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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20221129BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20221129BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20221129BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04N1/387 110
G03G15/36
G03G15/01 S
B41J29/38 202
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019013273
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020123778
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 玲子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 英樹
(72)【発明者】
【氏名】板東 義文
(72)【発明者】
【氏名】西田 知世
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-091220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38- 1/409
G06T 1/00
B41J 29/38
G03G 15/01
G03G 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景画像を構成する画素の濃度を示す画素値を取得する取得部と、
前記背景画像において前記画素値が予め定められた条件を満たす領域を決定する決定部と、
媒体上に形成された前記背景画像において前記決定された領域上の位置に、付加情報を符号化したコード画像を透明トナーを用いて形成する画像形成部とを備え、
前記予め定められた条件は、前記画素値の代表値が定められた濃度以上の濃度を示すという第1条件を含
像形成装置。
【請求項2】
前記予め定められた条件は、前記画素値の最大値と最小値との差が閾値以下であるという第2条件を含む
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記背景画像において前記画素値が前記予め定められた条件を満たす複数の領域から前記代表値が示す濃度が高い順に前記コード画像の数だけ領域を決定する
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記背景画像において前記画素値が前記予め定められた条件を満たす複数の領域から前記差が小さい順に前記コード画像の数だけ領域を決定する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記背景画像を解析して前記背景画像に含まれる予め定められた対象を認識する画像認識部をさらに備え、
前記決定部は、前記背景画像において前記予め定められた対象を含まない領域を決定する
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記背景画像の焦点情報に応じて前記背景画像内の注目領域を特定する特定部をさらに備え、
前記決定部は、前記背景画像において前記注目領域以外の領域を決定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記背景画像は、前記コード画像に対応する大きさを有する複数の領域を含み、
前記決定部は、前記背景画像の始点から順番に前記複数の領域を探索して前記領域を決定し、
前記画像形成部は、前記コード画像の数だけ前記領域が決定されると、前記コード画像の形成を開始する
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コード画像が形成された前記媒体上の位置を示す情報を出力する出力部をさらに備える
請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コード画像は、前記付加情報が符号化された複数のコード画像であり、
前記決定部は、前記背景画像において前記定められた条件を満たし、且つ互いに予め定められた位置関係を有する複数の領域を決定し、
前記画像形成部は、前記決定された複数の領域上の位置に前記複数のコード画像をそれぞれ形成する
請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一次元バーコードや二次元コード等のコード画像を形成する技術が知られている。例えば特許文献1には、カラーの写真画像の上に、補正した輝度の白黒のQRコード(登録商標)を生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-2597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明トナーを用いて形成されたコード画像は透明であるが、有色の背景画像の上に透明なコード画像が形成される場合、背景画像においてコード画像が重なる領域の濃度によってはその領域の色の見え方が変わってしまう恐れがある。
本発明は、背景画像の濃度とは無関係に定められた背景画像上の位置に透明なコード画像を形成する構成に比べて、背景画像の上に重ねて透明なコード画像を形成しても背景画像の色の変化を目立ち難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、背景画像を構成する画素の濃度を示す画素値を取得する取得部と、前記背景画像において前記画素値が予め定められた条件を満たす領域を決定する決定部と、媒体上に形成された前記背景画像において前記決定された領域上の位置に、付加情報を符号化したコード画像を透明トナーを用いて形成する画像形成部とを備え、前記予め定められた条件は、前記画素値の代表値が定められた濃度以上の濃度を示すという第1条件を含む画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記予め定められた条件は、前記画素値の最大値と最小値との差が閾値以下であるという第2条件を含む。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記決定部は、前記背景画像において前記画素値が前記予め定められた条件を満たす複数の領域から前記代表値が示す濃度が高い順に前記コード画像の数だけ領域を決定する。
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記決定部は、前記背景画像において前記画素値が前記予め定められた条件を満たす複数の領域から前記差が小さい順に前記コード画像の数だけ領域を決定する。
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記背景画像を解析して前記背景画像に含まれる予め定められた対象を認識する画像認識部をさらに備え、前記決定部は、前記背景画像において前記予め定められた対象を含まない領域を決定する。
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記背景画像の焦点情報に応じて前記背景画像内の注目領域を特定する特定部をさらに備え、前記決定部は、前記背景画像において前記注目領域以外の領域を決定する。
請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記背景画像は、前記コード画像に対応する大きさを有する複数の領域を含み、前記決定部は、前記背景画像の始点から順番に前記複数の領域を探索して前記領域を決定し、前記画像形成部は、前記コード画像の数だけ前記領域が決定されると、前記コード画像の形成を開始する。
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記コード画像が形成された前記媒体上の位置を示す情報を出力する出力部をさらに備える。
請求項9に係る発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記コード画像は、前記付加情報が符号化された複数のコード画像であり、前記決定部は、前記背景画像において前記定められた条件を満たし、且つ互いに予め定められた位置関係を有する複数の領域を決定し、前記画像形成部は、前記決定された複数の領域上の位置に前記複数のコード画像をそれぞれ形成する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、背景画像の濃度とは無関係に定められた背景画像上の位置に透明なコード画像を形成する構成に比べて、背景画像の上に重ねて透明なコード画像を形成しても背景画像の色の変化が目立ち難くなる
求項に係る発明によれば、背景画像の濃度とは無関係に定められた背景画像上の位置に透明なコード画像を形成する構成に比べて、背景画像の上に重ねて透明なコード画像を形成しても背景画像の色の変化が目立ち難くなる。
請求項3、4に係る発明によれば、予め定められた条件を満たす複数の領域のうち透明なコード画像が重ねて形成されても背景画像の色の変化がより目立ち難い領域上にコード画像を形成することができる。
請求項5に係る発明によれば、背景画像の上に重ねて透明なコード画像を形成しても背景画像に含まれる予め定められた対象の色味が変化するのを防ぐことができる。
請求項6に係る発明によれば、背景画像の上に重ねて透明なコード画像を形成しても背景画像の焦点情報に応じて特定された注目領域の色味が変化するのを防ぐことができる。
請求項7に係る発明によれば、全ての領域を探索してからコード画像の形成を開始する場合に比べて、コード画像が形成されるまでの時間が短くなる
求項に係る発明によれば、コード画像が形成された媒体上の位置を利用者が容易に認識することができる。
請求項に係る発明によれば、利用者が読み取り装置を手で持って複数のコード画像を読み取る場合でも、複数のコードを読み取る操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2】コード画像20の一例を示す図である。
図3】画像形成装置10の機能構成の一例を示す図である。
図4】画像形成装置10の動作の一例を示すフロー図である。
図5】画像形成装置10の動作の一例を示すフロー図である。
図6】分割された背景画像40の一例を示す図である。
図7】背景画像40及びコード画像20の一例を示す図である。
図8】最大サイズのコード画像20の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成装置10は、プリント機能を有し、有色の画像の他に透明な画像を形成する。画像形成装置10には、例えばプリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する画像処理装置が含まれる。また、画像形成装置10は、通信回線を介して端末装置(図示せず)に接続されている。
【0018】
画像形成装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、操作部14と、表示部15と、画像読取部16と、画像処理部17と、画像形成部18とを備える。これらの構成は、バス19を介して接続されている。制御部11は、画像形成装置10の各部を制御する。制御部11には、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとが含まれる。記憶部12は、各種のデータ及びプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。記憶部12には、例えばハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブが含まれる。通信部13は、通信回線に接続され、通信回線を介してデータ通信を行う。通信部13には、例えば通信インタフェースが含まれる。操作部14は、利用者から画像形成装置10の操作を受け付ける。操作部14には、例えば操作ボタンとタッチパネルとが含まれる。表示部15は、各種の情報を表示する。表示部15には、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイが含まれる。画像読取部16は、原稿の画像を読み取って画像データに変換する。画像読取部16には、例えばイメージスキャナが含まれる。画像処理部17は、画像形成装置10に入力された画像データに各種の画像処理を施す。画像処理部17には、例えば上述した制御部11と同様にプロセッサとメモリとが含まれる。画像形成部18は、画像処理が施された画像データに応じた画像を用紙等の媒体上に形成する。画像形成部18には、例えばプリンターが含まれる。
【0019】
画像形成部18は、電子写真方式等のトナーを使用した方法を用いて画像を形成する。画像形成部18が用いるトナーには、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー等のカラートナーに加えて、透明トナーが含まれる。透明トナーは、着色に用いられる色材を含まない透明なトナーである。ここでいう透明とは、赤外光を吸収する一方、可視光をほとんど吸収しない色であり、完全に透明である必要はない。透明トナーは、コード画像20の形成に用いられる。
【0020】
図2は、コード画像20の一例を示す図である。コード画像20は、付加情報を符号化した画像である。コード画像20としては、例えば一次元バーコード又は二次元コードが用いられる。ここでは、コード画像20はQRコード(登録商標)であるものとする。コード画像20には、複数のセルが含まれる。このセルは、コード画像20を構成する単位要素である。また、コード画像20には、切り出しシンボルが含まれてもよい。この切り出しシンボルは、コード画像20の位置の検出に用いられるパターンである。
【0021】
透明トナーを用いてコード画像20を形成した場合、コード画像20は透明になるため人間の目では視認し難い。そのため、本実施形態では、コード画像20は背景画像の上に重ねて形成される。ただし、コード画像20は完全に透明ではないため、背景画像においてコード画像20が重なる部分の濃度によってはその部分の色の見え方が変化し、コード画像20が視認し易くなる。そこで、本実施形態では、背景画像において透明なコード画像20が重ねて形成されても背景画像の色の変化が目立ち難い領域上の位置にコード画像20が形成される。
【0022】
図3は、画像形成装置10の機能構成の一例を示す図である。画像形成装置10は、受信部21と、生成部22と、分割部23と、画像認識部24と、特定部25と、選択部26と、取得部27と、算出部28と、判定部29と、決定部30と、表示制御部31と、印刷制御部32として機能する。これらの機能は、メモリに記憶されたプログラムと、このプログラムを実行するプロセッサとの協働により、プロセッサが演算を行い又は通信部13による通信を制御することにより実現される。
【0023】
受信部21は、背景画像を示す画像データと付加情報とを受信する。これらのデータは、例えば端末装置(図示せず)から送信される。なお、画像データと付加情報とは、併せて送信されてもよいし、別々に送信されてもよい。付加情報とは、コード画像20に埋め込まれて背景画像に付加される情報をいう。ここでは、付加情報は音声を示す音声情報であるものとする。受信部21が受信した画像データは分割部23と画像認識部24とに供給される。一方、受信部21が受信した付加情報は生成部22に供給される。
【0024】
生成部22は、受信部21が受信した付加情報を符号化してコード画像20を生成する。コード画像20は、生成条件に従って生成される。この生成条件には、例えばコード画像20の型番と分割数とが含まれる。型番は、コード画像20の種類を示す。ここでは、1から40までの型番が予め定められているものとする。型番が大きい程、コード画像20のサイズが大きくなる。また、コード画像20は、付加情報を分割して表現し得る。分割数は、付加情報を分割する数を示す。ここでは、コード画像20においては付加情報を最大16個に分割し得るものとする。コード画像20の生成に用いられる生成条件は、分割部23及び決定部30に供給される。
【0025】
分割部23は、受信部21が受信した背景画像をコード画像20のサイズに対応する大きさを有する複数の領域に分割する。コード画像20のサイズは、例えばコード画像20の型番を用いて決定される。各領域の大きさは、例えばコード画像20が収まる大きさである。コード画像20のサイズが小さい程、領域のサイズが小さくなり、領域の数が増える。分割部23により分割された背景画像は、画像認識部24及び選択部26に供給される。
【0026】
画像認識部24は、受信部21が受信した画像データが示す背景画像を解析して背景画像に含まれる予め定められた対象を認識する。この対象を認識する方法としては、例えばテンプレートマッチング法がある。例えば人間の顔等、背景画像を見る人が注目する部分であり、特に色の変化や画質の劣化を避けたい部分が対象として予め定められる。この対象は、例えば利用者の操作に応じて定められてもよい。画像認識部24により認識された対象の座標位置は特定部25に供給される。
【0027】
特定部25は、背景画像において分割部23が分割した複数の領域の中から注目領域を特定する。この注目領域は、背景画像を見る人が注目する対象を含むため、特に色の変化や画質の劣化を避けたい領域である。すなわち、注目領域は、コード画像20の形成に適さない領域である。この注目領域には、例えば人間の顔等、画像認識部24が認識した対象を含む領域が含まれる。また、注目領域には、企業のロゴや商品の画像等、利用者の操作により指定された対象を含む領域が含まれてもよい。この対象も、上述した予め定められた対象と同様に、背景画像を見る人が注目する部分であり、特に色の変化や画質の劣化を避けたい部分が対象である。特に企業のロゴや商品の画像は、予め定められた色を有する必要があり、色の変更は許容されない。利用者の操作に応じて指定される対象は、例えば背景画像の解析により認識し難い対象であってもよい。特定部25が特定した注目領域の識別情報は選択部26に供給される。
【0028】
選択部26は、分割部23が分割した複数の領域を背景画像の始点から順番に探索対象として選択する。この順番は、始点を基準として、探索方向に沿って決められる。ただし、選択部26は、特定部25が特定した注目領域については探索対象から除外してもよい。この場合、注目領域は選択されない。選択部26が選択した領域の識別情報は取得部27に取得される。
【0029】
取得部27は、選択部26が探索対象として選択した領域を順番に走査して、その領域を構成する画素の濃度を示す画素値を取得する。ここでは、画素値として、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)(以下、「RGB」という。)の各成分の濃度を示す画素値が用いられる。RGBに対応する画素値は、それぞれ0から255までの値をとる。画素値の値が小さい程、濃度が高いことを示す。取得部27が取得した画素値は算出部28に供給される。
【0030】
算出部28は、取得部27が取得した画素値の代表値と、画素値の最大値と最小値との差(以下、「範囲」という。)とを算出する。この代表値には、例えば平均値が用いられる。この代表値と画素値の範囲とは、それぞれRGBの成分毎に算出されてもよい。算出部28が算出した画素値の代表値と画素値の範囲とは判定部29に供給される。
【0031】
判定部29は、算出部28が算出した画素値の代表値及び画素値の範囲が予め定められた条件を満たすか否かを判定する。予め定められた条件は、透明なコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難い濃度を有する領域を判別する条件である。すなわち、予め定められた条件は、透明なコード画像20の形成に適した領域を判別する条件である。例えば領域の濃度が高い程、透明なコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難くなる。したがって、予め定められた条件には、例えば画素値の代表値が定められた濃度以上の濃度を示すという第1条件が含まれる。第1条件に含まれる定められた濃度には、例えば透明なコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難いような最小の濃度が用いられる。例えば画素値「150」により示される濃度以上の濃度を有する領域の上にコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難い場合には、画素値「150」により示される濃度が定められた濃度として用いられてもよい。また、領域の標準の濃度が高い場合であっても、例えば領域に白黒の縞模様が含まれる場合や領域の背景色が白色であるときは、濃度差が大きくなる。このような場合には、領域の標準の濃度が高くても、透明なコード画像20を重ねたときに色の変化が目立ち易くなる。すなわち、領域の濃度は全体的に高い方が、透明なコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難くなる。したがって、予め定められた条件には、例えば画素値の範囲が閾値以下であるという第2条件が含まれる。第2条件に含まれる閾値には、例えば透明なコード画像20が重ねて形成されても色の変化が目立ち難いような濃度差を示す値が用いられる。例えば画素値の差が100以下の領域の上にコード画像20を重ねても色の変化が目立ち難い場合には、この画素値の差「100」が閾値として用いられてもよい。判定部29の判定結果は決定部30に供給される。
【0032】
決定部30は、判定部29が予め定められた条件を満たすと判定した領域をコード画像20を形成する位置として決定する。また、予め定められた条件を満たすと判定された領域の数が必要数より多い場合、これらの領域の中から必要数の領域が決定されてもよい。この必要数には、例えばコード画像20の分割数が用いられる。ただし、決定部30は、背景画像において特定部25が特定した注目領域については予め定められた条件を満たすか否かに関わらずコード画像20を形成する位置に決定しない。すなわち、決定部30は、注目領域以外の領域を候補の領域として決定する。決定部30が決定した領域の座標位置は印刷制御部32に供給される。
【0033】
表示制御部31は、表示部15を制御して、コード画像20を形成する処理に関して利用者に各種の確認を行うための情報を表示させる。表示部15に表示される情報には、例えば利用者に処理の実行を問い合わせるメッセージやプレビュー画像が含まれる。表示部15の制御は、例えば表示部15に制御信号を送信することにより行われる。
【0034】
印刷制御部32は、画像形成部18を制御して、受信部21が受信した画像データに応じた背景画像をカラートナーを用いて媒体上に形成させる。また、印刷制御部32は、画像形成部18を制御して、この背景画像において決定部30が決定した領域上の位置に、透明トナーを用いてコード画像20を形成させる。画像形成部18の制御は、例えば画像形成部18に制御信号を送信することにより行われる。
【0035】
2.動作
図4及び5は、それぞれ画像形成装置10の動作の一例を示すフロー図である。例えば利用者の操作に応じて端末装置(図示せず)から画像データ及び付加情報が送信されると、処理はステップS11に進む。
【0036】
ステップS11において、受信部21は、画像データと付加情報とを受信する。例えば画像データは、利用者の所望の背景画像40を示す画像データである。付加情報は、例えば利用者の音声を示す音声情報である。この場合、利用者の音声は、端末装置(図示せず)に接続されたマイクロフォン(図示せず)により取得されてもよい。
【0037】
ステップS12において、生成部22は、ステップS11において受信された付加情報を符号化してコード画像20を生成する。例えばコード画像20は、付加情報の情報量を格納し得る生成条件に従って生成される。例えば付加情報の情報量が10kBであり、この情報量を格納し得る型番及び分割数がそれぞれ「30」及び「1」である場合、型番が「30」のコード画像20が1個生成される。
【0038】
ステップS13において、分割部23は、ステップS12において生成されたコード画像20のサイズに応じて、背景画像40を複数の分割領域41に分割する。コード画像20のサイズは、例えば型番を用いて算出される。
【0039】
図6は、分割された背景画像40の一例を示す図である。この例では、背景画像40は、分割領域41aから41fに分割される。分割領域41aから41fは、それぞれコード画像20のサイズに対応する大きさを有する矩形の領域である。
【0040】
ステップS14において、特定部25は、回避モードに設定されているか否かを判定する。回避モードにおいては、注目領域上へのコード画像20の形成が回避される。例えば利用者の操作に応じて回避モードが予め設定されている場合には、ステップS14の判定がYESになり、処理はステップS15に進む。
【0041】
ステップS15において、特定部25は、ステップS12において受信された画像データに応じた背景画像40から注目領域を特定する。図6に示す例では、背景画像40には人間の顔42が含まれている。この場合、画像認識部24は、背景画像40を解析して背景画像40に含まれる人間の顔42を認識する。背景画像40から人間の顔42が認識されると、顔42を含む分割領域41eが注目領域として特定される。また、背景画像40には、会社のロゴ43が含まれている。利用者の操作によりこのロゴ43が回避対象として指定されると、ロゴ43を含む分割領域41fが注目領域として特定される。
【0042】
ステップS16において、選択部26は、ステップS15において特定された注目領域を探索対象から除外する。図6に示す例では、分割領域41eと41fとが探索対象から除外される。ステップS16の後、処理はステップS17に進む。また、上述したステップS14において、回避モードに設定されていない場合には、ステップS14の判定がNOになる。この場合、上述したステップS15とS16との処理を行わずに、処理はステップS17に進む。
【0043】
ステップS17において、選択部26は、最初の分割領域41を探索対象として選択する。ここでは、背景画像40において図中の左上端が始点44であるものとする。この場合、始点44を含む分割領域41aが探索対象として選択される。
【0044】
ステップS18において、算出部28は、探索対象として選択された分割領域41が有する各成分の画素値の平均値(以下、「平均画素値」という。)と画素値の範囲とを算出する。例えば分割領域41aが選択された場合、取得部27が取得した分割領域41aの平均画素値が算出される。ここでは、平均画素値がRGB=(75,100,50)であるものとする。この平均画素値においては、G値の平均値「100」が最大となる。この場合、分割領域41aのG値の範囲が算出される。例えば、分割領域41aにおいて最大のG値が150であり、最小のG値が70である場合、G値の範囲は150-70=80になる。
【0045】
ステップS19において、判定部29は、ステップS18において算出された最大の平均画素値が第1閾値以下であるか否かを判定する。この第1閾値には、例えばコード画像20が重ねられても色の変化が目立ち難い最小の濃度を示す画素値が用いられる。ここでは、第1閾値が150であるものとする。例えば分割領域41aの平均画素値がRGB=(75,100,50)である場合、G値の平均値「100」が最大となる。このG値の平均値「100」は、第1閾値「150」以下である。この場合、ステップS19の判定がYESになり、処理はステップS20に進む。
【0046】
ステップS20において、判定部29は、ステップS18において算出された画素値の範囲が第2閾値以下であるか否かを判定する。ここでは、第2閾値が100であるものとする。例えば分割領域41aにおいて平均値が最大のG値の範囲が80である場合、G値の範囲「80」は第2閾値「100」以下である。この場合、ステップS20の判定がYESになり、処理はステップS21に進む。
【0047】
ステップS21において、決定部30は、探索対象の分割領域41を候補領域に決定する。例えば分割領域41aの平均画素値が第1閾値以下であり、且つ画素値の範囲が第2閾値以下である場合、分割領域41aが候補領域に決定される。
【0048】
ステップS22において、選択部26は、全ての分割領域41の探索が終了したか否かを判定する。全ての分割領域41の探索が終了していない場合、ステップS22の判定はNOになり、処理はステップS23に進む。また、上述したステップS19において、平均画素値が第1閾値より大きい場合には、ステップS19の判定がNOになる。この場合にも、処理はステップS23に進む。さらに、上述したステップS20において、画素値の範囲が第2閾値より大きい場合には、ステップS20の判定がNOになる。この場合にも、処理はステップS23に進む。
【0049】
ステップS23において、選択部26は、次の分割領域41を探索対象として選択する。ここでは、探索方向は図6中の左から右に向かう方向であるものとする。例えば前回の探索対象が分割領域41aである場合、この探索方向において分割領域41aに最も近い分割領域41bが次の探索対象として選択される。ただし、ステップS16において探索対象から除外された注目領域は、探索対象には選択されない。そのため、探索方向において前回の探索対象の分割領域41に最も近い他の分割領域41が注目領域である場合には、注目領域を除いて前回の探索対象の分割領域41に最も近い他の分割領域41が次の探索対象として選択される。ステップS23の後、処理はステップS18に戻る。このようにしてステップS18からS23の処理が繰り返し行われる。そして、全ての分割領域41の探索が終了すると、上述したステップS22の判定がYESになり、処理はステップS24に進む。
【0050】
ステップS24において、決定部30は、ステップS21において決定された候補領域の数が必要数以上であるか否かを判定する。この必要数には、コード画像20の分割数が用いられる。例えばコード画像20の分割数が2である場合、必要数は2になる。この場合において、2以上の候補領域が決定されたときは、ステップS24の判定がYESになり、処理はステップS25に進む。
【0051】
ステップS25において、決定部30は、候補領域の中からコード画像20の印刷位置を決定する。例えば図6に示す例において、分割領域41a、41b、及び41dが候補領域に決定された場合を想定する。この場合、これらの分割領域41a、41b、及び41dの平均画素値と画素値の範囲との少なくともいずれかに基づいて、分割領域41a、41b、及び41dに優先順位が付与される。例えば平均画素値が小さい順に分割領域41a、41b、及び41dに優先順位が付与される。或いは画素値の範囲が小さい順に分割領域41a、41b、及び41dに優先順位が付与される。そして、優先順位が高い順、すなわち平均画素値が小さい順又は画素値の範囲が小さい順に、必要数の分割領域41が印刷位置に決定される。なお、平均画素値が小さい順は、濃度が高い順を示す。例えば必要数が2であり、分割領域41a、41b、及び41dの優先順位がそれぞれ1、3、及び2である場合、優先順位が高い2つの分割領域41a及び41dが印刷位置に決定される。
【0052】
ステップS26において、印刷制御部32は、まず画像形成部18を制御して、ステップS11において受信された画像データに応じて背景画像40をカラートナーを用いて媒体上に形成させる。続いて、印刷制御部32は、画像形成部18を制御して、ステップS25において決定された印刷位置の上に、ステップS12において生成されたコード画像20を透明トナーを用いて形成させる。なお、実際には、スクリーン処理を含む各種の画像処理が画像データ及びコード画像20に施された後、背景画像40及びコード画像20が形成される。
【0053】
図7は、背景画像40及びコード画像20の一例を示す図である。ここでは、分割領域41a及び41dが印刷位置に決定されたものとする。この場合、カラートナーを用いて背景画像40が媒体上に形成された後、背景画像40の分割領域41a及び41dの上に重ねて、透明トナーを用いてコード画像20が形成される。背景画像40は、有色であるため人間の目で見える。一方、透明なコード画像20は、透明であるため人間の目では視認し難い。そのため、背景画像40の視認を妨げることなく、背景画像40上に付加情報が付加される。例えば付加情報が音声を示す音声情報である場合、赤外線スキャナ(図示せず)でコード画像20を読み取ると、付加情報が復号される。そして、赤外線スキャナ(図示せず)に接続されたスピーカから付加情報に応じて音声が出力される。これにより、背景画像40が形成された媒体に付加価値が加えられる。
【0054】
一方、上述したステップS24において、候補領域の数が必要数より少ない場合、ステップS24の判定がNOになり、処理は図5に示すステップS27に進む。
【0055】
ステップS27において、選択部26は、コード画像20を縮小して再探索するか否かを判定する。再探索には追加の時間がかかる。そのため、例えば表示制御部31は、この再探索を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示部15に表示させる。このメッセージに応じて利用者が再探索を許可する操作を行うと、再探索すると判定されてもよい。この場合、ステップS27の判定がYESになり、処理はステップS28に進む。
【0056】
ステップS28において、生成部22は、コード画像20を縮小する。この縮小は、例えばコード画像20の型番及び分割数を変えることにより行われる。まず付加情報を格納し得る生成条件のうち、コード画像20のサイズが小さくなる生成条件が決定される。例えばステップS12において生成されたコード画像20の型番が「30」、分割数が「2」である場合、コード画像20の型番が「20」、分割数が「4」に変更されてもよい。この場合、付加情報を符号化して、型番が「20」のコード画像20が4個生成される。型番が「20」のコード画像20のサイズは、型番が「30」のコード画像20のサイズより小さくなる。ステップS28の後、処理は上述したステップS13に戻る。この場合、ステップS13では、ステップS28において縮小されたコード画像20のサイズに応じて、背景画像40が複数の分割領域41に分割される。
【0057】
一方、上述したステップS27において、例えば利用者が再探索を拒否する操作を行った場合には、ステップS27の判定がNOになり、処理はステップS29に進む。また、例えばコード画像20の型番が既に最小である場合には、コード画像20の型番をサイズが小さい型番に変更できない。このような場合にも、ステップS27の判定がNOになり、処理はステップS29に進んでもよい。
【0058】
ステップS29において、表示制御部31は、コード画像20を媒体に対応するサイズまで拡大して背景画像40の上に重ねて形成した出力結果を示すプレビュー画像を表示部15に表示させる。この出力結果には、例えば媒体に収まる最大のサイズに拡大されたコード画像20が含まれる。この場合、まず付加情報を格納し得る生成条件のうち、コード画像20が媒体のサイズに収まる最大のサイズになる生成条件が決定される。例えば決定された生成条件に含まれる型番が「40」、分割数が「1」である場合、出力結果には型番が「40」のコード画像20が1個含まれる。
【0059】
ステップS30において、印刷制御部32は、最大サイズに拡大したコード画像20の形成処理を実行するか否かを判定する。例えば表示制御部31は、この形成処理の実行を許可するか否かを問い合わせるメッセージを表示部15に表示させる。このメッセージに応じて利用者がこの形成処理の実行を拒否する操作を行うと、ステップS30の判定がNOになり、コード画像20を形成せずに処理を終了する。一方、利用者がこの形成処理の実行を許可する操作を行うと、ステップS30の判定がYESになり、処理はステップS31に進む。
【0060】
ステップS31において、生成部22は、コード画像20を媒体に対応するサイズまで拡大する。この拡大は、例えばコード画像20の型番及び分割数を変えることにより行われる。例えば出力結果に含まれるコード画像20の型番が「40」、分割数が「1」である場合、付加情報を符号化して、型番が「40」のコード画像20が1個生成される。型番が「40」のコード画像20のサイズは、型番が「30」のコード画像20のサイズより大きくなる。
【0061】
ステップS32において、印刷制御部32は、まず画像形成部18を制御して、ステップS11において受信された画像データに応じてカラートナーを用いて背景画像40を媒体上に形成させる。続いて、印刷制御部32は、画像形成部18を制御して、ステップS31において生成されたコード画像20を透明トナーを用いて背景画像40の上に重ねて形成させる。このとき、印刷制御部32は、上述したステップS26において形成されるコード画像20に比べて、コード画像20の形成に用いられる透明トナーの量が少なくなるように制御する。例えば、上述したステップS26において形成されるコード画像20の網点面積率が40%である場合、ステップS32においては例えば網点面積率が30%のコード画像20が形成される。この網点面積率の変更は、例えばスクリーン処理で用いられるスクリーンを線数が少ないスクリーンに変更することにより実現されてもよい。
【0062】
図8は、最大サイズのコード画像20の一例を示す図である。この最大サイズのコード画像20は、候補領域及び注目領域とは無関係に、背景画像40の中央に配置されている。そのため、コード画像20は、候補領域ではない分割領域41cにも重なっている。また、コード画像20は、注目領域である分割領域41e及び41fにも重なっている。ここで、透明なコード画像20は、透明トナーの量が少ない程、視認し難くなる。最大サイズのコード画像20は、図7に示すコード画像20に比べて透明トナーの量が少ないため、人間の目では視認し難い。一方、透明なコード画像20は、サイズが大きくなると、透明トナーの量が少なくとも正確に読み取り易くなる。したがって、透明トナーの量を減らしても、コード画像20の読み取りに支障が出難い。
【0063】
以上説明した実施形態によれば、背景画像40において定められた濃度以上の濃度を有し、濃度差が閾値以下の分割領域41の上に重ねてコード画像20が形成されるため、背景画像40の濃度とは無関係に定められた位置にコード画像20を形成する構成に比べて、背景画像40の色の変化が目立ち難くなる。また、このような条件を満たす候補領域の数が必要数より多い場合に、平均画素値と画素値の範囲との少なくともいずれかを用いて付与された優先順位に従ってこれらの候補領域の中から印刷位置が決定されるため、背景画像40の色の変化がより目立ち難くなる。また、基本的には注目領域の上に重ねてコード画像20が形成されないため、予め定められた対象を含む分割領域41を注目領域とすることにより、この対象の色味の変化が防止される。さらに、候補領域が必要数だけ存在しない場合には、通常よりも少ない量の透明トナーを用いて最大サイズのコード画像20が形成される、すなわち目立ち難い態様でコード画像20が形成される。
【0064】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば上述した実施形態は以下のように変形されてもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施されてもよい。
【0065】
上述した実施形態において、全ての分割領域41の探索が完了する前に、必要数だけ候補領域が決定された時点でステップS25に進み、コード画像20の形成が開始されてもよい。例えば必要数が2である場合を想定する。この場合、分割領域41a及び41bの探索が完了した時点で候補領域の数が2に到達すると、ステップS25に進み、ステップS26において、分割領域41a及び41bの上に重ねてコード画像20が形成されてもよい。この変形例によれば、全ての分割領域41を探索してからコード画像20の形成を開始する場合に比べて、コード画像20が形成されるまでの時間が短くなる。上述した実施形態のように、全ての分割領域41の探索が完了してからコード画像20の形成を開始するか、この変形例のように必要数だけ候補領域が決定された時点でコード画像20の形成を開始するかは、例えば利用者の操作に応じて予め設定されてもよい。あるいは、必要数だけ候補領域が決定された時点でいずれの態様で処理を進めるかを利用者に問い合わせるメッセージを表示し、このメッセージの表示に応じて行われた利用者の操作によって切り替えられてもよい。また、この変形例において、利用者の操作に応じて始点44が変更されてもよい。例えば図6において左下端に近い分割領域41を優先して候補領域にしたい場合、始点44が背景画像40の左下端に変更されてもよい。
【0066】
上述した実施形態において、背景画像40の焦点情報に応じて注目領域が特定されてもよい。なお、「焦点」という用語には、ピントとフォーカスとが含まれる。例えば背景画像40において焦点が合っている対象、すなわち被写体を含む分割領域41も注目領域に特定されてもよい。これは、被写体は背景画像40において注目すべき対象であるため、この対象の上にコード画像20を形成して画質の劣化を招くのは避けた方がよいためである。焦点情報は、背景画像40に付加された属性情報に含まれていてもよい。或いは、背景画像40を解析することにより焦点が合っている部分が特定されてもよい。この場合、背景画像40の解析結果から焦点情報が取得される。
【0067】
上述した実施形態において、コード画像20の位置を示す情報が出力されてもよい。ハンディ型の赤外線スキャナ、すなわち手で持つタイプの赤外線スキャナを用いてコード画像20を読み取る場合、媒体全面を一度に読み取ることができないため、利用者はコード画像20を読み取れる位置に赤外線スキャナを動かさなくてはならない。しかし、コード画像20が透明で、特に印刷位置が変動する場合には、媒体におけるコード画像20の位置が分かり難い。この変形例によれば、コード画像20の位置を示す情報に基づいて、コード画像20が形成された媒体上の位置を容易に認識し得る。コード画像20の位置を示す情報を出力する方法には様々な方法がある。例えば、コード画像20の印刷位置を示す画像が別の媒体に形成されてもよい。図7に示す例において、分割領域41a及び41dに対応する位置に、分割領域41a及び41dを囲う枠が配置された画像が別の媒体に形成されてもよい。なお、背景画像40はこの媒体上に形成されなくてもよい。利用者は、別の媒体に形成された枠を見ることにより、コード画像20の印刷位置を認識し得る。他の例において、背景画像40の四隅のいずれかの上に重ねて、コード画像20の印刷位置を示す画像を符号化した他のコード画像がカラートナー又は透明トナーを用いて形成されてもよい。利用者は、他のコード画像を赤外線スキャナで読み取って赤外線スキャナに接続された表示装置上でコード画像20の印刷位置を示す画像を見ることにより、コード画像20の印刷位置を認識し得る。他の例において、背景画像40の上に、コード画像20の印刷位置を示すマークがカラートナーを用いて形成されてもよい。利用者は、背景画像40上に形成されたマークを見ることにより、コード画像20の印刷位置を認識し得る。他の例において、コード画像20の印刷位置を示すAR(Augmented Reality)マーカが背景画像40上に形成されてもよい。この場合、AR機能を有する端末装置(図示せず)を用いてこのARマーカを読み取って媒体を撮影すると、この端末装置(図示せず)の画面において媒体上にコード画像20の印刷位置を示す仮想オブジェクトが表示されてもよい。利用者は、この仮想オブジェクトを見ることにより、コード画像20の印刷位置を認識し得る。なお、この変形例では、本発明に係る「出力部」として、画像形成部18が用いられている。
【0068】
上述した実施形態において、複数のコード画像20が生成された場合、これらのコード画像20が互いに予め定められた位置関係を有する複数の分割領域41上の位置に形成されてもよい。この予め定められた位置関係は、例えば隣り合う位置関係であってもよいし、距離が閾値以下となる位置関係であってもよい。この場合、複数の候補領域の中から予め定められた位置関係を有する候補領域が印刷位置として決定される。この変形例によれば、上述したように利用者がハンディ型の赤外線スキャナを用いて複数のコード画像20を読み取る場合に、赤外線スキャナを動かす動作量が少なくて済むため、複数のコード画像20を読み取る操作が容易になる。
【0069】
上述した実施形態において、コード画像20のサイズが小さい程、コード画像20を形成する透明トナーの量を減少させてもよい。例えば、縮小前のコード画像20の網点面積率が40%である場合を想定する。この場合、コード画像20が縮小されると、網点面積率が80%に変更されてもよい。この網点面積率の変更は、例えばスクリーン処理で用いられるスクリーンを線数が多いスクリーンに変更することにより実現されてもよい。この変形例によれば、コード画像20が縮小されても、コード画像20の読み取り精度の低下が防止される。また、この変形例において、ステップS19において用いられる第1閾値は、コード画像20の縮小後のサイズに応じて変更されてもよい。例えば、コード画像20のサイズが小さくなる程、第1閾値は小さくなってもよい。すなわち、コード画像20のサイズが小さくなる程、第1閾値は定められた濃度より高い濃度を示す値に変更されてもよい。これは、コード画像20のサイズが小さくなると、コード画像20を形成する透明トナーの量が増えるため、背景画像40において濃度がより高い領域の上にコード画像20を形成しないと、コード画像20を重ねたことによる背景画像40の色の変化が目立ち易くなるためである。この変形例によれば、コード画像20のサイズが小さい程、背景画像40において濃度がより高い領域の上にコード画像20が形成されるため、コード画像20を重ねたことによる背景画像40の色の変化が目立ち難くなる。
【0070】
上述した実施形態において、予め定められた回数までは、利用者に問い合わせることなく再探索が行われてもよい。例えば予め定められた回数が5回である場合には、5回までは利用者に問い合わせることなく再探索が行われてもよい。
【0071】
上述した実施形態において、複数の分割領域41のうち背景色が白色の分割領域41も探索対象から除外されてもよい。これは、背景色が白色の分割領域41の上に重ねてコード画像20を形成すると、分割領域41に含まれる白色の部分の色の変化が目立ち易くなるためである。この変形例によれば、色の変化が目立ち易い分割領域41の上に重ねてコード画像20が形成されるのが防止される。
【0072】
上述した実施形態において、注目領域は、人間の顔、企業のロゴ、又は商品画像を含む分割領域41に限定されない。例えば人物全体を含む分割領域41であってもよいし、商品名又は文字を含む分割領域41であってもよい。注目領域は、背景画像を見る人が注目する領域であって、特に色の変化や画質の劣化を避けたい領域であれば、どのような領域であってもよい。
【0073】
上述した実施形態において、背景画像40は必ずしも分割されなくてもよい。例えばコード画像20のサイズに対応する範囲を予め定められた画素数だけ移動させていくことにより候補領域が探索されてもよい。
【0074】
上述した実施形態において、コード画像20の生成条件にはセルサイズが含まれてもよい。セルサイズは、コード画像20に含まれるセルの大きさを示す。例えばセルサイズは1倍、3倍、及び6倍の中から選択し得る。セルサイズが大きい程、コード画像20のサイズが大きくなる。この場合、コード画像20のサイズは、型番とセルサイズとを用いて決定されてもよい。
【0075】
上述した実施形態において、画素値の代表値は平均値に限定されない。例えば中央値又は最頻値が代表値として用いられてもよい。
【0076】
上述した実施形態において、付加情報は音声情報に限定されない。例えば付加情報は、文字や画像を示す情報等、出力可能な情報であればどのような情報であってもよい。
【0077】
上述した実施形態において、コード画像20はQRコード(登録商標)に限定されない。コード画像20は、他の二次元コードであってもよいし、一次元コードであってもよい。すなわち、コード画像20は、付加情報を符号化した画像であれば、どのような画像であってもよい。
【0078】
画像形成装置10において行われる処理のステップは、上述した実施形態で説明した例に限定されない。この処理のステップは、矛盾のない限り、入れ替えられてもよい。例えば、コード画像20を生成するステップは、印刷位置を決定するステップの後に行われてもよい。また、本発明は、画像形成装置10において行われる処理のステップを備える方法として提供されてもよい。
【0079】
本発明は、画像形成装置10において実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードされてもよいし、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10:画像形成装置、11:制御部、12:記憶部、13:通信部、14:操作部、15:表示部、16:画像読取部、17:画像処理部、18:画像形成部、21:受信部、22:生成部、23:分割部、24:画像認識部、25:特定部、26:選択部、27:取得部、28:算出部、29:判定部、30:決定部、31:表示制御部、32:印刷制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8