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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電気接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/2429 20180101AFI20221129BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20221129BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20221129BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
H01R4/2429
H01R9/22
H02K5/22
H02K11/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019002099
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020113406
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】越智 謙次
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-017991(JP,A)
【文献】実開平06-044034(JP,U)
【文献】国際公開第2013/054910(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/124636(WO,A1)
【文献】特開2008-243745(JP,A)
【文献】米国特許第4258973(US,A)
【文献】米国特許第4919622(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24-4/26
9/22
13/41
H02K 5/22
11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する奥行方向(DD)、および、幅方向(WD)に対して、直交する厚さ方向(TD)において所定の厚さを有する板状であり、素線(5)を保持する端子台(10)に挿入される挿入部(31)を有し、前記素線の切削面に接触して電気的な接続を提供する圧接端子(30)と、
前記奥行方向(DD)に延びる凹部を提供し、前記挿入部を受け入れる主スリット(11)、および、前記奥行方向(DD)に延びる凹部を提供し、前記素線(5)を保持する副スリット(12)を区画する前記端子台(10)とを備え、
前記圧接端子は、前記素線を収容する端子スリット(35)を形成している第1梁(41)および第2梁(42)を有する梁部(38)、前記第1梁および前記第2梁を連結している根元部(37)、および、前記根元部にのみ設けられて、幅方向(WD)における前記梁部の幅(SW、SW2)より大きい前記根元部の幅を規定する突出部(51、351、451)を有し、
前記端子台は、前記主スリットを区画するために、前記挿入部の前記厚さ方向(TD)において前記挿入部と対向する一対の表裏側面(14)、前記挿入部の前記幅方向(WD)において前記挿入部と対向する一対の左右側面(13)、および、前記挿入部の前記奥行方向(DD)において前記挿入部と対向する底面(15、20、215)とを有し、
前記根元部と一対の前記左右側面とは前記突出部において接触しており、
前記梁部と一対の前記表裏側面とは互いに接触しており、
前記梁部と前記底面とは互いに接触しており、
前記素線と前記圧接端子と前記表裏側面と前記底面とは、前記切削面から剥離した切削片(71、72)を保持する保持室(62)を区画しており、
前記梁部は、前記端子スリットを区画する内側縁を有し、
前記内側縁は、案内部(44)、捕捉部(46)、刃部(47)、および、接触部(49)を有し、
前記案内部は、前記端子スリットの入口に位置づけられて、前記素線の直径よりも大きい前記端子スリットの入口を提供しており、
前記捕捉部は、前記案内部と前記刃部との間に位置づけられて、前記内側縁に位置づけられた凹部によって提供されており、前記素線より大きく外側に広がっており、前記素線に対する前記第1梁、および、前記第2梁の押し付け力を弱くして、前記素線の表面への前記刃部の切り込みを助け、前記刃部によって切削された切削片を捕捉するポケットでもあり、
前記接触部の幅は、前記素線の直径より小さい電気接続装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記根元部の幅を規定する少なくともひとつの頂点(52、454)を有する多角形である請求項1に記載の電気接続装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記梁部を前とし、前記根元部を後として、後退翼形である請求項2に記載の電気接続装置。
【請求項4】
前記根元部の幅は、前記端子台を変形(22)させており、
前記梁部の幅は、前記梁部と一対の前記左右側面との間に側面隙間(SG)を形成している請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気接続装置。
【請求項5】
前記梁部の幅は、前記梁部と一対の前記左右側面とを接触させており、
前記根元部と一対の前記左右側面とは、前記梁部と一対の前記左右側面とより強く接触している請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気接続装置。
【請求項6】
前記梁部または前記底面は、いずれか一方から突出する突出部(20)を備え、
前記梁部と前記底面とは、前記突出部において互いに接触している請求項1から請求項5のいずれかに記載の電気接続装置。
【請求項7】
前記梁部は、前記梁部の変形を可能とする貫通穴(554)を有する請求項1から請求項6のいずれかに記載の電気接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電気接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転電機を開示する。この回転電機は、圧接端子を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/124636号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧接端子は、長期間にわたって確実な電気的接続を提供することを求められている。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、電気接続装置にはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示されるひとつの目的は、長期間にわたって確実な電気的接続を維持する電気接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電気接続装置は、互いに直交する奥行方向(DD)、および、幅方向(WD)に対して、直交する厚さ方向(TD)において所定の厚さを有する板状であり、素線(5)を保持する端子台(10)に挿入される挿入部(31)を有し、素線の切削面に接触して電気的な接続を提供する圧接端子(30)と、奥行方向(DD)に延びる凹部を提供し、挿入部を受け入れる主スリット(11)、および、奥行方向(DD)に延びる凹部を提供し、素線(5)を保持する副スリット(12)を区画する端子台(10)とを備え、圧接端子は、素線を収容する端子スリット(35)を形成している第1梁(41)および第2梁(42)を有する梁部(38)、第1梁および第2梁を連結している根元部(37)、および、根元部にのみ根元部から突出して設けられて、幅方向(WD)における梁部の幅(SW、SW2)より大きい根元部の幅を規定する突出部(51、351、451)を有し、端子台は、主スリットを区画するために、挿入部の厚さ方向(TD)において挿入部と対向する一対の表裏側面(14)、挿入部の幅方向(WD)において挿入部と対向する一対の左右側面(13)、および、挿入部の奥行方向(DD)において挿入部と対向する底面(15、20、215)とを有し、根元部と一対の左右側面とは突出部において接触しており、梁部と一対の表裏側面とは互いに接触しており、梁部と底面とは互いに接触しており、素線と圧接端子と表裏側面と底面とは、切削面から剥離した切削片(71、72)を保持する保持室(62)を区画しており、梁部は、端子スリットを区画する内側縁を有し、内側縁は、案内部(44)、捕捉部(46)、刃部(47)、および、接触部(49)を有し、案内部は、端子スリットの入口に位置づけられて、素線の直径よりも大きい端子スリットの入口を提供しており、捕捉部は、案内部と刃部との間に位置づけられて、内側縁に位置づけられた凹部によって提供されており、素線より大きく外側に広がっており、素線に対する第1梁、および、第2梁の押し付け力を弱くして、素線の表面への刃部の切り込みを助け、刃部によって切削された切削片を捕捉するポケットでもあり、接触部の幅は、素線の直径より小さい
【0007】
開示される電気接続装置によると、圧接端子は、梁部と一対の表裏側面との間において互いに接触している。さらに、圧接端子は、梁部と底面との間において互いに接触している。しかも、素線は、副スロットに保持されている。よって、素線と圧接端子と表裏側面と底面とは、保持室を区画する。保持室は、切削面から剥離した切削片を保持する。この結果、切削片の排出が抑制され、切削片に起因する不具合が抑制される。
【0008】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る回転電機のブロック図である。
図2】第1実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
図3】組み立て過程を示す断面図である。
図4】組み立て過程を示す断面図である。
図5】組み立て過程を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
図7】第3実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
図8】第4実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
図9】第5実施形態に係る圧接端子の断面図である。
図10】第5実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
図11】第6実施形態に係る電気接続装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0011】
第1実施形態
図1において、回転電機1は、回転子2と、固定子3とを有する。回転子2は、回転軸4と連結されている。固定子3は、複数のコイルを有する。固定子3は、円筒状である。固定子3は、例えば、三相コイルを有する。複数のコイルは、複数の素線5を有する。図中には、ひとつの素線5が図示されている。素線5は、固定子3のコイルを形成する電線である。素線5は、筒状の固定子3の軸方向の端面に配置されている。素線5は、絶縁被覆を有する電線である。素線5は、コイル端電線とも呼ばれる。素線5は、例えば、樹脂製の絶縁被覆を有する銅製または銅合金製の電線によって提供することができる。素線5は、例えば、酸化皮膜製絶縁被覆を有するアルミニウム製またはアルミニウム合金製の電線によって提供することができる。回転電機1は、電子回路6を備える。電子回路6は、固定子3の複数のコイルに流れる電流を制御する制御回路でもある。電子回路6は、例えば、基板上に実装された複数の電子素子を有する。
【0012】
回転電機1は、電気接続装置7を有する。回転電機1は、複数の電気接続装置7を有する。図中には、ひとつの電気接続装置7が図示されている。電気接続装置7は、固定子3に固定されている。回転電機1が複数の電気接続装置7を備える場合、複数の電気接続装置7は、筒状の固定子3の筒状端部に配置されている。複数の電気接続装置7は、周方向に沿って互いに離れて分散的に配置されている。ひとつの観点では、電気接続装置7は回転電機1に含まれる要素であり、電気接続装置付き回転電機を提供する。別の観点では、電気接続装置7は電子回路6に含まれる要素であり、電気接続装置付き電子回路を提供する。
【0013】
電気接続装置7は、素線5と電子回路6とを電気的に接続するための接続部を少なくとも提供する。電気接続装置7は、三相結線のための電力端接続を提供してもよい。典型的な例では、回転電機1は、3つの電気接続装置7を有する。電気接続装置7は、三相星型結線のための中性点接続を提供してもよい。電気接続装置7は、三相デルタ結線のための相間接続を提供してもよい。電気接続装置7は、複数のコイルの間における電気的な接続を提供してもよい。電気接続装置7は、電子回路6の中における電気的な接続を提供してもよい。電気接続装置7は、端子台10と、圧接端子30とを有する。
【0014】
図中には、電気接続装置7の奥行方向DDと、幅方向WDとが図示されている。奥行方向DD、および幅方向WDに対して直交する方向は、厚さ方向TDと呼ばれる。厚さ方向TDは、後述する圧接端子30の厚さの方向である。なお、上、下、左右、表裏の語は、図示の例の理解を助ける意図で使用されている。上、下、左右、表裏の語は、例えば、奥、手前、横、前後と読み替えられてもよい。
【0015】
端子台10は、電気絶縁性の樹脂製である。端子台10は、連続する樹脂材料によって、固定子3のボビンを提供するインシュレータと一体的に成形されている。端子台10は、固定子3から突出している。端子台10は、固定子3の軸方向に突出している。端子台10は、固定子3の径方向に突出していてもよい。端子台10は、四角柱状である。端子台10は、主スリット11と、副スリット12とを区画する。
【0016】
端子台10は、主スリット11を区画している。主スリット11は、奥行方向DDに延びる凹部を提供する。主スリット11は、幅方向WDの幅が、厚さ方向TDの厚さよりも大きい。主スリット11は、奥行方向DDの深さが、幅方向WDの幅よりも大きい。主スリット11は、扁平な収容室を提供する。主スリット11は、奥行方向DDの一端において開口している。主スリット11は、端子台10の上面において開口している。主スリット11は、圧接端子30の一部、すなわち後述する挿入部31を受け入れている。主スリット11は、圧接端子30の先端部分だけを受け入れている。主スリット11は、第1スリット、または有底スリットとも呼ばれる。
【0017】
端子台10は、副スリット12を区画している。副スリット12は、端子台10を厚さ方向TDに貫通している。副スリット12は、奥行方向DDに延びる凹部でもある。副スリット12は、奥行方向DDの一端において開口している。副スリット12は、端子台10の上面において開口している。副スリット12は、端子台10の両面にまたがって素線5を配置することを可能とする。副スリット12は、端子台10の上面から素線5を受け入れることを可能とし、かつ、端子台10の厚さ方向TDの両面にまたがって素線5を配置することを可能とする。副スリット12は、主スリット11と交差している。望ましい形態では、副スリット12は、主スリット11と直交している。副スリット12は、少なくともひとつの素線5を受け入れている。副スリット12は、素線5を保持している。副スリット12は、電気接続装置7の製造方法において、素線5を予備的に保持する保持部を提供する。副スリット12は、第2スリット、または貫通スリットとも呼ばれる。
【0018】
圧接端子30は、絶縁皮膜除去端子とも呼ばれる。圧接端子30は、挿入部31と、タブ部32、および端子部33を有する。圧接端子30は、金属製である。圧接端子30は、例えば、黄銅である。圧接端子30は、厚さ方向TDにおいて所定の厚さを有する板状である。圧接端子30は、素線5の切削面に接触して電気的な接続を提供する。
【0019】
挿入部31は、素線5を保持する端子台10の主スリット11の中に挿入されている。挿入部31は、機械的に素線5と接触することによって、素線5と電気的に接続されている。タブ部32の幅方向WDの幅は、挿入部31の幅方向WDの幅より大きい。よって、タブ部32は、幅方向WDにおいて挿入部31より突出することにより、端子台10の上面に接触している。タブ部32は、端子台10の上面に接触することにより、挿入部31の挿入量を規制している。タブ部32は、厚さ方向TDにおいて挿入部31より突出することにより、端子台10の上面に接触してもよい。端子部33は、圧接端子30と電子回路6とを接続する電気的な接続端子を提供する。端子部33は、はんだ付、圧接などの接続手段によって電子回路6に接続されている。
【0020】
図2において、電気接続装置7のひとつが図示されている。主スリット11は、幅方向WDにおいて互いに対向する一対の左右側面13によって区画されている。主スリット11は、厚さ方向TDにおいて互いに対向する一対の表裏側面14によって区画されている。主スリット11は、奥行方向DDの底に位置する底面15によって区画されている。左右側面13は、表裏側面14より狭い。表裏側面14は、左右側面13より広い。主スリット11の開口端は、拡大部16を有する。拡大部16は、主スリット11を内部から外部に向けて拡大している。拡大部16は、圧接端子30の挿入を容易にする案内面を提供する。拡大部16は、テーパ面によって提供されている。
【0021】
副スリット12は、2つの表裏側面14によって区画されている。副スリット12は、ひとつの表裏側面14に形成されたスリットと、他のひとつの表裏側面14に形成されたスリットとを有する。副スリット12は、Y字型のスリットである。副スリット12は、拡大面17と、平行側面18と、底面19とによって区画されている。底面19は、端子台10の突出量より浅い副スリット12を区画している。拡大面17は、副スリット12を上へ向けて拡大する。拡大面17は、素線5を案内する案内面を提供する。平行側面18は、奥行方向DDに沿って延びるスリットを区画する。底面19は、副スリット12の底面を規定している。底面19は、素線5と接触している。底面19は、素線5を固定するための基準面でもある。底面19は、素線5を保持している。
【0022】
底面15は、突出部20を有する。突出部20は、厚さ方向TDに対向する2つの表裏側面14にまたがっている。突出部20は、電気接続装置7の製造方法の初期段階において頂部21を有する。頂部21は、後述する挿入部31との接触によって圧縮変形している。
【0023】
幅方向WDにおける主スリット11の幅GWは、一対の左右側面13の間の距離である。奥行方向DDにおける主スリット11の深さDPは、端子台10の上面と、突出部20の頂部21との間の距離によって規定されている。主スリット11の深さDPは、奥行方向DDにおける副スリット12の深さよりも大きい。主スリット11の深さDPは、奥行方向DDにおける副スリット12の深さの約2倍である。幅方向WDにおける副スリット12の幅HWは、一対の平行側面18によって規定されている。副スリット12の幅HWは、素線5の直径より大きい。
【0024】
挿入部31は、外側縁34で囲まれた舌状の突出片である。外側縁34は、奥行方向DDに延びている。幅方向WDにおける挿入部31の中央に中央線を仮想することができる。挿入部31は、中央線に沿って延びる端子スリット35を有する。端子スリット35は、奥行方向DDに関して挿入部31の先端、すなわち下端から端部36まで延びている。端子スリット35は、挿入部31の全長に渡ることなく、挿入部31の先端から所定の長さLSにわたって延びている。端部36は、端子スリット35の奥端を規定している。端部36は、挿入部31を根元部37と、梁部38とに分割している。根元部37は、挿入部31のうち、タブ部32側に位置している。梁部38は、挿入部31のうち、先端側に位置している。言い換えると、外側縁34は、根元部37と梁部38との両方にわたって延びている。
【0025】
梁部38は、根元部37から先端に向けて片持ち梁のように突出している。梁部38は、第1梁41と、第2梁42とを有する。第1梁41および第2梁42は、平板状である。梁部38は、端子スリット35を区画する内側縁39を有する。内側縁39は、梁部38を第1梁41と第2梁42とに分割している。第1梁41と、第2梁42との間には、端子スリット35が位置している。言い換えると、第1梁41と、第2梁42とは、それらの間に、端子スリット35を区画している。第1梁41と、第2梁42とは、端子スリット35の両側に対称に配置されている。第1梁41と、第2梁42とは、中央線に対して線対称な形状を備えている。よって、圧接端子30は、梁部38、および、根元部37を有する。梁部38は、素線5を収容する端子スリット35を形成している第1梁41および第2梁42を有する。根元部37は、第1梁41および第2梁42を連結している。
【0026】
以下の説明では、主として第2梁42が詳細に説明される。第1梁41の形状は、第2梁42の説明から理解することができる。
【0027】
幅方向WDにおける第1梁41および第2梁42の外側は、外側縁34によって提供されている。幅方向WDにおける第1梁41および第2梁42の幅SWは、主スリット11の幅GWより明確に小さい。これにより、第1梁41および第2梁42から端子台10へ与えられる力が抑制される。この結果、端子台10の過剰な変形、または割れが抑制される。また、端子台10から第1梁41および第2梁42へ与えられる力が抑制される。この結果、第1梁41および第2梁42の変形が抑制される。さらに、第1梁41と第2梁42との間に位置づけられた素線5に与えられる力が安定する。この結果、素線5の過剰な変形、または破断が抑制される。
【0028】
第1梁41および第2梁42は、先端部43を有する。先端部43は、底面15としての突出部20に接触している。よって、梁部38と底面15とは、突出部20において互いに接触している。先端部43は、突出部20の頂部21を圧縮して変形させている。奥行方向DDにおいて、第1梁41および案内部44は、長さLGを有する。長さLGは、先端部43とタブ部32との間の距離である。長さLGは、深さDPより大きい。初期状態において、第1梁41および第2梁42は、長さLSを有する。長さLSは、端部36と先端部43との間の距離である。
【0029】
内側縁39は、案内部44、絞り部45、捕捉部46、刃部47、平行部48、傾斜部49、接触部50を有する。電気接続装置7の製造方法は、挿入部31を主スリット11に挿入する挿入工程を含む。挿入工程は、副スリット12に保持された素線5と挿入部31との相対的な移動を生じる。挿入工程において、素線5は、上記順番で、内側縁39の上を徐々に移動する。言い換えると、挿入工程において、素線5は、端子スリット35内を徐々に移動する。
【0030】
挿入工程において、挿入部31は、先端部43と頂部21とが接触し、さらに先端部43が頂部21を変形させるまで、主スリット11に挿入される。図示の例では、タブ部32と端子台10の上面との間には、挿入隙間IGが形成されている。挿入部31は、タブ部32と端子台10の上面とが接触するように挿入されてもよい。
【0031】
案内部44は、端子スリット35の入口に位置づけられている。案内部44は、素線5の直径よりも大きい端子スリット35の入口を提供している。案内部44は、幅方向WDにおける端子スリット35の幅を、入口から端部36に向けて徐々に縮小させる傾斜を有する。幅方向WDにおける案内部44の幅は、素線5の直径より大きい。案内部44は、副スリット12に保持された素線5を端子スリット35の中に案内する。案内部44は、素線5を端子スリット35の中に滑らかに導入することを可能とする。
【0032】
絞り部45は、案内部44と捕捉部46との間に位置づけられている。幅方向WDにおける絞り部45の幅RWは、素線5の直径と等しい。この「等しい」は、素線5の位置を端子スリット35の中央に位置づけることができる誤差を許容する。例えば、幅RWは、素線5の直径よりやや小さくてもよい。絞り部45は、素線5の中心を端子スリット35の中央線上に位置づける。絞り部45は、素線5に対して第1梁41および第2梁42を押し付ける。絞り部45は、後続の捕捉部46との協同によって、素線5の表面への刃部47の切り込みを助ける。
【0033】
捕捉部46は、案内部44と刃部47との間に位置づけられている。捕捉部46は、端子スリット35の両側にコブ状に広がる膨らみを提供する。捕捉部46は、第1梁41および第2梁42の内側縁39に位置づけられた凹部によって提供されている。捕捉部46は、素線5より大きく外側に広がっている。
【0034】
捕捉部46は、素線5に対する第1梁41および第2梁42の押し付け力を弱くする。捕捉部46は、素線5の表面への刃部47の切り込みを助ける。捕捉部46は、後述の刃部47によって切削された切削片を捕捉するポケットでもある。捕捉部46は、刃部47を形成するための加工マージンを提供する。捕捉部46の形状は、第2梁42を形成する工程において、刃部47を鋭利に形成するために貢献している。
【0035】
刃部47は、端子スリット35の入口と、端部36との間に位置づけられている。刃部47は、切削刃を提供する。刃部47は、厚さ方向TDに沿って延びる切削刃を提供する。刃部47は、挿入工程において、素線5と接触する。刃部47は、挿入工程において、素線5に切り込む。刃部47は、挿入工程において、素線5の表面を切削加工する。刃部47は、素線5の絶縁皮膜を除去する。刃部47は、素線5の金属部分の表面を切削し、新鮮な金属面を露出させる。
【0036】
第1梁41と第2梁42とは、互いに対向する刃部47を提供する。この結果、互いに対向する2つの刃部47は、素線5の表面に2つの切削面を形成する。2つの切削面は、平行である。
【0037】
平行部48は、刃部47と接触部50との間に位置づけられている。平行部48は、端子スリット35の入口から端部36に向けて、平行な端子スリット35を区画している。幅方向WDにおける平行部48の幅PWは、素線5の直径より小さい。幅PWは、幅RWより小さい。平行部48は、刃部47によって露出させられた新鮮な金属面を保護する。平行部48は、刃部47によって形成された金属面が第2梁42と接触しながら移動することを許容する。
【0038】
傾斜部49は、刃部47と接触部50との間に位置づけられている。傾斜部49は、端子スリット35の入口から端部36に向けて、端子スリット35が徐々に縮小する傾斜を有する。傾斜部49は、第1梁41と第2梁42とが、素線5の表面に徐々に強く接触することを可能とする。第1梁41と第2梁42とは、素線5の露出した金属面に強く押し付けられる。
【0039】
接触部50は、端部36の手前に位置づけられている。接触部50は、端子スリット35の入口から端部36に向けて、平行な端子スリット35を区画している。幅方向WDにおける接触部50の幅CWは、素線5の直径より小さい。幅CWは、幅PWより小さい。この結果、第1梁41および第2梁42は、素線5に対して強く押し付けられる。電気接続装置7の完成状態、すなわち製造方法の最終段階において、素線5は、接触部50に位置づけられる。言い換えると、挿入部31は、素線5が接触部50に到達するまで、主スリット11に挿入される。
【0040】
内側縁39は、刃部47と、接触部50とを少なくとも備えることが望ましい。内側縁39は、さらに、案内部44と、刃部47と、接触部50とを少なくとも備えることが望ましい。内側縁39は、さらに、案内部44と、捕捉部46と、刃部47と、接触部50とを少なくとも備えることが望ましい。
【0041】
外側縁34は、突出部51を有する。突出部51は、外側縁34の一部分でもある。突出部51は、幅SWから幅方向WDへ突出している。突出部51以外の外側縁34は、幅SWを規定している。突出部51は、左右側面13に少なくとも接触するように突出している。突出部51は、左右側面13において端子台10に食い込むように突出している。突出部51は、端子台10を左右側面13においてやや変形させて位置づけられている。突出部51は、少なくともひとつの頂点52を有する多角形である。突出部51は、三角形である。頂点52は、端子台10に食い込んでいる。
【0042】
突出部51は、奥行方向DDにおける根元部37の範囲内に位置づけられている。頂点52は、奥行方向DDにおける根元部37の範囲内に位置づけられている。突出部51の前縁端53は、奥行方向DDにおける根元部37の範囲内に位置づけられている。突出部51は、奥行方向DDにおける根元部37の範囲内にだけ位置づけられている。突出部51は、奥行方向DDにおける梁部38の範囲内には位置づけられていない。この結果、梁部38と左右側面13との間の強い接触が抑制される。言い換えると、梁部38と端子台10との間における相互作用が抑制される。
【0043】
外側縁34は、幅方向WDの両側に2つの突出部51を有する。2つの突出部51は、根元部37から突出し、根元部37の幅TWを規定する。2つの突出部51は、2つの頂点52を提供する。突出部51は、頂点52を有する多角形である。これら2つの頂点52は、幅方向WDにおける挿入部31の最大の幅TWを規定する。根元部37の幅TWは、梁部38の幅SWより大きい。幅TWは、挿入部31の幅SWより大きい。端子台10は、突出部51を受け入れる際にやや変形している。例えば、挿入工程において突出部51が通過した後には、変形痕22が残留する。よって、根元部37の幅TWは、根元部37と一対の左右側面13とを接触させ、端子台10を変形させている。
【0044】
突出部51は、梁部38を前とし、根元部37を後として、後退翼形である。特に、突出部51における複数の縁のうち、タブ部32に面する後縁は、後退角をもつ。この後縁は、後退距離SBを規定している。後退距離SBは、後縁の最前端と、頂点52との間の奥行方向DDにおける距離である。後退翼形の突出部51は、端子台10への食い込みを容易にする。よって、挿入部31を端子台10から引き抜くような挿入部31の移動を抑制する。後退翼形の突出部51は、挿入工程における突出部51の微小な変形を許容する。後退翼形の突出部51は、端子台10の破損、または、突出部51自身の破損を抑制する。
【0045】
素線5と端部36との間には、隙間61が形成されている。隙間61と副スリット12とは、互いに連通している。隙間61は、挿入部31がさらに深く挿入されることを許容するマージンを提供する。
【0046】
素線5と、端子台10と、圧接端子30(挿入部31)との間には、保持室62が形成されている。詳細には、素線5と、圧接端子30、表裏側面14と、底面15とが、保持室62を区画している。保持室62は、後述する切削片に対して閉じている。保持室62は、切削片を閉じ込めるために必要な密閉性を有している。保持室62は、完全な気密性を必要としない。保持室62を形成するために、素線5は、一対の接触部50において、第1梁41および第2梁42の間に挟まれている。保持室62を形成するために、素線5は、端子台10の底面19に押し付けられている。保持室62を形成するために、厚さ方向TDに関して、第1梁41および第2梁42は、一対の表裏側面14に接触している。すなわち、梁部38と一対の表裏側面14とは互いに接触している。保持室62を形成するために、第1梁41および第2梁42の先端部43は、底面15の一部である突出部20に接触している。すなわち、梁部38と底面15とは互いに接触している。
【0047】
厚さ方向TDにおける挿入部31の厚さは、厚さ方向TDにおける主スリット11の厚さに等しい。言い換えると、厚さ方向TDにおける挿入部31の厚さは、厚さ方向TDにおける一対の表裏側面14の間の距離に等しい。この「等しい」は、厚さ方向TDにおいて挿入部31と表裏側面14とを接触させながら、主スリット11の中へ挿入部31を挿入することを可能とする範囲を含む。例えば、挿入部31の厚さは、一対の表裏側面14の間の距離に等しくすることができる。これに代えて、端子台10の弾性変形を考慮して、挿入部31の厚さは、一対の表裏側面14の間の距離よりやや大きくしてもよい。
【0048】
外側縁34は、幅方向WDにおける第1梁41および第2梁42の外側において、左右側面13に対して非接触である。言い換えると、第1梁41および第2梁42と、左右側面13との間には、側面隙間SGが形成されている。梁部38の幅SWは、梁部38と一対の左右側面13との間に側面隙間SGを形成している。側面隙間SGは、梁部38と左右側面13との間に非接触構造を提供する。非接触構造により、第1梁41および第2梁42から端子台10へ与えられる力が抑制される。この結果、端子台10の過剰な変形、または割れが抑制される。また、非接触構造により、端子台10から第1梁41および第2梁42へ与えられる力が抑制される。この結果、第1梁41および第2梁42の変形が抑制される。さらに、第1梁41と第2梁42との間に位置づけられた素線5に与えられる力が安定する。この結果、素線5の過剰な変形、または破断が抑制される。
【0049】
電気接続装置7の製造方法は、端子台10、圧接端子30、および素線5を準備する準備工程を含む。準備工程は、端子台10を準備する工程を含む。端子台10は、樹脂成形によって形成される。準備工程は、圧接端子30を準備する工程を含む。圧接端子30は、金属製の母材をプレス加工することによって形成される。圧接端子30は、母材から撃ち抜かれる。プレス加工は、刃部47を鋭利に成形するためのシェービング加工を含む。シェービング加工は、内側縁39に適用されている。シェービング加工によって厚さ方向TDにおける刃部47の全域が、鋭利に形成される。この結果、刃部47は、計画された広さにわたって素線5を切削することができる。端子台10、および、圧接端子30は、同時に、または前後して準備される。
【0050】
電気接続装置7の製造方法は、端子台10によって素線5を保持する保持工程を含む。保持工程は、素線5を端子台10に仮留めする仮留め工程とも呼ばれる。この段階では、素線5は、端子台10の所定位置に位置付けられる。保持工程は、固定子3に巻線する巻線工程の一部でもある。巻線工程の一部において、コイル端は、素線5として、端子台10に位置づけられる。素線5は、端子台10の上から、副スリット12の中に挿入される。素線5は、主スリット11を厚さ方向TDに横切るように張り渡される。
【0051】
電気接続装置7の製造方法は、挿入工程を含む。挿入工程は、保持工程の後に実行される。挿入工程は、挿入部31を主スリット11の内面に接触させながら、挿入部31を主スリット11に圧入する圧入工程でもある。挿入工程では、端子台10の主スリット11の中に圧接端子30が挿入される。挿入工程では、端子台10の主スリット11の中に挿入部31が挿入される。挿入工程は、先端部43によって、突出部20の頂部21を変形させる圧縮工程を含む。同時に、挿入工程では、圧接端子30の接触部50に素線5が位置づけられる。挿入工程では、副スリット12に保持された素線5と挿入部31との相対的な移動が生じる。挿入工程において、素線5は、内側縁39の上を徐々に移動する。言い換えると、挿入工程において、素線5は、端子スリット35の中を、案内部44から接触部50へ向けて徐々に移動する。挿入工程は、刃部47によって素線5を切削する切削工程を含む。さらに、挿入工程は、部分的に切削された素線5を接触部50に位置づける工程を含む。
【0052】
図3は、切削工程の初期段階を示す。挿入工程において、素線5は、端子スリット35内を移動する。素線5が刃部47に到達すると、刃部47は、素線5の両縁に切り込む。刃部47は、切削片71、72を生成する。このとき、捕捉部46は、切削片71、72を捕捉する。捕捉部46は、切削片71、72が幅方向WDへ広がることを許容する。切削片71、72は、素線5の絶縁皮膜および金属片を含む。
【0053】
図4は、切削工程の終期段階を示す。素線5が刃部47を通過すると、切削片71、72は、素線5から分離される。このときも、捕捉部46は、切削片71、72を捕捉する。
【0054】
図5は、挿入工程の最終段階を示す。素線5は、接触部50に到達している。このとき、切削片71、72は、刃部47に付着しているか、または、刃部47から離れて落下する。このとき、保持室62は、切削片71、72を閉じ込める。保持室62は、切削面から剥離した切削片71、72を保持する。底面15に設けられた2つの突出部20の間の凹部は、切削片71、72に対する捕捉凹部を提供する。この結果、切削片71、72の回転電機1の内部への排出が抑制される。同時に、切削片71、72の電子回路6への到達が抑制される。
【0055】
以上に述べた実施形態によると、刃部47を有する第1梁41および第2梁42によって、素線5と圧接端子30との確実な電気的接続が図られる。しかも、突出部51を根元部37にのみ設けることで、第1梁41および第2梁42における端子台10との相互作用が抑制される。相互作用の抑制は、端子台10の過剰な変形、割れといった不具合を抑制する。また、相互作用の抑制は、第1梁41および第2梁42における過剰な変形、素線5の過剰な変形を抑制する。よって、長期間にわたって確実な電気的接続が維持される。
【0056】
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、主スリット11は、突出部20を備える。これに代えて、主スリット11は、突出部20を備えない形状とすることができる。
【0057】
図6において、主スリット11は、底面215に突出部20を備えない。主スリット11の底は、底面215によって規定されている。主スリット11の深さDPは、端子台10の上面と、底面215との間の距離によって規定されている。この実施形態でも、先端部43と底面215との接触によって保持室62が区画形成される。
【0058】
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、突出部51は、三角形であり、かつ、後退翼形である。これに代えて、外側縁34は、多様な形状の突出部を備えることができる。
【0059】
図7において、突出部351は、三角形である。ただし、突出部351は、後退翼形の縁を備えない。突出部351は、根元部37の範囲内に位置づけられている。特に、頂点52は、根元部37の範囲内に位置づけられている。この実施形態でも、突出部351は、端子台10と圧接端子30とを強固に固定する。
【0060】
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、突出部51は、三角形であり、かつ、後退翼形である。これに代えて、外側縁34は、多様な形状の突出部を備えることができる。
【0061】
図8において、突出部451は、台形または四角形である。突出部451の前縁端453は、梁部38の範囲内に位置づけられている。よって、突出部451は、根元部37と梁部38との両方にわたって位置づけられている。ただし、突出部451は、根元部37の範囲内に、頂点52と、頂点454とを有する。突出部451は、突出部51より幅方向WDに関して変形しにくい。よって、突出部451は、突出部51より高い剛性を提供する。この実施形態でも、突出部451は、端子台10と圧接端子30とを強固に固定する。
【0062】
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、第1梁41および第2梁42は、変形を想定しない平板によって提供されている。これに代えて、第1梁41および第2梁42は、それ自身の変形を予定した形状によって提供されてもよい。
【0063】
図9は、準備工程において準備された圧接端子30の挿入部31を示す。第1梁41および第2梁42は、貫通穴554を有する。貫通穴554は、奥行方向DDにおける第1梁41および第2梁42の変形を可能とする。貫通穴554は、第1梁41および第2梁42の先端部43の近傍に形成されている。初期状態において、貫通穴554は、円形である。初期状態において、挿入部31は、長さLG1を有する。初期状態において、第1梁41および第2梁42は、長さLS1を有する。
【0064】
図10は、挿入工程の後における電気接続装置7を示す。圧接端子30は、第1梁41および第2梁42が、それらの先端部において変形するように、端子台10に挿入されている。第1梁41および第2梁42の変形の結果、貫通穴554は、奥行方向DDに圧縮されている。変形後において、貫通穴554は、楕円形である。この実施形態では、タブ部32が端子台10の上面に接触している。変形後において、挿入部31は、長さLG2を有する。変形後において、第1梁41および第2梁42は、長さLS2を有する。長さLG2は、長さLG1より短い。長さLS2は、長さLS1より短い。長さLG2は、深さDPに等しい。
【0065】
この実施形態でも、先端部43と底面215との接触が得られる。よって、保持室62において、切削片を閉じ込めるための密閉性が得られる。
【0066】
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、第1梁41および第2梁42は、左右側面13には接触しない。これに代えて、第1梁41および第2梁42は、左右側面13に接触してもよい。
【0067】
図11において、外側縁34は、奥行方向DDにおける第1梁41および第2梁42の範囲に梁接触部655を備える。梁接触部655は、第1梁41および第2梁42と、左右側面13との接触を可能とする。梁接触部655は、幅方向WDにおける第1梁41および第2梁42の幅SW2を規定する。幅SW2は、幅GWに等しいか、幅GWよりわずかに小さい。この「わずかに小さい」は、主スリット11内における梁部38の遊びを抑制しつつ、梁部38または端子台10を変形させない量である。幅SW2は、幅TWより明確に小さい。
【0068】
梁接触部655は、挿入工程において、左右側面13に接触することによって、第1梁41および第2梁42を案内する。第1梁41および第2梁42と左右側面13との接触強さは、突出部51と左右側面13との接触強さよりも遥かに弱い。第1梁41および第2梁42と左右側面13との接触は、幅方向WDにおける端子スリット35の拡大を阻止する。第1梁41および第2梁42と左右側面13との接触は、幅方向WDにおける端子スリット35の縮小を生じない。突出部51と左右側面13との接触強さは、主スリット11からの圧接端子30の抜け落ちを抑制する。
【0069】
この実施形態では、根元部37の幅TWは、根元部37と一対の左右側面13とを接触させている。梁部38の幅SW2は、梁部38と一対の左右側面13とを接触させている。根元部37と一対の左右側面13とは、梁部38と一対の左右側面13とより強く接触している。挿入部31を端子台10に固定するための強い接触は、突出部51において提供される。この実施形態でも、突出部51は、根元部37に位置づけられている。よって、第1梁41および第2梁42と端子台10との間における相互作用が抑制される。
【0070】
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0071】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0072】
上述した複数の実施形態は、互いに組み合わせることができる。例えば、第1実施形態の圧接端子30は、突出部51に代えて、突出部351、または突出部451を備えることができる。例えば、第1実施形態の圧接端子30は、第6実施形態に例示された梁接触部655を備えていてもよい。
【0073】
上記実施形態では、底面15は、突出部20を有する。これに代えて、第1梁41および第2梁42に突出部を設けてもよい。よって、梁部38または底面15は、いずれか一方から突出する突出部を備えることができる。この場合、梁部38と底面15とは、突出部において互いに接触している。第1梁41および第2梁42から突出する突出部は、第1梁41および第2梁42の一部と見ることができる。この場合、第1梁41および第2梁42から突出する突出部は、底面15を変形させることにより、部分的に底面15に埋設されてもよい。
【0074】
上記実施形態では、端子台10は樹脂製である。これに代えて、端子台10は、電気絶縁性のセラミックス製、または電気絶縁性の金属製でもよい。上記実施形態では、保持室62は、空洞である。これに代えて、保持室62の一部、または全部に、樹脂、または高粘度の液体を入れてもよい。樹脂、または高粘度の液体は、切削片71、72を捕捉し、固定する。この場合、電気接続装置7の製造方法は、挿入工程の中に、保持室62の一部、または全部に流動状態の樹脂を注入する樹脂注入工程と、製造方法の最後の段階において、樹脂を硬化させる樹脂硬化工程とを含む。
【0075】
上記実施形態では、挿入部31は、多角形の突出部51、351、451を備える。これに代えて、挿入部31は、円弧状の突出部を備えてもよい。また、挿入部31は、複数の突出部を備えてもよい。上記実施形態では、挿入部31は、台形の梁接触部655を備える。これに代えて、挿入部31は、円弧状の梁接触部、または複数の梁接触部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 回転電機、 2 回転子、 3 固定子、 4 回転軸、
5 素線、 6 電子回路、 7 電気接続装置、
10 端子台、 11 主スリット、 12 副スリット、
13 左右側面、 14 表裏側面、 15 底面、 16 拡大部、
17 拡大面、 18 平行側面、 19 底面、
30 圧接端子、 31 挿入部、 32 タブ部、 33 端子部、
34 外側縁、 35 端子スリット、 36 端部、
37 根元部、 38 梁部、 39 内側縁、 41 第1梁、
42 第2梁、 43 先端部、 44 案内部、 45 絞り部、
46 捕捉部、 47 刃部、 48 平行部、 49 傾斜部、
50 接触部、 51 突出部、 52 頂点、 53 前縁端、
61 隙間、 62 保持室、 71、72 切削片、
215 底面、
351 突出部、
451 突出部、 453 前縁端、 454 頂点、
554 貫通穴、
655 梁接触部、
IG 挿入隙間、 SG 側面隙間、
CW、GW、HW、PW、RW、SW、TW、SW2 幅、
DP 深さ、 LG、LG1、LG2、LS、LS1、LS2 長さ、
SB 後退距離、 DD 奥行方向、 WD 幅方向、 TD 厚さ方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11