて、部品点数が増加するのを抑制することができるとともに、装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0096】
また、第6実施形態では、上記のように、指の爪200(印刷対象物)の上面、側面および位置基準を側方から撮像可能に構成されるカメラ10を設ける。これにより、撮像した画像に対して、画像処理などを行うことで指の爪200の位置と形状を正確に把握することができる。その結果、指の爪200の水平方向および上下方向の位置合わせを容易に行うことができるとともに、印刷精度を向上させることができる。
【0097】
なお、第6実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0098】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0099】
たとえば、上記第1~6の実施形態では、インクヘッド1を水平方向(XY方向)に移動可能に構成の例を示したが、本発明では、これに限られない。本発明では、インクヘッドを水平方向に加えて、上下方向に移動可能に構成してもよい。
【0100】
また、上記第1~3の実施形態では、第1反射部材(第1のミラー4)は、載置部2に対して、指の挿入方向(Y方向)と交差する方向(X方向)に配置されているように構成の例を示したが、本発明では、これに限られない。本発明では、第1反射部材は、指の先端側(Y方向)に配置されてもよい。この場合、位置基準は、指の先端とは反対側に配置される。
【0101】
また、上記第1および第3の実施形態では、第2反射部材(第2のミラー5)は、載置部2に対して、指の挿入方向と交差する方向に配置されているように構成の例を示したが、本発明では、これに限られない。本発明では、第1反射部材は、指の先端側に配置されてもよい。
【0102】
また、上記第1~6の実施形態では、第1反射部材(第1のミラー4)として鏡を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1反射部材は、光を反射する部材であり、プリズムなどにより構成されてもよい。
【0103】
また、上記第1~3の実施形態では、第2反射部材(第2のミラー5)として鏡を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2反射部材は、光を反射する部材であり、プリズムなどにより構成されてもよい。
【0104】
また、上記第4~6の実施形態では、第3反射部材(第3のミラー6)として鏡を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3反射部材は、光を反射する部材であり、プリズムなどにより構成されてもよい。
【0105】
また、上記第1実施形態では、位置基準3を一本の基準線である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図11に示したような印を位置基準としてもよい。本発明では、位置基準は、線、図形、マークならびにこれらの組み合わせで示してもよいし、凹凸を設けるなどして、立体的な形状で位置基準を示すようにしてもよい。
【0106】
また、上記第1~6の実施形態では、印刷対象物を指の爪200とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図11に示すように、たとえば、球300のような物体を印刷対象物としてもよい。この場合、載置部にモータなどで構成された移動機構をさらに設けることにより、載置部を移動可能に構成し、操作部の操作により、載置部の移動および印刷対象物の位置合わせを行うようにしてもよい。
【0107】
また、上記第1~6の実施形態では、操作部72は、物理ボタンで構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、操作部72は、タッチパネルなどで構成されていてもよい。
【0108】
また、上記第1~6の実施形態では、プリンタ100本体にディスプレイなどの表示部を設けない構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示すように、ディスプレイなどの表示部711を設けて、撮像部により撮像された画像を表示部711に表示するようにしてもよいし、印刷を行う画像、デザインおよびそれらの情報を表示部711に表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 インクヘッド
2 載置部
3 位置基準
4 第1のミラー(第1反射部材)
5 第2のミラー(第2反射部材)
6 第3のミラー(第3反射部材)
7 筐体
8 照明部
9 制御部
10 カメラ(撮像部)
200 指の爪(印刷対象物)