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特許7183845メールシステム、データ復元装置、データ復元方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】メールシステム、データ復元装置、データ復元方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/00 20220101AFI20221129BHJP
   G06F 16/38 20190101ALI20221129BHJP
【FI】
H04L51/00
G06F16/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019022286
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2020129317
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 明博
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351797(JP,A)
【文献】特開2010-218190(JP,A)
【文献】特開2010-263275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
G06F 16/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスと、
前記ユーザ宛てのメールを受信し、受信した前記ユーザ宛のメールを前記ユーザに割り当てられた前記記憶領域に記憶させるメール送受信装置と、
前記メール送受信装置が受信したメールを取得し、前記ユーザ宛てのメールに関して、前記ユーザ宛てのメールに含まれるワードと、前記ユーザ宛てのメールのメール情報とを少なくとも関連付ける検索索引が登録されるデータ復元装置とを備え、
前記データ復元装置は、
前記ユーザ宛てのメールを取得した際に、前記ユーザ宛てのメールに含まれる前記ワードを抽出し、抽出された前記ワードと前記ユーザ宛てのメールの前記メール情報とを関連付けて前記検索索引に登録し、
前記メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、前記検索索引を参照して、前記復元対象メールの前記メール情報に関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率に基づいて、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元するメールシステム。
【請求項2】
前記データ復元装置は、
前記ユーザ宛てのメールを前記メール送受信装置から取得した際に、前記ユーザ宛てのメールに含まれる前記ワードとともに前記ワードの出現位置とを抽出し、抽出された前記ワードと前記ユーザ宛てのメールの前記メール情報とを前記ワードの出現位置に関連付けて前記検索索引に登録し、
前記復元依頼メールを取得した際に、前記検索索引を参照して、前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードのうち前記ワードの出現位置が一致する前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率に基づいて、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する請求項1に記載のメールシステム。
【請求項3】
前記データ復元装置は、
前記ワードの出現位置としてMessage-Idを含む前記検索索引を登録し、
前記復元依頼メールを取得した際に、前記検索索引を参照して、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールのうち、前記復元対象メールの前記Message-Idに関連付けられた前記ワードが一致するメールを抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する請求項2に記載のメールシステム。
【請求項4】
前記データ復元装置は、
前記復元依頼メールを取得した際に、前記検索索引を参照して、前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとが全一致するメールを、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のメールシステム。
【請求項5】
前記データ復元装置は、
前記復元依頼メールを取得した際に、前記検索索引を参照して、前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率が最大のメールを、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のメールシステム。
【請求項6】
前記データ復元装置は、
前記復元依頼メールを取得した際に、前記検索索引を参照して、前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率が所定の閾値を超えるメールを、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つ抽出し、抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のメールシステム。
【請求項7】
前記データ復元装置は、
前記メール送受信装置から削除メール一覧要求を取得すると、前記削除メール一覧要求に応じて削除済みメールのリストを含む削除メール一覧応答を作成し、作成した前記削除メール一覧応答を前記メール送受信装置に出力する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のメールシステム。
【請求項8】
ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスと、前記ユーザ宛てのメールを受信し、受信した前記ユーザ宛のメールを前記ユーザに割り当てられた前記記憶領域に記憶させるメール送受信装置とに接続されたデータ復元装置であって、
前記メール送受信装置からメールを取得し、取得したメールが通常メールである場合は前記通常メールを出力し、取得したメールが復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールである場合は前記復元依頼メールに含まれるメール情報を抽出する復元受付手段と、
前記通常メールに含まれるワードと前記通常メールの前記メール情報とが関連付けられが検索索引が格納される検索索引格納手段と、
前記復元受付手段から前記通常メールが入力され、入力された前記通常メールに含まれる前記ワードと前記通常メールの前記メール情報とを関連付けて前記検索索引に登録する検索索引登録手段と、
前記復元受付手段から前記復元対象メールの前記メール情報が入力され、前記復元対象メールの前記メール情報に関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率に基づいて、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する検索索引照合手段と、
前記検索索引照合手段によって抽出されたメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元するメール復元手段とを備えるデータ復元装置。
【請求項9】
ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスを利用する前記ユーザ宛てのメールを取得した際に、
前記ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出し、
抽出された前記ワードと前記ユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付ける検索索引を登録し、
前記メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、前記検索索引を参照して、
前記復元対象メールの前記メール情報に関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出し、
抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率に基づいて、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出し、
抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元するデータ復元方法。
【請求項10】
ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスを利用する前記ユーザ宛てのメールを取得した際に、
前記ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出する処理と、
抽出された前記ワードと前記ユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付ける検索索引を登録する処理と、
前記メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、前記検索索引を参照して、
前記復元対象メールの前記メール情報に関連付けられた前記ワードと関連付けられた前記メール情報を抽出する処理と、
抽出された前記メール情報に関連付けられた前記ワードと前記復元対象メールに関連付けられた前記ワードとの一致率に基づいて、前記復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの前記記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する処理と、
抽出したメールを前記復元対象メールとして前記復元依頼メールの依頼元のユーザの前記記憶領域に復元する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メールボックスから削除されたメールを復元するメールシステム、データ復元装置、データ復元方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クライアントコンピュータからの問合せに応じたメールメッセージを探索する装置について開示されている。特許文献1の装置は、メールメッセージを記憶する第1メモリと、メールメッセージの全テキストインデックスを記憶する第2メモリとを備える。特許文献1の装置は、クライアントコンピュータからの問合せに応じて全テキストインデックスをサーチし、その問合せの内容を満たすメールメッセージを探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-015759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置によれば、クライアントコンピュータからの問合せがあったときに、第2記憶装置に記憶された全テキストインデックスを条件として、第1記憶装置に記憶されたメールメッセージを探索できる。しかしながら、特許文献1の装置は、メールボックスから削除済みのメールメッセージを復元できない。
【0005】
メールアーカイブを導入し、メールサーバに届いた全ての電子メールをバックアップしておけば、メールボックスから削除されたメールを復元することができる。しかしながら、メールの流通量が多い環境にメールアーカイブを適用する場合、メールボックスから削除されたメールをバックアップするための大容量のストレージが必要となり、サーバ構築費用が増大する。また、メールのアーカイブデータの保存期間を限定すれば、ストレージの容量を小さくすることもできるが、保存期間を超えて削除されたメールを復元できなくなる。
【0006】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、メールデータをバックアップするストレージを導入しなくても、メールボックスから削除されたメールを復元できるデータ復元装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のメールシステムは、ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスと、ユーザ宛てのメールを受信し、受信したユーザ宛のメールをユーザに割り当てられた記憶領域に記憶させるメール送受信装置と、メール送受信装置が受信したメールを取得し、ユーザ宛てのメールに関して、ユーザ宛てのメールに含まれるワードと、ユーザ宛てのメールのメール情報とを少なくとも関連付ける検索索引が登録されるデータ復元装置とを備え、データ復元装置は、ユーザ宛てのメールを取得した際に、ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出し、抽出されたワードとユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付けて検索索引に登録し、メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、検索索引を参照して、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出し、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出し、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0008】
本発明の一態様のデータ復元装置は、ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスと、ユーザ宛てのメールを受信し、受信したユーザ宛のメールをユーザに割り当てられた記憶領域に記憶させるメール送受信装置とに接続されたデータ復元装置であって、メール送受信装置からメールを取得し、取得したメールが通常メールである場合は通常メールを出力し、取得したメールが復元依頼メールである場合は復元依頼メールに含まれるメール情報を抽出する復元受付部と、通常メールに含まれるワードと通常メールのメール情報とが関連付けられが検索索引が格納される検索索引格納部と、復元受付部から通常メールが入力され、入力された通常メールに含まれるワードと通常メールのメール情報とを関連付けて検索索引に登録する検索索引登録部と、復元受付部から復元依頼メールのメール情報が入力され、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出し、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する検索索引照合部と、検索索引照合部によって抽出されたメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元するメール復元部とを備える。
【0009】
本発明の一態様のデータ復元方法においては、ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスを利用するユーザ宛てのメールを取得した際に、ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出し、抽出されたワードとユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付ける検索索引を登録し、メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、検索索引を参照して、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出し、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出し、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0010】
本発明の一態様のプログラムは、ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスを利用するユーザ宛てのメールを取得した際に、ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出する処理と、抽出されたワードとユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付ける検索索引を登録する処理と、メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、検索索引を参照して、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する処理と、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する処理と、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メールデータをバックアップするストレージを導入しなくても、メールボックスから削除されたメールを復元できるデータ復元装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムの構成の概要を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置が受信する復元依頼メールの一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置が格納する検索索引情報の一例を示すテーブルである。
図5】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置による検索索引の比較の一例を示す概念図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムによるメール受信処理について説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置による検索索引登録処理について説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置によるデータ復元処理について説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置が受信する削除一覧取得要求メールの一例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのデータ復元装置が削除一覧応答メールに対して返信する返信メールの一例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係るメールシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係るメールシステムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のメールシステムは、電子メール(以下、メールと呼ぶ)が複数の宛先に配送されることが多いという特徴を利用する。本実施形態のメールシステムは、あるユーザのメールボックスから削除されたメールデータを、他のユーザのメールボックスを検索して復元する。
【0014】
図1は、本実施形態のメールシステム1の構成を示すブロック図である。図1のように、メールシステム1は、メール送受信装置11、メールボックス12、およびデータ復元装置13を備える。以下においては、メールシステム1をメール受信側のメールサーバに構成する例について説明する。
【0015】
メール送受信装置11は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)のプロトコルを用いてメールの送受信を行う。メール送受信装置11は、ネットワーク(図示しない)を介して、外部メールサーバ100と、メールシステム1を利用するユーザ(ユーザA、ユーザB、・・・)によって使用される少なくとも一つの端末(端末10A、端末10B、・・・)に接続される。図1においては、ユーザAの使用する端末を端末10A、ユーザBの使用する端末を端末10Bなど、ユーザごとに異なる符号を付している。以下において、ユーザごとに端末を区別しないときは、末尾のアルファベットを省略して端末10と記載する。
【0016】
外部メールサーバ100は、SMTPのプロトコルを用いてメールを送受信する外部のメールサーバである。外部メールサーバ100は、メールシステム1を利用するユーザと、メールシステム1を利用しないユーザとの間のメールの送受信を仲介する。なお、外部メールサーバ100は、メールシステム1の構成には含まれず、メールシステム1との間でメールを送受信できさえすればその形態には特に限定を加えない。
【0017】
端末10は、メールシステム1を利用するユーザによって使用されるコンピュータや携帯端末など端末装置である。端末10は、自装置にインストールされたメーラーを用いてメールシステム1にアクセスする。メーラーとは、SMTPやIMAP(Internet Message Access Protocol)、POP(Post Office Protocol)などのプロトコルを用いてメールを送受信するためのアプリケーションである。端末10は、ユーザごとの専用の装置で構成してもよいし、同じ装置を複数のユーザで共有するように構成してもよい。なお、端末10は、メールシステム1の構成には含まれず、メールシステム1との間でメールを送受信できさえすればその形態には特に限定を加えない。
【0018】
メール送受信装置11は、外部メールサーバ100や端末10からメールを受信する。メール送受信装置11は、メールを受信すると、受信したメールをメールボックス12に配送する。このとき、メール送受信装置11は、受信したメールの宛先のユーザに割り当てられた記憶領域にメールを記憶させる。
【0019】
メール送受信装置11は、送信されてきたメールをメールボックス12に記憶させると、そのメールの宛先に含まれるユーザの端末10がメールボックス12にアクセスした際にそのメールを参照できるようにする。例えば、メール送受信装置11は、メールが送信されてきた際に、そのメールの宛先に含まれるユーザの端末10に対して、メールが送信されてきたことを通知する。また、例えば、メール送受信装置11は、メールが送信されてきた際に、そのメールをメールボックス12に記憶させるとともに、そのメールの宛先に含まれるユーザに対してそのメールを送信する。
【0020】
また、メール送受信装置11は、メールシステム1を利用するユーザの端末10から復元依頼メールを受信する。復元依頼メールには、復元対象のメール(復元対象メールとも呼ぶ)のメール情報が含まれる。メール送受信装置11は、復元依頼メールを受信すると、受信した復元依頼メールをデータ復元装置13に配送する。例えば、復元依頼メールを受け付ける専用のメールアドレスを準備し、そのアドレス宛にメールが送信されてきたメールを復元依頼メールとしてメール送受信装置11からデータ復元装置13に転送するように構成できる。復元依頼メールの配送先の変更は、一般的なメーラーに装備されているメール転送機能によって実現できる。一般的なメール配送制御機能を用いてメールの配送先を制御する場合、メールシステム1の構成からメール送受信装置11を省いてもよい。
【0021】
メールボックス12は、メールシステム1を利用するユーザごとのメールのデータ(メールデータとも呼ぶ)が格納される記憶領域である。メールボックス12は、それぞれのユーザに割り当てられた複数の記憶領域を有する。メールボックス12のそれぞれの記憶領域にはユーザごとのメールが記憶される。メールボックス12に格納されたメールは、IMAP(Internet Message Access Protocol)やPOPといったプロトコルを用いて、端末10から参照・取得することができる。また、ユーザごとに割り当てられたそれぞれのユーザ領域に記憶されたメールは、データ復元装置13からのアクセスに応じて取得される。メールボックス12は、一般的な記憶装置であり、データ復元装置13がアクセスできさえすれば、その形態には特に限定を加えない。メールボックス12は、メール送受信装置11と同様に、メールシステム1の構成から省いてもよい。
【0022】
データ復元装置13は、メール送受信装置11からメールを取得する。データ復元装置13は、取得したメールが復元依頼メールではない通常のメール(通常メールとも呼ぶ)であるか、復元依頼メールであるかによって異なる処理を実行する。
【0023】
データ復元装置13は、通常メールを取得した際には、検索索引登録処理を実行する。データ復元装置13は、検索索引登録処理においては、取得したメールのヘッダや本文などに含まれるワードを検索索引化して格納する。データ復元装置13は、あるユーザがメールボックス12からメールを削除したとしても、そのメールの検索索引を削除しないで残しておく。
【0024】
検索索引は、メールから抽出されたワードと、そのワードが抽出されたメールのメール情報とが関連付けられたものである。検索索引は、メールシステム1を利用するユーザのユーザIDごとにまとめられていることが好ましい。以下においては、メールを一意に特定するためのメール情報としてメールID(Identifier)を用いる例について説明する。なお、メールID以外の情報を用いてメールを一意に特定できる場合は、メールID以外の情報をメール情報として用いてもよい。また、検索索引は、ワードやメールIDに加えて、そのワードが出現する位置(出現位置とも呼ぶ)が関連付けられていてもよい。ワードの出現位置には、SubjectやBody、Message-Idなどがある。なお、データ復元装置13が格納する検索索引には、ワードやメールID、出現位置以外のデータが含まれてもよい。
【0025】
データ復元装置13は、復元依頼メールを受信すると、データ復元処理を実行する。データ復元装置13は、データ復元処理において、検索索引を参照し、復元対象メールのメールIDに関連付けられたワードを検索し、検索によってヒットしたワード(出現ワードとも呼ぶ)を抽出する。データ復元装置13は、出現ワードを抽出すると、検索索引を参照し、出現ワードに関連付けられたメールIDを抽出する。この段階において、データ復元装置13によって抽出されたメールIDが付与されたメールのことを復元候補メールと呼ぶ。
【0026】
データ復元装置13は、復元候補メールに関連付けられた出現ワードの組と、復元対象メールの出現ワードの組とを比較し、それらの出現ワードの組に含まれる出現ワードの一致率に基づいて復元対象メールを抽出する。例えば、データ復元装置13は、復元候補メールの出現ワードの組と、復元対象メールの出現ワードの組とが一致する場合、その復元候補メールを復元対象メールとして検出する。また、例えば、データ復元装置13は、復元対象メールの出現ワードとの一致率が最大である復元候補メールを復元対象メールとして抽出する。
【0027】
データ復元装置13は、復元対象メールとして抽出したメールをメールボックス12から取得する。データ復元装置13は、復元対象メールとしてメールボックス12から取得したメールを復元依頼元のユーザの記憶領域にコピーする。
【0028】
例えば、データ復元装置13は、復元対象メールとして抽出したメールを復元依頼元のユーザの記憶領域にコピーすると、メール送受信装置11を介して、その復元依頼元のユーザの端末10に対して復元完了を通知する。復元完了の通知を受信した端末10を使用するユーザは、メールボックス12にアクセスすることによって復元対象メールを参照できる。
【0029】
以上が、メールシステム1の構成の概略についての説明である。なお、図1のメールシステム1の構成は一例であって、本実施形態のメールシステム1の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0030】
〔データ復元装置〕
次に、データ復元装置13の詳細な構成について図面を参照しながら説明する。図2は、データ復元装置13の詳細な構成について説明するためのブロック図である。図2のように、データ復元装置13は、復元受付部131、検索索引登録部132、検索索引格納部133、検索索引照合部134、およびメール復元部135を有する。
【0031】
復元受付部131は、メール送受信装置11からメールを取得する。復元受付部131は、取得したメールが通常メールであるか復元依頼メールであるかによって出力先を変更する。復元受付部131は、取得したメールが通常メールであった場合、そのメールを検索索引登録部132に出力する。一方、復元受付部131は、取得したメールが復元依頼メールであった場合、そのメールから復元対象メールのメール情報を抽出する。復元受付部131は、復元対象メールのメール情報を抽出すると、そのメール情報を検索索引照合部134に出力する。なお、復元受付部131は、メールではなく、復元依頼受付用のWEB(World Wide Web)ページから復元依頼を受け付けるように構成してもよい。
【0032】
図3は、復元受付部131が取得する復元依頼メールの一例(復元依頼メール111)である。図3の復元依頼メール111は、送信元(From)のユーザAから、送信先(To)のデータ復元装置13に送信される。図3の例では、復元依頼メール111の件名には、「メール復元依頼」と記載されている。復元依頼メール111の本文には、復元対象のメール情報が記述される。図3には、メール情報としてメールID(A-000001)が用いられる例を図示している。
【0033】
検索索引登録部132は、復元受付部131からメールを取得する。検索索引登録部132が取得するメールは通常メールである。検索索引登録部132は、取得したメールの内容を解析し、宛先アドレスや、メールの文面に含まれるワードを抽出する。検索索引登録部132は、抽出したワードをメールIDに関連付けて検索索引格納部133の検索索引に登録する。
【0034】
検索索引は、メールから抽出されたワードと、そのワードが出現したメールのメールIDとが関連付けられたものである。例えば、本文や、Message-Idヘッダ、Toヘッダ、Subjectヘッダ等に出現するワードが検索索引格納部133に格納された検索索引に登録される。検索索引は、メールシステム1を利用するユーザのユーザIDに関連付けられていることが好ましい。なお、検索索引情報には、メールに出現するワードと、そのワードの出現位置とが関連付けられていてもよい。
【0035】
検索索引格納部133は、検索索引が格納される格納部である。検索索引格納部133の検索索引には、検索索引登録部132によって、メールから抽出されたワードと、そのワードが出現したメールのメールIDとが関連付けられて登録される。検索索引格納部133には、メールシステム1を利用するユーザ宛に送信されてきたメールの検索索引が格納される。検索索引格納部133に格納された検索索引に登録された情報は、メールボックス12に格納されたメールが削除されてもそのまま保管される。
【0036】
図4は、検索索引格納部133に格納される検索索引をまとめた検索索引テーブル120である。図4の検索索引テーブル120には、メールから抽出されたワードと、そのワードの出現位置と、そのワードが出現するメールのメールIDとが、メールシステム1を利用するユーザのユーザIDごとにまとめられている。なお、検索索引テーブル120には、図4に記載されたデータ以外の情報が含まれてもよい。
【0037】
検索索引照合部134は、復元対象メールのメールIDを復元受付部131から取得する。検索索引照合部134は、復元対象メールのメールIDを取得すると、検索索引格納部133に格納された検索索引から、そのメールIDに関連付けられたワードを検索する。検索索引照合部134は、検索によってヒットしたワードを抽出する。
【0038】
検索索引照合部134は、検索索引格納部133に格納された検索索引から、抽出されたワードに関連付けられたメールIDを検索する。そして、検索索引照合部134は、検索によってヒットしたメールIDに関連付けられたワードの組と、復元対象メールのメールIDに関連付けられたワードの組とを比較する。
【0039】
検索索引照合部134は、復元対象メールのメールIDに関連付けられたワードの組に含まれるワードとの一致率が高いメールを復元対象メールとして検出し、検出されたメールのメールIDをメール復元部135に出す。なお、検索索引照合部134は復元対象メールのメールIDに関連付けられたワードの組に含まれるワードが全て一致するメールが復元対象メールであると検出してもよいし、一致率が最も高いメールが復元対象メールであると検出してもよい。
【0040】
図5は、図4の検索索引テーブル120に格納された検索索引に基づいてメールIDがA-000001のメールを復元するために出現ワードを比較する例である。以下においては、それぞれのメールをメールIDで区別して記載する。例えば、メールIDがA-000001のメールのことをA-000001と記載する。
【0041】
A-000001には、「定例会議」、「世話」、「いつも」、「9月27日」、「○○様」、「訪問」、・・・といったワードが出現する。A-000001出現するワードは、A-000008やB-0000092などにも出現する。例えば、A-000001に出現するワードと、A-000008に出現するワードとの一致率は60%であるとする。また、A-000001に出現するワードと、B-000092に出現するワードとの一致率は100%であるとする。この場合、検索索引照合部134は、一致率が最も高いB-000092が復元対象メールであると検出する。
【0042】
検索索引照合部134は、ワードに加えて、そのワードの出現位置を用いて検索を行ってもよい。出現位置が一致するワードで検索を行なえば、検索対象となるワードを絞り込むことができるため、検索負荷や検索時間を短縮できる。
【0043】
例えば、メールボックス12の異なるユーザの記憶領域に記憶され、Message-Idのワードが一致するメールは、複数のユーザ宛に送信されてきたメールがユーザごとの記憶領域に格納されたものである。すなわち、メールボックス12の異なるユーザの記憶領域に記憶され、Message-Idが一致するメールは復元対象メールである。
【0044】
Message-Idのワードが一致するメールがない場合は、他の出現位置に出現するワードの一致率によって復元対象メールを検出すればよい。例えば、Subjectなどのメールヘッダに同一単語が含まれる場合、同一のメールである可能性が高いために一致率が高いものと評価される。
【0045】
また、検索索引照合部134の検索範囲は、全てのユーザを対象としてもよいし、特定のユーザに限定してもよい。同一のメールが存在するのは、復元対象メールの宛先に含まれていたユーザの記憶領域であるため、復元対象メールの宛先に含まれていたユーザのみを検索範囲としてもよい。検索索引照合部134の検索範囲を復元対象メールの宛先に含まれていたユーザに絞れば、復元対象メールの検索負荷や検索時間を短縮できる。
【0046】
本実施形態のメールシステムは、復元対象メールに類似するメールをメールボックスに復元する。なお、本実施形態のメールシステムの構成は、第1の実施形態と同様であるため、図面は省略し、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0047】
また、検索索引照合部134は、復元対象メールと同一ではないが、ワードの一致率が所定の閾値を超えたメール(類似メールとも呼ぶ)を復元してもよい。例えば、類似メールが復元対象メールを引用する場合、その類似メールが引用する箇所には復元対象メールが含まれる可能性がある。また、例えば、復元対象メールが類似メールを引用する場合、復元対象メールの本文中で参照したい記載が類似メールの本文中に記載されている可能性がある。この場合、検索索引照合部134は、複数の類似メールを復元してもよい。
【0048】
メール復元部135は、検索索引照合部134からメールIDを取得する。メール復元部135は、検索索引照合部134から取得したメールIDが付与されたメールを復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域にコピーする。その結果、復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元対象メールが復元される。例えば、メール復元部135は、検索索引照合部134から取得したメールIDが付与されたメールをメールボックス12から取り出してから、そのメールをメールボックス12に記憶させるように構成できる。
【0049】
以上が、本実施形態のメールシステム1の構成についての説明である。なお、上記のメールシステム1の構成は一例であって、本実施形態のメールシステム1の構成をそのままの形態に限定するものではない。
【0050】
(動作)
次に、メールシステム1の動作について図面を参照しながら説明する。以下においては、メールシステム1によるメール受信処理、メールシステム1に含まれるデータ復元装置13による検索索引登録処理およびデータ復元処理に分けて説明する。
【0051】
〔メール受信処理〕
まず、メールシステム1がメールを受信した際に実行するメール受信処理について図面を参照しながら説明する。図6は、メールシステム1が実行するメール受信処理について説明するためのフローチャートである。
【0052】
図6において、まず、メールシステム1は、外部メールサーバ100またはいずれかの端末10からメールを受信する(ステップS11)。
【0053】
次に、メールシステム1は、受信したメールが復元依頼メールであるか否かを判定する(ステップS12)。
【0054】
受信したメールが復元依頼メールではない場合(ステップS12でNo)、メールシステム1は、受信したメールの宛先のユーザの記憶領域にそのメールを記憶させる(ステップS13)。
【0055】
次に、メールシステム1は、受信したメールの検索索引登録処理を実行する(ステップS14)。
【0056】
一方、受信したメールが復元依頼メールである場合(ステップS12でYes)、メールシステム1は、受信したメールのデータ復元処理を実行する(ステップS15)。
【0057】
以上が、メールシステム1のメール受信処理についての説明である。なお、図6のフローチャートに沿ったメールシステム1によるメール受信処理は一例であって、本実施形態のメールシステム1によるメール受信処理を限定するものではない。
【0058】
〔検索索引登録処理〕
次に、メールシステム1の受信したメールが通常メールであった場合に、データ復元装置13が実行する検索索引登録処理について図面を参照しながら説明する。図7は、データ復元装置13が実行する検索索引登録処理について説明するためのフローチャートである。
【0059】
図7において、まず、データ復元装置13は、取得したメールに含まれるワードを抽出する(ステップS121)。例えば、データ復元装置13は、取得したメールから、本文や、Message-Idヘッダ、Toヘッダ、Subjectヘッダ等に出現するワードを抽出する。
【0060】
次に、データ復元装置13は、抽出したワードを、メール情報に関連付けて検索索引に登録する(ステップS122)。例えば、データ復元装置13は、復元対象メールを一意に特定するためのメール情報としてメールIDを用いる。例えば、データ復元装置13は、抽出したワードを、そのワードの出現位置や、そのメールの送信先のユーザIDに関連付けて検索索引に登録してもよい。
【0061】
以上が、データ復元装置13が実行する検索索引登録処理についての説明である。なお、図7のフローチャートに沿ったデータ復元装置13による検索索引登録処理は一例であって、本実施形態のデータ復元装置13による検索索引登録処理を限定するものではない。
【0062】
〔データ復元処理〕
図8は、メールシステム1の受信したメールが復元依頼メールではなかった場合に、データ復元装置13が行うデータ復元処理について説明するためのフローチャートである。
【0063】
図8において、まず、データ復元装置13は、復元対象メールのメール情報を復元依頼メールから抽出する(ステップS141)。例えば、データ復元装置13は、復元対象メールを一意に特定するためのメール情報としてメールIDを用いる。
【0064】
次に、データ復元装置13は、検索索引格納部133に格納された検索索引を用いて、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードを検索する(ステップS142)。例えば、データ復元装置13は、復元対象メールのメールIDに関して、そのメールIDのメールのヘッダや本文に含まれる単語セットをワードとして検索索引格納部133から抽出する。
【0065】
次に、データ復元装置13は、検索でヒットしたワード(出現ワード)を抽出する(ステップS143)。例えば、データ復元装置13は、検索でヒットした複数の出現ワードの組を抽出する。
【0066】
次に、データ復元装置13は、検索索引格納部133に格納された検索索引を用いて、抽出されたワードに関連付けられたユーザ情報を検索する(ステップS144)。
【0067】
次に、データ復元装置13は、検索でヒットしたユーザ情報を抽出する(ステップS145)。このときに抽出されるメールは復元候補メールである。
【0068】
次に、データ復元装置13は、復元対象メールに基づいて抽出されたワードと、復元候補メールに基づいて抽出されたワードとを比較し、ワードの一致率に基づいて復元候補メールのうち少なくとも一つを抽出する(ステップS146)。例えば、データ復元装置13は、ワードが全て一致する復元候補メールを抽出する。例えば、データ復元装置13は、ワードの一致率が最も高い復元候補メールを抽出する。
【0069】
なお、データ復元装置13は、復元対象メールの宛先に関連付けられたメールの検索を優先してもよい。例えば、データ復元装置13は、メーリングリストが宛先に含まれる場合、そのメーリングリストのアドレスを展開し、展開されたアドレスに含まれる宛先に関連付けられたメールの検索を優先してもよい。
【0070】
例えば、ステップS146においてMessage-Idの値が一致するメールがヒットした場合、データ復元装置13は、Message-Idの値が一致するメールを復元対象メールとして抽出してもよい。Message-Idの値が一致しない場合、データ復元装置13は、ステップS146のようにワードの一致率に基づいてメールを抽出すればよい。
【0071】
そして、データ復元装置13は、抽出された復元候補メールを復元対象メールとして、依頼元のユーザの記憶領域にコピーする(ステップS147)。
【0072】
以上が、データ復元装置13が実行するデータ復元処理についての説明である。なお、図8のフローチャートに沿ったデータ復元装置13によるデータ復元処理は一例であって、本実施形態のデータ復元装置13によるデータ復元処理を限定するものではない。
【0073】
〔削除一覧要求〕
ここで、ユーザの要求に応じて、削除メールの一覧(削除メール一覧とも呼ぶ)をユーザに応答する方法について一例を挙げて説明する。以下の削除メール一覧の要求および返却に関する説明においては、データ復元装置13を動作の主体として説明する。
【0074】
メール送受信装置11は、いずれかのユーザが利用する端末10から削除メール一覧を要求するメール(削除メール一覧要求とも呼ぶ)を受信すると、その削除メール一覧要求をデータ復元装置13に出力する。
【0075】
データ復元装置13は、メール送受信装置11から削除メール一覧要求を取得すると、その要求に応じた削除メール一覧を作成する。例えば、メール送受信装置11は、IMAPのログ情報を用いて、削除されたメールを抽出し、削除されたメールのメールIDやSubject、削除された日付を含むデータのリストを削除メール一覧として作成する。データ復元装置13は、作成した削除メール一覧をメール送受信装置11に出力する。
【0076】
メール送受信装置11は、データ復元装置13から削除メール一覧を取得すると、その削除メール一覧を含むメール(削除メール一覧応答とも呼ぶ)を要求元の端末10に対して送信する。
【0077】
図9は、データ復元装置13が受信する削除メール一覧要求の一例(削除メール一覧要求112)である。図9の削除メール一覧要求112は、送信元(From)のユーザAから、送信先(To)のデータ復元装置13に送信される。図9の例では、削除メール一覧要求112の件名には、「削除メール一覧取得依頼」と記載されている。
【0078】
図10は、データ復元装置13が作成する削除一覧が本文中に含まれる削除一覧応答メールの一例(削除一覧応答メール113)である。図10の削除一覧応答メール113は、送信元(From)のデータ復元装置13から、送信先(To)のユーザAに送信される。図10の例では、削除一覧応答メール113の件名には、「Re:メール削除一覧取得依頼」と記載されている。削除一覧応答メール113の本文には、削除済みのメールのメールID、Subject、日付(Date)の値がリスト形式で記載されている。
【0079】
以上が、ユーザの要求に応じて、削除メール一覧をユーザに応答する方法についての説明である。例えば、削除メール一覧応答を受信した端末を使用するユーザは、受信した削除メール一覧応答に含まれる削除メール一覧を参照して、復元対象メールを選択できる。
【0080】
以上のように、本実施形態のメールシステムは、メールボックスと、メール送受信装置と、データ復元装置とを備える。メールボックスは、ユーザごとの記憶領域を有する。メール送受信装置は、ユーザ宛てのメールを受信し、受信したユーザ宛のメールをユーザに割り当てられた記憶領域に記憶させる。データ復元装置は、メール送受信装置が受信したメールを取得し、ユーザ宛てのメールに関して、ユーザ宛てのメールに含まれるワードと、ユーザ宛てのメールのメール情報とを少なくとも関連付ける検索索引が登録される。
【0081】
データ復元装置は、ユーザ宛てのメールを取得した際に、ユーザ宛てのメールに含まれるワードを抽出し、抽出されたワードとユーザ宛てのメールのメール情報とを関連付けて検索索引に登録する。
【0082】
データ復元装置は、メールボックスから削除された復元対象メールの復元を依頼する復元依頼メールを取得した際には、検索索引を参照して、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する。データ復元装置は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0083】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、ユーザ宛てのメールをメール送受信装置から取得した際に、ユーザ宛てのメールに含まれるワードとともにワードの出現位置とを抽出する。データ復元装置は、抽出されたワードとユーザ宛てのメールのメール情報とをワードの出現位置に関連付けて検索索引に登録する。データ復元装置は、復元依頼メールを取得した際に、検索索引を参照して、復元対象メールに関連付けられたワードのうちワードの出現位置が一致するメール情報を抽出する。データ復元装置は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0084】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、ワードの出現位置としてMessage-Idを含む検索索引を登録する。データ復元装置は、復元依頼メールを取得した際に、検索索引を参照して、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールのうち、復元対象メールのMessage-Idに関連付けられたワードが一致するメールを抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0085】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、復元依頼メールを取得した際に、検索索引を参照して、復元対象メールに関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する。データ復元装置は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとが全一致するメールを、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0086】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、復元依頼メールを取得した際に、検索索引を参照して、復元対象メールに関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する。データ復元装置は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率が最大のメールを、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0087】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、復元依頼メールを取得した際に、検索索引を参照して、復元対象メールに関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する。データ復元装置は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率が所定の閾値を超えるメールを、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から抽出する。データ復元装置は、抽出したメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0088】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、メール送受信装置から削除メール一覧要求を取得すると、削除メール一覧要求に応じて削除済みメールのリストを含む削除メール一覧応答を作成し、作成した削除メール一覧応答をメール送受信装置に出力する。
【0089】
本実施形態の一態様のデータ復元装置は、ユーザごとの記憶領域を有するメールボックスと、ユーザ宛てのメールを受信し、受信したユーザ宛のメールをユーザに割り当てられた記憶領域に記憶させるメール送受信装置とに接続される。データ復元装置は、復元受付部、検索索引格納部、検索索引登録部、検索索引照合部、およびメール復元部を備える。復元受付部は、メール送受信装置からメールを取得し、取得したメールが通常メールである場合は通常メールを出力し、取得したメールが復元依頼メールである場合は復元依頼メールに含まれるメール情報を抽出する。検索索引格納部には、通常メールに含まれるワードと通常メールのメール情報とが関連付けられた検索索引が格納される。検索索引登録部は、復元受付部から通常メールが入力され、入力された通常メールに含まれるワードと通常メールのメール情報とを関連付けて検索索引に登録する。検索索引照合部は、復元受付部から復元依頼メールのメール情報が入力され、復元対象メールのメール情報に関連付けられたワードと関連付けられたメール情報を抽出する。検索索引照合部は、抽出されたメール情報に関連付けられたワードと復元対象メールに関連付けられたワードとの一致率に基づいて、復元依頼メールの依頼元のユーザとは異なるユーザの記憶領域に記憶されたメールの中から少なくとも一つのメールを抽出する。メール復元部は、検索索引照合部によって抽出されたメールを復元対象メールとして復元依頼メールの依頼元のユーザの記憶領域に復元する。
【0090】
本実施形態のメールシステムは、メールが複数の宛先に配送されることが多いという特徴を利用する。本実施形態のメールシステムは、メール受信時に、メールのヘッダや本文に含まれるワードを検索索引(インデックス)化し、それを保持する。本実施形態のメールシステムが保持するメッセージヘッダの情報には、メールを一意に識別するMessage-Idヘッダの値や、メールの宛先を示すToヘッダといった情報が含まれる。
【0091】
本実施形態のメールシステムは、メールボックスから削除されたメールの復元依頼を受け付ける。本実施形態のメールシステムは、削除されたメールの復元依頼を受けると、復元対象のメールの索引情報を検索索引から取り出す。本実施形態のメールシステムは、検索索引を用いて、メール同士の検索索引を比較して照合を行う。本実施形態のメールシステムは、Message-Idが一致するメールを検索できた場合は、そのメールを復元対象メールとして抽出する。また、本実施形態のメールシステムは、Message-Idが一致するメールを検索できなかった場合は、他のユーザのメールを含めてメールに出現するワードの一致率を検証し、復元対象メールとの一致率が高いメールを復元対象メールとして抽出する。本実施形態のメールシステムは、検索索引の照合によって抽出されたメールを復元依頼の依頼元のユーザのメールボックスに新しいメールとして復元する。
【0092】
本実施形態のメールシステムにおいては、他のユーザのメールボックスに保存されたメールを復元するので、削除されたメールをバックアップするためのストレージを追加する必要はない。また、本実施形態のメールシステムにおいては、ユーザのメールボックスにメールが保存されていれば削除されたメールを復元できるので、メールをアーカイブしておく場合のように特定の期間がすぎると削除されてしまうことがない。すなわち、本実施形態のメールシステムによれば、メールのアーカイブをせずに、削除されたメールを復元することができる。
【0093】
以上のように、本実施形態のメールシステムによれば、メールデータをバックアップするストレージを導入しなくても、メールボックスから削除されたメールを復元できる。
【0094】
(ハードウェア)
ここで、第1の実施形態に係るメールシステム1を実現するハードウェア構成について、図11の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、図11の情報処理装置90は、メールシステム1を実現するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。なお、メールシステム1を構成するメール送受信装置11やメールボックス12、データ復元装置13は、それぞれ別のハードウェアに構成してもよいし、同じハードウェアに構成してもよい。また、図11の情報処理装置90は、端末10や外部メールサーバ100を実現するハードウェア構成でもある。
【0095】
図11のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96を備える。図11においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、バス99を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0096】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、メールシステム1の処理を実行する中央演算装置として機能する。
【0097】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0098】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0099】
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0100】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0101】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0102】
また、情報処理装置90には、必要に応じて、ディスクドライブを備え付けてもよい。ディスクドライブは、バス99に接続される。ディスクドライブは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。
【0103】
以上が、メールシステム1を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図11のハードウェア構成は、メールシステム1の演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、メールシステム1に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、メールシステム1の処理に関するプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0104】
メールシステム1の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、メールシステム1の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
【0105】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 メールシステム
10 端末
11 メール送受信装置
12 メールボックス
13 データ復元装置
100 外部メールサーバ
131 復元受付部
132 検索索引登録部
133 検索索引格納部
134 検索索引照合部
135 メール復元部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11